(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記交流電源の交流電圧の前半の半周期で生成した電圧誤差信号と後半の半周期で生成した電圧誤差信号との差分値の絶対値が規定値を超える場合、前記前半の半周期または前記後半の半周期の何れかで前記入力電流検出部が検出する電流値に係数を乗じることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【背景技術】
【0002】
近年、家電機器や産業機器の各種機器の電力系統に高調波電流が流入する問題に対して、機器内の電源装置には、インダクタとスイッチング素子の動作によるエネルギー蓄積効果を利用し、力率を改善しながら出力電圧を昇圧する交流直流変換回路(AC−DCコンバータ)が用いられるようになっている。
このAC−DCコンバータにおける制御では、直流電圧値(出力電圧計測値Vdc)とその目標値(目標出力電圧値Vref)との電圧差分値(Ev)に交流電圧値(入力電圧計測値Vin)を乗算して得られる値に応じて、上記スイッチング素子の導通比(スイッチング素子のスイッチング周期において、スイッチング素子が導通状態となる時間の割合である。時比率DUTYとする)を決定し、力率改善(PFC:Power Factor Correction)を行っている。
【0003】
このような電源装置は、例えば特許文献1に示されるように、交流電源から直流電圧を得る少なくともスイッチング素子とインダクタとダイオードからなる交流直流変換部(PFC部)と、交流電源の電流値を検出する入力電流検出部と、交流電源の電圧値を検出する入力電圧検出部と、交流直流変換回路が出力する直流電圧値を検出する出力電圧検出部と、電流検出部と入力電圧検出部と出力電圧検出部で得られる各値に基づき力率改善を行い且つ、直流電圧値を予め設定された目標値になるように上記スイッチング素子の動作をPFC制御する制御部から構成される(特許文献1、
図1参照)。
【0004】
PFC制御は、一般に次のように実行される。上記制御部は、電圧制御ループにおいて、出力電圧計測値Vdcと目標出力電圧値Vrefとの電圧差分値Evを演算し、電圧誤差信号VPIを生成する。その後、この電圧誤差信号VPIと入力電圧計測値Vinを正規化した値とを乗算することで、入力電流設定値Irefを得る。次に、制御部は、電流制御ループにおいて、入力電流設定値Irefと入力電流計測値Iinとの電流差分値Eiを演算し、電流誤差信号IPIを生成する。
【0005】
そして、電流誤差信号IPIの信号レベルに応じ、スイッチング素子の導通比(DUTY)を逐次変換することで、入力電圧計測値Vinと入力電流計測値Iinと波形が相似し、力率が1となるように、すなわち入力電圧と入力電流の位相が同相となるように、かつ、直流電圧が所定の目標出力電圧値Vrefとなるように制御する。
【0006】
ここで、出力電圧検出部で得られた直流電圧(出力電圧計測値Vdc)には、交流直流変換回路の特性上、交流電源周波数の2倍の周波数のリップル成分が重畳されている。直流電圧にリップル成分が含まれたまま上記制御演算を行うと、電圧誤差信号VPIにおいてリップル成分の影響が現れ、最終的には入力電流(入力電流計測値Iin)の波形に歪みが生じてしまう。
【0007】
このリップル成分を排除するために、電圧制御ループにおいて、電圧差分値Evを演算する際の直流電圧値として、応答速度の遅い(カットオフ周波数1Hz程度)のローパスフィルタを通した値を用いるのが一般的である。一方、電流制御ループの電流誤差信号IPIは、入力電流(入力電流計測値Iin)を正弦波状に追従させるように逐次デューティを制御するので、カットオフ周波数を高めに設定するのが一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のような構成によると、電源装置が、例えば200Vの商用交流電源に接続され、入力交流電圧が供給される場合、PFC起動時において、直流電圧は目標出力電圧値Vref(例えば400V)まで上昇するが、電圧制御ループの応答が遅いので、予め目標出力電圧値Vrefが一定値で定められている場合など、目標出力電圧値Vrefとの電圧差分(電圧差分値Ev)が大きく、PFC回路が昇圧動作をする特性上、電流制御ループの電流誤差信号IPIが急激に上昇する。この結果、目標出力電圧値Vrefまで上昇するまでの期間、スイッチング素子の導通比(DUTY)が広がった状態(スイッチング素子がオンする期間が長い状態)で動作して、PFC起動時の突入電流が大きくなり、直流電圧は目標出力電圧値Vrefを超えてしまう。一方、上述のように電圧制御ループは応答速度を下げているので、直流電圧が目標出力電圧値Vrefまで戻るまでに時間を要し、電源装置の応答性が悪いという問題があった。
【0010】
このような問題の解決を図った技術として、例えば特開2012−100484号公報(特許文献2参照)、特開2012−100485(特許文献3参照)に開示された電源装置がある。しかしながら、この種の電源装置によれば、AC入力される入力電流計測値Iinの計測回路が、入力電流の正側と負側とで別々の回路になっている。
図1を援用して具体的に説明すると、商用交流電源(AC電源)から第1、第2の交流入力端子1a、1bのそれぞれを介して流れ込む入力電流のうち、正側の入力電流の計測回路は、シャント用の抵抗R1を含む回路から構成され、負側の入力電流の計測回路はシャント用の抵抗R2を含む回路から構成されている。このため、それぞれの計測回路がもつ部品のばらつきなどの誤差の相違によって、
図6に例示するように、入力電流の1周期における正側と負側との波形にアンバランスが発生する。これにより、高調波電流が増加してしまうおそれがある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、入力電流の計測回路が、入力電流の正側と負側とで別々の回路になっている場合に、高調波電流が増加することを抑制することができる電源装置、電源装置の制御方法及び制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、交流電源の交流電圧から直流電圧を得る少なくともスイッチング素子とインダクタとダイオードからなる交流直流変換部と、前記交流電源の電圧値を検出する入力電圧検出部と、前記交流電源の電流値を検出する入力電流検出部と、前記交流直流変換部が出力する直流電圧の電圧値を検出する出力電圧検出部と、前記入力電流検出部と前記入力電圧検出部と前記出力電圧検出部各々で得られる前記交流電源の電流値、前記交流電源の電圧値及び前記直流電圧の電圧値に基づき、前記直流電圧の電圧値が予め設定された目標出力電圧値になるように前記スイッチング素子をオン/オフ制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記交流電源の交流電圧の半周期毎に前記直流電圧の電圧値と前記目標出力電圧値との電圧差分値から電圧誤差信号を生成し、前記電圧誤差信号の値に基づいて、前記入力電流検出部で半周期毎に検出した電流値を補正することを特徴とする電源装置である。
【0013】
また、本発明の一態様は、上述した電源装置であって、前記制御部は、前記交流電源の交流電圧の前半の半周期で生成した電圧誤差信号と後半の半周期で生成した電圧誤差信号との差分値の絶対値が規定値を超える場合、前記前半の半周期または前記後半の半周期の何れかで前記入力電流検出部が検出する電流値に係数を乗じる。
【0014】
また、本発明の一態様は、上述した電源装置であって、前記制御部は、前記直流電圧の電圧値と前記目標出力電圧値との電圧差分値
に電圧ゲインを乗算して得られる電圧誤差信号を生成する電圧誤差信号生成部と、前記電圧誤差信号生成部において生成された電圧誤差信号の値に基づいて、前記入力電流検出部で半周期毎に検出した電流値を補正する差分判定部と、前記交流電源の電圧値と前記電圧誤差信号とに基づいて入力電流設定値を生成する乗算器と、前記入力電流設定値と前記交流電源の電流値との電流差分値に基づいて
PID演算処理を行うことで電流誤差信号を生成する電流誤差信号生成部と、前記電流誤差信号に基づいて前記スイッチング素子をオン/オフ制御する信号のデューティを演算するデューティ演算部と、前記電圧誤差信号と前記オン/オフ制御の閾値との差分に基づいて、前記デューティ演算部におけるオフセット値を生成するオフセット演算部と、を有
し、前記電圧ゲインは、前記PID演算処理により求められる。
【0015】
また、本発明の一態様は、上述した電源装置であって、前記制御部は、前記デューティ演算部において、前記PID演算処理
で求めた電流誤差信号IPIによって、時比率DUTYを、DUTY=Dmax−IPI×Kcnv(Dmaxは時比率DUTYの最大出力値(上限値)であり、Kcnvは、前記電流誤差信号IPIを前記時比率DUTYに変換する際の係数である。)に従って、演算する。
【0016】
また、本発明の一態様は、上述した電源装置であって、前記
電流誤差信号生成部における前記PID演算処理は、電流差分値Ei(t)を、Ei(t)=入力電流設定値Iref−入力電流計測値Iin(t)により演算し、前記PID演算処理で求める電流誤差信号IPI=Ui(t)を、Ui(t)=Kip×Ei(t)+{Kii×Ei(t−1)+Ui(t−1)}+Kid×{Ei(t)−Ei(t−n)}(Ui(t−1)は、前回の前記PID演算処理で求めた電流誤差信号IPIであり、Ei(t−1)、Ei(t−n)は、それぞれ、1回前、n回前の前記PID演算処理における電流差分値Eiを示し、Ei(t)は今回の処理結果による値であり、Kip、Kii、Kidは、ぞれぞれ、前記PID演算処理における比例(P)係数、積分(I)係数、微分(D)係数を示す。
【0017】
また、本発明の一態様は、入力電圧検出部が、交流電源の電圧値を検出する交流電圧検出過程と、入力電流検出部が、前記交流電源の電流値を検出する交流電流検出過程と、出力電圧検出部が、前記交流電源の交流電圧から直流電圧を得る少なくともスイッチング素子とインダクタとダイオードからなる交流直流変換部が出力する直流電圧の電圧値を検出する直流電圧検出過程と、前記制御部が、前記入力電流検出部と前記入力電圧検出部と前記出力電圧検出部各々で得られる前記交流電源の電流値、前記交流電源の電圧値及び前記直流電圧の電圧値に基づき、前記直流電圧の電圧値が予め設定された目標出力電圧値になるように前記スイッチング素子をオン/オフ制御する制御過程とを備え、前記制御過程は、前記交流電源の交流電圧の半周期毎に前記直流電圧の電圧値と前記目標出力電圧値との電圧差分値から電圧誤差信号を生成し、前記電圧誤差信号の値に基づいて、前記入力電流検出部で半周期毎に検出した電流値を補正する過程とを有することを特徴とする電源装置の制御方法である。
【0018】
また、本発明の一態様は、コンピュータを、入力電圧検出部が、交流電源の電圧値を検出する交流電圧検出手段、入力電流検出部が、前記交流電源の電流値を検出する交流電流検出手段、出力電圧検出部が、前記交流電源の交流電圧から直流電圧を得る少なくともスイッチング素子とインダクタとダイオードからなる交流直流変換部が出力する直流電圧の電圧値を検出する直流電圧検出手段、制御部が、前記入力電流検出部と前記入力電圧検出部と前記出力電圧検出部各々で得られる前記交流電源の電流値、前記交流電源の電圧値及び前記直流電圧の電圧値に基づき、前記直流電圧の電圧値が予め設定された目標出力電圧値になるように前記スイッチング素子をオン/オフ制御する制御手段として機能させ、前記制御手段は、前記交流電源の交流電圧の半周期毎に前記直流電圧の電圧値と前記目標出力電圧値との電圧差分値から電圧誤差信号を生成し、前記電圧誤差信号の値に基づいて、前記入力電流検出部で半周期毎に検出した電流値を補正する手段、として機能させるための電源装置の制御プログラムである。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、正側と負側の入力電流のアンバランスを防ぎ、高調波電流が増加することを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態における電源装置を示す回路構成図である。
図1に示す電源装置は、商用交流電源(AC電源)に接続される第1、第2の交流入力端子1a、1bの交流電圧を直流電圧に変換して第1及び第2の直流出力端子2a、2bとの間に直流電圧である出力電圧を発生し、これら出力端子間に接続されるDC−DCコンバータ等に直流電圧を供給する電源装置である。
【0022】
電源装置は、第1、第2の交流入力端子1a、1bと第1及び第2の直流出力端子2a、2bとの間に、入力段のフィルタ回路FLTRと、リレー回路RYと、力率改善回路10とを順番に設けている。本発明では、力率改善回路10は、交流電源の交流電圧から直流電圧を得る交流直流変換部として機能し、後述するように少なくともスイッチング素子とインダクタとダイオードとからなる。電源装置は、更に、力率改善回路10に含まれているスイッチング素子(トランジスタQ1、Q2、ダイオードBD1、BD2)をオン/オフ制御するために、入力電圧検出部11と、入力電流検出部12と、スイッチ駆動部13と、出力電圧検出部14と、制御部15とを有している。
【0023】
図1の力率改善回路10において、直流出力端子2aと直流出力端子2bとの間に、ダイオードD1、トランジスタQ1、抵抗R1が直列に接続される。また、直流出力端子2a、2bとの間には、ダイオードD2、トランジスタQ2、抵抗R2が直列に接続される。トランジスタQ1及びトランジスタQ2各々には、それぞれダイオードBD1及びダイオードBD2が並列に接続され、これら2つの並列回路が力率改善回路10のスイッチング素子として機能する。
【0024】
また、ダイオードD1とトランジスタQ1との接続点が、インダクタL1を介して、交流入力端子1a側へ接続され、ダイオードD2とトランジスタQ2との接続点が、インダクタL2を介して、交流入力端子1b側へ接続される。直流出力端子2a、2bとの間には、また、電解コンデンサC2が接続される。なお、トランジスタQ1及びQ2は、
図1において、Nチャネル型MOSトランジスタとしているが、この場合、ダイオードBD1及びBD2は、MOSトランジスタ中の寄生ダイオードであってよい。また、トランジスタQ1及びQ2として、NPN型バイポーラトランジスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いてもよい。
【0025】
交流入力端子1a、1bに接続される交流電源の正方向電圧期間において、トランジスタQ1がオンしている時には、交流入力端子1a、インダクタL1、トランジスタQ1、ダイオードBD2及びインダクタL2から成る第1の閉回路が形成され、インダクタL1とインダクタL2とにエネルギーを蓄積する。次に、トランジスタQ1がオフすると、交流入力端子1a、インダクタL1、ダイオードD1、電解コンデンサC2、ダイオードBD2及びインダクタL2から成る第2の閉回路が、インダクタL1とインダクタL2とに蓄積されたエネルギーを電解コンデンサC2へ供給し、電解コンデンサC2を交流電源電圧より高い値に充電する。
【0026】
一方、交流電源の負方向電圧期間においては、トランジスタQ2がオンしている時には、交流入力端子1b、インダクタL2、トランジスタQ2、ダイオードBD1、インダクタL1から成る第3の閉回路が形成され、インダクタL2にエネルギーを蓄積する。次に、トランジスタQ2がオフすると、交流入力端子1b、インダクタL2、インダクタL1、ダイオードD2、電解コンデンサC2、ダイオードBD1から成る第4の閉回路が、インダクタL2とインダクタL1とに蓄積されたエネルギーを電解コンデンサC2へ供給し、電解コンデンサC2を交流電源電圧より高い値に充電する。
なお、交流電源の正方向電圧期間または負方向電圧期間において、オンオフ動作を求められるのは、上述の通りトランジスタQ1またはQ2のいずれか一方のみであるが、2つのトランジスタを同じゲート信号を用いてオン/オフさせてもよい。
【0027】
このような構成により、力率改善回路10は、スイッチング素子をオン/オフするとともに、電解コンデンサC2の両端子間電圧を一定に制御するが、交流入力端子1a、1bに接続される交流電源の電圧の周波数よりも高い周波数で、スイッチング素子のオン/オフ制御を行う必要がある。そこで、制御部15は、スイッチング素子の導通比(時比率DUTY)を決定する演算処理を、交流入力電圧、交流入力電流、直流電圧である出力電圧に基づいて行っている。
【0028】
このため、力率改善回路10において、抵抗R1及びR2の各々の両端は、入力電流検出部12へと接続され、トランジスタQ1及びQ2各々のゲート端子及びソース端子は、スイッチ駆動部13へと接続され、直流出力端子2a、2b出力端子は、出力電圧検出部14へと接続される。また、インダクタL1及びL2の交流入力端子1a、1b側が、入力電圧検出部11へと接続される。
【0029】
入力電圧検出部11は、交流電圧を検出して、入力電圧計測値Vin(交流電源の電圧値)を制御部15へ出力する。また、入力電流検出部12は、抵抗R1及びR2に流れる交流電流値を検出して、入力電流計測値Iinを制御部15へ出力する。また、出力電圧検出部14(直流電圧検出部)は、直流出力端子2a、2b間の電圧を検出して、出力電圧計測値Vdcを制御部15へ出力する。
【0030】
制御部15は、これらの入力される信号の電圧レベルに基づいて、時比率DUTYを生成し、スイッチ駆動部13に出力する。スイッチ駆動部13は、時比率DUTYに基づいて、スイッチング素子のドライブ信号を生成する。
【0031】
また、制御部15は、リレー回路RYのスイッチをオンさせる。そのため、入力電圧計測値Vinを監視し、AC電源を電解コンデンサC2でピーク充電された、概ねAC電源の実効値×√2の電圧値に達し、AC電源の実効値を認識可能となった時間経過後に、リレー回路RYのスイッチをオンさせ、力率改善回路10の交流入力端子に対するインピーダンスを下げる。なお、リレー回路RY中の抵抗(抵抗R3)は、リレー回路RYの前後に設けられたコンデンサ容量とともに、CR時定数回路を構成し、スイッチング動作開始前の力率改善回路10の電解コンデンサC2に急激な電流が流れないようにするものである。
【0032】
図2は、本実施形態における制御部15の回路構成図である。
制御部15は、電圧誤差信号生成部21、デューティ演算部23、正規化演算部31〜33、比較器41、43、乗算器42、VPI差分判定部44、オフセット演算部24を有する。制御部15は、VPI差分判定部44において、電圧誤差信号VPI(+)と電圧誤差信号VPI(−)との差分値が第1の規定値(後述)を超える場合、半周期毎に正規化演算部33の補正係数k3の補正を行い、下記に示すフィードバック制御を行う。一方、上記差分値が第1の規定値以下である場合、正規化演算部33の補正係数k3の補正を行わず、下記に示すフィードバック制御を行う。
【0033】
VPI差分判定部44は、電圧誤差信号生成部21において生成された電圧誤差信号VPIに基づいて正規化演算部33の補正係数k3の補正を行う回路であり、本実施形態の特徴的部分をなす。なお、詳細については、後述する。
【0034】
電圧誤差信号生成部21は、比較器41及びVPI生成部26より構成され、電圧誤差信号VPIを生成する。比較器41は、正規化演算部31が出力電圧計測値Vdcを正規化した値(制御部15の動作電圧に合うように、出力電圧計測値Vdcに係数k1、例えば1/100を乗じた値)と予め設定された目標出力電圧値Vrefとを比較し、その差分をとって電圧差分値Evを生成する。
【0035】
VPI生成部26は、電圧差分値Evと電圧ゲインGvとを乗算して、電圧誤差信号VPIを生成する。ここで、フィードバック制御系では周知の様に、PIDと呼ばれる、電圧誤差に対して比例P、積分I、微分Dの演算処理を加え、これらを必要に応じて合成してフィードバックし、系の応答性を改善することが行われる。電圧ゲインGvは、このPID演算処理によって求められる値である。
【0036】
乗算器42は、正規化演算部32が入力電圧計測値Vinを正規化した値(制御部15の動作電圧に合うように、例えば、入力電圧計測値Vinの最大値k2で除した値)と電圧誤差信号VPIとを乗算して、入力電流設定値Irefを生成する。
【0037】
電流誤差信号生成部22は、比較器43及びIPI生成部27より構成され、電流誤差信号IPIを生成する。
比較器43は、正規化演算部33が入力電流計測値Iinを正規化した値(制御部15の動作電圧に合うように、入力電流計測値Iinに係数k3を乗じた値)と入力電流設定値Irefとを比較し、その差分をとって電流差分値Eiを生成する。IPI生成部27は、電流差分値Eiと電流ゲインGiとを乗算して、電流誤差信号IPIを生成する。電流ゲインGiは、上記電圧ゲインGvと同様に、PID演算処理によって求められる値である。なお、電流制御ループにおけるPID演算処理の詳細については、後述する。
【0038】
デューティ演算部23は、電流誤差信号IPIに基づいて、スイッチング素子をオンするパルス幅(時比率DUTY)を、例えば電流誤差信号IPIから時比率DUTYへの変換を行う演算式を用いて演算し、スイッチ駆動部13へ出力する。スイッチ駆動部13は、入力される時比率DUTYでのスイッチング動作を行うか否かを、制御の動作指令などに基づいて判定してドライブ信号を出力し、スイッチング素子をオン/オフする。このスイッチング動作が実行されることにより、入力電圧計測値Vinと入力電流計測値Iinと波形が相似し、力率が1となるように、すなわち、入力電圧計測値Vinと入力電流計測値Iinの位相が同相となるように、かつ、直流電圧である出力電圧が所定の目標出力電圧値Vrefとなるように制御される。
【0039】
オフセット演算部24は、オフセット判定閾値THoffsetと電圧誤差信号VPIとの差分により、オフセット値Offsetを生成する。オフセット判定閾値THoffsetは、予め設定された値であり、例えば、前述した特許文献2、3と同様に、電源装置の電圧制御ループの応答性を改善し得るように設定され得る。オフセット演算部24は、生成したオフセット値Offsetをデューティ演算部23に出力する。
【0040】
なお、上記回路構成においては、電圧差分(電圧差分値Ev)が大きくなると、誤差信号(IPI)の電流または電圧レベルが上がり、デューティを拡げた状態(スイッチング素子がオンする期間が長い状態)でスイッチング動作し、電圧差分(電圧差分値Ev)が小さくなると、誤差信号(IPI)の電流または電圧レベルが下がり、デューティを狭めた状態(スイッチング素子がオンする期間が短い状態)でスイッチング動作する論理構成となっている。
【0041】
次に、制御部15におけるフィードバック制御について説明する。フィードバック制御は、出力電圧を予め設定された目標値になるように制御する出力電圧制御である。以下に、フィードバック制御の詳細を説明する。
最初に、制御部15は、入力電圧検出部11から、入力電圧計測値Vinを取得し、電圧制御ループにおいて、入力電流設定値Irefの演算処理を行う。演算は、乗算器42が、次式(1)により、電圧誤差信号VPIと、正規化演算部32が入力電圧計測値Vinを正規化した値NVin(制御部15の動作電圧に合うように、入力電圧計測値Vinの最大値k2で除した値)とを乗ずることで行う。
Iref=VPI×NVin…(1)
【0042】
次に、制御部15は、入力電流検出部12から入力電流計測値Iinを取得し、電流制御ループにおいて、電流誤差信号IPIの演算処理を行う。演算は、電流誤差信号生成部22が、以下の式(2)〜(4)で示すPID演算により、入力電流設定値Irefと、取得した入力電流計測値Iin(t)とに基づいて行う。
電流差分値Ei(t)=入力電流設定値Iref−入力電流計測値Iin(t)…(2)
Ui(t)=Kip×Ei(t)+{Kii×Ei(t−1)+Ui(t−1)}+Kid×{Ei(t)−Ei(t−n)}…(3)
IPI=Ui(t)…(4)
ここで、Ui(t)は、今回のPID演算処理で求める電流誤差信号IPIであり、Ui(t−1)は、前回のPID演算処理で求めた電流誤差信号IPIである。また、Ei(t−1)、Ei(t−n)は、それぞれ、1回前、n回前のPID演算処理における電流差分値Eiを示し、Ei(t)は今回の処理結果による値である。また、Kip、Kii、Kidは、ぞれぞれ、PID演算処理における比例(P)係数、積分(I)係数、微分(D)係数を示す。
【0043】
次に、制御部15は、デューティ演算部23において、PID演算処理で求めた電流誤差信号IPIによって、次式(5)に従って、時比率DUTYを演算する。
DUTY=Dmax−IPI×Kcnv…(5)
ここで、Dmaxは時比率DUTYの最大出力値(上限値)であり、最小出力値Dmin(下限値)とともに、予め制御部15において設定されている値である。また、Kcnvは、電流誤差信号IPIを時比率DUTYに変換する際の係数であり、実験またはシミュレーションにより予め算出されている係数値であり、同じく制御部15において設定されている値である。
【0044】
続いて、制御部15は、先に演算した電圧誤差信号VPIの示す値が予め設定された閾値(パルス幅制御の閾値。以下、オフセット判定閾値THoffsetとする。)を超えているか否かを判定する。電圧誤差信号VPIがオフセット判定閾値THoffsetを超えていると判定した場合、前回の処理結果である時比率DUTYが、そのまま本更新サイクルにおける時比率DUTYとなる。一方、電圧誤差信号VPIがオフセット判定閾値THoffset以下である判定した場合、制御部15は、オフセット演算部24において、オフセット判定閾値THoffsetと電圧誤差信号VPIとの差分により、オフセット値Offsetを、次式(6)により算出する。
Offset=(THoffset−VPI)×Koffset…(6)
ここで、Koffsetは、実験またはシミュレーションにより予め算出されている係数値であり、制御部15において設定されている値である。
【0045】
次に、制御部15は、デューティ演算部23において、式(6)において求めたオフセット値Offsetによって、次式(7)に従って、時比率DUTYを演算(減算)する。
DUTY(t)=DUTY(t−1)−Offset…(7)
ここで、DUTY(t)は、今回の減算処理で求める時比率DUTYであり、DUTY(t−1)は、前回の時比率DUTY更新制御(PWM出力制御)の式(5)において算出した時比率DUTYである。なお、本減算処理においても、DUTY(t)は、上記最大出力値Dmax(上限値)と最小出力値Dmin(下限値)との間になるように算出される。
【0046】
制御部15は、デューティ演算部23において、式(7)において算出した時比率DUTY(t)を本更新サイクルにおける時比率DUTYとし、スイッチ駆動部13へ出力する。
【0047】
スイッチ駆動部13は、入力される時比率DUTYでのスイッチング動作を行うか否かを、制御の動作指令などに基づいて判定してドライブ信号を出力し、時比率DUTYに応じたパルス幅のゲート信号を出力し、スイッチング素子(トランジスタQ1、Q2)をオン/オフする。このスイッチング動作が実行されることにより、入力電圧計測値Vinと入力電流計測値Iinと波形が相似し、力率が1となるように、すなわち、入力電圧計測値Vinと入力電流計測値Iinの位相が同相となるように、かつ、直流電圧が所定の目標出力電圧値Vrefとなるように制御される。
【0048】
上述したように、制御部15は、フィードバック制御において、入力電圧Vin、入力電流Iin、出力電圧Vo(出力電圧計測値Vdc)を更新サイクル毎に計測する。制御部15は、出力電圧計測値Vdcと目標出力電圧値Vrefとの電圧差分値Evを演算し、電圧誤差信号VPIを生成する。その後、制御部15は、電圧誤差信号VPIと入力電圧計測値Vinを正規化した値とを乗算することで、入力電流設定値Irefを得る。次に、制御部15は、入力電流設定値Irefと入力電流計測値Iinとの電流差分値Eiを演算し、電流誤差信号IPIを生成する。
そして、制御部15は、電流誤差信号IPIの信号レベルに応じ、スイッチング素子の導通比(DUTY)を逐次変換し、直流電圧が所定の目標出力電圧値Vrefとなるように制御する。
【0049】
次に、制御部15の動作について説明する。
図3は、本実施形態における制御部15による補正対象判定処理のフローチャートを示す図である。
図4は、本実施形態における制御部15による入力電流補正処理のフローチャートを示す図である。
【0050】
概略的には、制御部15は、補正対象判定処理を行う。補正対象判定処理は、正規化演算部33の補正係数k3の補正を行うか否かを判定する。また、補正対象判定処理は、制御部15が補正係数k3の補正を行うと判定した場合、交流電源の交流電圧における前半の半周期の補正係数と交流電源の交流電圧における後半の半周期の補正係数のどちらの補正係数を補正対象とするか判定する処理である。
制御部15は、補正対象判定処理を行った後、入力電流補正処理を行う。入力電流補正処理は、補正対象判定処理において判定した補正対象の補正係数を補正する処理である。
【0051】
まず、制御部15の補正対象判定処理の動作について説明する。
ステップS101において、制御部15は、更新サイクル毎に、上述したフィードバック制御を行う。このフィードバック制御の過程で、制御部15は、VPI差分判定部44において、電圧誤差信号生成部21で交流電源の交流電圧の半周期毎に生成された電圧誤差信号VPIを操作量として取得する。VPI差分判定部44は、交流電源の交流電圧における前半の半周期(以下、「前半の半周期」という。)で取得した電圧誤差信号VPIと交流電源の交流電圧における後半の半周期(以下、「後半の半周期」という。)で取得した電圧誤差信号VPIとの差分値の絶対値を算出する。なお、前半の半周期、つまり交流電圧が正である場合に取得した電圧誤差信号VPIを電圧誤差信号VPI(+)とする。一方、後半の半周期、つまり交流電圧が負である場合に取得した電圧誤差信号VPIを電圧誤差信号VPI(−)とする。
【0052】
ステップS102において、VPI差分判定部44は、算出した絶対値が第1の規定値を超えるか否かの判定を行う。算出した絶対値が第1の規定値を超える場合(ステップS102:YES)、VPI差分判定部44は、ステップS103に進む。一方、算出した絶対値が第1の規定値以下の場合(ステップS102:NO)、VPI差分判定部44は、ステップS106に進む。なお、第1の閾値は、正側の入力電流の計測回路と負側の入力電流の計測回路との部品のばらつきなどの誤差の相違に応じて予め決定される値である。本実施形態では、第1の規定値は、上記計測回路の部品のばらつきに起因した高調波電流が許容範囲の限界値となるときの上記絶対値に相当する。従って、ステップS102において、上記絶対値が第1の規定値を超えることは、前述した入力電流の1周期における正側と負側との波形のアンバランスに起因した高調波電流が許容範囲を超えることを意味する。逆に、上記絶対値が第1の規定値以下であることは、上記波形のアンバランスに起因する高調波電流が許容範囲内であることを意味する。ただし、この例に限定されず、高調波電流を抑制することができることを限度として、第1の規定値は任意に設定し得る。
【0053】
ステップS103において、VPI差分判定部44は、電圧誤差信号VPI(+)と電圧誤差信号VPI(−)とのどちらが大きい値か判定する。具体的には、例えば、VPI差分判定部44は、電圧誤差信号VPI(+)から電圧誤差信号VPI(−)を減算する。VPI差分判定部44は、減算した値が正ならば(ステップS103:YES)、電圧誤差信号VPI(−)より電圧誤差信号VPI(+)の方が大きいと判定し、ステップS104に進む。一方、VPI差分判定部44は、減算した値が負ならば(ステップS103:NO)、電圧誤差信号VPI(−)より電圧誤差信号VPI(+)の方が小さいと判定し、ステップS105に進む。
【0054】
ステップS104において、制御部15は、正規化演算部33において、前半の半周期に入力電流計測値Iinに乗じるk3を初期値に設定し、後半の半周期に入力電流計測値Iinに乗じるk3を、例えば、1.0に設定する。なお、前半の半周期に入力電流計測値Iinに乗じるk3をK
posとし、後半の半周期に入力電流計測値Iinに乗じるk3をK
negとする。制御部15は、K
posとK
negとを任意の値に設定後、補正対象判定処理を終了する。初期値は、予め実験等で決定されている補正係数の値である。
【0055】
ステップS105において、制御部15は、正規化演算部33で、前半の半周期に入力電流計測値Iinに乗じるK
posをある定数、例えば、1.0に設定し、後半の半周期に入力電流計測値Iinに乗じるK
negを初期値に設定する。制御部15は、K
posとK
negとを設定後、補正対象判定処理を終了する。
【0056】
ステップS106において、制御部15は、正規化演算部33において、前半の半周期に入力電流計測値Iinに乗じるK
posと後半の半周期に入力電流計測値Iinに乗じるK
negとをある定数、例えば、1.0に設定し、補正対象判定処理を終了する。
【0057】
次に、制御部15の入力電流補正処理の動作について説明する。
ステップS201において、制御部15は、
図4に示すように、タイマーを有し、後述するステップS202〜ステップ205のいずれかの処理を実行してから規定時間が経過したか否かの判定を行う。制御部15は、規定時間が経過した場合(ステップS201:YES)、ステップS202に進む。一方、制御部15は、規定時間が経過していない場合(ステップS201:NO)、ステップS206に進む。ここで、規定時間は、制御部15が正規化演算部33において補正を行った補正係数k3を確定することができる時間であり、規定時間を超えると、再度補正係数k3を補正する。なお、入力電流補正処理の初回時においては、後述するステップS202〜ステップ205のいずれの処理も実行していないため、制御部15は、ステップS202に進む。
【0058】
ステップS202において、制御部15は、規定値判定回数nを0(ゼロ)に設定する。ここで、規定値判定回数nは、制御部15が正規化演算部33において補正を行った補正係数k3を確定するために用いられる値であり、正しく補正された補正係数k3を用いてフィードバック制御を行った回数を示す。なお、規定値判定回数nの初期値は、0(ゼロ)である。
ステップS203において、制御部15は、補正対象、つまり補正を行う補正係数が、K
neg又はK
posのいずれかであるか判定する。具体的には、制御部15は、補正対象判定処理において、補正対象が正側である、つまりステップS104の処理を実行した場合(ステップS203:YES)、補正を行う補正係数はK
posであると判定し、ステップS204に進む。一方、制御部15は、補正対象判定処理において、補正対象が負側である、つまりステップS105の処理を実行した場合(ステップS203:NO)、補正を行う補正係数はK
negであると判定し、ステップS205に進む。
【0059】
ステップS204において、制御部15は、補正係数がK
posであると判定した場合、定数をK
posに乗算または、加算することで、K
posを増加させる。上記定数は、例えば、予め実験などから設定される。
ステップS205において、制御部15は、補正係数がK
negであると判定した場合、定数をK
negに乗算または、加算することで、K
negを増加させる。
【0060】
ステップS206において、制御部15は、ステップS204又はステップS205で補正係数を増加させた後、上述したフィードバック制御を行う。このフィードバック制御の過程で、制御部15は、VPI差分判定部44において、電圧誤差信号生成部21で交流電源の交流電圧の半周期毎に生成された電圧誤差信号VPIを操作量として取得する。VPI差分判定部44は、前半の半周期で取得した電圧誤差信号VPIと後半の半周期で取得した電圧誤差信号VPIとの差分値の絶対値を算出する。
【0061】
ステップS207において、制御部15は、VPI差分判定部44で、算出した絶対値が第1の規定値を超えるか否かの判定を行う。制御部15は、算出した絶対値が第1の規定値以下の場合(ステップS207:YES)、補正した補正係数の値が適切(即ち、高調波電流が許容範囲内)であると判定し、ステップS208に進む。一方、制御部15は、算出した絶対値が第1の規定値を超える場合(ステップS207:NO)、補正した補正係数の値が適切ではない(即ち、高調波電流が許容範囲外)と判定し、ステップS209に進む。
【0062】
ステップS208において、制御部15は、ステップS207で、補正した補正係数の値が適切であると判定された場合、規定値判定回数nを1インクリメントする。制御部15が、規定値判定回数nを1インクリメントした後、ステップS209に進む。
【0063】
ステップS209において、制御部15は、規定値判定回数nが規定値以上か否かを判定する。制御部15は、期待値判定回数nが第2の規定値以上である場合(ステップS209:YES)、ステップS210に進む。一方、制御部15は、期待値判定回数nが第2の規定値未満である場合(ステップS209:NO)、ステップS201に進む。第2の規定値は、補正した補正係数を確定する期待値判定回数nの閾値である。
【0064】
ここで、第2の規定値が大きい程、ステップS207において上記絶対値が第1の規定値以下であると判定される回数が増え、上記絶対値を第1の規定値以下にする補正係数の精度が高まる。このことは、前述した入力電流の1周期における正側と負側との波形のアンバランスを安定的に改善できることを意味する。従って、本実施形態では、第2の規定値は、必要とする補正係数の精度に応じて設定される。ただし、この例に限定されず、上記波形のアンバランスを改善し得ることを限度として、第2の規定値は任意に設定し得る値である。
ステップS210において、制御部15は、ステップS204又はステップS205で補正した補正係数(K
neg又はK
pos)を確定し、入力電流補正処理を終了する。
【0065】
上述したように、本実施形態によれば、制御部15は、前半の半周期で生成した電圧誤差信号(+)と後半の半周期で生成した電圧誤差信号(−)との差分値を測定し、その測定した差分値が第1の規定値以上を超える場合、入力電流のバランスが取れるように、半周期毎に補正係数k3の補正を行う。
図5は、補正係数の補正後の入力電圧と入力電流との波形の一例を示す図である。
図5に示すように、制御部15は、上記差分値に基づいて補正係数k3を補正することで入力電流波形が前半の半周期と後半の半周期とで正負対象になる。
これにより、入力電流の正側と負側とで別々の回路になっている入力電流計測値Iinの計測回路において、制御部15は、それぞれの計測回路がもつ部品のばらつきなどの誤差に相違によって発生する入力電流波形のアンバランスを抑制し、高調波電流が増加することを抑制することができる。
【0066】
上述した実施形態における制御部15をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0067】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更等も含まれる。
また、本実施形態においては、交流電源にダイオードブリッジ回路等の全波整流回路を接続しないブリッジレスブースト方式のPFC制御について説明したが、本発明を、ダイオードブリッジ回路を用いるダイオードブリッジ方式について適用することも勿論可能である。