特許第6226788号(P6226788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6226788不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226788
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/11582 20170101AFI20171030BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20171030BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20171030BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   H01L27/11582
   H01L29/78 371
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-57971(P2014-57971)
(22)【出願日】2014年3月20日
(65)【公開番号】特開2015-185557(P2015-185557A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】317006041
【氏名又は名称】東芝メモリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】輿石 健二
(72)【発明者】
【氏名】片岡 淳司
【審査官】 安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−225946(JP,A)
【文献】 特開2003−282707(JP,A)
【文献】 特開2011−129690(JP,A)
【文献】 特開2006−060138(JP,A)
【文献】 特開2012−069697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/115−11597
H01L 29/788−792
H01L 21/336
H01L 21/768
H01L 21/306−308
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線層と、
第1方向において前記配線層と離間した積層体であって、
前記第1方向に交互に積層された複数の電極膜と複数の電極間絶縁膜とを含むメモリ部と、
前記メモリ部と前記配線層との間に設けられた選択ゲートと、
を含む積層体と、
前記配線層と前記積層体との間に設けられた絶縁層と、
前記第1方向に前記積層体を貫通する半導体ピラーと、
前記半導体ピラーの内側に設けられた芯部絶縁膜と、
前記複数の電極膜のそれぞれと前記半導体ピラーとの間に設けられた電荷蓄積層と、
前記半導体ピラーと前記配線層とを接続する第1導電部と、
を備え、
前記絶縁層は、
第1部分と、
前記第1部分と前記積層体との間に設けられた第2部分と、
を含み、
前記半導体ピラー、前記芯部絶縁膜及び前記第1導電部は、前記積層体及び前記絶縁層を前記第1方向において貫通する貫通ホールに設けられ、
前記第1部分における前記貫通ホールの内径は、前記第2部分における前記貫通ホールの内径よりも大きい不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1導電部は、
第1領域と、
前記第1領域と前記半導体ピラーとの間に設けられた第2領域と、
を含み、
前記第1領域の前記第1方向に対して垂直な第2方向に沿った幅は、前記第2領域の前記第2方向に沿った幅よりも広い請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1導電部と前記絶縁層との間に設けられた第1絶縁膜をさらに備え、
前記第1絶縁膜は、
第1膜部と、
前記第1膜部と前記電荷蓄積層との間に設けられた第2膜部と、
を含み、
前記第1膜部の前記第1方向に対して垂直な第2方向に沿った幅は、前記第2膜部の前記第2方向に沿った幅よりも広い請求項1または2に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1部分の前記第1方向に沿った長さは、前記第2部分の前記第1方向に沿った長さの0.25倍以上である請求項1〜3のいずれか1つに記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1部分の密度は、前記第2部分の密度よりも低い請求項1〜4のいずれか1つに記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1部分の希フッ酸によるエッチングレートは、前記第2部分の希フッ酸によるエッチングレートよりも高い請求項のいずれか1つに記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項7】
第1方向において交互に積層された複数の電極膜及び複数の電極間絶縁膜の上に選択ゲートを積層して積層体を形成し、
前記積層体の上に第1絶縁部を形成し、
前記第1絶縁部の上に前記第1絶縁部の希フッ酸によるエッチングレートよりも希フッ酸によるエッチングレートが高い第2絶縁部を形成し、
前記第1方向において、前記積層体と前記第1絶縁部と前記第2絶縁部とを貫通する貫通ホールを形成し、
前記第1絶縁部と前記第2絶縁部とを希フッ酸を用いてエッチングして、前記貫通ホールのうちの前記第2絶縁部を貫通する部分の幅を、前記貫通ホールのうちの第1絶縁部を貫通する部分の幅よりも大きくし、
前記貫通ホールの内側面に絶縁膜を形成し、
前記貫通ホールの残余の空間に半導体膜を形成し、
前記半導体膜の内側に芯部絶縁膜を埋め込む不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元構造の不揮発性半導体記憶装置がある。例えば、電極膜と絶縁膜とが交互に複数積層された積層体に貫通ホールが形成され、その貫通ホールの側壁に電荷蓄積層を介してチャネルとなる半導体ピラーが設けられる。このような不揮発性半導体記憶装置においては、さらに特性のばらつきを抑制することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−225946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性のばらつきを抑制した不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、配線層と、積層体と、絶縁層と、半導体ピラーと、芯部絶縁膜と、電荷蓄積層と、第1導電部と、を含む不揮発性半導体記憶装置が提供される。前記積層体は、第1方向において前記配線層と離間し、メモリ部と選択ゲートとを含む。前記メモリ部は、前記第1方向に交互に積層された複数の電極膜と複数の電極間絶縁膜とを含む。前記選択ゲートは、前記メモリ部と前記配線層との間に設けられる。前記絶縁層は、前記配線層と前記積層体との間に設けられる。前記半導体ピラーは、前記第1方向に前記積層体を貫通する。前記芯部絶縁膜は、前記半導体ピラーの内側に設けられる。前記電荷蓄積層は、前記複数の電極膜のそれぞれと前記半導体ピラーとの間に設けられる。前記第1導電部は、前記半導体ピラーと前記配線層とを接続する。前記絶縁層は、第1部分と、前記第1部分と前記積層体との間に設けられた第2部分と、を含む。前記半導体ピラー、前記芯部絶縁膜及び前記第1導電部は、前記積層体及び前記絶縁層を前記第1方向において貫通する貫通ホールに設けられる。前記第1部分における前記貫通ホールの内径は、前記第2部分における前記貫通ホールの内径よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を示す模式的断面図である。
図2】第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を示す模式的斜視図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を示す模式的断面図である。
図4図4(a)〜図4(c)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程の一部を示す模式図である。
図5図5(a)〜図5(c)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程の一部を例示す模式図である。
図6】第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する模式的断面図である。
図2は、第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する模式的斜視図である。
なお、図2においては、図を見易くするために、導電部分のみを示し、絶縁部分は図示を省略している。
【0009】
まず、図1及び図2を用いて、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の概要の一例を説明する。
本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置110は、3次元積層型のフラッシュメモリであり、不揮発性半導体記憶装置110においては、セルトランジスタが3次元マトリクス状に配列される。また、各セルトランジスタには電荷蓄積層が設けられており、この電荷蓄積層に電荷を蓄積させることにより、各セルトランジスタがデータを記憶するメモリセルとして機能する。
【0010】
図1に表したように、不揮発性半導体記憶装置110は、積層体MLと、絶縁層16と、配線層21と、半導体ピラーSPと、電荷蓄積層63と、第1導電部31と、を含む。
【0011】
積層体MLは、第1方向において配線層21と離間している。絶縁層16は、配線層21と積層体MLとの間に設けられる。配線層21、絶縁層16、及び積層体MLは、第1方向において積層されている。絶縁層16には、例えば、酸化シリコンが用いられる。
【0012】
配線層21と積層体MLとの積層方向(第1方向)をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向に対して垂直で、X軸方向に対して垂直な1つの方向をY軸方向とする。
【0013】
不揮発性半導体記憶装置110においては、例えば、基板11が設けられる。基板11には、例えば、単結晶シリコン等の半導体が用いられる。なお、基板11においては、メモリセルが形成されるメモリアレイ領域と、メモリセルを駆動する回路領域とが設定されている。図1及び図2は、メモリアレイ領域を例示しており、回路領域の図示は省略されている。図2に表したように、配線層21は、ソース線SL及びビット線BLを含む。
【0014】
メモリアレイ領域において、基板11の主面11a上に、積層体MLが形成されている。この例では、基板11の主面11aの上に層間絶縁膜11bが設けられ、その上にバックゲートBGが設けられ、その上に積層体MLが設けられる。
【0015】
積層体MLは、メモリ部MPと、選択ゲートSGと、を含む。選択ゲートSGは、メモリ部MPと配線層21との間に設けられる。選択ゲートSGには、任意の導電材料を用いることができ、例えばポリシリコンを用いることができる。選択ゲートSGは、導電膜が一定の方向に沿って分断されて形成されたものであり、この例では選択ゲートSGは、Y軸方向に沿って分断されている。すなわち、選択ゲートSGは、X軸方向に延在する複数本の配線状の導電部材である。
【0016】
メモリ部MPにおいては、複数の電極膜WLと複数の電極間絶縁膜14とがZ軸方向に交互に積層されている。
【0017】
電極膜WLには、任意の導電材料を用いることができ、例えば、不純物が導入されて導電性が付与されたアモルファスシリコンまたはポリシリコンを用いることができ、また、金属及び合金なども用いることができる。電極膜WLには、回路領域に形成されたドライバ回路(図示せず)によって所定の電位が印加され、不揮発性半導体記憶装置110のワード線として機能する。電極膜WLは、例えばX−Y平面に平行な導電膜であり、例えば、消去ブロック単位で分断される。なお、電極膜WLも、選択ゲートSGと同様に、例えばX軸方向に延在するように分断されていても良い。
【0018】
半導体ピラーSPは、積層体MLをZ軸方向において貫通する。例えば、積層体MLに、Z軸方向に延びる複数の貫通ホールTHが形成され、その内部の側面に絶縁膜が設けられ、その内側の空間に半導体材料が埋め込まれて半導体ピラーSPとなる。半導体ピラーSPには、例えば、アモルファスシリコンが用いられる。
【0019】
半導体ピラーSPは、X−Y平面に複数設けられ、本具体例では、Y軸方向に隣接して並ぶ2つの半導体ピラーSPは1つのペアとなる。すなわち、不揮発性半導体記憶装置110は、第1半導体ピラーSP1と第2半導体ピラーSP2とを基板11の側で電気的に接続する第1接続部CP1(接続部CP)をさらに含む。すなわち、第1及び第2半導体ピラーSP1及びSP2は、第1接続部CP1によって接続され、U字形状の1つのNANDストリングとして機能する。第2半導体ピラーSP2において、Y軸方向において第1半導体ピラーSP1とは反対の側で隣接する第3及び第4半導体ピラーSP3及びSP4とが第2接続部CP2によって接続され、U字形状の別のNANDストリングとして機能する。このように、2つずつの半導体ピラーSPがペアとなる。
【0020】
そして、例えば、2つのU字形状のNANDストリングにおいて内側で隣接する2本の半導体ピラー(半導体ピラーSP2及びSP3)はソース線SLに接続され、外側の2本の半導体ピラー(半導体ピラーSP1及びSP4)は、貫通電極V1及びV2によってそれぞれ同一のビット線BLに接続されている。ただし、実施形態においては、これに限らず、それぞれの半導体ピラーSPが独立していても良い。この場合には、半導体ピラーSPのそれぞれは、接続部CPによって接続されない。
【0021】
例えば、半導体ピラーSP1及びSP4に対応する電極膜WLが共通に接続され、半導体ピラーSP2及びSP3に対応する電極膜WLが共通に接続される。電極膜WLは、X軸方向に対向して櫛歯状に互いに組み合わされた、交叉指形電極(inter digital electrodeまたはmulti-finger electrode)の構造を有することができる。
【0022】
例えば、X軸方向における両端において、半導体ピラーSP1及びSP4に対応する電極膜WLと、半導体ピラーSP2及びSP3に対応する電極膜WLと、は、基板11に設けられる周辺回路と電気的に接続される。例えば、X軸方向のそれぞれの端で、それぞれの電極膜WLは周辺回路と接続される。
【0023】
これにより、半導体ピラーSP1と半導体ピラーSP2とに対応する同層のメモリセルは互いに独立して動作でき、そして、半導体ピラーSP3と半導体ピラーSP4とに対応する同層のメモリセルは互いに独立して動作できる。
【0024】
なお、半導体ピラーSP1及びSP4に対応する電極膜WLと、半導体ピラーSP2及びSP3に対応する電極膜WLと、の組み合せを1つの消去ブロックとすることができ、消去ブロックごとに、それぞれの電極膜が分断される。なお、各消去ブロックに含まれる半導体ピラーのX軸方向及びY軸方向における数は任意である。
【0025】
図3(a)及び図3(b)は、第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する模式的断面図である。
図3(a)は、図1に表したメモリ部MPに対応する部分を拡大して例示している。図3(b)は、図1に表した絶縁層16に対応する部分を拡大して例示している。
【0026】
例えば、半導体ピラーSPを、Z軸方向に直交する平面で切断したときの断面は、環状である。図3(a)に表したように、半導体ピラーSPの内側には、芯部68が埋めこまれている。芯部68には、例えば、酸化シリコンが用いられる。
【0027】
電荷蓄積層63は、複数の電極膜WLのそれぞれと半導体ピラーSPとの間、及び、複数の電極間絶縁膜14のそれぞれと半導体ピラーSPとの間に設けられる。さらに、複数の電極膜WLのそれぞれと電荷蓄積層63との間、及び、複数の電極間絶縁膜14のそれぞれと電荷蓄積層63との間に、第1メモリ絶縁膜61aが設けられる。また、半導体ピラーSPと電荷蓄積層63との間に第2メモリ絶縁膜61bが設けられる。電荷蓄積層63には、例えばシリコン窒化膜を用いられる。第1メモリ絶縁膜61a及び第2メモリ絶縁膜61bには、例えば酸化シリコンが用いられる。
【0028】
例えば、半導体ピラーSPと電極膜WLとの間に電界が印加される。これにより、電荷蓄積層63は、電化を蓄積または放出し、記憶層として機能する。電極間絶縁膜14は、電極膜WLどうしを絶縁する層間絶縁膜として機能する。電極膜WLと電荷蓄積層63との間に設けられる第1メモリ絶縁膜61aはブロック絶縁膜として機能し、半導体ピラーSPと電荷蓄積層63との間に設けられる第2メモリ絶縁膜61bはトンネル絶縁膜として機能する。半導体ピラーSPと電極膜WLとが対向する部分の近傍領域が1つのメモリセルMCとなる。
【0029】
図3(b)に表したように、芯部68と、配線層21との間に、導電層18が設けられる。導電層18は、芯部68と配線層21とを接続し、例えば柱状である。配線層21は、例えば、W膜21b及びTiN膜21aと、層間絶縁膜19と、を含む。W膜21bと導電層18との間にTiN膜21aが設けられる。
【0030】
不揮発性半導体記憶装置110においては、半導体ピラーSPと配線層21とを接続する第1導電部31が設けられる。第1導電部31は、導電層18と絶縁層16との間に設けられる。第1導電部31には、例えば、アモルファスシリコンが用いられる。第1導電部31は、例えば、リン(P)を含むソースドレイン拡散領域である。
【0031】
第1導電部31をX−Y平面に平行な平面で切断した断面の形状は、環状である。第1導電部31は、X−Y平面において導電層18を囲うように設けられている。Z軸方向と垂直な第2方向に沿った第1導電部31の幅R31(すなわち第1導電部31の外径)は、第2方向に沿った半導体ピラーSPの幅RSP(すなわち半導体ピラーSPの外径)よりも広い。
【0032】
この例では、第1導電部31は、第1領域31aと、第2領域31bと、を含む。第2領域31bは、Z軸方向において、第1領域31aと半導体ピラーSPとの間の位置に設けられる。第2方向に沿った第1領域31aの幅R31a(すなわち第1領域31aの外径)は、第2方向に沿った第2領域31bの幅R31b(すなわち第2領域31bの外径)よりも広い。
【0033】
第1導電部31と絶縁層16との間に第1絶縁膜64が設けられている。第1絶縁膜64は、電荷蓄積層63と同時に形成され、電荷蓄積層63と連続して設けられる。第1絶縁膜64は、X−Y平面において、第1導電部31を囲うように設けられる。第1絶縁膜64は、例えば、窒化シリコン膜である。この例では、第1絶縁膜64は、第1膜部64aと第2膜部64bとを含む。第2膜部64bは、Z軸方向において、第1膜部64aと電荷蓄積層63との間の位置に設けられる。第2方向に沿った第1膜部64aの幅R64a(すなわち第1膜部64aの外径)は、第2方向に沿った第2膜部64bの幅R64bよりも広い。
【0034】
絶縁層16は、第1部分16aと第2部分16bとを含む。第2部分16bは、第1部分16aと積層体MLとの間に設けられる。第1部分16aの第2方向に沿った幅は、第2部分16bの第2方向に沿った幅よりも狭い。
【0035】
第1部分16aのZ軸方向に沿った長さは、第2部分16bのZ軸方向に沿った長さの0.25倍以上である。第1部分16aのZ軸方向に沿った長さ(高さ)は、第2部分16bのZ軸方向に沿った長さ(高さ)よりも長いことが好ましい。
【0036】
第1部分16aに用いられる材料は、第2部分16bに用いられる材料とは、異なる。例えば、第1部分16aの密度は、第2部分16bの密度よりも低い。例えば、第1部分16aの希フッ酸によるエッチングレートは、第2部分16bの希フッ酸によるエッチングレートよりも高い。これにより、例えば、後述する製造工程において、前述のように第1膜部64aの外径を、第2膜部64bの外径よりも大きくすることができる。後述する芯部68を埋め込む工程において、埋め込みをしやすくなる。
【0037】
図4(a)〜図4(c)及び図5(a)〜図5(c)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程の一部を例示する模式図である。
【0038】
基板11の上に、層間絶縁膜11b及びバックゲートBGを形成する。その上に、電極間絶縁膜14と電極膜WLとを交互に積層する。さらに、その上に選択ゲートSGを積層し、積層体MLを形成する。
【0039】
図4(a)に表したように、積層体MLの上に、絶縁層16を形成する。例えば、積層体MLの上に、第2部分16b(第1絶縁部)を積層し、その上に、第1部分16a(第2絶縁部)を積層する。その後、フォトリソグラフィとRIE(Reactive Ion Etching)法によって、貫通ホールTHを形成する。貫通ホールTHは、積層体MLと絶縁層16とをZ軸方向(積層体MLから第1絶縁部へ向かう方向)において貫通する。
【0040】
その後、例えば、希フッ酸(DHF)を用いて、ウェットエッチングを行う。前述のように、例えば、第1部分16aのエッチングレートと、第2部分16bのエッチングレートとは、異なる。これにより、貫通ホールTHのうちの第2絶縁部(第1部分16a)を貫通する部分の幅を、貫通ホールTHのうちの第1絶縁部(第2部分16b)を貫通する部分の幅よりも大きくする。
【0041】
図4(b)に表したように、その後、電荷蓄積層63及び第1絶縁膜64となる絶縁膜64fを貫通ホールTHの内側面に積層する。絶縁膜64の上に、半導体ピラーSP及び第1導電部31となる半導体膜31fを積層する。
【0042】
図4(c)に表したように、その後、半導体膜31fの内側に芯部68となる芯部絶縁膜68fを埋め込む。埋め込みには、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法が用いられる。このとき、前述のように、内径Rt2よりも内径Rt1の方が大きい。これにより、芯部絶縁膜68fの埋め込み性が向上する。
【0043】
図5(a)〜図5(c)は、図4(a)〜図4(c)の後の工程を例示している。図5(a)に表したように、芯部絶縁膜68fの上部をエッチバックする。このとき、例えば、芯部絶縁膜68fの上端68eが選択ゲートSGの上端SGeよりも上側となるように、リセス(後退)させる。これにより芯部68が形成される。その後、導電層18となる半導体層18fを、芯部68の上に埋め込む。
【0044】
半導体層18fには、不純物(P)がドープされており、熱処理を行うことで、不純物が半導体膜31fへ拡散する。これにより、不純物がドープされたソースドレイン拡散領域(第1導電部31)が形成される。
【0045】
図5(c)に表したように、その後、半導体層18f、半導体膜31f及び絶縁膜64fの上部が除去され、その上に配線層21が形成される。層間絶縁膜19を堆積し、層間絶縁膜19に溝20を形成し、溝20にTiN膜21aとW膜21bとを埋め込む。
このようにして、図1に例示した不揮発性半導体記憶装置110が製造される。
【0046】
実施形態においては、このように、エッチングレートが互いに異なる第1部分16a及び第2部分16bを設ける。これにより、前述したように、第1部分16aにおける貫通ホールTHの内径Rt1(第2方向に沿った長さ)は、第2部分16bにおける貫通ホールTHの内径Rt2よりも大きくなる。すなわち、X軸方向に沿った第1導電部31の幅R31は、X軸方向に沿った半導体ピラーSPの幅RSPよりも広くなる。このため、図4(c)において説明したように、芯部絶縁膜68fの埋め込み性を向上させることができる。
【0047】
これに対して、絶縁層16において、第1部分16a及び第2部分16bを設けない参考例の不揮発性半導体記憶装置がある。このような不揮発性半導体装置の製造工程においては、貫通ホールTHの形状は、上部に向かって(積層体MLから絶縁層16へ向かう方向にそって)内径が小さくなりやすい。すなわち、貫通ホールTHの形状は、逆テーパ形状となりやすい。この場合、芯部絶縁膜68fの埋め込み工程の後に、貫通ホールTH内に空洞(ボイド)が形成される場合がある。
【0048】
このようなボイドが形成されると、図5(a)において説明した芯部絶縁膜68fの上部をエッチバックする工程において、芯部68の上端68eの位置が変動しやすい。すなわち、その後に形成される半導体層18fと、選択ゲートSGと、の間のZ軸方向に沿った距離のばらつきが大きくなる。第1導電部31(ソースドレイン拡散領域)は、半導体層18fの位置に応じて形成されるため、ソースドレイン拡散領域と選択ゲートSGとの間の距離のばらつきが大きくなる。このため、選択ゲートSGを含むトランジスタの特性のばらつきが大きくなってしまう。
【0049】
例えば、ボイドの形成を避けるために、芯部絶縁膜68fの埋め込みを2回以上に分けて行う別の参考例の方法がある。この場合、芯部絶縁膜68fの埋め込みとエッチバックを繰り返すため、製造効率が低下してしまう。
【0050】
これに対して、実施形態においては、芯部絶縁膜68fの埋め込み性が向上することで、1回の埋め込みで、芯部68の上端68eの位置のばらつきが低減される。これにより、選択ゲートSGにおけるトランジスタの特性のばらつきを抑制することができる。
【0051】
さらに、実施形態においては、貫通ホールTHの内径を大きくすることで、電極の径を大きくすることができ、電気抵抗を低減することができる。配線層21を形成する際の、配線層21と貫通ホールTHとの位置合わせにおいて、プロセスマージンを大きくすることができる。
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する模式的断面図である。
不揮発性半導体記憶装置111においても、積層体ML、絶縁層16、配線層21、半導体ピラーSP、電荷蓄積層63、第1導電部31及び芯部68などが設けられる。
【0052】
図6は、不揮発性半導体記憶装置111の絶縁層16に対応する部分を拡大して例示している。
図6に表したように、不揮発性半導体記憶装置111においては、芯部68の上端68e(芯部68と導電層18との境界)のZ軸方向における位置は、第1部分16aと第2部分16bとの境界のZ軸方向における位置よりも上部に位置する。すなわち、上端68eのZ軸方向における位置は、第2部分16bのZ軸方向における位置と配線層21のZ軸方向における位置との間に位置する。
【0053】
不揮発性半導体記憶装置111においても、例えば、第1絶縁膜64は、第1膜部64aと第2膜部64bとを含む。第2方向に沿った第1膜部64aの幅R64a(すなわち第1膜部64aの外径)は、第2方向に沿った第2膜部64bの幅R64bよりも広い。第1部分16aの第2方向に沿った幅は、第2部分16bの第2方向に沿った幅よりも狭い。これにより、芯部絶縁膜68fの埋め込み性が向上し、選択ゲートSGにおけるトランジスタの特性のばらつきを抑制することができる。
【0054】
実施形態によれば、特性のばらつきを抑制した不揮発性半導体装置及びその製造方法が提供できる。
【0055】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0056】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、配線層、メモリ部、選択ゲート、半導体ピラー、絶縁層、導電部、電荷蓄積層などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0057】
その他、本発明の実施の形態として上述した不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0058】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
11…基板、 11a…主面、 11b…層間絶縁膜、 14…電極間絶縁膜、 16…絶縁層、 16a…第1部分(第2絶縁部)、 16b…第2部分(第1絶縁部)、 18…導電層、 18f…半導体層、 19…層間絶縁膜、 20…溝、 21…配線層、 21a…TiN膜、 21b…W膜、 31…第1導電部、 31a…第1領域、 31b…第2領域、 31f…半導体膜、 61a…メモリ絶縁膜、 61b…メモリ絶縁膜、 63…電荷蓄積層、 64…第1絶縁膜、 64a…第1膜部、 64b…第2膜部、 64f…絶縁膜、 68…芯部、 68e…上端、 68f…芯部絶縁膜、 110、111…不揮発性半導体記憶装置、 BG…バックゲート、 BL…ビット線、 CP…接続部、 CP1、CP2…第1、2接続部、 MC…メモリセル、 ML…積層体、 MP…メモリ部、 R31、R31a、R31b、R64a、R64b、RSP…幅、 Rt1、Rt2…内径、 SG…選択ゲート、 SGe…上端、 SL…ソース線、 SP…半導体ピラー、 SP1〜SP4…第1〜第4半導体ピラー、 TH…貫通ホール、 V1、V2…貫通電極、 WL…電極膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6