(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可否判定部は、前記本人認証が成立してから前記車両の所定機能の実行可否を判定するまでの時間が所定時間未満である場合に、前記検知結果を有効であると判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のアルコールインタロックシステム。
前記撮像部および前記アルコールセンサが前記携帯端末の上部に配置されている場合に、操作者が前記アルコールセンサに呼気を吹きかける際に前記携帯端末の上下を反転させて把持することを案内する案内部を備える、
ことを特徴とする請求項6に記載のアルコールインタロックシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術に係る電子キーによれば、電子キーの所持者に代わって他の者の呼気を検知させる、所謂なりすましが容易に行えてしまうため、検査の信頼性を確保することができないという問題がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車両始動の事前にアルコール検査を行なうことができるとともに、検査対象者のなりすましを防止することが可能なアルコールインタロックシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係るアルコールインタロックシステムは、呼気に基づきアルコールを検知するアルコールセンサ(例えば、実施形態でのアルコールセンサ26)を有する携帯端末(例えば、実施形態での携帯端末11)と、前記アルコールセンサの検知結果に基づいて車両(例えば、実施形態での車両1)の所定機能(例えば、実施形態での内燃機関34の始動)の実行可否を判定する可否判定部(例えば、実施形態での車両制御部33)と、を備えるアルコールインタロックシステムであって、前記携帯端末は、操作者が前記アルコールセンサに呼気を吹きかける際の口の画像を撮像する撮像部(例えば、実施形態での端末側カメラ25)と、前記撮像部により予め撮像された前記口の画像を基準画像として記憶する記憶部(例えば、実施形態での端末記憶部28)と、前記記憶部に記憶された前記基準画像と、該基準画像の撮像後に操作者が前記アルコールセンサに呼気を吹きかける際に前記撮像部により撮像された口の画像とを比較することによって、本人認証を行なう認証部(例えば、実施形態での端末制御部27)と、前記認証部により前記本人認証が成立した際の前記呼気に基づく前記検知結果を有効であると判定する判定部(例えば、実施形態での端末制御部27が兼ねる)と、を備え
、前記記憶部は、前記基準画像が撮像された際の時間情報を記憶し、前記判定部は、前記記憶部に記憶された前記時間情報が、前記本人認証が成立した際の時間情報よりも所定時間(例えば、実施形態での第2所定時間)以上前の時間である場合に、前記検知結果を有効であると判定する。
【0008】
(
2)上記(1
)に記載のアルコールインタロックシステムでは、前記可否判定部は、前記本人認証が成立してから前記車両の所定機能の実行可否を判定するまでの時間が所定時間(例えば、実施形態での第3所定時間)未満である場合に、前記検知結果を有効であると判定する。
【0009】
(
3)上記(1)
または(2)に記載のアルコールインタロックシステムは、前記携帯端末は、該携帯端末の位置情報を検出する位置検出部(例えば、実施形態での測位信号受信機24)を備え、前記記憶部は、前記基準画像が撮像された際の前記位置情報を記憶し、前記判定部は、前記本人認証が成立した際の前記基準画像の前記位置情報が所定位置である場合に、前記検知結果を有効であると判定する。
【0010】
(
4)上記(1)から(
3)の何れか1つに記載のアルコールインタロックシステムでは、前記記憶部は、前記撮像部により予め撮像された複数の異なる形状の前記口の複数の画像を複数の前記基準画像として記憶し、前記判定部は、前記記憶部に記憶された前記複数の前記基準画像と、前記複数の前記基準画像の撮像後に操作者が前記アルコールセンサに呼気を吹きかける際に前記撮像部により撮像された口の複数の画像との全てにおいて前記本人認証が成立した場合に、前記検知結果を有効であると判定する。
【0011】
(
5)上記(
4)に記載のアルコールインタロックシステムでは、前記口の複数の画像は、少なくとも張唇性の音声の発音時における口の形状で前記撮像部により撮像された画像を有する。
【0012】
(
6)上記(1)から(
5)の何れか1つに記載のアルコールインタロックシステムでは、前記撮像部および前記アルコールセンサは隣接している。
【0013】
(
7)上記(
6)に記載のアルコールインタロックシステムは、前記撮像部および前記アルコールセンサが前記携帯端末の上部に配置されている場合に、操作者が前記アルコールセンサに呼気を吹きかける際に前記携帯端末の上下を反転させて把持することを案内する案内部(例えば、実施形態での端末制御部27が兼ねる)を備える。
【発明の効果】
【0014】
上記(1)に記載の態様に係るアルコールインタロックシステムによれば、アルコールセンサおよび認証部を携帯端末に備えるので、携帯端末を所持する運転者が車両に乗車する前にアルコール検知を行なうことができる。これにより、運転者が車両に乗車してから車両始動までに要する時間が長くなることを防止することができる。さらに、予め撮像された口の画像を基準画像として、アルコール検知の実施時に撮像された口の画像を基準画像と比較する認証部を備えるので、検査対象者のなりすましが行なわれることを抑制することができる。これにより、アルコール検知の検知結果の有効性を確保することができる。
【0015】
さらに
、アルコール検知の実施時よりも所定時間以上前の基準画像を有効とする判定部を備えるので、車両始動の直前に検査対象者のなりすましによって基準画像が撮像されることを防止することができる。これによりアルコール検知の検知結果の有効性を、より高く確保することができる。
【0016】
さらに、上記(
2)の場合、本人認証が成立してから運転者の操作によって車両の所定機能の実行が指示されるまでの時間が所定時間未満である場合を有効とする可否判定部を備えるので、不自然に長い時間を要する場合を無効とすることができる。これにより、例えば車両始動の直前の検査対象者のなりすましなどによって、本人認証が成立してから車両の所定機能の実行が指示されるまでに不自然に長い時間がかかる場合を無効とすることができる。これにより、アルコール検知の検知結果の有効性を、より高く確保することができる。
【0017】
さらに、上記(
3)の場合、所定位置で撮像された基準画像を有効とする判定部を備えるので、基準画像に撮像された操作者が携帯端末の所有者である可能性が高い所定位置を設定することにより、検知結果の有効性を、より高く確保することができる。これにより、操作者が携帯端末の所有者である可能性が低い位置の基準画像で検知結果が有効であると判定されてしまうことを防止することができる。
【0018】
さらに、上記(
4)の場合、複数の基準画像および検知時における複数の口の画像によって本人認証を行なう認証部を備えるので、アルコール検知の検知結果の有効性を、より高く確保することができる。
【0019】
さらに、上記(
5)の場合、張唇性の音声発音時における口の形状により、唇の形状に
加えて歯の形状を含む画像によって本人認証の精度を向上させることができ、アルコール
検知の検知結果の有効性を、より高く確保することができる。
【0020】
さらに、上記(
6)の場合、互いに隣接した撮像部およびアルコールセンサを備えるの
で、操作者がアルコールセンサに呼気を吹きかける際における操作者の口の画像を的確に
撮像することができる。これにより、検査対象者のなりすましが行なわれることを抑制し
て、アルコール検知の検知結果の有効性を、より高く確保することができる。
【0021】
さらに、上記(
7)の場合、撮像時に携帯端末の上下反転を案内する案内部を備えるの
で、携帯端末の画面に表示される口の画像を操作者に確認させて、適正な口の画像を撮像
することができる。これにより、本人認証の精度を向上させ、アルコール検知の検知結果
の有効性を、より高く確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係るアルコールインタロックシステムについて添付図面を参照しながら説明する。
【0024】
本実施形態によるアルコールインタロックシステム10は、
図1に示すように、無線通信(例えば、bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信など)によって相互に通信可能な携帯端末11および車載装置12を備えている。
【0025】
携帯端末11は、例えば車両1の運転者が携帯する情報端末などである。携帯端末11は、端末側無線通信機21と、端末側表示器22と、スピーカー23と、測位信号受信機24と、端末側カメラ25と、アルコールセンサ26と、端末制御部27と、端末記憶部28と、を備えている。
【0026】
端末側無線通信機21は、例えばBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信によって、
図2に示すように、車両1の運転者座席周辺の所定範囲A内において車載装置12との間で各種信号の送受信を行なう。
端末側表示器22は、
図3に示すように、端末側カメラ25によって撮像された画像および各種の情報などを端末制御部27の制御に応じて表示する表示画面22aを備えている。
スピーカー23は、端末制御部27の制御に応じて各種の音声および信号音を出力する。
【0027】
測位信号受信機24は、測位システム(例えば、Global Positioning System:GPSまたはGlobal Navigation Satellite System:GNSSなど)の測位信号を受信し、携帯端末11の現在位置を検出する。
端末側カメラ25は、例えば携帯端末11の上部に配置されている。端末側カメラ25は、携帯端末11の外部における所定の撮像領域の画像を撮像する。
アルコールセンサ26は、例えば携帯端末11の上部において端末側カメラ25に隣接して配置されている。アルコールセンサ26は、呼気吹きかけ型のセンサであり、検査対象者の呼気中に含まれるアルコールの濃度を検出する。
【0028】
端末制御部27は、予め端末記憶部28に記憶した基準画像と、携帯端末11の操作者がアルコールセンサ26に呼気を吹きかける際に端末側カメラ25により撮像された口の画像とを比較することによって、携帯端末11の所有者である運転者の本人認証を行なう。端末制御部27は、予め適宜のタイミングで端末側カメラ25により撮像された操作者の口の画像を基準画像として端末記憶部28に記憶する。端末制御部27は、予め適宜のタイミングで操作者がアルコールセンサ26に呼気を吹きかける際における口の画像を基準画像として端末記憶部28に記憶する。端末制御部27は、基準画像が撮像された際の日時などの時間情報と、基準画像が撮像された際に測位信号受信機24によって検出された現在位置(登録位置)などの位置情報とを、基準画像に対応付けて端末記憶部28に記憶する。端末制御部27は、所定のパターン認識処理などによって、基準画像と、基準画像の撮像後に操作者がアルコールセンサ26に呼気を吹きかける際に端末側カメラ25により撮像された口の画像とが、所定の程度で一致するか否かを判定する。端末制御部27は、この判定結果が「YES」の場合には、基準画像で撮像された操作者と基準画像の撮像後にアルコールセンサ26に呼気を吹きかける操作者とが同一である本人認証が成立したと判定する。一方、この判定結果が「NO」の場合には、端末制御部27は、本人認証が成立していないと判定する。
【0029】
端末制御部27は、操作者がアルコールセンサ26に呼気を吹きかける際における操作者の口の画像を端末側カメラ25により撮像する際には、
図3および
図4に示すように、操作者の口が所定の大きさで撮像されるように案内を行なう。例えば、端末制御部27は、端末側カメラ25と操作者の口との間の距離Lが所定距離Laになることを指示する表示および音声などを出力する。
【0030】
端末制御部27は、本人認証が成立した際にアルコールセンサ26によって検知された操作者の呼気に対する検知結果が有効であるか否かを、基準画像の時間情報および位置情報に基づいて判定する。端末制御部27は、端末記憶部28に記憶された基準画像の時間情報が、本人認証が成立した際の時間情報よりも所定時間(例えば、数日〜数か月など)以上前の時間である場合に、アルコールセンサ26の検知結果を有効であると判定する。端末制御部27は、この所定時間を、例えば日付などの情報に対応付けて端末記憶部28に記憶してもよい。端末制御部27は、この所定時間を、基準画像の有効性を確保するために設定しており、例えば携帯端末11の所有者が飲酒した際にアルコール検査に備えて他人によるなりすましによって基準画像を偽装しようとする時間(例えば、数時間〜十数時間など)よりも長い時間(例えば、数日〜数か月など)に設定している。
【0031】
端末制御部27は、端末記憶部28に記憶された基準画像の位置情報が、操作者が携帯端末11の所有者である可能性が高い所定位置である場合に、アルコールセンサ26の検知結果を有効であると判定する。端末制御部27は、この所定位置を、基準画像の有効性を確保するために設定しており、例えば携帯端末11の所有者が飲酒した際にアルコール検査に備えて他人によるなりすましによって基準画像を偽装しようとする可能性がある位置以外としている。端末制御部27は、携帯端末11の所有者が基準画像を偽装しようとする可能性がある位置を、例えば、飲食店から所定距離以内の周辺位置などとしている。端末制御部27は、所定位置を、例えば携帯端末11の滞在時間が最も長い位置、または所有者の自宅から所定距離以内の周辺位置などとしている。
【0032】
車載装置12は、車両側無線通信機31と、車両操作部32と、車両制御部33と、内燃機関34と、を備えている。
【0033】
車両側無線通信機31は、例えばBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信によって、
図2に示すように、車両1の運転者座席周辺の所定範囲A内において携帯端末11との間で各種信号の送受信を行なう。
車両操作部32は、運転者の運転操作に応じた信号を出力するスタートスイッチ、ステアリングホイール、シフトレバー、アクセルペダル、およびブレーキペダルなどである。
【0034】
車両制御部33は、携帯端末11から受信したアルコールセンサ26の検知結果に基づいて車両1の所定機能、例えば内燃機関34の始動を含む車両1の起動などの実行可否を判定する。車両制御部33は、携帯端末11によって有効であると判定されたアルコールセンサ26の検知結果を携帯端末11から受信すると、この検知結果の有効性を判定した後に、車両1の所定機能の実行可否を判定する。車両制御部33は、携帯端末11によって本人認証が成立してから車両1の所定機能の実行可否を判定するまでの時間が所定時間(例えば、数分など)未満である場合に、アルコールセンサ26の検知結果を有効であると判定する。車両制御部33は、車両1の所定機能の実行可否を判定するまでの時間を、例えば、運転者が車両1の所定機能の実行を指示するために車両操作部32を操作するまでの時間などとしている。車両制御部33は、アルコールセンサ26の検知結果を有効であると判定した後に、この検知結果におけるアルコールの濃度が所定の検知閾値未満である場合に、車両1の所定機能の実行(例えば、内燃機関34の始動など)を許可する。一方、この検知結果におけるアルコールの濃度が所定の検知閾値以上である場合に、車両1の所定機能の実行(例えば、内燃機関34の始動など)を禁止する。
【0035】
本実施の形態によるアルコールインタロックシステム10は上記構成を備えており、次に、このアルコールインタロックシステム10の動作について説明する。
【0036】
以下に、携帯端末11の動作について説明する。
先ず、
図5に示すように、端末制御部27は、基準画像を端末記憶部28に記憶しているか否かを判定する(ステップS01)。
この判定結果が「NO」の場合、端末制御部27は、処理を終了させる(ステップS01のNO側)。
一方、この判定結果が「YES」の場合、端末制御部27は、処理をステップS02に進める(ステップS01のYES側)。
【0037】
次に、端末制御部27は、携帯端末11の操作者に対して、アルコールセンサ26に呼気を吹きかけること、およびアルコールセンサ26に呼気を吹きかける際における操作者の口の画像を端末側カメラ25により撮像することを案内する(ステップS02)。端末制御部27は、操作者の口が端末側カメラ25により所定の大きさで撮像されるように、端末側カメラ25と操作者の口との間の距離Lが所定距離Laになるように指示する。
【0038】
次に、端末制御部27は、案内開始から端末側カメラ25による撮像およびアルコールセンサ26による検知が完了していない状態で第1所定時間(例えば、数秒など)が経過したか否かを判定する(ステップS03)。
この判定結果が「NO」の場合、端末制御部27は、処理を終了させる(ステップS03のNO側)。
一方、この判定結果が「YES」の場合、端末制御部27は、処理をステップS04に進める(ステップS03のYES側)。
【0039】
次に、端末制御部27は、端末側カメラ25による撮像およびアルコールセンサ26による検知が完了したか否かを判定する(ステップS04)。
この判定結果が「NO」の場合、端末制御部27は、処理を終了させる(ステップS04のNO側)。
一方、この判定結果が「YES」の場合、端末制御部27は、処理をステップS05に進める(ステップS04のYES側)。
【0040】
次に、端末制御部27は、所定のパターン認識処理などによって、予め端末記憶部28に記憶している基準画像と、今回の処理で端末側カメラ25により撮像された口の画像とが、所定の程度で一致するか否かを判定する。これにより端末制御部27は、基準画像で撮像された操作者と、今回の処理でアルコールセンサ26に呼気を吹きかける操作者とが同一である本人認証が成立したか否かを判定する(ステップS05)。
この判定結果が「NO」の場合、端末制御部27は、処理をステップS06に進める(ステップS05のNO側)。
一方、この判定結果が「YES」の場合、端末制御部27は、処理をステップS07に進める(ステップS05のYES側)。
【0041】
そして、端末制御部27は、アルコールセンサ26の検知結果は無効であると判定して、処理を終了させる(ステップS06)。
また、端末制御部27は、基準画像の登録期間は第2所定時間(例えば、1か月〜数か月など)以上であるか否かを判定する(ステップS07)。
この判定結果が「NO」の場合、端末制御部27は、処理を上述したステップS06に進める(ステップS07のNO側)。
一方、この判定結果が「YES」の場合、端末制御部27は、処理をステップS08に進める(ステップS07のYES側)。
なお、登録期間は、
図6に示すように、予め端末制御部27が基準画像を端末記憶部28に記憶した時刻t2から、アルコールセンサ26に呼気を吹きかける操作者に対して端末側カメラ25による撮像およびアルコールセンサ26による検知が実行された時刻t3までの期間である。
【0042】
そして、端末制御部27は、基準画像の登録位置は所定位置であるか否かを判定する(ステップS08)。
この判定結果が「NO」の場合、端末制御部27は、処理を上述したステップS06に進める(ステップS08のNO側)。
一方、この判定結果が「YES」の場合、端末制御部27は、処理をステップS09に進める(ステップS08のYES側)。
そして、端末制御部27は、アルコールセンサ26の検知結果は有効であると判定する(ステップS09)。
【0043】
次に、端末制御部27は、端末側無線通信機21と車両側無線通信機31との間の無線通信について所定の通信処理を実行してから、処理を終了させる(ステップS10)。端末制御部27は、所定の通信処理として、先ず、端末側無線通信機21の所定範囲内で通信可能な通信相手を探索する。そして、端末制御部27は、所定範囲内で車両側無線通信機31を認識すると、相互に通信可能に登録済みであるか否かを判定する。この判定結果において、例えば相互に未登録である場合には、端末制御部27は、操作者の操作に応じて登録処理を行なう。この際に端末制御部27は、登録認証に先立って、有効であると判定したアルコールセンサ26の検知結果の情報を車載装置12に送信する。一方、端末側無線通信機21と車両側無線通信機31とが相互に通信可能に登録済みである場合には、端末制御部27は、有効であると判定したアルコールセンサ26の検知結果の情報を車載装置12に送信する。
【0044】
以下に、車載装置12の動作について説明する。
先ず、
図7に示すように、車両制御部33は、車両側無線通信機31が所定範囲内において相互に通信可能に登録済みの車両側無線通信機31と通信を行なったか否かを判定する(ステップS21)。
この判定結果が「NO」の場合、車両制御部33は、処理を終了させる(ステップS21のNO側)。
一方、この判定結果が「YES」の場合、車両制御部33は、処理をステップS22に進める(ステップS21のYES側)。
【0045】
次に、車両制御部33は、運転者が車両1の所定機能として内燃機関34の始動を指示するために車両操作部32(例えば、スタートスイッチなど)を操作したか否かを判定する(ステップS22)。
この判定結果が「NO」の場合、車両制御部33は、処理を終了させる(ステップS22のNO側)。
一方、この判定結果が「YES」の場合、車両制御部33は、処理をステップS23に進める(ステップS22のYES側)。
【0046】
次に、車両制御部33は、携帯端末11によって有効であると判定されたアルコールセンサ26の検知結果を携帯端末11から受信したか否かを判定する(ステップS23)。
この判定結果が「NO」の場合、車両制御部33は、処理をステップS24に進める(ステップS23のNO側)。
一方、この判定結果が「YES」の場合、車両制御部33は、処理をステップS26に進める(ステップS23のYES側)。
【0047】
そして、車両制御部33は、内燃機関34の始動を禁止する(ステップS24)。
次に、車両制御部33は、車両1に搭載された表示器(図示略)またはスピーカー(図示略)などによって、内燃機関34の始動が禁止されていることを運転者に報知して、処理を終了させる(ステップS25)。
【0048】
また、車両制御部33は、認証有効期間は第3所定時間(例えば、数分など)未満であるか否かを判定する(ステップS26)。
この判定結果が「NO」の場合、車両制御部33は、処理をステップS27に進める(ステップS26のNO側)。
一方、この判定結果が「YES」の場合、車両制御部33は、処理をステップS28に進める(ステップS26のYES側)。
なお、認証有効期間は、
図6に示すように、携帯端末11のアルコールセンサ26による検知が完了した時刻t4から、運転者によって内燃機関34の始動が開始された時刻t5までの期間である。
そして、端末制御部27は、携帯端末11から受信したアルコールセンサ26の検知結果は無効であると判定して、処理を上述したステップS24に進める(ステップS27)。
【0049】
また、端末制御部27は、携帯端末11から受信したアルコールセンサ26の検知結果は有効であると判定する(ステップS28)。
そして、車両制御部33は、携帯端末11から受信したアルコールセンサ26の検知結果におけるアルコールの濃度が所定の検知閾値未満であるか否かを判定する(ステップS29)。
この判定結果が「NO」の場合、車両制御部33は、処理を上述したステップS24に進める(ステップS29のNO側)。
一方、この判定結果が「YES」の場合、車両制御部33は、処理をステップS30に進める(ステップS29のYES側)。
【0050】
そして、車両制御部33は、運転者による内燃機関34の始動を許可する(ステップS30)。
次に、車両制御部33は、運転者の操作に応じて内燃機関34の始動処理を実行して、処理を終了させる(ステップS31)。
【0051】
上述したように、本実施の形態によるアルコールインタロックシステム10によれば、アルコールセンサ26および本人認証を行なう端末制御部27を携帯端末11に備えるので、運転者が車両1に乗車する前にアルコール検知を行なうことができる。これにより、運転者が車両1に乗車してから車両始動までに要する時間が長くなることを防止することができる。さらに、予め端末側カメラ25により撮像された操作者の口の画像を基準画像として、アルコール検知の実施時における操作者の口の画像を基準画像と比較する端末制御部27を備えるので、検査対象者のなりすましが行なわれることを抑制することができる。これにより、アルコール検知の検知結果の有効性を確保することができる。
【0052】
さらに、アルコール検知の実施時よりも第2所定時間(例えば、1か月〜数か月など)以上前の基準画像を有効とする端末制御部27を備えるので、車両始動の直前に検査対象者のなりすましによって基準画像が撮像されることを防止することができる。これによりアルコール検知の検知結果の有効性を、より高く確保することができる。
さらに、本人認証が成立してから運転者の操作によって内燃機関34の始動が指示されるまでの時間(認証有効期間)が第3所定時間(例えば、数分など)未満である場合を有効とする端末制御部27を備えるので、不自然に長い時間を要する場合を無効とすることができる。これにより、例えば車両始動の直前の検査対象者のなりすましなどによって、本人認証が成立してから車両1の内燃機関34の始動が指示されるまでに不自然に長い時間がかかる場合を無効とすることができる。これにより、アルコール検知の検知結果の有効性を、より高く確保することができる。
【0053】
さらに、所定位置で撮像された基準画像を有効とする端末制御部27を備えるので、基準画像に撮像された操作者が携帯端末11の所有者である可能性が高い所定位置を設定することにより、検知結果の有効性を、より高く確保することができる。これにより、操作者が携帯端末11の所有者である可能性が低い位置の基準画像で検知結果が有効であると判定されてしまうことを防止することができる。
【0054】
以下、上述した実施形態の変形例について説明する。
上述した実施形態において、端末制御部27は、1つの基準画像に限定されず、複数の異なる形状の口の画像を複数の基準画像として端末記憶部28に記憶してもよい。この変形例において、端末制御部27は、複数の基準画像と、これらの基準画像の撮像後に操作者がアルコールセンサ26に呼気を吹きかける際に端末側カメラ25により撮像された口の複数の画像との全てにおいて本人認証が成立するか否かを判定する。端末制御部27は、複数の基準画像と、端末側カメラ25により撮像された口の複数の画像との全てにおいて本人認証が成立した場合に、アルコールセンサ26の検知結果を有効であると判定する。
この変形例によれば、複数の基準画像および検知時における複数の口の画像によって本人認証を行なう端末制御部27を備えるので、アルコール検知の検知結果の有効性を、より高く確保することができる。
【0055】
さらに、端末制御部27は、端末側カメラ25により撮像された口の複数の画像に、
図8に示すように、張唇性の音声の発音時における口の形状で端末側カメラ25により撮像された画像を有してもよい。張唇性の音声は、例えば日本語における「イ」の音声などである。この変形例において、端末制御部27は、携帯端末11の操作者に対して、口の画像を端末側カメラ25により撮像する際に張唇性の音声を発音するように案内する。
この変形例によれば、張唇性の音声発音時における口の形状により、唇の形状に加えて歯の形状を含む画像によって本人認証の精度を向上させることができ、アルコール検知の検知結果の有効性を、より高く確保することができる。
【0056】
上述した実施形態において、端末制御部27は、端末側カメラ25およびアルコールセンサ26が携帯端末11の上部に配置されている場合に、携帯端末11の上下を反転させた状態で口の画像を端末側カメラ25により撮像するように案内してもよい。端末制御部27は、操作者がアルコールセンサ26に呼気を吹きかける際に、操作者が端末側表示器22の表示画面22aに表示される口の画像を確認しながら端末側カメラ25による撮像を行なうように、携帯端末11の上下を反転させて把持することを指示する。
この変形例によれば、携帯端末11の表示画面22aに表示される口の画像を操作者に確認させて、適正な口の画像を撮像することができる。これにより、本人認証の精度を向上させ、アルコール検知の検知結果の有効性を、より高く確保することができる。
【0057】
上述した実施形態において、端末制御部27は、端末記憶部28に記憶された基準画像の位置情報が所定位置である場合に、アルコールセンサ26の検知結果を有効であると判定するとしたが、これに限定されない。端末制御部27は、基準画像の位置情報が所定位置以外である場合、例えば飲食店の周辺位置などのように携帯端末11の所有者が基準画像を偽装しようとする可能性がある位置である場合に、アルコールセンサ26の検知結果を無効と判定してもよい。
これにより、検査対象者のなりすましが行なわれることを抑制し、アルコール検知の検知結果の有効性を、より高く確保することができる。
【0058】
上述した実施形態において、車両制御部33は、予め車両側無線通信機31に対して相互に通信可能に登録済みの端末側無線通信機21から受信するアルコールセンサ26の検知結果のみを有効と判定してもよい。
さらに、車両制御部33は、予め車両側無線通信機31に対して相互に通信可能に登録済みの端末側無線通信機21の登録処理が所定時間(例えば、数日〜数か月など)以上前に行われている場合に、アルコールセンサ26の検知結果を有効と判定してもよい。
これにより、検査対象者のなりすましが行なわれることを抑制し、アルコール検知の検知結果の有効性を、より高く確保することができる。
【0059】
上述した実施形態において、端末制御部27は、アルコールセンサ26の検知結果に基づいて、車両1の所定機能、例えば内燃機関34の始動を含む車両1の起動などの実行可否を判定してもよい。
さらに、携帯端末11は、車両1に対する電子キーとしての機能を有してもよい。この場合、端末制御部27は、アルコールセンサ26の検知結果に基づいて、携帯端末11と車載装置12との間で行われる通信を制御する。端末制御部27は、アルコールセンサ26の検知結果におけるアルコールの濃度が所定の検知閾値以上である場合に、車両1のドアの解錠などを指示する通信を許可し、車両1の所定機能の実行(例えば、内燃機関34の始動など)を指示する通信を禁止する。
【0060】
上述した実施形態において、端末制御部27は、操作者の口の画像を用いた本人認証に加えて、操作者の指紋認証を併用してもよい。
これにより、本人認証の精度を向上させ、アルコール検知の検知結果の有効性を、より高く確保することができる。
【0061】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。