特許第6226799号(P6226799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6226799IP−PBXシステムおよびその音源データ提供方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226799
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】IP−PBXシステムおよびその音源データ提供方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 3/58 20060101AFI20171030BHJP
   H04M 3/00 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   H04Q3/58 101
   H04M3/00 B
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-68147(P2014-68147)
(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公開番号】特開2015-192304(P2015-192304A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591051645
【氏名又は名称】株式会社OKIソフトウェア
(74)【代理人】
【識別番号】100079991
【弁理士】
【氏名又は名称】香取 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】栗嶋 慎一
(72)【発明者】
【氏名】升國 敦史
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 克則
【審査官】 山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−072673(JP,A)
【文献】 特開2011−182204(JP,A)
【文献】 特開2013−251733(JP,A)
【文献】 特開2011−250036(JP,A)
【文献】 特開2008−211653(JP,A)
【文献】 特開2005−129982(JP,A)
【文献】 特開2006−211000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04L 12/00−12/26
12/50−12/955
H04M 3/00
3/16− 3/20
3/38− 3/58
7/00− 7/16
11/00−11/10
H04Q 3/58− 3/62
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SIP(Session Initiation Protocol)に対応していないSIP非対応電話端末と、SIPに対応するIP(Internet Protocol)電話端末とがIP通信網を介して接続されるIP-PBXシステムにおいて、該システムは、
前記SIP非対応電話端末を収容する呼制御サーバと、
前記IP電話端末を収容していて、前記SIP非対応電話端末と前記IP電話端末との間の通信信号をSIPメッセージに変換するSIP変換装置とを含み、
前記呼制御サーバは、前記SIP非対応電話端末の呼情報を検出し、該呼情報が前記IP電話端末に音源データを再生させる音源再生呼である場合、該呼情報の相手方電話端末が前記IP電話端末であるか否かを判定する呼制御部と、
前記呼制御部に制御されて、前記相手方電話端末が前記IP電話端末である場合に、前記音源データを前記IP電話端末で再生させるために再生要求を前記SIP変換装置に対して送信するパス制御部とを備え、
前記SIP変換装置は、前記SIP非対応電話端末の前記呼情報に応じて前記IP電話端末で再生される前記音源データを記憶した音源記憶部を備えることを特徴とするIP-PBXシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のIP-PBXシステムにおいて、該システムは、
前記SIP非対応電話端末で再生される他の音源データを記憶した回線終端装置をさらに含み、
前記パス制御部は、前記相手方電話端末が前記SIP非対応電話端末である場合に、前記SIP非対応電話端末で再生すべき前記他の音源データの再生要求を前記回線終端装置に対して行うことを特徴とするIP-PBXシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のIP-PBXシステムにおいて、
前記SIP非対応電話端末は公衆交換電話網に接続されたアナログ電話端末であることを特徴とするIP-PBXシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のIP-PBXシステムにおいて、前記音源記憶部は、前記音源データとして、前記SIP非対応電話端末での保留操作に応じて前記IP電話端末で再生される複数種類の保留音を記憶することを特徴とするIP-PBXシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のIP-PBXシステムにおいて、前記音源記憶部は、前記音源データとして、前記SIP非対応電話端末での操作に応じて前記IP電話端末で再生される複数種類のガイダンス音声を記憶することを特徴とするIP-PBXシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のIP-PBXシステムにおいて、前記音源記憶部は、前記音源データとして、前記SIP非対応電話端末での操作に応じた複数種類のDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)を記憶することを特徴とするIP-PBXシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のIP-PBXシステムにおいて、
前記音源記憶部は、複数種類の前記音源データを記憶し、
前記呼制御サーバは、前記複数種類の音源データをそれぞれ識別する複数の音源情報を記憶し、
前記パス制御部は、前記複数の音源情報のうち、一の音源情報を指定して前記再生要求を前記SIP変換装置に対して送信し、
前記SIP変換装置は、前記パス制御部からの前記再生要求で指定される前記音源情報に応じた前記音源データを前記音源記憶部から取得し、前記音源データを含むSIPメッセージを前記IP電話端末へと送信することを特徴とするIP-PBXシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のIP-PBXシステムにおいて、該システムは、特定相手先の端末情報を、前記複数種類の音源データのうち、一の音源データの前記音源情報と関連付けて記憶する特定相手先記憶部をさらに含み、
前記呼制御部は、前記SIP非対応電話端末の前記呼情報が前記音源再生呼である場合、前記前記相手方電話端末の前記端末情報が前記特定相手先記憶部に記憶されているか否かを判定し、前記端末情報が記憶されている場合には、前記特定相手先記憶部から前記端末情報に関連付けられた前記音源情報を取得し、
前記パス制御部は、前記呼制御部が前記特定相手先記憶部から取得した前記音源情報を指定して前記再生要求を前記SIP変換装置に対して送信することを特徴とするIP-PBXシステム。
【請求項9】
SIPに対応していないSIP非対応電話端末と、SIPに対応するIP電話端末とがIP通信網を介して接続されるIP-PBXシステムの音源データ提供方法において、該方法は、
前記IP電話端末を収容していて、前記SIP非対応電話端末と前記IP電話端末との間の通信信号をSIPメッセージに変換するSIP変換装置において、前記SIP非対応電話端末の呼情報に応じて前記IP電話端末で再生される音源データを音源記憶部に記憶する記憶工程と、
前記SIP非対応電話端末を収容する呼制御サーバによって、前記SIP非対応電話端末の前記呼情報を検出し、該呼情報が前記IP電話端末に前記音源データを再生させる音源再生呼である場合、該呼情報の相手方電話端末が前記IP電話端末であるか否かを判定する呼制御工程と、
前記呼制御サーバによって、前記呼制御工程による判定の結果、前記相手方電話端末が前記IP電話端末である場合に、前記音源データを前記IP電話端末で再生させるために再生要求を前記SIP変換装置に対して送信するパス制御工程と、
前記SIP変換装置によって、前記SIP非対応電話端末の前記呼情報に応じて、前記IP電話端末で再生すべき前記音源データを前記音源記憶部から取得する音源データ取得工程とを含むことを特徴とする音源データ提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP(Internet Protocol)通信網を介して電話端末を通話接続するIP-PBX(Private Branch Exchange)システムおよびその音源データ提供方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、IP-PBXシステムでは、インターネットなどのIP通信網にIP電話端末が接続されている。また、IP-PBXシステムは、IPに対応していないアナログ電話端末でも、IP電話端末とIP通信網を介して通話接続できるように、IP通信網に呼制御サーバおよび回線終端装置を接続して構成される。さらに、IP電話端末には、VoIP(Voice over Internet Protocol)としてSIP(Session Initiation Protocol)を利用したSIPメッセージを用いるものがある。IP-PBXシステムは、このようなSIPに対応したIP電話端末との通話接続をするために、IP通信網にSIP交換装置を接続して構成される。
【0003】
呼制御サーバは、SIP以外の独自プロトコルを有していて、アナログ電話端末およびこの独自プロトコルを利用するIP内線電話端末を収容していて、これらの電話端末に係る発呼、切断および保留の呼制御を行う。この呼制御サーバは、独自プロトコルに基づくIPパケットを、IP通信網を介して送受信可能に構成される。
【0004】
SIP交換装置は、SIPに対応したIP電話端末と、SIPに対応していない他の電話端末との通話接続を制御するもので、このIP電話端末側で用いられるSIPメッセージと、他の電話端末側で用いられるIPパケットとのプロトコルを変換して両者間の送受信を可能にしている。
【0005】
一の回線終端装置には、アナログ電話端末と接続していて、呼制御サーバに制御されてアナログ電話端末のIP通信を実現するものがある。この一の回線終端装置は、アナログ電話端末とのパス接続についてチャネルリソースを管理している。また、この一の回線終端装置は、アナログ電話端末側で用いられるアナログの通話音声データを、IP通信網を介して送受信できるように、RTP(Real-time Transport Protocol)パケットに変換する。
【0006】
また、他の回線終端装置には、保留音、ガイダンスおよびDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)などの音源データを記憶していて、呼制御サーバに制御されて音源データの提供を実現するものがある。この他の回線終端装置は、音源データを提供するためのパス接続についてチャネルリソースを管理する。また、この他の回線終端装置は、音源データを、IP通信網を介して送受信できるようにRTPパケットに変換する。
【0007】
たとえば特許文献1に記載された電話交換システムは、IP-PBXを通常の公衆電話回線網に接続することで、構内IP電話端末や外部IP電話端末と公衆電話回線網に繋がれた通常のアナログ電話機との間の通話を可能にする。このIP-PBXと構内IPネットワークを介して接続されたパケット転送装置は、保留音音源を備えている。
【0008】
また、たとえば特許文献2に記載された電話システムは、IP網に、呼制御サーバ、複数のメディアサーバ、複数のIP電話端末、複数の分配サーバが接続されている。そして、IP電話端末は、メディアサーバから保留音パケットを受信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−72673号公報
【特許文献2】特開2011−199417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のIP-PBXシステムでは、保留音、ガイダンスおよびDTMFなどの音源データをIP通信網を介して送受信するために、音源データを変換するための音声/IP変換用装置、およびパス接続のチャネルリソースを管理するチャネルスイッチを上記の他の回線終端装置に備える必要がある。
【0011】
また、大規模なIP-PBXシステムは、多数の電話端末を収容し、多数の音源データを記憶するので、大容量のサーバやデータベースなどの機器を備える必要がある。このため、アナログ電話端末のIP通信用の回線終端装置と、音源データの提供用の回線終端装置とを別個にして、それぞれの装置に、音声/IP変換用装置およびチャネルスイッチを備える必要がある。従って、IP-PBXシステムでは、音声/IP変換用装置やチャネルスイッチなどの構成機器の数が増加するために、通話接続に主要な構成機器を効率良く設置することができず、また、コストが増加してしまう。
【0012】
なお、アナログ電話端末のIP通信用の回線終端装置と、音源データの提供用の回線終端装置とを共用した場合には、多数の電話端末からのパス接続要求が混み合い、チャネルリソースが不足して、チャネルリソースを適切に確保できなくなるおそれがある。これにより、呼損が生じて、円滑な通話接続や音源データの提供ができなくなってしまう。
【0013】
本発明はこのような課題に鑑み、音源データの提供に要する構成機器の数やコストを増加せず、通話接続や音源データ提供のパス接続を円滑にするIP-PBXシステムおよびその音源データ提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上述の課題を解決するために、SIPに対応していないSIP非対応電話端末と、SIPに対応するIP電話端末とがIP通信網を介して接続されるIP-PBXシステムは、このSIP非対応電話端末を収容する呼制御サーバと、このIP電話端末を収容していて、このSIP非対応電話端末とこのIP電話端末との間の通信信号をSIPメッセージに変換するSIP変換装置とを含み、この呼制御サーバは、このSIP非対応電話端末の呼情報を検出し、この呼情報がこのIP電話端末に音源データを再生させる音源再生呼である場合、この呼情報の相手方電話端末がこのIP電話端末であるか否かを判定する呼制御部と、この呼制御部に制御されて、この相手方電話端末がこのIP電話端末である場合に、この音源データをこのIP電話端末で再生させるために再生要求をこのSIP変換装置に対して送信するパス制御部とを備え、このSIP変換装置は、このSIP非対応電話端末のこの呼情報に応じてこのIP電話端末で再生されるこの音源データを記憶した音源記憶部を備えることを特徴とする。
【0015】
また、SIPに対応していないSIP非対応電話端末と、SIPに対応するIP電話端末とがIP通信網を介して接続されるIP-PBXシステムの音源データ提供方法は、このIP電話端末を収容していて、このSIP非対応電話端末とこのIP電話端末との間の通信信号をSIPメッセージに変換するSIP変換装置において、このSIP非対応電話端末の呼情報に応じてこのIP電話端末で再生される音源データを音源記憶部に記憶する記憶工程と、このSIP非対応電話端末を収容する呼制御サーバによって、このSIP非対応電話端末のこの呼情報を検出し、この呼情報がこのIP電話端末にこの音源データを再生させる音源再生呼である場合、この呼情報の相手方電話端末がこのIP電話端末であるか否かを判定する呼制御工程と、この呼制御サーバによって、この呼制御工程による判定の結果、この相手方電話端末がこのIP電話端末である場合に、この音源データをこのIP電話端末で再生させるために再生要求をこのSIP変換装置に対して送信するパス制御工程と、このSIP変換装置によって、このSIP非対応電話端末のこの呼情報に応じて、このIP電話端末で再生すべきこの音源データをこの音源記憶部から取得する音源データ取得工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、IP-PBXシステムでは、保留音、ガイダンスおよびDTMFなどの音源データを提供するのに専用の回線終端装置を備える必要がなく、専用の音声/IP変換装置および専用のチャネルスイッチを実装する必要がないので、設備コストを削減することが可能となる。また、IP-PBXシステムでは、音源データ提供用のハードウェア機器を配置するスペースが不要になるので、他の構成機器を効率よく配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るIP-PBXシステムの一実施例における概略的な構成を示すブロック図である。
図2図1に示す実施例のIP-PBXシステムにおいて、音源データ再生の動作手順を示すタイミングチャートである。
図3】本発明に係るIP-PBXシステムの他の実施例において、音源データ再生の動作手順を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に添付図面を参照して本発明によるIP(Internet Protocol)-PBX(Private Branch Exchange)システムの実施例を詳細に説明する。たとえば、本実施例のIP-PBXシステム10は、図1に示すように、呼制御サーバ12と、SIP(Session Initiation Protocol)変換装置14と、第1の回線終端装置16と、第2の回線終端装置18が、インターネットなどのIP通信網20を介して接続されている。IP通信網20には、VoIP(Voice over Internet Protocol)としてSIPを利用するIP電話端末22が接続される。以下では、SIPを利用する電話端末をIP電話端末と称する。また、IP通信網20には、呼制御サーバ12の独自プロトコルを利用するIP内線電話端末24が接続される。第1の回線終端装置16には、IPに対応していないアナログ電話端末26が接続される。なお、本発明の理解に直接関係のない部分は、図示を省略し、冗長な説明を避ける。
【0019】
図1では、IP電話端末22、IP内線電話端末24およびアナログ電話端末26が、それぞれ一つずつ図示されているが、IP-PBXシステム10は、複数のIP電話端末22、複数のIP内線電話端末24および複数のアナログ電話端末26を備えて構成されてよい。
【0020】
本実施例において、IP-PBXシステム10は、IP電話端末22、IP内線電話端末24およびアナログ電話端末26のうち、二つ以上の電話端末の通話接続を確立するものである。IP-PBXシステム10は、IP電話端末22、IP内線電話端末24およびアナログ電話端末26を、何れの組合せでも通話接続することができる。
【0021】
呼制御サーバ12は、IP内線電話端末24およびアナログ電話端末26を収容していて、これらの電話端末の発呼、切断および保留などの呼情報を管理するサーバである。たとえば、呼制御サーバ12は、図1に示すように、呼制御部30、端末情報記憶部32、回線制御部34、パス制御部36、IP専用線通信制御部38、IP通信網通信制御部40およびIP通信インタフェース42を含んで構成される。呼制御サーバ12は、IP通信インタフェース42を介してIP通信網20に接続されている。呼制御サーバ12は、SIP以外の独自プロトコルを有していて、この独自プロトコルを利用したIPパケット(以下では、単にIPパケットと称する)は、IP通信網20を介して送受信可能である。
【0022】
呼制御部30は、IP内線電話端末24またはアナログ電話端末26と、IP電話端末22あるいは他のIP内線電話端末24または他のアナログ電話端末26、すなわち相手方電話端末との通話接続において、IP内線電話端末24またはアナログ電話端末26の呼情報を管理する。また、呼制御部30は、回線制御部34、パス制御部36、IP専用線通信制御部38およびIP通信網通信制御部40を制御して呼制御を実行するものである。たとえば、呼制御部30は、アナログ電話端末26から送信された呼情報、またはアナログ電話端末26へと送信された呼情報を検出すると、その呼情報に応じたパス接続を処理するようにパス制御部36を制御する。
【0023】
また、呼制御部30は、呼情報がIP電話端末22に音源データを再生させる保留などの音源再生呼を示す場合に、保留対象の相手方電話端末がIP電話端末22か他のIP内線電話端末24または他のアナログ電話端末26かを判定する。呼制御部30は、保留対象の相手方電話端末がIP電話端末22である場合、SIP変換装置14に対して保留音の再生要求をするようにパス制御部36を制御する。他方、呼制御部30は、保留対象の相手方電話端末が他のIP内線電話端末24または他のアナログ電話端末26である場合、第2の回線終端装置18に対して保留音の再生要求をするようにパス制御部36を制御する。
【0024】
端末情報記憶部32は、呼制御サーバ12が収容するIP内線電話端末24およびアナログ電話端末26の電話番号などの端末情報を記憶する。
【0025】
回線制御部34は、公衆交換電話網(図示せず)に接続されたアナログ電話端末26が他の電話端末と通話接続された場合に、アナログ電話端末26側の通信を制御する。たとえば、回線制御部34は、通話音声、保留音、ガイダンスおよびDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)などの音声データを含むアナログ信号について、公衆交換電話網を介したアナログ電話端末26への送信、およびアナログ電話端末26から公衆交換電話網を介した送信を制御することができる。
【0026】
パス制御部36は、IP内線電話端末24またはアナログ電話端末26と、相手方電話端末との通話接続において、通話音声、保留音、ガイダンスおよびDTMFなどの音声信号を送受信するためのパス接続を制御する。本実施例のパス制御部36は、呼制御部30によって制御されて、IP内線電話端末24またはアナログ電話端末26に係る呼情報に応じて、IP内線電話端末24またはアナログ電話端末26と相手方電話端末とのパス接続の確立、切断または保留を制御する。
【0027】
たとえば、パス制御部36は、呼情報がアナログ電話端末26からIP電話端末22への発呼を示す場合、発信元のアナログ電話端末26の端末情報と、発信先のIP電話端末22の端末情報と、IP電話端末22とのパス接続の開始要求とを含むパス接続信号をSIP変換装置14へと送信する。
【0028】
また、パス制御部36は、呼情報がアナログ電話端末26からIP電話端末22に対する保留を示す場合、発信元のアナログ電話端末26の端末情報と、発信先のIP電話端末22の端末情報と、IP電話端末22とのパス接続の停止要求とを含むパス接続信号をSIP変換装置14へと送信すると共に、保留音接続を要求するパス接続信号を第1の回線終端装置16へと送信する。このとき、パス制御部36は、複数種類の音源データのうち、一の音源データを指定してパス接続信号を第1の回線終端装置16へと送信してよい。
【0029】
さらに、パス制御部36は、呼情報がアナログ電話端末26からIP電話端末22との切断を示す場合、発信元のアナログ電話端末26の端末情報と、発信先のIP電話端末22の端末情報と、IP電話端末22とのパス接続の切断要求とを含むパス接続信号をSIP変換装置14へと送信する。
【0030】
IP専用線通信制御部38は、IP内線やIP専用線(図示せず)に接続されたIP内線電話端末24が他の電話端末と通話接続された場合に、IP内線電話端末24側の通信を制御する。たとえば、IP専用線通信制御部38は、通話音声、保留音、ガイダンスおよびDTMFなどの音声データを含むIPパケット、すなわち、RTP(Real-time Transport Protocol)パケットについて、IP内線やIP専用線を介したIP内線電話端末24への送信、およびIP内線電話端末24からIP内線やIP専用線を介した送信を制御することができる。
【0031】
IP通信網通信制御部40は、IP内線電話端末24またはアナログ電話端末26が、IP通信網20に接続されたIP電話端末22と通話接続された場合に、IP電話端末22側の通信を制御する。たとえば、IP通信網通信制御部40は、上記したようなRTPパケットについて、IP内線電話端末24またはアナログ電話端末26からIP通信網20を介したIP電話端末22への送信、およびIP電話端末22からIP通信網20を介したIP内線電話端末24またはアナログ電話端末26への送信を制御することができる。
【0032】
SIP変換装置14は、SIPを利用するIP電話端末22を収容していて、IP電話端末22と、他のIP電話端末22あるいはIP内線電話端末24またはアナログ電話端末26、すなわち相手方電話端末との通話接続を制御し、相手方電話端末がIPパケットを用いる場合に、IPパケットと、IP電話端末22で用いるSIPメッセージとのプロトコルを変換するものである。たとえば、SIP変換装置14は、図1に示すように、呼制御部50、音源記憶部52、呼制御サーバ側IF部54、音声制御部56、SIP通信制御部58およびIP通信インタフェース60を含んで構成される。SIP変換装置14は、IP通信インタフェース60を介してIP通信網20に接続されている。
【0033】
呼制御部50は、IP電話端末22の呼情報を管理し、呼制御サーバ側IF部54、音声制御部56およびSIP通信制御部58を制御する。たとえば、呼制御部50は、呼制御サーバ12のパス制御部36からパス接続信号を受信すると、このパス接続信号の端末情報によって示されるIP電話端末22がSIP変換装置14に収容されているか否かを検索する。また、呼制御部50は、検索されたIP電話端末22とのパス接続に関して、パス接続信号によって示される開始要求、停止要求または切断要求に応じて音声制御部56を制御する。
【0034】
音源記憶部52には、保留音、ガイダンスおよびDTMFなどの音源データ、またはこれらの音源データを生成可能な音源要素データが記憶されている。音源記憶部52は、複数種類の保留音、複数種類のガイダンスおよび複数種類のDTMFを記憶していてもよく、また、複数種類の音源要素データを記憶していて複数種類の音源データを生成可能にしてもよい。たとえば、音源記憶部52において、保留音およびガイダンスはG.711形式またはG.729形式で構成され、DTMFは非圧縮のG.711形式で構成される。
【0035】
呼制御サーバ側IF部54は、呼制御サーバ12の独自プロトコルに基づいて、IP電話端末22から呼制御サーバ12に対して行われる通信を制御するものである。たとえば、呼制御サーバ側IF部54は、呼制御サーバ12の独自プロトコルに基づくIPパケットについて、呼制御サーバ12に対する送受信を実行する。
【0036】
音声制御部56は、IP電話端末22と、IP内線電話端末24またはアナログ電話端末26との間で送受信される音声データを含むRTPパケットを一旦終端する。そして、音声制御部56は、RTPパケットのIPアドレスのヘッダやRTPヘッダなどのヘッダ情報を発信先の電話端末に合わせて呼制御サーバ12の独自プロトコルとSIPとの間で相互に書き換え、書き換えたRTPパケットを発信先の電話端末へと転送する。また、音声制御部56は、呼制御サーバ12のパス制御部36からのパス接続信号によって示される開始要求、停止要求または切断要求に応じて、IP電話端末22のRTPポートをオープンおよびクローズすることで、IP電話端末22側のパス接続を制御する。
【0037】
SIP通信制御部58は、IP電話端末22で用いられるSIPメッセージと、相手方電話端末で用いられるIPパケットまたはRTPパケットとのプロトコルの変換をWeb保守の元で実行するものである。たとえば、SIP通信制御部58は、アナログ電話端末26からIP電話端末22へと送信されるIPパケットまたはRTPパケットをSIPメッセージに変換し、また、IP電話端末22からアナログ電話端末26へと送信されるSIPメッセージをIPパケットまたはRTPパケットへと変換する。
【0038】
第1の回線終端装置16は、接続されているアナログ電話端末26のIP通信網20を介したIP通信を実現するものである。たとえば、第1の回線終端装置16は、図1に示すように、回線パッケージ70、音声/IP変換装置72、チャネルスイッチ74およびIP通信インタフェース76を含んで構成される。第1の回線終端装置16は、IP通信インタフェース76を介してIP通信網20に接続されている。
【0039】
回線パッケージ70は、公衆交換電話網の回線を収容していて、この回線パッケージ70にアナログ電話端末26が接続される。たとえば、回線パッケージ70は、アナログ電話端末26から発信された通話音声のアナログ信号(以下、アナログ通話信号と称する)を受信して音声/IP変換装置72へと送信する。また、回線パッケージ70は、音声/IP変換装置72で変換されたアナログ電話端末26へのアナログ通話信号をアナログ電話端末26へと送信する。
【0040】
音声/IP変換装置72は、アナログ電話端末26で利用されるアナログ通話信号と、呼制御サーバ12の独自プロトコルに基づくRTPパケットとを変換するものである。この音声/IP変換装置72は、たとえば、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)に搭載されて構成される。たとえば、音声/IP変換装置72は、アナログ電話端末26からのアナログ通話信号を回線パッケージ70を介して受信して、このアナログ信号をRTPパケットへと変換する。また、音声/IP変換装置72は、アナログ電話端末26へのRTPパケットをIP通信インタフェース76を介して受信して、このRTPパケットをアナログ通話信号へと変換する。
【0041】
チャネルスイッチ74は、回線パッケージ70の回線占有状況、すなわち、チャネルリソースを制御するものである。たとえば、チャネルスイッチ74は、呼制御サーバ12のパス制御部103からIP通信インタフェース76を介してパス接続指示を受けると、このパス接続指示に応じて回線パッケージ70のチャネルリソースを切り換える。
【0042】
第2の回線終端装置18は、IP内線電話端末24またはアナログ電話端末26が他のIP内線電話端末24または他のアナログ電話端末26と通話接続する場合に、保留対象のIP内線電話端末24またはアナログ電話端末26に対して音源データの提供を実現するものである。たとえば、第2の回線終端装置18は、図1に示すように、音源記憶部80、音声/IP変換装置82、チャネルスイッチ84およびIP通信インタフェース86を含んで構成される。第2の回線終端装置18は、IP通信インタフェース86を介してIP通信網20に接続されている。
【0043】
音源記憶部80には、保留音、ガイダンスおよびDTMFなどの音源データ、またはこれらの音源データを生成可能な音源要素データが記憶されている。音源記憶部80は、複数種類の保留音、複数種類のガイダンスおよび複数種類のDTMFを記憶していてもよく、また、複数種類の音源要素データを記憶していて複数種類の音源データを生成可能にしてもよい。
【0044】
音声/IP変換装置82は、音源記憶部80に記憶されたアナログの音源データと、呼制御サーバ12の独自プロトコルに基づくRTPパケットとを変換するものである。この音声/IP変換装置82は、たとえば、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)に搭載されて構成される。たとえば、音声/IP変換装置82は、呼制御サーバ12のパス制御部36から所定の相手先電話端末を指定して保留音の再生要求を受けると、この再生要求に応じて音源記憶部80からアナログの音源データを取得し、RTPパケットへと変換する。また、音声/IP変換装置82は、変換した音源データのRTPパケットを、IP通信インタフェース76を介して、パス制御部36から指定された相手先電話端末へと送信する。
【0045】
チャネルスイッチ84は、音源データを送信する接続パスのチャネルリソースを制御するものである。たとえば、チャネルスイッチ84は、呼制御サーバ12のパス制御部36から相手先電話端末を指定した保留音の再生要求を受けると、この再生要求に応じて、指定された相手先電話端末とのパス接続のチャネルリソースを確保する。
【0046】
次に、本実施例のIP-PBXシステム10において、IP電話端末22と通話接続しているアナログ電話端末26で保留操作が行われた場合の動作例を図2のシーケンスチャートを参照しながら説明する。
【0047】
この動作例の初期状態では、IP電話端末22およびアナログ電話端末26の間のパス接続が確立している(ステップS102)。なお、第1の回線終端装置16のチャネルスイッチ74において、回線パッケージ70のチャネルリソースは、IP電話端末22とのパス接続のために占有されている。そのため、IP電話端末22およびアナログ電話端末26の間では、通話音声の送受信が可能になっている。
【0048】
たとえば、アナログ電話端末26からIP電話端末22への通話音声の送信処理では、まず、アナログ電話端末26から送信されるアナログ通話信号が、第1の回線終端装置16へと送信される(ステップS104)。
【0049】
このアナログ通話信号は、第1の回線終端装置16の音声/IP変換装置72によって、呼制御サーバ12の独自プロトコルに基づくRTPパケットに変換され、このRTPパケットは、IP通信網20を介してSIP変換装置14へと送信される(ステップS106)。
【0050】
また、このRTPパケットは、SIP変換装置14のSIP通信制御部58によってSIPメッセージに変換され、このSIPメッセージはIP電話端末22へと送信される(ステップS108)。IP電話端末22では、このSIPメッセージによってアナログ電話端末26からの通話音声を取得することができる。
【0051】
また、IP電話端末22からアナログ電話端末26への通話音声の送信処理は、上記したようなアナログ電話端末26からIP電話端末22への通話音声の送信処理とは逆の処理手順によって行われる。
【0052】
上記したIP電話端末22とアナログ電話端末26との通話接続状態において、ユーザがアナログ電話端末26の保留操作を行うと(ステップS110)、アナログ電話端末26では、保留通知信号が生成されて第1の回線終端装置16を介して呼制御サーバ12へと送信される(ステップS112)。
【0053】
呼制御サーバ12において、アナログ電話端末26からの保留通知信号は、呼制御部30で検出される。呼制御部30では、保留通知信号の保留対象の相手方電話端末がIP電話端末22か他のIP内線電話端末24または他のアナログ電話端末26かを判定する。ここで、相手方電話端末はIP電話端末22であるため、呼制御部30では、SIP変換装置14に保留音の再生要求をするように、パス制御部36に対して保留指示が行われる(ステップS114)。
【0054】
パス制御部36では、この保留指示に応じて、第1の回線終端装置16にRTPパケットの送信停止を指示する送信停止信号が生成され、第1の回線終端装置16へと送信される(ステップS116)。
【0055】
第1の回線終端装置16では、呼制御サーバ12のパス制御部36からの送信停止信号に応じて、IP電話端末22に対するRTPパケットの送信を停止する(ステップS118)。RTPパケット送信の停止は、音声/IP変換装置72またはチャネルスイッチ74で実現されてよい。また、第1の回線終端装置16では、RTPパケット送信の停止を示す応答信号が呼制御サーバ12へと送信されるとよい。
【0056】
さらに、呼制御サーバ12では、第1の回線終端装置16におけるRTPパケット送信が停止されると、パス制御部36によって、アナログ電話端末26とIP電話端末22とのパス接続の停止要求を示すパス接続信号、すなわち、IP電話端末22のRTPポートのクローズを指示するパス接続信号が生成され、IP通信インタフェース42を介してSIP変換装置14へと送信される(ステップS120)。
【0057】
SIP変換装置14において、上記したようなパス接続の停止要求を示すパス接続信号は、呼制御部50で検出される。呼制御部50では、たとえば、このパス接続信号で示される電話番号などの端末情報に基づいて、この端末情報に対応するIP電話端末22がSIP変換装置14に収容されているか否かが検索される。そして、このようなIP電話端末22が検索されると、音声制御部56によって、このIP電話端末22のRTPポートがクローズされ、すなわち、アナログ電話端末26とIP電話端末22とのパス接続が停止される(ステップS122)。また、SIP変換装置14では、このパス接続の停止を示す応答信号が呼制御サーバ12へと送信されるとよい。
【0058】
また、呼制御サーバ12では、上記したようにSIP変換装置14側のパス接続が停止されると、第1の回線終端装置16に保留接続を指示する送信停止信号が生成され、第1の回線終端装置16へと送信される(ステップS124)。
【0059】
第1の回線終端装置16では、チャネルスイッチ74によって、アナログ電話端末26のIP電話端末22との接続パスのチャネルリソースが保留状態となる(ステップS126)。
【0060】
さらに、呼制御サーバ12では、上記したようにSIP変換装置14側のパス接続が停止されると、パス制御部36によって、IP電話端末22への保留音の再生を指示する保留音再生要求信号が生成され、IP通信インタフェース42を介してSIP変換装置14へと送信される(ステップS128)。保留音再生要求信号は、IP電話端末22の端末情報を含み、保留音の種類や音声レベルなどの音源情報を含んでいてもよい。
【0061】
SIP変換装置14において、保留音要求信号は、呼制御部50で検出される。呼制御部50では、この保留音要求信号が示す端末情報に基づいてIP電話端末22が検索される。また、呼制御部50では、保留音要求信号が示す音源情報に基づいて、再生すべき保留音が音源記憶部52から検索される(ステップS130)。
【0062】
そして、検索された保留音を含むSIPメッセージが、音声制御部56によって生成され、さらに、このSIPメッセージは、IP通信インタフェース76を介して、検索されたIP電話端末22へと送信される(ステップS132)。
【0063】
IP電話端末22では、SIP変換装置14から保留音を含むSIPメッセージを受信すると、この保留音が再生される(ステップS134)。
【0064】
次に、本実施例のIP-PBXシステム10において、アナログ電話端末26で保留解除操作が行われた場合の動作例を説明する。
【0065】
まず、IP電話端末22とアナログ電話端末26とのパス接続は、上記したようにアナログ電話端末26での保留操作によって停止されている。このような場合に、ユーザがアナログ電話端末26の保留解除操作を行うと、アナログ電話端末26では、保留解除通知信号が生成されて第1の回線終端装置16へと送信される。
【0066】
第1の回線終端装置16において、アナログ電話端末26からの保留解除通知信号は、回線パッケージ70で受信され、さらに呼制御サーバ12へと送信される。
【0067】
呼制御サーバ12において、アナログ電話端末26からの保留解除通知信号は、呼制御部30で検出される。呼制御部30では、この保留解除通知信号に基づいて、パス制御部36に対して保留解除指示が行われる。
【0068】
パス制御部36では、この保留解除指示に応じて、IP電話端末22への保留音送信の停止を指示する保留音停止信号が生成され、IP通信インタフェース42を介してSIP変換装置14へと送信される。保留音停止信号は、IP電話端末22の端末情報を含む。
【0069】
SIP変換装置14において、保留音停止信号は、呼制御部50で検出される。呼制御部50では、この保留音停止信号に基づいてIP電話端末22が検索される。そして、音声制御部56において、IP電話端末22に対する保留音を含むSIPメッセージの送信が停止される。また、SIP変換装置14では、この保留音の停止を示す応答信号が呼制御サーバ12へと送信されるとよい。
【0070】
さらに、呼制御サーバ12では、SIP変換装置14における保留音送信が停止されると、パス制御部36によって、アナログ電話端末26とIP電話端末22とのパス接続の開始要求を示すパス接続信号、すなわち、IP電話端末22のRTPポートのオープンを指示するパス接続信号が生成され、IP通信インタフェース42を介してSIP変換装置14へと送信される。
【0071】
SIP変換装置14において、上記したようなパス接続の開始要求を示すパス接続信号は、呼制御部50で検出される。呼制御部50では、たとえば、このパス接続信号で示される電話番号などの端末情報に基づいて、この端末情報に対応するIP電話端末22がSIP変換装置14に収容されているか否かが検索される。そして、このようなIP電話端末22が検索されると、音声制御部56によって、このIP電話端末22のRTPポートがオープンされ、すなわち、アナログ電話端末26とIP電話端末22とのパス接続が開始される。また、SIP変換装置14では、このパス接続の開始を示す応答信号が呼制御サーバ12へと送信されるとよい。
【0072】
また、呼制御サーバ12では、上記したようにSIP変換装置14側のパス接続が開始されると、パス制御部36によって、第1の回線終端装置16にRTPパケットの送信開始を指示する送信開始信号が生成され、第1の回線終端装置16へと送信される。
【0073】
第1の回線終端装置16では、呼制御サーバ12のパス制御部36からの送信開始信号に応じて、IP電話端末22に対するRTPパケットの送信を開始する。RTPパケット送信の開始は、音声/IP変換装置72またはチャネルスイッチ74で実現されてよい。また、第1の回線終端装置16では、RTPパケット送信の開始を示す応答信号が呼制御サーバ12へと送信されるとよい。
【0074】
このようにして、アナログ電話端末26での保留解除操作によってアナログ電話端末26とIP電話端末22とのパス接続が確立し、両者間で通話が可能となる。
【0075】
この実施例では、呼制御サーバ12のパス制御部36によって、保留音などの音源情報を指定する動作例を説明したが、音源情報の指定は、呼制御サーバ12のIP通信網通信制御部40によって行われるように構成されていてもよい。
【0076】
このように、本実施例のIP-PBXシステム10は、SIPに対応していないIP内線電話端末24またはアナログ電話端末26、すなわちSIP非対応電話端末を収容する呼制御サーバ12と、SIPに対応するIP電話端末22を収容していて、SIP非対応電話端末とIP電話端末22との間の通信信号をSIPメッセージに変換するSIP変換装置14とを含んで構成される。
【0077】
この呼制御サーバ12は、SIP非対応電話端末の呼情報を検出し、この呼情報に応じてIP電話端末22で音源データを再生すべき場合、この呼情報の相手方電話端末がIP電話端末22であるか否かを判定する呼制御部30と、呼制御部30に制御されて、相手方電話端末がIP電話端末22である場合に、IP電話端末22で再生すべき音源データの再生要求をSIP変換装置14に対して行うパス制御部36とを備えて構成される。
【0078】
また、このSIP変換装置14は、SIP非対応電話端末の呼情報に応じてIP電話端末22で再生される音源データを記憶した音源記憶部52を備えている。
【0079】
これにより、IP-PBXシステム10では、保留音、ガイダンスおよびDTMFなどの音源データを提供するのに専用の回線終端装置を備える必要がなく、専用の音声/IP変換装置および専用のチャネルスイッチを実装する必要がないので、設備コストを削減することが可能となる。また、IP-PBXシステム10では、音源データ提供用のハードウェア機器を配置するスペースが不要になるので、他の構成機器を効率よく配置することができる。
【0080】
このように、IP-PBXシステム10では、保留音、ガイダンスおよびDTMFなどの音源データを提供するための構成が、VoIP通話に使用される第1の回線終端装置16から独立して、SIP変換装置14に設けられている。そのため、第1の回線終端装置16のチャネルスイッチ74において、チャネルリソース不足が抑制されて、チャネルリソースを確保し易くなり、呼損の発生を抑制することができる。
【0081】
また他の実施例において、本発明のIP-PBXシステム10は、顧客などの特定相手先の電話番号などの端末情報を記憶する特定相手先データベース(特定相手先記憶部)90を備える。
【0082】
特定相手先データベース90は、所定のユーザのアナログ電話端末26の電話番号に関連付けて、特定相手先の電話番号と、この特定相手先への提供を所望する保留音などの音源データの音源情報と記憶する。特定相手先への提供を所望する音源データには、たとえば、コマーシャルまたは他の宣伝を目的とした保留音などがある。特定相手先データベース90は、複数のユーザのそれぞれについて特定相手先の電話番号および音源情報を記憶することもでき、また、一のユーザについて複数の特定相手先の電話番号および音源情報を記憶することもできる。
【0083】
この他の実施例のIP-PBXシステム10において、呼制御サーバ12は、特定相手先データベース90に記憶された音源情報を用いて保留指示を行うことができる。
【0084】
この呼制御サーバ12の呼制御部30は、アナログ電話端末26からの保留通知信号に示される発信元のアナログ電話端末26の電話番号と、発信先のIP電話端末22の電話番号とを取得する。また、呼制御部30は、発信元の電話番号と発信先の電話番号とに基づいて特定相手先データベース90を参照し、発信先に提供すべき音源データの音源情報を取得する。呼制御部30は、特定相手先データベース90から取得した音源情報を指定してパス制御部36に保留指示を行う。
【0085】
パス制御部36は、呼制御部30からの保留指示で音源情報が指定されている場合、この音源情報を指定して保留音要求信号を生成し、SIP変換装置14へと送信する。
【0086】
次に、この他の実施例のIP-PBXシステム10において、IP電話端末22と通話接続しているアナログ電話端末26で保留操作が行われた場合の動作例を図3のシーケンスチャートを参照しながら説明する。
【0087】
この他の実施例において、パス接続確立(ステップS102)から保留通知(ステップS112)までの動作は、上記した実施例と同様なのでその説明を省略する。
【0088】
呼制御サーバ12の呼制御部30において、アナログ電話端末26からの保留通知信号が検出されると、呼制御部30は、保留通知信号で示される発信先電話端末が特定相手先データベース90に記憶されているか否かを判定する。そして、発信先電話端末が特定相手先データベース90に記憶されている場合、呼制御部30は、発信先電話端末の電話番号などの端末情報を指定して、特定相手先データベース90に音源情報の取得要求を行う(ステップS140)。
【0089】
特定相手先データベース90では、発信先電話端末の端末情報に基づいて音源情報を取得し(ステップS142)、呼制御サーバ12へと送信する(ステップS144)。
【0090】
呼制御サーバ12の呼制御部30は、特定相手先データベース90から音源情報を取得すると、この音源情報を指定して、パス制御部36に保留指示を行う(ステップS146)。
【0091】
パス制御部36における送信停止指示(ステップS116)から保留接続(ステップS126)までの動作は、上記した実施例と同様なのでその説明を省略する。
【0092】
パス制御部36では、SIP変換装置14側のパス接続の停止、および第1の回線終端装置16の保留接続が行われると、特定相手先データベース90から取得した音源情報を指定してIP電話端末22への保留音の再生を指示する保留音再生要求信号が生成され、IP通信インタフェース42を介してSIP変換装置14へと送信される(ステップS148)。
【0093】
SIP変換装置14の呼制御部50では、保留音要求信号が検出されると、この保留音要求信号が示す音源情報に基づいて再生すべき保留音、すなわち発信先電話端末への提供を所望する保留音が音源記憶部52から検索される(ステップS150)。
【0094】
SIP変換装置14における保留音送信(ステップS132)から保留音再生(ステップS134)までの動作は、上記した実施例と同様なのでその説明を省略する。
【0095】
この他の実施例によれば、通話の相手先を特定して所望の音源データを特定相手先データベース90に記憶することができ、相手先に応じた音源データを提供することができる。たとえば、ユーザの相手先が顧客である場合には、ユーザの企業情報や製品情報を含むコマーシャルや宣伝を保留音やガイダンスなどの音源データにして特定相手先データベース90に記憶することにより、このコマーシャルや宣伝を相手先に提供できるので、広告および宣伝のための媒体が多様化し、広告および宣伝の機会を増やすことができる。
【0096】
上記した実施例では、IP電話端末22とアナログ電話端末26との通話接続が保留される場合について例示したが、本発明のIP-PBXシステム10は、これに限定されず、IP電話端末22、IP内線電話端末24およびアナログ電話端末26の何れの組合せでの通話接続が保留される場合にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0097】
10 IP-PBXシステム
12 呼制御サーバ
14 SIP変換装置
16 第1の回線終端装置
18 第2の回線終端装置
20 IP通信網
22 IP電話端末
24 IP内線電話端末
26 アナログ電話端末
30 呼制御部
36 パス制御部
52 音源記憶部
90 特定相手先データベース
図1
図2
図3