特許第6226816号(P6226816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226816
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B60K 13/02 20060101AFI20171030BHJP
   A01C 11/02 20060101ALI20171030BHJP
   F01P 11/10 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   B60K13/02 A
   A01C11/02 311V
   F01P11/10 B
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-108155(P2014-108155)
(22)【出願日】2014年5月26日
(65)【公開番号】特開2015-223870(P2015-223870A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2016年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】谷口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】児島 祥之
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−041931(JP,A)
【文献】 特開2003−200740(JP,A)
【文献】 特開2014−058248(JP,A)
【文献】 特開2003−261071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 13/02
A01C 11/02
F01P 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体前部に位置する原動部に、外周を覆うボンネットと、そのボンネットの内部に位置するエアークリーナとが備えられ、
前記原動部の後部に位置する運転部に、運転部ステップから上方に突出するブレーキペダルが備えられ、
前記ボンネットの前記運転部に対向する後側面における、前記運転部ステップよりも上方に位置する箇所であって、且つ、前記ブレーキペダルに近接する箇所に、前記エアークリーナに対する後部側吸気口が形成され、
前記ボンネットの横側面に、前記後側面に形成された後部側吸気口に連なる側部側吸気口が形成され、
前記ブレーキペダルを踏み込み操作状態で位置保持並びに保持解除自在なロック具が、前記ブレーキペダルの横側近傍に備えられ、
前記側部側吸気口が前記ロック具に近接する箇所に形成され、
前記ボンネットの内部に、冷却風が機体横幅方向に沿って通流する状態で、エンジン冷却用のラジエータが備えられ、
前記ラジエータの外周部に位置して冷却風を案内する通風案内部材の上面が、前記ボンネットの前下がり形状の上部面に沿うように前下がり状に形成され、且つ、前記通風案内部材の上面と前記ボンネットの上部面との間に弾性閉塞部材が介装され、
前記ボンネット内における前記ラジエータの吸気経路部と前記エアークリーナの吸気部との間を仕切る仕切り部材が備えられ、
前記ラジエータの下部に走行車輪からの泥土の飛散を防止する遮蔽部材が備えられている作業機。
【請求項2】
機体前部に位置する原動部に、外周を覆うボンネットと、そのボンネットの内部に位置するエアークリーナとが備えられ、
前記原動部の後部に位置する運転部に、運転部ステップから上方に突出するブレーキペダルが備えられ、
前記ボンネットの前記運転部に対向する後側面における、前記運転部ステップよりも上方に位置する箇所であって、且つ、前記ブレーキペダルに近接する箇所に、前記エアークリーナに対する後部側吸気口が形成され、
前記ボンネットの横側面に、前記後側面に形成された後部側吸気口に連なる側部側吸気口が形成され、
前記ブレーキペダルを踏み込み操作状態で位置保持並びに保持解除自在なロック具が、前記ブレーキペダルの横側近傍に備えられ、
前記側部側吸気口が前記ロック具に近接する箇所に形成され、
前記ボンネットの内部に、冷却風が機体横幅方向に沿って通流する状態で、エンジン冷却用のラジエータが備えられ、
前記ボンネット内における前記ラジエータの吸気経路部と前記エアークリーナの吸気部との間を仕切る仕切り部材が備えられ、
前記ラジエータの外周部に位置して冷却風を案内する通風案内部材の上面が、前記ボンネットの前下がり形状の上部面に沿うように前下がり状に形成され、且つ、前記通風案内部材の上面と前記ボンネットの上部面との間に弾性閉塞部材が介装されている作業機。
【請求項3】
機体前部に位置する原動部に、外周を覆うボンネットと、そのボンネットの内部に位置するエアークリーナとが備えられ、
前記原動部の後部に位置する運転部に、運転部ステップから上方に突出するブレーキペダルが備えられ、
前記ボンネットの前記運転部に対向する後側面における、前記運転部ステップよりも上方に位置する箇所であって、且つ、前記ブレーキペダルに近接する箇所に、前記エアークリーナに対する後部側吸気口が形成され、
前記ボンネットの横側面に、前記後側面に形成された後部側吸気口に連なる側部側吸気口が形成され、
前記ブレーキペダルを踏み込み操作状態で位置保持並びに保持解除自在なロック具が、前記ブレーキペダルの近傍に備えられ、
前記側部側吸気口が前記ロック具に近接する箇所に形成され、
前記ボンネットの内部に、冷却風が機体横幅方向に沿って通流する状態で、エンジン冷却用のラジエータが備えられ、
前記ボンネット内における前記ラジエータの吸気経路部と前記エアークリーナの吸気部との間を仕切る仕切り部材が備えられている作業機。
【請求項4】
機体前部に位置する原動部に、外周を覆うボンネットと、そのボンネットの内部に位置するエアークリーナとが備えられ、
前記原動部の後部に位置する運転部に、運転部ステップから上方に突出するブレーキペダルが備えられ、
前記ボンネットの前記運転部に対向する後側面における、前記運転部ステップよりも上方に位置する箇所であって、且つ、前記ブレーキペダルに近接する箇所に、前記エアークリーナに対する後部側吸気口が形成され、
前記ボンネットの横側面に、前記後側面に形成された後部側吸気口に連なる側部側吸気口が形成され、
前記ブレーキペダルを踏み込み操作状態で位置保持並びに保持解除自在なロック具が、前記ブレーキペダルの近傍に備えられ、
前記側部側吸気口が前記ロック具に近接する箇所に形成されている作業機。
【請求項5】
機体前部に位置する原動部に、外周を覆うボンネットと、そのボンネットの内部に位置するエアークリーナとが備えられ、
前記原動部の後部に位置する運転部に、運転部ステップから上方に突出するブレーキペダルが備えられ、
前記ボンネットの前記運転部に対向する後側面における、前記運転部ステップよりも上方に位置する箇所であって、且つ、前記ブレーキペダルに近接する箇所に、前記エアークリーナに対する後部側吸気口が形成され、
前記ボンネットの横側面に、前記後側面に形成された後部側吸気口に連なる側部側吸気口が形成されている作業機。
【請求項6】
機体前部に位置する原動部に、外周を覆うボンネットと、そのボンネットの内部に位置するエアークリーナとが備えられ、
前記原動部の後部に位置する運転部に、運転部ステップから上方に突出するブレーキペダルが備えられ、
前記ボンネットの前記運転部に対向する後側面における、前記運転部ステップよりも上方に位置する箇所であって、且つ、前記ブレーキペダルと同じ側の横側部において前記ブレーキペダルに近接する箇所に、前記エアークリーナに対する後部側吸気口が形成されている作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型田植機や農用トラクタ等の作業機に関し、詳しくは、機体前部に位置する原動部にエンジンが搭載されている作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記作業機では、エンジンに対する燃焼用空気を給気するためのエアークリーナが原動部に備えられる。そして、従来では、エアークリーナの吸気管が原動部の下方側に向けて延設され、先端の吸気口が原動部の下部側から下向きに開放される状態で設けられるものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【0004】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−261071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来構成では、エアークリーナの吸気口が原動部の下部側から下向きに開放される状態で設けられるものであるから、次のような不利がある。
【0007】
すなわち、上記従来構成では、作業に伴って走行車輪から跳ね上げられた泥土等がエアークリーナの吸気口に飛散して吸気口を塞いだり、又、水田で作業する場合等においては、エアークリーナの吸気口が水に埋まって吸気口を塞いでしまい、エアークリーナによる燃焼用空気の供給が良好に行えないものとなる等のおそれがある。
【0008】
そこで、作業状況の違いにかかわらず、エアークリーナによる燃焼用空気の供給が良好に行えるようにすることが望まれていた。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る作業機の第1の特徴構成は、
機体前部に位置する原動部に、外周を覆うボンネットと、そのボンネットの内部に位置するエアークリーナとが備えられ、
前記原動部の後部に位置する運転部に、運転部ステップから上方に突出するブレーキペダルが備えられ、
前記ボンネットの前記運転部に対向する後側面における、前記運転部ステップよりも上方に位置する箇所であって、且つ、前記ブレーキペダルに近接する箇所に、前記エアークリーナに対する後部側吸気口が形成され、
前記ボンネットの横側面に、前記後側面に形成された後部側吸気口に連なる側部側吸気口が形成され、
前記ブレーキペダルを踏み込み操作状態で位置保持並びに保持解除自在なロック具が、前記ブレーキペダルの横側近傍に備えられ、
前記側部側吸気口が前記ロック具に近接する箇所に形成され、
前記ボンネットの内部に、冷却風が機体横幅方向に沿って通流する状態で、エンジン冷却用のラジエータが備えられ、
前記ラジエータの外周部に位置して冷却風を案内する通風案内部材の上面が、前記ボンネットの前下がり形状の上部面に沿うように前下がり状に形成され、且つ、前記通風案内部材の上面と前記ボンネットの上部面との間に弾性閉塞部材が介装され、
前記ボンネット内における前記ラジエータの吸気経路部と前記エアークリーナの吸気部との間を仕切る仕切り部材が備えられ、
前記ラジエータの下部に走行車輪からの泥土の飛散を防止する遮蔽部材が備えられている点にある。
【0015】
本構成によれば、ボンネットの運転部に対向する後側面における運転部ステップよりも上方に位置する箇所に、エアークリーナに対する後部側吸気口が形成されているから、作業に伴って走行車輪から跳ね上げられた泥土等がエアークリーナの吸気口に飛散して吸気口を塞いだり、又、水田で作業する場合等において、エアークリーナの吸気口が水に埋まって吸気口を塞いでしまう等のおそれがなく、エアークリーナによる燃焼用空気の供給が良好に行えるようにすることが可能となる。
【0016】
しかも、運転部ステップから上方に突出するブレーキペダルが備えられ、エアークリーナに対する後部側吸気口がブレーキペダルに近接する箇所に形成されているから、次のような利点がある。
【0017】
作業機は、運転部ステップに、圃場に植える作物、肥料、薬剤等を積載した状態で作業を行うことがある。例えば、作業機として、水田に苗を植え付ける田植機の場合、植え付け用の予備苗を運転部ステップに積載することがある。
【0018】
このような予備苗が運転部ステップに多量に積載されると、後部側吸気口が予備苗によって塞がれてしまうおそれがある。しかし、本構成によれば、後部側吸気口に近接する箇所にブレーキペダルが存在することにより、このブレーキペダルにより、予備苗と運転部ステップとの間に隙間ができて、側部側吸気口からの外気の吸気を、予備苗により邪魔されることなく良好に行えるのである。尚、運転部ステップに上記したような積載物が積載されていなければ、後部側吸気口が塞がれることはないから、側部側吸気口からの外気の吸気は良好に行える。
【0019】
従って、作業状況の違いにかかわらず、エアークリーナによる燃焼用空気の供給が良好に行えるようにすることが可能となった。
【0020】
本構成によれば、ボンネットの横側面に、後側面に形成された後部側吸気口に連なる側部側吸気口が形成されているから、エアークリーナに対する吸気口を広く採ることができ、吸気量を多くすることができ、若し仮に、後部側吸気口及び側部側吸気口のうちのいずれかが目詰りするようなことがあっても、他方の吸気口で吸気を確保することができる。
従って、より一層、エアークリーナによる燃焼用空気の供給が良好に行えるものとなった。
【0021】
本構成によれば、ブレーキペダルを踏み込み操作状態で位置保持並びに保持解除自在なロック具が、ブレーキペダルの近傍に備えられ、側部側吸気口がロック具に近接する箇所に形成されているから、次のような利点がある。
【0022】
作業車においては、運転部ステップに、圃場に植える作物、肥料、薬剤等を積載した状態で作業を行うことがある。作業機として、水田に苗を植え付ける田植機に適用した場合であれば、植え付け用の予備苗を運転部ステップに積載することがある。
【0023】
このような予備苗が多量に積載されると、側部側吸気口が予備苗によって塞がれてしまうおそれがある。しかし、本構成によれば、側部側吸気口に近接する箇所にロック具が存在することにより、このロック具により、予備苗と運転部ステップとの間に隙間ができて、側部側吸気口からの外気の吸気を、予備苗により邪魔されることなく良好に行える。
【0024】
本構成によれば、ボンネット内におけるラジエータの吸気経路部とエアークリーナの吸気部との間を仕切る仕切り部材が備えられているから、ラジエータの吸気経路部に沿って通流する冷却風と、後部側吸気口及び側部側吸気口からエアークリーナに向けて通流する燃焼用空気とが、仕切り部材により仕切られた状態で、互いに影響を与えることなく良好に通流することになる。
【0025】
従って、エンジンの冷却と燃焼用空気の吸気とを共に良好に行うことができる。
【0026】
本構成によれば、ラジエータの外周部に位置して冷却風を案内する通風案内部材の上面が、ボンネットの前下がり形状の上部面に沿うように前下がり状に形成され、且つ、通風案内部材の上面とボンネットの上部面との間に弾性閉塞部材が介装されているから、次のような利点がある。
【0027】
すなわち、ボンネットの上部面が前下がり形状に設けられるので、運転者が運転するときに、機体前方側近くの作業領域を目視で確認し易い。そして、ボンネットはメンテナンス作業のために揺動開閉自在に設けられるが、通風案内部材の上面が前下がり状に形成され、且つ、ボンネットの上部面との間に弾性閉塞部材が介装されているから、ボンネットの開閉に伴って、弾性閉塞部材に対して圧縮方向にのみ押圧力が作用して斜め方向の押圧力が作用しないので、擦れて摩耗する等の不利がなく、弾性閉塞部材の耐久性の向上を図ることができる。
【0028】
本構成によれば、ラジエータの下部に遮蔽部材が備えられているから、作業走行に伴って、走行車輪からラジエータに向けて泥土が飛散することを防止することができ、ラジエータの早期の詰まりを回避し易いものになる。
【0029】
本発明に係る作業機の第2の特徴構成は、
機体前部に位置する原動部に、外周を覆うボンネットと、そのボンネットの内部に位置するエアークリーナとが備えられ、
前記原動部の後部に位置する運転部に、運転部ステップから上方に突出するブレーキペダルが備えられ、
前記ボンネットの前記運転部に対向する後側面における、前記運転部ステップよりも上方に位置する箇所であって、且つ、前記ブレーキペダルに近接する箇所に、前記エアークリーナに対する後部側吸気口が形成され、
前記ボンネットの横側面に、前記後側面に形成された後部側吸気口に連なる側部側吸気口が形成され、
前記ブレーキペダルを踏み込み操作状態で位置保持並びに保持解除自在なロック具が、前記ブレーキペダルの横側近傍に備えられ、
前記側部側吸気口が前記ロック具に近接する箇所に形成され、
前記ボンネットの内部に、冷却風が機体横幅方向に沿って通流する状態で、エンジン冷却用のラジエータが備えられ、
前記ボンネット内における前記ラジエータの吸気経路部と前記エアークリーナの吸気部との間を仕切る仕切り部材が備えられ、
前記ラジエータの外周部に位置して冷却風を案内する通風案内部材の上面が、前記ボンネットの前下がり形状の上部面に沿うように前下がり状に形成され、且つ、前記通風案内部材の上面と前記ボンネットの上部面との間に弾性閉塞部材が介装されている点にある。
【0030】
本構成によれば、ボンネットの運転部に対向する後側面における運転部ステップよりも上方に位置する箇所に、エアークリーナに対する後部側吸気口が形成されているから、作業に伴って走行車輪から跳ね上げられた泥土等がエアークリーナの吸気口に飛散して吸気口を塞いだり、又、水田で作業する場合等において、エアークリーナの吸気口が水に埋まって吸気口を塞いでしまう等のおそれがなく、エアークリーナによる燃焼用空気の供給が良好に行えるようにすることが可能となる。
【0031】
しかも、運転部ステップから上方に突出するブレーキペダルが備えられ、エアークリーナに対する後部側吸気口がブレーキペダルに近接する箇所に形成されているから、次のような利点がある。
【0032】
作業機は、運転部ステップに、圃場に植える作物、肥料、薬剤等を積載した状態で作業を行うことがある。例えば、作業機として、水田に苗を植え付ける田植機の場合、植え付け用の予備苗を運転部ステップに積載することがある。
【0033】
このような予備苗が運転部ステップに多量に積載されると、後部側吸気口が予備苗によって塞がれてしまうおそれがある。しかし、本構成によれば、後部側吸気口に近接する箇所にブレーキペダルが存在することにより、このブレーキペダルにより、予備苗と運転部ステップとの間に隙間ができて、側部側吸気口からの外気の吸気を、予備苗により邪魔されることなく良好に行えるのである。尚、運転部ステップに上記したような積載物が積載されていなければ、後部側吸気口が塞がれることはないから、側部側吸気口からの外気の吸気は良好に行える。
【0034】
従って、作業状況の違いにかかわらず、エアークリーナによる燃焼用空気の供給が良好に行えるようにすることが可能となった。
【0035】
本構成によれば、ボンネットの横側面に、後側面に形成された後部側吸気口に連なる側部側吸気口が形成されているから、エアークリーナに対する吸気口を広く採ることができ、吸気量を多くすることができ、若し仮に、後部側吸気口及び側部側吸気口のうちのいずれかが目詰りするようなことがあっても、他方の吸気口で吸気を確保することができる。従って、より一層、エアークリーナによる燃焼用空気の供給が良好に行えるものとなった。
【0036】
本構成によれば、ブレーキペダルを踏み込み操作状態で位置保持並びに保持解除自在なロック具が、ブレーキペダルの近傍に備えられ、側部側吸気口がロック具に近接する箇所に形成されているから、次のような利点がある。
【0037】
作業車においては、運転部ステップに、圃場に植える作物、肥料、薬剤等を積載した状態で作業を行うことがある。作業機として、水田に苗を植え付ける田植機に適用した場合であれば、植え付け用の予備苗を運転部ステップに積載することがある。
【0038】
このような予備苗が多量に積載されると、側部側吸気口が予備苗によって塞がれてしまうおそれがある。しかし、本構成によれば、側部側吸気口に近接する箇所にロック具が存在することにより、このロック具により、予備苗と運転部ステップとの間に隙間ができて、側部側吸気口からの外気の吸気を、予備苗により邪魔されることなく良好に行える。
【0039】
本構成によれば、ボンネット内におけるラジエータの吸気経路部とエアークリーナの吸気部との間を仕切る仕切り部材が備えられているから、ラジエータの吸気経路部に沿って通流する冷却風と、後部側吸気口及び側部側吸気口からエアークリーナに向けて通流する燃焼用空気とが、仕切り部材により仕切られた状態で、互いに影響を与えることなく良好に通流することになる。
【0040】
従って、エンジンの冷却と燃焼用空気の吸気とを共に良好に行うことができる。
【0041】
本構成によれば、ラジエータの外周部に位置して冷却風を案内する通風案内部材の上面が、ボンネットの前下がり形状の上部面に沿うように前下がり状に形成され、且つ、通風案内部材の上面とボンネットの上部面との間に弾性閉塞部材が介装されているから、次のような利点がある。
【0042】
すなわち、ボンネットの上部面が前下がり形状に設けられるので、運転者が運転するときに、機体前方側近くの作業領域を目視で確認し易い。そして、ボンネットはメンテナンス作業のために揺動開閉自在に設けられるが、通風案内部材の上面が前下がり状に形成され、且つ、ボンネットの上部面との間に弾性閉塞部材が介装されているから、ボンネットの開閉に伴って、弾性閉塞部材に対して圧縮方向にのみ押圧力が作用して斜め方向の押圧力が作用しないので、擦れて摩耗する等の不利がなく、弾性閉塞部材の耐久性の向上を図ることができる。
【0043】
本発明に係る作業機の第3の特徴構成は、
機体前部に位置する原動部に、外周を覆うボンネットと、そのボンネットの内部に位置するエアークリーナとが備えられ、
前記原動部の後部に位置する運転部に、運転部ステップから上方に突出するブレーキペダルが備えられ、
前記ボンネットの前記運転部に対向する後側面における、前記運転部ステップよりも上方に位置する箇所であって、且つ、前記ブレーキペダルに近接する箇所に、前記エアークリーナに対する後部側吸気口が形成され、
前記ボンネットの横側面に、前記後側面に形成された後部側吸気口に連なる側部側吸気口が形成され、
前記ブレーキペダルを踏み込み操作状態で位置保持並びに保持解除自在なロック具が、前記ブレーキペダルの近傍に備えられ、
前記側部側吸気口が前記ロック具に近接する箇所に形成され、
前記ボンネットの内部に、冷却風が機体横幅方向に沿って通流する状態で、エンジン冷却用のラジエータが備えられ、
前記ボンネット内における前記ラジエータの吸気経路部と前記エアークリーナの吸気部との間を仕切る仕切り部材が備えられている点にある。
【0044】
本構成によれば、ボンネットの運転部に対向する後側面における運転部ステップよりも上方に位置する箇所に、エアークリーナに対する後部側吸気口が形成されているから、作業に伴って走行車輪から跳ね上げられた泥土等がエアークリーナの吸気口に飛散して吸気口を塞いだり、又、水田で作業する場合等において、エアークリーナの吸気口が水に埋まって吸気口を塞いでしまう等のおそれがなく、エアークリーナによる燃焼用空気の供給が良好に行えるようにすることが可能となる。
【0045】
しかも、運転部ステップから上方に突出するブレーキペダルが備えられ、エアークリーナに対する後部側吸気口がブレーキペダルに近接する箇所に形成されているから、次のような利点がある。
【0046】
作業機は、運転部ステップに、圃場に植える作物、肥料、薬剤等を積載した状態で作業を行うことがある。例えば、作業機として、水田に苗を植え付ける田植機の場合、植え付け用の予備苗を運転部ステップに積載することがある。
【0047】
このような予備苗が運転部ステップに多量に積載されると、後部側吸気口が予備苗によって塞がれてしまうおそれがある。しかし、本構成によれば、後部側吸気口に近接する箇所にブレーキペダルが存在することにより、このブレーキペダルにより、予備苗と運転部ステップとの間に隙間ができて、側部側吸気口からの外気の吸気を、予備苗により邪魔されることなく良好に行えるのである。尚、運転部ステップに上記したような積載物が積載されていなければ、後部側吸気口が塞がれることはないから、側部側吸気口からの外気の吸気は良好に行える。
【0048】
従って、作業状況の違いにかかわらず、エアークリーナによる燃焼用空気の供給が良好に行えるようにすることが可能となった。
【0049】
本構成によれば、ボンネットの横側面に、後側面に形成された後部側吸気口に連なる側部側吸気口が形成されているから、エアークリーナに対する吸気口を広く採ることができ、吸気量を多くすることができ、若し仮に、後部側吸気口及び側部側吸気口のうちのいずれかが目詰りするようなことがあっても、他方の吸気口で吸気を確保することができる。
従って、より一層、エアークリーナによる燃焼用空気の供給が良好に行えるものとなった。
【0050】
本構成によれば、ブレーキペダルを踏み込み操作状態で位置保持並びに保持解除自在なロック具が、ブレーキペダルの近傍に備えられ、側部側吸気口がロック具に近接する箇所に形成されているから、次のような利点がある。
【0051】
作業車においては、運転部ステップに、圃場に植える作物、肥料、薬剤等を積載した状態で作業を行うことがある。作業機として、水田に苗を植え付ける田植機に適用した場合であれば、植え付け用の予備苗を運転部ステップに積載することがある。
【0052】
このような予備苗が多量に積載されると、側部側吸気口が予備苗によって塞がれてしまうおそれがある。しかし、本構成によれば、側部側吸気口に近接する箇所にロック具が存在することにより、このロック具により、予備苗と運転部ステップとの間に隙間ができて、側部側吸気口からの外気の吸気を、予備苗により邪魔されることなく良好に行える。
【0053】
本構成によれば、ボンネット内におけるラジエータの吸気経路部とエアークリーナの吸気部との間を仕切る仕切り部材が備えられているから、ラジエータの吸気経路部に沿って通流する冷却風と、後部側吸気口及び側部側吸気口からエアークリーナに向けて通流する燃焼用空気とが、仕切り部材により仕切られた状態で、互いに影響を与えることなく良好に通流することになる。
【0054】
従って、エンジンの冷却と燃焼用空気の吸気とを共に良好に行うことができる。
【0055】
本発明に係る作業機の第4の特徴構成は、
機体前部に位置する原動部に、外周を覆うボンネットと、そのボンネットの内部に位置するエアークリーナとが備えられ、
前記原動部の後部に位置する運転部に、運転部ステップから上方に突出するブレーキペダルが備えられ、
前記ボンネットの前記運転部に対向する後側面における、前記運転部ステップよりも上方に位置する箇所であって、且つ、前記ブレーキペダルに近接する箇所に、前記エアークリーナに対する後部側吸気口が形成され、
前記ボンネットの横側面に、前記後側面に形成された後部側吸気口に連なる側部側吸気口が形成され、
前記ブレーキペダルを踏み込み操作状態で位置保持並びに保持解除自在なロック具が、前記ブレーキペダルの近傍に備えられ、
前記側部側吸気口が前記ロック具に近接する箇所に形成されている点にある。
【0056】
本構成によれば、ボンネットの運転部に対向する後側面における運転部ステップよりも上方に位置する箇所に、エアークリーナに対する後部側吸気口が形成されているから、作業に伴って走行車輪から跳ね上げられた泥土等がエアークリーナの吸気口に飛散して吸気口を塞いだり、又、水田で作業する場合等において、エアークリーナの吸気口が水に埋まって吸気口を塞いでしまう等のおそれがなく、エアークリーナによる燃焼用空気の供給が良好に行えるようにすることが可能となる。
【0057】
しかも、運転部ステップから上方に突出するブレーキペダルが備えられ、エアークリーナに対する後部側吸気口がブレーキペダルに近接する箇所に形成されているから、次のような利点がある。
【0058】
作業機は、運転部ステップに、圃場に植える作物、肥料、薬剤等を積載した状態で作業を行うことがある。例えば、作業機として、水田に苗を植え付ける田植機の場合、植え付け用の予備苗を運転部ステップに積載することがある。
【0059】
このような予備苗が運転部ステップに多量に積載されると、後部側吸気口が予備苗によって塞がれてしまうおそれがある。しかし、本構成によれば、後部側吸気口に近接する箇所にブレーキペダルが存在することにより、このブレーキペダルにより、予備苗と運転部ステップとの間に隙間ができて、側部側吸気口からの外気の吸気を、予備苗により邪魔されることなく良好に行えるのである。尚、運転部ステップに上記したような積載物が積載されていなければ、後部側吸気口が塞がれることはないから、側部側吸気口からの外気の吸気は良好に行える。
【0060】
従って、作業状況の違いにかかわらず、エアークリーナによる燃焼用空気の供給が良好に行えるようにすることが可能となった。
【0061】
本構成によれば、ボンネットの横側面に、後側面に形成された後部側吸気口に連なる側部側吸気口が形成されているから、エアークリーナに対する吸気口を広く採ることができ、吸気量を多くすることができ、若し仮に、後部側吸気口及び側部側吸気口のうちのいずれかが目詰りするようなことがあっても、他方の吸気口で吸気を確保することができる。
従って、より一層、エアークリーナによる燃焼用空気の供給が良好に行えるものとなった。
【0062】
本構成によれば、ブレーキペダルを踏み込み操作状態で位置保持並びに保持解除自在なロック具が、ブレーキペダルの近傍に備えられ、側部側吸気口がロック具に近接する箇所に形成されているから、次のような利点がある。
【0063】
作業車においては、運転部ステップに、圃場に植える作物、肥料、薬剤等を積載した状態で作業を行うことがある。作業機として、水田に苗を植え付ける田植機に適用した場合であれば、植え付け用の予備苗を運転部ステップに積載することがある。
【0064】
このような予備苗が多量に積載されると、側部側吸気口が予備苗によって塞がれてしまうおそれがある。しかし、本構成によれば、側部側吸気口に近接する箇所にロック具が存在することにより、このロック具により、予備苗と運転部ステップとの間に隙間ができて、側部側吸気口からの外気の吸気を、予備苗により邪魔されることなく良好に行える。
【0065】
本発明に係る作業機の第5の特徴構成は、
機体前部に位置する原動部に、外周を覆うボンネットと、そのボンネットの内部に位置するエアークリーナとが備えられ、
前記原動部の後部に位置する運転部に、運転部ステップから上方に突出するブレーキペダルが備えられ、
前記ボンネットの前記運転部に対向する後側面における、前記運転部ステップよりも上方に位置する箇所であって、且つ、前記ブレーキペダルに近接する箇所に、前記エアークリーナに対する後部側吸気口が形成され、
前記ボンネットの横側面に、前記後側面に形成された後部側吸気口に連なる側部側吸気口が形成されている点にある。
【0066】
本構成によれば、ボンネットの運転部に対向する後側面における運転部ステップよりも上方に位置する箇所に、エアークリーナに対する後部側吸気口が形成されているから、作業に伴って走行車輪から跳ね上げられた泥土等がエアークリーナの吸気口に飛散して吸気口を塞いだり、又、水田で作業する場合等において、エアークリーナの吸気口が水に埋まって吸気口を塞いでしまう等のおそれがなく、エアークリーナによる燃焼用空気の供給が良好に行えるようにすることが可能となる。
【0067】
しかも、運転部ステップから上方に突出するブレーキペダルが備えられ、エアークリーナに対する後部側吸気口がブレーキペダルに近接する箇所に形成されているから、次のような利点がある。
【0068】
作業機は、運転部ステップに、圃場に植える作物、肥料、薬剤等を積載した状態で作業を行うことがある。例えば、作業機として、水田に苗を植え付ける田植機の場合、植え付け用の予備苗を運転部ステップに積載することがある。
【0069】
このような予備苗が運転部ステップに多量に積載されると、後部側吸気口が予備苗によって塞がれてしまうおそれがある。しかし、本構成によれば、後部側吸気口に近接する箇所にブレーキペダルが存在することにより、このブレーキペダルにより、予備苗と運転部ステップとの間に隙間ができて、側部側吸気口からの外気の吸気を、予備苗により邪魔されることなく良好に行えるのである。尚、運転部ステップに上記したような積載物が積載されていなければ、後部側吸気口が塞がれることはないから、側部側吸気口からの外気の吸気は良好に行える。
【0070】
従って、作業状況の違いにかかわらず、エアークリーナによる燃焼用空気の供給が良好に行えるようにすることが可能となった。
【0071】
本構成によれば、ボンネットの横側面に、後側面に形成された後部側吸気口に連なる側部側吸気口が形成されているから、エアークリーナに対する吸気口を広く採ることができ、吸気量を多くすることができ、若し仮に、後部側吸気口及び側部側吸気口のうちのいずれかが目詰りするようなことがあっても、他方の吸気口で吸気を確保することができる。
従って、より一層、エアークリーナによる燃焼用空気の供給が良好に行えるものとなった。
【0072】
本発明に係る作業機の第6の特徴構成は、
機体前部に位置する原動部に、外周を覆うボンネットと、そのボンネットの内部に位置するエアークリーナとが備えられ、
前記原動部の後部に位置する運転部に、運転部ステップから上方に突出するブレーキペダルが備えられ、
前記ボンネットの前記運転部に対向する後側面における、前記運転部ステップよりも上方に位置する箇所であって、且つ、前記ブレーキペダルと同じ側の横側部において前記ブレーキペダルに近接する箇所に、前記エアークリーナに対する後部側吸気口が形成されている点にある。
【0073】
本構成によれば、ボンネットの運転部に対向する後側面における運転部ステップよりも上方に位置する箇所に、エアークリーナに対する後部側吸気口が形成されているから、作業に伴って走行車輪から跳ね上げられた泥土等がエアークリーナの吸気口に飛散して吸気口を塞いだり、又、水田で作業する場合等において、エアークリーナの吸気口が水に埋まって吸気口を塞いでしまう等のおそれがなく、エアークリーナによる燃焼用空気の供給が良好に行えるようにすることが可能となる。
【0074】
しかも、運転部ステップから上方に突出するブレーキペダルが備えられ、エアークリーナに対する後部側吸気口がブレーキペダルに近接する箇所に形成されているから、次のような利点がある。
【0075】
作業機は、運転部ステップに、圃場に植える作物、肥料、薬剤等を積載した状態で作業を行うことがある。例えば、作業機として、水田に苗を植え付ける田植機の場合、植え付け用の予備苗を運転部ステップに積載することがある。
【0076】
このような予備苗が運転部ステップに多量に積載されると、後部側吸気口が予備苗によって塞がれてしまうおそれがある。しかし、本構成によれば、後部側吸気口に近接する箇所にブレーキペダルが存在することにより、このブレーキペダルにより、予備苗と運転部ステップとの間に隙間ができて、側部側吸気口からの外気の吸気を、予備苗により邪魔されることなく良好に行えるのである。尚、運転部ステップに上記したような積載物が積載されていなければ、後部側吸気口が塞がれることはないから、側部側吸気口からの外気の吸気は良好に行える。
【0077】
従って、作業状況の違いにかかわらず、エアークリーナによる燃焼用空気の供給が良好に行えるようにすることが可能となった。
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【図面の簡単な説明】
【0113】
図1】乗用型田植機の全体側面図である。
図2】乗用型田植機の全体平面図である。
図3】原動部の側面図である。
図4】原動部の平面図である。
図5】ラジエータ配設部の正面図である。
図6】機体前部の右側面図である。
図7】ブレーキペダル付近の斜視図である。
図8】原動部の斜視図である。
図9】原動部の一部分解斜視図である。
図10】エンジンフレームの斜視図である。
図11】マフラーの側面図である。
図12】エア抜き管の配置状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0114】
以下、本発明に係る作業機の実施形態を乗用型田植機に適用した場合について図面に基づいて説明する。
【0115】
図1,2に示すように、乗用型田植機は、走行自在な左右一対の前輪1および左右一対の後輪2を有する走行機体3が備えられ、走行機体3の後部にリフトシリンダ4の操作によりリンク機構5を介して昇降操作自在に8条植型式の苗植付装置6が連結されている。
【0116】
走行機体3は、前部側に、エンジン7を収容する原動部8および伝動機構を収納するミッションケース9が配置されている。走行機体3の中央部には、ステアリングハンドル10、運転座席11、変速レバー12、運転部ステップ13等が装備された運転部14が配置されている。又、走行機体3の前部側の左右両側には、植え付け用の予備苗を積載するための予備苗載せ台15が備えられている。
【0117】
ミッションケース9には、変速レバー12を操作することにより変速操作され、走行機体3を前後進のいずかに無段階に変速操作自在な静油圧式の無段変速装置16が備えられ、エンジン7からの動力が無段変速装置16にて変速され、変速された動力が前輪1および後輪2に伝達されて走行駆動される。運転部ステップ13の運転座席11の右側前方箇所には、走行中に制動するためのブレーキペダル17が備えられている。
【0118】
図6,7に示すように、ブレーキペダル17は、その右側近傍位置に備えられたロック具19により、踏み込み操作した制動作用姿勢にて位置保持することができるように構成されている。つまり、作業途中で走行停止した場合等において、制動状態で位置保持させることができる。
【0119】
ロック具19は、ブレーキペダル17を位置保持するロック作用位置と、位置保持しない解除位置とに揺動自在に設けられ、図示しないバネにより、解除位置(図6で示す状態)に揺動付勢されている。ブレーキペダル17を制動状態で保持するときは、ブレーキペダル17を足で踏み込み操作した制動状態で、手動でロック具19をロック作用位置に切り換えることにより、ロック具19に形成された係止凹部19aが、ブレーキペダル17に設けられた係止部材17aに係止して、ブレーキペダル17を制動状態で位置保持できる。
【0120】
運転部ステップ13は、運転部14における運転者の足元だけでなく、原動部8の左右両側の横外側箇所にも連なるように設けられ、機体前方からの運転部14へ乗り降りすることができるように乗降用通路が形成されている。
【0121】
苗植付装置6は、8条分の植え付け用苗を載置する苗のせ台6A、苗のせ台6Aの下部から1株ずつ苗を切り取って圃場に植え付ける植付機構6B、田面を整地する整地フロート6C等を備えており、機体走行に伴って圃場に苗を植付けるように構成されている。
【0122】
図1図4に示すように、原動部8は、その外周がボンネット20により覆われている。つまり、原動部8の上部・前後側部・横側部は、走行機体3の前部に配置されたボンネット20により覆われている。ボンネット20は、原動部8の前部側部分を覆う可動ボンネット21と、原動部8の後部側部分を覆う固定ボンネット22とにより構成されている。可動ボンネット21の上部面は、機体前部側に向かうほど下方に位置する前下がり傾斜状に形成されている。
【0123】
可動ボンネット21が原動部8内の上部に位置する左右軸芯周りに揺動自在に支持され、固定ボンネット22に対して揺動開閉できるように構成されている。可動ボンネット21の左右両側箇所には、原動部8内に空気を取り入れるための通風口23が形成されている。固定ボンネット22の内部には、その内部にステアリングハンドル10が回転自在に支持される筒状のハンドルポスト24、変速レバー12の無段変速装置16に対する操作連係機構25等が備えられている。
【0124】
原動部8におけるボンネット20の内部には、水冷式のエンジン7、エンジン7を冷却するためのラジエータ26、ラジエータ26に冷却風を通風する冷却ファン27、エンジン7に燃焼用空気を供給するためのエアークリーナ28、エンジン7からの排気を外部に排出するためのマフラー29、発電機30、エンジン始動用のセルモータ31等を備えている。
【0125】
エンジン7の支持構造について説明する。
エンジン7は、その出力軸7aが左右横向きとなるように横向き姿勢でゴムマウント32を介して機体フレームの一部を構成するエンジンフレーム33に搭載されている。図10に示すように、エンジンフレーム33は、平面視で略矩形枠状に形成されている。そして、機体フレームの一部を構成するミッションケース9の前部側に連結固定されて前方に延設されている。
【0126】
エンジンフレーム33の前部側箇所に、後方側ほど下方に向かう左右一対の前部側載置部34が備えられ、エンジンフレーム33の後部側箇所に、前方側ほど下方に向かう左右一対の後部側載置部35が備えられている。そして、左右一対の前部側載置部34及び左右一対の後部側載置部35の夫々、合計4箇所において、防振ゴム36の上下両側に連結用ボルト37が備えられたゴムマウント32を介して振動を吸収可能な状態で、エンジン7がエンジンフレーム33に搭載支持されている。
【0127】
前部側に位置する2箇所のゴムマウント32に対するエンジン7の支持はエンジン側連結部材38を介して行われている。図8,9に示すように、エンジン側連結部材38は、前部側の2箇所のゴムマウント32にわたって一連に連なる状態で設けられ、且つ、前部側の2箇所のゴムマウント32に連結される傾斜状取付部39、エンジン7に連結固定される縦向き連結部40、それらを連結する補強リブ41等を一体的に連結して構成されている。そして、縦向き連結部40がエンジン7の前側の側面に複数箇所にてボルト連結され、傾斜状取付部39は、左右2箇所において、ゴムマウント32の上部側箇所に連結されている。
【0128】
次に、マフラー29の支持構造について説明する。
図8,9に示すように、エンジン側連結部材38には、機体左側外方側に向けて外方延出部42がボルト連結により一体的に連結された状態で延長形成されている。そして、このエンジン側連結部材38の外方延出部42にマフラー29を載置支持するためのマフラー支持部43が形成されている。マフラー支持部43には、円筒形状の外形を有するマフラー29を載置支持するための円弧状の受止め載置面44を備えている。又、受止め載置面44に載置されたマフラー29を略U字状の押え具45にて保持する構成となっている。この押え具45は、両側端部にネジ部46が形成され、受止め載置面44にマフラー29を載置している状態で上方側から押えて、両側端部を受止め載置面44の左右両側箇所に形成された挿通孔47を挿通させたのち、下方側からナット48で締め付けて、マフラー29を保持することができる。
【0129】
エンジン7の排気部7bとマフラー29とを連通接続してエンジン7からの排気をマフラー29に導く排気管49が、エンジン側の排気管49aとマフラー29側の排気管49bとに分割形成されている。エンジン側の排気管49aとマフラー29側の排気管49bとが途中でフランジ連結により連結接続されて一連に連なる排気経路を形成している。そして、エンジン側の排気管49aとマフラー29側の排気管49bとがフランジ連結される箇所において、エンジン側のフランジ部50がマフラー29側のフランジ部51より幅広に形成され、そのエンジン側のフランジ部50がエンジン側連結部材38に一体的に形成された支持部52にボルト53で連結固定されている。
【0130】
このように構成することで、排気管49が、エンジン7との連結箇所、中継部におけるフランジ連結箇所、マフラー29との連結箇所の夫々において、エンジン7と一体的に振動する状態で連結固定されることになり、エンジン7の振動に起因して亀裂等の生じるおそれの少ない状態で排気管49を支持することができる。
【0131】
図8,9に示すように、マフラー29は、排気管49が接続される入口部が機体前部側に位置し、排気を外部に排出する排気部は機体後部側に位置する状態で前後方向に延びる状態で設けられている。そして、図11に示すように、排気を外方に排出する排気口54は下向きに開口する状態で形成されている。このように排気口54が下向きに開口することで、エンジン7の排ガスが運転部14や苗植付装置6に向けて排出されることを回避できるようにしている。
【0132】
次に、ラジエータ26について説明する。
図4,5に示すように、エンジン7の右側箇所には、エンジン7を冷却するラジエータ26が配置されている。ラジエータ26は、エンジンフレーム33に設けられた一対のブラケット55により下面が受止められて連結固定されている。ラジエータ26は、熱交換部の吸込側面を横外側方向に向けた姿勢で配置されている。ラジエータ26とエンジン7の間には、冷却ファン27が配置されている。
【0133】
そして、図4,5,8に示すように、ラジエータ26の外周部並びに冷却ファン27の外周部を覆う通風案内部材としてのラジエータカバー56が備えられている。このラジエータカバー56は、冷却ファン27により通流する冷却風が熱交換部を通過するように案内するファンシュラウドとしての機能を備えるものであり、適宜箇所をラジエータ26に固定することにより支持されている。
【0134】
冷却ファン27は、伝動ベルト57を介してエンジン7の出力軸7aに連動連結されている。エンジン7の動力により冷却ファン27を駆動することにより、通風口23からラジエータ26を介してエンジン7へ流れる冷却風が発生する。又、エンジン7の出力軸7aは、伝動ベルト57を介して発電機30に連動連結されている。
【0135】
図3,4,5,8に示すように、ラジエータカバー56は、ラジエータ26の前側端面を覆う前部側の縦向き部58、ラジエータ26の上部面を覆う上面としての上部側横向き部59、ラジエータ26の後側端面を覆う後部側の縦向き部60からなる外周覆い部61を備えるとともに、冷却ファン27の外周部を覆うように外周覆い部61の機体内方側に連なり、送風案内するための送風案内部62を備えて構成されている。
【0136】
ラジエータカバー56の上部側横向き部59は、可動ボンネット21の前下がり形状の上部面21aに沿うように前下がり状に形成され、且つ、ラジエータカバー56の上部側横向き部59と可動ボンネット21の上部面との間にスポンジ材からなる弾性閉塞部材63が介装されている。又、ラジエータカバー56の前部側の縦向き部58と可動ボンネット21の前側面との間にも同様にスポンジ材からなる弾性閉塞部材63が介装されている。ラジエータカバー56の上部側横向き部59に作用する弾性閉塞部材63は、可動ボンネット21側に接着固定されている。ラジエータカバー56の前部側の縦向き部58に作用する弾性閉塞部材63は、可動ボンネット21の内面にボルト固定されたブラケット21cを介して取付支持されている。
【0137】
このようにラジエータカバー56の上部側横向き部59が可動ボンネット21と同じように前下がり形状に形成されることで、可動ボンネット21を開閉させるときに、弾性閉塞部材63に対して圧縮方向での力だけが作用して擦れて摩耗する等の不利の無い状態となるので、弾性閉塞部材63の摩耗が少なく耐久性が向上するものとなる。
【0138】
ラジエータカバー56の後部側の縦向き部60と固定ボンネット22の右側面22aとの間には、ラジエータ26の冷却風が通過する吸気経路部Q1と、ラジエータ26の後部側の縦向き部60よりも機体後方側の近傍に位置するエアークリーナ28の吸気部Q2とを仕切るスポンジ材からなる弾性閉塞部材63が備えられている。エアークリーナ28の吸気部Q2については後で詳述する。
【0139】
従って、ラジエータカバー56の後部側の縦向き部60及びそれに対応して設けられる弾性閉塞部材63により、ボンネット20内におけるラジエータ26の吸気経路部Q1とエアークリーナ28の吸気部Q2との間を仕切る仕切り部材Sが構成される。尚、この箇所に備えられる弾性閉塞部材63はラジエータカバー56に接着固定されている。
【0140】
図5,6に示すように、ラジエータ26の下部に走行車輪である前輪1からの泥土の飛散を防止する遮蔽部材64が備えられている。遮蔽部材64は、下部がエンジンフレーム33に設けられた一対のラジエータ支持用のブラケット55にボルト連結にて固定され,上方側ほど横外方に位置する斜め姿勢に設けられている。この遮蔽部材64は、幅広の板体からなり、前輪1とラジエータ26との間に略縦向き姿勢で位置する状態で備えられる。この遮蔽部材64を備えることにより、前輪1から跳ね上げられる泥土を受け止めてラジエータ26に飛散するのを防止することが可能である。
【0141】
遮蔽部材64の前部下方側箇所には、前輪1がステアリング操作される際に干渉しないように傾斜状の切欠き部65が形成されている。又、遮蔽部材64の上端縁64aと運転部ステップ13との間には隙間が形成されている。このように運転部ステップ13との間に隙間を設けることで組付け作業が行い易いものになる。
【0142】
次に、エアークリーナ28について説明する。
エアークリーナ28は、エンジン7の後方上方に位置する状態で配置されている。このエアークリーナ28は、略円筒状に形成されており、ハンドルポスト24に固定された機体側の支持部66から固定延設された部材にて軸芯方向が横向きになる横向き姿勢で支持された状態で支持されている。
【0143】
エアークリーナ28の左側端部に供給管71が接続され、供給管71の他端部がエンジン7の給気部に接続されている。エアークリーナ28の左側端部付近の円弧状外周部から斜め下方に向けて吸気管72が延設され、吸気管72が平面視で略L形に折り曲げられて左側外方に向けてボンネット20に近接する箇所まで延設されている。
【0144】
図4,6,7に示すように、固定ボンネット22の後側面22bにおける運転部ステップ13よりも上方に位置する箇所に、エアークリーナ28に対する後部側吸気口73が形成されている。又、固定ボンネット22の右側面22aに、後部側吸気口73に連なる側部側吸気口74が形成されている。すなわち、後部側吸気口73と側部側吸気口74とが一連に連なることにより、角部の大型吸気口75が固定ボンネット22に形成されている。
【0145】
図4に示すように、エアークリーナ28の吸気管72が、その吸気用開口72aを固定ボンネット22の角部に形成された大型吸気口75に近接させた状態で対向して位置する状態で配備されている。このように構成することで、エアークリーナ28は運転部ステップ13の上方側の清浄な空気を燃焼用空気として吸気することができる。
【0146】
図7に示すように、後部側吸気口73は、固定ボンネット22の後側面22bにおける運転部ステップ13よりも上方に位置する箇所であって、且つ、ブレーキペダル17に近接する箇所に形成されている。このように後部側吸気口73の近傍にブレーキペダル17が設けられることから、運転部ステップ13に、予備苗を多量に積載しているような場合であっても、積載される予備苗によって後部側吸気口73が塞がれることを回避し易いものになる。
【0147】
又、側部側吸気口74は、後部側吸気口73に連なる箇所であって、且つ、ロック具19に近接する箇所に形成されている。このように側部側吸気口74の近傍にロック具19が設けられることから、運転部ステップ13に予備苗を多量に積載しているような場合であっても、積載される予備苗によって側部側吸気口74が塞がれることを回避し易いものになる。
【0148】
図4に示すように、エアークリーナ28の吸気管72における吸気用開口72aが大型吸気口75に近接して対向する状態で設けられるエアークリーナの吸気部Q2は、ラジエータの冷却風が通過する吸気経路部Q1に対して後部側に近接した箇所に位置している。そこで、上述したように、ラジエータカバー56の後部側の縦向き部60及び弾性閉塞部材63にて構成される仕切り部材Sが設けられることにより、ラジエータ26内部を左右方向に通流する冷却風と、大型吸気口75からエアークリーナ28に向けて通流する燃焼用空気とが、仕切り部材Sにより仕切られた状態で、互いに影響を与えることなく良好に通流させることができる。
【0149】
次に、セルモータ31について説明する。
図3,8に示すように、セルモータ31は、エンジン7の出力軸7aに対して斜め前方上方箇所に配備されている。セルモータ31は、エンジン7のフライホイール77の外周部に形成されたリングギア78にセルモータ31にて駆動されるピニオンギア79を噛み合わせてピニオンギア79を回転駆動することにより、エンジン7を始動させる。エンジン7が始動したのちは、ピニオンギア79はリングギア78とのみ合いを解除する必要があるので、ピニオンギア79は、図示しないソレノイドにより、リングギア78とみ合う状態と噛み合いを解除する状態とにスライド操作される。
【0150】
図示はしないが、セルモータ31とピニオンギア79とを連動させるギア機構が内装されるので、ソレノイドとピニオンギア79とを備えるスライド操作部と、セルモータ31とは内部が連通する状態でケースが一体的に形成されている。そして、水分が内部に侵入しないように、それらのケースは防水型に形成されている。
【0151】
このように密閉状に構成されるセルモータ31は、作動により高温になり易いので、熱を外部に放出させる必要があり、又、水分が侵入した場合には水分を外部に放出させる必要がある。
【0152】
そこで、図12に示すように、セルモータ31には、セルモータ31内部を大気と連通させるエア抜き管80が備えられる。エア抜き管80は、セルモータ31から後方に向けて延設され、後部側端部がハンドルポスト24の内部に開放される状態でハンドルポスト24に接続されている。又、エア抜き管80が、セルモータ31に対する接続箇所及びハンドルポスト24に対する接続箇所の夫々よりもそれらの中間に位置する中間部が高い位置になる状態で備えられている。すなわち、エア抜き管80は、中間に位置する中間部が高くなるように側面視でアーチ状に湾曲させる状態で設けられている。このように構成することで、ハンドルポスト24内に水分が侵入することがあっても、エア抜き管80を通してセルモータ31に向けて水分が移動することを阻止することができる。又、セルモータ31の内部空間はエア抜き管80の内部を通して大気開放された状態となり、セルモータ31内部の熱や水分を外部に放出させることができる。
【0153】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、ブレーキペダル17の横側にロック具19が備えられ、ボンネットの横側面22bに後部側吸気口73に連なる側部側吸気口74が形成されるものを示したが、このような側部側吸気口74が形成されず、後部側吸気口73だけが備えられる構成としてもよい。
【0154】
(2)上記実施形態では、ボンネット20内におけるラジエータ26の吸気経路部Q1とエアークリーナ28の吸気部Q2との間を仕切る仕切り部材Sが備えられる構成としたが、このような仕切り部材Sを備えない構成としてもよい。
【0155】
(3)上記実施形態では、ラジエータカバー56の上面が、ボンネット20の前下がり形状の上部面に沿うように前下がり状に形成され、且つ、ラジエータカバー56の上面とボンネット20の上部面との間に弾性閉塞部材63が介装される構成としたが、このようなラジエータカバー56を設けることなく、ラジエータ26の上面が水平姿勢に設けられる構成としてもよい。
【0156】
(4)上記実施形態では、ラジエータ26の下部に遮蔽部材63が備えられる構成としたが、このような遮蔽部材を備えない構成としてもよい。
【0157】
(5)上記実施形態では、エンジン側連結部材38の外方延出部42にマフラー29が支持される構成としたが、このような構成に代えて、セルモータ31を支持するために、エンジン7の側部に備えられる縦向き姿勢の板状フレームにマフラーを支持させる構成としてもよい。
【0158】
(6)上記実施形態では、セルモータ31からエア抜きを行うエア抜き管80がハンドルポスト24の内部に開放される状態でハンドルポスト24に接続される構成としたが、このような構成に代えて、エア抜き管80をセルモータ31の近傍位置で開放させる構成としてもよい。
【0159】
(7)上記実施形態では、作業機として、乗用型田植機に適用したものを示したが、本発明は、田植機に限らず、農用トラクタや刈取収穫機等の他の種類の作業機であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0160】
本発明は、乗用型田植機や農用トラクタ等の作業機に適用できる。
【符号の説明】
【0161】
7 エンジン
7a 出力軸
8 原動部
13 運転部ステップ
14 運転部
17 ブレーキペダル
19 ロック具
20 ボンネッ
6 ラジエータ
28 エアークリー
56 通風案内部材
63 弾性閉塞部材
73 後部側吸気口
74 側部側吸気
仕切り部材
Q1 吸気経路部
Q2 吸気部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12