(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
連結対象となる一方側鉄筋の端部に対し、この一方側鉄筋の中心軸を含む仮想の平面にプレート面を実質的に位置させた状態で、プレート辺部を固着させて前記一方側鉄筋と一体化された一方側プレートと、
連結対象となる他方側鉄筋の端部に対し、この他方側鉄筋の中心軸を含む仮想の平面にプレート面を実質的に位置させた状態で、プレート辺部を固着させて前記他方側鉄筋と一体化された他方側プレートと、
前記一方側鉄筋の端部と前記他方側鉄筋の端部との間において前記一方側プレートの一面と前記他方側プレートの一面とに同時に添装される第一添装プレートと、
前記一方側鉄筋の端部と前記他方側鉄筋の端部との間において前記一方側プレートの他面と前記他方側プレートの他面とに同時に添装される第二添装プレートとを有すると共に、
前記一方側プレート及び前記他方側プレートの前記プレート辺部には、このプレート辺部の断面形状をT字状とするフランジ部を形成させており、
前記第一添装プレート及び前記第二添装プレートはそれぞれ、その一辺を一方側プレートのフランジ部に突き当て、かつ、その他辺を他方側プレートのフランジ部に突き当てた状態で、前記第一添装プレートと前記第二添装プレートとの間で、前記一方側プレート及び前記他方側プレートをボルト止めにより挟持させてなる、鉄筋の継手構造。
連結対象となるコンクリート製の一方側プレキャスト部材の主鉄筋としての一方側鉄筋の端部に対し、この一方側鉄筋の中心軸を含む仮想の平面にプレート面を実質的に位置させた状態で、プレート辺部を固着させて前記一方側鉄筋と一体化されて前記一方側プレキャスト部材の接続端面より突出する一方側プレートと、
連結対象となるコンクリート製の他方側プレキャスト部材の主鉄筋としての他方側鉄筋の端部に対し、この他方側鉄筋の中心軸を含む仮想の平面にプレート面を実質的に位置させた状態で、プレート辺部を固着させて前記他方側鉄筋と一体化されて前記他方側プレキャスト部材の接続端面より突出する他方側プレートと、
前記一方側鉄筋の端部と前記他方側鉄筋の端部との間において前記一方側プレートの一面と前記他方側プレートの一面とに同時に添装される第一添装プレートと、
前記一方側鉄筋の端部と前記他方側鉄筋の端部との間において前記一方側プレートの他面と前記他方側プレートの他面とに同時に添装される第二添装プレートとを有すると共に、
前記一方側プレート及び前記他方側プレートの前記プレート辺部には、このプレート辺部の断面形状をT字状とするフランジ部を形成させており、
前記第一添装プレート及び前記第二添装プレートはそれぞれ、その一辺を一方側プレートのフランジ部に突き当て、かつ、その他辺を他方側プレートのフランジ部に突き当てた状態で、前記第一添装プレートと前記第二添装プレートとの間で、前記一方側プレート及び前記他方側プレートをボルト止めにより挟持させてなる、プレキャスト部材の継手構造。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物を構成する鉄筋同士を連結させる典型的な継手構造としては、ねじふし鉄筋継手、モルタル充填継手、ガス圧接継手、エンクローズ溶接継手がある。
【0003】
前記ねじふし鉄筋継手は、現場打ちコンクリートとの付着性が低い。前記モルタル充填継手は、モルタルの充填状況の確認に不確実性がある。前記ガス圧接継手及びエンクローズ溶接継手は、継手部近傍の他の構造物に熱影響を及ぼす。加えて、これらの継手は、取り外し及び交換が不能なものである。
【0004】
一方、鉄筋コンクリート製のプレキャスト部材同士を連結させる継手構造として、特許文献1に示されるものがある。
【0005】
この特許文献1のものにあっては、前記プレキャスト部材の継手端面(接続端面)に配置されるエンドプレートを前記プレキャスト部材内部の鉄筋に固定しており、一方のプレキャスト部材のエンドプレートと他方のプレキャスト部材のエンドプレートとを突き合わせた状態から、両エンドプレートをボルト止めすることにより、前記プレキャスト部材同士を連結させている。
【0006】
かかる特許文献1のものは、継手部の連結のために溶接などの加熱を必要としないことから、この点ではプレキャスト部材同士の連結に不向きなものではない。
【0007】
しかるに、かかる特許文献1のものは、エンドプレートは鉄筋の中心軸に対し、プレート面を直交させている。また、かかる特許文献1のものでは、エンドプレート同士のボルト止め位置と、鉄筋とエンドプレートとの固定位置とは、ずれている。すなわち、前記エンドプレート同士は、前記鉄筋の中心軸から側方に外れた位置においてボルト止めされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、第一に、在来の手法とは別の手法により、連結対象となる一方側鉄筋と、連結対象となる他方側鉄筋とを、かかる一方側鉄筋の長さに他方側鉄筋の長さを加算した長さを全長とする単一の鉄筋と実質的に同一の性状と強度とを持つように、連結できるようにする点にある。
【0010】
また、第二に、在来の手法とは別の手法により、連結対象となる一方側プレキャスト部材の一方側鉄筋と、連結対象となる他方側プレキャスト部材の他方側鉄筋とを、かかる一方側鉄筋の長さに他方側鉄筋の長さを加算した長さを全長とする単一の鉄筋と実質的に同一の性状と強度とを持つように、連結できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、鉄筋の継手構造を、結対象となる一方側鉄筋の端部に対し、この一方側鉄筋の中心軸を含む仮想の平面にプレート面を実質的に位置させた状態で、プレート辺部を固着させて前記一方側鉄筋と一体化された一方側プレートと、
連結対象となる他方側鉄筋の端部に対し、この他方側鉄筋の中心軸を含む仮想の平面にプレート面を実質的に位置させた状態で、プレート辺部を固着させて前記他方側鉄筋と一体化された他方側プレートと、
前記一方側鉄筋の端部と前記他方側鉄筋の端部との間において前記一方側プレートの一面と前記他方側プレートの一面とに同時に添装される第一添装プレートと、
前記一方側鉄筋の端部と前記他方側鉄筋の端部との間において前記一方側プレートの他面と前記他方側プレートの他面とに同時に添装される第二添装プレートとを有
すると共に、
前記一方側プレート及び前記他方側プレートの前記プレート辺部には、このプレート辺部の断面形状をT字状とするフランジ部を形成させており、
前記第一添装プレート及び前記第二添装プレートはそれぞれ、その一辺を一方側プレートのフランジ部に突き当て、かつ、その他辺を他方側プレートのフランジ部に突き当てた状態で、前記第一添装プレートと前記第二添装プレートとの間で、前記一方側プレート及び前記他方側プレートをボルト止めにより挟持させてなる、ものとした。
【0012】
また、前記課題を達成するために、この発明にあっては、プレキャスト部材の継手構造を、連結対象となるコンクリート製の一方側プレキャスト部材の主鉄筋としての一方側鉄筋の端部に対し、この一方側鉄筋の中心軸を含む仮想の平面にプレート面を実質的に位置させた状態で、プレート辺部を固着させて前記一方側鉄筋と一体化されて前記一方側プレキャスト部材の接続端面より突出する一方側プレートと、
連結対象となるコンクリート製の他方側プレキャスト部材の主鉄筋としての他方側鉄筋の端部に対し、この他方側鉄筋の中心軸を含む仮想の平面にプレート面を実質的に位置させた状態で、プレート辺部を固着させて前記他方側鉄筋と一体化されて前記他方側プレキャスト部材の接続端面より突出する他方側プレートと、
前記一方側鉄筋の端部と前記他方側鉄筋の端部との間において前記一方側プレートの一面と前記他方側プレートの一面とに同時に添装される第一添装プレートと、
前記一方側鉄筋の端部と前記他方側鉄筋の端部との間において前記一方側プレートの他面と前記他方側プレートの他面とに同時に添装される第二添装プレートとを有
すると共に、
前記一方側プレート及び前記他方側プレートの前記プレート辺部には、このプレート辺部の断面形状をT字状とするフランジ部を形成させており、
前記第一添装プレート及び前記第二添装プレートはそれぞれ、その一辺を一方側プレートのフランジ部に突き当て、かつ、その他辺を他方側プレートのフランジ部に突き当てた状態で、前記第一添装プレートと前記第二添装プレートとの間で、前記一方側プレート及び前記他方側プレートをボルト止めにより挟持させてなる、ものとした。
【発明の効果】
【0013】
この発明にかかる鉄筋の継手構造によれば、連結対象となる一方側鉄筋と、連結対象となる他方側鉄筋とを、かかる一方側鉄筋の長さに他方側鉄筋の長さを加算した長さを全長とする単一の鉄筋と実質的に同一の性状と強度とを持つように、連結可能となる。したがって、かかる鉄筋の継手構造によれば、これを構成する各部材を可及的に小型化しても継手部の強度は充分に確保可能であることから継手部を可及的にスリム化することができ、これにより、前記各鉄筋と継手構造と現場打ちコンクリートとから構成される鉄筋コンクリート構造物自体のスリム化に寄与する。
【0014】
また、この発明にかかるプレキャスト部材の継手構造によれば、連結対象となる一方側プレキャスト部材の一方側鉄筋と、連結対象となる他方側プレキャスト部材の他方側鉄筋とを、かかる一方側鉄筋の長さに他方側鉄筋の長さを加算した長さを全長とする単一の鉄筋と実質的に同一の性状と強度とを持つように、連結可能となる。したがって、かかるプレキャスト部材の継手構造によれば、これを構成する各部材を可及的に小型化しても継手部の強度は充分に確保可能であることから継手部を可及的にスリム化することができ、これにより、前記各プレキャスト部材及びこれらから構成される鉄筋コンクリート構造物自体のスリム化に寄与する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1〜
図10に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかる鉄筋の継手構造は、現場打ちコンクリートによって作られる鉄筋コンクリート構造物を構成する鉄筋同士を、連結させるためにその継手部に適用されるものである。また、この実施の形態にかかるプレキャスト部材の継手構造は、鉄筋コンクリート構造物を構成するプレキャスト部材同士を、連結させるためにその継手部に適用されるものである。かかるプレキャスト部材(PCaなどと称される。)は、工場などにおいて製造される鉄筋コンクリート製品であって、現場に運搬されて他のプレキャスト部材と組み合わされることで、鉄筋コンクリート構造物となるものである。
【0017】
(鉄筋の継手構造)
この実施の形態にかかる鉄筋の継手構造は、以下の(1)〜(4)の要素を備えてなる。
(1)連結対象となる一方側鉄筋1の端部1aに対し、この一方側鉄筋1の中心軸1bを含む仮想の平面にプレート面を実質的に位置させた状態で、プレート辺部を固着させて前記一方側鉄筋1と一体化された一方側プレート2
(2)連結対象となる他方側鉄筋3の端部3aに対し、この他方側鉄筋3の中心軸3bを含む仮想の平面にプレート面を実質的に位置させた状態で、プレート辺部を固着させて前記他方側鉄筋3と一体化された他方側プレート4
(3)前記一方側鉄筋1の端部1aと前記他方側鉄筋3の端部3aとの間において前記一方側プレート2の一面2aと前記他方側プレート4の一面4aとに同時に添装される第一添装プレート5
(4)前記一方側鉄筋1の端部1aと前記他方側鉄筋3の端部3aとの間において前記一方側プレート2の他面2bと前記他方側プレート4の他面4bとに同時に添装される第二添装プレート6
そして、かかる鉄筋の継手構造は、前記第一添装プレート5と前記第二添装プレート6との間で、前記一方側プレート2及び前記他方側プレート4をボルト止めにより挟持させてなる。
【0018】
図示の例では、一方側プレート2及び他方側プレート4は、いずれも、四角形の鋼板となっている。また、かかる一方側プレート2及び他方側プレート4は、実質的に、同寸、同形となっている。
【0019】
かかる一方側プレート2及び他方側プレート4の4辺のうちの1辺には、フランジ部2c、4cが形成されている。フランジ部2c、4cは、前記1辺と略等しい長さを備えると共に、前記一方側プレート2及び他方側プレート4の厚さよりも大きい幅とを有している。フランジ部2c、4cは、前記幅方向中程の位置において前記一方側プレート2又は他方側プレート4の前記1辺部に連接されており、これにより前記一方側プレート2及び他方側プレート4の前記1辺側はT字状の断面形状を持つ。かかるフランジ部2c、4cは、典型的には、前記一方側プレート2又は他方側プレート4となる前記鋼板にこれと別体の鋼材を溶着させることで形成される。
【0020】
そして、前記一方側プレート2は、前記フランジ部2cにおける前記1辺部との連接側と反対の側であって、その長さ方向略中程の位置において、前記一方側鉄筋1の端部1aに一体化されている。かかる一体化は、典型的には、溶着によりなされる。一方側鉄筋1とフランジ部2cとは、一方側鉄筋1の中心軸1bがフランジ部2cの長さ方向に直交するように、一体化されている。
【0021】
また、前記他方側プレート4は、前記フランジ部4cにおける前記1辺部との連接側と反対の側であって、その長さ方向略中程の位置において、前記他方側鉄筋3の端部3aに一体化されている。かかる一体化は、典型的には、溶着によりなされる。他方側鉄筋3とフランジ部4cとは、他方側鉄筋3の中心軸3bがフランジ部4cの長さ方向に直交するように、一体化されている。
【0022】
すなわち、図示の例では、かかるフランジ部2c、4cが前記プレート辺部となっている。
【0023】
また、前記一方側プレート2は、前記のように一体化された一方側鉄筋1の中心軸1bの延長線を挟んだ両側にそれぞれ、ボルト7の挿通穴2dを前記延長線の連続方向において間隔を開けて二箇所づつ備えている。
【0024】
また、前記他方側プレート4は、前記のように一体化された他方側鉄筋3の中心軸3bの延長線を挟んだ両側にそれぞれ、ボルト7の挿通穴4dを前記延長線の連続方向において間隔を開けて二箇所づつ備えている。
【0025】
また、図示の例では、第一添装プレート5及び第二添装プレート6は、いずれも、四角形の鋼板となっている。また、かかる第一添装プレート5及び第二添装プレート6は、実質的に、同寸、同形となっている。
【0026】
前記第一添装プレート5及び第二添装プレート6は、それぞれ、前記延長線に直交する方向における前記一方側プレート2及び他方側プレート4の寸法と実質的に等しい幅と、前記延長線の連続方向における前記一方側プレート2及び他方側プレート4の寸法の二倍よりもやや大きい長さとを備えている。これにより、この例では、後述のように、第一添装プレート5と第二添装プレート6との間にボルト止めにより挟持される一方側プレート2のフランジ部2c側と反対のプレート辺部と他方側プレート4のフランジ部4c側と反対のプレート辺部との間には、隙間が形成されるようになっている。
【0027】
また、前記第一添装プレート5には、その幅方向の一辺を一方側プレート2のフランジ部2cに突き当て、かつ、その幅方向の他辺を他方側プレート4のフランジ部4cに突き当てて、前記一方側プレート2の一面2aと前記他方側プレート4の一面4aとに同時に添装させた状態において、前記各ボルト7の挿通穴2d、4dにそれぞれ連通するボルト7の挿通穴5aが形成されている。すなわち、図示の例では、第一添装プレート5には8箇所のボルト7の挿通穴5a、5a…が形成されている。
【0028】
また、前記第二添装プレート6には、その幅方向の一辺を一方側プレート2のフランジ部2cに突き当て、かつ、その幅方向の他辺を他方側プレート4のフランジ部4cに突き当てて、前記一方側プレート2の他面2bと前記他方側プレート4の他面4bとに同時に添装させた状態において、前記各ボルト7の挿通穴2d、4dにそれぞれ連通するボルト7の挿通穴6aが形成されている。すなわち、図示の例では、第二添装プレート6には8箇所のボルト7の挿通穴6a、6a…が形成されている。
【0029】
そして、この実施の形態にあっては、前記添装によって、前記第一添装プレート5と前記第二添装プレート6との間に、前記一方側プレート2及び前記他方側プレート4を挟んだ状態から、前記各ボルト7の挿通穴2d、4dにボルト7を挿通し、その端部にナット8をネジ付けることで、記第一添装プレート5と前記第二添装プレート6との間で、前記一方側プレート2及び前記他方側プレート4をボルト止めにより挟持させ、これにより、前記一方側鉄筋1と他方側鉄筋3とを連結させている。
【0030】
かかる鉄筋の継手構造によれば、前記一方側鉄筋1と他方側鉄筋3とを、前記一方側鉄筋1の長さに他方側鉄筋3の長さを加算した長さを全長とする単一の鉄筋と実質的に同一の性状と強度とを持つように、連結することができる。したがって、かかる鉄筋の継手構造によれば、これを構成する各部材を可及的に小型化しても継手部の強度は充分に確保可能であることから継手部を可及的にスリム化することができ、これにより、前記各鉄筋と継手構造と現場打ちコンクリートとから構成される鉄筋コンクリート構造物自体のスリム化に寄与する。
【0031】
(プレキャスト部材の継手構造)
この実施の形態にかかるプレキャスト部材の継手構造は、以下の(1)〜(4)の要素を備えてなる。
(1)連結対象となるコンクリート製の一方側プレキャスト部材9の主鉄筋としての一方側鉄筋91の端部91aに対し、この一方側鉄筋91の中心軸91bを含む仮想の平面にプレート面を実質的に位置させた状態で、プレート辺部を固着させて前記一方側鉄筋91と一体化されて前記一方側プレキャスト部材9の接続端面92より突出する一方側プレート93
(2)連結対象となるコンクリート製の他方側プレキャスト部材10の主鉄筋としての他方側鉄筋101の端部101aに対し、この他方側鉄筋101の中心軸101bを含む仮想の平面にプレート面を実質的に位置させた状態で、プレート辺部を固着させて前記他方側鉄筋101と一体化されて前記他方側プレキャスト部材10の接続端面102より突出する他方側プレート103
(3)前記一方側鉄筋91の端部91aと前記他方側鉄筋101の端部101aとの間において前記一方側プレート93の一面93aと前記他方側プレート103の一面103aとに同時に添装される第一添装プレート11
(4)前記一方側鉄筋91の端部91aと前記他方側鉄筋101の端部101aとの間において前記一方側プレート93の他面93bと前記他方側プレート103の他面103bとに同時に添装される第二添装プレート12
そして、かかるプレキャスト部材の継手構造は、前記第一添装プレート11と前記第二添装プレート12との間で、前記一方側プレート93及び前記他方側プレート103をボルト止めにより挟持させてなる。
【0032】
図示の例では、一方側プレート93及び他方側プレート103は、いずれも、四角形の鋼板となっている。また、かかる一方側プレート93及び他方側プレート103は、実質的に、同寸、同形となっている。
【0033】
かかる一方側プレート93及び他方側プレート103の4辺のうちの1辺には、フランジ部93c、103cが形成されている。フランジ部93c、103cは、前記1辺と略等しい長さを備えると共に、前記一方側プレート93及び他方側プレート103の厚さよりも大きい幅とを有している。フランジ部93c、103cは、前記幅方向中程の位置において前記一方側プレート93又は他方側プレート103の前記1辺部に連接されており、これにより前記一方側プレート93及び他方側プレート103の前記1辺側はT字状の断面形状を持つ。かかるフランジ部93c、103cは、典型的には、前記一方側プレート93又は他方側プレート103となる前記鋼板にこれと別体の鋼材を溶着させることで形成される。
【0034】
そして、前記一方側プレート93は、前記フランジ部93cにおける前記1辺部との連接側と反対の側であって、その長さ方向略中程の位置において、前記一方側鉄筋91の端部91aに一体化されている。かかる一体化は、典型的には、溶着によりなされる。一方側鉄筋91とフランジ部93cとは、一方側鉄筋91の中心軸91bがフランジ部93cの長さ方向に直交するように、一体化されている。
【0035】
また、前記他方側プレート103は、前記フランジ部103cにおける前記1辺部との連接側と反対の側であって、その長さ方向略中程の位置において、前記他方側鉄筋101の端部101aに一体化されている。かかる一体化は、典型的には、溶着によりなされる。他方側鉄筋101とフランジ部103cとは、他方側鉄筋101の中心軸101bがフランジ部103cの長さ方向に直交するように、一体化されている。
【0036】
すなわち、図示の例では、かかるフランジ部93c、103cが前記プレート辺部となっている。
【0037】
図示の例では、一方側プレキャスト部材9は、その接続端面92(他方側プレキャスト部材10に対する接続箇所に位置される面)から一方側プレート93を突出させるようにして、形成されている。
【0038】
また、他方側プレキャスト部材10は、その接続端面102(一方側プレキャスト部材9に対する接続箇所に位置される面)から他方側プレート103を突出させるようにして、形成されている。
【0039】
また、前記一方側プレート93は、前記のように一体化された一方側鉄筋91の中心軸91bの延長線を挟んだ両側にそれぞれ、ボルト13の挿通穴93dを前記延長線の連続方向において間隔を開けて二箇所づつ備えている。
【0040】
また、前記他方側プレート103は、前記のように一体化された他方側鉄筋101の中心軸101bの延長線を挟んだ両側にそれぞれ、ボルト13の挿通穴103dを前記延長線の連続方向において間隔を開けて二箇所づつ備えている。
【0041】
また、図示の例では、第一添装プレート11及び第二添装プレート12は、いずれも、四角形の鋼板となっている。また、かかる第一添装プレート11及び第二添装プレート12は、実質的に、同寸、同形となっている。
【0042】
前記第一添装プレート11及び第二添装プレート12は、それぞれ、前記延長線に直交する方向における前記一方側プレート93及び他方側プレート103の寸法と実質的に等しい幅と、前記延長線の連続方向における前記一方側プレート93及び他方側プレート103の寸法の二倍よりもやや大きい長さとを備えている。これにより、この例では、後述のように、第一添装プレート11と第二添装プレート12との間にボルト止めにより挟持される一方側プレート93のフランジ部93c側と反対のプレート辺部と他方側プレート103のフランジ部103c側と反対のプレート辺部との間には、隙間が形成されるようになっている。
【0043】
また、前記第一添装プレート11には、その幅方向の一辺を一方側プレート93のフランジ部93cに突き当て、かつ、その幅方向の他辺を他方側プレート103のフランジ部103cに突き当てて、前記一方側プレート93の一面93aと前記他方側プレート103の一面103aとに同時に添装させた状態において、前記各ボルト13の挿通穴93d、103dにそれぞれ連通するボルト13の挿通穴11aが形成されている。すなわち、図示の例では、第一添装プレート11には8箇所のボルト13の挿通穴11a、11a…が形成されている。
【0044】
また、前記第二添装プレート12には、その幅方向の一辺を一方側プレート93のフランジ部93cに突き当て、かつ、その幅方向の他辺を他方側プレート103のフランジ部103cに突き当てて、前記一方側プレート93の他面93bと前記他方側プレート103の他面103bとに同時に添装させた状態において、前記各ボルト13の挿通穴93d、103dにそれぞれ連通するボルト13の挿通穴12aが形成されている。すなわち、図示の例では、第二添装プレート12には8箇所のボルト13の挿通穴12a、12a…が形成されている。
【0045】
そして、この実施の形態にあっては、前記添装によって、前記第一添装プレート11と前記第二添装プレート12との間に、前記一方側プレート93及び前記他方側プレート103を挟んだ状態から、前記各ボルト13の挿通穴93d、103dにボルト13を挿通し、その端部にナット14をネジ付けることで、記第一添装プレート11と前記第二添装プレート12との間で、前記一方側プレート93及び前記他方側プレート103をボルト止めにより挟持させ、これにより、前記一方側鉄筋91と他方側鉄筋101とを連結させている。
【0046】
かかるプレキャスト部材の継手構造によれば、前記一方側鉄筋91と他方側鉄筋101とを、前記一方側鉄筋91の長さに他方側鉄筋101の長さを加算した長さを全長とする単一の鉄筋と実質的に同一の性状と強度とを持つように、連結することができる。したがって、かかるプレキャスト部材の継手構造によれば、これを構成する各部材を可及的に小型化しても継手部の強度は充分に確保可能であることから継手部を可及的にスリム化することができ、これにより、前記各プレキャスト部材9、10及びこれらから構成される鉄筋コンクリート構造物自体のスリム化に寄与する。
【0047】
図示の例では、一方側プレキャスト部材9及び他方側プレキャスト部材10は、組み合わされて、梁や床版などとなる水平方向のコンクリート構造物を構成するものとなっている。
【0048】
一方側プレキャスト部材9は、その厚さ方向の中間位置を挟んだ上側と下側とにそれぞれ、複数の一方側鉄筋91…91を内蔵しており、それぞれの一方側鉄筋91の端部91aに一方側プレート93が固着されている。前記中間位置を挟んだ上側に位置される一方側プレート93と、下側に位置される一方側プレート93との間には、突出部94が形成されている。
【0049】
また、他方側プレキャスト部材10は、その厚さ方向の中間位置を挟んだ上側と下側とにそれぞれ、複数の他方側鉄筋101…101を内蔵しており、それぞれの他方側鉄筋101の端部101aに他方側プレート103が固着されている。前記中間位置を挟んだ上側に位置される他方側プレート103と、下側に位置される他方側プレート103との間には、突出部104が形成されている。
【0050】
そして、図示の例では、一方側プレキャスト部材9の突出部94と他方側プレキャスト部材104の突出部94とを突き合わせた状態から、この突出部94、104上において各一方側鉄筋91と各他方側鉄筋101とを前記のように連結させ、かつ、前記突出部94、104下において各一方側鉄筋91と各他方側鉄筋101とを前記のように連結させることで、一方側プレキャスト部材9と他方側プレキャスト部材10との連結をなすようにしている。かかる連結後、前記突出部94上及び前記突出部94下には現場打ちコンクリートが打ち込まれ、継手部はコンクリート構造物の埋設物となる。
【0051】
図5〜
図9に示される例では、一方側プレート93及び他方側プレート103のプレート面が水平に配されており、このようにした場合、コンクリート構造物の厚さの最小化が図れる。
【0052】
図10は、一方側プレート93及び他方側プレート103のプレート面を垂直に配した例を示しておいる。
【0053】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。