特許第6226841号(P6226841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226841
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】エレベータの戸開閉監視装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/14 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   B66B13/14 N
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-186981(P2014-186981)
(22)【出願日】2014年9月12日
(65)【公開番号】特開2016-60549(P2016-60549A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2016年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一朗
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−189994(JP,A)
【文献】 特開昭59−031286(JP,A)
【文献】 特開2011−195291(JP,A)
【文献】 特開2001−097656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/00 − 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設けられた昇降路内を昇降する乗りかごと、この乗りかごが前記建物の各階に停止したときに開閉するドアと、前記乗りかご及び前記ドアの運転を操作する操作盤とを備えたエレベータに設けられ、
前記ドアの開閉動作を監視するエレベータの戸開閉監視装置において、
前記ドアの戸開時間を測定する戸開時間測定部と、
前記建物の各階のうち前記乗りかごが停止した停止階を検出する停止階検出部と、
前記乗りかごが前記停止階に停止する際の運転方向を判定する運転方向判定部と、
前記戸開時間測定部によって測定された前記ドアの戸開時間を、前記停止階検出部によって検出された前記停止階、及び前記運転方向判定部によって判定された前記運転方向に関連付けて記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記ドアの戸開時間が所定の時間を超えている場合に、当該戸開時間に関連付けられた第1の運転方向で昇降する前記乗りかごが、当該戸開時間に関連付けられた第1の停止階に再度停止したときの前記ドアの戸開時間を通常の戸開時間よりも延長した時間である延長時間となるようにする戸開延長部と
前記戸開延長部によって前記ドアの戸開時間が延長されている間に、前記延長時間よりも短い時間内に操作が完結するよう、前記操作盤の所定の操作が行われたとき、前記戸開延長部による前記ドアの戸開時間の延長を解除して、前記第1の運転方向で昇降する前記乗りかごが、前記第1の停止階に再度停止したときの前記ドアの戸開時間を、次回以降、前記通常の戸開時間となるように戻す延長解除部と、
を備えたことを特徴とするエレベータの戸開閉監視装置。
【請求項2】
請求項に記載のエレベータの戸開閉監視装置において、
前記操作盤は、前記ドアの戸閉動作の指示を行う戸閉釦を有し、
前記所定の操作は、前記戸閉釦が所定の回数押下される操作であることを特徴とするエレベータの戸開閉監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのドアの開閉動作を監視するエレベータの戸開閉監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エレベータは、建物に設置された昇降路内を昇降する乗りかごと、この乗りかごが建物の各階に停止したときに開閉するドアと、乗りかご内に設けられ、乗りかご及びドアの動作を操作する操作盤とを備えている。このように構成されるエレベータでは、ドアが開いてから一定時間の間、操作盤が操作されなければ、ドアが自動的に閉まるようになっている。
【0003】
従って、エレベータが引越し作業等に使用される場合には、乗りかごが停止した停止階の乗場と乗りかご内との間で荷物の搬入又は搬出を行う際に、作業の途中でエレベータのドアが閉まらないように、ドアをしばらく開いたままの状態にする必要がある。従来より、貨物用エレベータにおいては、ドアを所定の時間、開いたままの状態にするための開延長釦が乗りかご内に設けられているが、マンション等の建物に設置される乗用エレベータにおいては、このような開延長釦が設けられていないことが多い。
【0004】
また、乗りかごの操作盤には、行先階を指定する操作釦とは別の箇所に、ドアを常に開いたままの状態に設定できるドア開放スイッチが設けられている。しかしながら、ドア開放スイッチは操作盤のスイッチボックス内に設置され、このスイッチボックスは、通常、専用鍵で施錠されており、エレベータの保守点検を行う作業員やエレベータが設置された建物を管理する管理人等の限られた人を除いて開錠できないようになっている。そのため、乗用エレベータが設置された建物において管理人が不在である場合には、引越し業者はエレベータを使用した荷物の搬入又は搬出を行うことができないので、引越し業者の知恵で種々の方法が行われている。
【0005】
このような方法の1つとして、例えば、乗りかごのドアの隙間にダンボールの切れ端等を取付けることにより、ドアに設けられたセフティシューを常に動作させてドアを開いたままにする方法が知られている。なお、セフティシューとは、ドアの閉じ端部に設置され、乗りかごに乗降する乗客が戸閉動作中のドアに挟まれることを防止する安全装置である。従って、乗客が物をセフティシューに接触させたり、セフティシューを手で押さえたりすることにより、セフティシューがドアの戸開動作中に作動すると、ドアの戸開動作が継続し、セフティシューがドアの戸閉動作中に作動すると、ドアの動作が反転してドアの戸開動作が行われる。
【0006】
一方、上記方法では、引越し業者が乗りかごのドアの隙間にダンボールの切れ端等を取付ける際に、エレベータの機器を損傷させる可能性がある。そのため、万一、エレベータの機器が損傷してエレベータの復旧作業が必要になった場合には、エレベータを長時間に渡って使用できなくなることが懸念されていた。
【0007】
そこで、乗りかごのドアの全開状態を検出するドア全開検出器と、セフティシューの動作を検出するセフティシュー動作検出器と、ドア全開検出器の検出信号に基づいてドアが全開しているときに、セフティシュー動作検出器の検出信号に基づいてセフティシューが所定時間動作したことを検出した場合にドアの開延長動作を設定し開延長動作を行う制御盤とを備えたエレベータの制御装置が従来技術の1つとして提案されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、引越し業者は、乗りかごのドアの隙間にダンボールの切れ端等を取付けなくても、セフティシューを所定時間動作させることにより、ドアを開いたままにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−284725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された従来技術のエレベータの制御装置では、引越し業者によって荷物の搬入又は搬出が行われる階以外の階においても、セフティシューが所定時間動作する限り、制御盤による開延長動作が実施されるので、引越し業者と関係ない他の乗客が乗りかごに乗降する際にセフティシューに接触した場合には、ドアの戸開時間が長くなり、建物の各階を移動する乗りかごの運転効率が低下する虞がある。このように、従来技術のエレベータ制御装置では、乗りかごの運転効率について考慮されていないので、エレベータの乗客に対して迷惑をかける等の不都合が生じることが懸念されている。
【0010】
本発明は、このような従来技術の実情からなされたもので、その目的は、建物の各階を移動する乗りかごの運転効率を向上させることができるエレベータの戸開閉監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明のエレベータの戸開閉監視装置は、建物に設けられた昇降路内を昇降する乗りかごと、この乗りかごが前記建物の各階に停止したときに開閉するドアと、前記乗りかご及び前記ドアの運転を操作する操作盤とを備えたエレベータに設けられ、前記ドアの開閉動作を監視するエレベータの戸開閉監視装置において、前記ドアの戸開時間を測定する戸開時間測定部と、前記建物の各階のうち前記乗りかごが停止した停止階を検出する停止階検出部と、前記乗りかごが前記停止階に停止する際の運転方向を判定する運転方向判定部と、前記戸開時間測定部によって測定された前記ドアの戸開時間を、前記停止階検出部によって検出された前記停止階、及び前記運転方向判定部によって判定された前記運転方向に関連付けて記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記ドアの戸開時間が所定の時間を超えている場合に、当該戸開時間に関連付けられた第1の運転方向で昇降する前記乗りかごが、当該戸開時間に関連付けられた第1の停止階に再度停止したときの前記ドアの戸開時間を通常の戸開時間よりも延長した時間である延長時間となるようにする戸開延長部と、前記戸開延長部によって前記ドアの戸開時間が延長されている間に、前記延長時間よりも短い時間内に操作が完結するよう、前記操作盤の所定の操作が行われたとき、前記戸開延長部による前記ドアの戸開時間の延長を解除して、前記第1の運転方向で昇降する前記乗りかごが、前記第1の停止階に再度停止したときの前記ドアの戸開時間を、次回以降、前記通常の戸開時間となるように戻す延長解除部と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のエレベータの戸開閉監視装置によれば、乗りかごの運転効率を向上させることができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るエレベータの戸開閉監視装置の一実施形態の構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る操作盤の構成を示す正面図である。
図3】本実施形態に係る戸開閉装置の構成を説明する図である。
図4】本実施形態に係る記憶部に記憶された戸開時間テーブルの構成を示す図である。
図5】本実施形態に係る戸開閉監視装置の制御処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るエレベータの戸開閉監視装置を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0015】
本発明に係る戸開閉監視装置の一実施形態は、例えば、4階建ての建物に設置されたエレベータ1に設けられており、このエレベータ1のドア10(図3参照)の開閉動作を監視するものである。なお、本実施形態は、建物が4階建ての構造である場合について説明しているが、この場合に限定されるものではない。
【0016】
エレベータ1は、図1に示すように、昇降路2内を昇降する乗りかご3と、一端が乗りかご3に取付けられた主ロープ4と、この主ロープ4の他端が取付けられ、昇降路2内に吊り下げられた釣合い錘5とを備えている。
【0017】
また、エレベータ1は、昇降路2の上方に位置する機械室6に設けられ、乗りかご3及び釣合い錘5を駆動する巻上機7と、この巻上機7の近傍に配置されたそらせ車8と、水平方向に開閉し、乗りかご3と建物の各階9A〜9Dの乗場とを連絡する出入口となる前述のドア10と、乗りかご3の内壁に設けられ、乗りかご3及びドア10の運転を操作する操作盤11とを備えている。
【0018】
さらに、エレベータ1は、乗りかご3の上部に設けられ、ドア10を駆動する戸開閉装置15と、機械室6に設けられ、乗りかご3及びドア10の運転を制御する制御装置16と、建物の各階9A〜9Dのうちドア10が停止した停止階を検出する停止階検出部17とを備えている。
【0019】
巻上機7は、主ロープ4が巻き掛けられた駆動シーブ7Aと、この駆動シーブ7Aを回転させる電動機7Bと、駆動シーブ7Aの回転を制動するブレーキ装置(図示せず)とを有している。
【0020】
ドア10は、例えば、各階9A〜9Bの乗場側(正面側)から見て左右の一方向へ開閉する片開き構造になっている。また、ドア10は、閉じ端部に設置され、乗りかご3に乗降する乗客が戸閉動作中のドア10に挟まれることを防止するセフティシュー10A(図3参照)を有している。このセフティシュー10Aは、例えば、図示しないが、表面が受けた押圧力を検出する押圧センサを有しており、この押圧センサは後述のドアモータ制御部15F(図3参照)に通信接続されている。なお、ドア10は、上述した片開き構造の場合に限らず、例えば、乗りかご3の出入口の中央から左右の両側へ開閉する両開き構造であってもよい。
【0021】
図2は操作盤11の構成を示す正面図である。
【0022】
図2に示すように、操作盤11は、例えば、上下方向に配置され、乗りかご3の行先階を指定する行先階釦11Aと、ドア10を戸開させる指示を行う戸開釦11Bと、ドア10を戸閉させる指示を行う戸閉釦11Cとを含んでいる。操作盤11は、テールコード(図示せず)等を介して制御装置16に通信接続されており、これらの行先階釦11A、戸開釦11B、及び戸閉釦11Cが操作されると、その操作信号が制御装置16へ出力されるようになっている。
【0023】
行先階釦11Aは、例えば、上下方向に一列に並んで配置された4つの押釦から成り、便宜的に下から上に向かって順に、行先階として1階を指定する行先階釦11A1と、行先階として2階を指定する行先階釦11A2と、行先階として3階を指定する行先階釦11A3と、行先階として4階を指定する行先階釦11A4とから構成されている。戸開釦11B及び戸閉釦11Cは、例えば、行先階釦11Aの上方に位置し、左右に並列して配置されている。
【0024】
図3は戸開閉装置15の構成を示す図であり、乗りかご3を建物の各階9A〜9Dの乗場側から見た図である。
【0025】
図3に示すように、戸開閉装置15は、操作盤11の戸開釦11B又は戸閉釦11Cが操作されたことに応じて、トルクによってドア10を開閉させるドアモータ15Aと、このドアモータ15Aに回転可能に取付けられ、ドアモータ15Aの駆動力で回転する駆動プーリ15Bと、この駆動プーリ15Bに追従して回転する従動プーリ15Cとを含んでいる。
【0026】
戸開閉装置15は、これらの駆動プーリ15B及び従動プーリ15Cに巻き掛けられ、駆動プーリ15B及び従動プーリ15Cに摺動するベルト15Dと、ベルト15Dのうち駆動プーリ15Bと従動プーリ15Cとの間の部分に係合するドアハンガ15Eと、通信ケーブル31等を介してドアモータ15Aと通信接続され、ドアモータ15Aの回転動作を制御するドアモータ制御部15Fとを含んでいる。なお、このドアモータ制御部15Fは、例えば、乗りかご3の天井の上部に設置されている。
【0027】
図1に示すように、制御装置16は、操作盤11及び巻上機7の電動機7Bと電気的に接続されており、操作盤11の操作や乗場に設置された乗場釦(図示せず)の操作に応じて、巻上機7の電動機7Bを駆動することにより、乗りかご3を釣合い錘5に対して相対的に昇降させるようにしている。また、制御装置16は、テールコード(図示せず)等を介してドアモータ制御部15Fと通信接続されており、ドア10の駆動に関する各種の信号を入出力する。
【0028】
このように構成された制御装置16は、例えば、昇降路2内を昇降する乗りかご3が建物の各階9A〜9Dで停止すると、ドア10を戸開させる指令である戸開信号をドアモータ制御部15Fへ出力する。ドアモータ制御部15Fは、制御装置16からの戸開信号に応じて、ドアモータ15Aを駆動して駆動プーリ15Bを正転させる。これにより、駆動プーリ15Bの回転に伴ってベルト15Dが駆動プーリ15Bの回転方向と同じ方向へ回動し、ベルト15Dに摺接する従動プーリ15Cが回転すると共に、ベルト15Dに係合するドアハンガ15Eを介してドア10が戸開する。
【0029】
一方、乗客が停止した乗りかご3内に乗車し、操作盤11の行先階釦11Aを操作した後に戸閉釦11Cを押下したり、あるいはドア10が戸開してから所定の時間T1の間、操作盤11が操作されなければ、制御装置16は、ドア10を戸閉させる指令である戸閉信号をドアモータ制御部15Fへ出力する。ドアモータ制御部15Fは、制御装置16からの戸閉信号に応じて、ドアモータ15Aを駆動して駆動プーリ15Bを逆転させる。これにより、駆動プーリ15Bの回転に伴ってベルト15Dが駆動プーリ15Bの回転方向と同じ方向へ回動し、ベルト15Dに摺接する従動プーリ15Cが回転すると共に、ベルト15Dに係合するドアハンガ15Eを介してドア10が戸閉する。なお、ドア10が戸閉中にドアセフティシュー10Aが作動すると、制御装置16からドアモータ制御部15Fへの戸閉信号の出力が中断され、制御装置16からドアモータ制御部15Fへ戸開信号が出力される。
【0030】
このようにドア10が開閉駆動するため、引越し業者は、乗りかご3の停止階の乗場と乗りかご3内との間で家具等の荷物の搬入又は搬出を行う際には、戸開釦11Bを押下し続けたり、あるいはドアセフティシュー10Aを押圧して人為的に作動させることにより、ドア10を開いたままの状態に維持することができる。
【0031】
停止階検出部17は、例えば、昇降路2内に設けられた遮蔽板(図示せず)と、乗りかご3に設けられ、遮蔽板を通過することによって乗りかご3の現在位置、すなわち高さ位置を検出するポジテクタ(図示せず)と、このポジテクタの検出信号に基づいて、乗りかご3の停止階を演算する停止階演算部17Aとから構成されている。この停止階演算部17Aは制御装置16の内部に搭載されており、停止階演算部17Aによる乗りかご3の停止階の演算が制御装置16内で行われるようになっている。
【0032】
本実施形態に係る戸開閉監視装置20は、通信ケーブル32等を介して制御装置16と通信接続された通信部20Aと、この通信部20Aを介してエレベータ1の制御に関する制御信号及び停止階検出部17の検出信号を制御装置16から受信し、エレベータ1の各種の情報を処理する情報処理部20Bと、ドア10の戸開時間を測定する戸開時間測定部20Cと、乗りかご3が停止階に停止する際の運転方向を判定する運転方向判定部20Dとを備えている。
【0033】
また、戸開閉監視装置20は、情報処理部20Bによって処理された情報を記憶する記憶部20Eと、この記憶部20Eに記憶された情報に基づいて、ドア10の戸開時間を通常の戸開時間よりも延長する戸開延長部20Fと、この戸開延長部20Fによってドア10の戸開時間が延長されている間に、操作盤11の所定の操作が行われたとき、戸開延長部20Fによるドア10の戸開時間の延長を解除する延長解除部20Gとを備えている。これらの戸開時間測定部20C、運転方向判定部20D、記憶部20E、戸開延長部20F、及び延長解除部20Gは、通信バス33等を介して情報処理部20Bと通信接続されている。
【0034】
通信部20Aは、外部の制御装置16との間で各種の情報や信号の入出力を行うものである。情報処理部20Bは、例えば図示されないが、エレベータ1の制御信号を分析するための各種の演算を行うCPU(Central Processing Unit)と、CPUによる演算を実行するためのプログラムを格納するROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置と、CPUがプログラムを実行する際の作業領域となるRAM(Random Access Memory)とを含むハードウェアから構成されている。また、情報処理部20Bは、例えば、エレベータ1の制御信号を分析し、この制御信号に含まれる各種の信号を抽出して運転方向判定部20D、戸開延長部20F、及び延長解除部20Gへ出力する。
【0035】
戸開時間測定部20Cは、情報処理部20Bの指示に従って、ドア10の戸開時間として、ドア10が戸開し始めてから完全に戸閉するまでの時間を測定し、測定した戸開時間の情報を情報処理部20Bへ出力する。運転方向判定部20Dは、情報処理部20Bによって抽出された巻上機7の電動機7Bへの出力信号に基づいて、乗りかご3が昇降してから停止階へ停止するまでの運転方向、すなわち上昇方向及び下降方向のいずれかを判定する。
【0036】
さらに、情報処理部20Bは、戸開時間測定部20Cによって測定されたドア10の戸開時間、停止階検出部17によって検出された停止階、及び運転方向判定部20Dによって判定された運転方向の情報を取得して記憶部20Eへ出力する。
【0037】
記憶部20Eは、情報を固定的に記憶するHDDを含むハードウェアから構成されており、情報処理部20Bから入力したドア10の戸開時間を、乗りかご3の停止階及び運転方向に関連付けた戸開時間テーブルを記憶する。
【0038】
以下、記憶部20Eに記憶された戸開時間テーブルの構成について、図4を参照して詳細に説明する。
【0039】
図4に示すように、戸開時間テーブル20eは、例えば、乗りかご3の停止階として、下から順に1階9A〜4階9Dを示す停止階欄20e1と、この停止階欄20e1の停止階毎に区分され、各停止階に対応する乗りかご3の上昇方向又は下降方向を示す運転方向欄20e2と、これらの停止階欄20e1の停止階及び運転方向欄20e2の運転方向毎に区分され、各停止階及び運転方向に対応するドア10の戸開時間を示す戸開時間欄20e3とから構成されている。
【0040】
従って、停止階検出部17によって検出された停止階が2階9B、運転方向判定部20Dによって判定された運転方向が上昇方向、戸開時間測定部20Cによって測定されたドア10の戸開時間が100である場合には、戸開時間テーブル20eにおいて、戸開時間欄20e3のうち停止階欄20e1の「2階」及び運転方向欄20e2の「上昇」に対応する欄に「100」が記憶部20Eに書き込まれる。
【0041】
また、停止階検出部17によって検出された停止階が2階9B、運転方向判定部20Dによって判定された運転方向が下降方向、戸開時間測定部20Cによって測定されたドア10の戸開時間が30である場合には、戸開時間テーブル20eにおいて、戸開時間欄20e3のうち停止階欄20e1の「2階」及び運転方向欄20e2の「下降」に対応する欄に「30」が書き込まれる。
【0042】
ここで、乗りかご3は2階9B及び3階9Cを上昇又は下降するが、1階9Aは最下階であり、他の階から1階9Aへ下降して停止するしかないことから、戸開時間テーブル20eにおいて、戸開時間欄20e3のうち停止階欄20e1の「1階」及び運転方向欄20e2の「上昇」に対応する欄への書き込みは行われない。同様に、4階9Dは最上階であり、他の階から4階9Dへ上昇して停止するしかないことから、戸開時間テーブル20eにおいて、戸開時間欄20e3のうち停止階欄20e1の「4階」及び運転方向欄20e2の「下降」に対応する欄への書き込みは行われない。
【0043】
また、情報処理部20Bは、乗りかご3が停止階に停止する度に、記憶部20Eに記憶された戸開時間テーブル20eを読出し、この戸開時間テーブル20eにおいて、停止階検出部17によって検出された停止階、及び運転方向判定部20Dによって判定された運転方向にそれぞれ対応するドア10の戸開時間の情報を戸開延長部20Fへ出力する。
【0044】
戸開延長部20Fは、情報処理部20Bから入力したドア10の戸開時間が所定の時間T2を超えている場合に、当該戸開時間に関連付けられた運転方向で昇降する乗りかご3が、当該戸開時間に関連付けられた停止階に再度停止したときのドア10の戸開時間を通常の戸開時間よりも延長する機能を有している。
【0045】
戸開延長部20Fによるドア10の戸開時間の延長を解除する判断基準となる上述の所定の操作は、例えば、操作盤11の戸閉釦11Cが所定の時間T3内に所定の回数押下される操作とする。この場合、延長解除部20Gは、情報処理部20Bによって抽出された操作盤11の操作信号に基づいて、戸閉釦11Cが所定の時間T3内に所定の回数押下されたかどうかを判断する。
【0046】
また、延長解除部20Gは、戸閉釦11Cが所定の時間T3内に所定の回数押下されなくても、ドア10の戸開時間が延長されてから当該時間T3よりも長い所定の時間T4が経過したとき、戸開延長部20Fによるドア10の戸開時間の延長を解除する機能を有している。
【0047】
次に、本実施形態に係る戸開閉監視装置20の制御処理について、図5を参照して詳細に説明する。
【0048】
図5は戸開閉監視装置20の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0049】
図5に示すように、まず戸開閉監視装置20の情報処理部20Bは、制御装置16から入力したエレベータ1の制御信号を分析し、乗りかご3が停止階に停止したかどうかを確認する(ステップ(以下、Sと記す)1)。このとき、情報処理部20Bは、乗りかご3が停止階に停止しておらず、まだ昇降路2内を走行していることを確認した場合には(S1/NO)、S1の制御処理が繰り返される。
【0050】
S1において、情報処理部20Bは、乗りかご3が停止階に停止したことを確認した場合には(S1/YES)、記憶部20Eに既に記憶されている戸開時間テーブル20eを旧戸開時間テーブルとして読出した後(S2)、制御装置16から停止階検出部17の検出信号を入力し、乗りかご3の停止階の情報を取得すると共に、運転方向判定部20Dから乗りかご3の運転方向の情報を取得する(S3)。
【0051】
次に、情報処理部20Bは、S3において取得した乗りかご3の停止階及び運転方向にそれぞれ対応するドア10の戸開時間の情報、すなわち乗りかご3が前回停止したときのドア10の戸開時間の情報を戸開延長部20Fへ出力する。そして、戸開延長部20Fは、情報処理部20Bから入力したドア10の戸開時間が所定の時間T2を超えているかどうかを判断する(S4)。
【0052】
このとき、戸開延長部20Fは、ドア10の戸開時間が所定の時間T2を超えていないと判断すると(S4/NO)、ドア10の戸開時間を延長させる指令である戸開時間延長信号を出力せず、その旨を情報処理部20Bへ通知する。次に、情報処理部20Bは、エレベータ1の制御信号を分析することにより、エレベータ1の制御信号に含まれる戸開信号の有無に応じて、ドア10の戸開動作が開始したかどうかを判断する(S5)。このとき、情報処理部20Bは、ドア10の戸開動作が開始していないと判断すると(S5/NO)、S5の制御処理が繰り返される。
【0053】
S5において、情報処理部20Bは、ドア10の戸開動作が開始したと判断すると(S5/YES)、戸開時間測定部20Cによるドア10の戸開時間の測定を行う(S6)。このとき、引越し業者が乗りかご3内に最初に荷物を搬入・搬出した場合には、戸開釦11Cの操作やセフティシュー10Aの作動等によりドア10が開いた状態にされるので、ドア10の戸開時間は通常の戸開時間に比べて長くなる。
【0054】
次に、情報処理部20Bは、エレベータ1の制御信号を分析することにより、エレベータ1の制御信号に含まれる戸閉信号の有無に応じて、ドア10が戸閉したかどうかを判断する(S7)。このとき、情報処理部20Bは、ドア10がまだ戸閉していないと判断すると(S7/NO)、S6におけるドア10の戸開時間の測定を継続する。
【0055】
S7において、情報処理部20Bは、ドア10が戸閉したと判断すると(S7/YES)、戸開時間測定部20Cによるドア10の戸開時間の測定を終了し(S8)、戸開時間測定部20Cによって測定された戸開時間、S3において取得した乗りかご3の停止階及び運転方向の情報を記憶部20Eへ出力する。そして、記憶部20Eは、情報処理部20Bから入力したドア10の戸開時間を、乗りかご3の停止階及び運転方向に関連付けた戸開時間テーブル20eを新戸開時間テーブルとして記憶して更新し(S9)、本実施形態に係る戸開閉監視装置20の制御処理を終了する。
【0056】
一方、S4において、戸開延長部20Fは、ドア10の戸開時間が所定の時間T2を超えていると判断すると(S4/YES)、情報処理部20Bは、エレベータ1の制御信号を分析することにより、エレベータ1の制御信号に含まれる戸開信号の有無に応じて、ドア10の戸開動作が開始したかどうかを判断する(S10)。このとき、情報処理部20Bは、ドア10の戸開動作が開始していないと判断すると(S10/NO)、S10の制御処理が繰り返される。
【0057】
S10において、情報処理部20Bは、ドア10の戸開動作が開始したと判断すると(S10/YES)、戸開延長部20Fが通信部20Aを介して戸開時間延長信号を制御装置16へ出力する(S11)。これにより、制御装置16からドアモータ制御部15Fへ戸開信号が出力され続け、戸閉信号が出力されないので、ドアモータ15Aによってドア10が戸開したままに維持される。
【0058】
通常、引越し作業では、建物の各階9A〜9Dのうち、乗りかご3内に荷物を搬入する階と、乗りかご3内から荷物を搬出する階との合計2つの階において、ドア10の戸開時間が所定の時間T2よりも長くなるので、これらの階に停止した乗りかご3のドア10の戸開時間が延長されることになる。
【0059】
次に、情報処理部20Bは、エレベータ1の制御信号を分析することにより、エレベータ1の制御信号に含まれる操作盤11の戸閉釦11Cの操作信号の有無に応じて、戸閉釦11Cが操作されたかどうかを判断する(S12)。このとき、情報処理部20Bは、戸閉釦11Cが操作されていないと判断した場合には(S12/NO)、その旨を延長解除部20Gへ通知する。
【0060】
次に、延長解除部20Gは、ドア10の戸開時間が延長されてから所定の時間T4が経過したかどうかを判断する(S13)。このとき、延長解除部20Gは、ドア10の戸開時間が延長されてから所定の時間T4がまだ経過していないと判断すると(S13/NO)、S11からの制御処理が行われる。
【0061】
S13において、延長解除部20Gは、ドア10の戸開時間が延長されてから所定の時間T4が経過したと判断すると(S13/YES)、戸開延長部20Fによる戸開時間延長信号の出力を停止させる(S14)。これにより、制御装置16からドアモータ制御部15Fへ戸閉信号が出力されるので、ドアモータ15Aによってドア10が戸閉し、本実施形態に係る戸開閉監視装置20の制御処理を終了する。なお、この場合には、記憶部20Eに記憶されている戸開時間テーブル20eが変更されずにそのまま存続することになる。
【0062】
S12において、情報処理部20Bは、戸閉釦11Cが操作されたと判断した場合には(S12/YES)、エレベータ1の制御信号から抽出した戸閉釦11Cの操作信号を延長解除部20Gへ出力する。次に、延長解除部20Gは、情報処理部20Bから入力した戸閉釦11Cの操作信号に基づいて、戸閉釦11Cが所定の時間T3内に所定の回数押下されたかどうかを判断する(S15)。このとき、延長解除部20Gは、戸閉釦11Cが所定の時間T3内に所定の回数押下されていないと判断すると(S15/NO)、S13の制御処理が行われる。
【0063】
一方、S15において、延長解除部20Gは、戸閉釦11Cが所定の時間T3内に所定の回数押下されたと判断すると(S15/YES)、情報処理部20Bが記憶部20Eに記憶されている戸開時間テーブル20eを消去する(S16)。そして、S14の制御処理が行われた後、本実施形態に係る戸開閉監視装置20の制御処理を終了する。
【0064】
このように構成した本実施形態に係る戸開閉監視装置20によれば、記憶部20Eに記憶された戸開時間テーブル20eのドア10の戸開時間が所定の時間T2を超えている場合に、当該戸開時間に関連付けられた運転方向で昇降する乗りかご3が、当該戸開時間に関連付けられた停止階に再度停止すると、戸開延長部20Fによってドア10の戸開時間が通常の戸開時間よりも延長される。そのため、引越し作業において、引越し業者が乗りかご3の停止階の乗場と乗りかご3内との間で荷物の搬入又は搬出を行う際に、戸開釦11Bを押下したり、あるいはドアセフティシュー10Aを押圧して人為的に作動させ、記憶部20Eの旧戸開時間テーブルを新戸開時間テーブルに更新することにより、荷物の搬入又は搬出が行われる階に限定して、ドア10を通常よりも長く開いた状態にすることができる。
【0065】
従って、引越し業者と関係ない他の乗客がエレベータ1を利用した際に、荷物の搬入又は搬出が行われる階以外の階へ円滑に移動できるので、建物の各階9A〜9Dを移動する乗りかご3の運転効率を向上させることができる。これにより、引越し作業が行われていても、乗客はエレベータ1を有効に活用できるので、乗客に対して優れたサービス性を提供することができる。
【0066】
また、本実施形態に係る戸開閉監視装置20では、引越し作業が終了すると、引越し業者が戸閉釦11Cを所定の時間T3内に所定の回数押下することにより、延長解除部20Gによってドア10の戸開時間の延長を意図的に解除できるので、乗りかご3の停止階におけるドア10の戸開時間を通常の戸開時間に迅速に戻すことができる。これにより、引越し作業が行われた直後に、乗客が荷物の搬入又は搬出が行われた階の乗場から乗りかご3内に乗車しても、ドア10の戸開時間が延長されることがないので、乗客の乗りかご3内での待ち時間を短くすることができる。
【0067】
また、本実施形態に係る戸開閉監視装置20は、引越し業者が戸開延長部20Fによるドア10の戸開時間の延長を解除するのに、戸閉釦11Cを所定の時間T3内に所定の回数押下するだけで複雑な操作を必要としないので、当該操作を行う引越し業者への負担を軽減することができる。これにより、引越し業者に対する利便性を高めることができる。
【0068】
なお、上述した本実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【0069】
また、本実施形態は、ドア10が閉じ端部に設置されたセフティシュー10Aを有する構成について説明したが、この場合に限らず、例えば、乗りかご3の出入口を形成する枠体に設けられ、ドア10の閉じ端部へ向けて赤外線等の光を発する光電装置を有し、この光電装置から発せられた光が遮断されることにより、ドア10を戸開させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 エレベータ
2 昇降路
3 乗りかご
7 巻上機
7A 駆動シーブ
7B 電動機
9A〜9D 乗場
10 ドア
10A セフティシュー
11 操作盤
11A 行先階釦
11B 戸開釦
11C 戸閉釦
15 戸開閉装置
16 制御装置
17 停止階検出部
17A 停止階演算部
20 戸開閉監視装置
20A 通信部
20B 情報処理部
20C 戸開時間測定部
20D 運転方向判定部
20E 記憶部
20e 戸開時間テーブル
20e1 停止階欄
20e2 運転方向欄
20e3 戸開時間欄
20F 戸開延長部
20G 延長解除部
図1
図2
図3
図4
図5