【実施例1】
【0012】
図1は本発明の作業機械の油圧制御装置の第1の実施の形態を備えた作業機械を示す斜視図、
図2は本発明の作業機械の油圧制御装置の第1の実施の形態を示す油圧制御回路図である。
図1に示すように、本発明の作業機械の油圧制御装置の第1の実施の形態を備えた油圧ショベルは、下部走行体1と、この下部走行体1上に配置される上部旋回体2と、この上部旋回体2に上下方向の回動可能に接続されるフロント作業機と原動機としてのエンジン2Aとを備えている。フロント作業機は、上部旋回体2に取り付けられるブーム3と、このブーム3の先端に取り付けられるアーム4と、このアーム4の先端に取り付けられるバケット5とを備えている。また、このフロント作業機は、ブーム3を駆動する一対のブームシリンダ6と、アーム4を駆動するアームシリンダ7と、バケット5を駆動するバケットシリンダ8とを備えている。
【0013】
また。この油圧ショベルは、上部旋回体1の運転室に設けた第1操作レバー9a、第2操作レバー9bの操作に応じて、図示しない油圧ポンプ装置が吐出した圧油を、コントロールバルブ10を介してブームシリンダ6、アームシリンダ7、バケットシリンダ8および旋回油圧モータ11へ供給する。ブームシリンダ6、アームシリンダ7、バケットシリンダ8の各シリンダロッドが圧油によって伸縮することで、バケット5の位置と姿勢とを変化させることができる。また、旋回油圧モータ11が圧油によって回転することで、下部走行体1に対して上部旋回体2が旋回する。
【0014】
コントロールバルブ10は後述する走行右用方向制御弁12aと、走行左用方向制御弁12bと、ブーム用第1方向制御弁13aと、ブーム用第2方向制御弁13bと、アーム用第1方向制御弁14bと、アーム用第2方向制御弁14aと、アーム用第3方向制御弁14cと、バケット用方向制御弁15aと、旋回用方向制御弁16cとを備えている。
【0015】
エンジン2Aには、エンジン回転数を検出する回転数センサ2Axが設けられている。ブームシリンダ6には、ボトム側油室の圧力を検出する圧力センサA6と、ロッド側油室の圧力を検出する圧力センサB6とが設けられている。また、アームシリンダ7には、ボトム側油室の圧力を検出する負荷取得手段としての圧力センサA7と、ロッド側油室の圧力を検出する圧力センサB7とが設けられている。同様に、バケットシリンダ8には、ボトム側油室の圧力を検出する圧力センサA8と、ロッド側油室の圧力を検出する圧力センサB8とが設けられている。また、旋回油圧モータ11は、左右の旋回圧を検出するための圧力センサA11と、B11とを備えている。これらの圧力センサA6〜8、B6〜8、A11、B11が検出した圧力信号と回転数センサ2Axが検出したエンジン回転数は、後述するコントローラ100に入力されている。
【0016】
本発明の作業機械の油圧制御装置の第1の実施の形態を構成するポンプ装置20は、
図2に示すように、可変容量型の油圧ポンプである第1油圧ポンプ20aと第2油圧ポンプ20bと第3油圧ポンプ20cとを備えている。第1〜第3油圧ポンプ20a〜20cは、エンジン2Aにより駆動されている。
【0017】
第1油圧ポンプ20aは、後述するコントローラ100からの指令信号で駆動するレギュレータ20dを備え、制御された圧油の吐出流量を第1ポンプライン21aへ供給する。同様に、第2油圧ポンプ20bは、後述するコントローラ100からの指令信号で駆動するレギュレータ20eを備え、制御された圧油の吐出流量を第2ポンプライン21bへ供給する。また、第3油圧ポンプ20cは、後述するコントローラ100からの指令信号で駆動するレギュレータ20fを備え、制御された圧油の吐出流量を第3ポンプライン21cへ供給する。
【0018】
本実施の形態と直接的に関係しないリリーフ弁、リターン回路、ロードチェック弁などは説明の簡略化のため省略している。また、本実施の形態においては、公知のオープンセンタ式の油圧制御装置に適用した例を説明するが、本発明をこれに限定するものではない。
【0019】
第1油圧ポンプ20aの吐出口に連通する第1ポンプライン21aには、走行右用方向制御弁12aと、バケット用方向制御弁15aと、アーム用第2方向制御弁14aと、ブーム用第1方向制御弁13aとを配置している。走行右用方向制御弁12aを優先するタンデム回路として構成しており、残りのバケット用方向制御弁15aとアーム用第2方向制御弁14aとブーム用第1方向制御弁13aとはパラレル回路として構成している。
【0020】
第2油圧ポンプ20bの吐出口に連通する第2ポンプライン21bには、ブーム用第2方向制御弁13bと、アーム用第1方向制御弁14bと、走行左用方向制御弁12bとを配置している。ブーム用第2方向制御弁13bとアーム用第1方向制御弁14bとはパラレル回路として、走行左用方向制御弁12bはパラレル−タンデム回路として構成しているが、走行左用方向制御弁12bのパラレル回路には、第2油圧ポンプ20b側からの流入のみを許容する逆止弁17と絞り18とを配置している。また、走行左用方向制御弁12bは、走行連通弁19を介して第1油圧ポンプ20と連通できる。
【0021】
第3油圧ポンプ20cの吐出口に連通する第3ポンプライン21cには、アーム用第3方向制御弁14cと、旋回用方向制御弁16cとを配置している。旋回用方向制御弁16cを優先するタンデム回路として構成している。
【0022】
なお、ブーム用第1方向制御弁13aの出口ポートとブーム用第2方向制御弁13bの出口ポートとは、図示しない合流通路を介してブームシリンダ6に連通している。また、アーム用第2方向制御弁14aの出口ポートとアーム用第1方向制御弁14bの出口ポートとアーム用第3方向制御弁の出口ポートとは、図示しない合流通路を介してアームシリンダ7に連通している。また、バケット用方向制御弁15aの出口ポートはバケットシリンダ5に連通し、旋回用方向制御弁16cの出口ポートは旋回油圧モータ11に連通している。
【0023】
図2において、第1操作レバー9a〜第4操作レバー9dは、それぞれ内部に図示しないパイロット弁を備えていて、各操作レバーの傾動操作の操作量に応じたパイロット圧を発生させている。各操作レバーからのパイロット圧は、各方向制御弁の操作部へ供給されている。
【0024】
第1操作レバー9aからは、破線BkCとBkDで示すパイロットラインがバケット用方向制御弁15aの操作部に接続されていて、操作レバーの傾動操作の操作量に応じて発生するバケットクラウドパイロット圧と、バケットダンプパイロット圧とが供給されている。また、第1操作レバー9aからは、破線BmDとBmUで示すパイロットラインがブーム用第1方向制御弁13aとブーム用第2方向制御弁13bの各操作部に接続されていて、操作レバーの傾動操作の操作量に応じて発生するブーム上げパイロット圧、ブーム下げパイロット圧が供給されている。
【0025】
破線BkCとBkDで示すパイロットラインには、バケットクラウドパイロット圧力を検出する圧力センサ105とバケットダンプパイロット圧力を検出する圧力センサ106とが設けられている。また、破線BmDとBmUで示すパイロットラインには、ブーム上げパイロット圧力を検出する圧力センサ101とブーム下げパイロット圧力を検出する圧力センサ102とが設けられている。これらの圧力センサ101、102、105及び106は、それぞれ動作指示検出手段であり、これらの圧力センサ101、102、105及び106が検出した圧力信号は、コントローラ100に入力されている。
【0026】
第2操作レバー9bからは、破線AmCとAmDで示すパイロットラインが、アーム用第1方向制御弁14bとアーム用第2方向制御弁14aとアーム用第3方向制御弁14cの各操作部に接続されていて、操作レバーの傾動操作の操作量に応じて発生するアームクラウドパイロット圧、アームダンプパイロット圧が供給されている。また、第2操作レバー9bからは、破線SwRとSwLで示すパイロットラインが旋回用方向制御弁16cの操作部に接続されていて、操作レバーの傾動操作の操作量に応じて発生する旋回右パイロット圧、旋回左パイロット圧が供給されている。
【0027】
破線AmCとAmDで示すパイロットラインには、アームクラウドパイロット圧力を検出する圧力センサ103とアームダンプパイロット圧力を検出する圧力センサ104とが設けられている。また、アーム用第3方向制御弁14cの操作部に接続するアームクラウドパイロットラインには、供給されるアームクラウドパイロット圧油を制限又は遮断するアーム3クラウド減圧弁22が設けられている。
【0028】
また、破線SwRとSwLで示すパイロットラインには、旋回右パイロット圧力を検出する圧力センサ108と旋回左パイロット圧力を検出する圧力センサ107とが設けられている。これらの圧力センサ103、104、107及び108は、それぞれ動作指示検出手段であり、これらの圧力センサ103、104、107及び108が検出した圧力信号は、コントローラ100に入力されている。
【0029】
第3レバー装置9cからは、破線TrRFとTrRRで示すパイロットラインが、走行右用方向制御弁12aの操作部に接続されていて、操作レバーの傾動操作の操作量に応じて発生する走行右前進パイロット圧、走行右後進パイロット圧が供給されている。
【0030】
第4レバー装置9dからは、破線TrLFとTrLRで示すパイロットラインが、走行左用方向制御弁12bの操作部に接続されていて、操作レバーの傾動操作の操作量に応じて発生する走行左前進パイロット圧、走行左後進パイロット圧が供給されている。
【0031】
本実施の形態における油圧制御装置は、コントローラ100を備えている。コントローラ100は、
図1に示す回転数センサ2Axからエンジン回転数を入力し、上述した圧力センサ101〜108から各パイロットラインのパイロット圧力信号を入力する。また、
図1に示す圧力センサA6〜8、B6〜8、A11、B11から、各アクチュエータの圧力信号を入力する。
【0032】
また、コントローラ100は、第1油圧ポンプ20aのレギュレータ20dと、第2油圧ポンプ20bのレギュレータ20eと、第3油圧ポンプ20cのレギュレータ20fとへ、それぞれ指令信号を出力して、各油圧ポンプ20a〜20cの吐出流量を制御する。また、コントローラ100は、アーム3クラウド減圧弁22の操作部へ指令信号を出力して、アーム用第3方向制御弁14cの操作部へ供給されるアームクラウドパイロットラインAmcの圧力を制限又は遮断するように制御する。この指令信号が増加すると、アーム用第3方向制御弁14cの操作部へ供給されるパイロット圧力が遮断される。この結果、第3油圧ポンプ20cとアームシリンダ7との連通が遮断され、第3ポンプライン21Cからの圧油はタンクへ還流する。
【0033】
次に、本発明の作業機械の油圧制御装置の第1の実施の形態を構成するコントローラについて図を用いて説明する。
図3は本発明の作業機械の油圧制御装置の第1の実施の形態を構成するコントローラの構成を示す概念図、
図4は本発明の作業機械の油圧制御装置の第1の実施の形態を構成するコントローラの目標動作演算部のマップの一例を示す特性図、
図5は本発明の作業機械の油圧制御装置の第1の実施の形態を構成するコントローラの連通制御部の演算内容の一例を示す制御ブロック図である。
【0034】
図3に示すように、コントローラ100は、各パイロット圧および各負荷圧から各目標流量を演算する目標動作演算部110と、コントロールバルブ10の連通状態を制御するアーム3クラウド減圧弁22の指令信号を演算する連通制御手段としての連通制御部120と、目標動作演算部110の算出した各目標流量と回転数センサ2Axからのエンジン回転数を基に、第1〜3油圧ポンプ20a〜20cの各流量指令信号を演算するポンプ流量制御手段としての流量制御部130とを備えている。流量制御部130からは、各油圧ポンプのレギュレータ20d〜20fへ指令信号が出力され、第1〜3油圧ポンプ20a〜20cの吐出流量がそれぞれ制御される。
【0035】
目標動作演算部110は、入力される各パイロット圧力の増加に応じて、それぞれの目標流量を増加させ、入力される各負荷圧力の増加に応じて、それぞれの目標流量を減少させるように、各目標流量を演算している。また、連動操作時は、各目標流量が、単独操作の場合と比較して少なくなるような演算が行われる。
【0036】
目標動作演算部110で行う演算の一例を
図4と数式を用いて説明する。目標動作演算部110には、
図4に示すパイロット圧から基準流量を演算するマップが、アクチュエータ毎に記憶されている。例えば旋回目標流量Qswは、旋回右パイロット圧力と旋回左パイロット圧力の最大値を選択した値である旋回パイロット圧力から算出される。同様に、アームクラウド基準流量Qamc0は、アームクラウドパイロット圧力から、ダンプ基準流量Qamd0はアームダンプパイロット圧力からそれぞれ算出される。
【0037】
また、ブーム上げ基準流量Qbmu0は、ブーム上げパイロット圧力から算出される。さらに、バケットクラウド基準流量Qbkc0は、バケットクラウドパイロット圧力から、バケットダンプ基準流量Qbkd0は、バケットダンプパイロット圧力からそれぞれ算出される。
【0038】
目標動作演算部110は、旋回目標流量Qswから、演算式数1を用いてブーム目標流量Qbmを算出する。
【0039】
【数1】
【0040】
ここで、Qbmmaxはブーム流量の上限値であって、ブーム上げの最大速度に合わせて設定する。また、kswbmは、ブーム流量低減係数であって、旋回目標流量Qswが増加すれば、するほどブーム目標流量Qbmは小さくなる。なお、ブーム流量低減係数kswbmを用いる替わりに、旋回目標流量Qswが増加するほどブーム流量の上限値Qbmmaxが小さくなるようなマップを用いても良い。
【0041】
目標動作演算部110は、演算式数2と数3とを用いて、旋回動力Lswとブーム動力Lbmとをそれぞれ算出する。
【0042】
【数2】
【0043】
【数3】
【0044】
ここで、Pswは旋回圧であって、圧力センサA11とB11とが検出した旋回左圧と旋回右圧からメータイン側の圧力を選択した値である。また、Pbmbはブームボトム圧であって、圧力センサA6が検出したブームシリンダ6のボトム側油室の圧力である。
【0045】
目標動作演算部110は、演算式数4と数5とを用いて、バケット動力上限値Lbkmaxとアーム動力上限値Lammaxとをそれぞれ算出する。
【0046】
【数4】
【0047】
【数5】
【0048】
ここで、Lmaxはシステムの総動力上限値である。また、kbkはバケット動力係数を、kamはアーム動力係数をそれぞれ示している。バケット動力係数kbkとアーム動力係数kamは、バケットクラウドパイロット圧BkC、バケットダンプパイロット圧BkD、アームクラウドパイロット圧AmC、アームダンプパイロット圧AmDと演算式数6を用いて算出する。
【0049】
【数6】
【0050】
目標動作演算部110は、バケットクラウド基準流量Qbkc0とバケットダンプ基準流量Qbkd0とバケット動力上限Lbkmaxと演算式数7とを用いてバケット目標流量Qbkを算出する。また、目標動作演算部110は、アームクラウド基準流量Qamc0とアームダンプ基準流量Qamd0とアーム動力上限Lammaxと演算式数8とを用いてアーム目標流量Qamを算出する。
【0051】
【数7】
【0052】
【数8】
【0053】
ここで、Pbkは、圧力センサA8とB8とが検出したバケットシリンダ8のボトム側油室の圧力とロッド側油室の圧力からメータイン側の圧力を選択した値である。また、Pamは、圧力センサA7とB7とが検出したアームシリンダ7のボトム側油室の圧力とロッド側油室の圧力からメータイン側の圧力を選択した値である。
【0054】
次に、
図5を用いて連通制御部120で行う演算の一例について説明する。連通制御部120は、第1関数発生器120aと電磁弁駆動指令変換部120bとを備えている。
【0055】
第1関数発生器120aは、
図5に示すように、圧力センサA7が検出したアームシリンダ7のボトム側油室の圧力を入力する。第1関数発生器120aには、アームシリンダ7のボトム側油室の圧力に対するアーム3クラウドパイロット圧力の制限特性が予めテーブルにマップM1として記憶されている。マップM1は、アームシリンダ7のボトム側油室の圧力が増加するほどアーム3クラウドパイロット圧力を減少させる特性となっている。第1関数発生器120aで算出したアーム3クラウドパイロット圧力の制限特性信号は、電磁弁駆動指令変換部120bへ出力する。
【0056】
電磁弁駆動指令変換部120bは、第1関数発生器120aからのアーム3クラウドパイロット圧力の制限特性信号を入力し、この制限特性信号に対応するアーム3クラウド減圧弁22の指令信号を算出する。具体的には、アーム3クラウド減圧弁22の指令信号が増加すると、アーム用第3方向制御弁14cの操作部へ供給されるパイロット圧力が低下し遮断されるため、入力信号の増加に伴って出力信号が増加する特性を備えている。電磁弁駆動指令変換部120bで算出した指令信号は、アーム3クラウド減圧弁22の操作部へ出力する。
【0057】
したがって、アームシリンダ7のボトム側油室の圧力が増加するほど、アーム用第3方向制御弁14cの操作部へ供給されるパイロット圧力が低下する。
なお、ここで、アーム3クラウドパイロット圧力の制限特性で、一定値から減少開始するアームシリンダ7のボトム側油室の圧力の値は、油圧ポンプの漏れ損失が油圧ポンプの摩擦損失を上回る可能性があるポンプ吐出圧以上にすることが望ましく、油圧ポンプの損失特性を基に設定する。
【0058】
次に、ポンプ流量制御手段としての流量制御部130について図を用いて説明する。
図6は本発明の作業機械の油圧制御装置の第1の実施の形態を構成するコントローラの流量制御部の構成を示す概念図、
図7は本発明の作業機械の油圧制御装置の第1の実施の形態を構成するコントローラのブーム流量配分演算部の演算内容の一例を示す制御ブロック図、
図8は本発明の作業機械の油圧制御装置の第1の実施の形態を構成するコントローラのアーム目標流量配分演算部の演算内容の一例を示す制御ブロック図、
図9は本発明の作業機械の油圧制御装置の第1の実施の形態を構成するコントローラのポンプ流量指令演算部の演算内容の一例を示す制御ブロック図である。
図6乃至
図9において、
図1乃至
図5に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0059】
流量制御部130は
図6に示すように、ブーム3の複数の方向制御弁毎の目標流量を配分演算するブーム流量配分演算部131と、アーム4の複数の方向制御弁毎の目標流量を配分演算するアーム流量配分演算部132と、配分演算した各目標流量を基に各ポンプの流量を算出して、各油圧ポンプのレギュレータ20d〜20fへ指令信号を出力して、第1〜3油圧ポンプ20a〜20cの吐出流量を制御するポンプ流量指令演算部133とを備えている。
【0060】
図7を用いてブーム流量配分演算部131で行う演算の一例について説明する。ブーム流量配分演算部131は、第1関数発生器131aと最小値選択部131bと減算器131cと第2関数発生器131dと第3関数発生器131eと第4関数発生器131fとを備えている。
【0061】
第1関数発生器131aは、目標動作演算部110からのブーム目標流量を入力する。第1関数発生器131aには、ブーム目標流量に対するブーム2スプール目標流量が予めテーブルにマップM3aとして記憶されている。マップM3aは、ブーム目標流量が増加するほどブーム2スプール目標流量を増加させる特性になっている。ここで、例えば、ブーム2スプール目標流量をブーム目標流量の半分に設定しても良い。この場合、後述する制限にかからなければ、ブーム1スプール目標流量とブーム2スプール目標流量はブーム目標流量の半分ずつになる。算出したブーム2スプール目標流量信号は、最小値選択部131bへ出力される。
【0062】
最小値選択部131bは、第1関数発生器131aからのブーム2スプール目標流量信号と、後述する第2関数発生器131dからの信号と、第3関数発生器131eからの制限信号と、第4関数発生器131fからの制限信号とを入力し、これらの内の最小値を演算し、その最小値をブーム2スプール目標流量として減算器131cとポンプ流量指令演算部133とへ出力する。
【0063】
減算器131cは、目標動作演算部110からのブーム目標流量と最小値選択部131bからのブーム2スプール目標流量とを入力し、ブーム目標流量からブーム2スプール目標流量を減算することで、ブーム1スプール目標流量を演算する。算出したブーム1スプール目標流量信号をポンプ流量指令演算部133へ出力する。
【0064】
第2関数発生器131dは、圧力センサ101が検出したブーム上げパイロット圧力を入力し、制限信号を最小値選択部131bへ出力する。第2関数発生器131dには、ブーム上げパイロット圧に対するブーム2スプール目標流量の上限値が予めテーブルにマップM3bとして記憶されている。マップM3bはブーム用第2方向制御弁13bのメータイン開口特性に略比例していて、ブーム上げパイロット圧に応じて増加する。すなわちブーム用第2方向制御弁13cの開口に応じてブーム2スプール目標流量の上限値を増加する。
【0065】
第3関数発生器131eは、圧力センサ103が検出したアームクラウドパイロット圧力を入力し、予めテーブルに記憶されているマップM3cから得られる信号を最小値選択部131bへ出力する。ここで、マップM3cはアームクラウドパイロット圧力に対するアーム用第1方向制御弁14bのメータイン開口特性に略比例していて、アームクラウドパイロット圧力に応じてブーム2スプール流量の上限を小さくする。
【0066】
第4関数発生器131fは、圧力センサ104が検出したアームダンプパイロット圧力を入力し、予めテーブルに記憶されているマップM3dから得られる信号を最小値選択部131bへ出力する。ここで、マップM3dはアームダンプパイロット圧力に対するアーム用第1方向制御弁14bのメータイン開口特性に略比例していて、アームダンプパイロット圧力に応じてブーム2スプール流量の上限値を小さくする。
【0067】
ブーム流量配分演算部131では、これらのブーム2スプール流量上限値によってブーム2スプール目標流量を制限し、ブーム目標流量からブーム2スプール目標流量を減算して、ブーム1スプール目標流量を算出する。
【0068】
次に、
図8を用いてアーム流量配分演算部132で行う演算の一例について説明する。アーム流量配分演算部132は、第1関数発生器132aと第1最小値選択部132bと第1減算器132cと第2関数発生器132dと第3関数発生器132eと第1最大値選択部132fと第4関数発生器132gと第2最小値選択部132hと第2減算器132iと第5関数発生器132Jと第6関数発生器132kと第2最大値選択部132Lと第7関数発生器132mと第8関数発生器132nとを備えている。
【0069】
第1関数発生器132aと第4関数発生器132gとは、目標動作演算部110からのアーム目標流量を入力する。第1関数発生器132aには、アーム目標流量に対するアーム2スプール目標流量が予めテーブルにマップM4aとして記憶され、第4関数発生器132gには、アーム目標流量に対するアーム3スプール目標流量が予めテーブルにマップM4bとして記憶されている。マップM4aとM4bとは、アーム目標流量が増加するほどアーム2及び3スプール目標流量を増加させる特性になっている。ここで、例えば、アーム2及び3スプール目標流量をアーム目標流量の3分の1に設定しても良い。この場合、後述する制限にかからなければ、アーム1スプール目標流量、アーム2スプール目標流量、アーム3スプール目標流量はアーム目標流量の3分の1ずつになる。算出したアーム2スプール目標流量信号は第1最小値選択部132bへ出力される。算出したアーム3スプール目標流量信号は第2最小値選択部132hへ出力される。
【0070】
第1最小値選択部132bは、第1関数発生器132aからのアーム2スプール目標流量信号と、後述する第1最大値選択部132fからの制限信号とを入力し、これらの内の最小値を演算し、その最小値をアーム2スプール目標流量信号として第1減算器132cとポンプ流量指令演算部133とへ出力する。
【0071】
第1減算器132cは、目標動作演算部110からのアーム目標流量と第1最小値選択部132bからのアーム2スプール目標流量とを入力し、アーム目標流量からアーム2スプール目標流量を減算することで、アーム1スプール目標流量基準信号を演算する。算出したアーム1スプール目標流量基準信号を第2減算器132iへ出力する。
【0072】
第2関数発生器132dは、圧力センサ103が検出したアームクラウドパイロット圧力を入力し、予めテーブルに記憶されているマップM4cから得られる信号を第1最大値選択部132fへ出力する。ここで、マップM4cはアームクラウドパイロット圧力に対するアーム用第2方向制御弁14aのメータイン開口特性に略比例していて、アームクラウドパイロット圧力に応じてアーム2スプール流量上限値を増大している。
【0073】
第3関数発生器132eは、圧力センサ104が検出したアームダンプパイロット圧力を入力し、予めテーブルに記憶されているマップM4dから得られる信号を第1最大値選択部132fへ出力する。ここで、マップM4dはアームダンプパイロット圧力に対するアーム用第2方向制御弁14aのメータイン開口特性に略比例していて、アームダンプパイロット圧力に応じてアーム2スプール流量上限値を増大している。
【0074】
第1最大値選択部132fは、第2関数発生器132dの出力と第3関数発生器132eの出力とを入力し、これらの内の最大値を演算し、その最大値を第1最小値選択部132bへ出力する。
【0075】
第2最小値選択部132hは、第4関数発生器132gからのアーム3スプール目標流量信号と、後述する第2最大値選択部132Lからの制限信号と、第7関数発生器132mと第8関数発生器132nとからの制限信号とを入力し、これらの内の最小値を演算し、その最小値をアーム3スプール目標流量信号として第2減算器132iとポンプ流量指令演算部133とへ出力する。
【0076】
第2減算器132iは、第1減算器132cが算出したアーム1スプール目標流量基準信号と第2最小値選択部132hからのアーム3スプール目標流量とを入力し、アーム1スプール目標流量基準信号からアーム3スプール目標流量を減算することで、アーム1スプール目標流量基準信号を演算する。算出したアーム1スプール目標流量信号はポンプ流量指令演算部133へ出力する。
【0077】
第5関数発生器132Jは、圧力センサ103が検出したアームクラウドパイロット圧力を入力し、予めテーブルに記憶されているマップM4fから得られる信号を第2最大値選択部132Lへ出力する。ここで、マップM4fはアームクラウドパイロット圧力に対するアーム用第3方向制御弁14cのメータイン開口特性に略比例していて、アームクラウドパイロット圧力に応じてアーム3スプール流量上限値を増大している。なお、マップM4fの特性は、マップM4cの特性と比べて、出力が立ち上がる入力値(アームクラウドパイロット圧力)を高く設定している。このことにより、アーム4を操作する第2操作レバー9bの操作量が少ない時には、先にアーム2スプール目標流量の信号が生成され、アーム4を操作する第2操作レバー9bの操作量が増加した後にアーム3スプール目標流量の信号が生成される。
【0078】
第6関数発生器132kは、圧力センサ104が検出したアームダンプパイロット圧力を入力し、予めテーブルに記憶されているマップM4gから得られる信号を第2最大値選択部132Lへ出力する。ここで、マップM4gはアームダンプパイロット圧力に対するアーム用第3方向制御弁14cのメータイン開口特性に略比例していて、アームダンプパイロット圧力に応じてアーム3スプール流量上限値を増大している。なお、マップM4gの特性は、マップM4dの特性と比べて、出力が立ち上がる入力値(アームダンプパイロット圧力)を高く設定している。このことにより、アーム4を操作する第2操作レバー9bの操作量が少ない時には、先にアーム2スプール目標流量の信号が生成され、第2操作レバー9bの操作量が増加した後にアーム3スプール目標流量の信号が生成される。
【0079】
第2最大値選択部132Lは、第5関数発生器132Jの出力と第6関数発生器132kの出力とを入力し、これらの内の最大値を演算し、その最大値を第2最小値選択部132hへ出力する。
【0080】
第7関数発生器132mは、圧力センサA7が検出したアームシリンダ7のボトム側油室の圧力を入力し、予めテーブルに記憶されているマップM4iから得られる信号を第2最小値選択部132hへ出力する。ここで、マップM4iの設定については、後述するが、アームシリンダ7のボトム側油室の圧力に応じてアーム3スプール流量上限値を減少させている。
【0081】
第8関数発生器132bは、圧力センサ107と108とが検出した旋回右パイロット圧力と旋回左パイロット圧力の内の最大値を旋回パイロット圧力として入力し、予めテーブルに記憶されているマップM4hから得られる信号を第2最小値選択部132hへ出力する。ここで、マップM4hは、旋回パイロット圧力に対する旋回用方向制御弁16cのセンタバイパス開口特性に略比例していて、旋回パイロット圧力に応じてアーム3スプール流量上限値を減少させている。
【0082】
アーム流量配分演算部132では、目標動作演算部110で算出されたアーム目標流量と、アームクラウドパイロット圧力やアームダンプパイロット圧力等を基に、アーム1〜3スプール目標流量を算出するが、上述したように、第2関数発生器132dのマップM4cと第5関数発生器132JのマップM4f、及び第3関数発生器132eのマップM4dと第6関数発生器132kのマップM4gにおいて、入力に対する出力立ち上がり点を変えているため、アーム4を操作する第2操作レバー9bの操作量の増加に伴い、アーム1スプール目標流量から順に生成される。
【0083】
その後、第2操作レバー9bの操作量に応じて、アーム1スプール目標流量とアーム2スプール目標流量が生成され、更に操作量が増加したときにアーム3スプール目標流量が生成される。
【0084】
次に、
図9を用いてポンプ流量指令演算部133で行う演算の一例について説明する。ポンプ流量指令演算部133は、第1最大値選択部133aと第1除算器133bと第1関数発生器133cと第2最大値選択部133dと第2除算器133eと第2関数発生器133fと第3最大値選択部133gと第3除算器133hと第3関数発生器133iとを備えている。
【0085】
第1最大値選択部133aは、目標動作演算部110からのバケット目標流量信号とブーム流量配分演算部131からのブーム1スプール目標流量信号とアーム流量配分演算部132からのアーム2スプール目標流量信号とを入力し、これらの内の最大値を演算し、その最大値を第1ポンプ目標流量として第1除算器133bへ出力する。
【0086】
第1除算器133bは、第1最大値選択部133aからの第1ポンプ目標流量と、回転数センサ2Axが検出したエンジン回転数とを入力し、第1ポンプ目標流量をエンジン回転数で除算することで、第1ポンプ目標指令を演算する。算出した第1ポンプ目標指令信号を第1関数発生器133cへ出力する。
【0087】
第1関数発生器133cは、第1除算器133bが算出した第1ポンプ目標指令信号を入力し、予めテーブルに記憶されているマップM5aから得られる信号を第1ポンプ流量指令信号としてレギュレータ20dへ出力する。このことにより、第1油圧ポンプ20aの吐出流量が制御される。
【0088】
第2最大値選択部133dは、ブーム流量配分演算部131からのブーム2スプール目標流量信号とアーム流量配分演算部132からのアーム1スプール目標流量信号とを入力し、これらの内の最大値を演算し、その最大値を第2ポンプ目標流量として第2除算器133eへ出力する。
【0089】
第2除算器133eは、第2最大値選択部133dからの第2ポンプ目標流量と、回転数センサ2Axが検出したエンジン回転数とを入力し、第2ポンプ目標流量をエンジン回転数で除算することで、第2ポンプ目標指令を演算する。算出した第2ポンプ目標指令信号を第2関数発生器133fへ出力する。
【0090】
第2関数発生器133fは、第2除算器133eが算出した第2ポンプ目標指令信号を入力し、予めテーブルに記憶されているマップM5bから得られる信号を第2ポンプ流量指令信号としてレギュレータ20eへ出力する。このことにより、第2油圧ポンプ20bの吐出流量が制御される。
【0091】
第3最大値選択部133gは、目標動作演算部110からの旋回目標流量信号とアーム流量配分演算部132からのアーム3スプール目標流量信号とを入力し、これらの内の最大値を演算し、その最大値を第3ポンプ目標流量として第3除算器133hへ出力する。
【0092】
第3除算器133hは、第3最大値選択部133gからの第3ポンプ目標流量と、回転数センサ2Axが検出したエンジン回転数とを入力し、第3ポンプ目標流量をエンジン回転数で除算することで、第3ポンプ目標指令を演算する。算出した第3ポンプ目標指令信号を第3関数発生器133iへ出力する。
【0093】
第3関数発生器133iは、第3除算器133bが算出した第3ポンプ目標指令信号を入力し、予めテーブルに記憶されているマップM5cから得られる信号を第3ポンプ流量指令信号としてレギュレータ20fへ出力する。このことにより、第3油圧ポンプ20cの吐出流量が制御される。
【0094】
ポンプ流量指令演算部133では、第1最大値選択部133aにアーム2スプール目標流量が入力され、第2最大値選択部133dにアーム1スプール目標流量が入力され、第3最大値選択部133gにアーム3スプール目標流量が入力されて、それぞれ、第1ポンプ目標流量〜第3ポンプ目標流量を算出している。ここで、アーム流量配分演算部132では、上述したように、アーム4を操作する第2操作レバー9bの操作量の増加に応じて、アーム1スプール目標流量が先に生成され、次にアーム2スプール目標流量が生成され、最後にアーム3スプール目標流量が生成される。
【0095】
このため、アーム4を操作する第2操作レバー9bを操作している場合には、この操作量の増加に応じて、最初に第2ポンプ流量指令信号が発生し、次に第1ポンプ流量指令信号が発生し、最後に第3ポンプ流量指令信号が発生することになる。
【0096】
なお、本実施の形態においては、エンジン2Aから各油圧ポンプへの減速比を1とした場合について説明している。減速比が1以外の場合には、減速比に応じた演算を行う必要がある。
【0097】
次に、アーム流量配分演算部132の第7関数発生器132mのマップの設定について
図10を用いて説明する。
図10は本発明の作業機械の油圧制御装置の第1の実施の形態を構成するコントローラのアーム流量配分演算部のマップの一例を示す特性図である。
【0098】
図10において、横軸はアームシリンダ7のボトム側油室の圧力を、縦軸はアーム3スプールの目標流量をそれぞれ示している。また、実線で示す特性線Aは、連通制御部120の第1関数発生器120aに設定されるマップM1のアーム3クラウドパイロット圧力の制限特性信号を示し、破線で示す特性線Bは、第7関数発生器132mに設定されるマップM4iであって、アームシリンダ7のボトム側油室の圧力に対するアーム3スプール目標流量の上限制限の特性を示している。
【0099】
図10に示すように、マップM4i(特性線B)は、アームシリンダ7のボトム側油室の圧力の増加に伴い、アーム3スプール目標流量の上限値を低減するので、アームシリンダ7のボトム側油室の圧力の増加に伴い、アーム3クラウドパイロット圧力の制限特性を低減するマップM1(特性線A)と動作方向は同じである。しかし、マップM4i(特性線B)は、特性線Aの降下開始よりも先に(アームシリンダ7のボトム側油室の圧力が小さい領域で)、アーム3スプール目標流量の上限の低減を開始する特性に設定されている。
【0100】
このことにより、アームシリンダ7のボトム側油室の圧力が増加してきた場合、先にアーム3スプール流量上限が下がるので第3油圧ポンプ20cの吐出流量が低減し、その後、アーム3クラウドパイロット圧力の制限特性により、アーム3クラウド減圧弁22が動作しアーム用第3方向制御弁14cのセンタバイパス開口が開き始める。こうすることにより、アーム用第3方向制御弁14cのセンタバイパス開口が開くまでにアーム3スプール流量上限が下がり第3油圧ポンプ20cの吐出流量が低減する。この結果、アーム用第3方向制御弁14cで発生するブリードオフ損失を低減することができる。また、アーム用第3方向制御弁14cのセンタバイパス開口の開き始めにおけるアームシリンダ7へのメータイン流量の変化が小さくなり、このときのショックを低減できる。
【0101】
次に、本発明の作業機械の油圧制御装置の第1の実施の形態の動作について図を用いて説明する。
図11は本発明の作業機械の油圧制御装置の第1の実施の形態におけるポンプ流量制御手段に関わる動作の一例を説明する特性図である。
【0102】
図11において、横軸は時間を示していて、縦軸は、(a)パイロット圧力、(b)油圧ポンプの吐出圧力、(c)アーム用第3方向制御弁14cセンタバイパス開口、(d)第3油圧ポンプ吐出流量、(e)第4油圧ポンプ吐出流量をそれぞれ示している。また、(b)における実線は第2油圧ポンプ20bの吐出圧力の特性を示し、破線は第3油圧ポンプ20cの吐出圧力の特性を示している。また、時刻T1は、アームクラウド動作を開始した時刻を、時刻T2は、バケットが掘削面に接触するなどしてアームシリンダ7のボトム側油室の圧力が増加した時刻を、時刻T3は、アームシリンダ7のボトム側油室の圧力が更に増加した時刻をそれぞれ示している。なお、説明の簡略化のために第1油圧ポンプ20aの動作は省略して説明する。
【0103】
まず、時刻T1からアームクラウド動作を開始すると、(a)に示すようにアームクラウドパイロット圧力が立ちあがる。そして、アーム用第1方向制御弁14bとアーム用第3方向制御弁14cとが動作し、アームシリンダ7と各油圧ポンプが連通し、(b)に示すポンプ吐出圧がアームシリンダ7のボトム側油室の圧力に応じた圧力まで立ち上がる。このとき、アームシリンダ7のボトム側油室の圧力が低い場合、(c)に示すようにアーム用第3方向制御弁14cのセンタバイパス開口は閉止となる。また、(d)と(e)で示すように、第3油圧ポンプ20cの吐出流量と第2油圧ポンプ20bの吐出流量は増加し、アーム4が動作する。
【0104】
次に、時刻T2において、例えば、バケット5が掘削面に接触するなどしてアームシリンダ7のボトム側油室の圧力が増加すると、(d)に示すように、流量制御部130により第3油圧ポンプ20cの吐出流量が低減される。このとき、アーム流量配分演算部132によりアームシリンダ7のボトム側油室の圧力に応じて第3油圧ポンプ20の吐出流量を大きく低減するので、(e)で示すように第2油圧ポンプ20bの吐出流量の低減量は小さくなり、合計のアームメータイン流量がアーム目標流量に維持される。
【0105】
その後、アームシリンダ7のボトム側油室の圧力がさらに増加して、時刻T3において、連通制御部120におけるアーム3クラウドパイロット圧力の制限特性で一定値から減少開始する圧力値まで到達すると、(c)に示すようにアーム用第3方向制御弁14cのセンタバイパス開口が開き始め、(b)に示すように第3油圧ポンプ20cの吐出圧が低下し始める。なお、(d)で示す時刻T3以降の第3油圧ポンプ20cの吐出流量は、スタンバイ流量であることが望ましい。このように、第3油圧ポンプ20cをスタンバイ流量で運転することにより、省エネ効果が向上する。
本実施の形態でいうスタンバイ流量とは、運転する油圧ポンプを保護するために流さなければならない圧油の最少吐出流量をいう。
【0106】
一般に、油圧ポンプの漏れ流量は吐出圧に略比例して増加し、吐出圧が高いほど油圧ポンプの損失に対する漏れ流量の影響が大きくなる。このため、高負荷時においては、第3油圧ポンプ20cと第2油圧ポンプ20bの両方でアームシリンダ7を駆動するよりも、本実施の形態にかかる油圧制御装置のように第2油圧ポンプ20bのみでアームシリンダ7を駆動する方が合計のポンプ損失を小さくすることができ、省エネを図ることができる。
【0107】
また、アーム用第3方向制御弁14cのセンタバイパス開口を開き始めるよりも先に、第3油圧ポンプ20cの吐出流量を低減するので、アーム用第3方向制御弁14cで発生するブリードオフ損失を低減することができる。また、アーム用第3方向制御弁14cのセンタバイパス開口の開き始めにおけるアームシリンダ7へのメータイン流量の変化が小さくなり、このときのショックを低減できる。
【0108】
上述した本発明の作業機械の油圧制御装置の第1の実施の形態によれば、第1の油圧アクチュエータ(アームシリンダ7)の負荷が増加すればするほど、第1の油圧ポンプ(第3油圧ポンプ20c)の吐出流量を低減し、第1の制御弁(アーム用第3方向制御弁14c)を駆動して第1の油圧ポンプとタンクとの連通面積を拡大するので、第1の油圧ポンプ(第3油圧ポンプ20c)の吐出圧を下げ、ポンプ合計の漏れ流量を低減できる。このことにより、第1の油圧ポンプ(第3油圧ポンプ20c)から吐出する無効流量を低減できる。この結果、省エネルギ化された作業機械の油圧制御装置を提供できる。
【0109】
また、上述した本発明の作業機械の油圧制御装置の第1の実施の形態によれば、第1の油圧アクチュエータ(アームシリンダ7)の負荷に応じて、第1の油圧ポンプ(第3油圧ポンプ20c)とタンクとの連通面積を拡大するよりも先に第1の油圧ポンプ(第3油圧ポンプ20c)の吐出流量を低減するので、第1の制御弁(アーム用第3方向制御弁14c)で発生するブリードオフ損失を低減することができる。また、第1の制御弁(アーム用第3方向制御弁14c)開閉時の第1の油圧アクチュエータ(アームシリンダ7)へのメータイン流量の変化が小さくなり、このときのショックを低減できる。