(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。
【0017】
図1及び
図2は、本発明の実施形態に係る加熱調理器の一例である圧力炊飯器1を示す。
図3は蓋体30の内部構成を示し、
図4は内蓋50の構成を示し、
図5は内蓋50と貯留ケース80の関係を示す。
図6Aから
図9Dは、駆動機構及び貯留ケース80を検出するための構成を示す。
【0018】
(炊飯器全体の構成)
図1に最も明瞭に示すように、炊飯器1は、炊飯鍋(鍋)10を着脱可能に配置する炊飯器本体(本体)20と、炊飯器本体20に対して開閉可能に配置された蓋体30とを備える。蓋体30には、内蓋50が着脱可能に配置され、この内蓋50に貯留ケース80が更に着脱可能に配置されている。本実施形態では、着脱可能な内蓋50に対して更に着脱可能とする貯留ケース80が装着されているか否かを検出できるようにしている。
【0019】
図1及び
図2に示すように、炊飯器本体20は、筒形状をなす胴体21と、胴体21の下端開口を閉塞する底体22と、胴体21の上端開口を覆うように取り付ける肩体23とを有する外装体を備えている。肩体23には開口部が設けられ、この開口部の下部に炊飯鍋10を配置する鍋収容部24が形成されている。鍋収容部24の下部外周面には、炊飯鍋10を加熱する鍋加熱手段である誘導加熱コイル(加熱手段)25(
図10参照)が配置されている。また、炊飯鍋10の温度を検出するための第1温度検出手段である鍋温度センサ26(
図10参照)が配置されている。
【0020】
図1に示すように、肩体23の背面側には、蓋体30を回動可能に配置するためのヒンジ接続部27が設けられている。
図2に示すように、肩体23の正面側には、鍋収容部24の外周部に位置するように、蓋体30のロック部材35のロック爪37を係止するロック穴28が設けられている。
【0021】
図2に示すように、蓋体30は、上板31と下板32とを有する外装体を備え、炊飯鍋10の上部を覆っている。蓋体30は、下板32の背面側に炊飯器本体20のヒンジ接続部27に接続するための接続部33を備える。また、蓋体30は、上板31の正面側に蓋体30を開放するための開放操作部材34(
図1参照)が配設され、その内側に炊飯器本体20の閉塞状態を維持するためのロック部材35が配設されている。ロック部材35は、下板の正面側に回動可能に配置されている。
図2に加えて
図3を参照すると、ロック部材35には、回動操作部材の操作を受ける操作受部36が背面側に突出するよう設けられている。
図2に加えて
図1を参照すると、ロック部材35には、下板を貫通して炊飯器本体20側に突出するロック爪37が設けられている。
【0022】
図1及び
図2に示すように、下板32には、炊飯鍋10の上部に位置するように、上向きに窪む配設凹部38が形成されている。配設凹部38には、金属製の放熱板39が配置されている。放熱板39は、炊飯器本体20に対して蓋体30を閉じた状態で炊飯鍋10と対向する。放熱板の上側面には、蓋加熱手段である蓋ヒータ40(
図10参照)が配設されている。また、放熱板39の上側面には、第2温度検出手段である蓋温度センサ41(
図10参照)が配置されている。そして、放熱板39の外周部には、内蓋50との間を気密にシールする円環状のパッキン42が配置されている。
【0023】
配設凹部38には、内蓋50が着脱可能に装着され、この内蓋50に貯留ケース80が着脱可能に装着されている。配設凹部38のヒンジ接続部27側には、内蓋50を係止するための係止受部43が設けられている。また、配設凹部38の正面側には、内蓋50を離脱可能に係止するための係止部材44が配置されている。係止受部43に内蓋50を係止し、係止受部43を中心として内蓋50を回転させることで、内蓋50の先端を係止部材44に係止できる。係止部材44を正面側にスライドさせることで、内蓋50の係止を解除できる。
【0024】
図1及び
図2に示すように、内蓋50は、炊飯器本体20に対して蓋体30を閉じることにより、対向する炊飯鍋10の上端の開口部を閉塞する着脱可能な閉塞板部である。内蓋50は、金属製のプレート51と、プレート51の外周部に配置された枠部材52と、枠部材52によってプレート51との間に固定されたシール部材55とを備える。枠部材52は、配設凹部38の係止受部43に係止される一対の係止片53を備える。また、配設凹部38の係止部材44に係止される係止片54を備える。シール部材55は、炊飯器本体20に対して蓋体30を閉じることにより、炊飯鍋10の上端開口の内周部に密着してシールする。
【0025】
図1及び
図4に示すように、内蓋50は、上面側に第1及び第2調圧弁60A,60Bを備える。第1及び第2調圧弁60A,60Bは、蓋体30に内蓋50を装着することにより排気通路70中に配置される。第1及び第2調圧弁60A,60Bによって排気通路70の通気孔62A,62Bを閉塞することで、炊飯鍋10内の圧力が大気圧よりも高い圧力に設定することが可能である。
【0026】
図1及び
図2に示すように、第1及び第2調圧弁60A,60Bは、内蓋50を蓋体30に装着することで、下板32に形成された第1及び第2調圧弁収容部45A,45Bに収容されている。
図4を併せて参照すると、第1及び第2調圧弁60A,60Bは、内蓋50に対して炊飯鍋10の側である下側に位置する弁座61A,61Bを備えている。各弁座61A,61Bには、排気通路70の入口となる通気孔62A,62Bがそれぞれ設けられている。各弁座61A,61Bは、弁体65A,65Bを覆うカバー63A,63Bを備える。カバー63A,63Bには、調圧弁収容部45A,45B内に連通する開口部64A,64Bが設けられている。なお、第1及び第2調圧弁収容部45A,45B内と、上板31及び下板32の間の空間とは、パッキンによりシールされている。
【0027】
第1調圧弁60Aのカバー63Aの内部には、球状部材からなる第1弁体65Aが転動可能に配置されている。第1弁体65Aは、転動により第1通気孔62Aを塞ぐことで、炊飯鍋10内の圧力を、例えば1.30atmまで昇圧することができる。第1弁体65Aは、炊飯鍋10内の圧力が設定圧力を超えて上昇すると、その蒸気の圧力で通気孔62A上から転動することにより離れる重量である。
【0028】
第2調圧弁60Bのカバー63Bの内部には、棒状をなす第2弁体65Bが通気孔62Bの軸線に沿って移動可能に配置されている。第2弁体65Bの上部には、作動受部材66が同一軸線に沿って移動可能に配置されている。また、第2弁体65Bと作動受部材66との間には、第2弁体65Bを通気孔62Bに向けて付勢するスプリング(付勢部材)67が配置されている。作動受部材66を通気孔62Bの側へ移動させることにより、上昇可能な炊飯鍋10内の圧力を、例えば1.00〜1.20atmの範囲で変更できる。
【0029】
図2及び
図5に示すように、調圧弁60A,60Bを動作させるための駆動機構は、蓋体30の内部である下板32上に配置されている。
図5に最も明瞭に示すように、駆動機構は、弁体65A,65Bを駆動させるための駆動手段であるソレノイド46A,46Bを備える。ソレノイド46A,46Bには、駆動力を出力するロッドに伝動部材47A,47Bが配置されている。第1調圧弁60Aの第1伝動部材47Aは棒状であり、第1ソレノイド46Aが通電されると後退し、第1弁体(弁体)65Aによって第1通気孔62Aが閉塞される一方、ソレノイド46Aの通電が遮断されると進出し、第1弁体65Aを第1通気孔62A上から離反させて第1通気孔62Aを開放する。第2調圧弁60Bの第2伝動部材47Bはカム状であり、第2ソレノイド46Bが通電されると後退し、作動受部材66を下向きに移動させて第2弁体65Bによる第2通気孔62Bの閉塞力を強くする一方、ソレノイド46Bの通電が遮断されると進出し、作動受部材66をスプリング67の付勢力で上向きに移動させて第2弁体65Bによる第2通気孔62Bの閉塞力を弱くする。
【0030】
内蓋50を装着した蓋体30には、調理中に炊飯鍋10から発生した蒸気を外部に排気するための排気通路70が形成されている。第1及び第2調圧弁60A,60Bに形成した通気孔62A,62Bが、排気通路70の入口となる。蒸気は、第1及び第2調圧弁60A,60Bの内に流入した後、第1及び第2調圧弁60A,60Bの開口部64A,64Bから第1及び第2調圧弁収容部45A,45B内に流入する。その後、第1及び第2調圧弁収容部45A,45Bの下端開口から放熱板39と内蓋50の間の空隙部に流入した後、下板32に設けた筒状の蒸気排気部48に流入する。蒸気排気部48は、放熱板39に形成した連通孔39a(
図1参照)を介して空隙部と連通している。そして、蒸気は、蒸気排気部48の上端に位置する上板31の排気口49から外部へ排気される。
【0031】
(貯留ケースの詳細)
図2及び
図5に示すように、貯留ケース80は、内蓋50の炊飯鍋10側の面に着脱可能に配置され、排気通路70の入口である調圧弁60A,60Bの通気孔62A,62Bを覆う。
図5に最も明瞭に示すように、内蓋50は、貯留ケース80を固定するための一対の固定部材75A,75Bを備える。
【0032】
第1の固定部材75Aは、係止片53(ヒンジ接続部27)側に配置され、第2の固定部材75Bは、係止片54側に配置されている。固定部材75A,75Bには、各一対の位置決め突部76A,76Bが突設されている。第1の固定部材75Aの位置決め突部76A,76Aの間隔と、第2の固定部材75Bの位置決め突部76B,76Bの間隔とは、それぞれ異なる。詳しくは、位置決め突部76A,76Aの間隔は、第2の固定部材75Bの位置決め突部76B,76Bの間隔より広い。これにより、貯留ケース80が内蓋50に対して誤った方向で装着されることを防止している。
【0033】
図2及び
図5に示すように、貯留ケース80は、金属(例えばステンレス)製のプレート81を備える。プレート81は、外周部が枠部材83の下端外周部に嵌入(
図7B参照)された円形状であり、貯留ケース80の底面部分の一部を構成する。また、プレート81の外周部には、プレート81上に貯留した液状物質又は泡状物質を炊飯鍋10内に還流する還流孔82が設けられている。
【0034】
貯留ケース80は、プレート81の外周部に配置される樹脂製の枠部材83を備える。枠部材83は、プレート81より僅かに外径の円板部83aと、円板部の外周から突出する円環状の外壁部83bとを備える。外壁部83bは、大略円環状であり、内蓋50のシール部材55の内径より小径の放熱板39と略同一直径に形成されている。外壁部83bの全高により、貯留ケース80が液状物質又は泡状物質を収容可能な貯留空間84の容量が設定されている。外壁部83bの上端部には、蒸気、液状物質及び泡状物質が通過する切欠部85が設けられている。外壁部83bの外周部には、第1固定部材75Aに係止される係止突部86(
図2参照)が径方向外向きに突設されている。係止突部86と径方向に対向する位置には、配設部87が設けられている。配設部87には、第2固定部材75Bに係止される係止部材88が配設されている。係止部材88は、配設部87内に配置された図示しないスプリング(付勢部材)により径方向外向きに付勢されている。
【0035】
(貯留ケースの検出機構の詳細)
図1及び
図3に示すように、蓋体30には、貯留ケース80の装着又は未装着を検出するために、検出部材90と検出手段であるフォトインタラプタ102とが配設されている。また、フォトインタラプタ102による検出部材90の検出は、第1調圧弁60Aの駆動機構である第1ソレノイド46A及び第1伝動部材47Aを利用している。
【0036】
図1及び
図6A,Bに示すように、検出部材90は、下板32及び放熱板39を貫通して配置されている。
図6Bに最も明瞭に示すように、下板32、放熱板39及び内蓋50には、検出部材90を移動可能に挿通する挿通孔32a,39b,51aが、同一軸線上に位置するように設けられている。また、下板32には、挿通孔39bの周囲に、検出部材90の移動を案内する円筒状のガイド筒部39cが設けられている。
【0037】
検出部材90は、下板32と放熱板39との間に配置される本体部90aを備える。本体部90aには、下向きに突出する突出部90bが設けられている。突出部90bは、放熱板39の挿通孔39b及び内蓋50の挿通孔51aを貫通して炊飯鍋10内へ突出する。また、本体部90aには、上向きに突出する連結軸部90cが、突出部90bと同一軸線上に突出するように設けられている。連結軸部90cは、下板32の挿通孔32aを貫通して下板32上に突出する。
【0038】
本体部90aには、筒状のスプリング受部90dが設けられている。スプリング受部90dと下板32の下面との間には、突出部90bが炊飯鍋10に向けて突出するように付勢するスプリング(付勢部材)92が配置されている。検出部材90は、スプリング92の付勢力により、突出部90bが放熱板39及び内蓋50を貫通して炊飯鍋10内へ突出した第1位置が維持される。
【0039】
図5及び
図7Bに示すように、貯留ケース80には、枠部材83の円板部83aに、突出部90bと同一軸線上に位置する押圧部83cが設けられている。検出部材90は、蓋体30に装着した内蓋50に貯留ケース80が更に装着されると、押圧部83cが検出部材90の突出部90bに当接し、スプリング92の付勢力に抗して蓋体30側へ移動した第2位置に変位する。本実施形態では、押圧部83cを円錐筒状に膨出して設けているが、押圧部83cの形状は希望に応じて変更が可能である。
【0040】
放熱板39の挿通孔39bには、炊飯鍋10内の蒸気等が蓋体30内に侵入することを防止するパッキン94が配置されている。パッキン94は、下板32のガイド筒部39cに外嵌される装着部94aと、検出部材90の突出部90bを被覆する被覆部94bと、被覆部94bの上端から下向きに突出する拡開部94cとを備える。拡開部94cは、炊飯鍋10側である先端に向けて徐々に直径が大きくなった円錐筒状である。拡開部94cは、内蓋50の装着により弾性的に変形して挿通孔51aの周囲に密着する。また、拡開部94cは、炊飯鍋10内が、調圧弁60A,60Bによる圧力制御範囲より高い設定された第1圧力(例えば1.35atm)を超えると、弾性的に変形して挿通孔51aの周囲から離反し、炊飯鍋10内を脱圧する。また、本実施形態では、拡開部94cの外側に、弾性的に変形して挿通孔51aの更に外周部に密着するパッキン95が配設されている。このパッキン95は、拡開部94cより弾性的に変形し易い素材又は肉厚である。
【0041】
図6A,Bに示すように、下板32上に配置される検出部材90の連結軸部90cには、係合部材96が配置されている。係合部材96は、第1ソレノイド46Aの第1伝動部材47A側へ突出する係合部96aを備える。また、係合部材96は、係合部96aに対して直交する方向に突出するガイド板部96bを備える。下板32には、ガイド板部96bを挿通するガイド溝32cを有する筒状のガイド枠部32bが設けられている。
【0042】
図3及び
図6Aに示すように、第1伝動部材47Aには、蓋体30の開閉、ソレノイド46Aの動作状態、ロック部材35のロック状態、そして貯留ケース80の装着状態を、フォトインタラプタ102によって検出するための移動部材98が一体に設けられている。移動部材98は、平面視四角形状をなす枠体である。移動部材98内に位置するように、下板32に第1ソレノイド46Aが固定される。移動部材98は、第1ソレノイド46Aへの通電が遮断された状態では、
図6A,Bに示すように第1伝動部材47を介して進出位置に移動している。第1ソレノイド46Aへ通電された状態では、
図7A,Bに示すように、第1伝動部材47Aを介して後退(正面側へ移動)する。
【0043】
図8を併せて参照すると、移動部材98には、ロック部材35が位置する正面側の端部に規制部98aが設けられている。規制部98aは、通電により移動部材98が後退すると、下板32とロック部材35の操作受部36との間に進入する。これにより、開放操作部材34を操作してもロック部材35がロック解除方向に回動しないようにして、蓋体30の開放を規制する。
【0044】
移動部材98には、検出部材90の係合部96aを離脱可能に係合する係合受部98bが設けられている。係合受部98bは、移動部材98から係合部材96に向けて突出する基部98b1と、基部98b1から上向きに突出する段部98b2とを備える。段部98b2は、ソレノイド46Aへの通電の遮断により移動部材98が移動(後退)する方向の後端に設けられている。この段部98b2は、検出部材90が第1位置に移動している
図6A,Bの状態では、係合部96aに係合することにより、移動部材98の後退を阻止する。移動部材98が第2位置に移動している
図7A,Bに示す状態では、係合部96aとの係合が解除されることにより、移動部材98の後退を許可する。
【0045】
図6A,B及び
図8に示すように、移動部材98には、フォトインタラプタ102によって各状態を検出するための揺動部材100が配設されている。詳しくは、移動部材98には、係合受部98bの逆側に揺動部材100を揺動可能に配置する保持部98cが設けられている。保持部98cは、移動部材98から突出した基部98b1と、基部98b1から突設した一対の支持壁98c2,98c2とを備える。これら支持壁98c2,98c2にかけてピン99を貫通させて配置することで、揺動部材100が揺動可能に配置される。
【0046】
揺動部材100は、ヒンジ接続部27側へ延びる検知部100aを備える。検知部100aの先端には、フォトインタラプタ102の検出領域から検知部100aが離脱することを防止する規制突部100bが設けられている。また、揺動部材100は、検知部100aに対して直交方向(下向き)に突出する釣合部100cを備える。釣合部100cには、外的負荷が加わっていない状態で、検知部100aが水平方向に延びるように釣り合わせる別体の錘100dが配設されている。
【0047】
フォトインタラプタ102は、移動部材98の移動を検出することで、貯留ケースの装着又は未装着を含む種々の状況を検出する。フォトインタラプタ102は、発光素子を配設した発光部102aと、受光素子を配設した受光部102bとを備え、中継基板103に実装されている。フォトインタラプタ102は、揺動部材100の検知部100aの近接および離反を非接触状態で検出する。詳しくは、発光部102aの光を受光部102bで受光している場合、フォトインタラプタ102はオン信号を出力する。また、発光部102aの光を受光部102bで受光していない場合、フォトインタラプタ102はオフ信号を出力する。
【0048】
フォトインタラプタ102と揺動部材100とは、
図9A〜Dに示す位置関係で配設されている。
図9Aは、蓋体30を閉塞してソレノイド46Aをオフ(進出)した状態である。この状態では、発光部102aと受光部102bの間に揺動部材100の検知部100aが進入し、発光部102aからの光を受光部102bが受光不可能とする。
図9Bは、蓋体30を閉塞してソレノイド46Aをオン(後退)した状態である。この状態では、発光部102aと受光部102bの間から揺動部材100の検知部100aが離反し、発光部102aからの光を受光部102bが受光可能とする。
図9Cは、ソレノイド46Aをオフ(進出)した状態で蓋体30を開放した状態である。この状態では、揺動部材100が回動することで、発光部102aと受光部102bの間から揺動部材100の検知部100aが離反し、発光部102aからの光を受光部102bが受光可能となる。
図9Dは、蓋体30を閉塞してソレノイド46Aをオン(後退)させたが、移動部材98の移動が阻止された状態である。この状態では、発光部102aと受光部102bの間から揺動部材100の検知部100aが離反できず、発光部102aからの光を受光部102bが受光不可能となる。
【0049】
図9Dの状態は、ロック部材35のハーフロック状態、及び貯留ケース80の未装着状態で発生する。ハーフロック状態とは、ロック部材35のロック爪37が肩体23のロック穴28に正規位置まで係合していない状態である。この状態では、操作受部36の縁に移動部材98が当接して移動が阻止されるため、
図9Dに示す状態になる。貯留ケース80を未装着状態では、検出部材90が第1位置に移動している。この状態では、検出部材90の係合部96aが移動部材98の係合受部98bに係合し、移動部材98の移動が阻止されるため、
図9Dに示す状態になる。
【0050】
炊飯器1には、肩体14の正面上部に、ユーザが炊飯条件を入力するためのスイッチ111と、その選択状態や動作状態を表示する液晶表示板112とを有する操作パネル110が配設されている。また、炊飯器本体20の内部には、図示しない制御基板が配設され、この制御基板に制御手段であるマイコン115が実装されている。
【0051】
図10に示すように、マイコン115には、操作パネル110のスイッチ111及び液晶表示板112が接続されている。また、温度検出手段である鍋温度センサ26及び蓋温度センサ41が接続されるとともに、蓋状態検出手段(検出部)であるフォトインタラプタ102が接続されている。そして、炊飯処理及び保温処理に関する駆動部品である誘導加熱コイル25、蓋ヒータ40、及びソレノイド46A,46Bが接続されている。
【0052】
マイコン115は、予め設定されたプログラムに従って誘導加熱コイル25、蓋ヒータ40、ソレノイド46A,46Bを制御し、炊飯処理及び保温処理を実行する。また、本実施形態のマイコン115は、第1ソレノイド46へ出力した駆動指令と、フォトインタラプタから入力された入力信号とに基づいて、貯留ケース80の装着状態、蓋体30の開閉状態、ソレノイド46Aの異常の有無、ロック部材35のロック状態等を判断する異常判断手段の役割を兼ねる。
【0053】
図11に示すように、ソレノイド46Aへの通電を遮断したオフ状態で、フォトインタラプタ102がオン信号を出力している場合、蓋体30が開放していると判断できる一方、フォトインタラプタ102がオフ信号を出力している場合、蓋体30が閉塞されていると判断できる。また、蓋体30の開閉検出によりフォトインタラプタ102自体に異常が無いと判断できた状態では、ソレノイド46Aの駆動に伴って以下を判断できる。ソレノイド46Aのオフ状態で、フォトインタラプタ102がオン信号を出力している場合、ソレノイド46Aがオン故障していると判断できる一方、フォトインタラプタ102がオフ信号を出力している場合、ソレノイド46Aが正常であると判断できる。ソレノイド46Aへ通電したオン状態で、フォトインタラプタ102がオン信号を出力している場合、ソレノイド46Aは正常であり、ロック部材35も正規位置まで係合しており、貯留ケース80も装着し忘れていない、正常状態と判断できる。一方、フォトインタラプタ102がオフ信号を出力している場合、ソレノイド46Aが故障しているか、ロック部材35がハーフロック状態になっているか、貯留ケース80が未装着状態であるか、何らかの異常が存在すると判断できる。
【0054】
例えば、異常判断手段としてのマイコン115は、炊飯スイッチが操作されると、フォトインタラプタ102からの入力信号を確認する。そして、フォトインタラプタ102からオン信号が入力(蓋体30が開放)されている場合には、フォトインタラプタ102からオフ信号が入力(蓋体30が閉塞)されるまで待機し、フォトインタラプタ102からオフ信号が入力されると炊飯処理を開始する。
【0055】
炊飯処理では、まず、ソレノイド46A、ロック部材35、及び貯留ケース80の異常を判断する異常判断工程を実行する。異常判断工程では、ソレノイド46Aをオン駆動させることにより、前述のようにフォトインタラプタ102からオン信号が入力されるか否かで、異常の有無を判断する。そして、フォトインタラプタ102からオフ信号が入力され、いずれかの部品に異常があると判断した場合には、液晶表示板112に異常マークを表示させ、及び/又は、制御基板に実装した圧電ブザーにより異常を示す報知音を出力する。一方、フォトインタラプタ102からオン信号が入力され、異常がないと判断した場合には、予熱工程を実行する。
【0056】
炊飯処理を実行し、強火で飯米を加熱する中ぱっぱ工程又は沸騰維持工程で、蒸気と一緒に粘り気のある液状物質及び泡状物質が炊飯鍋10から発生して、蓋体30に向けて吹き上がることがある。そして、これらの蒸気、液状物質及び泡状物質は、貯留ケース80の切欠部85から、貯留ケース80と内蓋50とで囲まれた貯留空間84内に流入する。貯留空間84内に流入した流体のうち、液状物質及び泡状物質は蒸気から分離され、貯留ケース80内に溜められる。そして、蒸気だけが通気孔62A,62Bを通して排気通路70内に流入し、排気口49から外部へ排気される。
【0057】
このように、本実施形態の炊飯器1は、蓋体30の炊飯鍋10側に貯留ケース80を配置し、排気される蒸気の中から液状物質又は泡状物質を捕集して貯留できるようにしているため、排気通路70からのふきこぼれを抑制できる。また、貯留ケース80は、本来デッドスペースになっていた比較的大きな空間である蓋体30の内蓋50と炊飯鍋10内の水面との間に配置されているため、十分に大きな貯留空間84を確保でき、蓋体30の大型化を招くことも回避できる。
【0058】
また、内蓋50を貫通して炊飯鍋10内に突出する検出部材90を設け、貯留ケース80を装着しているか否かをフォトインタラプタ102で検出できるようにしているため、貯留ケース80を装着し忘れた状態で炊飯されることを確実に防止できる。よって、ユーザの誤使用によるふきこぼれの発生も抑制できる。また、貯留ケース80は、蓋体30に対して着脱可能な内蓋50に更に着脱可能に配置するため、飯米成分を含む液状物質又は泡状物質が多く付着する貯留ケース80及び内蓋50を容易に洗浄することができる。よって、衛生を保つことができる。
【0059】
また、検出部材90を挿通する内蓋50の挿通孔51aの周囲には、挿通孔51aの周囲に密着するパッキン94,95を配置しているため、炊飯鍋10内の蒸気が蓋体30の内部へ侵入することを防止できる。また、パッキン94,95は、炊飯鍋10内が設定された第1圧力を超えると弾性的に変形して挿通孔51aの周囲から弾性的に離反するため、通気孔62A,62Bが飯米の破片等で目詰まりする等の予期しない状態になっても、炊飯鍋10内を脱圧することができるため、安全性を確保できる。
【0060】
しかも、検出部材90は、圧力炊飯器であれば既存の部品であるソレノイド46A、移動部材98、及びフォトインタラプタ102を使用し、貯留ケース80の未装着状態を検出できるようにしているため、専用のセンサを新たに追加する必要がなく、コストの増加を抑制できるとともに、蓋体30の大型化を招くことも回避できる。また、貯留ケース80が未装着状態の場合、炊飯鍋10内を大気圧より高い圧力に昇圧できないため、ふきこぼれが生じることを最大限に抑制できる。
【0061】
なお、本発明の加熱調理器は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0062】
例えば、前記実施形態では、貯留ケース80を装着する閉塞板部を着脱可能な内蓋50により構成したが、内蓋50が取外不可能な構成(この場合、放熱板39)とし、放熱板39に着脱可能に装着するようにしてもよい。また、前記実施形態では、移動部材98を介して検出部材90の移動(貯留ケース80の有無)を検出したが、検出部材の移動を直接検出する専用のセンサ(検出手段)を配置してもよい。また、貯留ケース80はプレート81と枠部材83とで構成し、枠部材83は円板部83aと外壁部83bとを備える構成とし、円板部83aに検出部材90を移動させる押圧部83cを設けたが、貯留ケース80の構成及び検出部材90を移動させる構成は、希望に応じて変更が可能である。
【0063】
また、本発明の貯留ケース80及びその検出機構を搭載可能な機器は炊飯器1に限らず、所定の調理材料を調理する調理器にも同様に適用可能であり、同様の作用および効果を得ることができる。また、調圧弁60A,60Bを搭載した圧力式の加熱調理器に限らず、調圧弁60A,60Bを搭載しない非圧力方式の加熱調理器であっても同様に適用可能である。