特許第6226872号(P6226872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6226872キャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液として再構成用の乾燥試薬を含むデバイスとその製造および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226872
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】キャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液として再構成用の乾燥試薬を含むデバイスとその製造および使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20171030BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   G01N35/00 C
   G01N37/00 101
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-543520(P2014-543520)
(86)(22)【出願日】2012年11月19日
(65)【公表番号】特表2014-533839(P2014-533839A)
(43)【公表日】2014年12月15日
(86)【国際出願番号】US2012065844
(87)【国際公開番号】WO2013078130
(87)【国際公開日】20130530
【審査請求日】2015年8月28日
(31)【優先権主張番号】61/577,959
(32)【優先日】2011年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/562,677
(32)【優先日】2011年11月22日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507269175
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー エイ. サンプローニ
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−532395(JP,A)
【文献】 特開2007−043982(JP,A)
【文献】 特開昭53−029796(JP,A)
【文献】 特表2002−522767(JP,A)
【文献】 特開2003−065906(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/043388(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0068399(US,A1)
【文献】 特表2002−540427(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0011408(US,A1)
【文献】 特表2008−511839(JP,A)
【文献】 特開昭61−234360(JP,A)
【文献】 特開昭53−004598(JP,A)
【文献】 特表2007−524094(JP,A)
【文献】 特開2011−145308(JP,A)
【文献】 特開平04−005569(JP,A)
【文献】 特開2007−151553(JP,A)
【文献】 特表平07−501880(JP,A)
【文献】 特表平10−508094(JP,A)
【文献】 特開平08−211010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重炭酸ナトリウムを具える所定量の少なくとも1つの凍結乾燥試薬を具える組成物の使用方法であって、
血液ガス、電解質および/または代謝物計装の性能をモニタするための方法において、
前記凍結乾燥試薬は、液体またはゲルの形態の、低いpH溶液を具える添加剤を用いて現場で再構成され、二酸化炭素を具えるキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液を提供する、
使用方法。
【請求項2】
前記凍結乾燥試薬は、塩、タンパク質および触媒のうちの少なくとも1つを具える、
請求項1記載の使用方法。
【請求項3】
前記塩は、塩化カルシウム、塩化リチウム、クエン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウムおよびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを具え、
前記タンパク質は、グルコース・オキシダーゼ、グルコース・デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、乳酸塩オキシダーゼ、ヘモグロビンおよびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを具え、
前記触媒は、コバルトを具える、
請求項2記載の使用方法。
【請求項4】
前記再構成されたキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液は、分析物および/または代謝物を具える、
請求項1記載の使用方法。
【請求項5】
前記凍結乾燥試薬は、ビードまたは半球の形で配置されている、
請求項1記載の使用方法。
【請求項6】
前記凍結乾燥試薬は、その使用まで気密環境に配置されている、
請求項5記載の使用方法。
【請求項7】
血液ガス、電解質および/または代謝物計装の性能をモニタするためのデバイスであって、
前記デバイスは、所定量の少なくとも1つの凍結乾燥試薬が内部に配置された少なくとも1つのキャビティを具え、
前記所定量の凍結乾燥試薬は、重炭酸ナトリウムを具え、
前記デバイスは、凍結乾燥試薬が内部に配置された前記少なくとも1つのキャビティと流体結合する少なくとも1つの活性化可能キャビティを具え、
前記少なくとも1つの活性化可能キャビティは、液体またはゲルの形態の所定量の添加剤が内部に配置され、
前記添加剤は、水を具え、
前記活性化可能キャビティが活性化すると、前記添加剤は、前記少なくとも1つの活性化可能キャビティから、凍結乾燥試薬が内部に配置された前記少なくとも1つのキャビティへ移動することによって、前記添加剤は、低いpH溶液を具え、かつ、前記凍結乾燥試薬を現場で再構成し、二酸化炭素を具える少なくとも1つのキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液を提供し、
前記デバイスの少なくとも一部は、封止され、前記凍結乾燥試薬を、その使用まで気密環境に維持する、
デバイス。
【請求項8】
前記凍結乾燥試薬は、塩、タンパク質および触媒のうちの少なくとも1つを具える、
請求項7記載のデバイス。
【請求項9】
前記塩は、塩化カルシウム、塩化リチウム、クエン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウムおよびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを具え、
前記タンパク質は、グルコース・オキシダーゼ、グルコース・デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、乳酸塩オキシダーゼ、ヘモグロビンおよびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを具え、
前記触媒は、コバルトを具える、
請求項8記載のデバイス。
【請求項10】
前記再構成されたキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液は、分析物および/または代謝物を具える、
請求項7記載のデバイス。
【請求項11】
前記凍結乾燥試薬は、ビードまたは半球の形で、前記キャビティ内に配置されている、
請求項7記載のデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つのキャビティと流体結合するセンサをさらに具える、
請求項7記載のデバイス。
【請求項13】
前記デバイスは、所定量の少なくとも1つの第2の凍結乾燥試薬が内部に配置された第2のキャビティをさらに具え、
前記所定量の第2の凍結乾燥試薬は、重炭酸ナトリウムを具え、
前記所定量の第2の凍結乾燥試薬は、所定量の添加剤が内部に配置された前記少なくとも1つの活性化可能キャビティと流体結合し、
前記活性化可能キャビティが活性化すると、前記添加剤は、前記少なくとも1つの活性化可能キャビティから、前記第2の凍結乾燥試薬が内部に配置された前記第2のキャビティへ移動することによって、前記添加剤は、前記第2の凍結乾燥試薬を現場で再構成し、少なくとも1つのキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液を提供する、
請求項7記載のデバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つのキャビティ内に存在する前記凍結乾燥試薬および前記第2のキャビティ内に存在する前記第2の凍結乾燥試薬は、同一である、または、異なる、
請求項13記載のデバイス。
【請求項15】
前記デバイスは、所定量の少なくとも1つの第2の凍結乾燥試薬が内部に配置された第2のキャビティをさらに具え、
前記所定量の第2の凍結乾燥試薬は、重炭酸ナトリウムを具え、
前記デバイスは、第2の凍結乾燥試薬が内部に配置された前記第2のキャビティと流体結合する第2の活性化可能キャビティを具え、
前記第2の活性化可能キャビティは、所定量の第2の添加剤が内部に配置され、
前記第2の活性化可能キャビティが活性化すると、前記第2の添加剤は、前記第2の活性化可能キャビティから、前記第2の凍結乾燥試薬が内部に配置された前記第2のキャビティへ移動することによって、前記第2の添加剤は、前記第2の凍結乾燥試薬を現場で再構成し、第2のキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液を提供する、
請求項7記載のデバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つの活性化可能キャビティ内に存在する前記添加剤および前記第2の活性化可能キャビティ内に存在する前記第2の添加剤は、同一である、または、異なる、
請求項15記載のデバイス。
【請求項17】
前記少なくとも1つのキャビティおよび前記第2のキャビティと流体結合するセンサをさらに具える、
請求項13または15記載のデバイス。
【請求項18】
血液ガス、電解質および/または代謝物計装の性能をモニタする方法であって、
請求項7〜17のいずれかに記載のデバイスを、血液ガス、電解質および代謝物計装の少なくとも1つの中に配置するステップと、
前記デバイスを、前記血液ガス、電解質および/または代謝物計装のキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロールのために活性化するステップと、
を含む方法。
【請求項19】
請求項7に記載のデバイスが活性化すると、前記添加剤は、前記少なくとも1つの活性化可能キャビティから、前記凍結乾燥試薬が内部に配置された前記少なくとも1つのキャビティへ移動することによって、前記添加剤は、前記凍結乾燥試薬を現場で再構成し、少なくとも1つのキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液を提供する、
請求項18記載の方法。
【請求項20】
血液ガス、電解質および/または代謝物計装の性能をモニタする方法であって、
血液ガス、電解質および/または代謝物計装の性能をモニタするためのデバイスを、血液ガス、電解質および代謝物計装の少なくとも1つの中に配置するステップと、
前記デバイスを、前記血液ガス、電解質および/または代謝物計装のキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロールのために活性化するステップと、
を含み、
前記デバイスは、所定量の少なくとも1つの凍結乾燥試薬が内部に配置された少なくとも1つのキャビティを具え、
前記所定量の凍結乾燥試薬は、重炭酸ナトリウムを具え、
前記デバイスは、凍結乾燥試薬が内部に配置された前記少なくとも1つのキャビティと流体結合する少なくとも1つの活性化可能キャビティを具え、
前記少なくとも1つの活性化可能キャビティは、液体またはゲルの形態の所定量の添加剤が内部に配置され、
前記添加剤は、水を具え、
前記活性化可能キャビティが活性化すると、前記添加剤は、前記少なくとも1つの活性化可能キャビティから、凍結乾燥試薬が内部に配置された前記少なくとも1つのキャビティへ移動することによって、前記添加剤は、低いpH溶液を具え、かつ、前記凍結乾燥試薬を現場で再構成し、二酸化炭素を具える少なくとも1つのキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液を提供し、
前記デバイスの少なくとも一部は、封止され、前記凍結乾燥試薬を、その使用まで気密環境に維持する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2011年11月22日に出願された米国出願61/562,677号および2011年12月20日に出願された米国出願61/577,959号の特許法119(e)に従う利点を請求する。上述した出願の全内容は、明示的に本願明細書に引用したものとする。
【0002】
発明概念の分野
本発明の概念は、概して、キャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液に用いられる試薬に関するものであり、制限されるものではないが、特には、キャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液として再構成用の乾燥試薬を含むマイクロ流体デバイスと、このデバイスの製造および使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
背景技術の説明
現在、溶液は、センサのキャリブレーションおよびクオリティ・コントロールにおいて用いられる。所定のガス濃度を有する液体試薬のために、例えば、酸素および二酸化炭素のために、これらの液体試薬は、一般的に、ガラスアンプルまたは薄層状のバリア・ポーチに保存され、そこでは、バリア材料が所定量の油溶性ガスを溶液内に維持するように機能する。しかしながら、これらの溶液の保存期間は、分解産物または交差反応製品の結果として、制限されうる。
【0004】
それゆえ、センサのキャリブレーションおよびクオリティ・コントロールに用いられる新規で改良された試薬実施形態およびデリバリーシステムに対する要求が存在していた。本発明の概念は、前記組成物を含むデバイスと、このデバイスを製造および使用する方法に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の概念に従って構成されたマイクロ流体デバイスの一実施形態の斜視図である。
図2】本発明の概念に従って構成されたマイクロ流体デバイスの他の実施形態の斜視図である。
図3】本発明の概念に従って構成されたマイクロ流体デバイスのさらに他の実施形態の斜視図である。
図4】本発明の概念に従って構成されたマイクロ流体デバイスのさらに他の実施形態の斜視図である。
図5】本発明の概念に従って構成されたマイクロ流体デバイスのさらに他の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
発明概念の詳細な説明
例示的な図面、実験、結果および検査法を参照して本発明の概念の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明の概念が、以下の詳細な説明に記載される、または、図面、実験および/または結果に示されるコンポーネントの構成の適用のみに制限されないことを理解されたい。本発明の概念は、他の実施形態、または、さまざまな方法で実現または実行可能である。それゆえ、本願明細書において用いられる言語は、可能な限り最も広い範囲および意味を与えることを意図し、実施形態は、例示的であり、包括的なものを意味しない。また、本願明細書において使用される用語が説明のためであり、制限するものとみなすべきではないことを理解されたい。
【0007】
本願明細書において特に明記しない限り、本発明の概念に関連して用いられる科学用語および技術用語は当業者によって一般に理解される意味を有する。さらに、特に明記しない限り、単数形の用語は複数を含み、複数形の用語は単数を含む。上述した技術および手順は、一般的に、公知の従来方法に従って、および、本願明細書の全体にわたって引用かつ議論されるさまざまな一般的な例およびより特定の例を参照して説明されているように実行される。本願明細書において記載されている分析化学、合成有機化学、医薬品化学および薬化学に関連して用いられる技術体系、検査法および技術は、従来技術において周知であり一般的に用いられている。標準的な技術が、化学合成および化学分析のために用いられる。
【0008】
本明細書に記載の全ての特許、公開された特許出願および非特許文献は、本発明の概念が属する分野における当業者の技術のレベルを表す。本出願の任意の部分において参照される全ての特許、公開された特許出願および非特許文献は、あたかも個々の特許または刊行物が個別具体的に参照によって組み込まれるように指定されているのと同じ範囲で、その全体が参照によって明示的に本願明細書に組み込まれる。
【0009】
本願明細書において開示および請求される物、組成物および/または方法の全ては、本発明を考慮して必要以上の実験なしで実施および実行可能である。本発明の概念の物、組成物および方法が好適実施形態に関して記載されているが、本願明細書に開示されている物、組成物および/または方法、ステップ、または、方法のステップシーケンスに、本発明の概念の趣旨、精神および範囲を逸脱せずに、変更が適用可能であることは、当業者にとって明らかである。当業者にとって明らかな全てのこの種の類似の代用および変更態様は、添付の特許請求の範囲に記載の発明の精神、範囲および概念の範囲内であると考えられる。
【0010】
本発明に従って利用される際、以下の用語は、特に明記しない限り、以下の意味を有するものとして理解されたい。
【0011】
特許請求の範囲および/または明細書において、単数形の要素を「具える」と記載した場合、「1つ以上」および「少なくとも1つ」の要素を具えることもまた意味している。明細書および特許請求の範囲には、1つの選択肢のみ、および、「および/または」に言及する定義が開示されているが、特許請求の範囲において、「または」という用語は、1つの選択肢のみを明確に言及するために用いられない限り、または、複数の選択肢が相互に排他的でない限り、「および/または」を意味するために用いられる。本出願全体にわたって、「約」という用語は、値が、デバイスのためのエラーの固有のバリエーション、値を決定するのに用いられる方法、または、研究主題の中で存在するバリエーションを含むことを示すために用いられる。「少なくとも1つ」という用語は、1および1より大きい任意の量(これらに限定されるものではないが、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100等)を含むと理解されたい。「少なくとも1つ」という用語は、この用語がともに用いられる要素に応じて、100または1000以上まで拡大可能である。さらに、100、1000という量は、より大きい量が満足な結果をもたらすこともできるので、制限するものとみなしてはならない。さらに、「X、YおよびZの少なくとも1つ」という用語は、X単独と、Y単独と、Z単独と、X、YおよびZの任意の組合せと、を含むと理解されたい。
【0012】
「約」という用語は、値が、デバイスのためのエラーの固有のバリエーション、値を決定するのに用いられる方法、および/または、研究主題の中で存在するバリエーションを含むことを示すために用いられる。
【0013】
この明細書および特許請求の範囲において用いられる場合、「具えている」(「具える」も同様)、「有している」(「有する」も同様)、「含んでいる」(「含む」も同様)または「含有している」(「含有する」も同様)という用語は、非排他的な包含、すなわち、オープン・エンドであり、言及されていない要素または方法ステップの追加を排除しない。
【0014】
本明細書で用いられる「またはそれらの組み合わせ」という用語は、その用語の前に挙げられたアイテムの全ての順列組合せを意味する。例えば、「A、B、Cまたはそれらの組み合わせ」は、以下の少なくとも1つを含むことを意図する。A、B、C、AB、AC、BCまたはABC。特定の文脈において順序が重要な場合は、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BACまたはCAB。この例で続けると、1つ以上のアイテムまたは用語の繰り返しを含む組合せ、例えば、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等が明示的に含まれる。文脈から明らかでない限り、概して、任意の組み合わせでのアイテムまたは用語の数に対する制限が存在しないということを当業者は理解する。
【0015】
本明細書中に開示および請求された本発明の概念に戻ると、所定量の少なくとも1つの凍結乾燥試薬具える組成物が提供される。所定量の凍結乾燥試薬は、塩、タンパク質および触媒の少なくとも1つを具える。凍結乾燥試薬は、添加剤を用いて現場で再構成され、血液ガス、電解質および/または代謝物計装の性能をモニタするために、キャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液の単一ユニットを提供する。凍結乾燥試薬は、任意の形、例えば、ビードまたは半球の形で配置されうる。組成物は、その使用まで、実質的に気密環境に維持されうる。
【0016】
ある特定の実施形態では、所定量の凍結乾燥試薬は、塩、タンパク質および/または触媒を含むことができる。本明細書中に開示および請求された本発明の概念に従って利用される凍結乾燥試薬に存在しうる組成物の例は、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよび/または塩素塩類(これらに限定されるものではないが、例えば、塩化カルシウム、塩化リチウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムおよび/または硫酸ナトリウム)、グルコース・オキシダーゼ、グルコース・デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、グルコース・デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、乳酸塩オキシダーゼ、ヘモグロビン、コバルトおよびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。本明細書中に開示および請求された本発明の概念に従って利用される再構成されたキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液は、分析物、代謝物および/またはガスを含むが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本明細書中に開示および請求された本発明の概念は、また、血液ガス、電解質および/または代謝物計装の性能をモニタするためのデバイスを含み、このデバイスは、センサに接触するために、キャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液として現場で再構成および使用するための少なくとも1つの凍結乾燥試薬を含む。一実施形態では、デバイスは、少なくとも2つのキャビティを含む。第1のキャビティは、所定量の少なくとも1つの凍結乾燥試薬(本願明細書において上述)が内部に配置されている。第2のキャビティは活性化可能キャビティであり、活性化可能キャビティは、活性化すると、凍結乾燥試薬が内部に配置されたキャビティと流体結合する。活性化可能キャビティは、所定量の添加剤が内部に配置され、活性化可能キャビティが活性化すると、添加剤は、活性化可能キャビティから、凍結乾燥試薬が内部に配置されたキャビティへ移動することによって、添加剤は、凍結乾燥試薬を現場で再構成し、少なくとも1つのキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液を提供する。
【0018】
デバイスはセンサをさらに含み、第1のキャビティはセンサと流体結合する。センサは、血液ガス、電解質および/または代謝物計装に役立つ任意のセンサとすることができる。センサは公知技術であるので、そのさらなる考察は必要ないであろう。
【0019】
再構成されたキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液は、分析物、代謝物および/またはガスを含むことができる。デバイスの単一のキャビティは、再構成用の複数の凍結乾燥試薬を複数のキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液として含むことができる。
【0020】
デバイスの構造において、デバイスの少なくとも一部は、封止され、凍結乾燥試薬を、その使用まで実質的に気密環境に維持することができる。これによって、凍結乾燥試薬が、ビード/半球を圧潰し、その再構成を妨げうる湿度にさらされるのが防止される。凍結乾燥試薬は、公知技術の任意の方法によって、キャビティ内に配置可能である。これらに限定されるものではないが、例えば、凍結乾燥試薬は、ウェルに噴霧可能であり、および/またはキャビティを計測する際にビード/半球の形で配置可能である。ある特定の実施形態では、凍結乾燥試薬の形/ビードは、複数の凍結乾燥試薬を含むことができる。このように、複数の分析物は、同時に製造可能である。
【0021】
活性化可能キャビティは、公知技術の任意の方法または本願明細書において考察される方法によって活性化可能である。活性化可能キャビティは、これらに制限されるものではないが、例えば、ブリスターパックおよび/またはバリア・ポーチの形とすることができ、活性化可能キャビティにかかる圧力の除去によって、圧力の低下を引き起こし、その後、添加剤は、活性化可能キャビティから凍結乾燥試薬を含むキャビティ内に流れる。
【0022】
複数の凍結乾燥試薬は、単一の添加剤または複数の添加剤を用いて再構成可能である。これらの添加剤の各々は、前記添加剤が本明細書中に開示および請求された本発明の概念に従って機能可能な任意の形とすることができる。添加剤は、これらに制限されるものではないが、例えば、液体またはゲルの形とすることができる。本願明細書に記載の使用ができる(すなわち、試薬の乾燥ビード/半球に親水性を与えることができる)周知の任意の添加剤は、本明細書中に開示および請求された本発明の概念の範囲内に含まれる。複数の添加剤が利用される場合、同一の活性化可能キャビティに配置してもよいし、別々の活性化可能キャビティに配置してもよい。
【0023】
センサと接触するまでの活性化可能キャビティからの添加剤の流れおよびキャビティからの再構成された試薬の流れは、従来技術において公知であるかまたは本願明細書において考察される任意の機構によって生じうる。毛管力は、これらに制限されるものではないが、例えば、添加剤/再構成された試薬を、デバイスを通して移動することができる。あるいは、圧力または真空を、それとともに利用することができる。
【0024】
ある特定の実施形態では、所望のガス試薬は、現場で生成可能である。本明細書中に開示および請求された本発明の概念のシステムの1つの特定の非限定的な例は、重炭酸ナトリウムを含み、低いpHマトリックスの添加剤内で再融解される凍結乾燥試薬を含む。結果として生じる再構成されたキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液は、二酸化炭素を具える。他の特定の非限定的な例では、凍結乾燥試薬は、脱酸素剤(例えば、硫酸ナトリウム)を具え、添加剤は、水を具え、再構成されたキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液は、無視できるほどの酸素を具える。このように、さまざまな分析物またはガス濃度を含む溶液は、単一の液体試薬(すなわち、純水)から、現場で生成される。単一源からの液体が、乾燥試薬ビード/半球を含むマイクロチャネルを通過すると、高濃度の分析物および/または代謝物は再融解される、および/または、ガスはガス発生反応またはガス排出反応(gas scavenging reaction)を用いて変えられる。
【0025】
ある特定の実施形態では、デバイスは、(上述したような)所定量の少なくとも1つの第2の凍結乾燥試薬が内部に配置された第2のキャビティをさらに具えることができる。所定量の第2の凍結乾燥試薬は、所定量の添加剤が内部に配置された単一の活性化可能キャビティ((活性化すると)凍結乾燥試薬を含む第1のキャビティと流体結合する)と流体結合する。活性化可能キャビティが活性化すると、添加剤は活性化可能キャビティから、各々が凍結乾燥試薬を含む第1および第2のキャビティへ移動する。このように、前記添加剤は、第1および第2の凍結乾燥試薬を現場で再構成し、少なくとも2つのキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液を提供する。第1および第2の凍結乾燥試薬は、同一でもよいし、異なってもよい。
【0026】
あるいは、凍結乾燥試薬が内部に配置された2つのキャビティを含むデバイスは、2つの活性化可能キャビティを備えることもでき、各活性化可能キャビティは、(活性化の後)凍結乾燥試薬を含むキャビティと流体結合し、各活性化可能キャビティは、所定量の添加剤が内部に配置される(2つの活性化可能キャビティ内に存在する添加剤は、同一でもよいし、異なってもよい)。第1の活性化可能キャビティの活性化のために本願明細書において上述したのと同一の方法で、第2の活性化可能キャビティが活性化すると、添加剤は、第2の活性化可能キャビティから、第2の凍結乾燥試薬が内部に配置された第2のキャビティへ移動し、それによって、添加剤は、凍結乾燥試薬を現場で再構成し、第2のキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液を提供する。デバイスがセンサを含む場合、2つのキャビティは、ともに、センサと流体結合することができ、それによって、第1および第2のキャビティ内で生成された、再構成された試薬はセンサを通過する。
【0027】
さらに他の変形例では、デバイスは、凍結乾燥試薬が内部に配置された3つ以上のキャビティを含むことができる(本願明細書において詳細に上述したように)。これらの3つ以上のキャビティは、各々、(活性化可能キャビティが活性化すると)添加剤を含む自分自身の活性化可能キャビティと流体結合することができ、または、これらのキャビティの2つ以上は、2つ以上のキャビティ内に存在する凍結乾燥試薬を再構成するのに十分な所定量の添加剤を含む単一の活性化可能キャビティを共有することができる。
【0028】
さらに、デバイスが、キャビティの2セット以上を含む場合(それらが活性化可能キャビティを共有するか、または、各々、個別の活性化可能キャビティに接続されているかにかかわらず)、凍結乾燥試薬は、同時に、または、シフトされた方法で、再構成可能である。
【0029】
本発明の概念は、血液ガス、電解質および/または代謝物計装の性能をモニタする方法に関するものでもある。本発明の方法において、本願明細書において上述したデバイスのいずれかは、血液ガス、電解質および代謝物計装の少なくとも1つに配置され、デバイスは、血液ガス、電解質および/または代謝物計装のキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロールのために活性化される。
【0030】
図1は、本発明に係るデバイス10を示す。デバイス10は、血液ガス、電解質および/または代謝物計装の性能をモニタする際に利用される。デバイス10は、従来技術において公知である、または、本願明細書に記載されている任意のタイプの使い捨てカートリッジ(例えば、積層カードまたは成形カードであるが、これらに限定されない)とすることができ、以下で詳述するように、マイクロ流体構造を含むことができる。デバイス10は、センサ12と、キャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール用の1つ以上の溶液を生成するための要素を含む。これらの要素は、センサ12に流体結合する少なくとも1つのキャビティ14を含む。キャビティ14は、少なくとも1つの凍結乾燥試薬16(凍結乾燥試薬は、ビード/半球の形状として描写される)を含む。キャビティ14はまた、活性化可能キャビティ18と流体結合し、活性化可能キャビティ18は、凍結乾燥試薬16の再構成用の添加剤20(例えば、液体またはゲルであるが、これらに限定されない)を含む(流体結合は、活性化可能キャビティ18が活性化すると提供される)。活性化可能キャビティ18は、例えば、デバイス10の使用まで、添加剤20と凍結乾燥試薬16との接触を防止するために密封されたブリスターパックまたは他のタイプの密封キャビティとすることができるが、これに限定されるものではない。使用中、活性化可能キャビティ18は、(これに限定されるものではないが)例えば、その低下によって活性化することができ、次に、凍結乾燥試薬16を含むキャビティ14に添加剤20を押し込み、凍結乾燥試薬16を再構成し、それによって、再構成されたキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液を提供する。次に、再構成されたキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液を、センサ12に接触させる。結果として生じる再構成されたキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液は、対象のセンサのためのキャリブレータおよび/またはコントロール溶液として機能する、既知量のイオン、タンパク質および/またはガスを含む。
【0031】
ある実施形態では、凍結乾燥試薬16と添加剤20と混合が、キャビティ14内で生じ、凍結乾燥試薬16を確実に完全に再構成し、結果として生じる再構成されたキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液の均一性を確実にすることができる。マイクロ流体技術において公知である、または、本願明細書において考察される混合の任意の方法は、本発明の概念に従って利用可能である。さらに、キャビティ14への添加剤20の流れは、公知技術または本願明細書において考察される任意の方法によっても制御可能である。活性化可能キャビティ18を活性化する(すなわち、低下させる)力は、これに限定されるものではないが、例えば、所望量の添加剤20をキャビティ14に押し込むために必要な力を提供することができる。同様に、キャビティ14からセンサ12への、再構成されたキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液(イオン、タンパク質および/またはガスの形態にかかわらず)の流れは、公知技術または本願明細書において考察される任意の方法によって制御可能である。活性化可能キャビティ18を活性化させる(すなわち、低下させる)力は、これに限定されるものではないが、例えば、再構成されたキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液を、キャビティ14からセンサ12へ押し出すのに必要な力を最終的に提供することができる。
【0032】
図2は、血液ガス、電解質および/または代謝物計装の性能をモニタする際に利用され、本発明の概念に従って構成されたマイクロ流体デバイスの他の実施形態のデバイス10aを示す。デバイス10aは、凍結乾燥試薬の複数のビード/半球を有する複数のキャビティを含み、各キャビティが、添加剤を含む異なる活性化可能キャビティと接触するという点以外、図1のデバイス10と類似している。デバイス10aは、凍結乾燥試薬を含む3つのキャビティ、すなわち、第1のキャビティ14a、第2のキャビティ22および第3のキャビティ24と流体結合するセンサ・アレイ12aを含む。第1のキャビティ14aは、凍結乾燥試薬の4つのビード/半球16a、16a’、16a’’および16a’’’を含む。4つのビード/半球16a、16a’、16a’’および16a’’’は、同一の試薬を含んでもよいし、異なる試薬を含んでもよい。第2のキャビティ22は、凍結乾燥試薬の複数のビード/半球(参照符号26のみによって示す)を含み、第3のキャビティ24は、凍結乾燥試薬の複数のビード/半球(参照符号28のみによって示す)を含む。複数のビード/半球26は、同一の試薬を含んでもよいし、異なる試薬を含んでもよく、複数のビード/半球28も、同一の試薬を含んでもよいし、異なる試薬を含んでもよい。
【0033】
キャビティ14aは、添加剤20aを含む活性化可能キャビティ18aと流体結合する(流体結合は、活性化可能キャビティ18aが活性化すると提供される)。キャビティ22は、添加剤32を含む活性化可能キャビティ30と流体結合する(流体結合は、活性化可能キャビティ30が活性化すると提供される)。キャビティ24は、添加剤36を含む活性化可能キャビティ34と流体結合する(流体結合は、活性化可能キャビティ34が活性化すると提供される)。添加剤20a、32および36は、同一でもよいし、異なってもよい。添加剤20a/32/36を含む活性化可能キャビティ18a/30/34は、添加剤20を含む活性化可能キャビティ18に関して上述したのと同様に機能し、このことにより、凍結乾燥試薬のビード/半球16〜16’’’/26/28を再構成する。このように、既知量のイオン、タンパク質および/またはガスを含む再構成されたキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液が提供され、センサ・アレイ12aのためのキャリブレータおよび/またはコントロール溶液として機能する。活性化可能キャビティ18a、30および34が、同時に活性化可能であること、または、活性化可能キャビティ18a、30および34が、同時ではなくシフトして活性化可能であることを理解されたい。
【0034】
図3は、本発明の概念のさらに他の実施形態を示す。図3に示すデバイス10bは、以下の点を除いて図2に示すデバイス10aと類似している。すなわち、図3のデバイス10bでは、凍結乾燥試薬のビード/半球(各キャビティ14b、22bおよび24bにおいて、それぞれ、参照符号16b、26bおよび28bによって示される複数のビード/半球)を含む3つのキャビティ14b、22bおよび24bは、添加剤20bを含む単一の活性化可能キャビティ18bと流体結合し(活性化可能キャビティ18bが活性化すると)、参照符号16b、26bおよび28bによって示されるビード/半球の全てを再構成する。デバイス10bは、キャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液の再構成後は、デバイス10および10aと同様に機能する。
【0035】
図2および図3に示す実施形態では、複数の再構成されたキャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液は、共通のセンサ経路を有する。図4および図5は、血液ガス、電解質および/または代謝物計装の性能をモニタする際に利用されるデバイス40および40aを示し、デバイス40および40aは、複数のセンサ・アレイを含む点を除き、図1図3のデバイス10、10aおよび10bと同様に機能する。
【0036】
図4は、凍結乾燥試薬46の1つまたは複数のビード/半球を含む第1のキャビティ44と流体結合する第1のセンサ・アレイ42を含むデバイス40を示す。デバイス40はまた、凍結乾燥試薬52の1つまたは複数のビード/半球を含む第2のキャビティ50と流体結合する第2のセンサ・アレイ48を含む。デバイス40は、凍結乾燥試薬58の1つまたは複数のビード/半球を含む第3のキャビティ56と流体結合する第3のセンサ・アレイ54をさらに含む。凍結乾燥試薬46、52および58のビード/半球をそれぞれ含む3つのキャビティ44、50および56は、参照符号46、52および58によって表されるビード/半球の全ての再構成用の添加剤62を含む単一の活性化可能キャビティ60と流体結合する(流体結合は、活性化可能キャビティ60が活性化すると提供される)。
【0037】
図5は、凍結乾燥試薬46aの1つまたは複数のビード/半球を含む第1のキャビティ44aと流体結合する第1のセンサ・アレイ42aを含むデバイス40aを示す。デバイス40aはまた、凍結乾燥試薬52aの1つまたは複数のビード/半球を含む第2のキャビティ50aと流体結合する第2のセンサ・アレイ48aを含む。デバイス40aは、凍結乾燥試薬58aの1つまたは複数のビード/半球を含む第3のキャビティ56aと流体結合する第3のセンサ・アレイ54aをさらに含む。凍結乾燥試薬46a、52aおよび58aのビード/半球それぞれを含む3つのキャビティ44a、50aおよび56aは、参照符号46a、52aおよび58aによって表されるビード/半球の全ての再構成用の添加剤62aを含む単一の活性化可能キャビティ60aと流体結合する(流体結合は、活性化可能キャビティ60aが活性化すると提供される)。
【0038】
図4のデバイス40および図5のデバイス40aは、デバイス40が、凍結乾燥試薬46、52および58のビード/半球の同時再構成に提供する一方、デバイス40aが、凍結乾燥試薬46a、52aおよび58aのビード/半球のシフトされた再構成を提供するという点で、互いに異なる。図4のデバイス40のセンサ42、48および54と、図5のデバイス40aのセンサ42a、48aおよび54aと、は、互いに整列するものとして(同一線上に)示されている。しかしながら、センサ42/42a、48/48aおよび54/54aの1つ以上は、互いにシフトすることができるということを理解されたい。さらに、センサ42/42a、48/48aおよび54/54aが、互いに整列して配置されるとき、センサ42/42a、48/48aおよび54/54aの2つ以上は、冗長になりうる。
【0039】
図4および図5は、単一の添加剤62/62aを含む単一の活性化可能キャビティ60/60aの使用を示すが、キャビティ44/44a、50/50aおよび56/56aの2つ以上が、同一または異なる添加剤を含む複数の活性化可能キャビティによって、図2のデバイス10aに関して記載したのと同様に供給可能であることを理解されたい。
【0040】
図1図5に示すキャビティの各々内に存在する凍結乾燥試薬のビード/半球の数は、例示目的のためであり、制限するものとして解釈してはならない。さらに、本願明細書において記載および請求されるキャビティのいずれも、内部に配置された凍結乾燥試薬の1つのビード/半球のみを備えることができるということを理解されたい。
【実施例】
【0041】
以下、実施例が提供される。しかしながら、本発明が特定の実験、結果および検査法への適用に制限されるものではないということを理解されたい。むしろ、実施例は、単に各種実施形態の1つとして提供され、例示的なものあり、包括的なものではない。
【0042】
実施例1
この実施例は、ポイント・オブ・ケアの血液ガス(POCBG)、電解質および代謝物試薬の調合、凍結乾燥および再構成の概略を提供する。この実施例において、キャリブレーション溶液の凍結乾燥されたビード/半球は、将来のポイント・オブ・ケア製品用に調合された。
【0043】
第1に、キャリブレーション溶液の濃縮物は、表1に示される5倍濃度値を用いて調合された。
【表1】
【0044】
表1にリストされた試薬に加えて、より長持ちする(viable)製品を製造するのを支援するために、保護剤および安定剤を含めることができる。保護剤および/または安定剤は、一般的に、約1%から約30%までの濃度で単独または組み合わせて用いられる。保護剤および/または安定剤は、以下を提供する。
(1)試薬処方成分に対する安定性
(2)処理および再構成が容易で、安定かつ長持ちする凍結乾燥「ケーキ」
(3)構造を「ケーキ」に提供する
一般的に、保護剤/安定剤は、これらに限定されるものではないが、例えば、ポリヒドロキシ化合物、これらに限定されるものではないが、例えば、糖類(単糖、二糖および多糖)、多価アルコールおよびこの誘導剤、および、他の化合物、これらに限定されるものではないが、例えば、PEG、PVP、カルボキシメチルセルロース、トレハロース、スクロース、マルチデキストリン、フィコール70、PVP40、PEG8000、BSA等を含む。使用する化合物に関係なく、保護剤/安定剤は製剤(安定性)に干渉してはならない、または、センサまたは機器に干渉してはならない。
【0045】
凍結乾燥に利用される充填容積に関して
これは5倍濃縮物であるので、充填および再構成容積は整合すべきである。例えば、再構成するために、40μlを充填し、希釈剤200μlを追加する。容積は、デバイスにおいて必要なサンプル・サイズに依存するものである。
【0046】
使用する容器は、試薬に適合するべきであり、試薬、センサまたは機器を害する何かを浸出させるべきではない。容器は、試薬に影響されず、かつ、試薬に影響を与えずに、冷凍可能かつ加熱可能でなければならない。本発明の概念に従って利用可能な容器の非限定的な実施例は、96ウェルプレートである。
【0047】
凍結乾燥のための手順は、96ウェルプレート(または他の容器)を選択された容積で充填させることから開始する。次に、プレートは、(これに限定されるものではないが、例えば、液体窒素または他の超冷却溶液(例えば、メタノール/ドライアイス)の浸漬によって)急速凍結される。凍結速度は、さまざまな要因(これに限定されるものではないが、例えば、試薬組成およびイオン強度)に影響される。凍結速度は、急速でなければならないが、大きい氷晶を形成し、それゆえ、大部分の水が確実に凍結されるほど急速であってはならない。凍結サイクルは、再構成された試薬の濁度および均一性に影響を及ぼしうる。凍結乾燥機に応じて、プレートは、棚で直接凍結可能である。しかしながら、これは、プレートと棚との非常に良好な接触および効率的な導電率を必要とする。試薬は、一般的に、約−50℃から約−80℃未満の温度に凍結する。温度は、共晶点を決定することによって定義される。
【0048】
考えられる複数の凍結乾燥プログラムおよびステップが存在する。しかしながら、方法は、一般的に、次のステップを含まなければならない。
(a)主要な乾燥ステップは、氷の除去のために利用される。このステップは、棚に適用された部分的真空かつ中熱(一般に<0℃に維持)で実行される。目的は、構造崩壊を引き起こすことなく昇華を引き起こすことである。このステップは、安定した温度で、または、温度が漸増する熱勾配の条件下で実行可能である。このプロセスは、一般的に、遅く、容積に依存する。
(b)第2の乾燥工程は、未凍結水の除去のために利用される。このステップは、棚に適用された高真空かつ上昇した温度で実行される。このステップは、利用される条件および濃度に時間依存する。このステップは、安定性に必要とされる含水量で測定される(特にグルコースが存在する場合、一般的に<1%)。
(c)サイクル・ステップの終了時において、温度は、室温、または、わずかに室温未満になる。真空は、乾燥した不活性ガスに置換される。サンプルは、キャップされる(このステップはブラダー・システムおよび特別なキャップで手動または自動で実行可能である)。次に、製品は、密封された積層体または他の水分不浸透性容器に格納される。
【0049】
凍結乾燥されたビード/半球は、上述したように、その後再構成される(すなわち、希釈剤で1:5に希釈される)。
【0050】
実施例2
塩類(これらに限定されるものではないが、例えば、塩化カルシウム、塩化リチウム、重炭酸ナトリウム等)および/または、タンパク質(これらに限定されるものではないが、例えば、グルコース・オキシダーゼ、グルコース・デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、乳酸塩オキシダーゼ等)を含むキャリブレータまたはコントロール溶液は、既知濃度で凍結乾燥される。脱イオン水を用いて再構成すると、既知濃度の各イオンまたはタンパク質が生成される。
【0051】
特定の二酸化炭素ガス濃度を形成するために、本発明に係るデバイスの凍結乾燥試薬が配置されたキャビティは、重炭酸ナトリウムを含み、それは、pH調節剤(例えば、クエン酸ナトリウム)を含む添加剤によって再構成され、このようにして、二酸化炭素が発生する。
【0052】
低酸素ガス溶液は、亜硫酸ナトリウムのような脱酸素剤および任意にコバルトのような触媒を、本発明に係るデバイス内に配置された凍結乾燥試薬に組み込むことによって形成される。
【0053】
上述した凍結乾燥されたビード/半球のいずれかは、既知濃度の液体/ゲル内で再融解され、その結果生じた溶液は、凍結乾燥されたビード(すなわち、pHセンサ、ナトリウム・センサ、乳酸塩センサなど)に組み込まれたイオンのいずれかのためのキャリブレータまたはコントロールとして機能する。
【0054】
さらに、異なる既知濃度の分析物を有するビード/半球は、使い捨てのデバイスの異なるウェル/キャビティに配置され、単一の水源は、複数のキャリブレーション/コントロール溶液を同時に現場で生成する添加剤(単一の活性化可能キャビティ内に存在する)として用いられる。
【0055】
このように、本発明によれば、上述した本発明の目的および利点を完全に満足する組成物およびデバイスと、この組成物およびデバイスの製造方法および使用方法と、が提供される。本発明は、上述した特定の図面、実験、結果および用語に関連して記載してきたが、多くの代替、修正および変更が当業者に明らかであることを理解されたい。したがって、全てのこの種の代替、修正および変更が本発明の範囲に含まれるということを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5