(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226875
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】アルキルメルカプタン合成用触媒およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 37/02 20060101AFI20171030BHJP
B01J 37/00 20060101ALI20171030BHJP
B01J 23/30 20060101ALI20171030BHJP
C07C 319/08 20060101ALI20171030BHJP
C07C 321/04 20060101ALI20171030BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20171030BHJP
【FI】
B01J37/02 101E
B01J37/00 D
B01J23/30 Z
C07C319/08
C07C321/04
!C07B61/00 300
【請求項の数】23
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-547808(P2014-547808)
(86)(22)【出願日】2012年11月27日
(65)【公表番号】特表2015-506825(P2015-506825A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】EP2012073724
(87)【国際公開番号】WO2013092129
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2015年11月13日
(31)【優先権主張番号】11194327.0
(32)【優先日】2011年12月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501073862
【氏名又は名称】エボニック デグサ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミン フォンフェ
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン フース
(72)【発明者】
【氏名】フランク ヴィルツ
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト ヤーコプ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ヴェックベッカー
【審査官】
延平 修一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/046232(WO,A1)
【文献】
特開2011−032257(JP,A)
【文献】
特表2008−508096(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0033213(US,A1)
【文献】
特表2006−524563(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0015941(US,A1)
【文献】
特表2010−516461(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0113833(US,A1)
【文献】
国際公開第2008/093711(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0118531(US,A1)
【文献】
特開2006−068663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
C07C 319/08
C07C 321/04
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体材料、および酸素と共に少なくとも1つのアルカリ金属およびタングステンを含有する酸化物組成物を含む、アルカノールと硫化水素との反応によってアルキルメルカプタンを製造するための触媒の製造方法であって、以下の段階:
1) 少なくとも1つの担体材料、酸化物であるタングステン化合物および少なくとも1つの別途のアルカリ金属化合物を準備する段階、
2) 前記担体材料を、酸化物であるタングステン化合物、および少なくとも1つの別途のアルカリ金属化合物と混合して、触媒組成物を得る段階、および
3) 得られた触媒組成物を成形する段階
を含む前記方法。
【請求項2】
酸化物であるタングステン化合物を固体として、担体材料に、または担体材料と少なくとも1つのアルカリ金属化合物との混合物に添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酸化物であるタングステン化合物が、三酸化タングステン(WO3)、タングステン酸(WO3・H2O)、メタタングステン酸、パラタングステン酸、イソポリタングステン酸、ヘテロポリタングステン酸、それらのアンモニウム塩、それらの水和物およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つのアルカリ金属化合物が、アルカリ金属の水酸化物および炭酸塩からなる群から選択される塩基性のアルカリ金属化合物である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
担体材料が、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、アモルファスアルミノケイ酸塩およびそれらの混合物からなる群から選択される酸化物の無機担体材料であり、且つ、1000μm未満の大きさを有する粒子の形態で使用される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
担体材料の粒子の大きさが、500μm未満である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
担体材料の粒子の大きさが、1〜25μmの範囲である、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
酸化物であるタングステン化合物および別途のアルカリ金属化合物を、担体材料に連続して添加する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの有機および/または無機結合剤を段階2および3の1つまたは両方で添加する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
触媒の成形を押出またはプレスによって行う、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
担体材料、および酸素と共に少なくとも1つのアルカリ金属およびタングステンを含有する酸化物組成物を含み、且つ、1000μm未満の粒径を有する担体材料の粒子から製造される、アルカノールと硫化水素との反応によってアルキルメルカプタンを製造するための触媒。
【請求項12】
担体材料の粒子の大きさが、500μm未満である、請求項11に記載の触媒。
【請求項13】
担体材料の粒子の大きさが、1〜25μmの範囲である、請求項11または12に記載の触媒。
【請求項14】
触媒の断面上での正規化されたタングステン濃度(Cnorm(W))の標準偏差stadevが20未満である触媒であって、前記標準偏差は、ISO22309(2006)に準拠してEDXの定量分析によって、正方形の測定点において、各々辺長100μmを有し且つその中心点が直線上にあり、且つ各々隣接する正方形の中心点から100μmのところにあり、正方形の第1の中心点および最後の中心点は各々、触媒断面の端部から100μmのところにある少なくとも10個の正方形の測定点において測定される、請求項11から13までのいずれか1項に記載の触媒。
【請求項15】
酸化物組成物が一般式AxWOy
[式中、記号は以下の意味を有する:
A: ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムからなる群から選択される、少なくとも1つのアルカリ金属
x: 組成物中のタングステンに対する少なくとも1つのアルカリ金属のモル分率、これは2:1〜0.8:1の範囲である、且つ
y: 組成物中の酸素のモル分率、これは3.4〜4の範囲である]
の組成物であることを特徴とする、請求項11から14までのいずれか1項に記載の触媒。
【請求項16】
固体のタングステン化合物と、担体材料とを混合する段階を含む方法によって製造される、請求項11から15までのいずれか1項に記載の触媒。
【請求項17】
触媒中でのアルカリ金属およびタングステンで構成される酸化物組成物の割合が、触媒の総質量に対して、15質量%より大きい、請求項11から16までのいずれか1項に記載の触媒。
【請求項18】
触媒中でのアルカリ金属およびタングステンで構成される酸化物組成物の割合が、触媒の総質量に対して、25質量%より大きい、請求項17に記載の触媒。
【請求項19】
触媒中でのアルカリ金属およびタングステンで構成される酸化物組成物の割合が、触媒の総質量に対して、60質量%までである、請求項18に記載の触媒。
【請求項20】
触媒粒子中の担体材料の割合が、組成物全体に対して、25〜50質量%である、請求項11から19までのいずれか1項に記載の触媒。
【請求項21】
担体材料が、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、アモルファスアルミノケイ酸塩およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの酸化物無機化合物を含む、請求項11から20までのいずれか1項に記載の触媒。
【請求項22】
少なくとも1つの有機および/または無機結合剤をさらに含む、請求項11から21までのいずれか1項に記載の触媒。
【請求項23】
請求項11から22までのいずれか1項に記載の触媒の存在下で、または請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法によって製造された触媒の存在下で、アルカノールと硫化水素との反応によってアルキルメルカプタンを製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、担体材料と、少なくとも1つのアルカリ金属およびタングステンを含有する酸化物組成物とを含む触媒、かかる触媒の製造方法、およびかかる触媒の存在下でアルカノールと硫化水素とを反応させることによるアルキルメルカプタンの製造方法に関する。
【0002】
メチルメルカプタンは特に、例えばメチオニン、ジメチルスルホキシドまたはジメチルスルホンを合成するための、産業的に重要な中間生成物である。現在、メチルメルカプタンは、メタノールおよび硫化水素から、酸化アルミニウムで構成される触媒の存在下で反応させることによって製造されている。メチルメルカプタンの合成は通常、気相中で、温度300〜500℃の範囲内、且つ圧力1〜25barの範囲内で行われる。
【0003】
この場合に得られる反応混合物は、所望の生成物のメチルメルカプタンと共に、未反応の出発材料および副生成物、例えばジメチルスルフィドおよびジメチルエーテル、および反応に関して不活性であるガス、例えばメタン、一酸化炭素、水素および窒素を含有する。形成されるメチルメルカプタンは、この反応混合物から分離されなければならない。
【0004】
従って、経済的な方法にするためには、メチルメルカプタンを形成するためのメタノールと硫化水素との触媒反応の高い変換率と高い選択性との両方を有することにより、反応混合物から形成されるメチルメルカプタンの分離のための支出を可能な限り低く保つ必要がある。反応ガス混合物からの分離は通常、メチルメルカプタンの凝縮によって実施され、この場合、反応混合物を冷却するためのエネルギー消費が特に、高いコストの要因である。
【0005】
触媒の活性および選択性を高めるために、酸化アルミニウムは通常、アルカリ金属のタングステン酸塩(通常、助触媒としても称される)、例えばタングステン酸カリウムまたはタングステン酸セシウムと混合される。触媒の総質量に対するタングステン酸塩の割合は、例えば米国特許第2820062号内に記載されているとおり、通常、約20%までである。
【0006】
触媒中のアルカリ金属のタングステン酸塩の割合は、さらに、前記触媒を製造するための、比較的複雑な方法において担体材料がアルカリ金属のタングステン酸塩溶液で多重に含浸される特定の方法によって(例えばEP0832878号A2およびDE10338887号A1参照)、25質量%以上に増加させることができ、アルカリ金属のタングステン酸塩の濃度を約25質量%の割合より高めることは、酸化物組成物におけるアルカリ金属とタングステンとが化学量論組成比2:1で触媒に施与される場合、選択率の増加をもたらすが、より低い活性を伴う(DE10338887号A1参照)。含浸に使用する溶液中のセシウムとタングステンとの化学量論組成比ではない比を使用することによって、装填量を35質量%より高くすることができるが、そのような高い装填量、特に触媒の総質量に対して45%質量%より高い装填量では、変換率または選択性の著しい増加はもはや観察できず、変換率および選択性が減少することすらある。
【0007】
従って、本発明の課題は、アルキルメルカプタン、特にメチルメルカプタンを形成するための硫化水素とアルカノール、特にメタノールとの反応のために、先行技術から公知の触媒と比較して改善された活性および選択性を示す触媒およびそれを製造するための方法を提供することであった。改善された活性および選択性は、アルキルメルカプタンの合成方法において通常使用される硫化水素対メタノールの全てのモル比で、例えば、H
2S:MeOHの範囲≧1:1〜10:1において、特に、硫化水素対メタノールの比較的低いモル比、つまりH
2S:MeOH比≦3:1、好ましくは2:1で存在するべきである。
【0008】
この度、意外なことに、この課題が、担体材料、および酸素と共に少なくとも1つのアルカリ金属およびタングステンを含有する酸化物組成物を含む触媒の製造方法であって、以下の段階:
1) 少なくとも1つの担体材料、酸化物であるタングステン化合物および少なくとも1つの別途のアルカリ金属化合物を準備する段階、
2) 前記担体材料を酸化物であるタングステン化合物、および少なくとも1つの別途のアルカリ金属化合物と混合して、触媒組成物を得る段階、
3) 得られた触媒組成物を成形する段階
を含む前記方法、およびこの方法によって製造された触媒によって解決されることが判明した。
【0009】
アルカリ金属のタングステン酸塩および担体材料、例えば酸化アルミニウムを必要とする先行技術から公知の方法において、アルカリ金属のタングステン酸塩の溶液は常に最初に製造され、且つ、その後、担体材料に添加される。その後、含浸法において、好ましくは多段階の含浸法において、数ミリメートルのサイズを有する担体材料の粒子に溶液を施与する。
【0010】
意外なことに、担体材料がアルカリ金属とタングステン酸塩との両方を含有する溶液で含浸されるのではなく、その代わりに、担体材料が、好ましくはアルカリ金属を含有しない酸化物であるタングステン化合物と混合され、そして別途のアルカリ金属化合物と混合される場合に、高められた触媒の活性および選択性を得ることができることが判明した。
【0011】
本発明の方法によって製造された触媒は、含浸法によって製造された従来技術から公知の触媒と比較して、同一の反応条件下且つ同一の装填量で、より高い変換率およびより大きな選択性を可能にする。
【0012】
さらには、本発明の方法は、酸化物組成物中での、アルカリ金属の含有率の、タングステン含有率に対する割合(触媒の総質量に対するアルカリ金属の酸化物A
2Oの質量%の、触媒の総質量に対するタングステン(VI)酸化物WO
3の質量%に対する割合として示される)の単純な変更を可能にする。アルカリ金属とタングステンとを含有する酸化物組成物による触媒の総装填量は、触媒中でのA
2OとWO
3との上述の割合の合計である。化学量論組成比ではない比の利点は、特許出願DE10338887号A1内に記載されている。
【0013】
本発明の方法は、アルカリ金属とタングステンとを含有する酸化物組成物による、担体材料の高い装填量が、多段階の非常に時間がかかる含浸法を行わなくても得られることも可能にする。
【0014】
さらには、本方法は、45質量%より高い酸化物組成物の装填量を有し、且つ良好な活性と良好な選択性との両方を示す触媒を得ることを可能にする。
【0015】
本発明の触媒のさらなる利点は、それらが、95%より高い選択性を、同様に95%より高い変換率で可能にし、アルカノールと硫化水素との反応において典型的な反応条件下でアルキルメルカプタンを形成することを達成する触媒を提供することである。本発明の触媒は、本発明による実施例により実証されるとおり、例えば、メチルメルカプタンを形成するために行われるべき硫化水素とメタノールとの反応を、典型的な反応条件下(温度約300〜370℃、圧力約9bar、H
2S/MeOHの質量比約1.9)にて95%よりも著しく高い選択性で、同様に95%より高い変換率で可能にする。場合により、本発明の触媒は、H
2S:MeOHの比が<2:1でさえも、96%より高い選択性が99%より高い変換率で達成されることを可能にする。より高い比のH
2S:MeOH、即ちH
2S:MeOH>2:1の際、結果はさらに良好である。
【0016】
高い変換率での高い選択性、およびH
2S:MeOHの比較的低い比(例えば≦3:1)は、とりわけ、変換率≧98%でのアルキルメルカプタンの効率的な合成を可能にし、その結果、反応混合物からのアルキルメルカプタンの分離が著しく簡略化される。
【0017】
本発明においては、変換という用語は、触媒反応の間に反応されたメタノールの量、即ち、実際に反応したメタノールの量の、使用されたメタノールの量に対する割合に関する。これは例えばガスクロマトグラフィーによって測定できる。
【0018】
本発明においては、選択性という用語は、形成されたメチルメルカプタンの量の、反応されたメタノールの量に対する割合に関する。
【0019】
本発明においては、酸素と共に少なくとも1つのアルカリ金属およびタングステンを含有する酸化物組成物とは、化学量論組成比のアルカリ金属およびタングステンを有するアルカリ金属のタングステン酸塩、例えばA
2WO
4(またはA
2O+WO
3)
[式中、Aはアルカリ金属である]、
および、タングステンおよび少なくとも1つのアルカリ金属を含有し且つ一般式A
xWO
y
[式中、記号は以下の意味を有する:
A: 好ましくはナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムからなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ金属、
x: 組成物中での、タングステンに対する少なくとも1つのアルカリ金属のモル分率、これは好ましくは2:1〜0.8:1の範囲、特に好ましくは1.9:1〜1.1:1の範囲である、および
y: 組成物中での酸素のモル分率、これは好ましくは3.4〜4の範囲である]
を有する混合酸化物、およびアルカリ金属酸化物と酸化物であるタングステン化合物との均質混合物を包含する。本発明においては、混合された酸化物は、分子レベルで密接に混合された複数の異なる化学元素の酸化物を含有する物質である。
【0020】
本発明においては、別途のアルカリ金属化合物は、少なくとも1つのアルカリ金属を含有する化学的な化合物であり、且つ、酸化物であるタングステン化合物から物理的に分離される、即ち、特にアルカリ金属イオンと共にタングステン化合物またはタングステンイオンとを含有する溶液の形態ではない。
【0021】
本発明の方法において使用される、酸化物であるタングステン化合物は、好ましくは酸化状態VIのタングステンを含有する化合物である。酸化物であるタングステン化合物は、好ましくは三酸化タングステン(WO
3)、タングステン酸(WO
3・H
2O)、メタタングステン酸、パラタングステン酸、イソポリタングステン酸、ヘテロポリタングステン酸、それらのタングステン酸のアンモニウム塩、即ち、タングステン酸(オルトタングステン酸、メタタングステン酸およびパラタングステン酸)アンモニウム、およびイソポリタングステン酸アンモニウム、ヘテロポリタングステン酸アンモニウム、それらの水和物およびそれらの混合物からなる群から選択され、且つ、好ましくはタングステン酸、またはオルトタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウムまたはパラタングステン酸アンモニウムである。
【0022】
本発明の方法において使用される少なくとも1つのアルカリ金属化合物は、好ましくは水溶性のアルカリ金属化合物である。さらには、アルカリ金属化合物は好ましくは塩基性のアルカリ金属化合物である。
【0023】
本発明において、塩基性のアルカリ金属化合物は、アルカリ金属を含有し且つ水で希釈されて室温(23℃)でpH>7を有する溶液を生じる水溶性の化合物である。該アルカリ金属化合物は、好ましくはアルカリ金属水酸化物および炭酸塩からなる群から選択される。アルカリ金属は好ましくは、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびルビジウムからなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ金属、またはそれらのアルカリ金属の少なくとも2つの混合物である。塩基性のアルカリ金属化合物は、特に好ましくは、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびルビジウムからなる群から選択されるアルカリ金属水酸化物または炭酸塩である。本発明においては、水酸化カリウム、水酸化セシウム、または水酸化カリウムと水酸化セシウムとの混合物を使用することが非常に特に好ましい。
【0024】
本発明の触媒における担体材料は、好ましくは酸化物の無機の担体材料である。これは好ましくは、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、アモルファスのアルミノケイ酸塩、およびそれらの混合物からなる群から選択される。この担体材料は、好ましくは、1000μm未満の大きさを有する粒子の形態で使用される。担体材料は特に好ましくは酸化アルミニウムである。
【0025】
担体材料粒子の幾何学的な形態は原則的にいかなる制限も受けない。粒子は例えば、球形、円筒形、立方形、立方体形、角柱形、楕円形、環形、または不規則に成形された粒子の形態であってよく、これらの形状に限定されない。本発明においては、それらの粒子の大きさは各々、粒子の最大の直線的な寸法であり、例えば立方形の粒子の場合においては長さであり、且つ球形の粒子の場合には直径である。本発明の方法において使用される粒子の大きさは、好ましくは500μm未満、特に好ましくは250μm未満、特に好ましくは100μm未満、および特に50μm未満である。使用される担体材料の粒子の大きさは、非常に特に好ましくは1〜25μmの範囲である。
【0026】
約10〜約400m
2/gの範囲の高い比表面積を有し、且つ主に酸化アルミニウムの遷移系列の結晶相の酸化物(Ullmann’s Encyclopaedia of Industrial Chemistry、1985、Vol. A1、561−562参照)からなる活性な酸化アルミニウムが、担体材料として特に好ましい。かかる遷移酸化物は、γ−、δ−、ε−、κ−、χ−およびθ−酸化アルミニウムを含む。活性な酸化アルミニウムは、様々な等級において市販されており、且つ、触媒の用途のために供給されている。粒径約1〜25μmを有し且つ比表面積180〜400m
2/gの範囲(ISO9277に準拠して測定)、メソ孔(d=2〜50nm)容積5〜50ml/100gの範囲(DIN66134に準拠して測定)、マクロ孔(d>50nm)容積20〜100ml/100gの範囲(DIN66133に準拠して測定)、およびバルク密度300〜1000g/lの範囲(DIN ISO697に準拠して測定)を有する粒子からなる相応の酸化アルミニウムの粉末が、本発明の触媒を製造するために特に適している。
【0027】
本発明の方法においては、酸化物であるタングステン化合物および別途のアルカリ金属化合物は、好ましくは連続して担体材料に添加される。ここで、担体材料を、酸化物であるタングステン化合物と始めに混合し、その後、得られる混合物を少なくとも1つのアルカリ金属化合物と混合してよい。代替として、担体材料を少なくとも1つのアルカリ金属化合物と最初に混合し、得られる混合物を次に、酸化物であるタングステン化合物と混合して、触媒組成物を形成してよい。
【0028】
酸化物であるタングステン化合物を、好ましくは固体として、担体材料に、または担体材料と少なくとも1つのアルカリ金属化合物との混合物に添加する。特に好ましくは、溶液の総質量に対して≧50質量%のアルカリ金属水酸化物濃度を有する、アルカリ金属水酸化物の水溶液の添加前または添加後に、固体のタングステン酸を添加する。特に好ましくは、70%濃度のアルカリ金属水酸化物の水溶液の前または後に、担体材料に固体のタングステン酸を添加する。
【0029】
触媒の成形を、好ましくは、得られる触媒組成物を押し出すこと、またはこれを例えばタブレット成形機内でプレスすることによって行う。押出の間、温度は好ましくは40℃を上回るべきではない。ここでの圧力は、好ましくは少なくとも5barである。
【0030】
本発明の方法によって製造された触媒は、シェルの形態で担体に施与された酸化物組成物を含有する混合物である被覆触媒とは対照的に、好ましくは全活性(all−active)触媒、即ち、成形された触媒体全体にわたって触媒組成物が均質に分布している触媒であって、好ましくは押出物またはプレスされた物体の形態である前記触媒である。
【0031】
好ましくは、本発明の方法は、好ましくは離散した触媒粒子の形態である、固定床反応器内で使用するための触媒を製造するために用いられる。それらの触媒粒子は好ましくは、1〜9mm、特に好ましくは1.5〜5mmの範囲の大きさを有する。
【0032】
これらの触媒粒子の幾何学的な形態は原則的にいかなる制限も受けない。触媒粒子は例えば、球形、円筒形、立方形、立方体形、角柱形、楕円形、環形、または不規則に成形された粒子の形態であってよく、これらの形状に限定されない。
【0033】
この方法で得られる触媒材料のかさ密度は、好ましくは0.70g/cm
3より大きく、より好ましくは0.80g/cm
3より大きく、特に好ましくは0.9g/cm
3より大きく、および特に1.0〜1.7g/cm
3である(DIN ISO 697に準拠して測定)。
【0034】
触媒のBET比表面積は、ISO9277に準拠して測定して180m
2/g未満、さらには、90m
2/g未満であってよいが、いかなる場合においても10m
2/gより大きい。これは好ましくは30〜80m
2/g、特に好ましくは40〜60m
2/gである。
【0035】
これらは全て、さらに意外であり、なぜなら、これらの比較的低い値のBET比表面積で非常に良好な結果が達成される一方で、従来技術から公知の触媒のBET表面積は一般に140m
2/g以上であり、且つ、これらの場合、BET表面積が高いほど良好な結果が得られるからである。
【0036】
触媒のメソ孔の特定の孔容積、即ち、2〜50nmの範囲の直径を有する孔は、Barrett, Joyner and Halenda(BJH)の方法によってDIN66134に準拠して測定して、好ましくは0.20ml/g未満、特に好ましくは0.15ml/g未満である。
【0037】
触媒のマクロ孔の特定の孔容積、即ち、50nmより大きい直径を有する孔は、水銀圧入によってDIN66133に準拠して測定して、好ましくは0.40ml/g未満、特に好ましくは0.25ml/g未満である。
【0038】
触媒を製造するための本発明の方法は、好ましくは以下の追加的な段階:
(i) 触媒組成物および/または成形された触媒を乾燥させる段階、
(ii) 触媒組成物および/または成形された触媒を焼成する段階
の好ましくは少なくとも1つ、好ましくは両方も含む。
【0039】
1つの選択肢としては、乾燥および焼成を、まだ成形されていない触媒組成物において、即ち、本発明の方法の段階2の後且つ段階3の前に行って触媒粒子を形成することができる。これは好ましくは触媒組成物がプレスによって成形されるべき場合にあてはまる。乾燥および焼成を、予め成形された触媒粒子において、即ち、本発明の方法の段階3の後で行うこともできる。後者は好ましくは触媒組成物の成形が押出によって行われる場合にあてはまる。
【0040】
触媒を製造するための本発明の方法は、好ましくは触媒の成形を押出またはプレスによって行うことも含み、且つ、前記方法は好ましくは以下の追加的な段階:
(i) 触媒組成物および/または成形された触媒を乾燥させる段階、および
(ii) 触媒組成物および/または成形された触媒を焼成する段階
を含む。
【0041】
さらには、触媒組成物または成形された触媒を、室温で約1〜10時間の間、予備乾燥させてもよい。
【0042】
実際の乾燥は好ましくは1〜10時間の間、温度100〜200℃、特に好ましくは温度100〜140℃で行われる。焼成は好ましくは1〜20時間の間、好ましくは1〜10時間の間、および特に好ましくは1〜5時間、温度300〜600℃で、特に好ましくは温度420〜480℃で行われる。乾燥と焼成との両方を、例えば、マッフル炉内で行うことができ、焼成を乾燥の直後に続けることもでき、その間に触媒は冷却されない。予備乾燥、乾燥および/または焼成の間に、随意に触媒床にガス流を通して、残留湿分の除去を補助することができる。適したガスは、例えば、空気、二酸化炭素、窒素、希ガス等であるが、それらに限定されない。
【0043】
本発明の方法において、さらなる材料、例えば溶剤、結合剤、プレス補助剤、孔形成剤、鉱物繊維または潤滑剤も、触媒組成物の個々の成分を混合する(段階2)または触媒を成形する(段階3)上述の段階の1つにおいて、触媒組成物に添加することができる。好ましくは少なくとも1つの有機および/または無機結合剤および/または鉱物繊維を、上述の段階2および3の1つまたは両方において、担体材料と、タングステン酸および/またはアルカリ金属化合物との混合物に添加する。適した結合剤は、例えば、コロイド状シリカ分散液、高ポリマー多糖類、例えばヒドロキシセルロースまたはメチルヒドロキシセルロース、およびワックス分散液を包含するが、それらに限定されない。
【0044】
結合剤として、少なくとも1つのコロイド状シリカ分散液を、特に好ましくは有機結合剤と組み合わせて使用することが好ましい。単数の結合剤、または複数のものが使用される場合、複数の結合剤の割合は、本発明の組成物において、組成物全体に対して好ましくは0.1〜20質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。コロイド状シリカ分散液が結合剤として使用される場合、乾燥され焼成され且つ成形された触媒中でのこの結合剤の割合は、担体組成物全体のSiO
2含有率に対して好ましくは3〜7%、特に4〜6%である。
【0045】
本発明による触媒粒子中の担体材料の割合は、組成物全体に対して好ましくは20〜85質量%、特に好ましくは25〜50質量%である。
【0046】
本発明はさらに、アルカノールと硫化水素との反応によってアルキルメルカプタンを製造するための触媒であって、担体材料、および酸素と共に少なくとも1つのアルカリ金属およびタングステンを含有する酸化物組成物を含み、且つ、粒径1000μm未満、好ましくは500μm未満、より好ましくは250μm未満、特に好ましくは100μm未満を有する担体材料の粒子から製造され、特に、1〜25μmの範囲の粒径を有する粒子で構成される前記触媒を提供する。
【0047】
触媒は好ましくは、触媒の断面上での正規化されたタングステン濃度(C
norm(W))の標準偏差stadevが20.0未満である触媒であり、前記標準偏差は、ISO22309(2006)に準拠して定量EDX分析によって、正方形の測定点において、好ましくは各々辺長100μmを有し且つその中心点が直線上にあり、且つ各々隣接する正方形の中心点から100μmのところにあり、正方形の第1の中心点および最後の中心点は各々、測定される触媒断面の端部から約100μmのところにある少なくとも10個の正方形の測定点において測定される。本発明においては、正規化された濃度C
normは、実験的に測定された、それぞれの正方形内に関わる元素の濃度と、試料の断面上でのこの元素の濃度、即ち、全ての測定された正方形の点の合計の平均との比に100をかけたものである。
【0048】
正方形の測定点の数および位置を、触媒粒子の大きさおよび形状によって、特定の程度まで測定するが、その数は好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも20、特に好ましくは少なくとも25、および特に少なくとも30、および好ましくは200以下、より好ましくは150以下、特に好ましくは100以下、および特に50以下である。非常に特に好ましくは、例えば40±2の測定点の値であってよい。球形の触媒粒子の場合、測定される正方形の中心点によって定義される直線は、好ましくは球の中心を通り、且つ、その長さは球の直径に相応する。球形から逸脱する形状を有する触媒粒子、例えば押出物の場合、測定される正方形の中心点によって定義される直線は、好ましくは少なくとも粒子の長軸と、特に好ましくは粒子の幾何学的重心で交差し、この直線の長さは少なくとも断面の直径の長さである。しかしながら、測定される正方形の中心点によって定義される直線は、前記長軸と同一であってもよい。
【0049】
この方法で測定されたタングステン濃度の、平均偏差、即ち、平均からの平均絶対偏差は、好ましくは15.0未満であり、および/または測定された正規化されたタングステン濃度の最大値と、最小値との間の差Δ(max−min)は好ましくは90.0未満である。
【0050】
この方法で測定されたセシウム濃度の標準偏差は、好ましくは15.5未満であり、且つ、正規化されたセシウム濃度の最大値と最小値との間の差は64.0未満である。
【0051】
上述のパラメータの測定を、以下の例において説明する。
【0052】
酸化物組成物は、好ましくは一般式A
xWO
yの組成であり、ここで記号は以下の意味を有する:
A: 好ましくはナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムからなる群から選択される、少なくとも1つのアルカリ金属
x: 組成物中のタングステンに対する少なくとも1つのアルカリ金属のモル分率、これは好ましくは2:1〜0.8:1の範囲、特に好ましくは1.9:1〜1.1:1の範囲である、且つ
y: 組成物中の酸素のモル分率、これは好ましくは3.4〜4の範囲である。
【0053】
触媒中の酸化物組成物は、本発明の方法のために上記で定義されたものに相応する。
【0054】
本発明の触媒は、好ましくは、上述されたとおり、固体のタングステン化合物、好ましくは固体の酸化物であるタングステン化合物と、担体材料とを混合する段階を含む方法によって製造される。酸化物であるタングステン化合物は、好ましくは上述のタングステン化合物の1つである。
【0055】
アルカリ金属およびタングステンで構成される酸化物組成物の触媒中での割合は、触媒の総質量に対して、好ましくは15%質量%より大きい、より好ましくは25%質量%より大きい、より好ましくは36%質量%より大きい、特に好ましくは40%質量%より大きい、および特に45質量%より大きい。触媒中での酸化物組成物の割合は、好ましくは60質量%までである。
【0056】
担体材料は、特に好ましくは酸化アルミニウム、酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、アモルファスケイ酸アルミニウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの酸化物無機化合物を含む。この担体材料の好ましい実施態様は、本発明の方法について上述されている。
【0057】
本発明の触媒は、さらに、少なくとも1つの有機および/または無機の結合剤を含み、それらの結合剤は好ましくは上述の結合剤の1つであり、且つ、好ましくは触媒組成物中に上述の質量割合で存在する。
【0058】
本発明の触媒は、好ましくは触媒を製造するための本発明の上述の方法によって製造される。
【0059】
本発明はさらに、本発明の触媒、または触媒を製造するための本発明の方法によって製造された触媒の存在下で、アルカノールと硫化水素との反応によってアルキルメルカプタンを製造するための、好ましくはメタノールと硫化水素との反応によってメチルメルカプタンを製造するための方法を提供する。
【0060】
この方法は好ましくは、温度250〜500℃、特に好ましくは300〜400℃で行われる。硫化水素とメタノールとの質量比は、好ましくは1:1〜10:1の範囲、より好ましくは1:1〜5:1の範囲、特に好ましくは1:1〜≦3:1の範囲、および特に1:1〜≦2:1の範囲である。該反応は、好ましくは圧力1〜20barの範囲、特に好ましくは3〜10barの範囲で行われる。該反応は好ましくはアルカノール変換率≧90%、より好ましくは≧92.5%、特に好ましくは≧95%、および特に≧98%、またはさらに≧99%で行われる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】様々な温度で、例8に記載される条件下で、メチルメルカプタンを形成するための硫化水素とメタノールとの反応において、本発明による触媒を使用する場合(例3〜7)に達成される変換率を、従来技術から公知の方法によって製造された触媒を使用する場合(比較例1および2)に達成される変換率と比較して示す図である。
【
図2】様々な温度で、例8に記載される条件下で、メチルメルカプタンを形成するための硫化水素とメタノールとの反応において、本発明による触媒を使用する場合(例3〜7)に達成される選択性を、従来技術から公知の方法によって製造された触媒を使用する場合(比較例1および2)に達成される選択性と比較して示す図である。
【
図3】例1〜7の触媒についての変換率と選択性との間の関係を示す図である。
【
図4】種々の装填量を有する本発明による触媒(例9〜13)について、例8に記載された条件下でメチルメルカプタンを形成するための硫化水素とメタノールとの反応における変換率と選択性との間の関係を、従来技術から公知の方法によって製造された触媒(比較例2)と比較して示す図である。
【
図5】触媒組成物が異なる方法で製造された、または成形が異なる方法によって行われた場合の、同じ装填量を有する本発明による様々な触媒(例11、および14〜17)について、従来技術から公知の触媒(比較例2)と比較して、メチルメルカプタンを形成するための硫化水素とメタノールとの反応における変換率と選択性との間の関係を示す図である。
【
図6a】例1の触媒粒子の材料のコントラスト像を示す図である。
【
図6b】例1の触媒粒子のセシウムの濃度を示す図である。
【
図6c】例1の触媒粒子のタングステンの濃度を示す図である。
【
図6d】例1の触媒粒子のアルミニウムの濃度を示す図である。
【
図6e】例1の触媒粒子のセシウムおよびタングステンの元素の分布の均一性を定量化するための測定に用いた正方形の分布を示す図である。
【
図6f】例1の触媒粒子のセシウムおよびタングステンの元素の分布の均一性を定量化するための測定の、グラフによる評価を示す図である。
【
図7a】例2の触媒粒子の材料のコントラスト像を示す図である。
【
図7b】例2の触媒粒子のセシウムの濃度を示す図である。
【
図7c】例2の触媒粒子のタングステンの濃度を示す図である。
【
図7d】例2の触媒粒子のアルミニウムの濃度を示す図である。
【
図7e】例2の触媒粒子のセシウムおよびタングステンの元素の分布の均一性を定量化するための測定に用いた正方形の分布を示す図である。
【
図7f】例2の触媒粒子のセシウムおよびタングステンの元素の分布の均一性を定量化するための測定の、グラフによる評価を示す図である。
【
図8a】例6の触媒粒子の材料のコントラスト像を示す図である。
【
図8b】例6の触媒粒子のセシウムの濃度を示す図である。
【
図8c】例6の触媒粒子のタングステンの濃度を示す図である。
【
図8d】例6の触媒粒子のアルミニウムの濃度を示す図である。
【
図8e】例6の触媒粒子のセシウムおよびタングステンの元素の分布の均一性を定量化するための測定に用いた正方形の分布を示す図である。
【
図8f】例6の触媒粒子のセシウムおよびタングステンの元素の分布の均一性を定量化するための測定の、グラフによる評価を示す図である。
【0062】
図1は、様々な温度で、例8に記載される条件下で、メチルメルカプタンを形成するための硫化水素とメタノールとの反応において、本発明による触媒を使用する場合(例3〜7)に達成される変換率を、従来技術から公知の方法によって製造された触媒を使用する場合(比較例1および2)に達成される変換率と比較して示す。
【0063】
図2は、様々な温度で、例8に記載される条件下で、メチルメルカプタンを形成するための硫化水素とメタノールとの反応において、本発明による触媒を使用する場合(例3〜7)に達成される選択性を、従来技術から公知の方法によって製造された触媒を使用する場合(比較例1および2)に達成される選択性と比較して示す。
【0064】
図3は、例1〜7の触媒についての変換率と選択性との間の関係を示す。
【0065】
図4は、種々の装填量を有する本発明による触媒(例9〜13)について、例8に記載された条件下でメチルメルカプタンを形成するための硫化水素とメタノールとの反応における変換率と選択性との間の関係を、従来技術から公知の方法によって製造された触媒(比較例2)と比較して示す。
【0066】
図5は、触媒組成物が異なる方法で製造された、または成形が異なる方法によって行われた場合の、同じ装填量を有する本発明による様々な触媒(例11、および14〜17)について、従来技術から公知の触媒(比較例2)と比較して、メチルメルカプタンを形成するための硫化水素とメタノールとの反応における変換率と選択性との間の関係を示す。
【0067】
図6〜8は、従来技術から公知の方法によって製造された2つの触媒(
図6: 例1、
図7: 例2)中でのセシウム、タングステンおよびアルミニウムの元素の、EDXマッピングによって測定された表面分布を、本発明による触媒(
図8: 例6)と比較して示す。それぞれの図のa)のとおり、本質的に均質(
図8a):例6、または不均質(
図6a)な触媒構造またはその中の元素分布が見られる、触媒粒子の材料のコントラスト像が示される。それぞれの図b)〜d)は、セシウム(図b)、タングステン(図c)およびアルミニウム(図d)の元素の触媒粒子中での濃度を示す。縮尺を示すために、元の構造の1ミリメートルの長さも、それぞれの図面の下に示されている。それぞれの図e)は、触媒断面上でのセシウムおよびタングステンの元素の分布の均一性を定量化するための測定に用いた正方形の分布を示し、それは例18に詳細に記載される; それぞれの図f)は、これらの測定のグラフによる評価を示す。
【実施例】
【0068】
例1(比較例):
粒径2〜5mmを有する球形の酸化アルミニウム200g (Spheralite 501 A、Axens製、比表面積303m
2/g、孔容積45ml/100gおよびかさ密度815kg/m
3を有する)を、3段階含浸において、合計52.8質量%の式Cs
1.44WO
3.72の酸化物組成物で、真空含浸を用いて含浸させた。このために、以下の手順を用いた: タングステン酸103.3gを、32%濃度のアンモニア溶液206.5g中で懸濁させ、約30分間撹拌することによって溶解させた。水中で70%濃度の水酸化セシウム溶液126.9gを、前記のアンモニア溶液に添加し、生じる溶液を約23〜24時間撹拌した。酸化アルミニウムを、150mbarに排気されたガラス容器内に入れた。ストップコックを開けることによって、酸化アルミニウム全体の上で含浸溶液が約4.5cmになるまで、含浸溶液を引き入れた。ガラス容器内に空気を入れた後、担体を溶液中で約15分間保持(incubate)した。引き続き、溶液を引き抜き、触媒を約1時間、200標準l/h(DIN1343による、0℃且つ1.013bar絶対での標準状態における体積流量)の空気流を通過させることによって予備乾燥させ、付着している含浸溶液を受け容れ容器内に流し出した。
【0069】
触媒を引き続き、60m
3/hの空気流の下で、昇温速度1℃/分で120℃に加熱し、この温度で3時間保持した。その後、昇温速度5℃/分で、温度を455℃に上昇させ、この温度で3時間、触媒を焼成した。
【0070】
第2の含浸を行うために、第1の段階について上述された含浸溶液を作製し、同じように真空含浸によって、第1の含浸から得られた予め装填された触媒に施与した。室温での予備乾燥の後、120℃での3段階の乾燥を行い、引き続き、上述のとおり、455℃で3時間焼成を行った。
【0071】
第3の含浸を同様に行った。
【0072】
例2(比較例):
酸化アルミニウム上に17.8質量%のWO
3および17.3質量%のCs
2Oを装填させて、比較例1を繰り返した。
【0073】
例3:
本発明によるこの例において、粒径7〜15μmを有する粉末状の酸化アルミニウム80g(Spheralite 509A、 Axens製、比表面積335m
2/g、孔容積56ml/100gおよびかさ密度840kg/m
3を有する)を、連続的に固体のタングステン酸および水酸化カルシウム溶液と混合する。
【0074】
このための手順は以下のとおりであった:
ガラスビーカー内で、酸化アルミニウム80gを固体のタングステン酸40.98gと混合した。水中で50%濃度の水酸化セシウム溶液69.85gおよび6%濃度のメチルヒドロキシエチルセルロース水溶液5.33g(Tylose MH 1000、ShinEtsu、東京、日本)を粉末状混合物に添加し、該混合物を、スパチュラを用いて10分間、押出可能な組成物が形成される、即ち、液体が完全に吸収され且つ粘着性ではない軟塊状の組成物が得られる(約10分)まで混練した。石油5.33g(Merck、Darmstadt、ドイツ)を該混合物中に添加して混練する。該混合物を乾燥させ、次にマッフル炉内で、まず、それを昇温速度2℃/分で120℃に加熱し、この温度で3時間保持し、その後、それを昇温速度5℃/分で455℃に加熱し、且つ、この温度で3時間保持することによって焼成した。次に、該混合物を20℃に冷却した。
【0075】
冷却後、得られた顆粒状の材料を乳鉢内で粉砕した。得られた触媒粉末の1〜2gを次にタブレット成形機内で、4tの圧力で約1分間プレスして、直径20mmを有する錠剤が得られた。
【0076】
次に、メチルメルカプタンを製造するための試験反応器内で使用するために、ペレットを割って、最長の端部長5mmを有する断片にした。
【0077】
例4:
酸化アルミニウム上に17.8質量%のWO
3および17.3質量%のCs
2Oを装填させて、例3を繰り返した。
【0078】
例5:
粒径7〜15μmを有する粉末状の酸化アルミニウム(Spheralite 509 A)の代わりに、粒径2〜5mmを有する球形の酸化アルミニウム(Spheralite 501 A)を粉砕することによって得られた250μm未満の粒径を有する酸化アルミニウムを使用して、例4を繰り返した。
【0079】
例6: 結合剤の添加および押出による成形を用いた本発明による触媒粒子の製造
1.05kgのSpheralite 509 Aおよび537.9gのタングステン酸を、ラボ用のバッチ式ニーダー(Coperion LUK 2.5、Weinheim、Stuttgart、ドイツ)内、1分あたり40回転の混練フック且つ1分あたり11回転の排出スクリュー(後ろ向き)で、クライオスタットを用いてニーダーのバレルを10℃に冷却しながら混合した。次に、質量濃度70%の水酸化セシウム水溶液740.5gを、1分間にわたって連続的に混合しながら添加して、短時間で30℃から40℃への昇温が生じた。脱イオン水127.5gを添加し、次にコロイド状シリカ分散液175g(Lithosol 1530、Zschimmer & Schwarz GmbH & Co. KG、Lahnstein、ドイツ)を、添加完了後10分で添加した。得られた混合物を、さらに10分間混合した後、高ポリマー多糖類30g(Zusoplast PS 1、Zschimmer & Schwarz GmbH&Co. KG、Lahnstein、ドイツ)と、ヒドロキシエチルセルロース30g(Tylose H 10000 P2 ShinEtsu、東京、日本)との混合物を添加した。組成物を連続的に混練しながら、結合剤を120分間膨潤させた。非イオン性のワックス分散液15g(Zusoplast WE8、Zschimmer & Schwarz GmbH & Co. KG、Lahnstein、ドイツ)を次に添加した。合計の混練時間190分後、押出を開始し、このために、ニーダーの一定の回転速度で、スクリューの回転方向を輸送に変え、且つ、スクリューの回転速度を1分あたり13回転に高めた。直径3.2mmを有する4つの水平な孔を有する取り付け品をプレス器具として使用した。水平に切断された2つのカッティングワイヤを、1分あたり400回転で稼働させて、約3.2mmの長さを有する押出物が得られた。ダイの圧力は12.7barであった。カットされた押出物を、乾燥ベルト上に落とし、60℃で予備乾燥させた後、マッフル炉内で昇温速度1℃/分で120℃に加熱し、この温度で3時間保持した。焼成を行うために、押出物を、直後に、昇温速度5℃/分で455℃に加熱し、この温度で3時間保持した。
【0080】
例7:
ここでは、水酸化セシウム溶液の添加を行い、その後、固体のタングステン酸を添加して、例6を繰り返した。
【0081】
1.1 例8: 使用例
例1〜7において製造された触媒を、硫化水素およびメタノールからのメチルメルカプタンの合成におけるそれらの性能特性に関して調査した。
【0082】
それぞれの触媒の存在下での、メチルメルカプタンを形成するための硫化水素とメタノールとの反応を、直径18mmおよび長さ500mmを有するステンレス鋼管内で行った。容積76mlを有し、且つ各々、両側でガラス球の不活性な床によって反応管内に固定された触媒床を、各々使用した。反応管を、二重壁を介して伝熱流体を用いて、以下の表1に示される300〜360℃の範囲の様々な反応温度へと加熱した。
【0083】
表1
【表1】
【0084】
*: I: Spheralite 501A、粒径2〜5mm; II: Spheralite 509A、粒径7〜15μm; imp: 含浸された; press 4: 4tの圧力でペレット形状にプレスされた; mill: 粉砕された (粉砕後の粒径≦250μm); extr: 押し出された。
【0085】
さらなる実験条件を以下に示す:
GHSV: 1300h
-1 (DIN 1343に準拠し、0℃および1.013barでの標準条件に基づく)
LHSV: 0.4h
-1 (液体のメタノールに基づく)
H
2S/MeOHの質量比: 1.9
圧力: 9bar。
【0086】
生成物であるメチルメルカプタン、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィドおよびジメチルエーテル、および未反応の出発材料であるメタノールおよび硫化水素を含む、得られる反応混合物をオンラインのガスクロマトグラフィーによって分析した。
【0087】
測定結果を表1および
図1〜3に示す。
【0088】
2mm以上の大きさを有する担体材料粒子の含浸によって製造された触媒と比較して、本発明の方法によって製造され且つより微細に分割された担体材料を有する触媒は、同じ装填量、特定の温度でより高い変換率を示し(比較例2と本発明による例4との比較)、ひいては、同じ変換率でメチルメルカプタンに対する高い変換率を示すことが理解できる。
【0089】
さらには、高い装填量(例えば45質量%より上)の酸化物組成物を有する押出物およびプレスされた物体の形態での触媒は、本発明の製造方法によって製造でき、触媒される反応の変換率および選択性をさらに高めることを可能にする。これは、含浸法によって製造された触媒の場合、45質量%より高い装填量では不可能である(比較例1および本発明による例3と、比較例2および本発明による例4との比較)。
【0090】
無機結合剤および/または有機結合剤、好ましくは無機結合剤の添加は、本発明による触媒の機械的強度を高めることを可能にするだけではなく、意外なことに、特定の温度での選択性および変換率のさらなる上昇を観察することもできる(例6)。
【0091】
アルカリ金属水酸化物および酸化物であるタングステン化合物を添加する順番も、特定の温度での反応の変換率および選択性に影響することが理解できる(本発明による例6および7)。
【0092】
1.2. 例9および13: 装填量の変化
酸化アルミニウム上での酸化タングステン(VI)および水酸化セシウムの装填量を増加させて、例5を繰り返した。触媒のそれぞれの装填量、および特定の温度でそれらを用いて達成された変換率、および例8による使用例において達成された選択性を、表2および
図4に示す。
【0093】
表2
【表2】
【0094】
*: I: Spheralite 501A、粒径2〜5mm; press 4: 4
tの圧力でペレット形状にプレスされた; mill: 粉砕された (粉砕後の粒径≦250μm)。
【0095】
装填量の増加は、特定の温度で触媒された反応の変換率および選択性に良い影響を及ぼし、且つ、特定の温度での変換率と選択性との両方、および本発明による触媒の存在下でのメチルメルカプタンを形成するためのメタノールと硫化水素との反応の選択性を、装填量の増加によって高めることができることが理解できる。
【0096】
1.3 例14〜17: 粒子状の担体材料の影響
例14〜17においては、本発明による触媒を製造するための様々な方法を、23.1質量%のWO
3および22.5質量%のCs
2Oの装填量で互いに比較した。
【0097】
例14:
例11を同じ装填量で繰り返すが、タブレット成形機内の圧力は、4tの代わりに15tであった。
【0098】
例15:
23.1質量%のWO
3および22.5質量%のCs
2Oの装填量を用いて、例3を繰り返した。
【0099】
例16:
例11を同じ装填量で繰り返したが、タングステン酸と混合する前に酸化アルミニウム担体を粉砕せず、代わりに、タングステン酸と一緒にボールミル(Haldenwanger Berlin製)内で、Schwinherr Multifix driveを使用して2時間粉砕した。
【0100】
例17:
担体材料をタングステン酸と共に、ボールミル内で2時間の代わりに65時間粉砕して、例16を繰り返した。
【0101】
メチルメルカプタンを形成するためのメタノールと硫化水素との反応の変換率および選択性を、使用例8に記載されたとおり、例14〜17の本発明による触媒について測定した。結果を表3および
図5に示す。
【0102】
表3
【表3】
【0103】
*: I: Spheralite 501A、粒径2〜5mm; II: Spheralite 509A、粒径7〜15μm; imp: 含浸された; press 4/15: 4tまたは15tの圧力でペレット形状にプレスされた; ball mill2/65: 担体材料がタングステン酸と共に2または65時間ボールミル中で粉砕された; mill: 粉砕された (粉砕後の粒径≦250μm)。
【0104】
先の例のように、例14〜17も、本発明が、メチルメルカプタンを形成するためのメタノールと硫化水素との反応において、95%より高い変換率の際でも、95%を上回る選択率が得られる触媒を提供することを可能にすることを示す。従って、例えば、例14の触媒によって、370℃の温度で99%より高い変換率でも、95%を上回る選択性を達成することができる。
【0105】
小さい粒径の担体材料、および例えば例16または17によるボールミル内での担体材料と、酸化物であるタングステン化合物およびアルカリ金属水酸化物との入念な混合は、特定の温度での触媒の変換率および選択性に、他の触媒パラメータは変えないで良い効果を及ぼす(例16および17と、例11との比較)。
【0106】
1.4 例18: エネルギー分散型X線分光法
例1、2および6による触媒表面上でのアルミニウム、セシウムおよびタングステンの元素濃度分布を、ISO 22309 (2006)に準拠してエネルギー分散型X線分光法(EDXマッピング)によって可視化した(
図6〜8)。Oxford INCA Energy 400 エネルギー分散型X線分析(EDX)システム(Oxford Instruments、Abingdon、英国)を備えたJeol 7600F走査型電子顕微鏡(SEM)(Jeol Ltd.、東京、日本)を、このために使用した。走査型電子顕微鏡写真および選択された元素のEDXマッピングを、一次電子線エネルギー20keVで記録した。切断され、埋め込まれ且つ研磨された触媒粒子を、20nm厚のカーボンコーティングで被覆することにより、それらを分析のための電子線に対して電子伝導性にした。
【0107】
ここで、意外なことに、担体材料が好ましくは最初に1つの元素の化合物と混合された後、この混合物に他の元素の化合物を添加する、本発明の方法を使用する場合、触媒粒子を従来技術から公知の含浸法によってタングステン酸セシウムの形態で両方の元素を含有する溶液で処理する場合よりも、触媒中でセシウムおよびタングステンの元素がより均質に分布していることが判明した。
【0108】
触媒粒子の材料のコントラスト像を、それぞれの図a)として示し、そこで、触媒構造または粒子中での元素分布が本質的に均質(
図8a: 例6)、または不均質(
図6a)であることが理解できる。それぞれの図b)〜d)は、セシウム(図b)、タングステン(図c)およびアルミニウム(図d)の元素の触媒粒子中での濃度を示す。
【0109】
この図においてより明るく見える場所は、材料の密度がより高く、従って、当該元素の濃度がより高い。
【0110】
本発明による触媒(
図8a〜d)が、触媒全体にわたって、つまり、それらの表面上で、明らかに均質な元素分布を示すことが明らかに理解できる。
【0111】
これを定量化するために、触媒粒子の断面内の直線に沿って、定量EDX測定を用いて各々辺長100μmを有する約40個の正方形の部分で元素分布を測定する。前記正方形の中心点は、直線上に位置しており、且つ、各々、それぞれ隣接する正方形の中心点から100μm離れている。この直線上の正方形の最初と最後の中心点は、各々、触媒体の端部から約100μm離れている。触媒断面上でのこの測定の正方形の分布を、それぞれの図e)に示す。
【0112】
元素の割合を、正方形内の全ての元素の割合の合計に対するそれぞれの正方形内の信号の強度から測定し(以降、濃度と称する)、その際、各々の測定点における合計は100%であった。それぞれの正方形において測定されたセシウムとタングステンとの濃度から、試料断面上での、即ち、約40個の個々の値における平均を出した。それぞれの正方形において実験的に測定されたセシウムまたはタングステンの濃度の、試料の断面上でのこの濃度の平均に対する割合に100をかけたものを、正規化された濃度Cnormと称し、ここから、それぞれの試料の断面上での標準偏差stadev、平均偏差avdev、各々の場合の最大および最小の測定値(maxまたはmin)、および正規化された濃度の最大値と最小値との間の差Δ(max−min)を、表計算Excel (Microsoft Office Excel 2003、Microsoft Corporation、Redmont、米国)を用いて計算した。結果を表4(本発明によらない例1)、表5(本発明によらない例2)、および表6(本発明による例6)に示す。
【0113】
表4: 例1の触媒断面上でのセシウムおよびタングステンの正規化された濃度の定量化
【表4】
【0114】
MPは正方形の測定点を表す。
【0115】
表5: 例2の触媒断面上でのセシウムおよびタングステンの正規化された濃度の定量化
【表5】
【0116】
表6: 例6の触媒断面上でのセシウムおよびタングステンの正規化された濃度の定量化
【表6】
【0117】
触媒上のセシウム分布とタングステン分布との両方の標準偏差および平均偏差が、例6の本発明による触媒においては著しく小さいことが明らかに理解できる。各々の場合に測定される濃度の最大値と最小値との間の差も、本発明による触媒においては著しく小さい。さらには、本発明による触媒中の正規化されたセシウム濃度の、正規化されたタングステン濃度に対する割合(C
norm(Cs)/C
norm(W))も、触媒断面において、この値の標準偏差および平均偏差およびそれぞれの触媒についての最大値と最小値との間の差によって示されるとおり、著しくより均質である。
【0118】
定量測定により、触媒全体にわたるセシウムおよびタングステンの元素の著しくより均質な分布が確認される。