特許第6226880号(P6226880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226880
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】結束装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 27/00 20060101AFI20171030BHJP
   B65B 13/24 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   B65B27/00 B
   B65B13/24
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-550195(P2014-550195)
(86)(22)【出願日】2013年11月26日
(86)【国際出願番号】JP2013081767
(87)【国際公開番号】WO2014084205
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2016年7月25日
(31)【優先権主張番号】特願2012-261070(P2012-261070)
(32)【優先日】2012年11月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004020
【氏名又は名称】ニチバン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正則
(72)【発明者】
【氏名】松下 洋己
(72)【発明者】
【氏名】森山 英理
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−253194(JP,A)
【文献】 特開2002−284115(JP,A)
【文献】 特開2010−274937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 27/00
B65B 13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のレバーを握り締めることにより支点の回りに回動される一対のアームと、テープリールに取り付けられた巻回状の結束テープを引き出し可能に支持するテープ支持部と、一方のアームに設けられて前記テープ支持部から引き出された前記結束テープが繰出されるテープ繰出し部と、他方のアームに設けられて前記テープ繰出し部から繰り出された前記結束テープの端部を保持するテープ保持部と、前記一方のアームに設けられた第1圧着部材と前記他方のアームに設けられた第2圧着部材とが協働することにより前記結束テープの合せ部が圧着される圧着機構とを備えて、
前記一対のアーム間に誘引された被結束物が前記一対のアーム間に張られた前記結束テープによって結束される結束装置において、
前記結束テープは、粘着テープであって、
前記一対のアームの支点は、前記テープ支持部の支持軸上に配置されることを特徴とする結束装置。
【請求項2】
前記一対のアームが上下方向に配置された状態では、前記テープ支持部から引き出された前記結束テープの前記テープ支持部側の端部は、前記一対のアームのうち前記第1圧着部材が設けられた前記一方のアームに沿って延びるテープ経路よりも低い位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の結束装置。
【請求項3】
前記テープ繰出し部は、前記結束テープの非粘着面を案内する第1案内部と、前記結束テープの粘着面に対向する第2案内部と、前記結束テープの幅方向一側を案内する第3案内部と、前記第1案内部と前記第2案内部および前記第3案内部との間の開口部とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の結束装置。
【請求項4】
前記結束テープを収容するテープ収容部と、前記テープ収容部に設けられて前記テープ支持部によって支持された前記結束テープを臨むように形成された開口と、前記テープ収容部に設けられて前記開口を被うテープカバーとを備えて、
前記テープカバーは、表面積の50%以上が透明な材料によって構成されることを特徴とする請求項1−のいずれかに記載の結束装置。
【請求項5】
前記結束テープは、自着性粘着テープであって、ステンレス試験板に対する180°引きはがし粘着力が2.0N/10mm未満、及び自着力が6.0N/10mm以上であることを特徴とする請求項1−のいずれかに記載の結束装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結束装置に関するもので、特に、一対のレバーを握り締めて一対のアームを支点の回りに回動させることにより、一対のアーム間に誘引された被結束物が一対のアーム間に張られた結束テープによって結束される結束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対のレバーを握り締めて一対のアームを支点の回りに回動させることにより、一対のアーム間に誘引された被結束物が一対のアーム間に張られた結束テープによって結束される所謂プライヤ型の結束装置が知られている。例えば、特許文献1には、ヘッド受け部とヘッド部との間に張られた結束テープ内に被結束物が誘引されて、この状態でクリンチャアームを閉じることにより、ヘッド受け部から打ち出されたステープルによって結束テープの合せ部が綴じられて、被結束物が結束される園芸用結束機が開示されている。
【0003】
この園芸用結束機では、被結束物に巻回された非粘着テープをステープルによって綴じて結束させるので、被結束物が野菜等の農作物である場合、金属製のステープルが農作物に混入して農作物の品質に問題を来す虞がある。また、金属製のステープルを打ち出す時に比較的強い握力を必要とするので、作業者への負担が大きく、作業効率を低下させる要因になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−54000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、金属製のステープルの混入を防止することで被結束物の品質が確保されるとともに、作業者への負担が軽減される結束装置を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の結束装置は、一対のレバーを握り締めることにより支点の回りに回動される一対のアームと、テープリールに取り付けられた巻回状の結束テープを引き出し可能に支持するテープ支持部と、一方のアームに設けられて前記テープ支持部から引き出された前記結束テープが繰出されるテープ繰出し部と、他方のアームに設けられて前記テープ繰出し部から繰り出された前記結束テープの端部を保持するテープ保持部と、前記一方のアームに設けられた第1圧着部材と前記他方のアームに設けられた第2圧着部材とが協働することにより前記結束テープの合せ部が圧着される圧着機構とを備えて、前記一対のアーム間に誘引された被結束物が前記一対のアーム間に張られた前記結束テープによって結束される結束装置において、前記結束テープは、粘着テープであって、前記一対のアームの支点は、前記テープ支持部の支持軸上に配置されることを特徴とする。
【0007】
本発明の結束装置によれば、所謂プライヤ型結束装置において、片面が粘着面である粘着テープを結束テープとして使用することができる。これにより、ステープル等の金属片が被結束物へ混入することがないので、被結束物の品質を確保することができる。また、本発明の結束装置では、結束テープの粘着面の粘着力によって結束テープの合せ部が綴じられるので、圧着機構によって結束テープの合せ部を加圧する時には、金属製のステープルを打ち出す時のような強い握力を必要としない。さらに、ステープルを打ち出すための機構を必要としないので、装置を軽量化することができる。これにより、作業者への負担を軽減することができ、延いては、作業効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被結束物の品質が確保されるとともに作業者への負担を軽減することが可能な結束装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の結束装置の側面図である。
図2図1に示される結束装置の断面図である。
図3】第1アームの斜視図であって、先端部に組み込まれた機構部の説明図である。
図4】本実施形態の結束装置の斜視図であって、特に、第3テープカバーが開かれた状態を示す図である。
図5】本実施形態の結束装置の動作説明図であって、一対のアームが閉動作の回動端位置に到達した状態を示す図である。
図6】本実施形態の結束装置の動作説明図であって、図5の状態から一対のレバーが僅かに戻されたタイミングで、第2アーム側のテープ押え板によって結束テープが拘束された状態を示す図である。
図7】本実施形態の結束装置の動作説明図であって、一対のアーム間に結束テープが張られた状態を示す図である。
図8】本実施形態の結束装置の動作説明図であって、図7の状態から一対のアーム間に被結束物が誘引された状態を示す図である。
図9】本実施形態の結束装置の動作説明図であって、図8の状態から一対のアームを閉動作させて第1アーム側のテープ押え板によって結束テープを拘束した状態を示す図である。
図10】本実施形態の結束装置の動作説明図であって、図9の状態から一対のアームが閉動作の回動端位置に到達したタイミングで、圧着機構によって結束テープの合せ部が加圧されると同時に、切断機構によって結束テープの合せ部近傍が切断される状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。なお、便宜上、図1図2における上方向(上側)及び下方向(下側)並びに左方向(左側)及び右方向(右側)をそのまま上方向(上側)及び下方向(下側)並びに左方向(左側)及び右方向(右側)と定義する。また、以下の説明における「板」とは、平面的な板(平板)の他、平板に曲げ加工等の加工が施された立体的な板を含む。
【0011】
図1に示されるのは、本実施形態に係る所謂プライヤ型の結束装置1であって、一対のレバー2、3を握り締めて一対のアーム4、5を支点6の回りに回動させることにより、一対のアーム4、5間に誘引された被結束物7(図8参照)が一対のアーム4、5間に張られた結束テープ8(図2又は図8参照)によって結束されるように構成されている。なお、一対のレバー2、3は、図1に示される開状態に復帰するように、ばね(図示省略)によって支点6の回りに付勢されている。
【0012】
図1図2に示されるように、結束装置1は、左右方向へ延びる第1ベース体9と、第1ベース体9に組み付けられて第1ベース体9に対して支点6の回りに回動可能な第2ベース体10とを有する。第1ベース体9は、ポリカーボネートの成形体によって構成されて、支点6よりも図1における右側の基端部9A側に第1レバー2が形成されるとともに支点6よりも図1における左側の先端部9B側に第1アーム4(一方のアーム)が形成される。同様に、第2ベース体10は、ポリカーボネートの成形体によって構成されて、支点6よりも図1における右側の基端部10A側に第2レバー3が形成されるとともに支点6よりも図1における左側の先端部10B側に第2アーム5(他方のアーム)が形成される。
【0013】
図2に示されるように、第1ベース体9は、テープリールに巻回された結束テープ8を支点6に一致する回転中心(支持軸)の回りに回転可能に支持するスプール13(テープ支持部)を有する。以下、テープリールに巻回された状態の結束テープ8(テープリールに取り付けられた巻回状の結束テープ8)を、テープリールから引き出された帯状の結束テープ8と区別するために、リールテープ12という。なお、リールテープ12は、リールテープ12から結束テープ8が引き出されることにより、リールテープ12が支点6の回りに図2における時計回り方向へ回転されるようにスプール13にセットされる。
【0014】
スプール13に装着されたリールテープ12は、第1ベース体9の第1レバー2と第1アーム4との間に形成されたテープ収容部11に収容される。テープ収容部11は、テープ収容部11の上部を構成する開閉可能な第1テープカバー14(テープカバー)を有する。これにより、結束装置1では、第1テープカバー14を開いてテープ収容部11の上部に開口を形成することにより、この開口からリールテープ12をテープ収容部11内に挿入して、リールテープ12をスプール13に装着することができる。なお、第1テープカバー14は、表面積の50%以上が、例えばポリカーボネート等の透明な材料によって構成される。また、図1図2に示される状態、すなわち、第1ベース体9の第1レバー2と第1アーム4とが略水平に配置された状態では、第1レバー2はスプール13よりも低い位置に配置されるとともに第1アーム4はスプール13よりも高い位置に配置される。
【0015】
図2に示されるように、第1ベース体9は、リールテープ12から引き出された結束テープ8の非粘着面を支持する第1ローラ15及び第2ローラ16を有する。第1ローラ15及び第2ローラ16は、第1アーム4の側壁17の内側に取付けられた上部側板18に設けられて、第1ローラ15が第1アーム4の基端側(右側)に配置されるとともに第2ローラ16が第1アーム4の先端側(左側)に配置される。
【0016】
これにより、リールテープ12から第1ローラ15へ向けて第1アーム4の下部を構成する第2テープカバー19に沿って延びる第1区間21と、第1ローラ15から第2ローラ16へ向けて左右方向へ延びる、換言すると、第1アーム4の基端側から先端側へ向けて第1アーム4の長手方向へ延びる第2区間22と、第2ローラ16から下方向へ延びて後述するテープ繰出し部24から繰出される結束テープ8が通過する第3区間23と、を含むテープ経路20が形成される。なお、リールテープ12から引き出された結束テープ8とリールテープ12との接点P、換言すると、リールテープ12から引き出された結束テープ8のスプール13側の端部は、テープ経路20の第2区間22よりも低い位置に配置される。
【0017】
テープ繰出し部24は、上部側板18の左側端部に固定された上部機構取付板25に取付けられて、第2ローラ16から延びる結束テープ8の非粘着面(図2において右側を向いている面)を案内する第1案内板26(第1案内部)と、略L字形に形成された第2案内板27とによって構成される。図3に示されるように、第2案内板27は、第1案内板26延いては結束テープ8の粘着面に対向して配置される第1案内片28(第2案内部)と、第1案内板26と第1案内片28との間を通過する結束テープ8の幅方向の一側(側壁17に近い側)を案内する第2案内片29(第3案内部)とを有する。
【0018】
これにより、本実施形態の結束装置1では、結束テープ8を指で操作して、結束テープ8を側方(結束テープ8の幅方向)へスライドさせることにより、結束テープ8が、テープ繰出し部24の一側の開口部30、換言すると、第2案内片29を正面に臨むように開口した開口部30から、テープ繰出し部24内へ差し入れられる構造になっている。なお、第1案内片28の開口部30側端部には、結束テープ8のテープ繰出し部24内への挿入を容易にするため、略L字形に形成された第3案内片31が設けられている。また、図2における符号32は、結束テープ8が第2ローラ16から第1ローラ15へ向けて右方向へ移動する(戻る)のを防止するために結束テープ8の非粘着面に接触させるテープ戻り防止板である。
【0019】
結束装置1は、結束テープ8の合せ部33(図9参照)を加圧して圧着させる圧着機構を有する。圧着機構は、第1案内板26に取付けられる第1圧着板34(第1圧着部材)と、第2アーム5の先端部に設けられる第2圧着板35(第2圧着部材)とを有する。第1圧着板34の下部端面には押圧面が形成されており、この押圧面は、第1アーム4の先端部側、換言すると、テープ繰出し部24側が開口するチャンネル形に形成されている。他方、第1圧着板34の押圧面を受ける第2圧着板35の受圧面は長方形に形成されており、受圧面の中央には、後述するテープ押え板36の先端の凸部を受け入れるための角穴37が設けられている。
【0020】
テープ押え板36は、第1圧着板34によって上下方向へ移動可能に案内される可動板38に固定されている。この可動板38は、圧縮コイルばね(図示省略)によって下方向へ付勢されている。そして、圧着機構は、第1圧着板34のチャンネル形の押圧面と第2圧着板35の受圧面とによって結束テープ8の合せ部33を加圧することにより、結束テープ8の合せ部33を圧着して綴じることができるように構成されている。また、結束テープ8の合せ部33の上からテープ押え板36を下降させて、テープ押え板36の先端の凸部を第2圧着板35の角穴37に突入させることにより、結束テープ8の合せ部33を強固に把持することができる。なお、テープ押え板36による結束テープ8の把持力は、可動板38を付勢する圧縮コイルばねのばね力によって調節することができる。
【0021】
結束装置1は、被結束物7に巻回された結束テープ8の合せ部33(圧着部)近傍を切断する切断機構を有する。切断機構は、図3に示されるように、ギザ刃が形成されて切刃固定板39に固定された切刃40を有する。そして、切断機構は、切刃40が、後述するテープ受け板41の第2圧着板35が配置された側とは反対側の面と擦れ違うようにして下降されることにより(図10参照)、テープ押え板36によって把持された結束テープ8の合せ部33の近傍が、切刃40によって切断されるように構成されている。
【0022】
結束装置1は、リールテープ12から引き出された結束テープ8の先端部を把持するテープ押え機構(テープ保持部)を有する。テープ押え機構は、周知技術の構造がそのまま採用されており、図3図4に示されるように、上部機構取付板25に固定される操作板43と、第2圧着板35に固定されるテープ受け板41と、第2アーム5の先端部に固定された下部機構カバー44に組み込まれて操作板43によって操作される可動板45と、下部機構カバー44に組み込まれて可動板45の動作に連動してテープ受け板41との間の結束テープ8を拘束/解放するテープ押え板46とを含む。
【0023】
テープ押え機構は、当業者であれば容易に理解されるように、結束時には、操作板43によって可動板45が下方向へ押し込まれると、これがトリガーとなって、テープ押え板46が拘束のために動作して、先端部がテープ受け板41との間の結束テープ8に食い込むことにより、結束テープ8が拘束される。他方、結束テープ8の切断時には、操作板43によって可動板45が下方向へ押し込まれると、これがトリガーとなって、先端部が結束テープ8に喰い込んだテープ押え板46が結束テープ8から引き抜かれる。なお、図4に示されるように、テープ受け板41には、テープ押え板46の先端部を受け入れるためのスリット42が設けられる。
【0024】
図4に示されるように、結束装置1は、ヒンジ48によって第1アーム4の側壁17の上端部に開閉可能に取付けられて第1アーム4の上部(天板)を構成する第3テープカバー47を有する。そして、結束装置1では、ヒンジ48を構成する金属製のシャフト49の回りに第3テープカバー47を回動させて第3テープカバー47を開いた状態(図4参照)にすることにより、テープ経路20の第2区間22及び第3区間23(図2参照)が現出される構造になっている。なお、図3図4においては、第3テープカバー47は、テープ経路20の第2区間22をカバーする部分と第3区間23をカバーする部分とに分割されているが、一体に構成してもよい。
【0025】
次に、本実施形態の作用を説明する。
ここでは、前述した結束装置1を使用して、例えば、ブドウの蔓と棚とを結束させる場合を説明する。このように、被結束物7が農作物である場合、結束テープ8としては、被結束物7に付着することなく、且つ高い自着力を有する自着性粘着テープが望ましい。より具体的には、結束テープ8に求められる性能は、JISZ0237に規定されるステンレス試験板に対する粘着力試験に準ずるステンレス試験板に対する180°引きはがし粘着力が2.0N/10mm未満、及び合掌貼りによる自着力が6.0N/10mm以上である。
【0026】
ここで、自着力は、引きはがし角度90°における引きはがし粘着力であり、温湿度、試験速度、圧着条件等の試験条件は、JISZ0237に準ずる。また、合掌貼りとは、当業者によく知られているように、同じ粘着テープの粘着剤どうしを貼り合わせることである。さらに、結束テープ8は、光エネルギを吸収することで一定期間の経過後に脆化される光分解性を有することが望ましい。特に、本実施形態では、キセノン光線照射試験で200時間を超えると脆化するように結束テープ8が設計される。また、高い自着力が求められることからゴム系粘着剤が望ましいが、これに限定することを意図していない。
【0027】
まず、第1テープカバー14(テープカバー)を開いてテープ収容部11の上部に開口を形成する。この開口からリールテープ12(テープリールに取り付けられた巻回状の結束テープ8)を挿入して、リールテープ12をスプール13(テープ支持部)に装着する。次に、第1テープカバー14と第3テープカバー47とが開かれた状態で、リールテープ12から結束テープ8を引き出して、引き出された結束テープ8を、第1ローラ15、第2ローラ16を経由させてテープ繰出し部24に通す。この時、本実施形態では、結束テープ8の先端部を側方(結束テープ8の幅方向)へスライドさせて、結束テープ8の先端部をテープ繰出し部24の第1案内板26と第2案内板27との間の開口部30から差し込むことにより、結束テープ8をテープ繰出し部24に容易に通すことができる。
【0028】
なお、図2に示されるように、結束テープ8の先端部をテープ繰出し部24に通した後、第1テープカバー14と第3テープカバー47とを含む全てのカバーを閉じる。次に、図2に示される状態の結束装置1の一対のレバー2、3を握り締めて、一対のアーム4、5を支点6の回りに回動(閉動作)させる。周知のように、一対のアーム4、5が閉動作の回動端位置(図5参照)に到達してから、一対のレバー2、3が僅かに戻されることにより、図6に示されるように、テープ押え機構(テープ保持部)のテープ押え板46の先端部が結束テープ8の上からテープ受け板41のスリット42に突入する。これにより、結束テープ8の先端部がテープ押え板46とテープ受け板41との間で把持される。
【0029】
そして、一対のレバー2、3が開動作の回動端位置(図7参照)まで戻されることにより、図7に示されるように、リールテープ12から引き出された結束テープ8が、一対のアーム4、5間、換言すると、テープ繰出し部24とテープ押え機構との間に張られる。さらに、図7に示される状態から、結束装置1を被結束物7に向けて移動させることにより、図8に示されるように、被結束物7によって一対のアーム4、5間に張られた結束テープ8を支点6に向けて押し込むようにして、被結束物7を一対のアーム4、5間に誘引させる。
【0030】
次に、図8に示される状態から、一対のレバー2、3を握り締める。これにより、図9に示される一対のアーム4、5が閉動作の回動端位置(図10参照)に到達する直前のタイミングで、テープ押え板36の先端の凸部が結束テープ8の合せ部33の上から第2圧着板35の角穴37に突入されて、その結果、被結束物7に巻回された結束テープ8の合せ部33がテープ押え板36によって強固に把持される。そして、図10に示される一対のアーム4、5が閉動作の回動端位置に到達するタイミングで、結束テープ8の合せ部33が、圧着機構の一対の圧着板34、35間で加圧されて綴じられる。同時に、テープ押え板36によって把持された結束テープ8は、合せ部33の近傍で切断機構の切刃40によって切断される。
【0031】
この実施形態では以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、一対のレバー2、3を握り締めて一対のアーム4、5を支点6の回りに回動させることにより、被結束物7に巻回された結束テープ8の合せ部33が一対の圧着板34、35によって加圧されて綴じられる圧着機構を備えるので、所謂プライヤ型の結束装置1において、片面が粘着面である粘着テープを結束テープ8として使用することができる。
これにより、非粘着テープの合せ部がステープルによって綴じられる従来の結束装置のように、金属製のステープルが被結束物7へ混入することがないので、被結束物7の品質を確保することができる。
【0032】
また、本実施形態の結束装置1では、結束テープ8の粘着面の粘着力によって結束テープ8の合せ部33が綴じられるので、圧着機構の一対の圧着板34、35によって結束テープ8の合せ部33を加圧する時に、金属製のステープルを打ち出す時のような強い握力を必要としない。これにより、作業者への負担を軽減することが可能であり、延いては、作業効率を向上させることができる。
【0033】
また、本実施形態の結束装置1では、従来のプライヤ型結束装置に適用される重量があるステープルを打ち出すための機構を必要としないので、装置を大幅に軽量化することができる。
また、本実施形態の結束装置1では、従来のプライヤ型結束装置との比較において、ステープルを打ち出すための機構が配置されていたスペースに結束テープ8を配置することができるので、装置が小型化されるとともに重量バランスを最適化することが可能であり、装置の操作性(作業性)を向上させることができる。
このように、本実施形態の結束装置1によれば、装置が軽量化されるとともに装置の操作性をも向上させることができるので、特に、ブドウ、キウイフルーツ等の蔓と棚とを頭上で結束させるような作業者への負担が極めて大きい作業においては、作業者への負担を大幅に軽減することが可能であり、結束作業の大幅な効率化を図ることができる。
【0034】
また、結束テープ8を収容するためのカバーがグリップエンドに設けられていた従来のプライヤ型結束装置と比較した場合、テープ経路20を大幅に短縮することが可能である。これにより、リールテープ12から結束テープ8を引き出す時の引き出し抵抗を大幅に軽減することが可能であり、結束テープ8をリールテープ12から円滑に引き出すことができる。
さらに、従来のプライヤ型結束装置では、例えば、リールテープ12の交換時に、結束テープ8が正規のテープ経路からずれて結束テープ8をカバーに挟んでしまうことがあったが、本実施形態の結束装置1では、テープ経路20が大幅に短縮されたことにより結束テープ8がテープ経路20からずれ難いので、リールテープ12の交換を容易に且つ迅速に行うことができる。
【0035】
また、従来のプライヤ型結束装置では、リールテープ12から引き出された結束テープ8とリールテープとの接点Pがテープ経路20よりも高い位置に配置されていたため、第1ローラ15の案内面(外周)に結束テープ8の粘着面が接触することになり、リールテープ12から結束テープ8を引き出す時の引き出し抵抗を増大させていたが、本実施形態の結束装置1では、リールテープ12から引き出された結束テープ8とリールテープ12との接点Pをテープ経路20よりも低い位置に配置したので、第1ローラ15の案内面(外周)には結束テープ8の非粘着面が接触される。これにより、リールテープ12から結束テープ8を引き出す時の引き出し抵抗を大幅に軽減することが可能であり、結束テープ8をリールテープ12からより円滑に引き出すことができる。
【0036】
また、本実施形態の結束装置1では、結束テープ8の先端部を側方(結束テープ8の幅方向)へスライドさせることにより、結束テープ8の先端部をテープ繰出し部24の第1案内板26と第2案内板27との間の開口部30から差し込むことができるので、結束テープ8を、テープ繰出し部24に容易に、且つ確実に通すことが可能である。
また、本実施形態の結束装置1では、第1アーム4の上部を構成する第3テープカバー47は、金属製のシャフト49を有するヒンジ48によって第1アーム4の側壁17に取付けられるので、プラスチック製のヒンジを採用した従来のプライヤ型結束装置と比較して、繰り返し開閉される第3テープカバー47のヒンジ構造の剛性を向上させることができる。
また、本実施形態の結束装置1では、第1テープカバー14は、その表面積の50%以上が透明な材料によって構成されるので、スプール13(テープ支持部)によって支持されたテープ収容部11内のリールテープ12の残量を、第1テープカバー14を閉じたままの状態で容易に確認することが可能であり、操作性を向上させることができる。
【0037】
また、本実施形態の結束装置1では、結束テープ8に自着性粘着テープを採用し、ステンレス試験板に対する180°引きはがし粘着力を2.0N/10mm未満としたことにより、結束テープ8が被結束物7に対して結束に必要とされる粘着力以上の強い粘着力で接着されることがないので、結束作業を円滑に行うことができる。
また、結束テープ8の自着力を6.0N/10mm以上にしたことにより、結束テープ8の合せ部33(合掌貼りの部分)が不意に剥がれる事態を防ぐことができる。
さらに、結束テープ8をキセノン光線照射試験で200時間を超えると脆化するように設計したので、収穫時期(本実施形態ではブドウの収穫時期)に合わせて結束テープ8を脆化させることが可能であり、結束テープ8の回収等の後処理が容易である。
【符号の説明】
【0038】
1 結束装置、2 第1レバー、3 第2レバー、4 第1アーム、5 第2アーム、6 支点、7 被結束物、8 結束テープ、34 第1圧着板(第1圧着部材)、35 第2圧着板(第2圧着部材)、33 合せ部
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