【実施例】
【0018】
本発明は、下記の実施例により示される。
【0019】
試験方法
【0020】
流入時間
流入時間の試験を、Johnson&Johnsonの米国特許出願公開第2007/0219517号明細書に概説される方法の改良版とする。
表面シートのサンプルを切断し、吸収性コア上に固定した。使用した吸収性コアは、使い捨ての吸収性製品において一般的に使用される、典型的な液体吸収性材料である。この発明において使用されるコアの吸収材料は、親水性繊維、例えば、セルロース繊維(軟毛パルプ、レーヨン)および超吸収性製品、例えば、アクリル酸ナトリウム−アクリル酸ポリマーを含む。
試験液を、49.50%の、0.9%(w/w)塩化ナトリウム溶液および49.05%グリセリン、1.00%フェノキシエタノールおよび0.45%塩化ナトリウムの混合物とする。
試験中の液体分布を観察するのを容易にするために、少量の青味も、試験液に添加した。4.0mlの試験液を、3cmの高さから表面シート上に滴下した。液体の最初の放出から、全ての液体が表面シートを通過するか、または、表面シート内に入る時間を記録した。4.0mlの液体を滴下する時間は、おおよそ3.6秒であった。
【0021】
リウェット重量
評価に使用した主なリウェット試験を、米国特許出願公開第2007/0219517号明細書に概説される方法の改良版とした。
10枚重ねの、直径7cmのWhatman41ろ紙を秤量し、流入時間試験の完了後5分間(±10秒)、流入試験の試験領域の中央に置いた。4.14kPaの圧力を、ろ紙上に5分間(±10秒)加えた。ついで、ろ紙を取り除き、再度秤量して、リウェット値を算出した。
【0022】
表面シート用の不織布の製造
パラレルレイドウェブ(parallel−laid web)をカーディングし、水流交絡させた。平均布重量(mean fabric weight)は、30g/m
2であった。全ての布を、約14%の開口領域およびおおよそ2.4mm
2の平均開口サイズを有する中程度の開口サイズのベルト上で水流交絡させた。
【0023】
実施例1(比較)
30g/m
2の、カーディングし、水流交絡させ、開口させた(中程度のメッシュサイズ)不織布を、種々のレベルの疎水剤AKD452N(AKD452Nは、Kemira社から市販されているアルキル−ケテン−ダイマー−配合物である。)において、1.7dtexの疎水性のダル(dull)ビスコースから製造した。疎水性のビスコースと人造セルロース繊維とのブレンドも試験した。表面シートの流入時間およびリウェット値を、上記の試験方法に基づいて試験した。
【0024】
表1は、低濃度の疎水性処理によるビスコース繊維(サンプル1.3、1.4)が、参照のポリエステル(サンプル1.1)とおよそ同じ値の流入時間を有するが、リウェット値が、この出願に望ましいものより高いものであることを示す。繊維における疎水剤がより高濃度の場合、流入時間は、範囲から外れる(サンプル1.5)。疎水性の人造セルロース繊維の割合が25%より高い場合、疎水性の人造セルロース繊維と人造セルロース繊維とのブレンドも、範囲外である(サンプル1.6および1.7)。25%の疎水性の人造セルロース繊維と人造セルロース繊維とのブレンドは、十分な性能を示す(サンプル1.8)。
【0025】
【表1】
【0026】
実施例2
疎水性繊維のぬれ性を改善し、流入時間およびリウェット値を低下させるために、0.1%AKD452Nの1.7dtexのダル(dull)疎水性ビスコースから作られた不織布を、さらに、BASF社からの湿潤剤(Plantacare810UP)で処理した。湿潤剤「Plantacare810UP」(50%活性物質)の1.0%溶液を、蒸留水を用いて作製し、30%クエン酸溶液で、pHを5に修正した。この溶液を、微小ミスト圧縮エアスプレーを使用して、一定の表面シートの上面上に、表面シートの重量の1%活性湿潤剤のレベルに塗工した。サンプルを、試験前に、大気条件下で一晩乾燥させた。流入時間およびリウェット値を、上記試験方法に基づいて、各材料(facric)について試験した。
【0027】
0.1%AKD452Nでの75%疎水性ビスコースと25%ビスコース繊維とのブレンド(サンプル1.6)、または75%疎水性ビスコースと25%テンセル繊維(サンプル1.7)とのブレンドからの不織布であって、1%湿潤剤「Plantacare810UP」による更なる処理をしたものは、表面シートの流入時間およびリウェット値を顕著に低下させた(サンプル2.1および2.2)。
【0028】
【表2】
【0029】
これらの繊維および布地は、改善された柔軟性と共に、エンドユーザに有益な改善されたぬれ性およびローション管理を達成するために、種々の用途、例えば、ウェットワイプに使用され得る。
【0030】
本発明の別の目的は、表面シートとあわせて、流入時間およびリウェット値を顕著に低下させる、吸収/分布層としての不織布層を提供することである。
【0031】
驚くべきことに、表面シートにおける流入時間およびリウェットの性能が、これらの表面シートが、人造セルロース繊維を含む熱接着された不織布の第2の層と組み合わせられた場合、顕著に改善されることが見出された。
【0032】
本発明の衛生製品は、二層の不織布を含み、第1の層が、合成繊維または疎水性の人造セルロース繊維を含み、第2の層が、人造セルロース繊維を含むことを特徴とする。
【0033】
第1の層は、100%の疎水性の人造セルロース繊維からなってもよいし、または、総量を100質量%としたとき、75から99.5質量%の疎水性の人造セルロース繊維と、0.5から25質量%の人造セルロース繊維とのブレンドからなってもよく、ただし、総量が、100質量%である。第1の層は、合成繊維、例えば、ポリエステルであることもできる。
【0034】
好ましい実施形態では、第2の層は、人造セルロース繊維および熱可塑性材料の熱接着された不織布からなり、ここで、熱接着された不織布は、総量を100質量%としたとき、50から90質量%の人造セルロース繊維と、50から10質量%の熱可塑性繊維とからなり、ただし、総量は、100質量%である。
【0035】
熱接着された不織布に適切なものは、修飾された断面、例えば、多葉状、不規則、三角形および中空の断面を有する人造セルロース繊維である。
【0036】
熱接着された不織布に使用するための好ましい人造セルロース繊維は、三葉状(trilobal)人造セルロース繊維である。このような繊維は、商標「Viscostar」として、LenzingAGから入手できる。この繊維のタイター(titer)は、1.3から6.7dtex、好ましくは、3から4dtexである。熱接着された不織布に使用するための別の好ましい人造セルロース繊維は、リヨセル繊維である。リヨセル繊維のタイターは、0.9から9dtex、好ましくは、3.3から6.7dtexの範囲にある。リヨセル繊維は、商標「テンセル」として、LenzingAGから入手できる。両繊維種のステープル長は、4から90mm、好ましくは、10から60mmである。
【0037】
好ましい熱可塑性繊維は、複合繊維、例えば、コア−シース(core−sheath)PET/CoPET複合繊維、コア−シースPET/PE複合繊維またはコア−シースPE/PP複合繊維である。
【0038】
層は、エアレイド、ドライレイドまたはウェットレイドの不織布であり、それらの各プロセスにより製造され得る。全ての接着プロセスが可能である。不織布は、ニードルパンチ、水流交絡、熱接着または化学接着された不織布である。
【0039】
好ましい不織布ウェブは、「リヨセル・メルト・ブローン(Lyocell−melt−blown)プロセス」により製造され、このプロセスでは、国際公開第2007/124522号パンフレットにおいて公開されるように、不織布ウェブは、N−メチル−モルホリン−N−オキシド(「NMMO」中のセルロース溶液を使用するメルト−ブローン(melt−blown)プロセスにより直接製造される。
【0040】
不織布は、5から100g/m
2、好ましくは、10から40g/m
2の間の単位面積あたりの重量を有する。
【0041】
実施例3
30g/m
2の不織布を、吸収/分布層(ADL)に使用するために、種々の繊維種およびそれらのブレンドから、(エアボンドによる)熱接着プロセスにより製造した。
パラレルレイドウェブを製造し、圧縮ウェブを、150℃で2分間加熱して、この材料(fabric)を熱的に接着した。平均布面積密度(mean fabric area density)は、おおよそ30g/m
2であった。製造および試験した熱接着ADL層を、下記の通りとした。
・70%「Viscostar」三葉状ビスコース(3.3dtex)と、30%複合バインダー繊維(4dtex、50:50の同軸シース−コア(concentric sheath−core)ポリエチレン−ポリプロピレン)とのブレンドを、サンプル3.1、3.3、3.5および3.7に使用した。
・70%テンセル3.3dtexと、30%複合バインダー繊維(4dtex、50:50の同軸シース−コアポリエチレン−ポリプロピレン)とのブレンドを、サンプル3.6および3.8に使用した。
【0042】
これらの試験に関して、30g/m
2の3種類の異なる開口布を、表面シートに使用した。典型的な吸収性コアを使用し、ADL不織布(30g/m
2)を、表面シートと吸収性コアとの間に配置した。流入時間およびリウェットを、以下に記載の試験方法に基づいて試験した。これらの試験の結果を、表3に表わす。
【0043】
ADL層の初期試験
ADLを評価するのに使用した流入−リウェット試験を、米国特許出願公開第2007/0219517号明細書に概説される方法の更なる改良版とした。表面シート、ADLおよびコア材料のサンプルをサイズに切断し、秤量した。
部品を、上面からもう一方に向かって、表面シートを最上面、ADLを中央およびコアを底面として積層し、ついで、試験リグに固定した。
流入時間を、前述のように、4.0mlの標準的な試験液を、3cmの高さから表面シート上に滴下することにより測定した。液体の最初の放出から、全ての液体が表面シートを通して通過するか、または、表面シート内に入る瞬間の時間を記録した。
【0044】
リウェットも、前述のように、10枚重ねの、直径7cmのWhatman41ろ紙を使用して測定した。ただし、試験の完了後、試験サンプルを、直ちに分解し、3つの部品も秤量して、サンプルを通した液体の分布を算出した。1つの試験は、比較のためにADLなしで行った。
【0045】
【表3】
【0046】
カーディングおよび熱接着で処理された、30%複合繊維とのブレンドにおける70%三葉状ビスコースまたは70%リヨセル繊維(テンセル)で作られた不織布は、疎水性の人造セルロース繊維から作られた表面シートとの組み合わせにおいて、および、ポリエステル表面シートとの組み合わせにおいても(サンプル3.7および3.8)、吸収/分布層として使用した場合、吸収性パッドのリウェット性能を顕著に改善することが分かる。
【0047】
本発明の不織布は、使い捨ての衛生製品、例えば、おむつ、女性用パッドおよび失禁製品に使用される。不織布の一層(一層の不織布)を含み、不織布が、人造セルロース繊維と疎水性の人造セルロース繊維とのブレンドを含み、不織布が、湿潤剤で処理されている衛生製品は、特にウェットワイプとして適している。