【実施例1】
【0021】
本発明の実施例1に係る
工事用車両誘導システムについて
図1,4,5を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施例1に係る
工事用車両誘導システムのシステム構成図である。また、
図5は誘導指示側作業機と被誘導車両の既存設備を説明するための概念図である。
なお、
図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aは、誘導指示側作業機2に設けられる既存設備4をそのまま利用し、そこに必要な構成を後付け設備として付加することを想定したものである。
誘導指示側作業機2である例えば路面切削機15、並びに、被誘導車両3である例えば運搬用車両20は、先に
図4を参照して説明したような設備を備えている。
このような誘導指示側作業機2(例えば、路面切削機15)は、
図5に示すように、実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aとして利用可能な既存設備4として、第1の音声発生操作部6a及び音声発生部8を備えている。また、被誘導車両3(例えば、運搬用車両20)は、
図5に示すように、実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aとして利用可能な既存設備4としてFMラジオ11を備えている。
なお、本実施の形態において「FMラジオ11」は、FM波受信アンテナ10bと復調器(図示せず)と音声発生部((図示せず、例えば、スピーカーやイヤホン等)と受信周波数変更部(図示せず)の全てを備えてなる概念である。また、
図1〜3では、発明の作用・効果が理解されやすいよう、FMラジオ11を構成するFM波受信アンテナ10bを、FMラジオ11とは別に示している。
また、
図5に示す既存設備4における第1の音声発生操作部6aは、例えば、クラクションボタン等のような作業者の操作(動作)に応じて音声を発生させる操作用装置の総称であり、音声発生部8は、例えば、スピーカー等のような作業者による第1の音声発生操作部6aの操作に呼応して実際に音声を出力する装置の総称である。
また、上記以外の既存設備4としては、たばこ等に点火するためのシガーソケット14がある。このシガーソケット14の使用方法については、後段の実施例2において詳細に説明する。
【0022】
また、本実施の形態においては、誘導指示側作業機2が、例えば、路面切削機15である場合を例に挙げて説明しているが、誘導指示側作業機2を路面切削機15に特定する必要は特になく、被誘導車両3と所望の間隔を保ちながら協働して作業を行うのに用いられる作業機であればどのようなものでもよい。このような作業機は、設置式のものでもよいし、自走式のものでもよい。
より具体的には、誘導指示側作業機2は、路面切削機15以外の従来公知の重機(例えば、パワーショベル、ブルドーザー、ドーザーショベル、クレーン、ロードローラ等)や農場用や建設用の作業機等であってもよい。
つまり、誘導指示側作業機2による作業の結果生じる不要物を常時被誘導車両3に回収しながら作業を行う必要がある場合や、誘導指示側作業機2の作業に必要な資材や物体を被誘導車両3から誘導指示側作業機2に供給し続ける必要がある場合に、実施例1に係る
工事用車両誘導システム1A、のみならず、後段に示す実施例1の変形例,実施例2に係る
工事用車両誘導システム1A’,1B、並びに、実施例3に係る
工事用車両誘導方法は優れた効果を発揮する。この点について以下に詳細に説明する。
【0023】
実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aは、
図1に示すように、誘導指示側作業機2と被誘導車両3とからなり、誘導指示側作業機2は、被誘導車両3に対してその移動と停止を指示するための合図となる音声の発生とその停止を操作するための第1の音声発生操作部6aと、この第1の音声発生操作部6aから作動信号が発信された際の被誘導車両3に対する出力方法の切替えを行う音声・FM波出力切替部7と、この音声・FM波出力切替部7から発せられる信号に基づいて音声を出力する音声発生部8と、音声・FM波出力切替部7から発せられる信号に基づいてFM波を生成するFM波生成部9と、このFM波生成部9において生成されるFM波13を被誘導車両3に対して発信するFM波発信アンテナ10aと、を備えている。なお、実施例1に係る誘導指示側作業機2では、第1の音声発生操作部6a及び音声発生部8は、既存設備4を利用している(
図5を参照)。
また、実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aにおける被誘導車両3は、既存設備4であるFMラジオ11を備えている。なお、この被誘導車両3が、既存設備4としてFMラジオ11を備えていない場合は、携帯用のFMラジオ11を車内に持ち込んで搭載すればよい。
さらに、実施例1に係る
工事用車両誘導システム1AにおけるFM波13は、誘導指示側作業機2のFMラジオ11で受信可能な周波数であり、かつ、誘導指示側作業機2及び被誘導車両3が配される地域のラジオ放送に用いられる周波数とは重ならない周波数に設定されている。あるいは、FM波13の周波数を作業者が独自に上述のような周波数に調整できるよう、誘導指示側作業機2は周波数設定部12を備えていてもよい。
そして、このような実施例1に係る車両誘導システム1Aでは、誘導指示側作業機2の音声・FM波出力切替部7においてFM波13を出力するよう設定される場合に、誘導指示側作業機2において第1の音声発生操作部6aを操作すると、この操作に呼応して被誘導車両3のFMラジオ11から合図としての音声が出力される。
【0024】
ここで、実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aにおいて誘導指示側作業機2からの合図が被誘導車両3に伝達されるしくみについて
図1,4を参照しながら詳細に説明する。
図4に示すように、誘導指示側作業機2である例えば路面切削機15と、被誘導車両3である例えば運搬用車両20が直列に並んだ状態で所望の間隔を保ちながら、路面切削機15で路面25を切削しつつその切削屑(積載物23)を搬送部17により運搬用車両20の荷台21に搬送して積載する場合で、かつ、路面切削機15と伴走する作業者24が、例えば被誘導車両3をより前方に移動させたい場合は、作業者24は路面切削機15の側面に設けられる操作部18に設けられる第1の音声発生操作部6a(例えば、クラクションボタン)を操作すればよい。
この時、誘導指示側作業機2における音声・FM波出力切替部7の設定が、音声出力となっている場合は、作業者24により第1の音声発生操作部6aが操作された際に、第1の音声発生操作部6aから音声・FM波出力切替部7に対して作動信号が発信され(
図1中の符号Aを参照)、この作動信号に基づき音声・FM波出力切替部7から音声発生部8に対して信号が発信されて(
図1中の符号Bを参照)、音声発生部8(例えば、スピーカー)から音声(例えば、クラクション音)が出力される。
【0025】
その一方で、作業者24による第1の音声発生操作部6aの操作時に、音声・FM波出力切替部7の設定がFM波出力となっている場合は、作業者24により第1の音声発生操作部6aが操作されると、第1の音声発生操作部6aから音声・FM波出力切替部7に対して作動信号が発信され(
図1中の符号Aを参照)、この作動信号に基づき音声・FM波出力切替部7からFM波生成部9に対して信号が発信されて(
図1中の符号Cを参照)、この信号に基づいてFM波生成部9においてFM波13が生成され、FM波発信アンテナ10aを介してFM波13が被誘導車両3に対して発信される。
そして、FM波発信アンテナ10aから発信されたFM波13は、被誘導車両3のFMラジオ11を構成するFM波受信アンテナ10bで受信され、図示しない復調器において復調されて、図示しない音声発生部から音声として被誘導車両3の車内(運転席22)に出力される(
図4を参照)。
つまり、実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aにおいては、誘導指示側作業機2において作業者24が操作部18の第1の音声発生操作部6a(例えば、クラクションボタン)の操作をすることで、その動作に呼応して音声(例えば、クラクション音)を被誘導車両3の車内のFMラジオ11から出力させることができる。このとき、被誘導車両3に設けられるFMラジオ11は、誘導指示側作業機2から送信されるFM波13を確実に受信できるようにその受信周波数を予め調整しておく必要がある。
そして、例えば、事前に誘導指示側作業機2を操作する作業者24と被誘導車両3を運転する作業者(図示せず)との間において、例えば、FMラジオ11から1回だけ音声が出力された場合は被誘導車両3を前進させ、FMラジオ11から2回連続で音声が出力された場合は被誘導車両3を停止させる等の取り決めをしておくことで、誘導指示側作業機2の作業者24は、被誘導車両3の作業者(運転手)に合図して被誘導車両3を所望の位置に誘導することができる。
【0026】
なお、ここでは被誘導車両3のFMラジオ11から出力される音声がクラクション音である場合を例に挙げて説明しているが、この音声は必ずしもクラクション音でなくともよい。より具体的には、誘導指示側作業機2に伴走する作業者24(
図4を参照)が、第1の音声発生操作部6aを1回操作した際に、被誘導車両3のFMラジオ11から「前進」との言葉が音声として出力されるように構成するとともに、第1の音声発生操作部6aを2回連続で操作した際に被誘導車両3のFMラジオ11から「停止」との言葉が音声として出力されるよう構成しても良い。
あるいは、第1の音声発生操作部6aや音声発生操作部6(後段に示す変形例)、あるいは、第2の音声発生操作部6b(後段に示す実施例2)がともに操作ボタンである場合は、その押動作の長さや回数に応じて被誘導車両3のFMラジオ11から出力される合図としての音声が所望に変更されるよう設定しておいてよい。
つまり、実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aでは、被誘導車両3のFMラジオ11から出力される音声をどのようにするかについては、誘導指示側作業機2及び被誘導車両3により執り行う作業の内容に応じて適宜設定することができる。
なお、後段において説明する実施例1の変形例、実施例2に係る
工事用車両誘導システム1A’,1Bにおいても同様である。
先に述べた従来技術では、情報発信側から発信できる情報は所望のものに特定されていた。例えば、車両の特定の動作(より具体的には、ブレーキ、方向指示器の操作、警告灯の操作、接近)や、故障の発生を知らせる信号である。
これに対して、本発明に係る
工事用車両誘導システム1A,1A’,1Bでは、情報発信側から発信される情報(合図)の内容を、作業目的に応じて自由に設定・変更できるので、誘導指示側作業機2から被誘導車両3に対して発せられる合図のバリエーションを多彩にすることができる。
【0027】
このような、実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aによれば、誘導指示側作業機2から直接音声を発することなく、被誘導車両3の車内にいる作業者に対して合図としての音声を伝えることができる。
この時、誘導指示側作業機2の周囲に被誘導車両3を移動又は停止させるための合図として音声が発せられることがないので、夜間に工事や作業を行う際の騒音の発生を大幅に軽減できる。
また、実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aでは、FM波発信アンテナ10aから発せられるFM波13が被誘導車両3に備えられるFMラジオ11以外のFMラジオにおいて受信される可能性もあるが、FM波13の周波数が誘導指示側作業機2及び被誘導車両3が配される地域のラジオ放送に用いられる周波数とは重ならない周波数に設定されているので、被誘導車両3に備えられるFMラジオ11以外のFMラジオにおいて合図としての音声が出力される可能性は極めて低い。よって、この点においても誘導指示側作業機2と被誘導車両3が協働で作業する場合の合図としての音声が騒音となるのを好適に抑制できる。
また、実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aを用いる場合、合図としての音声は被誘導車両3の車内に出力されるので、誘導指示側作業機2の音声発生部8から合図としての音声が出力される場合のように、被誘導車両3の作業者は誘導指示側作業機2からの音声をしっかりと聞き取ろうとして運転席の窓を開け放しておく必要がなくなる。このため、被誘導車両3の作業者は運転席の窓を閉めたままにしておくことができる。このことは、被誘導車両3の車内(運転席22)に出力された合図としての音声が、被誘導車両3の車外に漏れるのを抑制できることを意味している。よって、この点からも合図としての音声が騒音となるのを好適に抑制できる。
【0028】
さらに、実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aでは、FM波13の到達範囲を誘導指示側作業機2のFM波発信アンテナ10aを基点として、被誘導車両3が存在する範囲内に特定してもよい。より具体的には、FM波発信アンテナ10aから発信されるFM波13の強さを調整することで、FM波13の到達範囲を特定することができる。このようなFM波13の強さは、被誘導車両3が存在する範囲が既知で変動がない場合は、FM波生成部9において生成されるFM波13の強さを所望の強さに予め設定しておけばよい。また、誘導指示側作業機2と被誘導車両3が具体的に何であるかによって「被誘導車両3が存在する範囲」が変わる場合は、
図1に示すFM波生成部9や、後段に示す周波数設定部12においてFM波13の強さを変更可能に構成しておいてもよい。あるいは、FM波生成部9や後段に示す周波数設定部12とは別に、FM波13の強度の設定・変更を行うためのFM波強度変更部(図示せず)を設けてもよい。特に誘導指示側作業機2が路面切削機15で、被誘導車両3がダンプカーである場合は、FM波13の到達域は、誘導指示側作業機2のFM波発信アンテナ10aを基点として20〜50mの範囲内となるようFM波13の強さを設定しておけばよい。なお、この点については、後述の実施例1の変形例及び実施例2に係る
工事用車両誘導システム1A’,1B、並びに、実施例3に係る
工事用車両誘導方法においても同様である。
上述のようにFM波13の到達域を特定する場合は、被誘導車両3に設けられるFMラジオ11以外のFMラジオがFM波13を受信する可能性を大幅に低減できる。
この結果、被誘導車両3に設けられるFMラジオ11以外のFMラジオにおいて誘導指示側作業機2から発せられる合図としての音声が出力される可能性を一層低減することができる。
従って、誘導指示側作業機2が被誘導車両3を伴って作業を行う際に、誘導指示側作業機2から発せられる合図が周囲に対して騒音になるのを一層確実に防止することができる。なお、この点については、後段に示す実施例1の変形例,実施例2に係る
工事用車両誘導システム1A’1B及び実施例3に係る
工事用車両誘導方法においても同様である。
【0029】
また、実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aでは、誘導指示側作業機2における作業者24の第1の音声発生操作部6aに対する操作(動作)を、被誘導車両3におけるFMラジオ11からの音声出力に直接反映させることができる。
このことは、作業者24が第1の音声発生操作部6aの操作の仕方を様々に変えることで、被誘導車両3に対して様々な合図を発信できることを意味している。
従って、実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aによれば、シンプルでありながら極めて利便性の高い
工事用車両誘導システムを提供できるという効果も有する。
【0030】
さらに、実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aによれば、
図1に示すように誘導指示側作業機2の設備として既存設備4である第1の音声発生操作部6a及び音声発生部8を、被誘導車両3の設備として既存設備4であるFMラジオ11をそのまま利用して、この既存設備4に後付け設備5aである音声・FM波出力切替部7及びFM波生成部9及びFM波発信アンテナ10aを付加するだけで
工事用車両誘導システム1Aを構成することができるので、
工事用車両誘導システム1Aの実施にあたり必要な設備投資を最少限度にできる。従って、実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aによれば、極めて経済性の高い
工事用車両誘導システムを提供できる。
【0031】
ここで実施例1の変形例に係る
工事用車両誘導システムについて、
図2を参照しながら説明する。
上述の実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aは、既存設備4である第1の音声発生操作部6a及び音声発生部8を流用するものとして説明しているが、本発明に係る
工事用車両誘導システムは、必ずしも既存設備4である第1の音声発生操作部6a及び音声発生部8に後付け設備5a(
図1を参照)を付加して構成する必要はなく、誘導指示側作業機2の製造時に実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aを操作部18(
図4を参照)に一体に組み込んでもよい。
図2は本発明の実施例1の変形例に係る
工事用車両誘導システムのシステム構成図である。なお、
図1,4,5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図2に示すように実施例1の変形例に係る
工事用車両誘導システム1A’は、既存設備4でない音声発生操作部6と、この音声発生操作部6から作動信号が発信された際の被誘導車両3に対する出力方法の切替えを行う音声・FM波出力切替部7と、この音声・FM波出力切替部7から発せられる信号に基づいて音声を出力する既存設備4でない音声発生部8と、先の音声・FM波出力切替部7から発せられる信号に基づいてFM波を生成するFM波生成部9と、このFM波生成部9において生成されるFM波13を被誘導車両3に対して発信するFM波発信アンテナ10aと、を備えている。
なお、音声発生操作部6は、
図1に示す第1の音声発生操作部6aと実質的に同じであるが、既存設備4である第1の音声発生操作部6aと区別するために音声発生操作部6としている。
【0032】
また、
図2に示す変形例に係る
工事用車両誘導システム1A’も、FM波生成部9において生成されるFM波13の周波数を所望に設定するための周波数設定部12を備えていてもよい。
この場合、上述の実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aの場合と同様に、変形例に係る
工事用車両誘導システム1A’のFM波発信アンテナ10aから発信されるFM波13の周波数を、被誘導車両3のFMラジオ11で受信可能な周波数であり、かつ、誘導指示側作業機2及び被誘導車両3が配される地域のラジオ放送に用いられる周波数とは重ならない周波数に設定することができる。
【0033】
このような実施例1の変形例に係る
工事用車両誘導システム1A’による作用・効果は、上述の実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aによる作用・効果と実質的に同じである。
また、変形例1に係る
工事用車両誘導システム1A’の場合は、実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aのように既存設備4(
図1,5を参照)に対して、後から後付け設備5a(
図1,5を参照)を付加する改編作業を行う必要性がない。このため、誘導指示側作業機2の操作部18の構造や外観を、他の操作ボタン等と一体的に構成することができる。
【0034】
また、実施例1及びその変形例に係る
工事用車両誘導システム1A,1A’ではいずれも、FM波13を介して被誘導車両3のFMラジオ11に音声を出力させる場合と、誘導指示側作業機2の音声発生部8から直接音声を出力させる場合とが、音声・FM波出力切替部7により切替え可能に構成されている。
このように構成することで、万一、被誘導車両3が既存設備4としてFMラジオ11を備えていない場合や、被誘導車両3のFMラジオ11が故障した場合に、誘導指示側作業機2の音声発生部8から音声を出力させることで誘導指示側作業機2と被誘導車両3との協働作業を支障なく執り行うことができる。
【0035】
次に、本発明の実施例2に係る
工事用車両誘導システムについて
図3,5を参照しながら説明する。
先の実施例1では、既存設備4である第1の音声発生操作部6a及び音声発生部8に対して、後付け設備5aである音声・FM波出力切替部7、FM波生成部9及びFM波発信アンテナ10aを後から一体に付加する場合や(
工事用車両誘導システム1A)、実施例2のように、音声発生操作部6、音声・FM波出力切替部7、音声発生部8、FM波生成部9及びFM波受信アンテナ10bを誘導指示側作業機2に予め一体に組み込む場合(
工事用車両誘導システム1A’)を例に挙げて説明してきたが、
図1に示す
工事用車両誘導システム1Aにおいて誘導指示側作業機2に付加される後付け設備5aは、誘導指示側作業機2に一体に組み込んでおく必要性は特になく、誘導指示側作業機2に別体として付加するだけでも目的とする作用・効果を支障なく発揮させることができる。
このような態様を具体的に示したものが実施例2に係る
工事用車両誘導システムである。
つまり、実施例1に係る
工事用車両誘導システム1Aと、以下に説明する実施例2に係る
工事用車両誘導システムとの実質的な相違点は、後付けされる設備が誘導指示側作業機2に「一体に組み込まれている」か、「別体として付加される」かという点であり、このような相違点に基づく作用・効果の違いは、誘導指示側作業機2に後付けされる設備の取外しの可否である。
図3は本発明の実施例2に係る
工事用車両誘導システムのシステム構成図である。なお、
図1,2,4,5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図3に示すように、実施例2に係る
工事用車両誘導システム1Bは、先の
図5に示す既存設備4である第1の音声発生操作部6a及び音声発生部8以外に、合図となる音声の発生とその停止を操作する第2の音声発生操作部6bと、この第2の音声発生操作部6bから発せられる信号に基づいてFM波を生成するFM波生成部9と、このFM波生成部9において生成されるFM波13を被誘導車両3に対して発信するFM波発信アンテナ10aと、からなる後付け設備5bを誘導指示側作業機2とは別体に備えてなるものである。
なお、被誘導車両3がFMラジオ11を備える点や、FM波発信アンテナ10aから発信されるFM波13の周波数に関する特定については先の実施例1やその変形例に係る
工事用車両誘導システム1A,1A’と同じである。
【0036】
このような実施例2に係る
工事用車両誘導システム1Bは、作業者が既存設備4である第1の音声発生操作部6aを操作すると、その動作に呼応して第1の音声発生操作部6aから音声発生部8に対して作動信号が発信され(
図3中の符号Dを参照)、この動作信号に基づいて音声発生部8から音声が出力される。また、この場合、作業者24(
図4を参照)による第1の音声発生操作部6aの操作に呼応して、音声発生部8から音声が出力される。
さらに、実施例2に係る
工事用車両誘導システム1Bでは、誘導指示側作業機2とは別体に設けられる後付け設備5bである第2の音声発生操作部6bを作業者24が操作すると、第2の音声発生操作部6bからFM波生成部9に対して作動信号が発信され(
図3中の符号Eを参照)、この作動信号に基づいてFM波生成部9においてFM波13が生成される。そして、このFM波13は、FM波発信アンテナ10aを介して被誘導車両3に対して発信される。
さらに、FM波発信アンテナ10aから発信されたFM波13は、被誘導車両3のFMラジオ11を構成するFM波受信アンテナ10bにおいて受信され、図示しない復調器において復調されて、図示しない音声発生部から音声として被誘導車両3の車内(運転席22)に出力される。
【0037】
このように、実施例2に係る
工事用車両誘導システム1Bでは、先の実施例1及び変形例に係る
工事用車両誘導システム1A,1A’に係る音声・FM波出力切替部7を備えない代わりに、第2の音声発生操作部6bを備えることで、後付け設備5bを誘導指示側作業機2の設備と別体に構成することができるとともに、誘導指示側作業機2から合図である音声を、音声として音声発生部8から出力させることができ、なおかつ、誘導指示側作業機2において被誘導車両3に対する合図をFM波13として発信させることもできる。
そして、このような実施例2に係る
工事用車両誘導システム1Bによれば、実施例1及び変形例に係る
工事用車両誘導システム1A,1A’と実質的に同じ効果を発揮させることができる。
つまり、誘導指示側作業機2に別体として備えられる第2の音声発生操作部6bを作業者24が操作することで、誘導指示側作業機2からFM波13が発信され、このFM波13を介して被誘導車両3の車内(運転席22)においてのみFMラジオ11から被誘導車両3の移動と停止のための合図となる音声を出力させることができる。
さらに、実施例2に係る
工事用車両誘導システム1Bによれば、後付け設備5bを誘導指示側作業機2から取り外して持ち運ぶことができるという独自の効果を有する。
この場合、既存の誘導指示側作業機2に必要に応じて、
図3に示す第2の音声発生操作部6bとFM波生成部9とFM波発信アンテナ10aからなる後付け設備5bを誘導指示側作業機2に一体化させることなく付加することで、所望の誘導指示側作業機2を一時的に実施例2に係る
工事用車両誘導システム1Bを備えた状態にすることができる。また、その後は必要に応じて、誘導指示側作業機2から、第2の音声発生操作部6bとFM波生成部9とFM波発信アンテナ10aからなる後付け設備5bを撤去することで、誘導指示側作業機2を実施例2に係る
工事用車両誘導システム1Bを備えない状態に戻すことができる。
従って、実施例2に係る
工事用車両誘導システム1Bによれば、誘導指示側作業機2に対して
工事用車両誘導システム1Bを着脱自在に設置できるので、極めて汎用性の高い
工事用車両誘導システムを提供できる。
【0038】
なお、実施例2に係る
工事用車両誘導システム1Bは、上記構成に加えて、
図3に示すように第2の音声発生操作部6bとFM波生成部9とFM波発信アンテナ10aとからなる後付け設備5bを、既存設備4であるシガーソケット14に接続可能とし、後付け設備5bの作動に必要な電力をシガーソケット14を介して誘導指示側作業機2(例えば、路面切削機15等)から取得可能に構成してもよい。
この場合、
図3に示す後付け設備5bの作動に必要な電源装置を別途備える必要がなくなるので、
図3に示す後付け設備5bを一層コンパクトにできるというメリットがある。
なお、
図3に示す後付け設備5bの作動に必要な電力は、後付け設備5bに一体に備えられる電源装置から供給されてもよいし、後付け設備5bとは別体に設けられる設備(誘導指示側作業機2以外の設備でもよい)から供給可能に構成されてもよい。
【0039】
また、
図3に示すように、実施例2に係る
工事用車両誘導システム1Bも、先の実施例1及びその変形例に係る
工事用車両誘導システム1A,1A’と同様に、FM波生成部9において生成されるFM波13の周波数を所望に変更可能な周波数設定部12を備えていてもよい。
この場合、FM波生成部9により生成されるFM波13の周波数を、被誘導車両3のFMラジオ11で受信可能な周波数が既知であり、かつ、誘導指示側作業機2及び被誘導車両3が配される地域のラジオ放送に用いられる周波数とは重ならない周波数に確実に設定することができる。
【0040】
なお、実施例1及びその変形例、並びに、実施例2に係る
工事用車両誘導システム1A,1A’,1Bでは、FM波生成部9において生成されるFM波13の周波数を周波数設定部12により所望に変更可能にする場合を例に挙げて説明しているが、被誘導車両3のFMラジオ11で受信可能な周波数が明らかであり、かつ、誘導指示側作業機2及び被誘導車両3が配される地域のラジオ放送に用いられる周波数が全て明らかである場合は、被誘導車両3のFMラジオ11で受信可能でかつ放送波帯に重ならない周波数を有するFM波13を予め単数又は複数種類準備しておき、FM波生成部9においてFM波13を生成する際に、自動的にあるいは予め選択された所望の周波数のFM波13が生成されるよう構成しても良い。特に後者の場合は、周波数設定部12に替えて周波数切替部(図示せず)を設けておけばよい。
【0041】
最後に、実施例3に係る
工事用車両誘導方法について
図1乃至
図4を参照しながら説明する。
実施例3に係る
工事用車両誘導方法は、上述の実施例1及びその変形例、並びに、実施例2に係る
工事用車両誘導システム1A,1A’,1Bを方法の発明として捉えたものである。
実施例3に係る
工事用車両誘導方法は、誘導指示側作業機2から所望の被誘導車両3に対してその移動と停止を指示するための合図を伝えるための
工事用車両誘導方法であって、誘導指示側作業機2(
図1〜4を参照)から合図となる音声をFM波13(
図1〜3を参照)に変換して被誘導車両3に対して発信し、被誘導車両3のFMラジオ11(
図1〜3を参照)においてこのFM波13を受信し、このFM波13は、被誘導車両3のFMラジオ11で受信可能な周波数であり、かつ、誘導指示側作業機2及び被誘導車両3が配される地域のラジオ放送に用いられる周波数とは重ならない周波数であり、誘導指示側作業機2における音声を発生させる操作に呼応して被誘導車両3のFMラジオ11から合図としての音声を出力するというものである。
【0042】
このような実施例3に係る
工事用車両誘導方法による効果は、上述の実施例1及びその変形例、並びに、実施例2に係る
工事用車両誘導システム1A,1A’,1Bのそれぞれによる効果と実質的に同じである。
より具体的には、実施例3に係る
工事用車両誘導方法によれば、誘導指示側作業機2から被誘導車両3に対してだけ、被誘導車両3の移動と停止を指示するための合図となる音声を伝えることができる。
この場合、合図である音声を、誘導指示側作業機2からFM波13を介して被誘導車両3の車内(運転席22)にのみ伝えることができるので、合図としての音声が周囲の騒音になるのを確実に防止できる。
しかも、被誘導車両3の作業者は、被誘導車両3の窓を閉め切った状態でも確実に誘導指示側作業機2からの合図としての音声を聞き取ることができるので、被誘導車両3の車内からFMラジオ11の音(合図としての音声)が被誘導車両3の外に漏れて周囲に対する騒音になる心配がない。よって、実施例3に係る
工事用車両誘導方法によれば、誘導指示側作業機2から被誘導車両3に対してその移動と停止を指示する際の騒音の発生をより確実に防止することができる。
さらに、実施例3に係る
工事用車両誘導方法によれば、また、先の実施例1、その変形例及び実施例2に係る
工事用車両誘導システム1A,1A’,1Bにおいても、被誘導車両3のFMラジオ11から合図としての音声を聞く場合に、誘導指示側作業機2及び被誘導車両3が配される地域のラジオ放送音声と重なった状態で音声が出力されることがない。このため、被誘導車両3において作業者が合図を聞き間違えたり、聞き損なうという不具合が生じ難い。
この結果、被誘導車両3を運転する作業者(図示せず)が被誘導車両3を誤操作するリスクを低減することができるので、誘導指示側作業機2と被誘導車両3との協働作業を効率的かつスムーズに執り行うことができる。