特許第6226939号(P6226939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6226939超低解像度画像作成装置及び超低解像度画像作成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226939
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】超低解像度画像作成装置及び超低解像度画像作成方法
(51)【国際特許分類】
   B44D 3/00 20060101AFI20171030BHJP
   B44C 1/28 20060101ALI20171030BHJP
   B44D 2/00 20060101ALI20171030BHJP
   B44F 11/04 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   B44D3/00 A
   B44C1/28 A
   B44D2/00 A
   B44F11/04
【請求項の数】3
【全頁数】56
(21)【出願番号】特願2015-234008(P2015-234008)
(22)【出願日】2015年11月30日
(65)【公開番号】特開2017-100318(P2017-100318A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2017年6月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】305029612
【氏名又は名称】清水 麗軌
(74)【代理人】
【識別番号】100103023
【弁理士】
【氏名又は名称】萬田 正行
(72)【発明者】
【氏名】清水 麗軌
【審査官】 鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−100120(JP,A)
【文献】 特開2001−238067(JP,A)
【文献】 特開2000−307848(JP,A)
【文献】 特開平5−238200(JP,A)
【文献】 特開2010−179091(JP,A)
【文献】 特開2014−184707(JP,A)
【文献】 特開2010−099957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44D 3/00
B44C 1/28
B44D 2/00
B44F 11/04
A63H 33/00
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画面の各画素と同一寸法で同一外形形状を有すると共に、3種類以上の複数種類の階調を有する複数種類の基本ピースから一つの画素ユニットを構成し、
前記描画面の画素に、それぞれ、描画画像の輪郭や陰影に対応して所定の階調の基本ピースを配置して、描画面の画素を基本ピースで充填することで、所望の描画画像を作成すると共に、
前記画素ユニットを構成する複数種類の基本ピースのそれぞれの表面に幾何学模様を設け、この幾何学模様を、階調表現性と背景パターン形成性との2つの性質を実現する構成とし、
前記基本ピースの幾何学模様の階調表現性により、前記基本ピースの表面の幾何学模様が、基本ピースの種類に応じて、その基本ピースの表面で濃度を変更して異なる階調を表現し、
前記基本ピースの幾何学模様の背景パターン形成性により、前記描画面の各画素における基本ピースの配置方向を上下左右のいずれかに設定して調整することで、前記基本ピースの幾何学模様が、前記描画面で隣接配置された他の基本ピースの幾何学模様と合体して、前記基本ピースの幾何学模様とは異なる別の所定の幾何学模様からなる背景パターンを形成するようにしたことを特徴とする超低解像度画像作成装置。
【請求項2】
前記画素ユニットを構成する複数種類の基本ピースの幾何学模様は、前記階調表現性及び前記背景パターン形成性に加え、方向性を実現するよう構成されており、
前記方向性によって、前記描画面の各画素における基本ピースの配置方向を上下左右のいずれかに設定して調整することで、前記基本ピースの線状模様を構成する線のうち、少なくとも1本以上の線が、前記描画面で隣接配置された他の基本ピースの線状模様の1本以上の線と連結して、隣接する基本ピースにわたって特定方向に連続的に延びる模様状の連続線である連続模様線を形成し、この連続模様線によって、前記背景パターンの全部又は一部のパターンを構成することを特徴とする請求項1記載の超低解像度画像作成装置。
【請求項3】
請求項1の超低解像度画像作成装置の画素ユニットを使用して、描画面に所望の描画画像を作成する方法であって、
所定の描画面に対応するマトリックス状をなす原画作成用の描画面の画素に、それぞれ、前記基本ピースの種類と同一種類数の階調の色を配置して所定の描画画像を形成した原画を作成する原画作成工程と、
前記描画面に対応するマトリックス状をなす背景パターン作成用の描画面の画素に、それぞれ、前記基本ピースの幾何学模様を組み合わせて形成可能な所望の背景パターンを表現した背景パターン画を作成する背景パターン画作成工程と、
前記原画の画素ごとの階調を参照して、前記描画面の画素に、それぞれ、対応する階調の基本ピースを配置する基本ピース配置工程と、前記背景パターン画の画素ごとの背景パターンの要素を参照して、前記描画面の画素に配置した前記基本ピースを、それぞれ、対応する背景パターンの要素と同一の配置態様となるよう位置調整する基本ピース位置調整工程とを備えることを特徴とする超低解像度画像作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の媒体面上に所定のモチーフからなる絵画等の画像を超低解像度の画像として作成する超低解像度画像作成装置及び超低解像度画像作成方法に関し、特に、所定の面上に所定の小片状をなすピース(例えば、モザイクタイルのピースのような小片状の薄板部材)を組み合わせて密接状態で配置することで、所定のモチーフの画像を超低解像度の画像として作成する超低解像度画像作成装置及び超低解像度画像作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モザイク画又はモザイクアートと呼ばれる装飾美術の手法がある(単に、モザイクと呼ばれることもある)。このモザイク画は、描画したい模様や絵柄等の所定のモチーフの画像(以下、「描画画像」という。)に応じて、その描画画像を設けたい壁面等の所定の面(以下、「描画面」という。)の所定部位に、色彩の異なるピースを組み合わせて密接状態で配置することで、所望の描画画像を所望の描画面に描画している。例えば、モザイクタイルの場合、色彩の異なるピースを用意し、描画画像のモチーフの輪郭や色彩に合わせてピースを適宜組み合わせて密接状態で配置することで、そのモチーフの描画画像を壁面等の所望の描画面上に形成している。そして、このようなモザイク画を作成する発明として、例えば、特許文献1に記載の「モザイク画作成装置」なる発明が提案されている。
【0003】
特許文献1のモザイク画作成装置は、外枠と、外枠の間に垂設された複数本の縦中枠と、上記外枠または隣接する縦中枠に架設された複数の横軸と、これら各横軸に回転自在に装着された筒体と、から構成されている。また、筒体は、その外周面が少なくとも2色以上の色彩を有して形成されている。これにより、特許文献1のモザイク画作成装置は、色紙や接着剤等を特別に用意することなく、非常に手軽に所望のモザイク画を、幼児から大人まで、個人やグループで手軽に作成でき、完成したモザイク画を、従来のギャラリーや学校等、多くの人が待ち合わせる場所でも展示でき、さらに、複数場所で同じモザイク画を同時に作成させて競争させるゲームや、企業のコマーシャル媒体としても利用することができる、とされている([要約]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−96996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載の発明は、前記筒体として、例えば、四角筒体を使用し、この四角筒体の表裏面を異なる色彩で形成する一方で、この四角筒体を横軸に吊り下げて保持して、矩形状となる外枠の内側に所定行数で所定列数のマトリックス状となるよう四角筒体を縦横に配置している(段落[0010]及び図1参照)。そして、特許文献1の発明では、所望のモザイク画を作成する場合、その図柄に合わせて、所定部位の四角筒体を反転させて、その他の部位の四角筒体と異なる色彩とすることで、所望の図柄のモザイク画を容易に作成することができるとされている(段落[0014]及び図2、並びに、段落[0015]及び図4参照)。また、特許文献1の発明では、筒体として、各辺面を異なる彩色とした三角柱状筒体を使用することで、3色の画面を有するモザイク画を作成することができるようにしたり(段落[0017]及び図5参照)、各辺面を異なる彩色とした正四角形状筒体を使用することで、4色の画面のモザイク画を作成することができるようにしたり(段落[0018]及び図6参照)、外周面に沿って複数色の異なる色彩帯を連続形成した円筒体を使用することで、複雑で変化に富むグラデーションを表現したモザイク画を作成することができるようにしたりしている(段落[0019]及び図7参照)。
【0006】
しかし、特許文献1の発明による提供されるモザイク画は、いわゆる、ドット絵と呼ばれる絵画の手法と同様の手法により作成されることになる。即ち、従来のドット絵は、コンピュータグラフィックにおける画像表現技法の一つであり、コンピュータのディスプレイ上において、目視により視認可能な寸法の画素(ピクセル)を単位画素として使用して、描画画像のモチーフに応じて、それらの単位画素を所定の色で塗り潰すことで(即ち、描画画像の各部位の色を各単位画素に割り当てることで)、所望の描画画像を作成している。よって、従来のドット絵は、描画画像の輪郭部分や階調の異なる境界部分をあえて粗く表現することで(即ち、正方形状をなす画素の輪郭を看者の視覚によりあえて識別させるように表現することで)、高精細画像と対照的な低解像度表現による独特の画像的な面白さを演出しているともいえる。しかし、ドット絵では、各単位画素の色自体は単色であるため、同一のモチーフを描画する場合は、描画画像の各部位に使用する単位画素の色を変更すれば描画画像の印象をある程度変更することはできるが、背景を含めたモチーフ自体の印象は、どのドット絵でも同様の印象とならざるを得ない。したがって、特許文献1のモザイク画作成装置も、従来のドット絵と同様、同一のモチーフについては同様の描画画像しか描画することができないという制約がある。また、従来のドット絵の場合、各単位画素への色の割り当ては機械的に(即ち、ドット絵作成ソフトウエアのような低解像度画像作成の用の描画プログラムにより)行われるため、その解像度を過度に低減すると、描画画像においてモチーフを視覚により認識することが困難になる可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、描画面に同一モチーフ(人物や車等)の描画画像を作成する場合であっても、大きく異なる美的印象の描画画像を複数種類作成することができ、また、解像度を大幅に低減しても視覚によりモチーフを確実に認識可能なよう描画画像を作成することができる超低解像度画像作成装置及び超低解像度画像作成方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の超低解像度画像作成装置は、描画面の各画素と同一寸法で同一外形形状(典型的には、正方形状)を有すると共に、3種類以上の複数種類の階調を有する複数種類の基本ピースから一つの画素ユニットを構成し、前記描画面の画素に、それぞれ、描画画像の輪郭や陰影に対応して所定の階調の基本ピースを配置して、描画面の画素を基本ピースで充填することで、所望の描画画像を作成するようになっている。また、本発明の超低解像度画像作成装置は、画素ユニットを構成する複数種類の基本ピースのそれぞれの表面に幾何学模様を設けると共に、この幾何学模様を、階調表現性と背景パターン形成性との2つの性質を実現する構成としていることを特徴とする。ここで、基本ピースの幾何学模様の「階調表現性」とは、基本ピースの表面の幾何学模様が、基本ピースの種類に応じて、その基本ピースの表面で濃度を変更して異なる階調を表現していることをいう。また、基本ピースの幾何学模様の「背景パターン形成性」とは、描画面の各画素における基本ピースの配置方向を上下左右のいずれかに設定して調整することで、基本ピースの幾何学模様が、描画面で隣接配置された他の基本ピースの幾何学模様と合体して、基本ピースの幾何学模様とは異なる別の所定の幾何学模様からなる背景パターンを形成することをいう。
【0009】
本発明に係る超低解像度画像作成方法は、上記超低解像度画像作成装置の画素ユニットを使用して、描画面に所望の描画画像を作成する方法である。本発明に係る超低解像度画像作成方法は、所定の描画面に対応するマトリックス状をなす原画作成用の描画面の画素に、それぞれ、前記基本ピースの種類と同一種類数の階調の色を配置して所定の描画画像を形成した原画を作成する原画作成工程と、前記描画面に対応するマトリックス状をなす背景パターン作成用の描画面の画素に、それぞれ、前記基本ピースの幾何学模様を組み合わせて形成可能な所望の背景パターンを表現した背景パターン画を作成する背景パターン画作成工程と、前記原画の画素ごとの階調を参照して、前記描画面の画素に、それぞれ、対応する階調の基本ピースを配置する基本ピース配置工程と、前記背景パターン画の画素ごとの背景パターンの要素を参照して、前記描画面の画素に配置した前記基本ピースを、それぞれ、対応する背景パターンの要素と同一の配置態様となるよう位置調整する(典型的には、基本ピースをその平面内で回転して位置調整する)基本ピース位置調整工程とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る超低解像度画像作成装置は、描画面に同一モチーフ(人物や車等)の描画画像を作成する場合であっても、大きく異なる美的印象の描画画像を複数種類作成することができ、また、解像度を大幅に低減しても視覚によりモチーフを確実に認識可能なよう描画画像を作成することができる。
【0011】
本発明に係る超低解像度画像作成方法は、描画面に同一モチーフ(人物や車等)の描画画像を作成する場合であっても、大きく異なる美的印象の描画画像を複数種類作成することができ、また、解像度を大幅に低減しても視覚によりモチーフを確実に認識可能なよう描画画像を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明の実施の形態1に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピース(4階調版)を示す平面図である。
図2図2は本発明の実施の形態1に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピースの線状模様を単純円弧とした場合の問題点を示す説明図である。
図3図3は本発明の実施の形態1に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピースの線状模様の作成方法を示す説明図である。
図4図4は本発明の実施の形態1に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピース(第4ピース)の作成方法を示す説明図である。
図5図5は本発明の実施の形態1に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピース(第3ピース)の作成方法を示す説明図である。
図6図6は本発明の実施の形態1に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピース(第2ピース)の作成方法を示す説明図である。
図7図7は本発明の実施の形態1に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピース(第1ピース)の作成方法を示す説明図である。
図8図8は本発明の実施の形態2に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピース(4階調版)を示す平面図である。
図9図9は本発明の実施の形態2に係る超低解像度画像作成装置で作成する超低解像度画像の原画の作成例を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図10図10は本発明の実施の形態2に係る超低解像度画像作成装置で作成された絵画作成例(第1背景パターン)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図11図11は本発明の実施の形態2に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する第1背景パターンの小ブロックパターン(16片)を示す平面図である。
図12図12は本発明の実施の形態2に係る超低解像度画像作成装置で作成された絵画作成例(第2背景パターン)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図13図13は本発明の実施の形態2に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する第2背景パターンの小ブロックパターンを示す平面図であって、(a)は16片からなる小ブロックパターンを、(b)は4片からなる小ブロックパターンを示す。
図14図14は本発明の実施の形態2に係る超低解像度画像作成装置で作成された絵画作成例(第3背景パターン)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図15図15は本発明の実施の形態2に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する第3背景パターンの小ブロックパターン(16片)を示す平面図である。
図16図16は本発明の実施の形態3に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピース(4階調版)を示す平面図である。
図17図17は本発明の実施の形態3に係る超低解像度画像作成装置で作成された絵画作成例(第1背景パターン)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図18図18は本発明の実施の形態3に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する第1背景パターンの小ブロックパターン(16片)を示す平面図である。
図19図19は本発明の実施の形態3に係る超低解像度画像作成装置で作成された絵画作成例(第2背景パターン)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図20図20は本発明の実施の形態3に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する第2背景パターンの小ブロックパターン(16片)を示す平面図であり、(a)は連続パターンとなる小ブロックパターンを、(b)は断続パターンとなる小ブロックパターンを示す。
図21図21は本発明の実施の形態3に係る超低解像度画像作成装置で作成された絵画作成例(第3背景パターン)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図22図22は本発明の実施の形態3に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する第3背景パターンの小ブロックパターン(16片)を示す平面図である。
図23図23は本発明の実施の形態4に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピース(4階調版)を示す平面図である。
図24図24は本発明の実施の形態4に係る超低解像度画像作成装置で作成された絵画作成例(第1背景パターン)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図25図25は本発明の実施の形態4に係る超低解像度画像作成装置で作成された絵画作成例(第2背景パターン)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図26図26は本発明の実施の形態5に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピース(4階調版)を示す平面図である。
図27図27は本発明の実施の形態5に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピースの作成方法を示す説明図であり、(a)及び(b)は第1の基本ピースの作成方法を、(c)及び(d)は第2の基本ピースの作成方法を示す。
図28図28は本発明の実施の形態5に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピースの作成方法を示す説明図であり、(a)及び(b)は第3の基本ピースの作成方法を、(c)及び(d)は第4の基本ピースの作成方法を示す。
図29図29は本発明の実施の形態5に係る超低解像度画像作成装置で作成された絵画作成例(第1背景パターン)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図30図30は本発明の実施の形態5に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する第1背景パターンの小ブロックパターン1(16片)を示す平面図である。
図31図31は本発明の実施の形態5に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する第1背景パターンの小ブロックパターン2(16片)を示す平面図である。
図32図32は本発明の実施の形態5に係る超低解像度画像作成装置で作成する超低解像度画像の原画の作成例を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図33図33は本発明の実施の形態5に係る超低解像度画像作成装置で作成された絵画作成例(第1背景パターン)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図34図34は本発明の実施の形態5に係る超低解像度画像作成装置で作成された絵画作成例(第2背景パターン)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図35図35は本発明の実施の形態5に係る超低解像度画像作成装置で作成された絵画作成例(第3背景パターン)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図36図36は本発明の実施の形態3及び5に係る超低解像度絵画作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピースを組合せて作成された絵画作成例(曲線と直線の組合せの背景パターン)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図37図37は本発明の実施の形態3及び5に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピースを組合せて作成された曲線と直線の組合せのブロックパターン(16片)を示す平面図である。
図38図38は本発明の実施の形態6に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピース(4階調版)を示す平面図である。
図39図39は本発明の実施の形態6に係る超低解像度画像作成装置で作成された絵画作成例(横ストライプ背景パターン)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図40図40は本発明の実施の形態6に係る超低解像度画像作成装置で作成された別の絵画作成例(横ストライプ背景パターン)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図41図41は本発明の実施の形態6に係る超低解像度画像作成装置で作成された絵画作成例(縦ストライプ背景パターン)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図42図42は本発明の実施の形態7に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピース(4階調版)を示す平面図である。
図43図43は本発明の実施の形態7に係る超低解像度画像作成装置で作成された絵画作成例(横ストライプ背景パターン)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図44図44は本発明の実施の形態に係る超低解像度画像作成装置で作成する超解像度画像の原画の作成例を示す平面図であって、(a)は3階調で作成した原画を示し、(b)は4階調で作成した原画を示し、(c)は5階調で作成した原画を示す。
図45図45は本発明の実施の形態8に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピース(3階調版)を、実施の形態5に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピース(4階調版)と対比して示す平面図である。
図46図46は本発明の実施の形態8に係る超低解像度画像作成装置で作成された絵画作成例(斜めストライプ背景パターン)を、実施の形態5に係る超低解像度画像作成装置で作成された絵画作成例(斜めストライプ背景パターン)と対比して示す平面図であり、(a)は実施の形態8(3階調版)で作成された絵画作成例を示し、(b)は実施の形態5(4階調版)で作成された絵画作成例を示す。
図47図47は本発明の実施の形態2に係る超低解像度画像作成装置で作成された絵画作成例(背景色を付与した第1の背景パターン)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図48図48は本発明の実施の形態2に係る超低解像度画像作成装置で作成された絵画作成例(背景色を付与した第2の背景パターン)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図49図49は本発明の実施の形態9に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピース(大径円表現用の4階調版のタイルパターン1)を示す平面図である。
図50図50は本発明の実施の形態9に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピース(大径円表現用の4階調版のタイルパターン2)を示す平面図である
図51図51は本発明の実施の形態9に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピース(大径円表現用の5階調版のタイルパターン3)を示す平面図である
図52図52は本発明の実施の形態9に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピース(小径円表現用の4階調版のタイルパターン4)を示す平面図である
図53図53は本発明の実施の形態9に係る超低解像度画像作成装置で使用する単位画素を構成する基本ピース(小径円表現用の5階調版のタイルパターン5)を示す平面図である
図54図54は本発明の実施の形態9に係る超低解像度画像作成装置で使用する絵画作成用の描画面となる原紙(描画用シート)を示す平面図である。
図55図55は本発明の実施の形態9に係る超低解像度画像作成装置で使用する絵画作成用の背景パターン作成用の背景パターンシートを示す平面図である。
図56図56は本発明の実施の形態9に係る超低解像度画像作成装置で作成される絵画作成例の作成方法(背景パターンシートに第1の階調表現用の基本ピースを配置して第1の画素配置シートを作成する第1の画素配置工程)を示す説明図である。
図57図57は本発明の実施の形態9に係る超低解像度画像作成装置で作成される絵画作成例の作成方法(背景パターンシートに第2の階調表現用の基本ピースを配置して第2の画素配置シートを作成する第2の画素配置工程)を示す説明図である。
図58図58は本発明の実施の形態9に係る超低解像度画像作成装置で作成される絵画作成例の作成方法(背景パターンシートに第3の階調表現用の基本ピースを配置して第3の画素配置シートを作成する第3の画素配置工程)を示す説明図である。
図59図59は本発明の実施の形態9に係る超低解像度画像作成装置で作成される絵画作成例の作成方法(第1〜第3の画素配置シートを重ね合わせて完成版の絵画を作成する画素重合工程)を示し、(a)は作成後の超低解像度画像を示す平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図60図60は本発明の実施の形態1に係る超低解像度画像作成装置による超低解像度画像作成方法で使用する貼付作業用シートを示す説明図である。
図61図61は本発明の実施の形態10に係る超低解像度画像作成装置で作成する超低解像度画像の原画の作成例(動画の1フレームとなる原画の作成例)を、所定の描画モチーフの高解像度画像に基づいて手作業により超低解像度の原画を作成した場合((a)及び(b))と、所定の描画モチーフの高解像度画像に基づいて所定の画像処理プログラムにより自動的に超低解像度の原画を作成した場合((c)及び(d))とを対比して示し、(b)は(a)の縮小図を示し、(d)は(c)の縮小図を示す。
図62図62は本発明の実施の形態10に係る超低解像度画像作成装置で作成された超低解像度画像の作成例(動画フレームの1フレームとなる超低解像度画像を実施の形態5に係る超低解像度画像作成装置の画素ユニットを使用して作成した作成例)を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)の縮小図である。
図63図63は本発明の実施の形態10に係る超低解像度画像作成装置で動画を作成する場合の動画作成例(動画の一連のフレームの作成例)を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)を添付図面の図1図63を参照して説明する。なお、各実施の形態を通じ、同一の部材、要素または部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0014】
[第1の観点の発明]
以下、本発明のうち、第1の観点の発明に係る超低解像画像作成装置及び低解像度絵画作成方法について説明する。第1の観点の発明に係る超低解像画像作成装置は、タイル等の建材(特に、外装材や内装材等の意匠的要素が要求される建材)、ジグソーパズル等の玩具等、有体物としての物品を通じて所望の描画画像を形成する超低解像画像作成装置及び低解像度絵画作成方法に具体化される。

第1の観点の発明に係る超低解像画像作成装置は、3種類以上となる所定の複数種類の基本ピースからなる画素ユニットを備えている。
【0015】
[描画面及び描画画像]
まず、本発明の超低解像度画像作成装置により超低解像度画像を作成する面としての描画面は、所定行数で所定列数(例えば、20行20列)のマトリックス状(典型的には、正方格子状)となるように所定外形形状(典型的には、正方形状)の画素(ピクセル)により区画されている。そして、本発明の超低解像度画像作成装置は、前記描画面の各画素と同一寸法で同一外形形状(典型的には、正方形状)を有すると共に、3種類以上の複数種類の階調を有する複数種類の基本ピースから一つの画素ユニットを構成し、前記描画面の画素に、それぞれ、描画画像の輪郭や陰影に対応して所定の階調の基本ピースを配置して、描画面の画素を基本ピースで充填することで、所望の描画画像を作成するようになっている。即ち、この描画画像は、描画面の画素単位で異なる階調の基本ピースにより表現されて、画素単位の基本ピースの階調が看者によって視覚により認識(即ち、視認)される、従来のドット絵のような低解像度画像よりも更に低解像度となる画像(即ち、「超低解像度画像」)となる。
【0016】
[画素ユニットによるモチーフ描画と背景パターン作成の両立]
本発明の超低解像度画像作成装置は、画素ユニットを構成する前記基本ピース(少なくとも、最低濃度となる階調の基本ピースを除く全ての種類の基本ピース)のそれぞれの表面に所定の幾何学模様を設けると共に、この幾何学模様を、後述するように、「階調表現性」と「背景パターン形成性」との全く性質の異なる2つの性質を実現する(即ち、両立する)構成としており、この点を最大の特徴としている。ここで、基本ピースの幾何学模様の「階調表現性」とは、後段で詳細に説明するが、基本的には、基本ピースの表面の幾何学模様が、基本ピースの種類に応じて、その基本ピースの表面で濃度を変更して異なる階調を表現していることをいう。この幾何学模様の階調表現性により、描画面に所望の描画画像を描画するときに、描画画像の輪郭や陰影等に応じて、最適な階調の基本ピースを対応する画素に配置することで、所望の描画画像を表現できるようになっている。また、基本ピースの幾何学模様の「背景パターン形成性」とは、後段で詳細に説明するが、基本的には、描画面を基本ピースで充填するときに、意図的に、描画面の各画素における基本ピースの配置方向を上下左右のいずれかに設定して調整することで、基本ピースの幾何学模様が、描画面で隣接配置された他の基本ピースの幾何学模様と合体して、基本ピースの幾何学模様とは異なる別の所定の幾何学模様からなる背景パターンを形成することをいう。
【0017】
これにより、本発明の超低解像度画像作成装置により作成された超低解像度画像は、画素ユニットの基本ピースが有する幾何学模様の階調表現性によって、描画モチーフの描画画像(以下、「描画モチーフ画像」という。)を超低解像度で表現することに加え、画素ユニットの基本ピースが有する幾何学模様の背景パターン形成性によって、描画モチーフ画像の周囲に、背景となる所定パターンの画像(以下、「背景パターン画像」という。)を表現するようになっている。また、このとき、画素ユニットの基本ピースが有する背景パターン形成性によって、背景パターン画像は、描画モチーフ画像の周囲所定のみならず、描画モチーフ画像自体にも表現されるようになっている。
【0018】
[描画面への直接的描画の困難性]
上記のとおり、本発明の超低解像度画像作成装置は、超低解像度画像を作成するにあたり、基本ピースの階調表現性によって、描画モチーフ画像を表現することに加え、基本ピースの背景パターン形成性によって、描画モチーフ画像の周囲及び描画モチーフ画像自体に背景パターン画像を表現するため、従来のドット絵のように、描画面の画素に直接的に基本ピースを配置することが困難である。即ち、従来のドット絵のように、単に、描画面の画素ごとに所定の階調を表現するだけであれば、描画面の画素にそれぞれ対応する階調の基本ピースを配置すればよいが、描画面に所望の背景パターン画像を作成するには、描画面の全面にわたってどの種類の基本ピースをどの配置態様で配置すればその背景パターン画像が得られるかを明確に認識する必要がある。しかし、描画面に配置される基本ピースの個数は超低解像度画像の場合であっても数百個以上となり(例えば、20行20列のマトリックス状の場合でも400個となり)、このように多数となる基本ピースの配置態様を描画面の画素ごとにイメージすることは非常に困難である。更に、基本ピースの幾何学模様が階調表現性と背景パターン形成性の2つの性質を備えていることから、描画面の画素に対して直接的に、上記多数の基本ピースを、それぞれ、その階調に加えて(背景パターン形成のための)配置態様まで考慮して適切に配置していくことは、熟練者であっても非常に困難である。
【0019】
[超低解像度画像作成方法の考案]
したがって、本発明者は、超低解像度画像作成装置により描画面に直接的に基本ピースを配置して所定の描画画像を描画面に直接的に作成する代わりに、まず、描画面に対応するマトリックス状をなす原画作成用の描画面(例えば、かかるマトリックス状のシート)に対して、描画画像を階調の変化のみによって超低解像度で表現した原画を作成し、また、描画面に対応するマトリックス状をなす背景パターン作成用の描画面(例えば、かかるマトリックス状のシート)に対して、前記基本ピースの幾何学模様を組み合わせて形成可能な所望の背景パターンを表現した背景パターン画を作成して、これらの原画及び背景パターン画を使用して、画素ユニットの基本ピースにより超低解像度画像を作成する方法に係る発明をも考案した。
【0020】
[超低解像度画像作成方法]
即ち、この発明に係る超低解像度画像作成方法は、所定の描画面に対応するマトリックス状をなす原画作成用の描画面の画素に、それぞれ、前記基本ピースの種類と同一種類数の階調の色を配置して所定の描画画像を形成した原画を作成する原画作成工程と、前記描画面に対応するマトリックス状をなす背景パターン作成用の描画面の画素に、それぞれ、前記基本ピースの幾何学模様を組み合わせて形成可能な所望の背景パターンを表現した背景パターン画を作成する背景パターン画作成工程と、前記原画の画素ごとの階調を参照して、前記描画面の画素に、それぞれ、対応する階調の基本ピースを配置する基本ピース配置工程と、前記背景パターン画の画素ごとの背景パターンの要素を参照して、前記描画面の画素に配置した前記基本ピースを、それぞれ、対応する背景パターンの要素と同一の配置態様となるよう位置調整する(典型的には、基本ピースをその平面内で回転して位置調整する)基本ピース位置調整工程とを備える。
【0021】
[超低解像度画像作成方法の別例](図55図60
なお、この超低解像度画像作成方法は、前記原画作成工程で、原画を描画面に直接的に描画して、前記基本ピース配置工程で、その描画面上の原画の画素ごとに、対応する階調の基本ピースを配置してもよい。この場合、原画を描画したシート状の部材(以下、「原画シート」という。)を描画面に貼付又は転写等して、描画面に原画を設けてもよい。また、この超低解像度画像作成方法では、前記背景パターン画は、所望の背景パターンとなるよう所定の基本ピースを画素ごとに配置して作成した絵画的画像とすることもできるが(図55の構成)、描画面の画素に、それぞれ、対応する基本ピースの種類と配置態様(例えば、上下左右のいずれの方向に回転して配置するか)を文字や数字や記号等により指示した説明文的画像とすることもできる(例えば、後述する図60の構成)。この場合、背景パターン画を描画したシート状の部材(以下、「背景パターン画シート」という。)を描画面に貼付又は転写等して、描画面に背景パターン画を設けてもよい。
【0022】
[階調表現性及び背景パターン形成性の両立のための幾何学模様]
本発明の超低解像度画像作成装置の画素ユニットは、前記階調表現性及び背景パターン形成性を両立するための基本ピースの幾何学模様の典型的な構成として、例えば、以下の幾何学模様の構成を採用している。
(1) 図1図8図16図23図26図38図42図45に示すような線状の幾何学模様(以下、「線状模様」という。)。
(2) 図49図53に示すようなドット状の幾何学模様(以下、「ドット状模様」という。)。
【0023】
[線状模様の実施の形態]
本発明の超低解像度絵画作成装置は、まず、画素ユニットの基本ピースの幾何学模様のうち、線状模様により幾何学模様を構成した実施の形態として、実施の形態1〜実施の形態8のように構成することができる。即ち、本発明の超低解像画像作成装置は、典型的には、実施の形態1(図1図7)に示す画素ユニット10、実施の形態2(図8図15)に示す画素ユニット20、実施の形態3(図16図22)に示す画素ユニット30、実施の形態4(図23図25)に示す画素ユニット40、実施の形態5(図26図37)に示す画素ユニット50、実施の形態6(図38図41)に示す画素ユニット60、実施の形態7(図42図43)に示す画素ユニット70、実施の形態8(図45図46)に示す画素ユニット80のいずれかを備えている。
【0024】
[ドット状模様の実施の形態]
また、本発明の超低解像度絵画作成装置は、画素ユニットの基本ピースの幾何学模様のうち、ドット状模様により幾何学模様を構成した実施の形態として、実施の形態10のように構成することができる。即ち、本発明の超低解像画像作成装置は、典型的には、実施の形態9(図49図59)に示す画素ユニット100,110,120,130,140を備えている。
【0025】
[幾何学模様の背景パターン形成性における背景パターンの方向性]
ここで、本発明の超低解像度画像作成装置のうち、基本ピースの幾何学模様を前記線状模様として画素ユニットを構成した場合は、画素ユニットを構成する複数種類の基本ピースの幾何学模様は、上記のように、「階調表現性」と「背景パターン形成性」との全く性質の異なる2つの性質を実現する(即ち、両立する)ことに加え、「方向性」という更に別の性質であって前記背景パターン形成性と関連する性質を備えており、この点を別の特徴としている。ここで、基本ピースの幾何学模様の「方向性」とは、後段で詳細に説明するが、基本的には、描画面を基本ピースで充填するときに、意図的に、描画面の各画素における基本ピースの配置方向を上下左右のいずれかに設定して調整することで、基本ピースの線状模様を構成する線のうち、少なくとも1本以上の線が、描画面で隣接配置された他の基本ピースの線状模様の1本以上の線と連結して、隣接する基本ピースにわたって特定方向に連続的に延びる模様状の連続線(以下、「連続模様線」という。)を形成し、この連続模様線によって、前記背景パターンの全部又は一部のパターンを構成することをいう。
【0026】
[本発明の基本ピースの構成]
以下、上記のような本発明の特徴の前提となる基本ピースの構成や、この特徴を実現するための基本ピースの構成等について説明する。
【0027】
[基本ピースの輪郭]
本発明において、前記複数種類の基本ピースは、平面充填可能な多角形の外形形状(輪郭)を有する平板状又はブロック状に形成されている。なお、「平面充填」とは、所定の平面内を有限種類の平面図形で隙間なく敷き詰めることをいい、平面敷き詰め、タイリング、テセレーションとも呼ばれている。なお、平面充填としては、例えば、外壁材のタイルを壁面に密に敷き詰める場合がある。また、全ての種類の基本ピースは、同一寸法で同一外形形状とされている。即ち、基本ピースの輪郭は、同一輪郭の1種類のみとされている。基本ピースの輪郭は、同一寸法の正方形とすることが好ましく、こうすれば、基本ピースの輪郭は1種類のみとして、所定の描画面に基本ピースを正平面充填することができる。なお、正平面充填とは、平面充填において充填後の平面の外形が正方形となる場合をいう。本発明の実施の形態では、全ての実施の形態において、基本ピースは同一寸法の正方形の同一輪郭を有している(図1図8図16図23図26図38図42図45図49図53参照)。
【0028】
[基本ピースの輪郭の別例]
上記のとおり、本発明において、基本ピースの外形形状は、典型的には正方形とすることが好ましいが、1種類の外形形状のみで平面充填できる正多角形としては、正方形以外にも、正三角形、正六角形があり、基本ピースの表面に、所定の階調のみならず所定の幾何学的方向性を有する模様を形成し、基本ピースを(正三角形の場合の)3方向又は(正六角形の場合の)6方向に回転して配置することにより、描画画像において所望の背景パターンを描画形成すると共に所望のモチーフを描画形成する構成とすることができる限りにおいて、これらの正多角形を使用することも可能である。
【0029】
また、上記正多角形を使用する場合、平面充填は正平面充填となり、平面充填後の平面は、(上下左右の端面を無視すれば)正方形の外形形状となる。一方、(ひし形等を含む)平行四辺形や、任意の三角形を使用した平面充填も可能であるため、基本ピースの表面に、所定の階調のみならず所定の幾何学的方向性を有する模様を形成し、基本ピースを(三角形の場合の)3方向又は(平行四辺形の場合の)4方向に回転して配置することにより、描画画像において所望の背景パターンを描画形成すると共に所望のモチーフを描画形成する構成とすることができる限りにおいて、上記のような平行四辺形や三角形を使用することも可能である。
【0030】
[基本ピースの厚み]
本発明では、画素ユニットを構成する基本ピースは、建材としてのタイルや玩具としてのパズルピース等の物品に具体化される場合、それぞれ、所定板厚の平板状とすることができるが、板厚を大きくしてブロック状とすることもできる。
【0031】
[基本ピースの幾何学模様による階調表現性]
一方、本発明において、基本ピースの表面には、それぞれ、所定の幾何学模様が形成されており、これにより、基本ピースの表面は前記幾何学模様による所定の模様面を構成している。なお、本発明において「模様」とは、文様や紋様等も含む意味で使用している。基本ピースは、模様面の幾何学模様により、3種類以上の所定の複数種類となる異なる階調を表現している。即ち、本発明では、画素ユニットは、基本ピースとして、異なる階調の3種類以上の基本ピースを備え、少なくとも、(白黒2値でモノクロ画像を表現する場合の黒色に対応する階調となる)最高濃度の階調を表現するための幾何学模様を有する基本ピースと、(白黒2値でモノクロ画像を表現する場合の白色に対応する階調となる)最低濃度の階調を表現するための幾何学模様を有する(或いは、全く幾何学模様を形成せずに模様面の全面を白色とした)基本ピースと、(グレースケールにより画像を表現する場合のグレーに対応する階調となる)前記最高濃度と最低濃度との間の中間濃度の階調を表現するための幾何学模様を有する基本ピースとを備えている。即ち、画素ユニットは、階調の濃度順に並べて説明すると、前記最高濃度の階調を表現する第1の幾何学模様を有する第1の基本ピースと、前記中間濃度の階調を表現する第2の幾何学模様を有する第2の基本ピースと、前記最低濃度の階調を表現する第3の幾何学模様を有する第3の基本ピースとから構成することができる。なお、このような3階調の基本ピースを有する画素ユニットの例として、線状模様の場合、実施の形態8(図45(a))の第1〜第3の基本ピース81〜83を有する画素ユニット80がある。
【0032】
[最高濃度の表現の別例(例:単純横線のステンシルパターン、タイルパターン)]
なお、従来の2値表現のように、前記最高濃度の階調は、基本ピースの模様面の全面を黒色等の濃色で塗りつぶすことにより表現することもできる。この場合、最高濃度の階調の基本ピースの模様面は、厳密な意味での幾何学模様を有していないともいえるが、本発明では、最高濃度の階調の基本ピースは、他の階調の基本ピースと組み合わせて描画面に充填配置されるため、他の階調の基本ピースとの関係で(特に、中間濃度の階調の基本ピースとの関係で)、最高濃度の階調の基本ピースの模様面も一種の幾何学模様として認識されることになり、この意味で、最高濃度の階調の基本ピースの模様面にも幾何学模様が形成されているということができる。なお、このような最高濃度の階調を有する基本ピースの例として、線状模様の場合、実施の形態6(図38)の第1の基本ピース61、及び、実施の形態7(図42)の第1の基本ピース71がある。
【0033】
[最低濃度の表現の別例(例:単純横線のステンシルパターン、タイルパターン)]
また、従来の2値表現のように、前記最低濃度の階調は、基本ピースの模様面の全面を白色とすることにより(即ち、模様を)表現することもできる。この場合、最低濃度の階調の基本ピースの模様面は、厳密な意味での幾何学模様を有していないともいえるが、本発明では、最低濃度の階調の基本ピースは、他の階調の基本ピースと組み合わせて描画面に充填配置されるため、他の階調の基本ピースとの関係で(特に、中間濃度の階調の基本ピースとの関係で)、最低濃度の階調の基本ピースの模様面も一種の幾何学模様として認識されることになり、この意味で、最低濃度の階調の基本ピースの模様面にも幾何学模様が形成されているということができる。なお、このような最低濃度の階調を有する基本ピースの例として、線状模様の場合は、実施の形態6(図38)の第4の基本ピース64、及び、実施の形態7(図42)の第4の基本ピース74があり、ドット状模様の場合は、実施の形態9の第4の基本ピース(図49(f))、第4の基本ピース(図50(d))、第4の基本ピース(図51(e))、第4の基本ピース(図52(d)及び図52(k))、第5の基本ピース(図53(g))がある。
【0034】
[基本ピースの種類数(階調数)の範囲]
本発明では、画素ユニットは、3階調〜5階調の範囲の複数の階調を表現するため、これらの異なる階調を表現するための幾何学模様を模様面にそれぞれ形成した3〜5種類の範囲の所定の複数種類の基本ピースから構成することが好ましい。基本ピースの幾何学模様による階調数が2階調の場合、白黒2値のモノクロ画像となり、描画面に所望のモチーフを超低解像度画像として表現することが困難になる。一方、基本ピースの幾何学模様による階調数を6階調以上としても、階調数を3〜5階調の範囲とした場合に比べ、描画面に所望のモチーフを超低解像度画像として表現する場合の描画画像の表現力には殆ど差異が認められず、階調数を増加するために基本ピースの幾何学模様の種類を増加することによる構成の複雑化を考慮すると、特に諧調数を6階調以上とする大きな利点はない。ただし、階調数を増加するために基本ピースの幾何学模様の種類を増加することによる構成の複雑化を無視すれば、階調数を6階調以上とすることも可能であるが、本発明により(従来の低解像度画像であるドット絵よりも更に解像度の低い)超低解像度画像を作成するためには、16階調以下の階調数とすることが好ましく、基本ピースの種類も16種類以下とすることが好ましい。
【0035】
[最も好ましい基本ピースの種類数(階調数)としての4階調]
基本ピースの幾何学模様の種類を増加することによる構成の複雑化を招くことなく、所定モチーフの超低解像度画像を豊富な表現力で表現することができる階調数としては、本発明者の鋭意の研究及び度重なる確認試験による試行錯誤の結果、4階調とすることが最も好ましいことが確認されている。即ち、典型的には、基本ピースの模様面の幾何学模様により4種類の異なる階調を表現するため、画素ユニットは、基本ピースとして、異なる階調の4種類の基本ピースを備えるよう構成することが最も好ましい。この場合、画素ユニットは、前記最高濃度の階調を表現する幾何学模様を有する基本ピースと、前記最低濃度の階調を表現する幾何学模様を有する基本ピースと、前記最高濃度と最低濃度との間の濃度を2段階の濃度とした場合の高濃度側となる濃度(以下、「高濃度側中間濃度」という。)の階調を表現するための幾何学模様を有する基本ピースと、前記最高濃度と最低濃度との間の濃度を2段階の濃度とした場合の低濃度側となる濃度(以下、「低濃度側中間濃度」という。)の階調を表現するための幾何学模様を有する基本ピースとから構成される。即ち、この場合、画素ユニットは、階調の濃度順に並べて説明すると、前記最高濃度の階調を表現する第1の幾何学模様を有する第1の基本ピースと、前記高濃度側中間濃度の階調を表現する第2の幾何学模様を有する第2の基本ピースと、前記低濃度側中間濃度の階調を表現する第3の幾何学模様を有する第3の基本ピースと、前記最低濃度の階調を表現する第4の幾何学模様を有する第4の基本ピースとから構成することができる。このような4階調の基本ピースを有する画素ユニットの例として、線状模様の場合、実施の形態1(図1)の第1〜第4の基本ピース11〜14を有する画素ユニット10、実施の形態2(図8)の第1〜第4の基本ピース21〜24を有する画素ユニット20、実施の形態3(図16)の第1〜第4の基本ピース31〜34を有する画素ユニット30、実施の形態4(図23)の第1〜第4の基本ピース41〜44を有する画素ユニット40、実施の形態5(図26)の第1〜第4の基本ピース51〜54を有する画素ユニット50、実施の形態6(図38)の第1〜第4の基本ピース61〜64を有する画素ユニット60、実施の形態7(図42)の第1〜第4の基本ピース71〜74を有する画素ユニット70がある。
【0036】
[好ましい基本ピースの種類数(階調数)としての5階調]
上記の4階調に比較して基本ピースの幾何学模様の種類を増加することによる構成の複雑化を若干招くことになるが、所定モチーフの超低解像度画像を豊富な表現力で表現することができる階調数として、本発明者の鋭意の研究及び度重なる確認試験による試行錯誤の結果、5階調とすることも好ましいことが確認されている。即ち、この場合、基本ピースの模様面の幾何学模様により5種類の異なる階調を表現するため、画素ユニットは、基本ピースとして、異なる階調の5種類の基本ピースを備えるよう構成することも好ましい。この場合、画素ユニットは、前記最高濃度の階調を表現する幾何学模様を有する基本ピースと、前記最低濃度の階調を表現する幾何学模様を有する基本ピースと、前記最高濃度と最低濃度との間の濃度を3段階の濃度とした場合の高濃度側となる濃度(以下、「高濃度側中間濃度」という。)の階調を表現するための幾何学模様を有する基本ピースと、前記最高濃度と最低濃度との間の濃度を3段階の濃度とした場合の高濃度側となる濃度(以下、「高濃度側中間濃度」という。)の階調を表現するための幾何学模様を有する基本ピースと、前記最高濃度と最低濃度との間の濃度を3段階の濃度とした場合の中間濃度となる濃度(以下、「純粋中間濃度」という。)の階調を表現するための幾何学模様を有する基本ピースと、前記最高濃度と最低濃度との間の濃度を3段階の濃度とした場合の低濃度側となる濃度(以下、「低濃度側中間濃度」という。)の階調を表現するための幾何学模様を有する基本ピースとから構成される。即ち、この場合、画素ユニットは、階調の濃度順に並べて説明すると、前記最高濃度の階調を表現する第1の幾何学模様を有する第1の基本ピースと、前記高濃度側中間濃度の階調を表現する第2の幾何学模様を有する第2の基本ピースと、前記純粋中間濃度の階調を表現する第3の幾何学模様を有する第3の基本ピースと、前記低濃度側中間濃度の階調を表現する第4の幾何学模様を有する第4の基本ピースと、前記最低濃度の階調を表現する第5の幾何学模様を有する第5の基本ピースとから構成することができる。なお、このような5階調の基本ピースを有する画素ユニットの例として、ドット状模様の場合、実施の形態9(図51)の実施の形態9(図53)の第1〜第5の基本ピース121,111〜114を有する画素ユニット110、実施の形態9(図53)の第1〜第5の基本ピース131A,131B,141A,141B,132A,132B,133A,133B,134A,134Bを有する画素ユニット140を有する画素ユニット110がある。
【0037】
[基本ピースの種類数(階調数)としてのn階調]
上記4階調や5階調の場合と同様、階調数として、任意の階調数としてn階調(例えば、n=6の6階調等、6階調以上の階調数)とする場合も、基本ピースの模様面の幾何学模様によりn種類の異なる階調を表現するため、画素ユニットは、基本ピースとして、異なる階調のn種類の基本ピースを備えるよう構成することもできる。この場合、画素ユニットは、前記最高濃度の階調を表現する幾何学模様を有する基本ピースと、前記最低濃度の階調を表現する幾何学模様を有する基本ピースと、前記最高濃度と最低濃度との間の中間濃度として(n−2)段階の濃度を用意し、これらの濃度に対応する階調を表現するための幾何学模様を有する基本ピースを用意すればよい。
【0038】
[複数線模様による階調表現性と背景パターン形成性の両立]
本発明では、前記画素ユニットの基本ピースの階調表現のための幾何学模様として、線状模様については、複数本の線(曲線又は直線)からなるモチーフ(以下、「複数線モチーフ」という。)の幾何学模様(以下、「複数線模様」という。)を使用することができる。
【0039】
[複数曲線模様による階調表現性と背景パターン形成性の両立]
このような複数線模様の幾何学模様を有する基本ピースからなる画素ユニットの例として、実施の形態1(図1)の第1〜第4の基本ピース11〜14を有する画素ユニット10、実施の形態2(図8)の第1〜第4の基本ピース21〜24を有する画素ユニット20、実施の形態3(図16)の第1〜第4の基本ピース31〜34を有する画素ユニット30がある。これらの例は、基本ピースの全てにおいて、幾何学模様が同一モチーフの複数線模様となっている。特に、これらの例では、前記画素ユニットの基本ピースの階調表現のための幾何学模様としての線状模様は、複数本の曲線からなる同一のモチーフ(以下、「複数曲線モチーフ」という。)の幾何学模様(以下、「複数曲線模様」という。)から構成されている。
【0040】
[曲線模様による階調表現性と背景パターン形成性の両立]
厳密な意味では上記複数曲線模様とは異なるが、上記複数曲線模様に類似する(及び、複数曲線模様に分類することができる)幾何学模様を有する基本ピースからなる画素ユニットの例として、実施の形態4(図23)の第1〜第4の基本ピース41〜44を有する画素ユニット40がある。この例は、基本ピースの全てにおいて、幾何学模様が同一モチーフの曲線状の模様又は四分円弧状の模様となっている。即ち、この例では、前記画素ユニットの基本ピースの階調表現のための幾何学模様としての線状模様は、第1の基本ピース41のように1つの四分円からなるモチーフ、又は、第2〜第4の基本ピース42〜44のように1本の曲線と1つの四分円とからなるモチーフとなっており、第1の基本ピース41の四分円を中心として共通するモチーフ(以下、「四分円モチーフ」という。)の幾何学模様(以下、「四分円模様」という。)から構成されている。
【0041】
[複数直線模様による階調表現性と背景パターン形成性の両立]
また、上記のような複数線模様の幾何学模様を有する基本ピースからなる画素ユニットの例として、実施の形態5(図26)の第1〜第4の基本ピース51〜54を有する画素ユニット50がある。特に、この例では、前記画素ユニットの基本ピースの階調表現のための幾何学模様としての線状模様は、第1の基本ピース51のように1つの(正方形の四隅の角部を均等に面取りした)八角形からなるモチーフ、又は、第2〜第4の基本ピース52〜54のように複数本(2本)の直線(傾斜状の直線又は傾斜ストライプ線)からなるモチーフとなっており、第1の基本ピース51の(正方形の四隅の角部を均等に面取りした)八角形の範囲内に第2〜第4の基本ピース52〜54の傾斜ストライプ線が重複するイメージの共通するモチーフ(以下、「複数直線モチーフ」という。)の幾何学模様(以下、「複数直線模様」という。)から構成されている。
【0042】
[単数線模様による階調表現性と背景パターン形成性の両立]
本発明では、前記画素ユニットの基本ピースの階調表現のための幾何学模様として、線状模様については、1本の線(曲線又は直線)からなるモチーフ(以下、単数線モチーフ」という。)の幾何学模様(以下、「単数線模様」という。)を使用することができる。
【0043】
[単数直線模様による階調表現性と背景パターン形成性の両立]
また、上記のような単数線模様の幾何学模様を有する基本ピースからなる画素ユニットの例として、実施の形態6(図38)の第1〜第4の基本ピース61〜64を有する画素ユニット60、実施の形態7(図42)の第1〜第4の基本ピース71〜74を有する画素ユニット70がある。特に、これらの例では、前記画素ユニットの基本ピースの階調表現のための幾何学模様としての線状模様は、1本の直線からなる同一のモチーフ(以下、「単数直線モチーフ」という。)の幾何学模様(以下、「単数直線模様」という。)から構成されている。
【0044】
[複数線模様の線幅による階調表現]
本発明では、複数線模様を模様面に形成した基本ピースからなる画素ユニットの場合、各基本ピースの複数線模様のいずれか1本以上の線の線幅を増減変更することで、基本ピースの模様面に対する線の面積比を増大し、これにより、その模様面の濃度を増減変更して階調を変更し、前記最高濃度、最低濃度、中間濃度等を表現することができる。即ち、一の基本ピースの複数線模様の1以上の線の線幅を他の基本ピースの複数線模様の対応する線の線幅に対して相対的に増大すれば、その一の基本ピースの模様面の濃度が他の基本ピースの模様面の濃度に対して相対的に増大し、これにより、その一の基本ピースの模様面を他の基本ピースの階調よりも高濃度の階調として表現することができる。この場合、前記線の線幅を最大値とすれば、その基本ピースについて最高濃度の階調を表現することができる。逆に、一の基本ピースの複数線模様の1以上の線の線幅を他の基本ピースの複数線模様の対応する線の線幅に対して相対的に減少すれば、その一の基本ピースの模様面の濃度が他の基本ピースの模様面の濃度に対して相対的に減少し、これにより、その一の基本ピースの模様面を他の基本ピースの階調よりも低濃度の階調として表現することができる。この場合、前記線の線幅を最小値とすれば、その基本ピースについて最低濃度の階調を表現することができる。また、この場合、前記線の線幅を前記最大値と最小値との間の中間値に設定すれば、その基本ピースについて前記中間濃度の階調を表現することができる。更に、この場合において、前記線の線幅を前記最大値と最小値との間の中間範囲において段階的な値として設定すれば、その基本ピースについて前記高濃度側中間濃度や低濃度側中間濃度(或いは、前記純粋中間濃度)の階調を表現することができる。
【0045】
[複数線模様の線方向による方向性の付与]
また、本発明では、複数線模様を模様面に形成した基本ピースからなる画素ユニットの場合、基本ピースの模様面を全ての線が一定方向に延びるよう形成すると共に、その線の終端(即ち、基本ピースのいずれかの辺における線の終端)が、基本ピースの辺の所定位置に配置されている。そして、その基本ピースに対して他の基本ピースを(時計回り方向又は反時計回り方向に)90度又は180度回転して接合したときに、その基本ピースの模様面のいずれか1本の線の終端が、他の基本ピースの模様面のいずれか1本の線の終端に整合し、これにより、接合した2つの基本ピース間でそれらの基本ピースの線が1本の線となって連続することで、基本ピースに上記の「方向性」を付与するようになっている。典型的には、複数線模様を模様面に形成した基本ピースからなる画素ユニットの場合、正方形の外形形状の基本ピースの模様面を全ての線が一定方向に延びるよう形成することで、基本ピースに上記の「方向性」を付与することができる。そして、本発明では、基本ピースの外形形状が正方形の場合について説明すると、描画面をマトリックス状に区画して(即ち、正方格子状となるよう縦横のピクセルで区画して)、描画面の各ピクセルに基本ピースを配置して描画面を基本ピースにより充填する場合において、基本ピースの方向を上下左右のいずれかに設定して配置することで、上記の「方向性」によって、隣接する基本ピースにわたって基本ピースの複数線模様のいずれか1以上の線が連続して、隣接する基本ピースにわたる連続線を形成し、その連続線により、隣接する複数の基本ピースにわたって所定パターンの模様が形成される、即ち、隣接する複数の基本ピース間の模様に「方向性」が付与される。即ち、本発明では、基本ピースの幾何学模様の方向性により、描画面において一定方向に特定の模様又はパターンが連続的に形成又は配置されて、描画面に一定方向への連続模様又は連続パターン(以下、単に「連続パターン」という。)が表れる。
【0046】
[単数線模様の線幅による階調表現]
本発明では、単数線模様を模様面に形成した基本ピースからなる画素ユニットの場合、各基本ピースの複数線模様のいずれか1本以上の線の線幅を増減変更することで、基本ピースの模様面に対する線の面積比を増大し、これにより、その模様面の濃度を増減変更して階調を変更し、前記最高濃度、最低濃度、中間濃度等を表現することができる。即ち、一の基本ピースの単数線模様の線の線幅を他の基本ピースの単数線模様の線の線幅に対して相対的に増大すれば、その一の基本ピースの模様面の濃度が他の基本ピースの模様面の濃度に対して相対的に増大し、これにより、その一の基本ピースの模様面を他の基本ピースの階調よりも高濃度の階調として表現することができる。この場合、前記線の線幅を最大値とすれば、その基本ピースについて最高濃度の階調を表現することができる。逆に、一の基本ピースの単数線模様の線の線幅を他の基本ピースの単数線模様の線の線幅に対して相対的に減少すれば、その一の基本ピースの模様面の濃度が他の基本ピースの模様面の濃度に対して相対的に減少し、これにより、その一の基本ピースの模様面を他の基本ピースの階調よりも低濃度の階調として表現することができる。この場合、前記線の線幅を最小値とすれば、その基本ピースについて最低濃度の階調を表現することができる。また、この場合、前記線の線幅を前記最大値と最小値との間の中間値に設定すれば、その基本ピースについて前記中間濃度の階調を表現することができる。更に、この場合において、前記線の線幅を前記最大値と最小値との間の中間範囲において段階的な値として設定すれば、その基本ピースについて前記高濃度側中間濃度や低濃度側中間濃度(或いは、前記純粋中間濃度)の階調を表現することができる。
【0047】
[単数線模様の線方向による方向性の付与]
また、本発明では、単数線模様を模様面に形成した基本ピースからなる画素ユニットの場合、基本ピースの模様面を線が一定方向(水平方向又は垂直方向)に延びるよう形成すると共に、その線の終端(即ち、基本ピースのいずれかの辺における線の終端)が、基本ピースの辺の所定位置に配置されている。そして、その基本ピースに対して他の基本ピースを同一回転角度位置(即ち、非回転位置)として接合したときに、その基本ピースの模様面の線の終端が、他の基本ピースの模様面の線の終端に接合し、これにより、接合した2つの基本ピース間でそれらの基本ピースの線が1本の線となって連続することで、基本ピースに上記の「方向性」を付与するようになっている。そして、本発明では、基本ピースの外形形状が正方形の場合について説明すると、描画面をマトリックス状に区画して(即ち、正方格子状となるよう縦横のピクセルで区画して)、描画面の各ピクセルに基本ピースを配置して描画面を基本ピースにより充填する場合において、基本ピースの方向を上下左右のいずれかに設定して配置することで、上記の「方向性」によって、隣接する基本ピースにわたって基本ピースの複数線模様の線が連続して、隣接する基本ピースにわたる連続線を形成し、その連続線により、隣接する複数の基本ピースにわたって所定パターンの模様が形成される、即ち、隣接する複数の基本ピース間の模様に「方向性」が付与される。即ち、本発明では、基本ピースの幾何学模様の方向性により、描画面において一定方向に特定の模様又はパターンが連続的に形成又は配置されて、描画面に一定方向への連続模様又は連続パターンが表れる。
【0048】
[複数曲線模様の例1]
本発明において、前記複数曲線模様としては、例えば、正方形の輪郭を有する基本ピースの模様面に、4本の曲線を互いに平行に配置してなる(即ち、4本の平行曲線により構成してなる)幾何学模様を使用することができる。この場合、全ての種類の基本ピースの模様面に、線幅のみを相違させた4本曲線模様が形成される。また、この場合の曲線としては円弧を使用することができ、この場合、複数本の線からなる所定モチーフの線分群による幾何学模様は、全ての種類の基本ピースの模様面に、4本の円弧を互いに平行に配置した(即ち、4本の円弧を平行曲線として配置した)同一モチーフの幾何学模様(以下、「4本平行曲線模様」という。)となる。また、この場合、前記複数曲線模様としては、例えば、正方形の外形形状を有する基本ピースの模様面に、4本の曲線を互いに平行に配置すると共に、そのうちの2本の曲線を基本ピースの内側寄り(例えば、右下コーナー側)に互いに平行に配置し、他の2本の曲線を基本ピースの外側寄り(例えば、左上コーナー側)に互いに平行に配置した構成とすることができる。この場合の複数曲線模様は、4本の曲線が、それぞれに一定の線幅を有して(即ち、曲線の途中で線幅が変更することなく)それぞれの曲率で曲線方向に延びるよう構成することができる。また、この場合の複数曲線模様は、内側の2本の曲線の線幅を同一の線幅とし、かつ、外側の2本の曲線の線幅を同一の線幅とすることができる。また、この場合の複数曲線模様は、前記4階調として具体化する場合、最高濃度の階調の基本ピース及び最低濃度の階調の基本ピースについては、それぞれ、内側の2本の曲線の線幅と外側の2本の曲線の線幅とを同一の線幅とし、高濃度側中間濃度の基本ピース及び低濃度側中間濃度の基本ピースについては、内側の2本の曲線の線幅を外側の2本の曲線の線幅より大きな線幅として(即ち、外側の2本の曲線の線幅をうち側の2本の曲線の線幅より小さな線幅として)構成することができる。
【0049】
[4本平行曲線模様の具体例1]
このような4本平行曲線模様としては、実施の形態1(図1)の第1〜第4の基本ピース11〜14の6種類の線幅の曲線としての第1の黒線BL1、第2の黒線BL2、第3の黒線BL3、第4の黒線BL4、第5の黒線BL5、及び、第6の黒線BL6からなる幾何学模様がある。なお、この場合の第1〜第6の黒線BL1〜BL6の線幅は、BL1、BL2、BL3、BL4、BL5、BL6となるにしたがって線幅が段階的に(即ち、一定間隔で又は所定間隔で)減少する。図1の例では、第1の基本ピース11には、右下コーナー側に1番大きな線幅W(即ち、最大線幅)の曲線として2本の第1の黒線BL1が互いに平行に設けられ、左上コーナー側に3番目に大きな線幅の曲線として2本の第3の黒線BL3が互いに平行に設けられている。また、第2の基本ピース12には、右下コーナー側に2番目に大きな線幅の曲線として2本の第2の黒線BL2が互いに平行に設けられ、また、左上コーナー側に4番目に大きな線幅の曲線として2本の第4の黒線BL4が互いに平行に設けられている。また、第3の基本ピース13には、右下コーナー側に3番目に大きな線幅の曲線として2本の第3の黒線BL3が互いに平行に設けられ、また、左上コーナー側に5番目に大きな線幅の曲線として2本の第5の黒線BL5が互いに平行に設けられている。また、第4の基本ピース14には、右下コーナー側に5番目に大きな線幅の曲線として2本の第5の黒線BL5が互いに平行に設けられ、また、左上コーナー側に6番目に大きな線幅(即ち、1番小さな線幅である最小線幅)の曲線として2本の第6の黒線BL6が互いに平行に設けられている。なお、第1〜第4の基本ピース11〜14において、左上コーナー側の2本の黒線(2本のBL3、2本のBL4、2本のBL5、2本のBL6)は、第1〜第4の基本ピース11〜14の上辺から左辺まで延びている。一方、第1〜第4の基本ピース11〜14において、右下コーナー側の2本の黒線(2本のBL1、2本のBL2、2本のBL3、2本のBL5)は、第1〜第4の基本ピース11〜14の右辺から下辺まで延びている。
【0050】
[4本平行曲線模様の具体例2]
また、このような4本平行曲線模様としては、実施の形態2(図8)の第1〜第4の基本ピース21〜24の3種類の線幅の曲線としての第1の黒線BL1、第3の黒線BL3、及び、第6の黒線BL6からなる幾何学模様がある。なお、この場合の第1の黒線BL1の線幅、第3黒線BL3の線幅、第6黒線BL6の線幅は、実施の形態1(図1)の第1〜第4の基本ピース11〜14の第1の黒線BL1の線幅、第3黒線BL3の線幅、第6黒線BL6の線幅とそれぞれ同一に設定されている。この例では、第1の基本ピース21には、右下コーナー側に最大線幅の曲線として2本の第1の黒線BL1が互いに平行に設けられ、左上コーナー側に3番目に大きな線幅の曲線として2本の第3の黒線BL3が互いに平行に設けられている。また、第2の基本ピース22には、右下コーナー側に3番目に大きな線幅の曲線として2本の第3の黒線BL3が互いに平行に設けられ、また、左上コーナー側にも3番目に大きな線幅の曲線として2本の第3の黒線BL3が互いに平行に設けられている。また、第3の基本ピース23には、右下コーナー側に3番目に大きな線幅の曲線として2本の第3の黒線BL3が互いに平行に設けられ、また、左上コーナー側に6番目に大きな線幅の曲線として2本の第6の黒線BL6が互いに平行に設けられている。また、第4の基本ピース24には、右下コーナー側に6番目に大きな線幅の曲線として2本の第6の黒線BL6が互いに平行に設けられ、また、左上コーナー側にも6番目に大きな線幅の曲線として2本の第6の黒線BL6が互いに平行に設けられている。なお、第1〜第4の基本ピース21〜24において、左上コーナー側の2本の黒線(2本のBL3、2本のBL6)は、第1〜第4の基本ピース21〜24の上辺から左辺まで延びている。一方、第1〜第4の基本ピース21〜24において、右下コーナー側の2本の黒線(2本のBL1、2本のBL3、2本のBL6)は、第1〜第4の基本ピース21〜24の右辺から下辺まで延びている。
【0051】
[4本平行曲線模様の具体例2の作成方法]
前記第1〜第4の基本ピース11〜14において、上記構成の4本平行曲線模様は、例えば、図3図7に示す方法で作成することができる。詳細には、まず、図2に示すように、基本ピース11〜14の外形形状の正方形を規定する単位基本ピース10Xの表面に、4本の円弧からなる複数曲線模様を形成する場合において、図2(a)のように、所定線幅の4本の正円を単に同心円状に描画して、その一部の円弧部分を単位基本ピース10Xの表面に転写して、複数曲線模様を表面に形成した基本ピースを得るとする。すると、この基本ピースを複数個隣接して密接配置する場合において、図2(b)に示すように、一の基本ピースに対して他の基本ピースを180度回転して密接配置することにより、一の基本ピースの1本の所定線幅の円弧を他の基本ピースの対応する1本の同一線幅の円弧に連結しても、図2(b)中に矢印で示す連結部分では、微妙に各円弧の幅方向両側の輪郭線の位置がずれ、完全に整合した状態の連結部分を形成することができないことを、本発明者は確認している。
【0052】
したがって、本発明では、画素ユニット10の基本ピース11〜14の外側の2本の(所定線幅の)円弧状の曲線については、図3(a)に示すように、その曲線形状C1を有する第1の線幅(基本ピース11〜14の外側の曲線の線幅よりも小さい線幅)の基本曲線Cを使用して、その基本曲線Cの曲線形状C1を基本ピース11〜14の外側の曲線として転写する。また、図3(b)に示すように、一の基本ピース11〜14に隣接するよう他の基本ピース11〜14を密接配置した状態で、それら密接配置される複数の基本ピース11〜14のそれぞれの外側の曲線を連結し、かつ、それらの外側の曲線が滑らかに連続するよう連続曲線形状を調整する。そして、図3(c)に示すように、そのように形状を調整した基本ピースの外側の曲線の線幅を、前記所定の線幅となるように拡大する。これにより、図3(d)に示すように、一の基本ピースに対して他の基本ピースを180度回転して密接配置することにより、一の基本ピースの1本の所定線幅の円弧を他の基本ピースの対応する1本の同一線幅の円弧に連結すると、各円弧の幅方向両側の輪郭線の位置が完全に整合した状態の連結部分を形成することができる。なお、図3では、基本ピース11〜14の外側の2本の曲線のうち、1本の外側の曲線を形成する場合について説明しているが、他の1本の外側の曲線を形成する場合も同様である。
【0053】
一方、画素ユニット10の基本ピース11〜14の内側の2本の(所定線幅の)円弧状の曲線については、図4(a)に示すように、それらの各々の曲線形状を一部に円弧として有する第1の線幅(基本ピース11〜14の内側の曲線の線幅よりも小さい線幅)の正円を描画すべく、4本の正円IL41,IL42,IL43,IL4を一定間隔で同心円状に描画して輪郭線を形成し、それら正円IL41,IL42,IL43,IL4間の所定幅の間隙を、基本ピース11〜14の内側の2本の曲線(及び2本の曲線間の白抜き線)に対応する曲線形状IG41,IG43(及びIG42)としたステンシルパターンIL4を用意する。そして、このステンシルパターンIL4を使用して、その曲線形状IG41,IG43を単位基本ピース10Bに内側の曲線として転写する。そして、図4(b)に示すように、そのように形成した基本ピースの外側の曲線の線幅を、例えば、前記第4の基本ピース14の内側の2本の第5の黒線BL5と同一の線幅となるようにする。一方、この場合において、単位基本ピース10Bの外側に2本の曲線を、上記図3で説明した方法を使用して、図4(c)に示すようにして形成し、図4(d)に示すように、例えば、第4の基本ピース14の外側の2本の第6の黒線BL6を形成する。そして、このように形成した内側の2本の曲線(第5の黒線BL5)と外側の2本の曲線(第6の黒線BL6)とを合体することにより、第4の基本ピース14に上記4本の曲線からなる複数曲線模様を形成する。なお、第1〜第3の基本ピース11〜13についても、図5図7に示すようにして、図3及び図4で説明した方法により、上記4本の曲線からなる複数曲線模様を形成する。このとき、第1〜第4の基本ピース11〜14については、各黒線の線幅におうじて、基本となる曲線形状IG41,IG43の線幅を変更する。
【0054】
[複数曲線模様の例2]
また、本発明において、前記複数曲線模様としては、例えば、正方形の輪郭を有する基本ピースの模様面に、4本の曲線を配置すると共に、そのうちの2本の曲線を、基本ピースの内側寄り(例えば、右下コーナー側)に互いに平行に配置し、他の2本の曲線を、基本ピースの外側寄り(例えば、左上コーナー側)に前記内側寄りの曲線と逆向きとなるよう、かつ、互いに平行となるよう配置してなる幾何学模様を使用することができる。この場合、全ての種類の基本ピースの模様面に、線幅のみを相違させた内側2本で外側2本の4本曲線模様が形成される。また、この場合の曲線としては円弧を使用することができ、この場合、複数本の線からなる所定モチーフの線分群による幾何学模様は、全ての種類の基本ピースの模様面において、内側寄りの2本1対の円弧を互いに平行に配置し、かつ、外側寄りに2本の円弧を前記内側寄りの2本1対の曲線と逆向きとなるよう配置した同一モチーフの幾何学模様(以下、「2本平行曲線2対模様」という。)となる。この場合、前記内側寄りの2本の曲線と外側寄りの2本の曲線とは、(各曲線の中心線でみたときに)それらの間を通過する基本ピースの対角線に対して線対称となるよう構成することができる。この場合の複数曲線模様は、4本の曲線が、それぞれに一定の線幅を有して(即ち、曲線の途中で線幅が変更することなく)それぞれの曲率で曲線方向に延びるよう構成することができる。また、この場合の複数曲線模様は、内側の2本の曲線の線幅を同一の線幅とし、かつ、外側の2本の曲線の線幅を同一の線幅とすることができる。また、この場合の複数曲線模様は、前記4階調として具体化する場合、最高濃度の階調の基本ピース及び最低濃度の階調の基本ピースについては、それぞれ、内側の2本の曲線の線幅と外側の2本の曲線の線幅とを同一の線幅とし、高濃度側中間濃度の基本ピース及び低濃度側中間濃度の基本ピースについては、内側の2本の曲線の線幅を外側の2本の曲線の線幅より大きな線幅として(即ち、外側の2本の曲線の線幅をうち側の2本の曲線の線幅より小さな線幅として)構成することができる。
【0055】
[2本平行曲線2対模様の具体例]
このような2本平行曲線2対模様としては、実施の形態3(図16)の第1〜第4の基本ピース31〜34の3種類の線幅の曲線BL1,BL3,BL6からなる幾何学模様がある。なお、この場合の第1の黒線BL1の線幅、第3黒線BL3の線幅、第6黒線BL6の線幅は、実施の形態1(図1)の第1〜第4の基本ピース11〜14の第1の黒線BL1の線幅、第3黒線BL3の線幅、第6黒線BL6の線幅と(即ち、実施の形態2(図8)の第1〜第4の基本ピース21〜24の3種類の線幅と)それぞれ同一に設定されている。この例では、第1の基本ピース31には、右下コーナー側に最大線幅の曲線として2本の第1の黒線BL1が互いに平行に設けられ、左上コーナー側に3番目に大きな線幅の曲線として2本の第3の黒線BL3が(右下コーナー側の2本の第1の黒線BL1と逆向きとなるよう)互いに平行に設けられている。また、第2の基本ピース32には、右下コーナー側に3番目に大きな線幅の曲線として2本の第3の黒線BL3が互いに平行に設けられ、また、左上コーナー側にも3番目に大きな線幅の曲線として2本の第3の黒線BL3が(右下コーナー側の2本の第3の黒線BL3と逆向きとなるよう)互いに平行に設けられている。また、第3の基本ピース33には、右下コーナー側に3番目に大きな線幅の曲線として2本の第3の黒線BL3が互いに平行に設けられ、また、左上コーナー側に6番目に大きな線幅の曲線として2本の第6の黒線BL6が(右下コーナー側の2本の第3の黒線BL3と逆向きとなるよう)互いに平行に設けられている。また、第4の基本ピース34には、右下コーナー側に6番目に大きな線幅の曲線として2本の第6の黒線BL6が互いに平行に設けられ、また、左上コーナー側にも6番目に大きな線幅の曲線として2本の第6の黒線BL6が(右下コーナー側の2本の第6の黒線BL6と逆向きとなるよう)互いに平行に設けられている。なお、第1〜第4の基本ピース31〜34において、左上コーナー側の2本の黒線(2本のBL3、2本のBL6)は、第1〜第4の基本ピース31〜34の上辺から左辺まで延びている。一方、第1〜第4の基本ピース31〜34において、右下コーナー側の2本の黒線(2本のBL1、2本のBL3、2本のBL6)は、第1〜第4の基本ピース31〜34の右辺から下辺まで延びている。
【0056】
[複数曲線模様の白線の線幅の一定性]
上記の複数曲線模様は、4本平行曲線模様としての実施の形態1(図1)の第1〜第4の基本ピース11〜14の幾何学模様の場合も、同じく4本平行曲線模様としての実施の形態2(図8)の第1〜第4の基本ピース21〜24の幾何学模様の場合も、及び、2本平行曲線2対模様としての実施の形態3(図16)の第1〜第4の基本ピース31〜34の幾何学模様の場合も、いずれも、内側の2本の曲線の間に1本の白線(白抜きにより形成される白線)からなる曲線(以下、「内側白曲線」という。)が形成され、かつ、外側の2本の曲線の間に1本の白線(白抜きにより形成される白線)からなる曲線(以下、「外側白曲線」という。)が形成される。ここで、上記のように、4本の曲線の線幅をそれぞれ一定の線幅とした場合、内側白曲線の線幅及び外側白曲線線の線幅も、それぞれ一定の線幅となる。そして、実施の形態1(図1)の第1〜第4の基本ピース11〜14、実施の形態2(図8)の第1〜第4の基本ピース21〜24、及び、実施の形態3(図16)の第1〜第4の基本ピース31〜34では、いずれも、全て同一の線幅の白線WLが、全ての基本ピースの2本の黒線の間に形成されている。
【0057】
即ち、実施の形態1(図1)において、第1の基本ピース11では、右下コーナー側に配置した2本の第1の黒線BL1の間に1本の白線WL1が形成され、左上コーナー側に配置した2本の第3の黒線BL3の間に1本の白線WL1が形成されている。また、第2の基本ピース12では、右下コーナー側に配置した2本の第2の黒線BL2の間に1本の白線WL1が形成され、左上コーナー側に配置した2本の第4の黒線BL4の間に1本の白線WL1が形成されている。また、第3の基本ピース13では、右下コーナー側に配置した2本の第3の黒線BL3の間に1本の白線WL1が形成され、左上コーナー側に配置した2本の第5の黒線BL5の間に1本の白線WL1が形成されている。また、第4の基本ピース14では、右下コーナー側に配置した2本の第5の黒線BL5の間に1本の白線WL1が形成され、左上コーナー側に配置した2本の第6の黒線BL6の間に1本の白線WL1が形成されている。
【0058】
また、実施の形態2(図8)において、第1の基本ピース21では、右下コーナー側に配置した2本の第1の黒線BL1の間に1本の白線WL1が形成され、左上コーナー側に配置した2本の第3の黒線BL3の間に1本の白線WL1が形成されている。また、第2の基本ピース22では、右下コーナー側に配置した2本の第3の黒線BL3の間に1本の白線WL1が形成され、左上コーナー側に配置した2本の第3の黒線BL3の間に1本の白線WL1が形成されている。また、第3の基本ピース23では、右下コーナー側に配置した2本の第3の黒線BL3の間に1本の白線WL1が形成され、左上コーナー側に配置した2本の第6の黒線BL6の間に1本の白線WL1が形成されている。また、第4の基本ピース24では、右下コーナー側に配置した2本の第6の黒線BL6の間に1本の白線WL1が形成され、左上コーナー側に配置した2本の第6の黒線BL6の間に1本の白線WL1が形成されている。
【0059】
また、実施の形態3(図16)において、第1の基本ピース31では、右下コーナー側に配置した2本の第1の黒線BL1の間に1本の白線WL1が形成され、左上コーナー側に配置した2本の第3の黒線BL3の間に1本の白線WL1が形成されている。また、第2の基本ピース32では、右下コーナー側に配置した2本の第3の黒線BL3の間に1本の白線WL1が形成され、左上コーナー側に配置した2本の第3の黒線BL3の間に1本の白線WL1が形成されている。また、第3の基本ピース33では、右下コーナー側に配置した2本の第3の黒線BL3の間に1本の白線WL1が形成され、左上コーナー側に配置した2本の第6の黒線BL6の間に1本の白線WL1が形成されている。また、第4の基本ピース34では、右下コーナー側に配置した2本の第6の黒線BL6の間に1本の白線WL1が形成され、左上コーナー側に配置した2本の第6の黒線BL6の間に1本の白線WL1が形成されている。
【0060】
[複数曲線模様の白線の連続性]
実施の形態1(図1)では、内側白曲線となる白線WL1の両端の位置は、それぞれ、全ての種類の基本ピース11〜14の隣接する2端縁(即ち、基本ピースの外形形状となる正方形の隣接する2辺であって、右下コーナーを形成する2辺)において同一の位置(隅角位置から同一距離となる位置)であって、かつ、各端縁の中間位置で終端となるよう配置されている。また、外側白曲線となる白線WL1の両端の位置は、それぞれ、全ての種類の基本ピース11〜14の別の隣接する2端縁(即ち、基本ピースの外形形状となる正方形の隣接する2辺であって、左上コーナーを形成する2辺)において同一の位置(隅角位置から同一距離となる位置)であって、かつ、各端縁の中間位置で終端となるよう配置されている。これにより、基本ピース11〜14を描画面の画素に充填配置する場合において、隣接する2つの基本ピース11〜14のうちの一方の基本ピース11〜14の端縁に対して他方の基本ピース11〜14の端縁を密接配置するときに、一方の基本ピース11〜14に対して他方の基本ピース11〜14を時計回り方向又は反時計回り方向に90度または180度回転して配置することで、一方の基本ピース11〜14の白線WL1の終端と他方の基本ピース11〜14の白線WL1の終端とが(同一線幅で、かつ、同一位置で)完全に連結して、2本の白線WL1が1本の完全に連続する(同一線幅の)曲線を構成する。これにより、基本ピース11〜14が、上記の方向性や(方向性を通じた)背景パターン形成性を実現する。
【0061】
実施の形態2(図8)でも、同様に、内側白曲線となる白線WL1の両端の位置は、それぞれ、全ての種類の基本ピース21〜24の隣接する2端縁(即ち、基本ピースの外形形状となる正方形の隣接する2辺であって、右下コーナーを形成する2辺)において同一の位置(隅角位置から同一距離となる位置)であって、かつ、各端縁の中間位置で終端となるよう配置されている。また、外側白曲線となる白線WL1の両端の位置は、それぞれ、全ての種類の基本ピース21〜24の別の隣接する2端縁(即ち、基本ピースの外形形状となる正方形の隣接する2辺であって、左上コーナーを形成する2辺)において同一の位置(隅角位置から同一距離となる位置)であって、かつ、各端縁の中間位置で終端となるよう配置されている。これにより、基本ピース21〜24を描画面の画素に充填配置する場合において、隣接する2つの基本ピース21〜24のうちの一方の基本ピース21〜24の端縁に対して他方の基本ピース21〜24の端縁を密接配置するときに、一方の基本ピース21〜24に対して他方の基本ピース21〜24を時計回り方向又は反時計回り方向に90度または180度回転して配置することで、一方の基本ピース21〜24の白線WL1の終端と他方の基本ピース21〜24の白線WL1の終端とが(同一線幅で、かつ、同一位置で)完全に連結して、2本の白線WL1が1本の完全に連続する(同一線幅の)曲線を構成する(例えば、図11図13図15参照)。これにより、基本ピース21〜24が、上記の方向性や(方向性を通じた)背景パターン形成性を実現する。
【0062】
実施の形態3(図16)でも、同様に、内側白曲線となる白線WL1の両端の位置は、それぞれ、全ての種類の基本ピース31〜34の隣接する2端縁(即ち、基本ピースの外形形状となる正方形の隣接する2辺であって、右下コーナーを形成する2辺)において同一の位置(隅角位置から同一距離となる位置)であって、かつ、各端縁の中間位置で終端となるよう配置されている。また、外側白曲線となる白線WL1の両端の位置は、それぞれ、全ての種類の基本ピース31〜34の別の隣接する2端縁(即ち、基本ピースの外形形状となる正方形の隣接する2辺であって、左上コーナーを形成する2辺)において同一の位置(隅角位置から同一距離となる位置)であって、かつ、各端縁の中間位置で終端となるよう配置されている。これにより、基本ピース31〜34を描画面の画素に充填配置する場合において、隣接する2つの基本ピース31〜34のうちの一方の基本ピース31〜34の端縁に対して他方の基本ピース31〜34の端縁を密接配置するときに、一方の基本ピース31〜34に対して他方の基本ピース31〜34を時計回り方向又は反時計回り方向に90度または180度回転して配置することで、一方の基本ピース31〜34の白線WL1の終端と他方の基本ピース31〜34の白線WL1の終端とが(同一線幅で、かつ、同一位置で)完全に連結して、2本の白線WL1が1本の完全に連続する(同一線幅の)曲線を構成する(例えば、図18図20図22参照)。これにより、基本ピース31〜34が、上記の方向性や(方向性を通じた)背景パターン形成性を実現する。
【0063】
[曲線模様の例3(四分円模様)]
また、本発明において、前記複数曲線模様に類似する曲線模様としては、実施の形態4(図23)の第1〜第4の基本ピース41〜44の大小2種類の線幅の曲線としての第1の黒線B12及び第2の黒線BL14と、大中小3種類の半径の四分円としての第1の四分円BL11、第2の四分円BL13、及び、第3の四分円BL15とからなる幾何学模様がある。この例では、第1の基本ピース41には、右下コーナー側に最大半径の四分円として1つの第1の四分円BL11が設けられている。また、第2の基本ピース42には、右下コーナー側に中間半径の四分円として1つの第2の四分円BL13が設けられ、また、左上コーナー側に最大線幅の曲線として1本の第1の黒線BL12が設けられている。また、第3の基本ピース43には、右下コーナー側に中間半径の四分円として1つの第2の四分円BL13が設けられ、また、左上コーナー側に最小線幅曲線として1本の第2の黒線BL14が設けられている。また、第4の基本ピース44には、右下コーナー側に最小半径の四分円として1つの第3の四分円BL15が設けられ、また、左上コーナー側に最小線幅の曲線として1本の第2の黒線BL14が設けられている。
【0064】
なお、第1の基本ピース41の左上コーナー部には、第1の四分円BL11により略直角三角形状の余白部が形成されている。同様に、第2の基本ピース42の左上コーナー部には、第1の曲線BL12により(前記第1の基本ピース41の余白部と同一形状で同一寸法の)略直角三角形状の余白部が形成されている。同様に、第3の基本ピース43の左上コーナー部には、第2の曲線BL14により(前記第1の基本ピース41の余白部と同一形状で同一寸法の)略直角三角形状の余白部が形成されている。同様に、第4の基本ピース44の左上コーナー部には、第2の曲線BL14により(前記第1の基本ピース41の余白部と同一形状で同一寸法の)略直角三角形状の余白部が形成されている。なお、第2の基本ピース42では、第2の四分円BL13と第1の黒線BL12との間に、1本の一定線幅の白線WL11が形成されている。また、第3の基本ピース43では、第2の四分円BL13と第2の黒線BL14との間に、1本の一定線幅の白線WL12が形成されている。また、第4の基本ピース44では、第3の四分円BL15と第2の黒線BL14との間に、1本の一定線幅の白線WL13が形成されている。白線WL11の線幅、白線WL12の線幅、白線WL13の線幅の順に、線幅が段階的に増大している。
【0065】
[四分円模様の余白部及び白線の連続性]
実施の形態3(図16)では、基本ピース41〜44の同一コーナーの位置に、同一寸法で同一形状の余白部が形成され、また、基本ピース41〜44の端縁の対応する位置で、線幅は異なるものの、白線WL11,WL12,WL13の両端が終端となっている。したがって、基本ピース41〜44を描画面の画素に充填配置する場合において、隣接する2つの基本ピース41〜44のうちの一方の基本ピース41〜44の端縁に対して他方の基本ピース41〜44の端縁を密接配置するときに、一方の基本ピース41〜44に対して他方の基本ピース41〜44を時計回り方向又は反時計回り方向に90度または180度回転して配置することで、一方の基本ピース41〜44の余白部の端縁や白線WL11,WL12,WL13の終端と他方の基本ピース41〜44の余白部の端縁や白線WL11,WL12,WL13の終端とが連結して、これらが連続する線を構成する。これにより、基本ピース41〜44が、上記の方向性や(方向性を通じた)背景パターン形成性を実現する(例えば、図24図25参照)。
【0066】
[複数直線模様の例]
本発明において、前記複数直線模様としては、例えば、正方形の輪郭を有する基本ピースの模様面に、2本の直線を互いに平行に配置してなる(即ち、2本の平行曲線により構成してなる)幾何学模様を使用することができる。この場合、全ての種類の基本ピースの模様面に、線幅のみを相違させた2本直線模様が形成される。また、この場合の直線は、基本ピースの縦軸又は横軸に対して所定角度で傾斜する傾斜線(例えば、45度で傾斜する傾斜線)を使用することができ、この場合、複数本の線からなる所定モチーフの線分群による幾何学模様は、全ての種類の基本ピースの模様面に、2本の傾斜線を互いに平行に配置した同一モチーフの幾何学模様(以下、「2本平行直線模様」という。)となる。
【0067】
また、この場合、前記複数直線模様としては、例えば、正方形の外形形状を有する基本ピースの模様面に、2本の傾斜線を互いに平行に配置すると共に、そのうちの1本の傾斜線を基本ピースの内側寄り(例えば、右下コーナー側)に配置し、他の1本の傾斜線を基本ピースの外側寄り(例えば、左上コーナー側)に配置した構成とすることができる。この場合の複数直線模様は、2本の傾斜線が、それぞれに一定の線幅を有して(即ち、直線の途中で線幅が変更することなく)それぞれの傾斜角度で直線方向に延びるよう構成することができる。この場合、階調の増減は、最高濃度の基本ピースの傾斜線の線幅を最大とし、最低濃度の基本ピースの傾斜線の線幅を最低の線幅とし、中間濃度の基本ピースの傾斜線の線幅を中間の線幅とすることで実現することもできる。
【0068】
或いは、この場合の複数直線模様は、前記4階調として具体化する場合、最高濃度の階調の基本ピースについては、2本の傾斜線により幾何学模様を構成することなく、1本の最大線幅の傾斜線であって、基本ピースのほぼ全面を塗り潰す線幅の傾斜線、又は、傾斜線と同視できる所定形状であって、基本ピースのほぼ全面を塗り潰す所定形状の線状部により幾何学模様を構成することができる。また、この場合、高濃度側中間濃度の基本ピースについては、2番目に大きい線幅の2本の傾斜線(即ち、同一線幅の2本の傾斜線)を配置することで、幾何学模様を構成することができる。また、この場合、低濃度側中間濃度の基本ピースについては、内側の1本の傾斜線の線幅と外側の1本の傾斜線の線幅とを異なる線幅として構成することができる。例えば、この場合の基本ピースは、外側又は内側の1本の傾斜線を前記2番目に大きい線幅の傾斜線(高濃度側中間濃度の傾斜線の線幅と同一の線幅の傾斜線)とし、内側又は外側の1本の傾斜線を3番目に大きい線幅の傾斜線として、幾何学模様を構成することができる。また、最低濃度の階調の基本ピースについては、前記3番目に大きい線幅の2本の傾斜線(即ち、同一線幅の2本の傾斜線)を配置することで、幾何学模様を構成することができる。
【0069】
[2本平行直線模様の具体例]
また、このような4階調を表現する2本平行直線模様としては、実施の形態5(図26)の第1〜第4の基本ピース51〜54の3種類の線幅の傾斜線(基本ピース51〜54の右上から左下へと45度の角度で傾斜する傾斜線)としての第1の黒線BL21、第2の黒線BL22、及び、第3の黒線BL23からなる幾何学模様がある。詳細には、第1の基本ピース51は、第1の黒線BL21を、(正方形の四隅の角部を均等に面取りした)八角形からなる線状部として構成しており、その表面の四隅の角部に、それぞれ、同一形状で同一寸法の直角三角形状の余白部CR1を形成している。なお、第1の黒線BL21は、厳密な意味での直線(及び傾斜線)ではないが、(右上角部の余白部及び左下角部の余白部を無視すれば)第1の基本ピース51の右上角部から左下角部へと延びる極太の傾斜線と同視することができ、この意味で、線状の所定形状(即ち、線状部)となっている。そして、第1の黒線BL21は、最大線幅の傾斜線(即ち、傾斜状の線状部)を構成している。
【0070】
また、第2の基本ピース52は、その表面に、2番目に大きな線幅となる2本の同一線幅の第2の黒線BL22を、その右上コーナー側から左下コーナー側に向かって延びるよう互いに平行に配置して、2本平行直線模様を形成している。なお、第2の基本ピース52の2本の第2の黒線BL22は、前記第1の基本ピース51の第1の黒線BL21を幅方向(第1の基本ピース51の左上角部から右下角部へと向かう対角線方向)の中間部で第1の一定線幅だけ白抜きすることで得ることができ、第2の基本ピース52は、これら2本の第2の黒線BL22を互いに平行に配置して2本平行直線模様を構成している。即ち、第2の基本ピース52において、2本の第2の黒線BL22の間には、1本の第1の一定線幅の白線WL121が形成され、第2の基本ピース52の右上角部から左下角部まで一定線幅で延びている。そして、第2の黒線BL22は、(第1の黒線BL21の線幅の1/2より小さい)中間線幅の傾斜線を構成している。また、第2の基本ピース52の表面の左上角部及び右下角部には、それぞれ、前記第1の基本ピースの余白部CR1と同一形状で同一寸法の直角三角形状の余白部CR1が形成されている。
【0071】
また、第3の基本ピース53は、その表面に、2本の異なる線幅の第2の黒線BL22及び第3の黒線BL23を、それぞれ、その右上コーナー側から左下コーナー側に向かって延びるよう互いに平行に配置して、2本平行直線模様を形成している。なお、第3の基本ピース53の1本の第2の黒線BL22は、前記第2の基本ピース52の左上コーナー側の第2の黒線BL22と同一構成である。一方、第3の基本ピース53の1本の第3の黒線BL23は、前記第2の基本ピース52の右下コーナー側の第2の黒線BL22の上側半部を一定線幅(前記白線WL21の第1の一定線幅と同一線幅)だけ削除することで得ることができ、第3の基本ピース53は、これらの第2の黒線BL22及び第3の黒線BL23を互いに平行に配置して2本平行直線模様を構成している。即ち、第3の基本ピース53において、第2の黒線BL22及び第3の黒線BL23の間には、1本の第2の一定線幅の白線WL122が形成され、第3の基本ピース53の右上角部から左下角部まで一定線幅で延びている。そして、第3の黒線BL23は、(第2の黒線BL22の線幅の1/2となる)最小線幅の傾斜線を構成している。また、第3の基本ピース53の表面の左上角部及び右下角部には、それぞれ、前記第1の基本ピースの余白部CR1と同一形状で同一寸法の直角三角形状の余白部CR1が形成されている。
【0072】
また、第4の基本ピース54は、その表面に、2本の同一線幅の第3の黒線BL23を、それぞれ、その右上コーナー側から左下コーナー側に向かって延びるよう互いに平行に配置して、2本平行直線模様を形成している。なお、第4の基本ピース54の下側の第3の黒線BL23は、前記第3の基本ピース53の下側の第3の黒線BL23と同一構成である。一方、第4の基本ピース54の上側の1本の第3の黒線BL23は、前記第2の基本ピース52の左上コーナー側の第2の黒線BL22の上側半部を一定線幅(前記白線WL21の第1の一定線幅と同一線幅)だけ削除することで得ることができ、第4の基本ピース54は、これら2本の第3の黒線BL23を互いに平行に配置して2本平行直線模様を構成している。即ち、第4の基本ピース54において、2本の第3の黒線BL23の間には、第2の基本ピース52と同様に、1本の第2の一定線幅の白線WL122が形成され、第4の基本ピース54の右上角部から左下角部まで一定線幅で延びている。そして、上側の第3の黒線BL23も、(第2の黒線BL22の線幅の1/2となる)最小線幅の傾斜線を構成している。また、第4の基本ピース53の表面の右下角部には、前記第1の基本ピースの余白部CR1と同一形状で同一寸法の直角三角形状の余白部CR1が形成されている。また、第4の基本ピース53の表面の左上角部には、前記第1の基本ピースの余白部CR1の高さより、前記第2の黒線BL22の線幅の1/2の寸法だけ大きい高さを有する直角三角形状の余白部CR2が形成されている。
【0073】
[2本平行直線模様の作成方法]
前記第1〜第4の基本ピース51〜54において、上記構成の2本平行直線模様は、例えば、図27(a)、図27(c)、図28(a)、及び、図28(c)に示す方法で作成することができる。詳細には、第1の基本ピース51については、図27(a)に示すように、第1の基本ピース51の左上角部及び右下角部に、それぞれ、本発明の基本ピースの外形形状を規定する正方形の基本形状を有する単位基本ピース10Bを、その一辺が第1の基本ピース51の左上角部及び右下角部を形成する各2辺を45度の角度で交差するように配置する。このとき、このように配置される2つの単位基本ピース10Bにおいて、前記第1の基本ピース51と交差する一辺(以下、「交差辺」という。)の間には、第2の一定間隔W2(前記白線WL21の間隔の3倍の間隔)が形成されるようにする。そして、単位基本ピース10Bの当該交差辺から、それぞれ、第1の基本ピース51の左上隅角及び右下隅角に向かって一定間隔W1(前記白線WL21の間隔と同一間隔)を置いた位置で、それぞれ、第1の基本ピース51の左上角部及び右下角部に前記交差辺と平行な面取り状の直線(以下、「面取り線」という。)を引く。同様にして、第1の基本ピース51の右上角部及び左下角部に、それぞれ、単位基本ピース10Bを、その交差辺が第1の基本ピース51の右上角部及び左下角部を形成する各2辺を45度の角度で交差するように配置し、かつ、単位基本ピース10Bの交差辺から一定間隔W1を置いた位置で、それぞれ、第1の基本ピース51の右上角部及び左下角部に前記交差辺と平行な面取り線を引く。そして、第1の基本ピース51の表面を、前記4本の面取り線より外側を余白部CR1として残すよう、所定の高濃度の色(黒色等)で塗りつぶす。これにより、第1の基本ピース51に第1の黒線BL21が形成される。この第1の黒線BL21は、前記一定間隔W1(即ち、白線WL21の間隔)の5倍の線幅(第1の基本ピース51の対角線方向の寸法)を有している。このようにして形成した第1の基本ピース51は、複数を隣接するよう密接配置すると(例えば、図27(b)に示すように4個の第1の基本ピース51をマトリックス状に密接配置すると)、複数個隣接配置した第1の基本ピース51によるブロック単位で、単一の第1の基本ピース51の幾何学模様とは全く異なる印象の別個のパターンの模様(以下、「ブロックパターン模様」という。)が形成される。このとき、各第1の基本ピース51は、90度単位で回転しても、回転することなく回転角度位置を保持しても、同様の模様が形成される。したがって、このようにして第1の基本ピース51のみを隣接配置することでも、上記の背景パターン形成性を発揮することができる。
【0074】
また、第2の基本ピース52については、図27(c)に示すように、第2の基本ピース52の左上角部及び右下角部に、それぞれ、第1の基本ピース51の場合と同様にして、上下一対の単位基本ピース10Bを配置する。そして、第1の基本ピース51の場合と同様にして、単位基本ピース10Bの交差辺から、それぞれ、第2の基本ピース52の外側に一定間隔W1を置いた位置で、第2の基本ピース52の角部に前記交差辺と平行な直線からなる面取り線を引く。一方、単位基本ピース10Bの交差辺から、それぞれ、第2の基本ピース52の内側に一定間隔W1を置いた位置で、第2の基本ピース52の内部に前記交差辺と平行な直線からなる輪郭線(以下、「内部輪郭線」という。)を引く。そして、第2の基本ピース52の表面において、前記左上側の面取り線と左上側の内部輪郭線とに囲まれる第1の部分と、前記右下側の面取り線と右下側の内部輪郭線とに囲まれる第2の部分とを、前記所定の高濃度の色で塗りつぶす。これにより、第2の基本ピース52に一対の第2の黒線BL22が形成される。この第2の黒線BL22は、前記一定間隔W1(即ち、白線WL21の間隔)の2倍の線幅を有している。なお、このようにして形成した第2の基本ピース52は、複数を隣接するよう密接配置すると、単一の第2の基本ピース52の幾何学模様とは異なる印象の別個のブロックパターン模様が形成される。例えば、4個の第2の基本ピース52を、同一回転角度位置とした状態で、マトリックス状に密接配置すると、図27(d)に示すように、複数の第2の基本ピース52からなるブロック単位で、単一の第2の基本ピース52の幾何学模様とは同一コンセプトではあるが印象が大きく異なる別個のブロックパターン模様が形成される。したがって、このようにして第2の基本ピース52のみを隣接配置することでも、上記の背景パターン形成性を発揮することができる。
【0075】
また、第3の基本ピース53については、図28(a)に示すように、第3の基本ピース53の左上角部及び右下角部に、それぞれ、第1の基本ピース51の場合と同様にして、上下一対の単位基本ピース10Bを配置する。そして、第1の基本ピース51の場合と同様にして、単位基本ピース10Bの交差辺から、それぞれ、第3の基本ピース53の外側に一定間隔W1を置いた位置で、第3の基本ピース53の角部に前記交差辺と平行な直線からなる面取り線を引く。一方、第2の基本ピース52の場合と同様にして、上側の単位基本ピース10Bの交差辺から、第3の基本ピース53の内側に一定間隔W1を置いた位置で、第3の基本ピース53の内部に前記交差辺と平行な直線からなる内部輪郭線を引く。また、下側の単位基本ピース10Bの交差辺との交差位置で、第3の基本ピース53の内部に直線からなる内部輪郭線を引く。そして、第3の基本ピース53の表面において、前記左上側の面取り線と左上側の内部輪郭線とに囲まれる第1の部分と、前記右下側の面取り線と右下側の内部輪郭線とに囲まれる第2の部分とを、前記所定の高濃度の色で塗りつぶす。これにより、第3の基本ピース53に、対となる第2の黒線BL22及び第3の黒線BL23が形成される。この第3の黒線BL23は、前記一定間隔W1(即ち、白線WL21の間隔)と同一の線幅を有している。このようにして形成した第3の基本ピース53は、複数を隣接するよう密接配置すると、単一の第3の基本ピース53の幾何学模様とは異なる印象の別個のブロックパターン模様が形成される。例えば、4個の第3の基本ピース53を、同一回転角度位置とした状態で、マトリックス状に密接配置すると、図28(b)に示すように、複数の第3の基本ピース53からなるブロック単位で、単一の第3の基本ピース53の幾何学模様とは類似のコンセプトではあるが印象が大きく異なる別個のブロックパターン模様が形成される。したがって、このようにして第3の基本ピース53のみを隣接配置することでも、上記の背景パターン形成性を発揮することができる。
【0076】
また、第4の基本ピース54については、図28(c)に示すように、第4の基本ピース54の左上角部及び右下角部に、それぞれ、第1の基本ピース51の場合と同様にして、上下一対の単位基本ピース10Bを配置する。そして、第3の基本ピース53の場合と同様にして、下側の単位基本ピース10Bの交差辺から、第4の基本ピース54の外側に一定間隔W1を置いた位置で、第4の基本ピース54の角部に前記交差辺と平行な直線からなる面取り線を引く。一方、上側の単位基本ピース10Bの交差辺との交差位置で、第4の基本ピース54の内部に直線からなる内部輪郭線を引く。また、第3の基本ピース53の場合と同様にして、上側単位基本ピース10Bの交差辺から、第4の基本ピース54の内側に一定間隔W1を置いた位置で、第4の基本ピース54の内部に前記交差辺と平行な直線からなる内部輪郭線を引く。そして、第4の基本ピース54の表面において、前記左上側の面取り線と左上側の内部輪郭線とに囲まれる第1の部分と、前記右下側の面取り線と右下側の内部輪郭線とに囲まれる第2の部分とを、前記所定の高濃度の色で塗りつぶす。これにより、第4の基本ピース54に、一対の第3の黒線BL23が形成される。このようにして形成した第4の基本ピース54は、複数を隣接するよう密接配置すると、単一の第4の基本ピース54の幾何学模様とは異なる印象の別個のブロックパターン模様が形成される。例えば、4個の第4の基本ピース54を、同一回転角度位置とした状態で、マトリックス状に密接配置すると、図28(d)に示すように、複数の第4の基本ピース54からなるブロック単位で、単一の第4の基本ピース54の幾何学模様とは同一のコンセプトではあるが印象が大きく異なる別個のブロックパターン模様が形成される。したがって、このようにして第4の基本ピース54のみを隣接配置することでも、上記の背景パターン形成性を発揮することができる。
【0077】
[2本平行直線模様の具体例]
また、上記のような3階調を表現する2本平行直線模様としては、実施の形態8(図45(a))の第1〜第3の基本ピース81〜84の3種類の線幅の傾斜線(基本ピース81〜83の右上から左下へと45度の角度で傾斜する傾斜線)としての第1の黒線BL21、第2の黒線BL31、及び、第3の黒線BL32からなる幾何学模様がある。詳細には、第1の基本ピース81は、第1の基本ピース51と同一構成である。一方、第2の基本ピース82は、前記第2の基本ピース52と同様に、2本の同一線幅の第2の黒線BL31を互いに平行となるよう傾斜状に形成しているが、その第2の黒線BL31の線幅は、前記第2の基本ピース52の第2の黒線BL22の線幅と、前記第3の基本ピース53の第3の黒線BL23の線幅との中間程度の線幅となっている。また、第3の基本ピース83は、前記第4の基本ピース54と同様に、2本の同一線幅の第3の黒線BL32を互いに平行となるよう傾斜状に形成しているが、その第3の黒線BL32の線幅は、前記第3の基本ピース53の第3の黒線BL23の線幅よりも更に小さな線幅となっている。
【0078】
[単数線模様の例]
本発明において、前記単数線模様としては、例えば、正方形の輪郭を有する基本ピースの模様面に、1本の直線を水平方向に(又は垂直方向に)配置してなる幾何学模様を使用することができる。この場合、全ての種類の基本ピースの模様面に、線幅のみを相違させた1本直線模様が形成される。また、この場合の直線は、基本ピースの縦軸又は横軸に対して所定角度で傾斜する傾斜線(例えば、45度で傾斜する傾斜線)を使用することもできる。
【0079】
[単数線模様の具体例1]
また、このような単数線模様としては、実施の形態6(図38)の第1〜第4の基本ピース61〜64の第1の黒線BL31、第2の黒線BL32、及び、第3の黒線BL33からなる幾何学模様がある。これら第1〜第4の基本ピース61〜64は、3種類の線幅及び1種類の濃度を組み合わせて4階調を表現するようになっている。詳細には、第1の基本ピース61は、その表面の全面を所定の高濃度の色(黒色等)で塗りつぶして第1の黒線BL31を形成している。即ち、図38(a)に示すように、第1の黒線BL31は、最大線幅の水平線(或いは、垂直線)を構成している。また、図38(b)に示すように、第2の基本ピース62は、その表面に、中間の線幅の第2の黒線BL32を、その上端縁から前記線幅となるよう所定の高濃度の色で塗りつぶして形成している。これにより、第2の基本ピース62には、第2の黒線BL32の下側部分に、(第2の基本ピース62の1辺の長さから第2の黒線BL32の線幅を減じた)第1の一定幅の第1の白線WL31が形成されている。また、図38(c)に示すように、第3の基本ピース63は、その表面に、最小の線幅の第3の黒線BL332を、その上端縁から前記線幅となるよう所定の高濃度の色で塗りつぶして形成している。これにより、第3の基本ピース63には、第3の黒線BL33の下側部分に、(第2の基本ピース62の1辺の長さから第3の黒線BL33の線幅を減じた)第2の一定幅の第2の白線WL32が形成されている。一方、第4の基本ピース64は、その表面を全く塗りつぶすことなく、白色の模様面とされている。これにより、第4の基本ピース64には、その全面により第3の一定幅(即ち、第4の基本ピース64の1辺の長さ)の第3の白線WL33が形成されている。
【0080】
[単数線模様の具体例2]
また、このような単数線模様としては、実施の形態7(図42)の第1〜第4の基本ピース71〜74の第1の黒線BL31、第2の黒線BL32、並びに、第1の灰色線GL31及び第2の灰色線GL32からなる幾何学模様がある。これら第1〜第4の基本ピース71〜74は、3種類の線幅及び2種類の濃度を組み合わせて4階調を表現するようになっている。詳細には、図42(a)に示すように、第1の基本ピース71は、前記第1の基本ピース61と同一構成であり、その表面の全面を所定の高濃度の色(黒色)で塗りつぶして第1の黒線BL31を形成している。また、図42(b)に示すように、第2の基本ピース72は、前記第2の基本ピース62と同一構成であり、その表面に、中間の線幅の第2の黒線BL32を、その上端縁から前記線幅となるよう所定の高濃度(栗色)の色で塗りつぶして形成している。一方、図42(c)に示すように、第3の基本ピース73は、その表面に、前記第2の黒線BL32と同一の一定線幅の第1の灰色線GL31を、その上端縁から前記線幅となるよう前記高濃度の色より濃度の低い色(灰色)で塗りつぶして形成している。これにより、第3の基本ピース73には、前記第2の基本ピース72と同様、第1の灰色線GL31の下側部分に、(第3の基本ピース73の1辺の長さから第1の灰色線GL31の線幅を減じた)第1の一定幅の第1の白線WL32が形成されている。また、第4の基本ピース64は、その表面に、前記第3の黒線BL33と同一の一定線幅の第2の灰色線GL32を、その上端縁から前記線幅となるよう前記高濃度の色より濃度の低い色(灰色)で塗りつぶして形成している。これにより、第4の基本ピース74には、前記第3の基本ピース63と同様、第2の灰色線GL32の下側部分に、(第4の基本ピース74の1辺の長さから第2の灰色線GL32の線幅を減じた)第2の一定幅の第1の白線WL32が形成されている。
【0081】
[線状模様の実施の形態による4階調の描画画像の具体例]
まず、上記のように幾何学模様として線状模様を採用した実施の形態1〜8の超低解像度画像作成装置のうち、実施の形態1〜7の超低解像度画像作成装置は、それぞれ、固有の線状模様を有する4種類の基本ピース11〜14,21〜24,31〜34,41〜44,51〜54,61〜64,71〜74からなる画素ユニット10,20,30,40,50,60,70を使用して、描画対象となる所定のモチーフ(以下、「描画モチーフ」という。)を、4階調による低解像度画像として表現している。そして、この超低解像度画像作成装置は、このように4階調による低解像度画像を作成するため、描画面の各画素に、描画モチーフの輪郭や陰影等に対応して、対応する階調を表現する基本ピースを配置して充填することで、以下のような描画モチーフを描画するようになっている。
【0082】
(1A) 実施の形態2では、図8の基本ピース21〜24からなる画素ユニット20を使用して、図10図12図14に示すような描画モチーフ(右側を向く裸婦)を描画した描画画像を作成する。なお、図示はしないが、図1の基本ピース11〜14からなる画素ユニット10も、(線状模様の各線の線幅が相違するのみで)図8の基本ピース21〜24からなる画素ユニット20と同様の幾何学模様となるため、図1の基本ピース11〜14からなる画素ユニット10を使用しても、同様の描画モチーフの描画が可能である。これらの描画画像は、いずれも、基本ピース21〜24(又は11〜14)の幾何学模様が有する階調表現性及び背景パターン形成性により、描画面の中央部分に描画モチーフを描画する一方で、描画面の全体にわたって(それぞれに異なるパターンとなる)所定の背景パターンを形成している。更に、これらの描画画像では、いずれも、基本ピース21〜24(又は11〜14)の幾何学模様が有する方向性により、背景パターンが、描画面の全体領域にわたって、或いは、描画面の一部領域にわたって、特定方向に連続的に延びる連続パターン、又は、特定方向に断続的に配置される断続パターンとなっている。
【0083】
(1B) 実施の形態3では、図16の基本ピース31〜34からなる画素ユニット30を使用して、図17図19図21に示すような描画モチーフ(右側を向く裸婦)を描画した描画画像を作成する。これらの描画画像は、いずれも、基本ピース31〜34の幾何学模様が有する階調表現性及び背景パターン形成性により、描画面の中央部分に描画モチーフを描画する一方で、描画面の全体にわたって(それぞれに異なるパターンとなる)所定の背景パターンを形成している。更に、これらの描画画像では、いずれも、基本ピース31〜34の幾何学模様が有する方向性により、背景パターンが、描画面の全体領域にわたって、或いは、描画面の一部領域にわたって、特定方向に連続的に延びる連続パターン、又は、特定方向に断続的に配置される断続パターンとなっている。
【0084】
(1C) 実施の形態4では、図23の基本ピース41〜44からなる画素ユニット40を使用して、図24に示すような描画モチーフ(右側を向く裸婦)、及び、図25に示すような描画モチーフ(正面を向く裸婦)を描画した描画画像を作成する。これらの描画画像は、いずれも、基本ピース41〜44の幾何学模様が有する階調表現性及び背景パターン形成性により、描画面の中央部分に描画モチーフを描画する一方で、描画面の全体にわたって(それぞれに異なるパターンとなる)所定の背景パターンを形成している。更に、これらの描画画像では、いずれも、基本ピース41〜44の幾何学模様が有する方向性により、背景パターンが、描画面の全体領域にわたって、或いは、描画面の一部領域にわたって、特定方向に連続的に延びる連続パターン、又は、特定方向に断続的に配置される断続パターンとなっている。
【0085】
(1D) 実施の形態5では、図26の基本ピース51〜54からなる画素ユニット50を使用して、図29に示すような描画モチーフ(男性の顔)、及び、図33図34図35に示すような描画モチーフ(正面を向く裸婦)、及び、図46(b)に示すような描画モチーフ(女性の顔)を描画した描画画像を作成する。これらの描画画像は、いずれも、基本ピース51〜54の幾何学模様が有する階調表現性及び背景パターン形成性により、描画面の中央部分に描画モチーフを描画する一方で、描画面の全体にわたって(それぞれに異なるパターンとなる)所定の背景パターンを形成している。更に、これらの描画画像では、いずれも、基本ピース51〜54の幾何学模様が有する方向性により、背景パターンが、描画面の全体領域にわたって、或いは、描画面の一部領域にわたって、特定方向に連続的に延びる連続パターン、又は、特定方向に断続的に配置される断続パターンとなっている。
【0086】
(1E) また、実施の形態5では、図16の基本ピース31〜34からなる画素ユニット30、並びに、図26の基本ピース51〜54からなる画素ユニット50の両方を組み合わせて使用して、図36に示すような描画モチーフ(正面を向く裸婦)を描画した描画画像を作成する。この描画画像は、基本ピース31〜34及び基本ピース51〜54の幾何学模様が有するそれぞれの階調表現性及びそれぞれの背景パターン形成性により、描画面の中央部分に描画モチーフを描画する一方で、描画面の全体にわたって所定の背景パターンを形成している。更に、この描画画像では、基本ピース31〜34及び基本ピース51〜54の幾何学模様が有するそれぞれの方向性により、背景パターンが、描画面の全体領域にわたって、或いは、描画面の一部領域にわたって、特定方向に連続的に延びる連続パターン、又は、特定方向に断続的に配置される断続パターンとなっている。
【0087】
(1F) 実施の形態6では、図38の基本ピース61〜64からなる画素ユニット60を使用して、図39に示すような描画モチーフ(正面を向く裸婦)、及び、図40図41に示すような描画モチーフ(右側を向く裸婦)を描画した描画画像を作成描画する。これらの描画画像は、いずれも、基本ピース61〜64の幾何学模様が有する階調表現性及び背景パターン形成性により、描画面の中央部分に描画モチーフを描画する一方で、描画面の全体にわたって(それぞれに異なるパターンとなる)所定の背景パターンを形成している。更に、これらの描画画像では、いずれも、基本ピース61〜64の幾何学模様が有する方向性により、背景パターンが、描画面の全体領域にわたって、或いは、描画面の一部領域にわたって、特定方向に連続的に延びる連続パターン、又は、特定方向に断続的に配置される断続パターンとなっている。
【0088】
(1G) 実施の形態7では、図42の基本ピース71〜74からなる画素ユニット70を使用して、図43に示すような描画モチーフ(正面を向く裸婦)を描画した描画画像を作成する。この描画画像は、基本ピース71〜74の幾何学模様が有する階調表現性及び背景パターン形成性により、描画面の中央部分に描画モチーフを描画する一方で、描画面の全体にわたって所定の背景パターンを形成している。更に、この描画画像では、基本ピース71〜74の幾何学模様が有する方向性により、背景パターンが、描画面の全体領域にわたって、或いは、描画面の一部領域にわたって、特定方向に連続的に延びる連続パターン、又は、特定方向に断続的に配置される断続パターンとなっている。
【0089】
[線状模様による3階調の描画画像の具体例]
また、上記のように幾何学模様として線状模様を採用した実施の形態1〜8の超低解像度画像作成装置のうち、実施の形態8の超低解像度画像作成装置は、固有の線状模様を有する3種類の基本ピース81〜83からなる画素ユニット80を使用して、描画モチーフを、3階調による低解像度画像として表現している。そして、この超低解像度画像作成装置は、このように3階調による低解像度画像を作成するため、描画面の各画素に、描画モチーフの輪郭や陰影等に対応して、対応する階調を表現する基本ピースを配置して充填することで、以下のような描画モチーフを描画するようになっている。
(1H) 実施の形態8では、図45(a)〜(c)の基本ピース81〜83からなる画素ユニット80を使用して、図46(a)に示すような描画モチーフ(女性の顔)を描画した描画画像を作成する。この描画画像は、基本ピース81〜83の幾何学模様が有する階調表現性及び背景パターン形成性により、描画面の中央部分に描画モチーフを描画する一方で、描画面の全体にわたって所定の背景パターンを形成している。更に、この描画画像では、基本ピース81〜83の幾何学模様が有する方向性により、背景パターンが、描画面の全体領域にわたって、或いは、描画面の一部領域にわたって、特定方向に連続的に延びる連続パターン、又は、特定方向に断続的に配置される断続パターンとなっている。
【0090】
[背景色を付与した4階調の描画画像の具体例]
上記のようにして(例えば、画素ユニット20を使用して)作成した描画画像について、図47に示すように、その描画画像の全体にわたって所定の背景色(赤色や橙色等)を付与することもできる。こうすると、描画画像の表現力を更に増大することができる。或いは、上記のようにして(例えば、画素ユニット20を使用して)作成した描画画像について、図48に示すように、その描画画像の周囲にのみ所定の背景色(赤色や橙色等)を付与することもできる。こうしても、描画画像の表現力を更に増大することができる。
【0091】
[実施の形態9]
次に、画素ユニットの基本ピースの幾何学模様のうち、ドット状模様により幾何学模様を構成した超低解像画像作成装置について説明する。この超低解像画像作成装置は、典型的には、実施の形態10(図49図59)に示すように、大径円用の第1の種類の(4階調用の)画素ユニット100、大径円用の第2の種類の(4階調用の)画素ユニット110、及び、大径円用の第3の種類の(5階調用の)画素ユニット120、並びに、小径円用の第1の種類の(4階調用の)画素ユニット130、及び、小径円用の第2の種類の(5階調用の)画素ユニット140を備えている。
【0092】
[4階調の大径円用の画素ユニット100]
詳細には、実施の形態10の4階調の大径円用の第1の種類の画素ユニット100は、図49(a)に示すように、描画面の画素を4個マトリックス状に密接配置した所定寸法の外形形状(即ち、画素4個分の寸法の正方形)を有する単位画素100Bを備え、単位画素を均等に4分割して描画画面の画素と同一寸法で同一外形形状の基本ピースを4枚作成することで、一つの大径の正円を表現する(画素4個分の寸法である)大寸法の大径円用の基本ピース101〜104からなる画素ユニット100を構成するようになっている。即ち、この単位画素100Bの各1個の基本ピースには、中央側に所定直径の四分円部100Baが形成されると共に、その四分円部100Baより外側に(正方形から前記四分円部100Baを削除した外形形状の)周囲部100Bbが形成されている。
【0093】
そして、実施の形態10では、この単位画素100Bを使用して、その基本ピースの四分円部100Ba及び周囲部100Bbを、それぞれ、所定濃度の色で塗りつぶすことで、第1の基本ピース101、第2の基本ピース102、及び、第3の基本ピース103を作成する。詳細には、第1の基本ピース101は、その4枚の基本ピースの各々について、四分円部100Baを所定の中間濃度となる第1の低濃度の色(例えば、無彩色である灰色)で塗りつぶして得られた四分円部101aと、周囲部100Bbを最高濃度の色(例えば、黒色)で塗りつぶして得られた周囲部101bとを備えている。そして、これら4枚の基本ピースをマトリックス状に密接して合体することで、前記第1の低濃度の色の大径の正円101aが中心部に配置されると共に、前記最高濃度の色の(中央部を前記正円により切除した形状の)周囲部101bが周囲に配置された第1の基本ピース101からなる最高濃度の階調の所定のブロックパターン模様を得ることができる。
【0094】
同様に、第2の基本ピース102は、その4枚の基本ピースの各々について、四分円部100Baを塗りつぶさずに白色としてなる四分円部102aと、周囲部100Bbを所定の中間濃度となる第2の低濃度の色(例えば、有彩色である青色)で塗りつぶして得られた周囲部102bとを備えている。そして、これら4枚の基本ピースをマトリックス状に密接して合体することで、前記白色の大径の正円102aが中心部に配置されると共に、前記第2の低濃度の色の(中央部を前記正円により切除した形状の)周囲部102bが周囲に配置された第2の基本ピース102からなる2番目に高い濃度の階調の所定のブロックパターン模様を得ることができる。
【0095】
同様に、第3の基本ピース103は、その4枚の基本ピースの各々について、四分円部100Baを塗りつぶさずに白色としてなる四分円部103aと、周囲部100Bbを所定の中間濃度となる第3の低濃度の色(例えば、有彩色である黄色)で塗りつぶして得られた周囲部103bとを備えている。そして、これら4枚の基本ピースをマトリックス状に密接して合体することで、前記白色の大径の正円103aが中心部に配置されると共に、前記第3の低濃度の色の(中央部を前記正円により切除した形状の)周囲部103bが周囲に配置された第3の基本ピース103からなる3番目に高い濃度の階調の所定のブロックパターン模様を得ることができる。
【0096】
一方、第4の基本ピース104は、描画面の画素を4個マトリックス状に密接配置した所定寸法の外形形状(即ち、画素4個分の寸法の正方形であって、単位画素100Bと同一寸法の同一外形形状)を有し、また、均等に4分割されて描画画面の画素と同一寸法で同一外形形状の基本ピースが4枚作成されるようになっているが、各基本ピースには色が付与されず、白色のままとされている。これにより、第4の基本ピース104によって、最低濃度の階調を表現するようになっている。
【0097】
[4階調の大径円用の画素ユニット110]
4階調の第2の種類の大径円用の画素ユニット110は、図50に示すように、単位画素100Bの四分円部100Ba及び周囲部100Bbに、それぞれ、画素ユニット100とは異なる濃度の色を配置することで、第1の基本ピース111、第2の基本ピース112、及び、第3の基本ピース113を作成する。なお、第4の基本ピース114は前記第4の基本ピース104と同一構成である。詳細には、第1の基本ピース111は、その4枚の基本ピースの各々について、四分円部100Baを前記最高濃度の色で塗りつぶして得られた四分円部111aと、周囲部100Bbを前記第1の低濃度の色で塗りつぶして得られた周囲部111bとを備えている。そして、これら4枚の基本ピースをマトリックス状に密接して合体することで、前記最高濃度の色の大径の正円部111aが中心部に配置されると共に、前記第1の低濃度の色の(中央部を前記正円分の正円により切除した形状の)周囲部111bが周囲に配置された第1の基本ピース111からなる所定のブロックパターン模様を得ることができる。この第1の基本ピース111は、前記第1の基本ピース101と色配置が対称的となる。
【0098】
同様に、第2の基本ピース112は、その4枚の基本ピースの各々について、四分円部100Baを前記第2の低濃度の色で塗りつぶしてなる四分円部112aと、周囲部100Bbを塗り潰さずに白色とした周囲部112bとを備えている。そして、これら4枚の基本ピースをマトリックス状に密接して合体することで、前記第2の低濃度の色の大径の正円部112aが中心部に配置されると共に、白色の(中央部を前記正円部の正円により切除した形状の)周囲部112bが周囲に配置された第2の基本ピース112からなる所定のブロックパターン模様を得ることができる。同様に、第3の基本ピース113は、その4枚の基本ピースの各々について、四分円部100Baを前記第3の低濃度の色により塗りつぶしてなる四分円部113aと、周囲部100Bbを塗り潰さずに白色としてなる周囲部113bとを備えている。そして、これら4枚の基本ピースをマトリックス状に密接して合体することで、前記第3の低濃度の色の大径の正円部113aが中心部に配置されると共に、白色の周囲部113bが周囲に配置された第3の基本ピース113からなる所定のブロックパターン模様を得ることができる。
【0099】
[5階調の大径円用の画素ユニット120]
5階調の第3の種類の大径円用の画素ユニット120は、図51に示すように、前記画素ユニット110の第1〜第4の基本ピースを、その第2〜第5の基本ピース111〜114として使用すると共に、単位画素100Bの四分円部100Ba及び周囲部100Bbに、それぞれ、前記第1の基本ピース101又は前記第1の基本ピース111よりも更に高い高濃度の色を配置することで、最高濃度の階調となる第1の基本ピース121を形成している。

詳細には、第1の基本ピース121は、その4枚の基本ピースの各々について、四分円部100Baを前記最高濃度の色で塗りつぶして得られた四分円部121aと、周囲部100Bbを前記最高濃度の色で塗りつぶして得られた周囲部121bとを備えている。即ち、四分円部121aの色濃度と周囲部121bの色濃度とは同一の高濃度とされている。そして、これら4枚の基本ピースをマトリックス状に密接して合体することで、前記最高濃度の色の大径の正円部121aが中心部に配置されると共に、前記最高濃度の色の(中央部を前記正円部の正円により切除した形状の)周囲部121bが周囲に配置された第1の基本ピース121からなる所定のブロックパターン模様を得ることができる。これにより、画素ユニット120は、第1の基本ピース121、第2の基本ピース111、第3の基本ピース112、第4の基本ピース113、及び、第5の基本ピース114の、それぞれの階調からなる5階調を表現するようになっている。
【0100】
[4階調の小径円用の画素ユニット130]
詳細には、4階調の小径円用の画素ユニット130は、図52(a)〜(d)に示すように、第1〜第4の基本ピース131A,132A,133A,134Aは、描画画面の画素と同一寸法で同一外形形状を有している。第1〜第4の基本ピース131A,132A,133A,134は、それぞれ、中心部に所定直径の正円を配置した構成である。なお、第4の基本ピース134は、前記第4の基本ピース104を構成する1個の基本ピースと同一構成である。より詳細には、第1の基本ピース131Aは、中心部の正円部を前記第1の基本ピース111の正円部111aと同一の最高濃度の色で塗りつぶすと共に、正円部の周囲の周囲部を、前記第1の基本ピース111の周囲部111bと同一の第1の低濃度の色で塗りつぶしている。また、第2の基本ピース132Aは、中心部の正円部を前記第2の基本ピース112の正円部112aと同一の第2の低濃度の色で塗りつぶすと共に、正円部の周囲の周囲部を、前記第2の基本ピース112の周囲部112bと同様に白色としている。また、第3の基本ピース133Aは、中心部の正円部を前記第3の基本ピース113の正円部113aと同一の第3の低濃度の色で塗りつぶすと共に、正円部の周囲の周囲部を、前記第3の基本ピース113の周囲部113bと同様に白色としている。なお、この4階調の小径円用の画素ユニット130は、図52(e)〜(g)に示すように、第1〜第3の基本ピース131A,132A,133Aの代わりに、或いは、第1〜第3の基本ピース131A,132A,133Aと共に、第1〜第3の基本ピース131B,132B,133Bを使用することもできる。
【0101】
より詳細には、第1の基本ピース131Bは、中心部の正円部を前記第1の基本ピース111の周囲部111bと同一の第1の低濃度の色で塗りつぶすと共に、正円部の周囲の周囲部を、前記第1の基本ピース111の正円部111aと同一の最高濃度の色で塗りつぶしている。また、第2の基本ピース132Bは、中心部の正円部を前記第2の基本ピース112の周囲部112bと同様に白色とすると共に、正円部の周囲の周囲部を、前記第2の基本ピース112の正円部112aと同一の第2の低濃度の色で塗りつぶしている。また、第3の基本ピース133Bは、中心部の正円部を前記第3の基本ピース113の周囲部113bと同様に白色とすると共に、正円部の周囲の周囲部を、前記第3の基本ピース113の正円部113aと同一の第3の低濃度の色で塗りつぶしている。
【0102】
そして、図52(h)に示すように、2枚の第1の基本ピース131Aと2枚の第1の基本ピース131Bとを交互に組み合わせてマトリックス状の基本ピース群とすることで、4個の小径の正円が縦横に整列した最高濃度の階調の所定のブロックパターン模様を形成することができる。また、図52(i)に示すように、2枚の第2の基本ピース132Aと2枚の第2の基本ピース132Bとを交互に組み合わせてマトリックス状の基本ピース群とすることで、4個の小径の正円が縦横に整列した2番目に高い濃度の階調の所定のブロックパターン模様を形成することができる。また、図52(j)に示すように、2枚の第3の基本ピース133Aと2枚の第3の基本ピース133Bとを交互に組み合わせてマトリックス状の基本ピース群とすることで、4個の小径の正円が縦横に整列した3番目に高い濃度の階調の所定のブロックパターン模様を形成することができる。なお、4枚の第4の基本ピース134を組み合わせてマトリックス状の基本ピース群とすることで、その4枚が配置される部分を白色で最低濃度の階調とすることができる。
【0103】
5階調の小径円用の画素ユニット140]
5階調の第2の種類の小径円用の画素ユニット140は、図53(c)に示すように、前記画素ユニット130の第1の基本ピース131A,131Bの4枚の組合せを、最も高い濃度の階調の第1の基本ピース群を構成するために使用する。また、画素ユニット140は、前記第2〜第4の基本ピース132A,132B,133A,133B,134A,134Bのそれぞれの4枚の組合せを、図53(e)、図53(f)及び図53(g)に示すように、3番目の濃度から最低濃度の階調の第3〜第5の基本ピース群として使用する。一方、画素ユニット140は、図53(d)に示すように、2番目に高い濃度の階調の第2の基本ピース群を、第1の基本ピース141A及び第1の基本ピース141Bにより構成する。詳細には、第1の基本ピース141A及び第1の基本ピース141Bは、それぞれ、図53(a)及び図53(b)に示すように、描画画面の画素と同一寸法で同一外形形状を有している。第1の基本ピース141A,141Bは、それぞれ、中心部に所定直径の正円を配置した構成である。より詳細には、第1の基本ピース141Aは、中心部の正円部を前記第3の基本ピース133Aの正円部(又は第3の基本ピース133Bの周囲部)と同一の第3の低濃度の色で塗りつぶすと共に、正円部の周囲の周囲部を、前記第1の基本ピース131Bの周囲部(又は、第1の基本ピース131Aの正円部)と同一の最高濃度の色で塗りつぶしている。また、第1の基本ピース141Bは、中心部の正円部を前記第1の基本ピース131Bの周囲部(又は、第1の基本ピース131Aの正円部)と同一の最高濃度の色で塗りつぶすと共に、正円部の周囲の周囲部を、前記第3の基本ピース133Aの正円部(又は第3の基本ピース133Bの周囲部)と同一の第3の低濃度の色で塗りつぶしている。そして、図53(d)に示すように、2枚の第1の基本ピース141Aと2枚の第1の基本ピース141Bとを交互に組み合わせてマトリックス状とすることで、4個の小径の正円が縦横に整列した2番目に高い濃度の階調の所定のブロックパターン模様を形成することができる。
【0104】
[画素ユニット100〜140による描画画像の具体例]
本実施の形態の超低解像度画像作成装置は、前記画素ユニット100〜140を使用して、これらの基本ピース101等を適宜組み合わせることにより、これらの各基本ピースに独自の階調と、これらの基本ピース101を組み合わせたブロックパターン模様(例えば、図49等に示すブロックパターン模様)に独自の階調とを使用して、上記の階調表現性により、所望の描画画像を形成することができる。また、本実施の形態の超低解像度画像作成装置は、前記画素ユニット100〜140を使用して、各基本ピース101等が有する固有の個別模様に加え、これらの基本ピース101を組み合わせたブロックパターン模様(例えば、図49等に示すブロックパターン模様)を使用して、上記の背景パターン形成性により、所望の背景パターンを作成することができる。
【0105】
[画素ユニット100〜140による描画画像の作成方法]
次に、本実施の形態の超低解像度画像作成装置の前記画素ユニット100〜140を使用して、所望の描画画像を作成する方法の一例を、図54図59にしたがって説明する。画素ユニット100〜140を使用して所望の描画画像(例えば、男性の顔をモチーフとした描画画像)を作成するには、まず、図54に示すように、原画作成用シート準備工程で、所定の描画面の画素に対応して、所定行数で所定列数のマトリックス状をなす画素を備えた原画作成用(及び、背景パターン画作成用)の描画用シートBSを準備する。この描画用シートBSには、描画面の画素に対応する画素BUが縦横に前記所定行数で所定列数のマトリックス状となるよう配置されている。次に、図示はしないが、原画作成工程で、前記描画用シートBSの画素に、それぞれ、前記基本ピース101等の種類と同一種類数の階調の色を配置して所定の描画画像を形成した原画を作成する。次に、図55に示すように、背景パターン画作成工程で、(前記原画を作成した描画用シートとは別の)描画用シートの画素に、それぞれ、前記基本ピースの幾何学模様を組み合わせて形成可能な所望の背景パターンを表現した背景パターン画PSを作成する。この背景パターン画PSは、前記大径円を有する基本ピース群のうち正円部を周囲部よりも高濃度としたものに対応する第1の単位ブロックPU1と、前記大径円を有する基本ピース群のうち正円部を周囲部よりも低濃度としたものに対応する第2の単位ブロックPU2と、前記小径円を有する基本ピースのうち正円部を周囲部よりも高濃度としたものに対応する第3の単位ブロックPU3と、前記小径円を有する基本ピースのうち正円部を周囲部よりも低濃度としたものに対応する第4の単位ブロックPU4とを、所望の背景パターンに応じたそれぞれの画素の位置に配置している。
【0106】
次に、図56図58に示すように、基本ピース配置工程で、前記原画の画素ごとの階調を参照して、(前記原画を作成した描画用シート、及び、前記背景パターン画を作成した描画用シートとは別の)前記描画用シートの画素に、それぞれ、対応する階調の基本ピースを配置する。また、これと共に、基本ピース位置調整工程で、前記背景パターン画の画素ごとの背景パターンの要素を参照して、前記描画用シートの画素に配置した前記基本ピースを、それぞれ、対応する背景パターンの要素と同一の配置態様となるよう位置調整する(典型的には、基本ピースをその平面内で回転して位置調整する)。なお、このときの基本ピースの配置方法としては、例えば、背景パターン画の背景パターンのみを参照して、その背景パターンを再現するように、対応する幾何学模様を有する基本ピースを、最高濃度のものから最低濃度のものまで順番に配置する。
【0107】
例えば、図56に示すように、まず、原画シートの画素ごとの階調を参照して、最高濃度の階調の基本ピース(例えば、141A,141B,151A,151B)を描画シートの対応する画素に配置すると共に、背景画シートの背景パターンを参照して、対応する幾何学模様の基本ピースを対応する画素に配置して、第1の予備画像MP111Aを作成する。次に、図57に示すように、2番目に高い濃度の階調の基本ピース(例えば、102,132A,132B)を描画シートの対応する画素に配置すると共に、背景画シートの背景パターンを参照して、対応する幾何学模様の基本ピースを対応する画素に配置して、第2の予備画像MP111Bを作成する。次に、図58に示すように、3番目に高い濃度の階調の基本ピース(例えば、113,133A,133B)を描画シートの対応する画素に配置すると共に、背景画シートの背景パターンを参照して、対応する幾何学模様の基本ピースを対応する画素に配置して、第3の予備画像MP111Cを作成する。そして、図59に示すように、上記第1〜第3の予備画像MP111A〜MP111Cを(例えば、画像処理におけるレイヤーと同様の処理により)重ね合わせて、所望の描画画像MP111を形成する。
【0108】
或いは、まず、描画シートの背景パターンにおいて、第1の単位ブロックの幾何学模様を有する基本ピースが配置されるべき画素の全てに、当該幾何学模様を有する基本ピースを配置する。次に、原画の画素ごとの階調を参照して、描画シートの画素に配置した基本ピースのうち、その画素の階調と同一階調の基本ピースのみを残し、その他の異なる階調の基本ピースを描画シートから取り外す。同様にして、次に、描画シートの背景パターンにおいて、第2の単位ブロックの幾何学模様を有する基本ピースが配置されるべき画素の全てに、当該幾何学模様を有する基本ピースを配置する。次に、原画の画素ごとの階調を参照して、描画シートの画素に配置した基本ピースのうち、その画素の階調と同一階調の基本ピースのみを残し、その他の異なる階調の基本ピースを描画シートから取り外す。同様にして、次に、描画シートの背景パターンにおいて、第3の単位ブロックの幾何学模様を有する基本ピースが配置されるべき画素の全てに、当該幾何学模様を有する基本ピースを配置する。次に、原画の画素ごとの階調を参照して、描画シートの画素に配置した基本ピースのうち、その画素の階調と同一階調の基本ピースのみを残し、その他の異なる階調の基本ピースを描画シートから取り外す。同様にして、次に、描画シートの背景パターンにおいて、第4の単位ブロックの幾何学模様を有する基本ピースが配置されるべき画素の全てに、当該幾何学模様を有する基本ピースを配置する。次に、原画の画素ごとの階調を参照して、描画シートの画素に配置した基本ピースのうち、その画素の階調と同一階調の基本ピースのみを残し、その他の異なる階調の基本ピースを描画シートから取り外す。
【0109】
このように、実施の形態9の超低解像度画像作成装置は、前記ドット状模様を有する4種類以上の基本ピースからなる画素ユニットを使用して、描画モチーフを4階調以上の階調による低解像度画像として表現するため、描画面の各画素部分に、描画モチーフの輪郭や陰影等に対応して、対応する階調を表現する基本ピースを配置して充填することで、以下のような描画モチーフを描画するようになっている。
(2A) 図49の4階調の基本ピース101〜104からなる画素ユニット、図50の4階調の基本ピース111〜114からなる画素ユニット、及び、図51の5階調の基本ピース101〜104,121からなる画素ユニットのいずれか一つを使用して、又は、いずれか2つ以上の画素ユニットの基本ピースを組み合わせると共に、これに加えて、図52(a)〜(d)の4階調の基本ピース131A,132A,133A,134からなる画素ユニット、図52(e)〜(g)及び(d)の4階調の基本ピース131B,132B,133B,134からなる画素ユニットのいずれか一つを使用して、又は、これら2つの画素ユニットの基本ピースを組み合わせ、図59に示すような描画モチーフ(男性の顔)を描画する。
【0110】
[3種類の画像表現性]
上記のとおり、本発明の超低解像画像作成装置の画素ユニットが備える基本ピースは、それ自体が表面に所定の幾何学模様を有しているため、画素ユニットは、基本ピースにより、前記階調表現性及び背景パターン形成性に加えて、自己の幾何学模様によるパターン形成性を有していると把握することもできる。即ち、基本ピースは、後述するように、描画面に基本ピースを配置して所定モチーフの超低解像度画像を作成したときに、基本ピースの一つ一つを看者が視覚により認識(視認)できる最低寸法を有している。
【0111】
したがって、看者が、本発明の超低解像度画像を近距離から視認すると、図10(a)等に示すように、描画画像においては背景パターンが最も強く表現された印象を与えるため、看者は、主に背景パターンを視認することになり、背景パターン中に表現された描画モチーフを認識することは困難である。また、このとき、看者は、超低解像度画像を近距離から視認しているため、図10(a)等に示すように、個別の基本ピース自体の模様をも認識することができる。
【0112】
一方、本発明の超低解像度画像を遠距離から視認すると、図10(b)等に示すように、背景パターンの各パターンは全体の画像に焼失した印象となり、描画モチーフが最も強い印象で視認される。また、このとき、看者は、超低解像度画像を遠距離から視認しているため、図10(a)等に示すように、個別の基本ピース自体の模様を認識することは非常に困難である。
【0113】
また、本発明の超低解像度画像を前記近距離と前記遠距離との中間距離から視認すると、背景パターンの各パターンも視認されると共に、描画モチーフも視認される。これにより、看者は、本発明の超低解像度画像を視認したときに、背景パターンを認識すると同時に、その背景パターン中に描画モチーフをも認識し、かつ、描画モチーフの内部においても背景パターンの一部を視認することになるため、これら3種類の画像が一つの描画画像内に融合したような独特の画像表現としての印象を受け、非常に表現力の高い画像表現として認識する。なお、この中間距離では、個別の基本ピース自体の模様は認識されか否かは中間距離の程度による。
【0114】
この意味で、本発明の超低解像度画像の作成装置は、看者に背景パターンの模様(及び、これに加えて個別のピクセルの模様)を主に視認させることになる第1の種類の画像表現と、看者に描画モチーフの画像を主に視認させることになる第2の種類の画像表現と、看者に背景パターンの模様と描画モチーフの画像とを同時に視認させることになる(加えて、描画モチーフ内にも背景パターンの模様を視認させることになる)第3の種類の画像表現とを、単一の画素ユニットの(例えば、4種類の)基本ピースを使用して提供することができる。
【0115】
[ 設計図・指図書(設計シート)]
本発明は、描画面の画素ごとに、基本ピースの種類と基本ピースの配置方向(上下左右方向の特定)とを特定した情報提供手段として、例えば、図60に示す設計シート200を使用することができる。この設計シート200では、基本ピースの種類を、「SP1,SP2,SP3,SP4」のような数字によって、設計シート200の各画素201に印刷等により設ける(例えば、第1の基本ピース11を「SP1」と表現し、第2の基本ピース11を「SP2」と表現し、第3の基本ピース13を「SP3」と表現し、第4の基本ピース14を「SP4」と表現する)。基本ピースの配置方向は、「A(上),B(右),C(左),D(下)」のような英数字や文字等を画素ごとに印刷等して設ける。これらの種類情報と配置方向情報とは別個に設けてもよいが、図60に示すように、これらを組み合わせて、「SP1−A(第1の基本ピース11を上方向に配置)」等のように、基本ピースの種類と配置方向とを同時に指示する情報を各画素に設けることが好ましい。なお、このような設計シートは、描画面の画素ごとの基本ピースの種類と配置方向とを特定することができれば、他の態様とすることもできる。
【0116】
[第2の観点の発明]
以下、本発明のうち、第2の観点の発明に係る超低解像画像作成装置及び低解像度絵画作成方法について説明する。第2の観点の発明に係る超低解像画像作成装置は、コンピュータグラフィックス(CG)による静止画や動画等、コンピュータ装置を使用してディスプレイ装置等のモニター画面上に描画される描画画像を形成する超低解像画像作成装置及び低解像度絵画作成方法に具体化される。第2の観点の発明に係る超低解像画像作成装置は、第1の観点の発明に係る超低解像画像作成装置と同様の基本ピースを有する画素ユニットにより構成されるが、基本ピースが第1の観点に係る発明のように有体物ではなく無体物(ソフトウエアにより実現される仮想的な基本ピース)である点が異なる。
【0117】
[第2の観点の発明の具体例]
第2の観点の発明に係る超低解像画像作成装置は、例えば、図61図63に示すように、動画に具体化することができる。詳細には、図62に示すように、動画用のフレームごとに、上記の超低解像度画像作成装置により作成した描画画像MPFを用意する。或いは、図61に示すように、動画用のフレームごとに、上記の超低解像度画像作成装置により作成する描画画像MPFの原画OPH,OPMを、手作業により作成して、又は、画像処理ソフトウエアにより自動的に作成して用意する。なお、図61(a)及び図61(b)に示す原画OPHは、手作業により作成したものであり、図61(c)及び図61(d)に示す原画OPMは、画像処理ソフトウエアにより自動的に作成したものである。そして、この例では、図63(a)に示すような動画のフレームF1,・・・,F30に対応して、図63(b)に示すように、所定の描画画像からなる原画OPF1,・・・,OPF30を作成し、又は、図63(c)に示すように、所定の描画画像からなる描画画像MPF1,・・・,MPF30を作成する。そして、これらの原画OPF1,・・・,OPF30又は描画画像MPF1,・・・,MPF30をフレームとして動画を作成することで、原画又は描画画像が動的に変化する。
【0118】
[第2の観点の発明の別例]
第2の観点の発明に係る超低解像画像作成装置は、例えば、CG等により描画画像を形成する場合、所定部位の基本ピースが所定速度で常時回転するような処理を所定のソフトウエアプログラムにより実行することで、基本ピースにより所定の描画画像を静止画として作成し、その静止画の所定部位の基本ピースを常時回転することで、ディスプレイ上においてその静止画が動的に変化する印象を与える描画画像を提供することができる(即ち、静止画を動画的な描画画像として提供することができる)。この場合、描画画像の画素のうちの一部の画素の基本ピースを回転しても、同一モチーフの描画対象が常に視認される。即ち、その画素において回転する基本ピースの濃度自体は変更されないため、同一のモチーフの描画画像が常に視認されることになる。また、この場合、基本ピースの回転速度を部位によって増減変更することもできる。こうすると、動画的な面白さを増大することができる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、例えば、建材として使用されるタイル等の外装材や内装材のほか、ジグソーパズルや塗り絵等の玩具に適用できるほか、コンピュータグラフィックによる静止画や動画に適用することもできる。
【符号の説明】
【0120】
10:画素ユニット、11:第1の基本ピース、12:第2の基本ピース、13:第3の基本ピース、14:第4の基本ピース
20:画素ユニット、21:第1の基本ピース、22:第2の基本ピース、23:第3の基本ピース、24:第4の基本ピース
30:画素ユニット、31:第1の基本ピース、32:第2の基本ピース、33:第3の基本ピース、34:第4の基本ピース
40:画素ユニット、41:第1の基本ピース、42:第2の基本ピース、43:第3の基本ピース、44:第4の基本ピース
50:画素ユニット、51:第1の基本ピース、52:第2の基本ピース、53:第3の基本ピース、54:第4の基本ピース
60:画素ユニット、61:第1の基本ピース、62:第2の基本ピース、63:第3の基本ピース、64:第4の基本ピース
70:画素ユニット、71:第1の基本ピース、72:第2の基本ピース、73:第3の基本ピース、74:第4の基本ピース
80:画素ユニット、81:第1の基本ピース、82:第2の基本ピース、83:第3の基本ピース
100,110,120,130,140:画素ユニット
図1
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