(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226940
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】リテーナーなしのカップ搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 43/00 20060101AFI20171030BHJP
B65G 47/88 20060101ALI20171030BHJP
B65B 43/52 20060101ALI20171030BHJP
B65B 43/54 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
B65G43/00 G
B65G47/88 B
B65B43/52 B
B65B43/54 V
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-234429(P2015-234429)
(22)【出願日】2015年12月1日
(65)【公開番号】特開2017-100833(P2017-100833A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2015年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】593178317
【氏名又は名称】株式会社シンセイ
(74)【代理人】
【識別番号】100061310
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 郁二
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 伸男
(72)【発明者】
【氏名】小林 義和
(72)【発明者】
【氏名】菅原 猛
【審査官】
中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−147619(JP,A)
【文献】
実開平07−013833(JP,U)
【文献】
特開2001−031020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/00
B65G 47/82
B65G 47/88
B65B 43/00 − 43/62
B65B 7/16 − 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品の充填供給位置,上蓋の供給仮シール位置,同、本シール位置の順にカップを搬送する5列等の複数列のカップ搬送装置を上面の平坦なベルト,チェーンコンベアにて構成し、上記の各位置に到達したカップを各列の中間および側方の止点を基に扇回回動するストッパーにより該カップを2点にて当て止め、仮止めした上蓋の強圧着を伴う本シール位置では該ストッパーによる2点当て止めのほか、抱持曲面を有すクランパーによりカップを抱持してずれなしに本シールするようにしたことを特徴とするリテーナーなしのカップ搬送装置。
【請求項2】
上蓋の本シール時の強圧着に伴う圧力によりカップの変形を防止するためにカップのフランジを支えながらカップをインナープレート上より上動させて本シール装置に押し当てて仮止め上蓋をカップに本シール止めする上下動用のホローシリンダーを設ける請求項1に記載のリテーナーなしのカップ搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カップ内に食品等の充填とシールするための搬送装置、詳しくは走行過程でカップ内に食品等を充填し、上蓋のシールまたは被せ蓋を装着するカップ搬送用のコンベア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は特開2006−298436号公報に見られるように搬送するカップに位置ずれが生じないように、掛吊り孔を有すリテーナーの連結にてなるリテーナーコンベアにてカップを掛吊りしてカップを搬送してきたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−298436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、リテーナーコンベアは搬送するカップが掛吊り可能な一種に限られ、カップが大または小に寸法が変わると上記公報も記載しているようにそれに合った大きさの掛吊り孔を有すリテーナーコンベアにかえねばならず、コンベアの設備替えの間カップ食品の充填等ができず、また多数枚のリテーナーの交換によってコンベアの設備替えの負担が著しく大きいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はようにして、
食品の充填供給位置,上蓋の供給仮シール位置,同、本シール位置の順にカップを搬送する5列等の複数列のカップ搬送装置を上面の平坦なベルト,チェーンコンベアにて構成し、上記の各位置に到達したカップを各列の中間および側方の止点を基に扇回回動するストッパーにより該カップを2点にて当て止め、仮止めした上蓋の強圧着を伴う本シール位置では該ストッパーによる2点当て止めのほか、抱持曲面を有すクランパーによりカップを抱持してずれなしに本シールする上記した課題を解消するようにしたのである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は大小各種のカップを同一のベルトまたはチェーンのコンベア上に乗せて搬送して、食品の充填,上蓋のシールまたは蓋被せ装着等を行うことができるという効果を生ずる。
【0007】
コンベアは適所にストッパー,クランパーを配設することによって、搬送中のカップを所定位置にて位置ずれなしに間歇停止させて食品等の充填が行え、特に上蓋のシール,被せ装着時にはストッパーのほかクランパーによりカップを挟み止めすることで上蓋との間で寸分のずれなしにシールすることができるという効果を生ずる。
【0008】
カップの大小によってコンベアは多数枚のリテーナーの交換等の設備替えがなくなるから設備替えに伴うカップ食品の充填待機ロスがなくなり、生産能率が飛躍的に向上し、コンベアの設備替えに伴う多大な費用負担を解消することができるという効果を生ずる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】カップ搬送装置の1実施例を中間省略して示す正面図
【
図4】(a)はベルトコンベアにかわるキャタピラ形コンベア、(b)は同、チェーンコンベアの各1実施例を示す部分斜視図
【
図5】ベルトコンベアを5列に設けた例で、(a)はストッパー部分の平面図、(b)はストッパー部分の側断面図
【
図7】強圧着を要す場合の本シール装置の1実施例を示すもので、(a)はカップをインナープレート上に移動させた状態を示す正面図、(b)はホローシリンダーの上昇によりカップ上の上蓋をヒーターヘッドに圧着した状態を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、上面を平坦とするベルトコンベア,プラスチックチェーン等の軽量形を含むチェーンコンベア上のスープ,具材等の供給位置下等の適所にストッパーを設置して搬送により到達するカップを当て止めて位置決めしてスープ,具材等を充填し、上蓋のシール,被せ蓋の装着位置ではストッパーのほか、カップの対称側面を挟み保持するクランパーを配設して挟み止めて、上蓋,被せ蓋をカップとの間で寸分のずれなしにシールし装着するようにする。
【0011】
上面を平坦とするコンベアはこれらの機構を設けることで、掛吊り孔を有す多数枚のリテーナーの連結が不要となる。
かくて本発明のカップ搬送コンベアはカップサイズが大小に変わっても最小限の部品交換、若干のサイズ調整等をすることで引続き作動し続けることができて、大小多品種のカップの食品充填,シールまたは蓋被せが行えてカップ詰めの食品の生産力を著しく向上し、また多数枚のリテーナーを交換することによって生じていた多大な経費負担が解消されることになる。
【実施例1】
【0012】
図1乃至
図3は本発明の第1実施例を示すもので、間歇走行するカップ搬送装置1は
図1に示すようにカップ食品等の連続自動充填包装機のカップ供給装置2下から具材,スープなどの食品Fを順次充填供給する食品供給装置3a乃至3x、上蓋供給・仮シール装置4、本シール装置5、搬出装置6に亘って張設する。カップ搬送装置1は上面を平坦とするベルトコンベア7にて構成する。上蓋の供給・仮シール装置4,本シール装置5は被せ蓋を被せ嵌めする蓋被せ装置(図示してない)にかえることもある。
【0013】
各ベルトコンベア7の具材,スープの充填位置等の両側方に支点8,8をもってコンベア7上に水平扇回するストッパー9,9を設け、本シール装置5下には同じ動きをするクランパー10,10を設ける。
【0014】
カップ供給装置2からベルトコンベア7上に供給されたカップCは、ベルトコンベア7の走行とともに搬送されて食品供給装置3a乃至3x下、上蓋供給・仮シール装置4下、本シール装置5下に順次到達し、各位置で間歇停止する際に両側に待機しているストッパー9,9の扇回回動によりカップCの側面を2点で位置ずれしないように当て止めして、各停止位置で具材,スープ等の充填と扁平な上蓋4aの仮シールが行われ,本シール時にはストッパー9,9にて当て止めするほか、クランパー10,10にてカップCを抱持して位置決めして、上蓋4aとの間で寸分のずれなしにシールするようにする。各作業の終了と同時にストッパー9,9、クランパー10,10は順次待機位置に戻り扇回してカップCを開放し、搬出装置6から送出されることとなる。クランパー10,10はカップCを抱持するために内側にカップCの円周と同じ凹曲面10a,10aを設けている。
【0015】
充填するカップ食品Fの種類,量などがかわってカップCの形状・大きさが大小に変更されるときは、各装置の大小に合わせた部分交換などの簡単な作業を経ることでベルトコンベア7はカップCの変更にかかわらず引続き作動し続け得ることとなる。このため、カップの大小に合わせて多数枚のリテーナーを交換しなければならない従来のリテーナーコンベアに較べてカップCの大小変更に伴う充填作業の待機ロスが大幅に縮小され、変更に伴う費用負担も大きく軽減されることとなる。
【0016】
なお、ベルトコンベア7はカップCの供給直後,食品充填後の中間位置上などにカップC内を洗浄する洗浄装置(図示してない)を設け、本シール装置5の後側にシール不良による検出装置、不良品排出装置(いずれも図示してない)などを備えることもあるが、いずれの場合も他の作業と同じくカップCはストッパー9,9の当て止めによる位置ずれのない支持により安定して作業が行われることとなる。
【実施例2】
【0017】
図4は搬送装置のベルトコンベアにかわる他の実施例を示すもので、
図4(a)はプラスチック製チェーン7a上に矩形状の平坦な盤体7bを並列取付けしてなるキャタピラ形コンベア7c、
図4(b)は軽量なプラスチック駒の組合せにて上面が平坦となるようにしたチェーンコンベア7dの例を示すものである。その他の構成と作用は前例と同じである。
【実施例3】
【0018】
図5乃至
図6はベルトコンベア7を5列等の複数列にした実施例を示すもので、
図5(a)は複数列のベルトコンベア7の両側にストッパー9,9を設けた例で、
図5(b)に示すように中間のストッパー9,9は高さを上下させた異なる止点8,8を1本の支柱11に設けて別方向に扇回するようにしている。
図6はクランパー10,10を設けた例で、中間のクランパー10,10は同一高さで同一支点を基に同方向に扇回するようにする。
【実施例4】
【0019】
図7は第4実施例を示すもので、強圧着を要す本シール装置5aでは、上蓋4aをカップCに本シールする際にカップCに変形等が生ずるおそれがあるため、これを防止する支え手段を設けている。その手段はベルトコンベア7を本シール装置5a下に間隔を置いて分断し、この間隙にコンベア7と面一の高さに固定されたインナープレート12とインナープレート12の周囲を上下動するホローシリンダー13からなる。
【0020】
14は分断された前後のベルトコンベア7,7とインナープレート12間の隙間を埋める水平台、15は間歇停止ししたカップCの側胴部を押してインナープレート12上にカップCを移動させる押し移動手段、16はインナープレート12上のカップCの側胴部を吸着してベルトコンベア7上に移動させる引き移動手段である。
【0021】
ホローシリンダー13はカップCの鍔C1が乗る内径を有してインナープレート12上に移動したカップCの鍔C1を下から支えてカップCを上動し、上方に固定されているヒーターヘッド17にてカップCに仮シール止めした上蓋4aをカップCに圧着して本シールするのである。本シール後、ホローシリンダー13は元移置に下動してカップCをインナープレート12上に戻し、引き移動手段16によりベルトコンベア7上の搬出側に移動させる。かくしてカップCに変形等の生ずることなしに強圧着による本シールが行われることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、食品等を充填,シールするカップの搬送装置をベルトまたはチェーンのコンベアにして、掛吊り孔構造のリテーナーをなくすことで産業上広く利用されるものである。
【符号の説明】
【0023】
1はカップ搬送装置
2はカップ供給装置
3a〜3xは食品供給装置
4は上蓋供給・仮シール装置
4aは上蓋
5,5aは本シール装置
6は搬出装置
7はベルトコンベア
7aはプラスチック製チェーン
7bは盤体
7cはキャタピラ形コンベア
7dはチェーンコンベア
8,8は支点
9,9はストッパー
10,10はクランパー
10a,10aは凹曲面
11は支柱
12はインナープレート
13はホローシリンダー
14は水平台
15は押し移動手段
16は引き移動手段
17はヒーターヘッド
Cはカップ
Fは食品