(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つのインターベンショナルトラッキングツールと画像誘導インターベンション(IGI)アプリケーションとの間の通信のための医療トラッキングインタフェースがトラッキングデータを出力する方法であって、
前記医療トラッキングインタフェースのプロセッサが、
異なる複数のデータフォーマットのうち任意のデータフォーマットのトラッキングデータを、少なくとも1つのトラッキングツールから受信するステップと、
前記受信されたトラッキングデータのデータフォーマットを、1つの統一したデータフォーマットに変換するステップであって、前記複数のデータフォーマットのいずれのデータフォーマットのトラッキングデータも前記1つの統一したデータフォーマットに変換される、ステップと、
前記IGIアプリケーションに、前記1つの統一したデータフォーマットに変換されたトラッキングデータを出力するステップと、
を実行する方法。
あるトラッキングシステムからのトラッキング座標に関連するイメージングデータを、前記レジストレーション行列を用いて前記イメージングデータのトラッキング座標を前記イメージングデータを受信したトラッキングシステムに揃える他のトラッキングシステムに関連する追跡されるインターベンショナル器具と共有するステップを更に有する、請求項3記載の方法。
【発明の概要】
【0004】
医療インターベンションのための各種の医療トラッキングシステムと通信する情報ブローカとして機能する医療トラッキングインタフェース(MTI)を提供するための方法、システム及びプログラムが提供される。
【0005】
本発明の一態様によると、医療トラッキングインタフェースを提供する方法が提供される。本方法は、複数のフォーマットの何れか1つにより少なくとも1つのトラッキング装置からデータを受信するステップと、前記データを統一したフォーマットに変換するステップと、前記統一したフォーマットにより前記データを出力するステップとを有する。
【0006】
一実施例によると、トラッキングデータが変換される統一したフォーマットは、統一した空間座標系である。各種実施例によると、統一した空間座標系は、3次元デカルト座標を用いて符号化された位置、4つ組又はオイラー角を用いて符号化された向き、並びに変換行列を用いて符号化された位置及び向きであってもよい。
【0007】
一実施例によると、前記統一したフォーマットは、前記少なくとも1つのトラッキング装置のそれぞれの統一した外部リファレンスフレームに対する空間的なアライメントを含む。ユーザは、外部リファレンスフレームの既知の位置における複数のリファレンス特徴に各トラッキング装置を接触させる。トラッキングシステムは、前記トラッキング装置の座標において前記リファレンス特徴の位置を測定し、それらをMTIに送信する。MTIは、前記リファレンス特徴の測定結果からレジストレーション行列と対応するトラッキングシステムの座標とを計算する。前記リファレンス行列を用いて、MTIは、前記トラッキング装置のデータを前記外部リファレンスフレームの座標に変換又は揃える。MTIは、前記外部リファレンスフレームの座標における前記トラッキングデータを出力する。
【0008】
一実施例によると、医療トラッキングインタフェースを提供する方法は更に、あるトラッキングシステムからのトラッキング座標に関連するイメージングデータを、前記レジストレーション行列を用いて前記イメージングデータのトラッキング座標を前記イメージングデータを受信したトラッキングシステムに揃える他のトラッキングシステムに関連する追跡されるインターベンショナルツールと共有するステップを更に有する。
【0009】
一実施例によると、前記統一したフォーマットは、前記少なくとも1つのトラッキング装置のそれぞれの外部リファレンスフレームに対する空間的なアライメントを含み、当該方法は更に、前記外部リファレンスフレームの既知の位置における複数のリファレンス特徴に少なくとも1つのトラッキング装置を接触させるステップと、前記トラッキング装置の座標における前記リファレンス特徴の位置を測定するステップと、前記リファレンス特徴の測定結果からレジストレーション行列を計算するステップと、前記レジストレーション行列を用いて前記トラッキング装置のデータを前記外部リファレンスフレームに揃えるステップと、外部リファレンスフレームの座標における前記トラッキングデータを出力するステップと、前記少なくとも1つのトラッキング装置と従属するトラッキング装置との少なくとも1つの共通のリファレンスフレームを決定するステップと、前記少なくとも1つのトラッキング装置のレジストレーション行列と前記共通のリファレンスフレームとを用いて、前記従属するトラッキング装置のレジストレーション行列を計算するステップと、前記レジストレーション行列を用いて前記従属するトラッキング装置を前記外部リファレンスフレームの座標に揃えるステップと、前記外部リファレンスフレームの座標における前記従属するトラッキング装置のトラッキングデータを出力するステップとを有する。
【0010】
一実施例によると、医療トラッキングインタフェースを提供する方法は更に、前記少なくとも1つのトラッキング装置の1つにおけるエラーを検出するステップと、各従属するトラッキング装置に新たなレジストレーション行列を決定及び利用するよう通知するステップとを有する。
【0011】
一実施例によると、前記統一したフォーマットは、統一した時間リファレンスフレームを含む。一実施例では、前記少なくとも1つのトラッキング装置は、複数のストリーミングレートの何れか1つによりデータを提供し、前記データストリームはバッファリングされ、統一したストリーミングレートにより出力される。他の実施例では、複数のトラッキング装置が、複数のストリーミングレートによりデータを提供し、前記データストリームは同期される。
【0012】
他の実施例によると、前記統一したフォーマットは、データストリームの測定結果が統一したリファレンスフレームと共にタイムスタンプを含む統一した時間フレームを有する。遅延検出モジュールは、前記少なくとも1つのトラッキング装置のそれぞれについて遅延を測定し、前記測定された遅延を用いて、トラッキング装置のタイムスタンプを統一したインタフェースのタイムスタンプに変換する。
【0013】
一実施例によると、医療トラッキングインタフェースを提供する方法は更に、トラッキングデータをECG、心拍、呼吸フェーズなどの生理的モニタリングデータと同期させるステップを有する。
【0014】
一実施例によると、イメージングデータストリームにおいて特定可能な基準又は他の特徴に接触させることによって、時間同期が提供される。当該接触は、前記イメージングデータストリームの解析を介し検出され、そこから前記イメージングストリームのタイムスタンプがキャプチャされる。その後、前記イメージングデータストリームのタイムスタンプが、MTIからの統一した時間リファレンスと同期される。
【0015】
本発明の他の態様によると、医療トラッキングインタフェース(MTI)が提供される。MTIは、プロセッサと、前記プロセッサに動作接続されるメモリと、前記メモリに格納され、前記プロセッサにより実行され、トラッキングデータを複数のフォーマットの何れかから統一したフォーマットに変換し、前記統一したフォーマットにより前記トラッキングデータを出力するための命令プログラムとを有する。
【0016】
一実施例によると、前記命令プログラムは、前記データを統一した空間座標系を含む統一したフォーマットに変換する。
【0017】
一実施例によると、前記命令プログラムは、レジストレーション行列を計算及び利用することによって、前記少なくとも1つのトラッキング装置のそれぞれの統一した外部座標系に対する空間的なアライメントを実行する。
【0018】
一実施例によると、MTIは更に、マルチプレクサを有し、前記マルチプレクサは、前記少なくとも1つのトラッキング装置のそれぞれのデータストリームをバッファリングし、これらを医療トラッキングインタフェースのリファレンスに時間的に揃える。
【0019】
一実施例によると、MTIは更に、リファレンスクロックを更に有し、前記命令プログラムは、トラッキング装置のタイムスタンプと共に前記トラッキング装置からの信号を要求及び受信し、前記信号を要求及び受信すると、医療トラッキングインタフェースのタイムスタンプを記録し、前記トラッキング装置のタイムスタンプと前記医療トラッキングインタフェースのタイムスタンプの平均とを関連付けることによって、前記少なくとも1つのトラッキング装置のそれぞれの遅延を決定及び補償する。
【0020】
一実施例によると、前記命令プログラムは、外部リファレンスフレーム座標系の既知の位置における複数のリファレンス特徴への少なくとも1つのトラッキング装置の接触を検出し、前記トラッキング装置の座標における前記リファレンス特徴の位置を測定し、前記リファレンス特徴の測定結果からレジストレーション行列を計算し、前記レジストレーション行列を用いて、前記トラッキング装置のデータを前記外部リファレンスフレームの座標に揃え、前記外部リファレンスフレームの座標における前記トラッキングデータを出力する。
【0021】
一実施例によると、前記命令プログラムは更に、前記少なくとも1つのトラッキング装置と従属するトラッキング装置との少なくとも1つの共通するリファレンスフレームを決定し、前記少なくとも1つのトラッキング装置のレジストレーション行列と前記共通するリファレンスフレームとを用いて、前記従属するトラッキング装置のレジストレーション行列を計算し、前記従属するトラッキング装置のレジストレーション行列を用いて、前記従属するトラッキング装置のデータを前記外部リファレンスフレームの座標に揃え、前記外部リファレンスフレームの座標において前記従属するトラッキング装置のトラッキングデータを出力する。
【0022】
一実施例によると、前記命令プログラムは更に、前記少なくとも1つのトラッキング装置の1つにおけるエラーを検出し、各従属するトラッキング装置に新たなレジストレーション行列を決定及び利用するよう通知する。
【0023】
一実施例によると、MTIは、統一した時間リファレンスフレームのタイムスタンプを提供するクロックを有し、前記命令プログラムは更に、イメージングデータストリームにおいて特定可能なリファレンス特徴に対する少なくとも1つのトラッキング装置の接触を検出し、前記接触について前記統一したリファレンスフレームのタイムスタンプをキャプチャし、前記イメージングデータストリームの解析を介し前記イメージングデータストリームにおける前記接触を検出し、前記イメージングストリームのタイムスタンプをキャプチャし、前記イメージングストリームのタイムスタンプを前記統一した時間リファレンスフレームからの対応するタイムスタンプと同期させる。
【0024】
本発明の他の態様によると、医療トラッキングインタフェースを提供するコンピュータプログラムが提供される。当該プログラムは、コンピュータにより実行可能な命令プログラムが符号化されたコンピュータ可読記憶媒体を有する。命令プログラムは、前記データを統一したフォーマットに変換するためのプログラム命令と、前記データを前記統一したフォーマットにより出力するためのプログラム命令とを有する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、1以上の医療トラッキングシステムからトラッキングデータを受信し、当該データを統一したフォーマットに変換し、当該データをホストコンピュータ上のIGIアプリケーションにリアルタイムに出力する1以上の医療トラッキングシステムと通信する医療トラッキングインタフェース(MTI)を提供する方法、システム及びコンピュータプログラムを提供する。MTIは、各種フォーマット及び構造の何れかによりトラッキングデータを受信し、当該データを統一したフォーマットに変換できる。MTIは、デカルト座標(x,y,z)、4つ組(u,v,w,s)を用いた回転軸及び角度、3つのオイラー角を用いた回転又は位置若しくは回転座標のための変換行列などの統一した空間座標フォーマットによりデータを提供してもよい。MTIはまた、複数のトラッキング装置の座標、患者の座標、他の装置からの座標及び術前若しくは術間イメージングの座標を揃えてもよい。さらに又は代わりに、MTIは、複数のトラッキング装置のデータストリーム、患者トラッカ又は他の装置及び術間イメージング装置からの座標を揃え、統一的な時間フォーマットを提供してもよい。
【0027】
変換処理は、汎用コンピュータなどのプロセッサが、トラッキングデータを統一したフォーマットに変換し、統一したフォーマットによるデータストリームをリアルタイムに出力するための命令のプログラムを実行することによって実行されてもよい。当該変換命令プログラムは、座標フォーマットを変換し、レジストレーション変換、空間同期、時間同期、遅延判定、誤り検出及び多重化を計算及び適用するため、各種モジュールを呼び出してもよい。これらのモジュールは、ソフトウェアコード、ハードウェア装置又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0028】
図1は、本発明の実施例による医療トラッキングインタフェースを提供するシステムを示す。図示された実施例では、システムは、2つのトラッキングシステム100,200を有する。トラッキングシステムは、電磁気的、光学的、光形状検知又は他の何れか適したトラッキング技術であってもよい。各トラッキングシステムは、カテーテル、針、カメラ又はインターベンション中にトラッキングされる他の何れかの診断又は治療器具などのトラッキングツール101,102,201,202に接続される。トラッキングシステム100,200は、カテーテルベースインターベンションなどの外科的処置中にツール101,102,201,202の位置をトラッキングするのに利用される。
【0029】
トラッキングシステム100,200は、電磁トラッキングシステムの電磁センサからの電圧測定結果や光形状検知トラッキングシステムにおける反射波長などの信号や他の何れかのトラッキング信号を処理し、ツールと動作接続されたプロセッサを有する。これらの信号は処理され、トラッキングデータのストリームが、外科器具に埋め込み又は固定されたセンサの位置座標や先端などのツールの所望のポイントの位置座標、ツールの形状などの形態により出力される。トラッキングシステムは更に、測定信号を位置データに変換するためのプログラム命令を備え、プロセッサにより動作接続されるメモリを有してもよい。
【0030】
医療トラッキングインタフェース(MTI)300は、トラッキングシステム100,200からトラッキングデータを受信し、トラッキングデータを統一したフォーマットに変換し、統一したフォーマットによるトラッキングデータを出力する。メモリ420に格納される画像誘導インターベンション(IGI)アプリケーション422(
図2)を実行するプロセッサ410を有するコンピュータ400は、入出力接続440を介しトラッキングデータを受信し、解剖画像にツールの位置をリアルタイムに重畳し、ツールの位置を備えた当該画像をディスプレイ430上に提示する。プロセッサ410、メモリ420、ディスプレイ430及び入出力コネクタ440は、バス450などを介し相互接続されてもよい。
【0031】
図2は、本発明の実施例によるMTI300のブロック図である。MTI300は、プロセッサ310、システムバス320などによりプロセッサに動作接続されるメモリ330、及びトラッキングシステム100,200とプロセッサ310とを動作接続する入出力(I/O)コネクタ340を有する。プロセッサ310は、1以上のマイクロプロセッサなどのプログラム命令を実行可能な何れかの装置であってもよい。さらに、プロセッサ310は、汎用コンピュータにおいて実現されてもよい。
【0032】
メモリ330は、着脱可能なディスク、ハードドライブ、CD、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などのデータ及びプログラム命令を格納するのに適した何れかの揮発性又は不揮発性メモリ装置であってもよい。さらに、メモリ330は、1以上のメモリ装置を有してもよい。
【0033】
I/Oコネクタ340は、IGIアプリケーションを実行するトラッキングシステム100,200又はコンピュータ400とMTIとを動作接続する何れかのハードウェアであってもよい。I/Oコネクタは、限定することなく、RS232シリアルインタフェース、イーサネット(登録商標)及びUSBポートを含むものであってもよい。
【0034】
MTIは更に、トラッキングシステム100,200からのトラッキングデータを統一したフォーマットに変換するため、プロセッサ310により実行され、メモリ330に格納されるデータ変換命令プログラム332を有する。データ変換命令プログラム332は、1以上のデータ変換機能のためのモジュール又はユニットを含むものであってもよい。データ変換機能は、複数のフォーマットの何れかから統一したフォーマットに座標フォーマットを変換し、レジストレーション変換を計算及び適用し、1以上のトラッキングシステムの座標フレームをユニバーサル又はワールドリファレンスフレームに揃え、座標フレーム依存性を仲介し、複数のトラッキングデータストリームを時間同期し、トラッキングデータ遅延を検出及び訂正し、誤りを検出し、通知及び/又はフェイルオーバ(fail−over)を提供することを含むものであってもよい。各モジュール又はユニットは、データ変換命令プログラム332に含まれてもよいし、データ変換命令プログラム332により呼び出し可能な別のアプリケーションであってもよいし、又はデータ変換命令プログラム332によりアクセス可能な論理回路などの別のハードウェアユニットであってもよい。
【0035】
図2の図示された実施例では、座標フォーマット化モジュール334、空間同期モジュール336、遅延検出モジュール338及び誤り処理モジュール339は、メモリ330に格納される別々の呼び出し可能なアプリケーションである。また、マルチプレクサ350は、プロセッサ310を介しデータ変換命令プログラム332によりアクセス可能なMTI300における別のハードウェアユニットである。しかしながら、図示されたデータ変換モジュールの全てより少ないモジュールが備えられるか、又は更なるデータ変換モジュールが備えられる異なる実施例は本発明の範囲内で想到されることが理解されるべきである。また、各種データ変換モジュールが、代わりにオールソフトウェアアプリケーション、オールハードウェア又はソフトウェアとハードウェアとの何れかの組み合わせであってもよい。
【0036】
一実施例によると、トラッキングシステム100,200がMTI300に接続されるとき、それは、
図3に示されるように、それの可用性を示す信号2を送信する。当該信号は、トラッキングシステム100,200により自動送信されてもよいし、又はMTI300によるクエリ1に応答して送信されてもよい。当該信号は、トラッキングシステムによる測定結果のサンプルレート、トラッキングシステムの座標フォーマット、トラッキングシステムからのタイムスタンプ及びトラッキングシステムに既知のリファレンスフォーマットなどのトラッキングデータの特性の識別を含むものであってもよい。
【0037】
あるいは、トラッキングシステムの特性は、キーボードやマウスなどの入力装置を介しユーザによってデータ変換命令プログラム332に入力されてもよい。
【0038】
トラッキングシステム100は、その後、トラッキングデータストリーム3をMTI300に送信する。MTIは、トラッキングデータストリームを統一したフォーマットに変換し、統一したデータストリーム4をIGI422に送信する。
【0039】
図2に示されるように、MTI300は、1以上のトラッキングシステム100,200からのデータを入力し、当該データをホストコンピュータ400上のIGIアプリケーション422にリアルタイムに出力するハードウェアを含む。トラッキングシステム100,200は、電磁界、形状検知又は他のトラッキング技術を用いて、インターベンショナル処置中にトラッキングされる装置又は機器(すなわち、ツール)101,102,201,202に埋め込まれた1以上のセンサを接続する。トラッキングシステムは、リファレンス空間におけるセンサの位置及び向きを計算し、各センサのx,y,z(デカルト)座標、角度又は組み合わせを含むものであってもよい測定データ座標を出力する。当該情報は、毎秒多数回取得され(フレーム又はサンプルレート)、ツールの動き追跡することを可能にする。
【0040】
MTI300には複数のモジュールがあってもよい。以下において、MTI300の一例となるモジュールが説明される。
【0041】
座標変換モジュール334は、トラッキングデータを各種座標フォーマットの何れかから統一した空間座標フォーマットに変換する。例えば、各種トラッキングシステムは、複数のフォーマットの何れかによるツールの位置及び向きのトラッキングデータを提供してもよい。いくつかの一般的なフォーマットは、3D空間座標(x,y,z)を用いた位置データ、4つ組(u,v,w,s)を用いて符号化された回転軸及び角度、3つのオイラー角を用いて符号化された回転、並びに3×4又は4×4変換行列を用いて符号化された位置及び回転を含む。座標変換ユニットは、何れかのフォーマットの組み合わせによるデータを受け付け、必要に応じて当該データを統一した好適なフォーマットに変換できる。好適なフォーマットは、キーボードやマウスなどの入力装置を介しユーザによって選択及び入力されてもよい。あるいは、好適なフォーマットは、IGIアプリケーション422により定義され、通信信号によってMTI300に提供されてもよい。トラッキングシステム100,200からのデータストリームのフォーマットは座標特性に基づきMTI300により特定されてもよいし、ユーザは各トラッキングシステムの座標フォーマットを入力してもよいし、あるいは、トラッキングシステム100,200はMTI300に送信される通信信号においてそれのデータストリームの座標フォーマットを通知してもよい。
【0042】
図4は、座標変換モジュール332のフロー図である。座標変換モジュールは、好適な出力座標フォーマットの通知を受信する(ステップ510)。当該通知は、IGI又はユーザ入力からであってもよい。座標変換モジュール332は、トラッキングデータストリームを受信する(ステップ520)。座標変換モジュール332は、データストリームの座標フォーマットを特定する(ステップ530)。座標フォーマットは、トラッキングシステム100により送信される信号2又はユーザ入力からデータの特性によって特定されてもよい。データストリームの座標フォーマットは、それがどのように特定されたかに依存して、データストリームの受信前又は受信後に特定されてもよい。座標変換モジュール332は、当該分野において知られている変換式を利用して、当該データをデータストリーム3の座標フォーマットから好適な出力座標フォーマットに変換する(ステップ540)。座標変換モジュール332は、変換したデータを出力する(ステップ550)。
【0043】
空間同期モジュール336が、MTI300に備えられてもよい。異なるトラッキングシステムは異なる座標フレームを有する。従って、第1座標フレームにおいて追跡されたツールは、第2座標フレームにおいて追跡されたツールと未知の空間的関係を有している。空間同期モジュール336は、複数のトラッキング座標フレームの間の空間独立性を決定するのに利用される。また、トラッキング座標フレームは、患者、イメージング装置又は他のワールド座標フレームなどのワールド座標フレームと未知の空間的関係を有している可能性がある。
【0044】
一実施例によると、空間同期モジュール336は、2以上のトラッキングシステム100,200の座標フレームを補正する。各トラッキングシステム100,200に接続されるトラッキングツール(埋め込みセンサを備えた)101,102,201,202は、ワールド座標フレームにおいて知られている位置における患者又は装置の基準又は表面特徴のセットに接触するためのポインタとして利用される。それらの独立した座標フレームにおける追跡された全てのツールから受信される情報を組み合わせることによって、空間変換行列(レジストレーション行列と通常呼ばれる)は、ポイントベースレジストレーション方法などの当該技術において既知の方法を利用して計算できる。レジストレーション行列は、基準又は表面特徴に接触した時点においてトラッキング座標及びワールド座標とを用いて繰り返し計算されてもよい。レジストレーション行列は、トラッキング座標からの座標データをワールド座標フレームの対応する座標に変換する。追跡されたツールの個数に依存して、各自のデータを固定的なワールド座標フレームに変換するための複数のレジストレーション行列があってもよい。医療画像及び構成された画像空間は、例えば、補正の結果としてワールドリファレンスフレームとの既知の空間的関係を有してもよい。
【0045】
レジストレーション行列が計算された後、それらはMTI300に保存できる。これにより、トラッキング空間は、単一の座標フレームにおける複数のトラッキングシステムに関連する複数の追跡されたツールの継続的なトラッキングを可能にするためまとめられる。
【0046】
一実施例では、MTI300は、測定要求によりMTI300により送信される指定されたレジストレーション行列に従ってそれの測定データを変更するためのリクエストをトラッキングシステム100,200に送信できる。トラッキングシステム100,200は、可能である場合、MTI300により提供されたレジストレーション行列によりそれの内部の座標フレームから変換されたデータを送信する。このレジストレーション行列は、新たなレジストレーション行列が以降のリクエストにより送信されるまで、トラッキング装置によりキャッシュ可能である。当該機能は、MTI300が可能であるとき、座標フレーム同期をトラッキングシステム100,200に委託し、トラッキングシステムがレジストレーション行列を受信又は利用できないとき、自ら座標フレーム変換を実行する責任をとることを可能にする。
【0047】
図5は、本発明の実施例による空間同期モジュール336のための方法のフロー図である。空間同期は、基準セットのそれぞれについて位置測定データを受信する(ステップ610)。例えば、ユーザは、患者のランドマークなどのワールドフレームの既知の位置において基準にトラッキングツールを接触することが促されてもよい。トラッキングシステムは、トラッキングリファレンスフレームにおける基準の位置を測定し、それを空間同期モジュール336に送信する。当該ステップは、基準セットのそれぞれについて繰り返し可能である。他の実施例では、既知のワールドリファレンスフレーム位置を有する患者又は装置のグルーブ又は他の表面特徴が、基準の代わりに利用されてもよい。その後、トラッキングリファレンスフレーム測定及び基準のワールドフレーム位置を利用して、空間同期モジュール336は、レジストレーション行列を計算し、ポイントベースレジストレーション方法を利用してトラッキングリファレンスフレーム座標をワールドリファレンスフレーム座標に変換する(ステップ620)。すなわち、推定値は、レジストレーション行列に繰り返し充填され、各リファレンスフレームポイントは、計算されたポイントが基準の既知のワールド座標に十分適合するまで、ワールドフレームポイントに変換される。空間同期モジュール336は、当該レジストレーション行列を利用して、トラッキングシステムからのデータストリームの座標をワールド座標に変換し(ステップ640)、変換された座標と共にデータストリームをIGIアプリケーション422に出力する(ステップ650)。
【0048】
一実施例では、空間同期モジュール336は、レジストレーション行列をトラッキングシステムに送信してもよい(ステップ630)。トラッキングシステムが可能である場合、それは、トラッキングリファレンスフレーム座標をワールドリファレンスフレーム座標に変換する(ステップ640)。そうでない場合、空間同期モジュール336は当該変換を実行する。ワールドリファレンスフレームは、イメージングシステム、手術台又は患者などの現実世界の特徴又は構造に関連するリファレンスフレームであると理解されるべきである。
【0049】
一実施例によると、空間同期モジュール336は、リファレンスフレーム依存性のためのブローカとして機能しうる。例えば、あるトラッキングシステムは、室内の患者と固定された座標フレームとの間の自らの変換行列を認識し(例えば、イメージングシステムなど)、固定された座標フレームに対する自らの相対的な位置しか知らない第2のトラッキングシステムが導入される。空間同期モジュール336は、ブローカとして機能可能であり、第2トラッキングシステムは、それの存在と相対的な座標フレームとを通知する。空間同期モジュール336は、新たな装置に追加的なリファレンスフレーム(リファレンスの患者フレーム)を追加するための手段として機能する。これは、例えば、患者に対して室内の固定された座標フレームを位置合わせするレジストレーション行列を第2トラッキングシステムに送信するなどによって実行されてもよい。その後、空間同期モジュール336は、患者が移動するときなど、座標フレームが古くなると、従属するトラッキングシステムに通知することができる。空間同期モジュール336はまた、従属するトラッキングシステムに対して失われたリファレンスフレームを再確立するため、新たなレジストレーション手順を実行するようユーザを介し又はトリガさせることができる。
【0050】
他の実施例では、空間同期モジュール336は、トラッキングシステムの間のイメージングボリュームなどの処置前情報を共有することを可能にする。例えば、第1トラッキングシステムは、処置前データセットを有し、現在の患者の座標フレーム及び固定されたフレーム(x線ガントリなど)とのリンクを知っており、第2トラッキングシステムは、自らの座標フレーム及び同じ固定されたフレーム(x線ガントリなど)の知識を備えて導入される。第1トラッキングシステムは、空間同期モジュール336を介し自らの処置前データセットを第2トラッキングシステムと共有できる。第2システムは、共通する固定的なフレームから第1トラッキングシステムからの患者の座標フレームへのレジストレーション行列を利用して、処置前データセットに対してツールを追跡することができる。新たなトラッキングシステムが導入されると、空間同期モジュール336は、全てのリファレンスフレームとそれらの関係(すなわち、レジストレーション行列)及びメタマテリアルについて新たなトラッキングシステムに要求し、その後、それらを他のトラッキングシステムと共有できる。
【0051】
一実施例によると、MTI300は更に、多重化ユニット350を有してもよい。各トラッキングシステム100,200(しばしば異なるベンダから)は、自らのプロセッサを有し、ツールの位置及び向き測定を行う具体的なフレーム又はサンプルレートを有する。これらの測定レートは、異なるトラッキングシステムについて異なるものであってもよい。多重化ユニットは、全てのトラッキングデータが時間的に同期されることによって、MTI300が同期システムとして動作することを可能にする。一実施例によると、多重化ユニット350は、内部のバッファメモリを備えた集積回路などのハードウェア装置により実現されてもよい。トラッキングシステムは、測定結果の全てを到着すると聴取又は格納するためのバッファ370を利用する多重化ユニット350に位置及び/又は向き測定結果を継続的にストリーミングする。その後、内部クロック360が外部のIGIアプリケーション422に測定結果を転送するため信号を送信すると、多重化ユニットは、バッファ370から各トラッキング装置の最近の測定結果を選択し、それらをペアリングして転送する。多重化ユニットは、あるいは、新たな測定結果が当該トラッキング装置について受信されると、各トラッキング装置について以前の測定結果を上書きしてもよい。
【0052】
あるいは、多重化ユニット350は、測定結果を受信し、メモリ330又は他の何れかのメモリにあってもよいバッファ370に格納するソフトウェアモジュールであってもよい。最近の測定結果を抽出及び送信するシンタックスは、以下のように表現されてもよい。
【0053】
Repeat{get_trackingDeviceA_info;get_trackingDeviceB_info;}
いくつかのシナリオでは、入力トラッキングシステムがストリーミングレートにおいて大きな不一致を有するときなど、ユーザは、“同期モード”をオフするよう選択してもよく、多重化ユニット350は、同じレートでトラッキングストリームを到着すると出力するよう単に選択する。同期モードオフのソフトウェア実施例のためのシンタックスは、
Repeat{get_trackingDeviceA_info;}
Repeat{get_trackingDeviceB_info;}
として表現できる。
【0054】
一実施例によると、MTI300は更に、遅延検出同期モジュール338を有してもよい。各トラッキングシステムの遅延は、トラッキングシステム及びそれが使用されている状態、例えば、それの内部測定レート、トラッキングしているツールの個数、及びトラッキングシステムとコンピュータとの間のデータ伝送速度に依存する。異なる測定クロック及び遅延を有する可能性のある光学及び磁気システムなど、異なるトラッキングシステムによる測定が同時に実行されるとき、遅延は大変重要である。
【0055】
一実施例によると、各トラッキングシステム100,200は、トラッキングシステム自体の内部クロックからの関連するタイムスタンプ(測定結果の取得時点など)と共に測定データを送信可能である。しかしながら、トラッキングシステムの独立性によって、MTI300により決定される1つのシステムクロック上の異なるトラッキングシステムからの測定結果を関連付ける必要がある。
【0056】
遅延検出同期モジュール338は、各トラッキングシステムの遅延を決定し、単一のシステムクロックに関して時間測定を同期させる。遅延検出同期モジュール338は、トラッキングシステム100上のトラッキング装置からタイムスタンプT
rによる新たな測定結果を要求する。遅延検出同期モジュール338は、システムクロック360からリクエストM
rqの時間を記録する。測定データ及びトラッキングシステムタイムスタンプT
rがトラッキングシステムから受信されると、遅延検出同期モジュール338は、システムクロック360から測定データが受信されたタイムスタンプM
drを記録する。遅延検出同期モジュール338は、トラッキングシステムのタイムスタンプT
rが測定処理に関連する2つの内部的に生成されたシステムタイムスタンプの平均に等しいことを計算する。
【0057】
【数1】
トラッキング装置のクロックにおいて生成されたT
rなどの測定結果は、MTIのクロックに関する等価なタイムスタンプに変換可能であり、これにより、トラッキング装置の内部クロックとMTIのシステムクロックとの2つのクロックの間の関係を確立することができる。遅延検出同期モジュール338は、トラッキングシステムのタイムスタンプからの測定時間をそれの等価なシステムクロックに変換し、MTIが複数のトラッキング装置からの情報を時間的に同期させることを可能にする。何れかの座標リファレンスフレームからMTIにより受信される各測定結果は、各処理の同時の遅延測定結果を用いてMTIのシステムクロックに変換されるため、本方法は時間によるゆっくりとした遅延の変化の影響を受けないことに留意すべきである。
【0058】
遅延検出同期モジュール338はまた、トラッキングデータ及び画像データを単一のシステムクロックに同期させることができる。これは、より正確なトラッキングのためトラッキングデータと共に利用される心臓サイクルの異なるフェーズなどの時間に依存するイメージングデータの利用を可能にする。
【0059】
図6は、本発明の実施例による時間同期のための方法のフロー図である。遅延検出同期モジュール338は、トラッキングシステムのタイムスタンプを備えた測定結果を要求する(ステップ710)。遅延検出同期モジュール338は、MTIクロック360から当該リクエストの時間M
rqを記録する(ステップ720)。遅延検出同期モジュール338は、測定データ及びトラッキングシステムのタイムスタンプT
rを受信する(ステップ730)。遅延検出同期モジュール338は、MTIクロック360から返されたデータの時間M
drを記録する(ステップ740)。遅延検出同期モジュール338は、遅延を計算し(ステップ750)、
【0060】
【数2】
測定時間T
rをMTIシステム時間に変換する(ステップ760)。
【0061】
一実施例によると、MTI300は更に、従属するトラッキングシステムにそれらが依存するトラッキングシステムがエラーを有していることを従属するトラッキングシステムに通知するためのブローカとして機能するエラー処理モジュール339を有してもよい。従属するトラッキングシステムは、上述されるようなレジストレーションのために他のトラッキングシステムを利用するトラッキングシステムである。エラーのタイプは、通信エラー(中断又は破棄される通信)、位置エラー(EMトラッキングシステムのケースにおける強磁性物質の干渉など)、追跡されるプローブが追跡されるボリュームのエッジ外又は近傍であり、トラッキングシステムがスイッチオフ又は故障しているなどを含む。
【0062】
MTIは2以上のトラッキングシステムの間の関係行列をすでに設定しているため、エラー処理モジュール339は、従属する装置にエラーが発生したことを通知できる。その後、新たな関係が構成及び維持できる。
【0063】
図7は、本発明の実施例によるエラー検出及び通知のための処理フローである。リファレンスの患者フレームとリファレンスのX線ガントリフレームとのレジストレーション行列を有する第1トラッキングシステム100が、MTI300に導入される(ステップ810)。X線ガントリのレジストレーション行列を有する第2トラッキングシステム200が、MTI300に導入される(ステップ820)。エラー処理モジュール339は、従属関係通知を格納する第1トラッキングシステム100を介し第2トラッキングシステム200の位置を患者リファレンスフレームにリンクさせる(ステップ830)。インターベンション処置中、患者は移動し、第1トラッキングシステム100のX線ガントリと患者とのレジストレーションが破られると(ステップ840)、エラーメッセージがMTIに送信される。エラー処理モジュール339は、エラーの通知を受信し(ステップ850)、第1及び第2トラッキングシステムに患者のリファレンスフレームが有効でないことを通知する(ステップ860)。エラー処理モジュール339は、エラー通知後に新たなリファレンスフレーム依存性の確立を開始できる。
【0064】
一実施例によると、時間同期は、トラッキングシステムにより特定可能な基準又は他のリファレンスフレームに少なくとも1つの追跡されるツールを接触することによって提供される。本実施例では、MTIは、統一した時間リファレンスフレームのタイムスタンプを提供し、命令プログラムは、イメージングデータストリームを検出し、接触のため統一したリファレンスフレームのタイムスタンプをキャプチャするリファレンス特徴に対する少なくとも1つのトラッキング装置の接触を検出する。命令プログラムはまた、イメージングデータストリームの解析を介しイメージングデータストリームにおいて接触を検出し、イメージングストリームのタイムスタンプをキャプチャする。その後、命令プログラムは、イメージングストリームのタイムスタンプと統一した時間リファレンスフレームからの対応するタイムスタンプとを同期させる。
【0065】
本発明は、完全にハードウェアの実施例又はハードウェアとソフトウェア要素との双方を含む実施例の形態をとることができる。一例となる実施例では、本発明は、限定することなく、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含むソフトウェアにより実現される。
【0066】
さらに、本発明は、コンピュータ、何れかの命令実行システム又は装置による利用のため又は接続してプログラムコードを提供するコンピュータ利用可能又はコンピュータ可読媒体からアクセス可能なコンピュータプログラムの形態をとりうる。本説明のため、コンピュータ利用可能又はコンピュータ可読媒体は、命令実行システム又は装置による利用のため又は接続してプログラムを内蔵又は格納可能な何れかの装置であってもよい。
【0067】
上記方法は、コンピュータなどのマシーンにより実行されると、方法のステップを実行するマシーン実行可能命令プログラムを有するマシーン可読媒体を有するプログラムプロダクトにより実現されてもよい。本プログラムプロダクトは、限定することなく、コンパクトディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、USBメモリ装置などを含む各種の既知のマシーン可読媒体の何れかに格納されてもよい。
【0068】
当該媒体は、電子、磁気、光、電磁、赤外線又は半導体システム(又は装置)とすることができる。コンピュータ可読媒体の具体例は、半導体又はソリッドステートメモリ、磁気テープ、着脱可能なディスケット、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read−Only Memory)、リジッド磁気ディスク、光ディスクを含む。光ディスクの現在の具体例は、CD−ROM、CD−R/W及びDVDを含む。
【0069】
上記説明及び添付した図面は、例示的なものであり、本発明を限定することを意図していない。本発明の範囲は、以下の請求項の全範囲に等価な変形及び構成を含むことが意図される。