(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227004
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】プレート要素のためのコンベヤベルト、及びこのようなベルトを備えた加工機械
(51)【国際特許分類】
B65G 15/58 20060101AFI20171030BHJP
B65G 15/32 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
B65G15/58 B
B65G15/32
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-550011(P2015-550011)
(86)(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公表番号】特表2016-501803(P2016-501803A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】EP2013003866
(87)【国際公開番号】WO2014101993
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2015年8月25日
(31)【優先権主張番号】1262946
(32)【優先日】2012年12月28日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514053077
【氏名又は名称】ボブスト リヨン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】キュザン マルク
【審査官】
八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−156102(JP,A)
【文献】
実開平04−084213(JP,U)
【文献】
特開昭59−057805(JP,A)
【文献】
特開2012−026501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/30−15/58
F16G 3/02− 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレート要素(3)を加工するための機械(51)において前記要素を搬送するためのコンベヤベルト(1)であって、
長手方向端部(4、6)、接合端部(8、10)、及び前記要素(3)を支持するように成形された支持面(2.1)を有するベルト本体(2)と、
前記接合端部(8、10)を接合するように構成された、前記長手方向(Y4.6)に対して傾斜した組み立て方向(X12)に延びる少なくとも1つの組み立て部材(12)と、
を備え、前記ベルト本体(2)は、前記要素(3)を固定するように前記支持面(2.1)上に真空を得るための複数の打抜き穴(21)を有し、前記複数の打ち抜き穴(21)は、前記接合端部(8)の一方に形成された1つの打ち抜き穴と前記接合端部(10)の他方に形成された別の抜き打ち穴との間の最短距離が、前記ベルト本体(2)に形成された2つの打ち抜き穴の間の最短距離に実質的に等しくなるように、前記組み立て部材(12)の直近に設けられ、
前記打ち抜き穴(21)は、高密度な打ち抜き穴(21)を有する中央区域(22a)、及び前記中央区域(22a)の両側に設けられるとともに低密度な打ち抜き穴(21)を有する2つの横区域(22b)という3つの区域(22a,22b)にわたって分布する、
ことを特徴とするベルト。
【請求項2】
プレート要素(3)を加工するための機械(51)において前記要素を搬送するためのコンベヤベルト(1)であって、
長手方向端部(4、6)、接合端部(8、10)、及び前記要素(3)を支持するように成形された支持面(2.1)を有するベルト本体(2)と、
前記接合端部(8、10)を接合するように構成された、前記長手方向(Y4.6)に対して傾斜した組み立て方向(X12)に延びる少なくとも1つの組み立て部材(12)と、
を備え、前記ベルト本体(2)は、前記要素(3)を固定するように前記支持面(2.1)上に真空を得るための複数の打抜き穴(21)を有し、前記複数の打ち抜き穴(21)は、高密度な打ち抜き穴(21)を有する中央区域(22a)、及び前記中央区域(22a)の両側に設けられるとともに低密度な打ち抜き穴(21)を有する2つの横区域(22b)という3つの区域(22a,22b)にわたって分布する、
ことを特徴とするベルト。
【請求項3】
前記打抜き穴(21)は、前記接合端部(8)の一方に形成された1つの打抜き穴と、前記接合端部(10)の他方に形成された別の打抜き穴との間の最短距離が、前記ベルト本体(2)に形成された2つの打抜き穴間の最短距離に実質的に等しくなるように、前記組み立て部材(12)の直近に設けられる、
ことを特徴とする請求項2に記載のベルト。
【請求項4】
前記組み立て方向(X12)及び前記長手方向(Y4.6)は、これらの方向間に実質的に75°〜88°の鋭角の組み立て角(A12)を成す、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のベルト。
【請求項5】
前記組み立て方向(X12)及び前記長手方向(Y4.6)は、これらの方向間に実質的に85°〜87°の鋭角の組み立て角(A12)を成す、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のベルト。
【請求項6】
前記組み立て方向(X12)及び前記長手方向(Y4.6)は、これらの方向間に実質的に86°に等しい鋭角の組み立て角(A12)を成す、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のベルト。
【請求項7】
前記組み立て方向(X12)は真っ直ぐである、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のベルト。
【請求項8】
前記打抜き穴(21)は、複数の線(l1、l10、ln−1、ln)の形で分布する、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のベルト。
【請求項9】
前記線(l1、l10、ln−1)は、前記組み立て方向(X12)と実質的に平行である、
ことを特徴とする請求項8に記載のベルト。
【請求項10】
前記打抜き穴(21)は、前記長手方向端部(4、6)間に広がるとともに前記ベルト本体(2)の幅(W1)の30%〜70%を表す、前記長手方向端部(4、6)と垂直に測定した幅(W22)を有する中央領域(22)内に分布する、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のベルト。
【請求項11】
前記ベルト本体(2)は、それぞれの長手方向端部(4、6)の近傍に位置する少なくとも2つの孔(24)を有し、各孔(24)は、前記組み立て部材(12)の組み立て中に前記ベルト本体(2)を適所に保持するためのピンが挿入されるように設計される、
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のベルト。
【請求項12】
前記ベルト本体(2)は、前記コンベヤベルト(1)を駆動するように駆動部材と相互作用するよう設計された転がり面(2.2)を有し、前記組み立て部材(12)は、前記支持面(2.1)と前記転がり面(2.2)との間に、前記支持面(2.1)及び前記転がり面(2.2)から引っ込んで前記転がり面(2.2)を形成するように位置する、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のベルト。
【請求項13】
前記ベルト本体(2)は、ポリマー及び/又はエラストマで構成される、
ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のベルト。
【請求項14】
前記ベルト本体(2)は、ポリウレタン被覆を有するポリエステル織地で作製される、ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のベルト。
【請求項15】
要素を加工するための機械(51)であって、請求項1から14のいずれか1項に記載の少なくとも1つのコンベヤベルト(1)を備え、前記支持面(2.1)上に真空を生成できるチャンバの周囲に取り付けられる、
ことを特徴とする機械。
【請求項16】
前記機械は、印刷機である、
ことを特徴とする請求項15に記載の機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレート要素を加工するための機械において前記プレート要素を搬送するためのコンベヤベルトに関する。本発明は、少なくとも1つのこのようなコンベヤベルトを含む、印刷、折り畳み及び糊付け機などの加工機械に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、プレート形の厚紙、すなわち厚紙シートを加工して梱包箱又は梱包ケースを製造する分野に適用される。加工機械には、厚紙シートの形のプレート要素が次々に挿入され、移動方向に連続移動する。これらのプレート要素は、フレキソ印刷によって自動的に印刷され、切断され、折り目を付けられ、折り曲げられ、糊付けによって組み立てられてケースが形成される。
【0003】
本出願において、「プレート要素」という用語は、紙、厚紙又はポリマーなどの、梱包容器を形成するために印刷して使用することができる、少なくとも1つの材料から成る概ね平坦な製品を意味する。従って、「プレート要素」という用語は、厚紙シート、段ボール、積層段ボール、板状厚紙、並びにポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)及び二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)などの軟質プラスチックを意味する。
【0004】
上記加工機械は、加工機械内で板状厚紙を搬送するための幅広いエンドレスコンベヤベルトを含む。このベルトの幅は、約2mである。このようなコンベヤベルトは、可撓性ベルト本体を含み、2つの長手方向端部及び2つの接合端部を有する。接合端部は、接着剤によって互いに接合される。このベルトは、接合端部を接着剤で接合すると閉ループの形を取り、加工機械の駆動部材によってエンドレスループの形で駆動することができる。
【0005】
一般に、加工機械は、しばしば1日24時間などの長時間にわたって連続動作する。ベルトは、厚紙による磨耗及び機械的特性の喪失に起因して、約1〜2年の耐用年数を有する。ベルトの耐用年数は、ベルトが破損前に交換を予定されているかどうか、或いは予期せず破損するかどうかによって、計画的に終了することも、或いは非計画的に終了することもある。
【0006】
しかしながら、先行技術のベルトは、交換のために閉ループの形で、すなわち既に接合端部が互いに接着剤で接合された状態で提供される。新たなベルトを取り付けるには、加工機械の多くの部品、特にベルト駆動シャフトを解体する必要がある。その後に新たなベルトを取り付け、予め解体した部品を再び組み立てる。
【0007】
従って、先行技術のベルトの交換には約48時間を要し、このことは長期の製造中断を意味する。このような長期の製造中断は、特にベルトが予期せず破損した時に混乱を生じる。
【0008】
特開2003−156102号公報、独国特許第202012008090号、国際公開第19990/010165号、及び欧州特許第1477704号から、2つの接合端部と組み立て部材とを有するコンベヤベルトが知られている。これらの接合端部及び部材は、長手方向に対して傾斜している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−156102号公報
【特許文献2】独国特許第202012008090号明細書
【特許文献3】国際公開第1990/010165号
【特許文献4】欧州特許第1477704号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このようなコンベヤベルトは、プレート要素をベルトに当接させてしっかりと正確に適所に保持しなければならない加工機械では使用することができない。
【0011】
本発明の主な目的は、取り付け及び解体を容易に行えるコンベヤベルトを提供することである。本発明は、特に上述の問題点を完全に又は部分的に解決することを目的とする。さらに別の目的は、プレート要素を加工するための機械にコンベヤベルトを取り付けることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
プレート要素を加工するための機械において、このプレート要素を搬送するようにコンベヤベルトを設計する。このコンベヤベルトは、ベルト本体を含む。ベルト本体は、長手方向端部と、接合端部と、要素を支持するように成形された支持面とを有する。コンベヤベルトは、接合端部を接合するように構成された、長手方向に対して傾斜した組み立て方向に延びる少なくとも1つの組み立て部材を含む。
【0013】
このベルトは、プレート要素を支持面上に固定するように、ベルト本体が、支持面上に真空を得るための複数の打抜き穴を有することを特徴とする。
【0014】
長手方向は、加工機械における、コンベヤベルトによる中央長手方向軸に沿ったプレート要素の駆動方向又は移動方向を基準にして定められる。
【0015】
「レジスタ」という用語は、加工機械に含まれる加工装置に対するプレート要素の位置を示す。特に、4色印刷機の場合、レジスタは、プレート要素に適用される4つの色が正確に重なり合わなければならないことを意味する。
【0016】
従って、このようなコンベヤベルトでは、組み立て部材を用いてベルトが接合されるという事実に起因して、コンベヤベルトの交換に必要な時間が大幅に短縮されるので、正しいレジスタを維持しながら加工機械の生産性が向上する。
【0017】
具体的には、コンベヤベルトが、展開された状態、すなわち接合端部が未だ組み立てられていないため自由な状態で供給される。従って、本発明によるコンベヤベルトを加工機械内に取り付けるために、加工機械のわずかな数の部品しか解体しなくてよい。通常、本発明によるコンベヤベルトを交換するために必要な時間は、先行技術のベルトでは48時間であったのに対し、約2時間になり得る。この時間は、計画的介入及び非計画的介入のいずれの場合にも短縮される。
【0018】
打抜き穴は、プレート要素をベルト本体にしっかりと押し付けた状態に保つ。従って、傾斜した組立体が、駆動されたベルト本体の横向きの動きを減少させること、及び上記プレート要素に作用する加工装置に対して真空がプレート要素を適所に保つことによってレジスタが保証される。
【0019】
本発明のさらに別の態様によれば、印刷機などの、プレート要素を加工するための機械が、ベルト本体の支持面上に真空を生成できるチャンバの周囲に取り付けられた、以下で説明して特許請求する1又はそれ以上の技術的特徴を有する少なくとも1つのコンベヤベルトを備える。
【0020】
従って、このような加工機械では、コンベヤベルトを交換するために製造を中断する時間が短縮されるので、製造時間を増加させてコスト効率を高めることができる。低圧又は真空チャンバによってレジスタが維持される。
【0021】
添付図面を参照しながら単に非限定的な例として行う以下の説明から、本発明がより良く理解されるとともに、その利点も明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明による、コンベヤベルトを備えた加工機械の部分的斜視図である。
【
図2】
図1の加工機械内に取り付けられたコンベヤベルトの斜視図である。
【
図4】
図3のセグメントIVに沿った断面図である。
【
図6】組み立て時におけるベルトの両接合端部の拡大図である。
【
図7】ベルトを組み立てていない状態の組み立て部材の一部を示す拡大斜視図である。
【
図8】ベルトを組み立てた状態の
図7の組み立て部材を示す図である。
【
図9】組み立て前の
図3コンベヤベルトの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1及び
図2に示すように、加工機械51は、コンベヤベルト1を含む。この例では、加工機械51が、特にプレート要素、すなわち板状厚紙3に色パターンを印刷するための4色印刷機である。厚紙3は、ベルト1(
図2では矢印F)によって長手方向Y4.6に搬送される。印刷機51は、フレキソ印刷用プレートシリンダなどの連続印刷シリンダ5を含む。
【0024】
機械51は、ベルト1を駆動して引張状態に保つための一連の駆動ローラ、返送ローラ及び引張ローラ52を含む。これらのローラ52は、軸受及びサイドフレーム53によって回転自在に保持される。フレーム53の間のベルト1の下方には、真空チャンバ、又は低圧を生成できるチャンバが取り付けられる。
【0025】
図3に示すように、コンベヤベルト1は、この例では3層になったベルト本体2を含む。コンベヤベルト1は、2つの長手方向端部4及び6と、2つの「接合」端部8及び10とを有する。
図3〜
図9の例では、長手方向端部4及び6、並びに接合端部8及び10が真っ直ぐである。長手方向端部4及び6は、長手方向Y4.6と平行に延びる。動作時には、長手方向Y4.6が、加工機械51内の厚紙3の移動方向に平行であって、この方向に対応する。
【0026】
この例では、ベルト本体2が、ポリウレタン被覆されたポリエステル織地で作製される。ベルト本体2は、その摩擦係数が厚紙3を適所に保つので、厚紙3を搬送するのに適する。コンベヤベルト1は、長手方向Y4.6に垂直な約2mの幅W1を有する。展開時のコンベヤベルト1の長さL1は、長手方向Y4.6に約10.5mである。
【0027】
さらに、コンベヤベルト1は、この例では締結部材12である組み立て部材(
図7及び
図8を参照)を含む。締結部材12は、締結ロッド12.1と、2組のバックル12.2とを含む。各バックル12.2の組は、一方の接合端部8又は10に繋がっている。締結部材12は、接合端部8及び10を接合するように構成される。この例では、締結部材12が、ポリエステル織地及びポリアミドバックルで構成される。従って、締結部材12は、低重量及び低コストの割に高い機械的強度を有する。
【0028】
図4に示すように、ベルト本体2は、厚紙3を支持するように成形された支持面2.1と、加工機械51の駆動部材と協働するように設計された転がり面2.2とを有する。締結部材12は、支持面2.1と転がり面2.2の間に、支持面2.1からも転がり面2.2からも引っ込むように位置付けられる。締結部材12は、ストリップ1の動きを妨げないように、支持面2.1上にも転がり面2.2上にも突出しない。
【0029】
ベルト本体2は、例えば約3.7mmの厚みE2を有する。ベルト本体2は、締結ロッド12.1と同じ深さP2.3に位置付けられた中立繊維2.3を有する。
【0030】
換言すれば、締結部材12は、コンベヤベルト1の厚みに埋め込まれる。従って、締結部材12は、接合端部8及び10において、コンベヤベルト1の特に摩擦係数に関する特性が途切れないことを確実にする。
【0031】
コンベヤベルト1は、締結部材12によって接合端部8及び10が接合された後には閉ループになり、ローラ52によってエンドレス回転の形で駆動することが可能になる。
【0032】
図2、
図6及び
図8に示すように、コンベヤベルト1を組み立てた場合、締結ロッド12.1は、長手方向Y4.6に対して傾斜した組み立て方向X12に延びる。この例では、組み立て方向X12が真っ直ぐであり、接合端部8及び10の容易な製造、並びにコンベヤベルト1内の締結部材12の素早い組み立てを可能にしている。
【0033】
組み立て方向X12及び長手方向Y4.6は、これらの間に86°に等しい鋭角の締結角A12を成す。これに対応して、組み立て方向X12及び長手方向Y4.6は、これらの間に締結角A12の補角である94°に等しい鈍角を成す。従って、締結角A12は、レジスタの質とコンベヤベルト1の横滑りとの間の比率を最適化する。
【0034】
ベルト本体2は、長手方向端部4と6の間に延びる中央領域22にわたって分布する複数の打抜き穴21を有する。これらの打抜き穴を通じ、厚紙3をコンベヤベルト1に押し付けて適所に保持するように、支持面2.1上に真空が得られる。この例では、中央領域22が、長手方向Y4.6に垂直な約1.1mの幅W22を有し、この幅はコンベヤベルト1の幅W1の約50%を意味する。
【0035】
打抜き穴21は、長手方向端部4と6の間に広がる中央領域22内に分布することが好ましい。中央領域は、長手方向端部4及び6に対して垂直に測定した幅W22を有し、この幅はベルト本体2の幅W1の30%〜70%を意味する。
【0036】
打抜き穴21は、中央領域22を3つの縦方向に分割した3つの長手方向区域にわたって分布する。この3つの区域は、中央長手方向区域22aと、2つの横長手方向区域22bである。2つの横区域22bは、中央区域22aの両側に位置する。
【0037】
中央区域22aは、高密度の打抜き穴21を有する。2つの横区域22bは、低密度の打抜き穴21を有する。この密度差は、厚紙3が均一に適所に保持されることを意味する。中央区域22aのみを覆う小さな幅の厚紙3では、打抜き穴21を介して得られる真空が一定である。中央区域22aと横区域22bの両方を覆うより大きな幅の厚紙3では、打抜き穴21を介して得られる真空が一定かつ均一である。
【0038】
打抜き穴21は、規則的なパターンを形成してベルト1の準備を容易にするように、複数の連続線l1〜lnの形で分布する。打抜き穴21の線l1〜lnは、互いに実質的に平行であり、組み立て方向X12に対して実質的に平行であることが好ましい。打抜き穴21は、規則的なパターンを形成するように複数の連続列c1〜cnの形で分布する。打抜き穴21の列c1〜cnは、実質的に互いに長手方向に平行であり、長手方向Y4.6に対して平行であり、従って実質的に長手方向端部4及び6に対して平行である。この互いに関連する線l1〜lnと列c1〜cnの配列により、支持面2.1上に均一な真空を得られるようになる。
【0039】
打抜き穴21は、締結部材12の直近に設けられることが有利である。換言すれば、ベルト本体2は、接合端部8の一方の直近にまで打抜き穴の線l1を有する。他方の接合端部10についても同様である。接合端部8及び10の近傍に打抜き穴21を有することにより、締結によるベルト1の組み立て時に真空が途切れることがない。従って、接合端部8及び10の継ぎ目上に位置付けられた厚紙3が、ベルト1の本体の支持面2.1上の異なる場所に位置付けられた厚紙3と同様に、真空によって適所に保持されるようになる。
【0040】
打抜き穴21は、接合端部8の一方に設けられた1つの打抜き穴21と、接合端部10の他方に設けられた別の隣接する打抜き穴21との間の最短距離が、ベルト本体2内に設けられた他の2つの隣接する打抜き穴21間の最短距離に実質的に等しくなるように位置付けられる。同様に、接合端部8の一方に最も近い打抜き穴の線l1と、他方の接合端部10に最も近い打抜き穴の線l10との間の距離は、2つの隣接する線ln−1とlnの間の距離と実質的に等しい(
図6を参照)。
【0041】
ベルト本体2は、各々が長手方向端部4及び6の近傍に位置する4つの孔24を有する(
図5及び
図6を参照)。各孔24は貫通孔であり、すなわち支持面2.1上及び転がり面2.2上で開口する。各孔24は、締結部材12の組み立て中にベルト本体2を適所に保持するための図示していないピンが挿入されるように成形される。
【0042】
従って、締結部材12によって接合されることにより、コンベヤベルト1を交換するのに必要な時間が大幅に減少するので、コンベヤベルト1は、加工機械51の生産性を高める。この例では、コンベヤベルト1の交換に必要な時間が約2hである。
【0043】
損傷したコンベヤベルトを交換するには、コンベヤベルト1を展開して接合端部8及び10を自由な状態で供給する。加工機械のほんのわずかな部品を解体しただけで、コンベヤベルト1の取り付けが可能になる。
【0044】
コンベヤベルト1を取り付ける手順は、後述するステップを含む。コンベヤベルト1は、展開された状態で、すなわち接合端部8及び10が互いに接合されていない状態で供給される。
【0045】
接合端部8及び10は、
図9で確認できる、接合端部8及び10に取り付けられた保持ストリップ30によって個別に保護される。各保持ストリップ30は、コンベヤベルト1と同じ幅W1を有する。各保持ストリップ30は、コンベヤベルト1の締結部材12と同様の図示しない締結部材を備えた接合端部を有する。
【0046】
保持ストリップ30は、加工機械51内に取り付けるのに必要なストラップのための接続点をもたらすように切断される。保持ストリップ30は、1m〜3mの幅W1を有するコンベヤベルト1において締結ロッド12.1を容易に取り付けるのに不可欠な保護手段も構成する。
【0047】
コンベヤベルト1は、2つの保持ストリップ30と共に加工機械51内に配置される。その後、2つの保持ストリップ30を除去することにより、接合端部8及び10が解放されてコンベヤベルト1の組み立てが可能になる。
【0048】
本発明は、説明し図示した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲によって定められる範囲を超えることなく多くの修正を行うことができる。