(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227008
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】開閉体制御装置及び開閉体制御方法
(51)【国際特許分類】
E05F 15/41 20150101AFI20171030BHJP
E05F 15/655 20150101ALI20171030BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20171030BHJP
H02P 29/028 20160101ALI20171030BHJP
B60J 5/06 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
E05F15/41
E05F15/655
B60J5/00 D
H02P29/028
B60J5/06 A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-553574(P2015-553574)
(86)(22)【出願日】2014年12月17日
(86)【国際出願番号】JP2014083371
(87)【国際公開番号】WO2015093514
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年3月16日
(31)【優先権主張番号】特願2013-262860(P2013-262860)
(32)【優先日】2013年12月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆之
(72)【発明者】
【氏名】笛木 正弘
【審査官】
家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−022512(JP,A)
【文献】
特開2003−274623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00−17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータによって開閉体の開閉駆動を制御する開閉体制御装置であって、
前記モータに流れる電流値に基づいて前記開閉体で挟み込みが発生しているか否かを判定する挟み込み判定手段と、
所定の電気角だけずらして配置され、前記モータが有する磁極の位置を検出する複数のセンサーと、
前記モータの通電状態を切り替える駆動回路と、
前記モータの正転又は逆転を表す回転方向信号を生成する回転方向決定手段と、
前記複数のセンサーの出力に対応して前記駆動回路の通電状態を切り替える切り替えパターンであって、前記モータを正転させるときの正転パターンを記憶した正転パターン記憶部と、
前記複数のセンサーの出力と前記所定の電気角のずれとに対応して前記駆動回路の通電状態を切り替える切り替えパターンであって、前記モータを逆転させるときの逆転パターンを記憶した逆転パターン記憶部と、
前記回転方向決定手段が出力した前記回転方向信号に基づいて前記正転パターン記憶部又は前記逆転パターン記憶部から前記正転パターン又は前記逆転パターンのいずれかを読み出して出力する切り替え手段と、
前記複数のセンサーの出力に基づき、前記切り替え手段が出力した前記正転パターン又は前記逆転パターンを用いて前記駆動回路を制御するとともに、前記挟み込み判定手段が挟み込みが発生していると判定した場合にその挟み込みを回避するための所定のパターンで前記駆動回路を制御する駆動指令手段と
を備え、
前記複数のセンサーは、全体で機械角で30度の範囲に配置され、且つ前記所定の電気角のずれは、前記モータの高負荷時の脈動を低減させる値に設定されている
開閉体制御装置。
【請求項2】
前記モータが、複数の磁極を有する永久磁石ロータと多相の電機子巻線であるステータコイルを有するステータとを備えたブラシレスモータである請求項1に記載の開閉体制御装置。
【請求項3】
前記複数のセンサーをずらして配置する前記所定の電気角が、前記モータが有するステータコイルの中心を基準として設定される請求項1又は2に記載の開閉体制御装置。
【請求項4】
前記モータが16極18スロットのブラシレスモータであって、
前記各スロットにはそれぞれ集中巻で18個のコイルが巻かれていて、隣接する3個のコイルで1つの相群を形成し、
前記ステータコイルの中心が前記隣接する3個のコイルで形成される1つの相群の中間に位置する請求項3に記載の開閉体制御装置。
【請求項5】
モータによって開閉体の開閉駆動を制御する開閉体制御方法であって、
前記モータに流れる電流値に基づいて前記開閉体で挟み込みが発生しているか否かを判定する挟み込み判定手段と、
所定の電気角だけずらして配置され、前記モータが有する磁極の位置を検出する複数のセンサーと、
前記モータの通電状態を切り替える駆動回路と、
前記モータの正転又は逆転を表す回転方向信号を生成する回転方向決定手段と、
前記複数のセンサーの出力に対応して前記駆動回路の通電状態を切り替える切り替えパターンであって、前記モータを正転させるときの正転パターンを記憶した正転パターン記憶部と、
前記複数のセンサーの出力と前記所定の電気角のずれとに対応して前記駆動回路の通電状態を切り替える切り替えパターンであって、前記モータを逆転させるときの逆転パターンを記憶した逆転パターン記憶部と、
前記回転方向決定手段が出力した前記回転方向信号に基づいて前記正転パターン記憶部又は前記逆転パターン記憶部から前記正転パターン又は前記逆転パターンのいずれかを読み出して出力する切り替え手段と
を用い、
前記複数のセンサーの出力に基づき、前記切り替え手段が出力した前記正転パターン又は前記逆転パターンを用いて前記駆動回路を制御するとともに、前記挟み込み判定手段が挟み込みが発生していると判定した場合にその挟み込みを回避するための所定のパターンで前記駆動回路を制御し、
前記複数のセンサーは、全体で機械角で30度の範囲に配置され、且つ前記所定の電気角のずれは、前記モータの高負荷時の脈動を低減させる値に設定されている
開閉体制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドドアなどの開閉体を制御する際に用いて好適な開閉体制御装置及び開閉体制御方法に関する。
本願は、2013年12月19日に、日本に出願された特願2013−262860号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用ドアなどをスライドさせて開閉するためのスライドドアユニットの構成の一例が記載されている。この特許文献1では、薄型化や、磁極検出用のセンサーを用いて回転数検出が容易であることなどから、スライドドアユニットの動力発生源にはブラシレスモータが適していると記載されている(特許文献1の段落0020)。
【0003】
ブラシレスモータは、例えば、複数の磁極を有する永久磁石ロータと、電機子巻線であるステータコイルを有するステータとを備えるとともに、磁極位置を検出するための複数のセンサーを備えている。そして、複数のセンサーの出力に基づいてステータコイルへの通電を切り替え、ロータを回転させることで、ブラシレスでブラシモータに類似した駆動特性を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−90654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブラシレスモータでは、複数のセンサー出力に基づいてステータコイルに流れる電流が切り替え制御される。そのため、例えば速度変化や負荷変化が発生すると、センサーの出力の切り替わりのタイミングと、ステータコイルの通電状態の最適な切り替えタイミングとにずれが発生する場合がある。特にロック電流付近(すなわち過大な負荷トルクによって回転速度が零となったときに発生する最大電流付近)で使用する場合には、モータには比較的大きな回転ムラが発生する場合がある。この回転ムラによって電流ムラが発生する。
【0006】
一方、スライドドアユニットでは、ドアの開閉時に人や物が挟まれたことを検出する、挟み込み検出が行われている。この挟み込み検出は、例えばモータ電流の変化に基づいて行うことができる。しかしながら、ブラシレスモータを使用する場合、ロック電流付近の電流ムラの発生が、より精度の高い挟み込み検出を行う際の課題となっていた。
【0007】
本発明は、挟み込み検出をモータ電流に基づいて行う場合に検出の精度をより高めることができる開閉体制御装置及び開閉体制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様によれば、開閉体制御装置は、モータによって開閉体の開閉駆動を制御する。この開閉体制御装置は、前記モータに流れる電流値に基づいて前記開閉体で挟み込みが発生しているか否かを判定する挟み込み判定手段と、所定の電気角だけずらして配置され、前記モータが有する磁極の位置を検出する複数のセンサーと、前記モータの通電状態を切り替える駆動回路と、前記モータの正転又は逆転を表す回転方向信号を生成する回転方向決定手段と、前記複数のセンサーの出力に対応して前記駆動回路の通電状態を切り替える切り替えパターンであって、前記モータを正転させるときの正転パターンを記憶した正転パターン記憶部と、前記複数のセンサーの出力と前記所定の電気角のずれとに対応して前記駆動回路の通電状態を切り替える切り替えパターンであって、前記モータを逆転させるときの逆転パターンを記憶した逆転パターン記憶部と、前記回転方向決定手段が出力した前記回転方向信号に基づいて前記正転パターン記憶部又は前記逆転パターン記憶部から前記正転パターン又は前記逆転パターンのいずれかを読み出して出力する切り替え手段と、前記複数のセンサーの出力に基づき、前記切り替え手段が出力した前記正転パターン又は前記逆転パターンを用いて前記駆動回路を制御するとともに、前記挟み込み判定手段が挟み込みが発生していると判定した場合にその挟み込みを回避するための所定のパターンで前記駆動回路を制御する駆動指令手段とを備え
、前記複数のセンサーは、全体で機械角で30度の範囲に配置され、且つ前記所定の電気角のずれは、前記モータの高負荷時の脈動を低減させる値に設定されている。
【0009】
本発明の第二の態様によれば、開閉体制御装置は、前記モータが、複数の磁極を有する永久磁石ロータと多相の電機子巻線であるステータコイルを有するステータとを備えたブラシレスモータである。
【0010】
本発明の第三の態様によれば、開閉体制御装置は、前記複数のセンサーをずらして配置する前記所定の電気角が、前記モータが有するステータコイルの中心を基準として設定される。
【0011】
本発明の第四の態様によれば、開閉体制御装置は、前記モータが16極18スロットのブラシレスモータである。前記各スロットにはそれぞれ集中巻で18個のコイルが巻かれていて、隣接する3個のコイルで1つの相群を形成し、前記ステータコイルの中心が前記隣接する3個のコイルで形成される1つの相群の中間に位置する。
【0014】
本発明の第
五の態様によれば、開閉体制御方法は、モータによって開閉体の開閉駆動を制御する開閉体制御方法である。この開閉体制御方法は、前記モータに流れる電流値に基づいて前記開閉体で挟み込みが発生しているか否かを判定する挟み込み判定手段と、所定の電気角だけずらして配置され、前記モータが有する磁極の位置を検出する複数のセンサーと、前記モータの通電状態を切り替える駆動回路と、前記モータの正転又は逆転を表す回転方向信号を生成する回転方向決定手段と、前記複数のセンサーの出力に対応して前記駆動回路の通電状態を切り替える切り替えパターンであって、前記モータを正転させるときの正転パターンを記憶した正転パターン記憶部と、前記複数のセンサーの出力と前記所定の電気角のずれとに対応して前記駆動回路の通電状態を切り替える切り替えパターンであって、前記モータを逆転させるときの逆転パターンを記憶した逆転パターン記憶部と、前記回転方向決定手段が出力した前記回転方向信号に基づいて前記正転パターン記憶部又は前記逆転パターン記憶部から前記正転パターン又は前記逆転パターンのいずれかを読み出して出力する切り替え手段とを用いる。この開閉体制御方法によれば、前記複数のセンサーの出力に基づき、前記切り替え手段が出力した前記正転パターン又は前記逆転パターンを用いて前記駆動回路を制御するとともに、前記挟み込み判定手段が挟み込みが発生していると判定した場合にその挟み込みを回避するための所定のパターンで前記駆動回路を制御
し、前記複数のセンサーは、全体で機械角で30度の範囲に配置され、且つ前記所定の電気角のずれは、前記モータの高負荷時の脈動を低減させる値に設定されている。
【発明の効果】
【0015】
上記した開閉体制御装置及び開閉体制御方法によれば、複数のセンサーを所定の電気角だけずらして配置するとともに、逆転時に複数のセンサーの出力と所定の電気角のずれとに対応した逆転パターンを用いてモータの通電状態が制御される。例えばこの電気角のずれをロック電流付近での電流ムラができるだけ小さくなるように設定すれば、ロック電流付近での電流ムラを抑制することができる。したがって、この場合にはロック電流付近でより精度の高い挟み込み検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の開閉体制御装置の一実施の形態の構成例を示したブロック図である。
【
図2】
図1に示したモータ40の正転時の通電パターンを説明するための説明図である。
【
図3】
図1に示したモータ40の逆転時の通電パターンを説明するための説明図である。
【
図4】
図1に示した開閉体制御装置1の外観構成例を示した平面図である。
【
図5】
図1に示したセンサーU51、センサーV52及びセンサーW53の配置例を説明するための説明図である。
【
図6】本発明の進角調整を行わない場合の動作例を説明するための説明図である。
【
図7】本発明の進角調整を行った場合の動作例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である開閉体制御装置1の構成例を示したブロック図である。
図1に示した開閉体制御装置1は、モータによって車載のスライドドア等の開閉体の開閉駆動を制御する装置である。開閉体制御装置1には、バッテリ2と、操作スイッチ3とが接続されている。このバッテリ2は、例えば直流12V等の2次電池である。また、操作スイッチ3は、ユーザが操作するパワースライドドアの操作スイッチであり、操作スイッチの操作に応じて生成した開動作又は閉動作を示す作動信号を開閉体制御装置1のCPU(Central Processing Unit;中央処理装置)10へ送出する。
【0018】
開閉体制御装置1は、CPU10と、シャント抵抗20と、駆動回路30と、モータ40と、センサー群50とを備えている。シャント抵抗20は、モータ40に流れる電流に応じた電圧を発生する。駆動回路30は、3相のHブリッジ(あるいはインバータとも呼ばれる)から構成される。駆動回路30は、CPU10によって制御される。駆動回路30は、シャント抵抗20を介してバッテリ2の直流出力を入力し、モータ40へ供給する。モータ40は、ブラシレスモータである。モータ40は、デルタ結線された3相の電機子巻線であるU相ステータコイル41、V相ステータコイル42及びW相ステータコイル43が巻かれたステータと、複数の磁極を有する永久磁石ロータ44とを備えている。モータ40には、永久磁石ロータ44近傍に、ホール素子などを用いて構成された磁極位置検出センサーであるセンサー群50が取り付けられている。このセンサー群50は、モータ40が有する磁極の位置を検出する3個のセンサーであるセンサーU51、センサーV52及びセンサーW53を含む。これら3個のセンサーはそれぞれ所定の電気角だけずらして配置されている。センサーU51、センサーV52及びセンサーW53は、永久磁石ロータ44の磁極の切り替わりを検出し、検出した結果をハイ又はローの2値信号で出力する。なお、本実施形態では、センサーU51〜W53が、後述する正転時用に進角調整した位置(すなわち所定の電気角だけずらした位置)に設置されている。
【0019】
CPU10は、回転方向決定手段11、切り替え手段12、正転(CW;Clock Wise)パターン記憶部13、逆転(CCW;Counter Clock Wise)パターン記憶部14、挟み込み判定手段15、及び駆動指令手段16を備えている。ここで、CPU10は、演算装置、制御装置のほか、揮発性及び不揮発性の記憶装置、入出力装置、A/D(アナログ/デジタル)変換装置、カウンタ、クロック発生回路、レジスタ回路等を備えている。そして、CPU10は、不揮発性の記憶装置に記憶されているプログラムを実行することで、回転方向決定手段11、切り替え手段12、挟み込み判定手段15、及び駆動指令手段16としての各処理を実行する。
【0020】
回転方向決定手段11は、操作スイッチ3から出力された作動信号に応じてモータ40を正転させるか又は逆転させるのかを判断し、回転方向を表す信号である回転方向信号を生成して出力する。切り替え手段12は、回転方向決定手段11が出力した回転方向信号に基づいて正転パターン記憶部13又は逆転パターン記憶部14から正転パターン又は逆転パターンのいずれかを読み出して出力する。
【0021】
正転パターン記憶部13は、複数のセンサーU51〜W53の出力に対応した駆動回路30の通電状態の切り替えパターンであって、モータ40の正転時の切り替えパターンである正転パターンを記憶している。ここで、正転パターン記憶部13が記憶する正転パターンについて、
図2を参照して説明する。
図2は、モータ40を正転させる際の、進角なしの場合とありの場合の2つの場合について電気角と、ステータコイル41〜43の誘起電圧と、センサーU51〜W53の出力波形と、センサーU51〜W53の出力波形に対応した通電パターンPa1〜Pa6との対応関係を示した図である。この正転パターン記憶部13は、進角ありの場合のセンサーU51〜W53の出力波形のパターンと通電パターンPa1〜Pa6とを対応付けて、正転パターンとして記憶する。すなわち、正転パターンは、センサーU51〜W53の出力波形のパターンと通電パターンPa1〜Pa6との対応付けを表す情報である。ここで電気角は磁極位置の変化(すなわち磁界の変化)の1周期分を360度で表している。また、進角なしとは、磁極位置を検出するセンサーU51〜W53の設置位置を通常の位置(すなわち電気角のずれがない位置)とする場合である。つまり、進角なしの位置は、センサーU51〜W53の出力が変化した場合、ステータコイル41〜43を、即時にその変化に対応した通電状態に切り替えることが最適であるような位置にセンサーU51〜W53が設置されていることを意味する。他方、進角ありとは、磁極位置を検出するセンサーU51〜W53の設置位置を所定の電気角分進めた位置とした場合であり、本実施形態では、その電気角進角分(すなわち所定の電気角のずれ)は、モータ40の高負荷時の脈動を低減させる値に設定されている。この電気角進角分は、例えば実験などによって決定することができる。本実施形態のモータ40では、電気角進角分を30度としている。したがって、進角ありの場合、進角なしと比べて、電気角で30度分早くセンサーU51〜W53の出力が変化する。
【0022】
通電パターンは、ステータコイル41〜43を3相コイルとしているので、それぞれが電気角60度分に対応する6種類の異なるパターンPa1〜Pa6を含んで電気角1周期で構成されている。進角なしの場合、例えば、センサーU51がハイレベル、センサーV52がローレベル及びセンサーW53がハイレベルのとき、パターンPa1が選択される。そして、パターンPa1では、U相ステータコイル41の両端に駆動回路30から高電圧側出力と低電圧側出力の両電圧が印加される。この場合、V相ステータコイル42とW相ステータコイル43は、直列接続された形となるので、U相ステータコイル41に印加された電圧の半分の電圧が印加される。他方、進角ありでは、センサーU51〜W53の出力パターンと通電パターンPa1〜Pa6との対応関係は進角なしの場合と同一である。進角ありでは、センサーU51〜W53の出力が電気角で30度分早く変化する。したがって、通電パターンPa1〜Pa6は進角なしの場合と比べて電気角で30度分ずつ早く切り替えられる。
【0023】
次に、逆転パターン記憶部14は、複数のセンサーU51〜W53の出力と所定の電気角進角分(ただし逆転時には遅角となる)とに対応したパターンであって、モータ40の逆転時の駆動回路30による通電状態の切り替えパターンである逆転パターンを記憶している。ここで、逆転パターン記憶部14が記憶する逆転パターンについて、
図3を参照して説明する。
図3は、
図2と同様の説明図であって、モータ40を逆転させる際の、進角なしの場合とありの場合の2つの場合について電気角と、ステータコイル41〜43の誘起電圧と、センサーU51〜W53の出力波形と、センサーU51〜W53の出力波形に対応した通電パターンPb1〜Pb6との対応関係を示した図である。この逆転パターン記憶部14は、進角ありの場合のセンサーU51〜W53のパターンと通電パターンPb1〜Pb6とを対応付けて記憶する。なお、逆転パターンは、センサーU51〜W53のパターンと通電パターンPb1〜Pb6との対応付けを表す情報である。
【0024】
本実施形態のセンサーU51〜W53は、正転時用に進角調整された位置に設置されている。そのため、進角なしのセンサーU51〜W53と通電パターンPb1〜Pb6との対応付けをそのまま使用してしまうと、進角ありのセンサーU51〜W53を用いた場合、通電パターンは破線で示したように逆に30度遅れてしまう。そこで、進角なしの場合の対応付けとは異なる対応付けで、センサーU51〜W53の出力と通電パターンPb1〜Pb6とを対応付けている。例えば、進角なしの場合、センサーU51がハイレベル、センサーV52がハイレベル及びセンサーW53がローレベルのとき、パターンPb1が選択される。これに対して、進角ありの場合では、センサーU51がローレベル、センサーV52がハイレベル及びセンサーW53がローレベルのとき、パターンPb1が選択される。このように対応付けを異ならせることで(すなわち電気角で60度分進めることで)、逆転時においても進角なしの場合と比較して、通電パターンPb1〜Pb6が電気角で30度分ずつ早く選択される。
【0025】
次に、
図1に示した挟み込み判定手段15は、モータ40に流れる電流値に基づいてスライドドア等の開閉体で挟み込みが発生しているか否かを判定する。すなわち、挟み込み判定手段15は、シャント抵抗20の発生電圧を増幅及びA/D変換することで取り込み、その電流値を基に挟み込みが発生しているか否かを判定する。そして、挟み込み判定手段15は、挟み込みが発生していると判定した場合、挟み込みが発生している旨を表す挟み込み判定信号(あるいはモータ40の駆動停止を直接指示する信号)を生成し、駆動指令手段16に対して出力する。挟み込みの判定については、例えば、所定の時間あたりの電流の変化量が所定の閾値を越えたような場合に挟み込みが発生したと判定することができる。
【0026】
駆動指令手段16は、複数のセンサー51〜53の出力と回転方向決定手段11が出力した回転方向信号(ただし回転方向信号は正転パターン又は逆転パターンを利用することで省略可能)に基づき、切り替え手段12が出力した正転パターン又は逆転パターンを用いて駆動回路30を制御する。駆動指令手段16は、操作スイッチ3の操作に応じてモータ40の速度指令値を予め定めた設定値に基づき時間に応じて変化させながら生成し、その速度指令値と複数のセンサー51〜53の出力から得たモータ40の回転速度の偏差に応じて、駆動回路30をデューティー制御を行いながら正転パターン又は逆転パターンで駆動する。さらに、駆動指令手段16は、挟み込み判定手段15が挟み込みが発生していると判定した場合にその挟み込みを回避するための所定のパターンで駆動回路30を制御する。ここで、挟み込みを回避するための所定のパターンは、モータ40が正転駆動中に挟み込みと判定された場合には逆転駆動を行い、モータ40が逆転駆動中に挟み込みと判定された場合には正転駆動を行うパターンとすることができる。あるいは、即時にモータ40を停止するパターンや、正転状態であれば短時間の逆転駆動を行った後にモータ40を停止するパターン、逆転状態であれば短時間の正転駆動などを行った後にモータ40を停止するパターンなどとすることもできる。駆動指令手段16は、複数のセンサー51〜53の出力と回転方向決定手段11が出力した回転方向信号(ただし回転方向信号は正転パターン又は逆転パターンを利用することで省略可能)に基づき、切り替え手段12が出力した正転パターン又は逆転パターンを用いて駆動回路30を制御する。駆動指令手段16は、操作スイッチ3の操作に応じてモータ40の速度指令値を予め定めた設定値に基づき時間に応じて変化させながら生成し、その速度指令値と複数のセンサー51〜53の出力から得たモータ40の回転速度の偏差に応じて、駆動回路30をデューティー制御を行いながら正転パターン又は逆転パターンで駆動する。さらに、駆動指令手段16は、挟み込み判定手段15が挟み込みが発生していると判定した場合にその挟み込みを回避するための所定のパターンで駆動回路30を制御する。ここで、挟み込みを回避するための所定のパターンは、モータ40が正転駆動中に挟み込みと判定された場合には逆転駆動を行い、モータ40が逆転駆動中に挟み込みと判定された場合には正転駆動を行うパターンとすることができる。あるいは、即時にモータ40を停止するパターンや、正転状態であれば短時間の逆転駆動を行った後にモータ40を停止するパターン、逆転状態であれば短時間の正転駆動などを行った後にモータ40を停止するパターンなどとすることもできる。駆動指令手段16は、複数のセンサー51〜53の出力と回転方向決定手段11が出力した回転方向信号(ただし回転方向信号は正転パターン又は逆転パターンを利用することで省略可能)に基づき、切り替え手段12が出力した正転パターン又は逆転パターンを用いて駆動回路30を制御する。駆動指令手段16は、操作スイッチ3の操作に応じてモータ40の速度指令値を予め定めた設定値に基づき時間に応じて変化させながら生成し、その速度指令値と複数のセンサー51〜53の出力から得たモータ40の回転速度の偏差に応じて、駆動回路30をデューティー制御を行いながら正転パターン又は逆転パターンで駆動する。さらに、駆動指令手段16は、挟み込み判定手段15が挟み込みが発生していると判定した場合にその挟み込みを回避するための所定のパターンで駆動回路30を制御する。ここで、挟み込みを回避するための所定のパターンは、モータ40が正転駆動中に挟み込みと判定された場合には逆転駆動を行い、モータ40が逆転駆動中に挟み込みと判定された場合には正転駆動を行うパターンとすることができる。あるいは、即時にモータ40を停止するパターンや、正転状態であれば短時間の逆転駆動を行った後にモータ40を停止するパターン、逆転状態であれば短時間の正転駆動などを行った後にモータ40を停止するパターンなどとすることもできる。
【0027】
次に、
図4を参照して、
図1に示した開閉体制御装置1の外観構成例について説明する。
図4において、
図1に示した構成と同一の構成には同一の符号を用いている。
図4に示した例では、モータ40は、16極18スロットのブラシレスモータとして構成されている。この場合、網掛けして示した永久磁石ロータ44は、N極及びS極の各磁極を16極有して構成されている。また、ステータ45は18個のスロット46を有し、スロット46内には18個のステータコイル41−1〜41−3等が集中巻で巻かれている。また、モータ40には、基板60が取り付けられている。この基板60上には
図4に示したセンサー51〜53のほか、図示していない、CPU10、シャント抵抗20及び駆動回路30が搭載されている。
【0028】
図4に示したステータコイル41〜43は、隣接する3つのコイル(例えばU相ステータコイル41−1、41−2及び41−3)で1つの相群を構成し、同じ相の相群がステータ45の中心点Oに対して対向する位置に配置され、全体で6個の相群を有している。ここで、U相ステータコイル41は、対向するU相ステータコイル41とともに直列に接続されて1個のU相ステータコイル41を構成する。また、各相群のコイルでは、例えば、U相ステータコイル41−1、41−2及び41−3では、U相ステータコイル41−2と、他の2つのU相ステータコイル41−1及び41−3との巻き線方向が異なっている。他のV相ステータコイル42及びW相ステータコイル43でも同様に、各相群において真ん中に位置するコイルの巻き線方向は他のコイルの巻き線方向と異なっている。
【0029】
次に、
図5を参照して、センサー51〜53の設置位置について説明する。
図5は、
図4の一部を拡大して示したものである。
図4を参照して説明したように、モータ40は隣接する3つのコイルから1つの相群を構成し、全体で6個の相群を有している。磁極の位置を検出するためのセンサーは、各相群の間に配置するのが一般的である。この場合、1つの相群は、機械角で60度(=360度/6(相群))なので、一般的な配置ではセンサー51〜53を60度毎に配置することになる。しかし、60度毎の配置では3個のセンサー51〜53は全体として120度の機械角の広がりを持つ。このため、60度毎の配置では、省スペース化の点では問題がある。そこで、
図5に示した構成例では、1つのセンサーU51を相群の中間部に配置するともに、他の2つのセンサーV52及びW53の位置をずらすことで、3つのセンサー51〜53を機械角で30度の範囲内に配置している。つまり、本構成例の永久磁石ロータ44は、16極の磁極を有しているので、各磁極の機械角は22.5度(=360度/16)である。したがって、N極とS極とをあわせて機械角45度分の位置移動は、移動前後で磁極の検出波形は同一となる。そこで、3個のセンサー51〜53の機械角120度の範囲に対し、1個目のセンサーの位置を基準(すなわち機械角0度)として、2個目のセンサーの位置を機械角60度から機械角45度ずらして機械角15度の位置に移動し、3個目のセンサーの位置を機械角120度から機械角90度ずらして機械角30度の位置に移動することで、3個のセンサー51〜53を機械角30度の範囲で配置している。このように配置することで、3個のセンサー51〜53を基板60上の比較的狭い領域に集中的に配置することが可能となった。
【0030】
次に、進角調整に関する配置について説明する。本実施形態では、電気角で30度の進角調整を行うこととしている。これは、16極の場合、機械角では3.75度に相当する。ただし、本実施形態では、ステータコイル41〜43をデルタ結線としているため、18スロットにおいて3個のコイルで1相群を構成する場合、中間部に位置するセンサー51については、中間部のコイル41−2から機械角で3.75度ずらした位置が電気角で0度の位置となる。したがって、進角分の機械角3.75度とデルタ結線による機械角のずれ3.75度を合わせた機械角7.5度分、中間部のコイル41−2の中心Cからずらした位置が電気角で30度進角させた位置となる。このセンサーU51の位置に対して、センサーV52とセンサーW53はそれぞれ機械角で15度ずらした位置に配置する。これで3個のセンサー51〜53が電気角で30度進角させ、かつ全体で機械角30度の範囲に配置される。なお、デルタ結線ではなくスター結線を採用する場合、中心線Cからの角度は機械角で7.5度ではなく機械角で3.75度(電気角30度に相当する分のみ)とする。
【0031】
図6と
図7に進角調整を行わなかった場合(
図6)と、電気角で30度の進角調整を行った場合(
図7)の高負荷時のセンサー出力波形とモータ電流波形の一例を示した。横軸は時間、縦軸は電流である。ただし、センサー波形についてはハイレベルまたはローレベルの波形である。「モータ電流(生値)」はシャント抵抗の出力電圧をそのまま増幅した値である。一方、「モータ電流(CPU認識値)」は同じ波形をローパスフィルタに通した後、CPUでA/D変換した値をプロットしている。「モータ電流(生値)」はセンサーの切り替わりのタイミングで通電パターンを切り替えているためその波形にはスパイク状のノイズが現れている。このスパイク状のノイズはローパスフィルタによって容易に低減することができる。進角調整を行わなかった場合、
図6で矢印で示した高負荷時のモータの脈動で発生する回転ムラと電流ムラは電流の周波数が低いことからフィルターでは除ききれていないことがわかる。これに対して、進角調整を行った場合、
図7に示すように、
図6で矢印で示した、高負荷時のモータの脈動で発生する回転ムラと電流ムラを低減できていることがわかる。
【0032】
以上のように本発明の実施形態によれば、複数のセンサーを所定の電気角だけずらして配置するとともに、逆転時に複数のセンサーの出力と所定の電気角のずれとに対応した逆転パターンを用いてモータの通電状態が制御される。例えばこの電気角のずれをロック電流付近での電流ムラができるだけ小さくなるように設定してやれば、ロック電流付近での電流ムラを抑制することができる。したがって、この場合にはロック電流付近でより精度の高い挟み込み検出を行うことができる。
【0033】
また、モータを、複数の磁極を有する永久磁石ロータと多相の電機子巻線であるステータコイルを有するステータとを備えたブラシレスモータとすることで、薄型化やブラシレスによる高寿命化を容易に図ることができる。
【0034】
また、複数のセンサーをずらして配置する前記所定の電気角を、モータが有するステータコイルの中心を基準として設定することで、複数のセンサーを容易に狭い範囲にまとめて配置することができる。
【0035】
また、モータが16極18スロットのブラシレスモータであって、各スロットにはそれぞれ集中巻で18個のコイルが巻かれていて、隣接する3個のコイルで1つの相群を形成し、ステータコイルの中心が隣接する3個のコイルで形成される1つの相群の中間に位置するように設定することで、複数のセンサーの配置を例えば相群と相群の間に配置する場合と比べて容易に狭い範囲にまとめて配置することができる。また、この構成では、複数のセンサーを機械角で30度の範囲に配置することができる。
【0036】
また、所定の電気角のずれ、モータの高負荷時の脈動を低減させる値に設定することで、高負荷時に大きくなる電流の低い周波数での変動を小さく抑えることができる。
【0037】
なお、本発明の実施の形態は上記のものに限定されず、上記の実施形態については、例えば
図1のCPU10内の各部を統合あるいは分散したり、シャント抵抗に代えて駆動回路30内に設けた電流検出部を設けたりする変更等を適宜行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
上記の開閉体制御装置及び開閉体制御方法によれば、複数のセンサーを所定の電気角だけずらして配置するとともに、逆転時に複数のセンサーの出力と所定の電気角のずれとに対応した逆転パターンを用いてモータの通電状態が制御される。例えばこの電気角のずれをロック電流付近での電流ムラができるだけ小さくなるように設定すれば、ロック電流付近での電流ムラを抑制することができる。したがって、この場合にはロック電流付近でより精度の高い挟み込み検出を行うことができる。
【符号の説明】
【0039】
1 開閉体制御装置
11 回転方向決定手段
12 切り替え手段
13 正転パターン記憶部
14 逆転パターン記憶部
15 挟み込み判定手段
16 駆動指令手段
40 モータ
41、42、43 ステータコイル
44 永久磁石ロータ
51、52、53 センサー