(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
注射器本体を抜き差し可能となるように、該注射器本体の抜き差し方向に開放した本体収容部と、筒状の注射器本体を軸線方向で係止する本体係止部と、注射器本体の先端部に装着される蓋体を注射器本体の軸線方向で係止する蓋体係止部と、本体収容部、本体係止部、蓋体係止部が設けられる補助具本体とを備え、
本体係止部及び蓋体係止部のうち少なくとも何れか一方は、本体収容部に注射器本体を抜き差しできる本体抜差位置と、注射器本体から蓋体を離脱させるべく注射器本体の軸線方向で離反した蓋体離脱位置とに移動可能に構成される注射器補助具であって、
補助具本体に対して押込可能に構成され且つ補助具本体に押し込まれるに伴い前記本体係止部及び蓋体係止部のうち少なくとも何れか一方を本体抜差位置から蓋体離脱位置に位置させ、補助具本体への押し込みが解除されるに伴い前記本体係止部及び蓋体係止部のうち少なくとも何れか一方を蓋体離脱位置から本体抜差位置に位置させるように構成される操作部を備え、
前記本体収容部は、前記注射器本体を該注射器本体の径方向で抜差可能となるように開放し、前記操作部は、前記軸線方向と前記抜き差し方向とのそれぞれに交差する方向で押込可能に構成されることを特徴とする注射器補助具。
前記操作部を一対備え、該一対の操作部は、互いに接近させることで前記補助具本体に押し込まれ、互いに離反させることで前記補助具本体への押し込みが解除されるように構成される請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の注射器補助具。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る注射器補助具における第1の実施形態について、
図1〜
図16を参酌して説明する。まず、本実施形態に係る注射器補助具の各構成を説明するのに先立って、注射器補助具に使用される注射器について説明する。
【0012】
図1及び
図2に示すように、注射器9は、内部に薬液が充填される筒状の注射器本体91と、注射器本体91の先端部に装着される蓋体92と、注射器本体91に先端側が挿入され、薬液を投与する際に、注射器本体91に対して軸線方向でスライドされるプランジャ93とを備える。なお、本実施形態において、注射器9は、例えば糖尿病やリュウマチの治療薬が充填されているプレフィルドシリンジであって、患者自らが注射を行うための注射器としている。
【0013】
注射器本体91は、筒状に形成されるバレル911と、バレル911の先端部に固定される注射針912と、バレル911の基端部に装着されるフィンガーグリップ913とを備える。そして、バレル911は、ガラスや硬質樹脂等で形成され、注射針912は、金属等で形成され、フィンガーグリップ913は、硬質樹脂等で形成されている。
【0014】
バレル911は、筒状の胴部911aと、先端部に配置され、胴部911aよりも外径及び内径の小さいノズル部911bと、基端部に配置され、胴部911aから径方向外方に突出するフランジ部911cとを備える。そして、フィンガーグリップ913は、平板状に形成されていると共に、指を掛けるための面がバレル911の径方向に沿うようにして、バレル911のフランジ部911cに装着されている。
【0015】
蓋体92は、筒状に形成されると共に、先端側が閉塞され且つ基端側が開放されて構成されている。そして、蓋体92は、少なくとも内周部が弾性を有して形成されており、バレル911のノズル部911bに着脱自在に装着されている。また、注射器本体91の軸線方向において、注射器本体91(バレル911)と蓋体92との間には、隙間が形成されている。なお、本実施形態において、蓋体92は、二重構造としており、内周部がゴム等の弾性材で形成され、外周部が内周部よりも硬質な材料(硬質樹脂等)で形成される。
【0016】
図1〜
図10に示すように、本実施形態に係る注射器補助具1は、蓋体92を注射器本体91の軸線方向で係止する蓋体係止体2と、注射器本体91を収容し、収容する注射器本体91を軸線方向で係止する本体係止体3とを備える。なお、本実施形態に係る注射器補助具1は、蓋体係止体2と本体係止体3との二つの部材で構成されている。
【0017】
蓋体係止体2は、
図1〜
図6に示すように、蓋体92を注射器本体91の軸線方向で係止する蓋体係止部21を備える。また、蓋体係止体2は、本体係止体3をガイドするガイド部22を備え、ガイド部22により、本体係止体3に注射器本体91を抜き差しできる位置(以下、「本体抜差位置」という)と注射器本体91から蓋体92を離脱させる位置(以下、「蓋体離脱位置」という)とに、各係止体2,3を位置させる。
【0018】
そして、蓋体係止体2は、各係止体2,3が蓋体離脱位置に位置する際に、注射器本体91が本体係止体3から抜き出されることを防止する抜出防止部23と、各係止体2,3が相対変位する際に、操作される第1の操作部24とを備える。さらに、蓋体係止体2は、本体係止体3と係合し、本体係止体3を本体抜差位置で保持させる半筒状の第1の係合部25を備える。
【0019】
また、蓋体係止体2は、本体係止体3と一体となるように組み立てられる際に、弾性変形される一対の弾性片26,26を備える。そして、箱状に形成されている蓋体係止体2には、本体係止体3や注射器9の通過する部位に開放部27が形成されている。なお、蓋体係止体2は、硬質樹脂や金属等で形成されている。
【0020】
蓋体係止部21は、平面状に形成されていると共に、本体係止体3に収容される注射器本体91の径方向に沿って配置されている。そして、蓋体係止部21は、本体係止体3が蓋体係止体2に対して移動する際に、蓋体92の基端部を注射器本体91の軸線方向で係止する。具体的には、本体係止体3が蓋体係止体2に対して移動する際に、蓋体係止部21が蓋体92の基端部と摺接する。
【0021】
ガイド部22は、本体係止体3を嵌合してガイドする一対のガイド溝221,221と、平面に沿って本体係止体3をガイドすべく、本体係止体3と面接触で摺接するガイド面222とを備える。また、ガイド部22は、本体係止体3と係合することで、本体係止体3を本体抜差位置で保持させる凸状の第2の係合部223を、各ガイド溝221の一端側に備えると共に、本体係止体3と係合することで、本体係止体3を蓋体離脱位置で保持させる凸状の第3の係合部224を、各ガイド溝221の他端側に備える。
【0022】
各ガイド溝221は、注射器本体91の径方向に沿って本体係止体3をガイドする直線状の第1領域221aと、注射器本体91の軸線方向及び径方向と傾斜する方向に沿って本体係止体3をガイドする直線状の第2領域221bとを備える。そして、各ガイド溝221は、第1領域221aの他端部と第2領域221bの一端部とを連結して構成されている。
【0023】
また、各ガイド溝221において、第1領域221aと第2領域221bとは、傾斜して交差するように配置されている。即ち、各ガイド溝221は、直線状の各領域221a,221bが屈曲するようにして連結されている。さらに、一対のガイド溝221,221は、注射器本体91の軸線方向で離間して配置されていると共に、互いに平行となるように配置されている。
【0024】
そして、各第1領域221aが、一端部から他端部に向けて本体係止体3をガイドすることにより、注射器本体91及び蓋体92間の隙間に、蓋体係止部21が挿入される。また、各第2領域221bが、一端部から他端部に向けて本体係止体3をガイドすることにより、本体係止体3が、注射器本体91の径方向で蓋体係止体2に対して移動することに伴って、注射器本体91の軸線方向でも蓋体係止体2に対して移動する。
【0025】
抜出防止部23は、各係止体2,3が蓋体離脱位置に位置する際に、注射器本体91を覆うように配置されている。そして、抜出防止部23は、各係止体2,3が蓋体離脱位置に位置する際に、注射器本体91を径方向で係止することで、収容されている注射器本体91が本体係止体3から抜き出されることを防止している。
【0026】
第1の操作部24は、本体係止体3に収容されている注射器本体91の軸線方向に沿って配置される第1の操作面241を備える。そして、第1の操作部24は、全体的に手で把持されたり、第1の操作面241を掌で押されたり、第1の操作面241を指の腹で押されたりして、患者に操作される。
【0027】
本体係止体3は、
図1〜
図2及び
図7〜
図10に示すように、注射器本体91を収容する本体収容部31と、蓋体係止体2のガイド部22にガイドされる被ガイド部32と、各係止体2,3が相対変位する際に、操作される第2の操作部33と、蓋体係止体2の第1の係合部25と係合する突条の係合部34とを備える。そして、本体係止体3は、箱状の蓋体係止体2の内部に出し入れされる。なお、本体係止体3は、硬質樹脂や金属等で形成されている。
【0028】
本体収容部31は、収容される注射器本体91を軸線方向で係止する本体係止部311と、抜き差しされる注射器本体91をガイドするように凹状に形成され、収容された注射器本体91を径方向で係止して保持する本体保持部312とを備える。
【0029】
本体係止部311は、フィンガーグリップ913における注射器本体91の軸線方向の先端側の面を係止している。また、本体係止部311は、フィンガーグリップ913における注射器本体91の軸線方向の基端側の面も係止している。
【0030】
被ガイド部32は、ガイド部22の各ガイド溝221にガイドされる一対の被ガイド突部321,321を備える。また、被ガイド部32は、ガイド部22のガイド面222と面接触で摺接される被ガイド面322を備える。
【0031】
各被ガイド突部321は、各ガイド溝221の第1領域221aと摺接する一対の第1領域321a,321aと、各ガイド溝221の第2領域221bと摺接する一対の第2領域321b,321bとを備える。また、各被ガイド突部321は、被ガイド面322から突出して設けられている。そして、一対の被ガイド突部321,321は、注射器本体91の軸線方向で離間して配置されている。
【0032】
さらに、各被ガイド突部321は、各ガイド溝221の内部に配置されていると共に、各ガイド溝221から抜け止めされており、外周縁で各ガイド溝221の内周縁と摺接している。また、各被ガイド突部321において、第1領域321aは、注射器本体91の径方向に沿って直線状に形成されると共に、第2領域321bは、注射器本体91の軸線方向及び径方向と傾斜する方向に沿って直線状に形成されている。
【0033】
第2の操作部33は、本体係止体3に収容されている注射器本体91の軸線方向及び径方向と傾斜する方向に沿って配置される第2の操作面331と、注射器本体91の軸線方向の先端側に配置される突出部332とを備える。また、第2の操作部33は、平板状に形成されている。そして、第2の操作部33は、第2の操作面331を掌で押されたり、第2の操作面331を指の腹で押されたり、突出部332を指で把持されたりして、患者に操作される。
【0034】
ここで、各ガイド溝221の第2領域221bは、注射器本体91の径方向の一方側から他方側に行くに従って、注射器本体91の軸線方向の先端側(一方側)から基端側(他方側)に向けて傾斜している。また、第2の操作部33は、注射器本体91の軸線方向の基端側(他方側)から先端側(一方側)に行くに従って、注射器本体91の径方向の一方側から他方側に向けて傾斜している。
【0035】
本実施形態に係る注射器補助具1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係る注射器補助具1の動作について、
図11〜
図16を参酌して説明する。
【0036】
まず、蓋体係止体2と本体係止体3とは、それぞれ個別に形成される。そして、本体係止体3の各被ガイド突部321を、蓋体係止体2の各弾性片26に押し当てると、各弾性片26が弾性変形するため、各被ガイド突部321が各ガイド溝221の内部に配置される。これにより、蓋体係止体2と本体係止体3とが一体となるように組み立てられる。
【0037】
そして、
図11及び
図12に示すように、各被ガイド突部321が各ガイド溝221の一端部に配置されており、抜出防止部23が本体収容部31を覆っていないため、各係止体2,3は、本体収容部31に注射器本体91を抜き差しできる本体抜差位置に位置している。このとき、蓋体係止体2の第1係合部25と本体係止体3の係合部34とが係合すると共に、ガイド部22の第2係合部223と被ガイド突部321とが係合しているため、各係止体2,3が本体抜差位置で保持されている。
【0038】
蓋体92が装着されている注射器本体91を本体収容部31に差して収容した後に、例えば、第1操作部24を全体的に手で把持した状態で、第2操作部33の第2操作面331を掌で押すと、各ガイド溝221の第1領域221aが各被ガイド突部321の第1領域321aをガイドするため、
図13及び
図14に示すように、第2操作部33を有する本体係止体3は、蓋体係止体2に対して、注射器本体91の径方向に移動する。このとき、注射器本体91及び蓋体92間の隙間に、蓋体係止部21が挿入される。
【0039】
さらに、第2操作部33の第2操作面331を掌で押すと、各ガイド溝221の第2領域221bは、注射器本体91の軸線方向及び径方向と傾斜する方向に沿って、各被ガイド突部321の第2領域321bをガイドする。このとき、第2操作面331が注射器本体91の軸線方向及び径方向と傾斜する方向に沿って配置されているため、第2操作面331を押す力は、ガイド溝221の第2領域221bでガイドされる方向に作用する。
【0040】
そして、第2操作部33を有する本体係止体3は、蓋体係止体2に対して、注射器本体91の径方向に移動することに伴って、注射器本体91の軸方向にも移動する。これにより、各係止部21,331が注射器本体91の軸線方向で離反されるため、
図15及び
図16に示すように、蓋体92が注射器本体91から離脱される。そして、各被ガイド突部321が各ガイド溝221の他端部に配置されており、各係止体2,3は、注射器本体91から蓋体92を離脱することができる蓋体離脱位置に位置している。
【0041】
このとき、ガイド部22の第3係合部224と被ガイド突部321とが係合しているため、各係止体2,3が蓋体離脱位置で保持されていると共に、抜出防止部23が注射器本体91(具体的には、注射針912)を径方向で係止しているため、注射器本体91が本体収容部31から抜き出されることを防止している。そして、注射器補助具1が注射器9に取り付けられた状態で、そのまま注射を行うことができる。
【0042】
以上より、本実施形態に係る注射器補助具1によれば、各係止部21,311が、本体収容部31に注射器本体91を抜き差しできる本体抜差位置に位置している際に、第2操作部33が、蓋体係止部21に対して、注射器本体91の軸線方向と交差する方向に沿って移動するように操作される。
【0043】
すると、各係止部21,311が、注射器本体91の軸線方向で離反される蓋体離脱位置に位置するため、注射器本体91から蓋体92を容易に離脱させることができる。したがって、注射器本体91を本体収容部31に収容した後に、蓋体係止体2と本体係止体3とを相対的に変位させるという一つの動作を行うことで、注射器本体91から蓋体92を容易に離脱させることができる。
【0044】
また、本実施形態に係る注射器補助具1によれば、各係止部21,311が蓋体離脱位置に位置する際には、抜出防止部23が注射器本体91を径方向で係止しているため、注射器本体91が本体収容部31から抜き出されることを防止できる。これにより、第2操作部33が操作されると、各係止部21,311が本体抜差位置から蓋体離脱位置に位置することにより、注射器補助具1が注射器9に取り付けられた状態となるため、そのまま注射を行うことができる。
【0045】
また、本実施形態に係る注射器補助具1によれば、本体係止部311は、本体係止体3に設けられると共に、蓋体係止部21は、蓋体係止体2に設けられている。そして、第2操作部33は、本体係止体3に設けられていると共に、蓋体係止体2は、注射器本体91の軸線方向及び径方向と傾斜する方向に沿って、本体係止体3をガイドするガイド部22を備えている。
【0046】
これにより、第2操作部33が操作されて移動する際に、蓋体係止体2がガイド部22で本体係止体3をガイドする。したがって、本体係止体3は、注射器本体91の径方向で蓋体係止体2に対して移動することに伴って、注射器本体91の軸線方向でも蓋体係止体2に対して移動する。
【0047】
また、本実施形態に係る注射器補助具1によれば、第2操作部33には、操作される第2操作面331が設けられている。そして、第2操作面331が、注射器本体91の軸線方向及び径方向と傾斜する方向に沿って配置されているため、第2操作面331に作用された力がガイド部22でガイドされる方向に作用する。これにより、蓋体係止体2は、本体係止体3をガイド部22で円滑にガイドできる。
【0048】
また、本実施形態に係る注射器補助具1によれば、第2操作部33には、端部に突出部332が設けられている。そして、例えば、突出部332が把持されて操作されると、突出部332を介して第2操作部33に作用した力は、ガイド部22でガイドされる方向に作用する。これにより、蓋体係止体2は、本体係止体3をガイド部22で円滑にガイドすることもできる。
【0050】
図17〜
図21に示すように、本実施形態に係る注射器補助具5は、注射器本体91を収容する本体収容部51と、注射器本体91から蓋体92を離脱させるために操作される一対の操作部52,52と、本体収容部51と各操作部52とを接続する接続機構53とを備える。また、注射器補助具5は、注射器本体91が本体収容部51から抜き出されることを防止する抜出防止部54を備える。
【0051】
本体収容部51は、収容される注射器本体91を軸線方向で係止する本体係止部511を備える。また、本体収容部51は、蓋体92を注射器本体91の軸線方向で係止する蓋体係止部512を備える。
【0052】
本体係止部511は、フィンガーグリップ913における注射器本体91の軸線方向の先端側の面を係止している。また、本体係止部511は、フィンガーグリップ913における注射器本体91の軸線方向の基端側の面も係止している。
【0053】
蓋体係止部512は、抜き差しされる注射器本体91をガイドするように凹状に形成され且つ収容された注射器本体91を径方向で係止して保持する半筒状の係止部本体512aと、係止部本体512aから径方向内方に突出し、蓋体92を係止する一対の係止片512b,512bとを備える。そして、各係止片512bは、注射器本体91及び蓋体92間の隙間に配置されることで、蓋体92の基端部を注射器本体91の軸線方向で係止する。
【0054】
また、蓋体係止部512は、抜出防止部54が係止部本体512aを通過するための複数の孔部512c,…を備える。さらに、蓋体係止部512は、係止部本体512aから突出し且つ接続機構53にガイドされる一対の被ガイド部512d,512dを備える。
【0055】
そして、蓋体係止部512は、本体係止部511に対して、注射器本体91の軸線方向で移動する(接離する)。これにより、各係止部511,512は、本体収容部51に注射器本体91を抜き差しできる本体抜差位置と、注射器本体91から蓋体92を離脱させるべく注射器本体91の軸線方向で離反される蓋体離脱位置とに、それぞれ位置される。
【0056】
各操作部52は、本体係止部511及び蓋体係止部512に対して、注射器本体91の軸線方向と交差する方向(具体的には、軸線方向と直交する方向)に沿って移動するように、操作される。また、一対の操作部52,52は、本体収容部51の蓋体係止部512を挟むようにして配置され、互いに接離するように、即ち、蓋体係止部512に接離するように、操作される。
【0057】
接続機構53は、蓋体係止部512の被ガイド部512dをガイドするガイド部531を備える。また、接続機構53は、蓋体係止部512を本体抜差位置で保持する抜差位置保持部532と、蓋体係止部512を蓋体離脱位置で保持する離脱位置保持部533とを備える。
【0058】
ガイド部531は、各操作部52に固定されるガイド溝531a,531bを備える。そして、ガイド部531は、各ガイド溝531a,531bに蓋体係止部512の被ガイド部512dを挿通させており、一対のガイド溝531a,531bが連通している位置に、被ガイド部512dを位置させている。
【0059】
即ち、ガイド部531は、蓋体係止部512と各操作部52とを接続し、各操作部52が移動することに伴って、蓋体係止部512を注射器本体91の軸線方向で本体係止部511に対して移動させている。したがって、接続機構53は、ガイド部531により、各係止部511,512を本体抜差位置と蓋体離脱位置とに位置させることができる。
【0060】
各ガイド溝531a,531bは、注射器本体91の軸線方向及び径方向と傾斜する方向に沿って直線状に形成されている。そして、第1の操作部52に固定される第1ガイド溝531aと、第2の操作部52に固定される第2ガイド溝531bとは、注射器本体91の軸線方向で対称となるように配置されている。
【0061】
抜差位置保持部532は、一対の操作部52,52を離反するように付勢する付勢体である。そして、抜差位置保持部532は、一対の操作部52,52間に配置され、各操作部52に接続されている。なお、各操作部52は、各係止部511,512が本体抜差位置に位置する際に、補助具本体55から突出している。
【0062】
離脱位置保持部533は、第1の操作部52に固定される第1の係合部533aと、補助具本体55に回転自在に固定され、第1の係合部533aと係合する第2の係合部533bとを備える。また、離脱位置保持部533は、係合部533a,533b同士の係合を維持すべく、第2の係合部533bを付勢する付勢体533cと、係合部533a,533b同士の係合を解除するように操作される解除操作部533dとを備える。
【0063】
解除操作部533dは、第2の係合部533bに固定されており、付勢体533cの付勢力に反して操作されることで、第2の係合部533bを回転させる。なお、各操作部52は、各係止部511,512が蓋体離脱位置に位置する際に、補助具本体55の内部に位置されており、補助具本体55から突出していない。
【0064】
抜出防止部54は、各操作部52に固定され且つ操作部52,52同士が対面する方向に突出する突出片541,541を備える。そして、各突出片541は、各係止部511,512(及び操作部52)が本体抜差位置に位置している際に、本体収容部51の係止部本体512aの外方に位置している一方、各係止部511,512(及び操作部52)が蓋体離脱位置に位置している際に、注射器本体91を径方向で係止すべく、孔部512cを介して係止部本体512aの内方に位置している。
【0065】
なお、補助具本体55は、一対のカバー体56,56に一部覆われている。そして、各カバー体56は、注射器本体91の軸線方向に沿って、蓋体係止部512をガイドする機能も備えている。なお、
図20は、カバー体56を透過させた内視図である。
【0066】
本実施形態に係る注射器補助具5の構成は以上の通りであり、次に、本実施形態に係る注射器補助具5の動作について、
図22〜
図25を参酌して説明する。
【0067】
まず、
図22及び
図23に示すように、各操作部52が補助具本体55から突出しており、各係止部511,512は、本体収容部51に注射器本体91を抜き差しできる本体抜差位置に位置している。このとき、抜差位置保持部532が一対の操作部52,52を離反するように付勢しているため、各係止部511,512が本体抜差位置で保持されている。なお、
図22は、カバー体56を透過させた内視図であり、また、
図23は、
図22から注射器9と蓋体係止部512とを省略した内視図である。
【0068】
そこで、蓋体92が装着されている注射器本体91を本体収容部51に差して収容すると、注射器本体91及び蓋体92間の隙間に、蓋体係止部512の係止片512bが挿入される。その後、各操作部52が注射器本体91の軸線方向と直交する方向に沿って移動するように、各操作部52を操作すると、接続機構53のガイド部531が蓋体係止部512の被ガイド部512dをガイドする。
【0069】
そして、操作部52,52同士が互いに接近するように移動することに伴って、蓋体係止部512は、注射器本体91の軸線方向に移動し、本体係止部511から離反する。これにより、
図24及び
図25に示すように、蓋体92が注射器本体91から離脱される。そして、各操作部52が補助具本体55の内部に位置し、各係止部511,512は、注射器本体91から蓋体92を離脱することができる蓋体離脱位置に位置している。
【0070】
このとき、離脱位置保持部533の第1及び第2係合部533a,533b同士が係合しているため、各係止部511,512が蓋体離脱位置で保持されていると共に、抜出防止部54の各突出片541が注射器本体91を径方向で係止しているため、注射器本体91が本体収容部51から抜き出されることを防止している。
【0071】
そして、注射器補助具5が注射器9に取り付けられた状態で、そのまま注射を行うことができる。なお、
図24は、カバー体56を透過させた内視図であり、また、
図25は、
図23から注射器9と蓋体係止部512とを省略した内視図である。
【0072】
その後、解除操作部533dを押すと、第1及び第2係合部533a,533b同士の係合が解除されるため、抜差位置保持部532が一対の操作部52,52を離反させる。それに伴って、各係止部511,512は、本体抜差位置に位置し、抜差位置保持部532により、本体抜差位置で保持される。
【0073】
以上より、本実施形態に係る注射器補助具5によれば、各係止部511,512が、本体収容部51に注射器本体91を抜き差しできる本体抜差位置に位置している際に、各操作部52,52が、各係止部511,512に対して、注射器本体91の軸線方向と交差する方向に沿って移動するように操作される。
【0074】
すると、各係止部511,512が、注射器本体91の軸線方向で離反される蓋体離脱位置に位置するため、注射器本体91から蓋体92を容易に離脱することができる。したがって、注射器本体91を本体収容部51に収容した後に、各操作部52を押し込むという一つの動作を行うことで、注射器本体91から蓋体92を容易に離脱させることができる。
【0075】
また、本実施形態に係る注射器補助具5によれば、各係止部511,512が蓋体離脱位置に位置する際には、抜出防止部54が注射器本体91を径方向で係止しているため、注射器本体91が本体収容部51から抜き出されることを防止できる。これにより、各操作部52,52が操作されると、各係止部511,512が本体抜差位置から蓋体離脱位置に位置することにより、注射器補助具5が注射器9に取り付けられた状態となるため、そのまま注射を行うことができる。
【0076】
また、本実施形態に係る注射器補助具5によれば、接続機構53は、蓋体係止部512と各操作部52,52とを接続している。そして、各操作部52,52が移動することに伴って、接続機構53は、蓋体係止部512を、注射器本体91の軸線方向で本体係止部511に対して移動させる。
【0077】
また、本実施形態に係る注射器補助具5によれば、各操作部52,52が本体収容部51に接離するように操作されると共に、抜出防止部54が各操作部52,52に固定されている。そして、各操作部52,52が移動することに伴って、各係止部511,512が本体抜差位置から蓋体離脱位置に位置されると、抜出防止部54が本体収容部51の外方から内方に位置する。
【0078】
これにより、各係止部511,512が本体抜差位置に位置している際には、抜出防止部54が本体収容部51の外方に位置しているため、本体収容部51に注射器本体91を容易に抜き差しできる一方、各係止部511,512が蓋体離脱位置に位置している際には、抜出防止部54が本体収容部51の内方に位置しているため、本体収容部51に収容されている注射器本体91を径方向で確実に係止できる。
【0079】
なお、本発明に係る注射器補助具は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、上記した複数の実施形態の各構成や各方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る各構成や各方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0080】
上記第1実施形態に係る注射器補助具1においては、第1操作部24を全体的に手で把持した状態で、第2操作部33の第2操作面331を掌で押す場合を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、第2操作部33の突出部332を手で把持した状態で、第1操作部24の第1操作面241を掌で押す場合でもよい。
【0081】
また、上記第1実施形態に係る注射器補助具1においては、各係止体2,3がそれぞれ操作部24,33を備える構成を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、蓋体係止体2のみに、操作部24が設けられる構成でもよく、また、本体係止体3のみに、操作部33が設けられる構成でもよい。
【0082】
また、上記第1実施形態に係る注射器補助具1においては、蓋体係止体2にガイド部22が設けられる構成を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、本体係止体に、蓋体係止体をガイドするガイド部が設けられる構成でもよい。
【0083】
また、上記第2実施形態に係る注射器補助具5においては、蓋体係止部512が補助具本体55に対して移動する構成を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、本体係止部が補助具本体に対して移動する構成でもよく、また、本体係止部及び蓋体係止部がそれぞれ補助具本体に対して移動する構成でもよい。
【0084】
また、上記第2実施形態に係る注射器補助具5においては、操作部52,52が一対設けられる構成を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、操作部は、一つ設けられる構成でもよい。
【0085】
また、上記第2実施形態に係る注射器補助具5においては、接続機構53が蓋体係止部512と各操作部52とを接続する構成を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、接続機構は、本体係止部と操作部とを接続する構成でもよく、本体係止部及び蓋体係止部と操作部とをそれぞれ接続する構成でもよい。
【0086】
また、上記第2実施形態に係る注射器補助具5においては、接続機構53が蓋体係止部512をガイド溝531a,531bでガイドすることにより、各係止部511,512が注射器本体91の軸線方向で接離する構成を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、接続機構は、カム機構、リンク機構又はギア機構により、各係止部を注射器本体91の軸線方向で接離する構成でもよい。
【0087】
また、上記第1実施形態に係る注射器補助具1においては、抜出防止部23が注射針912を径方法で係止し、上記第2実施形態に係る注射器補助具5においては、抜出防止部54がバレル911の胴部911aを径方向で係止する構成を説明したが、斯かる構成に限られない。
【0088】
例えば、抜出防止部は、バレル911のノズル部911bやフィンガーグリップ913を径方向で係止する構成でもよく、さらに、フィンガーグリップ913が設けられていない場合には、バレル911のフランジ部911cを係止する構成でもよい。要するに、抜出防止部は、注射器本体91を径方向で係止する構成であればよい。
【0089】
また、上記実施形態に係る注射器補助具1,5においては、本体係止部311,511がフィンガーブリップ913を軸線方向で係止する構成を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、本体係止部は、バレル911の胴部911aを軸線方向で係止する構成でもよく、さらに、フィンガーグリップ913が設けられていない場合には、バレル911のフランジ部911cを軸線方向で係止する構成でもよい。要するに、本体係止部は、注射器本体91を軸線方向で係止する構成であればよい。
【0090】
また、上記実施形態に係る注射器補助具1,5において、注射器9は、患者自らが注射を行うためのプレフィルドシリンジである構成を説明したが、斯かる構成に限られない。本発明に係る注射器補助具は、蓋体が注射器本体に装着される注射器であれば全て適用できる。
【0091】
また、注射器補助具は、筒状の注射器本体を軸線方向で係止する本体係止部と、注射器本体の先端部に装着される蓋体を注射器本体の軸線方向で係止する蓋体係止部とを備え、各係止部は、注射器本体を収容する本体収容部に注射器本体を抜き差しできる本体抜差位置から、注射器本体から蓋体を離脱させるべく注射器本体の軸線方向で離反される蓋体離脱位置に位置される注射器補助具であって、各係止部を本体抜差位置から蓋体離脱位置に位置させるべく、本体係止部及び蓋体係止部の少なくとも何れか一方に対して、注射器本体の軸線方向と交差する方向に沿って移動するように操作される操作部と、各係止部が蓋体離脱位置に位置する際に、注射器本体が本体収容部から抜き出されることを防止すべく、注射器本体を径方向で係止する抜出防止部とを備える構成を採用できる。
【0092】
本注射器補助具によれば、各係止部が、本体収容部に注射器本体を抜き差しできる本体抜差位置に位置している際に、操作部が、本体係止部及び蓋体係止部の少なくとも何れか一方に対して、注射器本体の軸線方向と交差する方向に沿って移動するように操作される。すると、各係止部が、注射器本体の軸線方向で離反される蓋体離脱位置に位置するため、注射器本体から蓋体を離脱することができる。
【0093】
さらに、各係止部が蓋体離脱位置に位置する際には、抜出防止部が注射器本体を径方向で係止しているため、注射器本体が本体収容部から抜き出されることを防止できる。これにより、操作部が操作されると、各係止部が本体抜差位置から蓋体離脱位置に位置することにより、注射器補助具が注射器に取り付けられた状態となるため、そのまま注射を行うことができる。
【0094】
この場合、注射器補助具は、本体係止部を有する本体係止体と、蓋体係止部を有する蓋体係止体とを備え、操作部は、本体係止体及び蓋体係止体の少なくとも何れかに設けられ、本体係止体及び蓋体係止体のうち一方は、注射器本体の径方向で他方に対して移動することに伴って注射器本体の軸線方向でも他方に対して移動するように、注射器本体の軸線方向及び径方向と傾斜する方向に沿って他方をガイドするガイド部を備えてもよい。
【0095】
斯かる構成によれば、本体係止部は、本体係止体に設けられると共に、蓋体係止部は、蓋体係止体に設けられている。そして、操作部は、本体係止体及び蓋体係止体の少なくとも何れかに設けられていると共に、本体係止体(又は蓋体係止体)は、注射器本体の軸線方向及び径方向と傾斜する方向に沿って、蓋体係止体(又は本体係止体)をガイドするガイド部を備えている。
【0096】
これにより、操作部が操作されて移動する際に、本体係止体(又は蓋体係止体)がガイド部で蓋体係止体(又は本体係止体)をガイドする。したがって、蓋体係止体(又は本体係止体)は、注射器本体の径方向で本体係止体(又は蓋体係止体)に対して移動することに伴って、注射器本体の軸線方向でも本体係止体(又は蓋体係止体)に対して移動する。
【0097】
また、操作部は、操作される操作面を備え、操作面は、注射器本体の軸線方向及び径方向と傾斜する方向に沿って配置されてもよい。
【0098】
斯かる構成によれば、操作部には、操作される操作面が設けられている。そして、操作面が、注射器本体の軸線方向及び径方向と傾斜する方向に沿って配置されているため、操作面に作用された力がガイド部でガイドされる方向に作用する。これにより、本体係止体(又は蓋体係止体)は、蓋体係止体(又は本体係止体)をガイド部で円滑にガイドできる。
【0099】
さらに、前記注射器補助具は、本体係止部及び蓋体係止部の少なくとも何れか一方と操作部とを接続し、操作部が移動することに伴って、一方を注射器本体の軸線方向で他方に対して移動させる接続機構を備えてもよい。
【0100】
斯かる構成によれば、接続機構は、本体係止部及び蓋体係止部の少なくとも何れか一方と、操作部とを接続している。そして、操作部が移動することに伴って、接続機構は、本体係止部(又は蓋体係止部)を、注射器本体の軸線方向で蓋体係止部(又は本体係止部)に対して移動させる。
【0101】
また、前記注射器補助具において、操作部は、本体収容部に接離するように操作され、抜出防止部は、各係止部が本体抜差位置から蓋体離脱位置に位置されることにより、本体収容部の外方から内方に位置するように、操作部に固定されてもよい。
【0102】
斯かる構成によれば、操作部が本体収容部に接離するように操作されると共に、抜出防止部が操作部に固定されている。そして、操作部が移動することに伴って、各係止部が本体抜差位置から蓋体離脱位置に位置されると、抜出防止部が本体収容部の外方から内方に位置する。
【0103】
これにより、各係止部が本体抜差位置に位置している際には、抜出防止部が本体収容部の外方に位置しているため、本体収容部に注射器本体を容易に抜き差しできる一方、各係止部が蓋体離脱位置に位置している際には、抜出防止部が本体収容部の内方に位置しているため、本体収容部に収容されている注射器本体を径方向で確実に係止できる。