(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は
以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれ
ば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈さ
れるものではない。
【0030】
(実施の形態1)
本実施の形態では、静止画表示モードと動画表示モードを有する液晶表示装置について図
1を用いて説明する。
【0031】
なお、本明細書において、液晶表示装置が液晶表示装置に入力された画像信号を静止画と
判断して行う動作を静止画表示モード、動画と判断して行う動作を動画表示モードという
ものとする。
【0032】
本実施の形態の液晶表示装置100は、A/D変換回路102、画像処理回路110、表
示パネル120、及びバックライト部130を有する。
【0033】
画像処理回路110は、記憶回路111、比較回路112、表示制御回路113、及びフ
ィールドシーケンシャル信号生成回路114、及び選択回路115を有する。
【0034】
表示パネル120は、駆動回路121、及び画素部122を有する。画素部122には、
走査線と信号線に接続された画素123がマトリクス状に複数配置されている。
【0035】
また、画素123はトランジスタと、該トランジスタに接続された画素電極と、容量素子
を有する。該画素電極とそれに対向する対向電極との間に液晶層を挟持して液晶素子が形
成されており、該画素電極は液晶層を介して入射する光を反射する領域(反射領域)と、
透光性を有する領域(透過領域)を有している。
【0036】
液晶素子の一例としては、液晶の光学変調作用によって光の透過又は非透過を制御する素
子がある。その素子は一対の電極と液晶層により構成されることが可能である。なお、液
晶の光学変調作用は、液晶にかかる電界(即ち、縦方向の電界)によって制御される。な
お、具体的には、液晶素子の一例としては、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメ
クチック液晶、ディスコチック液晶、サーモトロピック液晶、リオトロピック液晶、低分
子液晶、高分子結晶、高分子分散型液晶(PDLC)、強誘電液晶、反強誘電液晶、主鎖
型液晶、側鎖型高分子液晶、バナナ型液晶などを挙げることができる。また液晶の駆動方
法としては、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super T
wisted Nematic)モード、OCB(Optically Compens
ated Birefringence)モード、ECB(Electrically
Controlled Birefringence)モード、FLC(Ferroel
ectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerro
electric Liquid Crystal)モード、PDLC(Polymer
Dispersed Liquid Crystal)モード、PNLC(Polym
er Network Liquid Crystal)モード、ゲストホストモードな
どがある。
【0037】
バックライト部130はバックライト制御回路131、及びバックライト132を有する
。バックライト132には発光素子133が配置されている。
【0038】
本実施の形態では、バックライト132は、複数の異なる発光色の発光素子133を有す
る。異なる発光色の組み合わせとしては、例えば、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の
3種類の発光素子を用いることができる。R、G、及びBの三原色を用いることで、フル
カラー画像を表示できる。
【0039】
また、R、G、及びBの発光素子から選んだ複数を同時に光らせて表現する色(例えば、
RとGで表す黄(Y)、GとBで表すシアン(C)、青と赤で表すマゼンタ(M)など)
を発する別の発光素子を、R、G、及びBの発光素子に加えて配置してもよい。
【0040】
また、液晶表示装置の色再現特性をより豊かにするため、三原色以外の光を発する発光素
子を加えてもよい。R、G、及びBの発光素子を用いて表現できる色は、色度図上のそれ
ぞれの発光色に対応する3点が描く三角形の内側に示される色に限られる。従って、色度
図上の該三角形の外側に配置される発光素子を別途加えることで、液晶表示装置の色再現
特性を豊かにすることができる。
【0041】
例えば、色度図の中心から、色度図上の青色の発光素子Bに対応する点に向かって外側に
位置する点で表される深い青色(Deep Blue:DB)や、色度図の中心から、赤
色の発光素子Rに対応する色度図上の点に向かって外側に位置する点で表されるより深い
赤色(Deep Red:DR)を発する発光素子を、バックライト132のR、G、及
びBに加えて使用することができる。
【0042】
次に、本実施の形態で例示する液晶表示装置における、信号の流れを説明する。
【0043】
画像信号供給源104から、液晶表示装置100にアナログ画像信号が入力される。アナ
ログ画像信号には画像信号、例えば赤(R)、緑(G)、及び青(B)に対応する信号が
含まれている。
【0044】
A/D変換回路102は、アナログ画像信号をデジタル画像信号(デジタル画像信号Da
ta)に変換し、画像処理回路110へ出力する。画像信号を予めデジタル画像信号に変
換しておくことで、後に画像信号の差分を検出する際、検出を容易に行うことができ好適
である。
【0045】
画像処理回路110は、入力したデジタル画像信号DataからLC画像信号とバックラ
イト信号を生成する。LC画像信号は、表示パネル120を制御する画像信号であり、バ
ックライト信号はバックライト部130を制御する制御信号である。
【0046】
画像処理回路110に設けた記憶回路111は、複数のフレームに関する画像信号を記憶
するための複数のフレームメモリを有する。記憶回路111が有するフレームメモリの数
は特に限定されるものではなく、複数のフレームに関する画像信号を記憶できる素子であ
ればよい。なおフレームメモリは、例えばDRAM(Dynamic Random A
ccess Memory)、SRAM(Static Random Access
Memory)等の記憶素子を用いて構成すればよい。
【0047】
なおフレームメモリは、フレーム期間毎に画像信号を記憶する構成であればよく、フレー
ムメモリの数について特に限定されるものではない。またフレームメモリの画像信号は、
比較回路112及び表示制御回路113により選択的に読み出されるものである。
【0048】
比較回路112は、記憶回路111に記憶された連続するフレーム期間の画像信号を選択
的に読み出して、連続するフレーム期間での当該画像信号の比較を画素毎に行い、差分を
検出するための回路である。
【0049】
なお、差分の検出の有無により、表示制御回路113及び選択回路115での動作が決定
されることとなる。当該比較回路112での画像信号の比較により、いずれかの画素で差
分が検出された際に当該差分を検出した連続するフレーム期間は、動画表示期間であると
判断される。一方、当該比較回路112での画像信号の比較により、全ての画素で差分が
検出されない際に当該差分を検出しなかった連続するフレーム期間は、静止画表示期間で
あると判断される。すなわち比較回路112は、連続するフレーム期間の画像信号を、比
較回路112での差分の検出によって、動画を表示するための画像信号であるか、または
静止画を表示するための画像信号であるかの判断をするものである。
【0050】
なお、当該比較により得られる差分は、一定のレベルを超えたときに、差分を検出したと
判断されるように設定してもよい。なお比較回路112は、差分の絶対値によって、差分
の検出の判断をする設定とすればよい。
【0051】
なお、本実施の形態においては、比較回路112により連続するフレーム期間での画像信
号の差分を検出することにより動画または静止画の判断を行う構成について示したが、外
部から選択回路115に静止画または動画を切り替える信号を供給することにより、その
切り替える信号に応じて動画または静止画を表示する構成としてもよい。
【0052】
なお動画とは、複数のフレーム期間に時分割した複数の画像を高速に切り替えることで人
間の目に動く画像として認識される画像をいう。具体的には、1秒間に60回(60フレ
ーム)以上画像を切り替えることで、人間の目にはちらつきが少なく動画と認識されるも
のとなる。一方、静止画とは、動画又は一画面の中に動画と静止画を含む部分動画と異な
り、複数のフレーム期間に時分割した複数の画像を高速に切り替えて動作させるものの、
連続するフレーム期間、例えばnフレーム目と、(n+1)フレーム目とで変化しない画
像のことをいう。
【0053】
選択回路115は、複数のスイッチ、例えばトランジスタで形成されるスイッチを設ける
構成とする。選択回路115は、比較回路112での差分の演算により画像信号の差分が
検出された際、すなわち連続するフレーム期間で表示される画像が動画の際、当該画像信
号が記憶された記憶回路111内のフレームメモリより画像信号を選択して表示制御回路
113に出力するための回路である。
【0054】
なお選択回路115は、比較回路112での差分の演算により画像信号の差分が検出され
ない際、すなわち連続するフレーム期間で表示される画像が静止画の際、当該画像信号を
表示制御回路113に出力しない回路である。静止画の際、選択回路115では、画像信
号をフレームメモリより表示制御回路113に出力しない構成とすることにより、消費電
力を削減することができる。
【0055】
なお、本実施の形態の液晶表示装置において、比較回路112が画像信号を静止画と判断
して行う動作を静止画表示モード、比較回路112が画像信号を動画と判断して行う動作
を動画表示モードという。
【0056】
また、本実施の形態で例示される画像処理回路は、モード切り替え回路を有していてもよ
い。モード切り替え回路は、液晶表示装置の利用者が手動または外部接続機器を用いて当
該液晶表示装置の動作モードを選択することで、動画表示モード又は静止画表示モードを
切り替える機能を有する。
【0057】
選択回路115はモード切り替え回路から入力される信号に応じて、画像信号を表示制御
回路113に出力することもできる。
【0058】
例えば、静止画表示モードで動作している際に、モード切り替え回路から選択回路115
にモード切り替え信号が入力された場合、比較回路112が連続するフレーム期間での画
像信号の差分を検出していない場合であっても、選択回路115は入力される画像信号を
順次表示制御回路113に出力するモード、すなわち動画表示モードを実行できる。また
、動画表示モードで動作している際に、モード切り替え回路から選択回路115にモード
切り替え信号が入力された場合、比較回路112が連続するフレーム期間での画像信号の
差分を検出している場合であっても、選択回路115は選択した1フレームの画像信号の
信号のみを出力するモード、すなわち静止画表示モードを実行できる。その結果、本実施
の形態の液晶表示装置には、動画中の1フレームが静止画として表示される。
【0059】
表示制御回路113は、比較回路112での差分の検出に応じて選択回路115で選択さ
れた画像信号を表示パネル120及びバックライト部130に最適化するための回路であ
る。
【0060】
例えば、デジタル画像信号がR,G、及びBの信号からなる場合であっても、バックライ
ト132が有するR、G、及びBの発光素子の発光特性に合わせて画像信号を最適化する
ことが好ましい。また、バックライト132に、R、G、及びB以外の発光素子を設けて
いる場合、表示制御回路113は、元の画像信号から該発光素子を駆動する信号を生成し
、液晶表示装置の色再現特性を最適化する。
【0061】
例えば、R、G、及びBからなるデジタル画像信号Data(1)を、R、G、B、DR
、及びDBの5色の発光素子を設けたバックライト132に適したデジタル画像信号Da
ta(4)に変換する場合、表示制御回路113は、元のデジタル画像信号Data(1
)から、発光素子DR、及びDBを用いて表現するデジタル画像信号Data(2)を生
成する。同時に、元のデジタル画像信号Data(1)から発光素子DR、及びDBを用
いて表現するデジタル画像信号を差し引き、デジタル画像信号Data(3)を生成する
。次いで、発光素子DR、及びDBを用いて表現するデジタル画像信号Data(2)と
、発光素子R、G、及びBを用いて表現するデジタル画像信号Data(3)を含む、R
、G、B、DR、及びDBの5色の発光素子を設けたバックライト132に最適化された
デジタル画像信号Data(4)を生成する。
【0062】
フィールドシーケンシャル信号生成回路114は、表示制御回路113で生成した画像信
号を元に、表示パネル120の駆動回路121、及びバックライト部130のバックライ
ト制御回路131を制御するための回路である。
【0063】
また、フィールドシーケンシャル信号生成回路114は、表示パネル120とバックライ
ト部130を同期するスタートパルスSP、及びクロック信号CK等の制御信号の供給ま
たは停止の切り替えを制御するための回路でもある。
【0064】
次に、フィールドシーケンシャル信号生成回路114が、表示パネル120の駆動回路1
21、及びバックライト部130のバックライト制御回路131を制御する方法について
説明する。フィールドシーケンシャル信号生成回路114は比較回路112が画像信号を
動画と判断した場合と、静止画と判断した場合とでは異なる動作をする。なお、ここでは
画像信号はR、G、及びBからなり、バックライト132はR、G、及びBの発光素子(
具体的にはLED)を有するものとする。
【0065】
はじめに、比較回路112が画像信号を動画と判断した場合のフィールドシーケンシャル
信号生成回路114の動作について説明する。フィールドシーケンシャル信号生成回路1
14は、動画を含む画像信号は動画表示モードで処理をする。具体的には、フィールドシ
ーケンシャル信号生成回路114は、表示制御回路113が最適化した画像信号をそれぞ
れ、時間軸に対して1/(3n)倍に圧縮する。なお、nは、1フレームをn個のサブフ
レームに分割する場合に用いているnと同値である。そして、時間軸に対して1/(3n
)倍に圧縮されたR、G、Bに対応するフィールドシーケンシャルカラー画像信号(R1
、G1、B1、R2、G2、B2)を、駆動回路121に供給する。
【0066】
また、フィールドシーケンシャル信号生成回路114は、バックライト信号をバックライ
ト制御回路131に供給する。バックライト信号は、バックライト132に設けたR、G
、及びBの発光素子を点灯させる信号であり、R、G、Bに対応するフィールドシーケン
シャルカラー画像信号と対をなす信号である。
【0067】
また、表示パネル120とバックライト部130は、フィールドシーケンシャル信号生成
回路114が発する同期信号に同期して動作し、動画が表示される。
【0068】
一方、比較回路112が画像信号を静止画と判断した場合、フィールドシーケンシャル信
号生成回路114はフィールドシーケンシャルカラー画像信号を生成せず、1フレーム分
の静止画データを表示パネル120の駆動回路121に供給する。
【0069】
その後、フィールドシーケンシャル信号生成回路114は、駆動回路121、及びバック
ライト制御回路131に画像信号、及び各制御信号の供給を停止する。
【0070】
また、実施の形態で例示される液晶表示装置はバックライト点灯回路と測光回路を有し、
バックライト点灯回路と測光回路がバックライト制御回路131と接続されていてもよい
。バックライト点灯回路は、当該液晶表示装置の利用者が手動や外部接続機器を用いてバ
ックライトを点灯、及び消灯するための信号を入力する回路であり、また、測光回路は当
該液晶表示装置が使用されている環境の明るさを測定する回路である。
【0071】
例えば、本実施の形態で例示される液晶表示装置を薄暗い環境で利用する場合、バックラ
イト点灯回路や、測光回路を介して信号をバックライト制御回路131に入力し、バック
ライトを点灯することができる。なお、測光回路にあらかじめ閾値を設定し、使用環境の
明るさが閾値を下回ると、バックライトが点灯するように設定してもよい。
【0072】
本実施の形態の構成によれば、静止画を表示する期間では、頻繁に画像信号の書き込みを
行うといった動作を削減することができる。また、バックライトを使うことなく静止画を
表示できるため、消費電力が極めて小さい。
【0073】
また、本実施の形態で例示される液晶表示装置は、消費電力を低減させて静止画を表示で
きるだけでなく、カラーフィルタを用いることなく、フルカラー画像の表示が可能である
。カラーフィルタがバックライトの光を吸収しないため光の利用効率が高く、フルカラー
画像の表示においても消費電力が抑制されている。
【0074】
また、複数回の画像信号の書き込みによる画像を視認する際、複数回にわたって切り替わ
る画像を人間の目は視認することとなる。そのため、人間の目には疲労として現れること
もあり得る。本実施の形態で説明したように、画像信号の書き込み回数を削減する構成と
することで、目の疲労を減らすといった効果もある。
【0075】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0076】
(実施の形態2)
本実施の形態では、画素接続図、タイミングチャート等を用いて、液晶表示装置の駆動
方法について説明する。まず
図2には、液晶表示装置の表示パネルの概略図について示し
ている。
図2には、画素部101、走査線105(ゲート線ともいう)、信号線103(
データ線ともいう)、画素108、共通電極118(コモン電極ともいう)、容量線11
9、走査線駆動回路106、信号線駆動回路107を有する。
【0077】
画素108は、画素トランジスタ109、液晶素子116、容量素子117を有する。画
素トランジスタ109はゲートが走査線105に接続され、ソース又はドレインの一方と
なる第1端子が信号線103に接続され、ソース又はドレインの他方となる第2端子が、
液晶素子116の一方の電極及び容量素子117の第1の電極に接続される。なお液晶素
子116の他方の電極は、共通電極118に接続されている。なお容量素子117の第2
の電極は、容量線119に接続されている。なお画素トランジスタ109は、薄膜の酸化
物半導体層を有する薄膜トランジスタ(TFT)で構成することが好ましい。
【0078】
なお、薄膜トランジスタは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端
子を有する素子であり、ドレイン領域とソース領域の間にチャネル領域を有しており、ド
レイン領域とチャネル領域とソース領域とを介して電流を流すことができる。ここで、ソ
ースとドレインとは、トランジスタの構造や動作条件等によって変わるため、いずれがソ
ースまたはドレインであるかを限定することが困難である。そこで、本書類(明細書、特
許請求の範囲又は図面など)においては、ソース及びドレインとして機能する領域を、ソ
ースもしくはドレインと呼ばない場合がある。その場合、一例としては、それぞれを第1
端子、第2端子と表記する場合がある。あるいは、それぞれを第1の電極、第2の電極と
表記する場合がある。あるいは、ソース領域、ドレイン領域と表記する場合がある。
【0079】
なお走査線駆動回路106、信号線駆動回路107は、画素部101と同じ基板上に設け
る構成とすることが好ましいが、必ずしも同じ基板上に設ける必要はない。画素部101
と同じ基板上に走査線駆動回路106、信号線駆動回路107を設けることで、外部との
接続端子数を削減することができ、液晶表示装置の小型化を図ることができる。
【0080】
なお、画素108は、マトリクス状に配置(配列)されている。ここで、画素108がマ
トリクス状に配置(配列)されているとは、縦方向もしくは横方向において、画素108
が直線上に並んで配置されている場合や、ギザギザな線上に配置されている場合を含む。
【0081】
なお、AとBとが接続されている、と明示的に記載する場合は、AとBとが電気的に接続
されている場合と、AとBとが機能的に接続されている場合と、AとBとが直接接続され
ている場合とを含むものとする。
【0082】
次いで、表示パネルの動作についてバックライトの動作と併せて、
図3(A)で説明する
。上記実施の形態でも説明したように、表示パネルの動作は大きくわけて、動画表示期間
301と静止画表示期間302に大別される。
【0083】
なお、動画表示期間301において1フレーム期間の周期(またはフレーム周波数)は、
1/60秒以下(60Hz以上)であることが望ましい。フレーム周波数を高くすること
で、画像をみる人がちらつき(フリッカ)を感じないようにすることができる。また静止
画表示期間302において、1フレーム期間の周期を極端に長く、例えば1分以上(0.
017Hz以下)とすることで、短い周期で同じ画像を切り替える場合と比較して眼精疲
労を低減しうるといったことも可能である。
【0084】
なお画素トランジスタ109の半導体層として酸化物半導体を用いると、トランジスタの
オフ電流を少なくすることができる。よって、画素においては画像信号等の電気信号の保
持時間を長くすることができ、書き込み間隔も長く設定できる。よって1フレーム期間の
周期を長くすることができ、静止画表示期間302でのリフレッシュ動作の頻度を少なく
することができるため、より消費電力を抑制する効果を高くできる。また、酸化物半導体
を用いたトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、書き込み時間を短
縮することができ、高速駆動が可能である。
【0085】
図3(A)に示す動画表示期間301では、上記実施の形態で説明したように、フィール
ドシーケンシャル駆動により動画を表示するための駆動回路制御信号が駆動回路に供給さ
れ、駆動回路が動作する。また
図3(A)に示す動画表示期間301では、フィールドシ
ーケンシャル駆動によりカラー表示を行うためのバックライト信号がバックライトに供給
され、バックライトが動作する。そして、表示パネルはカラー表示の動画表示を行うこと
ができる。
【0086】
図3(A)に示す静止画表示期間302では、上記実施の形態で説明したように、反射光
の透過または非透過により白黒の階調(図中、BK/Wと表記)により静止画の画像信号
を書き込むための駆動回路制御信号が駆動回路に供給され、駆動回路が動作する。なお画
像信号を書き込む以外の期間では、駆動回路制御信号の供給を停止することで低消費電力
化を図ることができる。また
図3(A)に示す静止画表示期間302では、外光の反射光
を利用して表示を視認する構成とするため、バックライト信号によりバックライトが非動
作となる。そして、表示パネルは白黒の階調の静止画表示を行うことができる。
【0087】
次いで、
図3(A)の動画表示期間301について
図3(B)に、静止画表示期間302
について
図3(C)に、その詳細をタイミングチャートにて説明する。なお
図3(B)及
び
図3(C)に示すタイミングチャートは、説明のために誇張して表記したものであり、
特に明記する場合を除き、各信号が同期して動作するものではないことを付記する。
【0088】
まず
図3(B)について説明する。
図3(B)では、一例として動画表示期間301にお
ける走査線駆動回路106に供給するクロック信号GCK、及びスタートパルスGSP、
信号線駆動回路107に供給するクロック信号SCK、及びスタートパルスSSP、画像
信号data、バックライトの点灯状態について示したものである。なおバックライトと
しては、複数の発光素子の一例として、RGBの3色を順次点灯する構成について説明す
ることにする。なおバックライトとしては、LEDを用いることで低消費電力化及び長寿
命化を図ることができる。
【0089】
動画表示期間301において、クロック信号GCKは常時供給されるクロック信号となる
。またスタートパルスGSPは、垂直同期周波数に応じたパルスとなる。またクロック信
号SCKは常時供給されるクロック信号となる。またスタートパルスSSPは、1ゲート
選択期間に応じたパルスとなる。なお動画表示期間301では、フィールドシーケンシャ
ル駆動で動画を表示するため、画像信号はまずR(赤)の表示について各画素への書き込
み、次いでRのバックライトの点灯、次いでG(緑)の表示について各画素への書き込み
、次いでGのバックライトの点灯、次いでB(青)の表示について各画素への書き込み、
次いでBのバックライトの点灯、を繰り返して画像信号を可変させることで、視認者は動
画でのカラー表示を視認することができる。
【0090】
次いで
図3(C)について説明する。
図3(C)では、静止画表示期間302について、
静止画書き込み期間303、静止画保持期間304に分けて説明を行う。
【0091】
静止画書き込み期間303において、クロック信号GCKは一画面書き込むためのクロッ
ク信号となる。またスタートパルスGSPは、一画面書き込むためのパルスとなる。また
クロック信号SCKは一画面書き込むためのクロック信号となる。またスタートパルスS
SPは、一画面書き込むためのパルスとなる。なお静止画書き込み期間303では、反射
光を利用して白黒の階調を表示するための画像信号BK/Wにより静止画を表示するため
、カラー表示とするためのバックライトが非点灯となる。
【0092】
静止画保持期間304において、クロック信号GCK、スタートパルスGSP、クロック
信号SCK、スタートパルスSSPは、信号線駆動回路107及び走査線駆動回路106
の動作を停止するために、供給が停止されることとなる。そのため静止画保持期間304
では電力消費を低減することができ、低消費電力化を図ることができる。なお静止画保持
期間304では、静止画書き込み期間303に画素に書き込んだ画像信号が、オフ電流が
極端に小さい画素トランジスタ109により保持されるため、白黒の階調の静止画を1分
以上の期間保持することができる。なおこの間、カラー表示とするためのバックライトが
非点灯となる。また、静止画保持期間304は容量素子に保持される画像信号が一定の期
間の経過により変化する前に、新たに静止画書き込み期間303を設けて先の期間の画像
信号と同じ画像信号を書き込み(リフレッシュ動作)、再度静止画保持期間304とすれ
ばよい。
【0093】
本実施の形態において述べた液晶表示装置は、静止画表示を行う際、低消費電力化を図る
ことができる。
【0094】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0095】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態2で説明した液晶表示装置の駆動方法とは異なる構
成について、タイミングチャート等を用いて説明する。まず
図4(A)に、上記実施の形
態2で説明した動画表示期間301でのバックライトの駆動方法についてタイミングチャ
ートを示し説明する。
【0096】
図4(A)のタイミングチャートが
図3(B)と異なる点は、画像信号の書き込みに続い
た、バックライトの点灯の後に、バックライトの消灯期間(
図4(A)のBL)を設けた
点にある。次の画像信号の書き込みを行う前にバックライトを消灯する期間を設けること
で、色のちらつき等を低減し、視認性の向上を図ることができる。
【0097】
また
図4(A)と異なる構成について
図4(B)に示す。
図4(B)のタイミングチャー
トが
図4(A)と異なる点は、バックライトの消灯期間BLの代わりにB(青)の発光期
間を設けた点にある。次の画像信号の書き込みを行う前に青色の発光期間を設けることで
消灯期間を設けた場合と同様に、色のちらつき等を低減し、視認性の向上を図ることがで
きる。
【0098】
また上記実施の形態2では、バックライトに用いる複数の発光素子の一例として、RGB
の3色を用いる例について説明したが、他の構成としてもよい。一例として、
図5(A)
に示すように5色の発光素子311を用いてバックライトの制御を行う構成としてもよい
。
【0099】
図5(A)に示す発光素子311には、一例として第1の赤色発光素子R1、第2の赤色
発光素子R2、緑色発光素子G、第1の青色発光素子B1、第2の青色発光素子B2につ
いて示している。次いで
図5(B)において、
図4(A)、(B)と同様にして、上記実
施の形態2で説明した動画表示期間301での
図5(A)に示すバックライトの点灯時の
制御について説明する。
【0100】
図5(B)では、Rの画像信号の書き込みに続いた、バックライトの点灯として第1の赤
色発光素子R1及び第1の青色発光素子B1の点灯を行う。また、Gの画像信号の書き込
みに続いた、バックライトの点灯として緑色発光素子G及び第2の青色発光素子B2の点
灯を行う。またBの画像信号の書き込みに続いた、バックライトの点灯として第1の青色
発光素子B1及び第2の青色発光素子B2の点灯を行う。次いで、Rの画像信号の書き込
みに続いた、バックライトの点灯として第2の赤色発光素子R2及び第2の青色発光素子
B2の点灯を行う。また、Gの画像信号の書き込みに続いた、バックライトの点灯として
緑色発光素子G及び第1の青色発光素子B1の点灯を行う。またBの画像信号の書き込み
に続いた、バックライトの点灯として第2の青色発光素子B2及び第1の青色発光素子B
1の点灯を行う。
【0101】
図5(B)の構成とすることにより、RGBの色要素が切り替わる期間に青色の発光期間
を設けることができるため、
図4(B)と同様の効果が得られる。また、第1の赤色発光
素子R1と第2の赤色発光素子R2、第1の青色発光素子B1と第2の青色発光素子B2
、で異なる色座標の材料による発光素子を用いることも可能となり、カラー表示における
色表現範囲を広げることができる。
【0102】
本実施の形態において述べた液晶表示装置は、静止画表示を行う際、低消費電力化を図る
ことができる。
【0103】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0104】
(実施の形態4)
図6に液晶表示モジュール190の構成を示す。液晶表示モジュール190はバックライ
ト部130と、液晶素子がマトリクス状に設けられた表示パネル120と、表示パネル1
20を挟む偏光板125a、及び偏光板125bを有する。バックライト部130には発
光素子、例えば三原色のLED(133R、133G、及び133B)をマトリクス状に
配置し、また表示パネル120と発光素子の間に拡散板134を配置したものをバックラ
イト部130として用いることができる。また、外部入力端子となるFPC(フレキシブ
ルプリントサーキット)126は表示パネル120に設けた端子部と電気的に接続されて
いる。
【0105】
図6には、3色の光135が矢印(R、G、及びB)で模式的に示してある。バックライ
ト部130から逐次発せられるパルス状の異なる色の光が、バックライト部130と同期
して動作する表示パネル120の液晶素子により変調され、液晶表示モジュール190か
ら観察者に達する。観察者は逐次的に発せられる光を映像として捉える。
【0106】
また、
図6には、外光139が表示パネル120上の液晶素子を透過してその下部電極で
反射される様子も、模式的に示してある。液晶素子を透過する光の強度は、画像信号によ
り変調されるため、観察者は外光139の反射光によっても、映像を捉えることができる
。
【0107】
図7(A)は表示パネル120における表示領域の平面図であり1画素分の画素を示して
いる。
図7(B)は
図7(A)の線Y1−Y2、及び線Z1−Z2における断面図である
。
【0108】
図7(A)において、複数のソース配線層(ソース電極層又はドレイン電極層405aを
含む)が互いに平行(図中上下方向に延伸)かつ互いに離間した状態で配置されている。
複数のゲート配線層(ゲート電極層401を含む)は、ソース配線層に略直交する方向(
図中左右方向)に延伸し、かつ互いに離間した状態で配置されている。容量配線層408
は、複数のゲート配線層それぞれに隣接する位置に配置されており、ゲート配線層に概略
平行な方向、つまり、ソース配線層に概略直交する方向(図中左右方向)に延伸している
。
【0109】
図7(A)(B)の液晶表示装置は、半透過型液晶表示装置であり、画素領域は反射領域
498及び透過領域499で構成されている。反射領域498では透明電極層447上に
画素電極層として反射電極層446が積層され、透過領域499では画素電極層として透
明電極層447のみが形成されている。なお、
図7(A)(B)では、層間膜413上に
、透明電極層447、反射電極層446の順に積層する例を示したが、層間膜413上に
、反射電極層446、透明電極層447の順に積層する構造であってもよい。トランジス
タ450上には絶縁膜407、409、及び層間膜413が設けられ、絶縁膜407、4
09、及び層間膜413に形成された開口(コンタクトホール)において、透明電極層4
47及び反射電極層446はトランジスタ450と電気的に接続されている。
【0110】
図7(B)に示すように、第2の基板442には共通電極層(対向電極層ともいう)44
8が形成され、第1の基板441上の透明電極層447及び反射電極層446と、液晶層
444を介して対向している。なお、
図7(A)(B)の液晶表示装置では、透明電極層
447及び反射電極層446と液晶層444との間に配向膜460aが設けられ、共通電
極層448と液晶層444との間には配向膜460bが設けられている。配向膜460a
、460bは、液晶の配向を制御する機能を有する絶縁層であり、液晶材料によっては設
けなくてもよい。
【0111】
トランジスタ450は、ボトムゲート構造の逆スタガ型トランジスタの例であり、ゲート
電極層401、ゲート絶縁層402、半導体層404、ソース電極層又はドレイン電極層
405a、及びソース電極層又はドレイン電極層405bを含む。また、ゲート電極層4
01と同工程で形成された容量配線層408、ゲート絶縁層402、ソース電極層又はド
レイン電極層405a、及びソース電極層又はドレイン電極層405bと同工程で形成さ
れた導電層449が積層し、容量を形成している。なお、容量配線層408を覆うように
、アルミニウム(Al)や銀(Ag)などの反射導電膜で形成される反射電極層446を
形成することが好ましい。
【0112】
本実施の形態における半透過型液晶表示装置は、トランジスタ450のオンオフ制御によ
って、透過領域499における動画のカラー表示と、反射領域498における静止画のモ
ノクロ(白黒)表示を行う。
【0113】
透過領域499においては、第1の基板441側に設けられたバックライトからの入射光
によって表示を行う。バックライトにRGBの発光ダイオード(LED)を用いることで
カラー表示を行うことができる。さらに、本実施の形態では、発光ダイオード(LED)
を用いて、時分割によりカラー表示する継時加法混色法(フィールドシーケンシャル法)
を採用する。
【0114】
一方、反射領域498においては、第2の基板442側から入射した外光を反射電極層4
46によって反射することで表示を行う。
【0115】
液晶表示装置において、反射電極層446に凹凸形状を形成する例を
図8及び
図9に示す
。
図8及び
図9は
図7(A)において反射電極層446に凹凸形状を形成した場合の線Y
1−Y2、及び線Z1−Z2における断面図である。
図8は、反射領域498において、
層間膜413表面を凹凸形状とすることで反射電極層446に凹凸形状を形成する例であ
る。層間膜413表面の凹凸形状は、選択的にエッチング加工を行うことで形成すればよ
い。例えば感光性の有機樹脂にフォトリソグラフィ工程を行って凹凸形状を有する層間膜
413を形成することができる。また、
図9は、反射領域498において、層間膜413
上に凸形状の構造体を設けて、反射電極層446に凹凸形状を形成する例である。なお、
図9は、絶縁層480及び絶縁層482の積層によって凸形状の構造体を形成している。
例えば絶縁層480として酸化シリコン、窒化シリコン等の無機絶縁層、絶縁層482と
してポリイミド樹脂、アクリル樹脂などの有機樹脂を用いることができる。まず、スパッ
タ法により酸化シリコン膜を層間膜413上に形成し、酸化シリコン膜上に塗布法により
ポリイミド樹脂膜を形成する。酸化シリコン膜をエッチングストッパーとして用いて、ポ
リイミド樹脂膜をエッチング加工する。加工されたポリイミド樹脂層をマスクとして酸化
シリコン膜をエッチング加工することで、
図9に示すような絶縁層480及び絶縁層48
2の積層からなる凸形状の構造体を形成することができる。
【0116】
図8及び
図9に示すように、反射電極層446表面に凹凸形状を有すると、入射した外光
を乱反射させ、より良好な表示を行うことができる。よって、表示における視認性が向上
する。
【0117】
また、液晶表示装置において、液晶層を介して入射する光を反射する領域と、透光性を有
する領域とを両方有する画素電極の一例について以下に示す。
図10(A)は、画素の上
面図の一例であり、
図10(A)中の線S−Rで切断した断面が
図10(B)に相当する
。
【0118】
図10(B)は、基板601上にゲート配線層602、ゲート絶縁層603、酸化物半導
体層604、ソース配線層606、ドレイン配線層605を少なくとも有するトランジス
タ610を図示している。トランジスタ610は、トランジスタ450と同じ工程で形成
することができる。なお、酸化物半導体層604は、第1の層間絶縁層607aと、第2
の層間絶縁層607bの積層で覆われている。第1の層間絶縁層607aは酸化物絶縁層
(代表的にはスパッタ法で得られる酸化シリコン膜)であり、第2の層間絶縁層607b
は窒化物絶縁層(代表的にはスパッタ法で得られる窒化シリコン膜)である。
【0119】
図10(A)に示す画素構造を有する液晶表示装置は、バックライトである複数種類のL
EDを順次点灯させてフルカラーの動画表示及び静止画表示が可能である。また、バック
ライトをオフ状態として反射電極層609に電圧を印加し、その上の液晶層を通過する光
量を調節してモノクロの静止画表示が可能である。
【0120】
図10(A)に示す画素においては、透明電極層608と一部重なる反射電極層609を
組み合わせて一つの画素電極層として機能させている。フルカラー表示での表示領域は、
透明電極層608が反射電極層609と重ならない領域である。また、白黒表示での表示
領域は、反射電極層609の面積と同一である。
【0121】
また、画素電極層は、
図10(B)に示すように、凹凸形状を有する第3の層間絶縁層6
07c上に形成されており、表面に凹凸形状を有している。反射電極層609の表面に凹
凸形状を設けることによって、鏡面反射を防止し、表面で光を散乱させることで表示を行
う。
【0122】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせができる。
【0123】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本明細書に開示する液晶表示装置に適用できるトランジスタの例を示
す。本明細書に開示する液晶表示装置に適用できるトランジスタの構造は特に限定されず
、例えばトップゲート構造、又はボトムゲート構造のスタガ型及びプレーナ型などを用い
ることができる。また、トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲー
ト構造でも、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構
造であっても良い。また、チャネル領域の上下にゲート絶縁層を介して配置された2つの
ゲート電極層を有する、デュアルゲート型でもよい。なお、
図11(A)乃至(D)にト
ランジスタの断面構造の一例を示す。
図11(A)乃至(D)に示すトランジスタは、半
導体として酸化物半導体を用いるものである。酸化物半導体を用いることのメリットは、
比較的簡単かつ低温のプロセスで高い移動度と低いオフ電流が得られることであるが、も
ちろん、他の半導体を用いてもよい。
【0124】
図11(A)に示すトランジスタ410は、ボトムゲート構造の薄膜トランジスタの一つ
であり、逆スタガ型薄膜トランジスタともいう。
【0125】
トランジスタ410は、絶縁表面を有する基板400上に、ゲート電極層401、ゲート
絶縁層402、酸化物半導体層403、ソース電極層406a、及びドレイン電極層40
6bを含む。また、トランジスタ410を覆い、酸化物半導体層403に積層する絶縁層
411が設けられている。絶縁層411上にはさらに保護絶縁層412が形成されている
。
【0126】
図11(B)に示すトランジスタ420は、チャネル保護型(チャネルストップ型ともい
う)と呼ばれるボトムゲート構造の一つであり逆スタガ型薄膜トランジスタともいう。
【0127】
トランジスタ420は、絶縁表面を有する基板400上に、ゲート電極層401、ゲート
絶縁層402、酸化物半導体層403、酸化物半導体層403のチャネル形成領域を覆う
チャネル保護層として機能する絶縁層427、ソース電極層406a、及びドレイン電極
層406bを含む。また、トランジスタ420を覆い、保護絶縁層412が形成されてい
る。
【0128】
図11(C)に示すトランジスタ430はボトムゲート型の薄膜トランジスタであり、絶
縁表面を有する基板である基板400上に、ゲート電極層401、ゲート絶縁層402、
ソース電極層406a、ドレイン電極層406b、及び酸化物半導体層403を含む。ま
た、トランジスタ430を覆い、酸化物半導体層403に接する絶縁層411が設けられ
ている。絶縁層411上にはさらに保護絶縁層412が形成されている。
【0129】
トランジスタ430においては、ゲート絶縁層402は基板400及びゲート電極層40
1上に接して設けられ、ゲート絶縁層402上にソース電極層406a、ドレイン電極層
406bが接して設けられている。そして、ゲート絶縁層402、及びソース電極層40
6a、ドレイン電極層406b上に酸化物半導体層403が設けられている。
【0130】
図11(D)に示すトランジスタ440は、トップゲート構造の薄膜トランジスタの一つ
である。トランジスタ440は、絶縁表面を有する基板400上に、絶縁層437、酸化
物半導体層403、ソース電極層406a、及びドレイン電極層406b、ゲート絶縁層
402、ゲート電極層401を含み、ソース電極層406a、ドレイン電極層406bに
それぞれ配線層436a、配線層436bが接して設けられ電気的に接続している。
【0131】
本実施の形態では、上述のとおり、半導体層として酸化物半導体層403を用いる。酸化
物半導体層403に用いる酸化物半導体としては、四元系金属酸化物であるIn−Sn−
Ga−Zn−O系や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O系、In−Sn−Z
n−O系、In−Al−Zn−O系、Sn−Ga−Zn−O系、Al−Ga−Zn−O系
、Sn−Al−Zn−O系や、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O系、Sn−Zn−
O系、Al−Zn−O系、Zn−Mg−O系、Sn−Mg−O系、In−Mg−O系や、
単元系金属酸化物であるIn−O系、Sn−O系、Zn−O系などを用いることができる
。また、上記酸化物半導体にSiO
2を含んでもよい。ここで、例えば、In−Ga−Z
n−O系酸化物半導体とは、少なくともInとGaとZnを含む酸化物半導体であり、そ
の組成比に特に制限はない。また、InとGaとZn以外の元素を含んでもよい。
【0132】
また、酸化物半導体層403は、化学式InMO
3(ZnO)
m(m>0)で表記される
酸化物半導体を用いることができる。ここで、Mは、Ga、Al、MnおよびCoから選
ばれた一または複数の金属元素を示す。例えばMとして、Ga、Ga及びAl、Ga及び
Mn、またはGa及びCoなどがある。
【0133】
酸化物半導体層403を用いたトランジスタ410、420、430、440は、オフ状
態における電流値(オフ電流値)を低くすることができる。よって、画像イメージデータ
等の電気信号の保持時間を長くすることができ、書き込み間隔も長く設定できる。よって
、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏
する。
【0134】
また、酸化物半導体層403を用いたトランジスタ410、420、430、440は、
比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。よって、液晶表示装
置の画素部に該トランジスタを用いることで、色分離を抑制することができ、高画質な画
像を提供することができる。また、該トランジスタは、同一基板上に駆動回路部または画
素部に作り分けて作製することができるため、液晶表示装置の部品点数を削減することが
できる。
【0135】
絶縁表面を有する基板400に使用することができる基板に大きな制限はないが、バリウ
ムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板を用いることができる
。
【0136】
ボトムゲート構造のトランジスタ410、420、430において、下地膜となる絶縁膜
を基板とゲート電極層の間に設けてもよい。下地膜は、基板からの不純物元素の拡散を防
止する機能があり、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、又は酸化窒
化シリコン膜から選ばれた一又は複数の膜による積層構造により形成することができる。
【0137】
ゲート電極層401の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、
アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料またはこれらを主成分とする合
金材料を用いて、単層でまたは積層して形成することができる。
【0138】
ゲート絶縁層402は、プラズマCVD法又はスパッタ法等を用いて、酸化シリコン層、
窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、窒化
アルミニウム層、酸化窒化アルミニウム層、窒化酸化アルミニウム層、又は酸化ハフニウ
ム層を単層で又は積層して形成することができる。例えば、第1のゲート絶縁層としてプ
ラズマCVD法により膜厚50nm以上200nm以下の窒化シリコン層(SiN
y(y
>0))を形成し、第1のゲート絶縁層上に第2のゲート絶縁層として膜厚5nm以上3
00nm以下の酸化シリコン層(SiO
x(x>0))を積層して、合計膜厚200nm
のゲート絶縁層とする。
【0139】
ソース電極層406a、ドレイン電極層406bに用いる導電膜としては、例えば、Al
、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wからから選ばれた元素、または上述した元素を成分
とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等を用いることができる。また、Al
、Cuなどの金属層の下側又は上側の一方または双方にTi、Mo、Wなどの高融点金属
層を積層させた構成としても良い。また、Al膜に生ずるヒロックやウィスカーの発生を
防止する元素(Si、Nd、Scなど)が添加されているAl材料を用いることで耐熱性
を向上させることが可能となる。
【0140】
ソース電極層406a、ドレイン電極層406bに接続する配線層436a、配線層43
6bのような導電膜も、ソース電極層406a、ドレイン電極層406bと同様な材料を
用いることができる。
【0141】
また、ソース電極層406a、ドレイン電極層406b(これと同じ層で形成される配線
層を含む)となる導電膜は導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物と
しては酸化インジウム(In
2O
3)、酸化スズ(SnO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸
化インジウム酸化スズ合金(In
2O
3―SnO
2、ITOと略記する)、酸化インジウ
ム酸化亜鉛合金(In
2O
3―ZnO)またはこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを
含ませたものを用いることができる。
【0142】
絶縁層411、427、437は、代表的には酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸
化アルミニウム膜、または酸化窒化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができ
る。
【0143】
保護絶縁層412は、窒化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化シリコン膜、窒化
酸化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。
【0144】
また、保護絶縁層412上にトランジスタ起因の表面凹凸を低減するために平坦化絶縁膜
を形成してもよい。平坦化絶縁膜としては、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン
、等の有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low
−k材料)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層
させることで、平坦化絶縁膜を形成してもよい。
【0145】
このように、本実施の形態において、酸化物半導体層を含むトランジスタを用いることに
より、高機能な液晶表示装置を提供することができる。
【0146】
(実施の形態6)
本実施の形態は、酸化物半導体層を含むトランジスタ、及び作製方法の一例を
図12を用
いて詳細に説明する。上記実施の形態と同一部分又は同様な機能を有する部分、及び工程
は、上記実施の形態と同様に行うことができ、繰り返しの説明は省略する。また同じ箇所
の詳細な説明は省略する。
【0147】
図12(A)乃至(E)にトランジスタの断面構造の一例を示す。
図12(A)乃至(E
)に作製工程を示すトランジスタ510は、
図11(A)に示すトランジスタ410と同
様なボトムゲート構造の逆スタガ型薄膜トランジスタである。
【0148】
本実施の形態の半導体層に用いる酸化物半導体は、n型不純物である水素を酸化物半導体
から除去し、酸化物半導体の主成分以外の不純物が極力含まれないように高純度化するこ
とによりI型(真性)の酸化物半導体、又はI型(真性)に限りなく近い酸化物半導体と
したものである。すなわち、不純物を添加してI型化するのでなく、水素や水等の不純物
を極力除去したことにより、高純度化されたI型(真性半導体)又はそれに近づけること
を特徴としている。従って、トランジスタ510が有する酸化物半導体層は、高純度化及
び電気的にI型(真性)化された酸化物半導体層である。
【0149】
また、高純度化された酸化物半導体中にはキャリアが極めて少なく(ゼロに近い)、キャ
リア濃度は1×10
14/cm
3未満、好ましくは1×10
12/cm
3未満、さらに好
ましくは1×10
11/cm
3未満である。
【0150】
酸化物半導体中にキャリアが極めて少ないため、酸化物半導体層を具備するトランジスタ
は、オフ電流を少なくすることができる。オフ電流は少なければ少ないほど好ましい。
【0151】
具体的には、上述の酸化物半導体層を具備するトランジスタは、チャネル幅1μmあたり
のオフ電流密度を室温下において、10aA/μm(1×10
−17A/μm)以下にす
ること、さらには1aA/μm(1×10
−18A/μm)以下、さらには10aA/μ
m(1×10
−20A/μm)以下にすることが可能である。
【0152】
オフ状態における電流値(オフ電流値)が極めて小さいトランジスタを実施の形態1の画
素部におけるトランジスタとして用いることにより、静止画領域におけるリフレッシュ動
作の頻度を小さくすることができる。
【0153】
また、上述の酸化物半導体層を具備するトランジスタ510はオン電流の温度依存性がほ
とんど見られず、オフ電流も非常に小さいままである。
【0154】
以下、
図12(A)乃至(E)を用い、基板505上にトランジスタ510を作製する工
程を説明する。
【0155】
まず、絶縁表面を有する基板505上に導電膜を形成した後、第1のフォトリソグラフィ
工程によりゲート電極層511を形成する。なお、レジストマスクをインクジェット法で
形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用し
ないため、製造コストを低減できる。
【0156】
絶縁表面を有する基板505は、実施の形態5に示した基板400と同様な基板を用いる
ことができる。本実施の形態では基板505としてガラス基板を用いる。
【0157】
下地膜となる絶縁膜を基板505とゲート電極層511との間に設けてもよい。下地膜は
、基板505からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化シリコン膜、酸化シリ
コン膜、窒化酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜から選ばれた一又は複数の膜によ
る積層構造により形成することができる。
【0158】
また、ゲート電極層511の材料は、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、ア
ルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とする合金材
料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。
【0159】
次いで、ゲート電極層511上にゲート絶縁層507を形成する。ゲート絶縁層507は
、プラズマCVD法又はスパッタ法等を用いて、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化
窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、窒化アルミニウム層、酸化
窒化アルミニウム層、窒化酸化アルミニウム層、又は酸化ハフニウム層を単層で又は積層
して形成することができる。
【0160】
本実施の形態の酸化物半導体は、不純物が除去され、I型化又は実質的にI型化された酸
化物半導体を用いる。このような高純度化された酸化物半導体は界面準位、界面電荷に対
して極めて敏感であるため、酸化物半導体層とゲート絶縁層との界面は重要である。その
ため高純度化された酸化物半導体に接するゲート絶縁層は、高品質化が要求される。
【0161】
例えば、μ波(例えば、周波数2.45GHz)を用いた高密度プラズマCVDは、緻密
で絶縁耐圧の高い高品質な絶縁層を形成できるので好ましい。高純度化された酸化物半導
体と高品質ゲート絶縁層とが密接することにより、界面準位を低減させて界面特性を良好
なものとすることができるからである。
【0162】
もちろん、ゲート絶縁層として良質な絶縁層を形成できるものであれば、スパッタ法やプ
ラズマCVD法など他の成膜方法を適用することができる。また、成膜後の熱処理によっ
てゲート絶縁層の膜質、酸化物半導体との界面特性が改質される絶縁層であっても良い。
いずれにしても、ゲート絶縁層としての膜質が良好であることは勿論のこと、酸化物半導
体との界面準位密度を低減させ、良好な界面を形成できるものであれば良い。
【0163】
また、ゲート絶縁層507、酸化物半導体膜530に水素、水酸基及び水分がなるべく含
まれないようにするために、酸化物半導体膜530の成膜の前処理として、スパッタリン
グ装置の予備加熱室でゲート電極層511が形成された基板505、又はゲート絶縁層5
07までが形成された基板505を予備加熱し、基板505に吸着した水素、水分などの
不純物を脱離し排気することが好ましい。なお、予備加熱室に設ける排気手段はクライオ
ポンプが好ましい。なお、この予備加熱の処理は省略することもできる。またこの予備加
熱は、絶縁層516の成膜前に、ソース電極層515a及びドレイン電極層515bまで
形成した基板505にも同様に行ってもよい。
【0164】
次いで、ゲート絶縁層507上に、膜厚2nm以上200nm以下、好ましくは5nm以
上30nm以下の酸化物半導体膜530を形成する(
図12(A)参照)。
【0165】
なお、酸化物半導体膜530をスパッタ法により成膜する前に、アルゴンガスを導入して
プラズマを発生させる逆スパッタを行い、ゲート絶縁層507の表面に付着している粉状
物質(パーティクル、ごみともいう)を除去することが好ましい。逆スパッタとは、ター
ゲット側に電圧を印加せずに、アルゴン雰囲気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加
して基板近傍にプラズマを形成して表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に
代えて窒素、ヘリウム、酸素などを用いてもよい。
【0166】
酸化物半導体膜530に用いる酸化物半導体は、実施の形態5に示した四元系金属酸化物
や、三元系金属酸化物や、二元系金属酸化物や、In−O系、Sn−O系、Zn−O系な
どの酸化物半導体を用いることができる。また、上記酸化物半導体にSiO
2を含んでも
よい。本実施の形態では、酸化物半導体膜530としてIn−Ga−Zn−O系酸化物タ
ーゲットを用いてスパッタ法により成膜する。この段階での断面図が
図12(A)に相当
する。また、酸化物半導体膜530は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰
囲気下、又は希ガスと酸素の混合雰囲気下においてスパッタ法により形成することができ
る。
【0167】
酸化物半導体膜530をスパッタ法で作製するためのターゲットとしては、例えば、In
2O
3:Ga
2O
3:ZnO=1:1:1[mol数比](すなわち、In:Ga:Zn
=1:1:0.5[atom比])の組成比を有するターゲットなどを用いることができ
る。また、In
2O
3:Ga
2O
3:ZnO=1:1:2[mol数比](すなわち、I
n:Ga:Zn=1:1:1[atom比])の組成比を有するターゲットや、In
2O
3:Ga
2O
3:ZnO=1:1:4[mol数比](すなわち、In:Ga:Zn=1
:1:2[atom比])の組成比を有するターゲットを用いることもできる。酸化物タ
ーゲットの充填率は90%以上100%以下、好ましくは95%以上99.9%以下であ
る。充填率の高い金属酸化物ターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体膜は
緻密な膜となる。
【0168】
酸化物半導体膜530を、成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基又は水素
化物などの不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
【0169】
減圧状態に保持された成膜室内に基板を保持し、基板温度を100℃以上600℃以下好
ましくは200℃以上400℃以下とする。基板を加熱しながら成膜することにより、成
膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物濃度を低減できる。また、スパッタリングによる
損傷が軽減される。そして、成膜室内の水分を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパ
ッタガスを導入し、上記ターゲットを用いて基板505上に酸化物半導体膜530を成膜
する。成膜室内の水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプ、例えば、クライオポン
プ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気
手段としては、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオ
ポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素原子、水(H
2O)など水素原子を含む
化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該成膜室で成
膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物濃度を低減できる。
【0170】
成膜条件の一例としては、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa
、直流(DC)電源0.5kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下の条件が適用さ
れる。なお、パルス直流電源を用いると、成膜時に発生する粉状物質(パーティクル、ご
みともいう)が軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。
【0171】
次いで、酸化物半導体膜530を第2のフォトリソグラフィ工程により島状の酸化物半導
体層に加工する。また、島状の酸化物半導体層を形成するためのレジストマスクをインク
ジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマ
スクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0172】
また、ゲート絶縁層507にコンタクトホールを形成する場合、その工程は酸化物半導体
膜530の加工時に同時に行うことができる。
【0173】
なお、ここでの酸化物半導体膜530のエッチングは、ドライエッチングでもウェットエ
ッチングでもよく、両方を用いてもよい。例えば、酸化物半導体膜530のウェットエッ
チングに用いるエッチング液としては、燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液、例えばITO0
7N(関東化学社製)などを用いることができる。
【0174】
次いで、酸化物半導体層に第1の加熱処理を行う。この第1の加熱処理によって酸化物半
導体層の脱水化または脱水素化を行うことができる。第1の加熱処理の温度は、400℃
以上750℃以下、または400℃以上基板の歪み点未満とする。ここでは、加熱処理装
置の一つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導体層に対して窒素雰囲気下450℃に
おいて1時間の加熱処理を行った後、大気に触れることなく、酸化物半導体層への水や水
素の再混入を防ぎ、酸化物半導体層531を得る(
図12(B)参照)。
【0175】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱
輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas
Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid
Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal An
neal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライ
ドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧
水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置
である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。高温のガスに
は、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しな
い不活性気体が用いられる。
【0176】
例えば、第1の加熱処理として、650℃〜700℃の高温に加熱した不活性ガス中に基
板を移動させて入れ、数分間加熱した後、基板を移動させて高温に加熱した不活性ガス中
から出すGRTAを行ってもよい。
【0177】
なお、第1の加熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス
に、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する窒素、
またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上
、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ま
しくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0178】
また、第1の加熱処理で酸化物半導体層を加熱した後、同じ炉に高純度の酸素ガス、高純
度のN
2Oガス、又は超乾燥エア(露点が−40℃以下、好ましくは−60℃以下)を導
入してもよい。酸素ガスまたはN
2Oガスには、水、水素などが含まれないことが好まし
い。または、加熱処理装置に導入する酸素ガスまたはN
2Oガスの純度を、6N以上、好
ましくは7N以上、(即ち、酸素ガスまたはN
2Oガス中の不純物濃度を1ppm以下、
好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。酸素ガス又はN
2Oガスの作用に
より、脱水化または脱水素化処理による不純物の排除工程によって同時に減少してしまっ
た酸化物半導体を構成する主成分材料である酸素を供給することによって、酸化物半導体
層を高純度化及び電気的にI型(真性)化する。
【0179】
また、酸化物半導体層の第1の加熱処理は、島状の酸化物半導体層に加工する前の酸化物
半導体膜530に行うこともできる。その場合には、第1の加熱処理後に、加熱装置から
基板を取り出し、フォトリソグラフィ工程を行う。
【0180】
なお、第1の加熱処理は、上記以外にも、酸化物半導体層成膜後であれば、酸化物半導体
層上にソース電極層及びドレイン電極層を積層させた後、あるいは、ソース電極層及びド
レイン電極層上に絶縁層を形成した後、のいずれで行っても良い。
【0181】
また、ゲート絶縁層507にコンタクトホールを形成する場合、その工程は酸化物半導体
膜530に第1の加熱処理を行う前でも行った後に行ってもよい。
【0182】
また、酸化物半導体層を2回に分けて成膜し、2回に分けて加熱処理を行うことで、下地
部材の材料が、酸化物、窒化物、金属など材料を問わず、膜厚の厚い結晶領域(単結晶領
域)、即ち、膜表面に垂直にc軸配向した結晶領域を有する酸化物半導体層を形成しても
よい。例えば、3nm以上15nm以下の第1の酸化物半導体膜を成膜し、窒素、酸素、
希ガス、または乾燥空気の雰囲気下で450℃以上850℃以下、好ましくは550℃以
上750℃以下の第1の加熱処理を行い、表面を含む領域に結晶領域(板状結晶を含む)
を有する第1の酸化物半導体膜を形成する。そして、第1の酸化物半導体膜よりも厚い第
2の酸化物半導体膜を形成し、450℃以上850℃以下、好ましくは600℃以上70
0℃以下の第2の加熱処理を行い、第1の酸化物半導体膜を結晶成長の種として、上方に
結晶成長させ、第2の酸化物半導体膜の全体を結晶化させ、結果として膜厚の厚い結晶領
域を有する酸化物半導体層を形成してもよい。
【0183】
次いで、ゲート絶縁層507、及び酸化物半導体層531上に、ソース電極層515a及
びドレイン電極層515b(これと同じ層で形成される配線を含む)となる導電膜を形成
する。ソース電極層515a、及びドレイン電極層515bに用いる導電膜としては、実
施の形態5に示したソース電極層406a、ドレイン電極層406bに用いる材料を用い
ることができる。
【0184】
第3のフォトリソグラフィ工程により導電膜上にレジストマスクを形成し、選択的にエッ
チングを行ってソース電極層515a、ドレイン電極層515bを形成した後、レジスト
マスクを除去する(
図12(C)参照)。
【0185】
第3のフォトリソグラフィ工程でのレジストマスク形成時の露光には、紫外線やKrFレ
ーザ光やArFレーザ光を用いるとよい。酸化物半導体層531上で隣り合うソース電極
層の下端部とドレイン電極層の下端部との間隔幅によって後に形成されるトランジスタの
チャネル長Lが決定される。なお、チャネル長L=25nm未満の露光を行う場合には、
数nm〜数10nmと極めて波長が短い超紫外線(Extreme Ultraviol
et)を用いて第3のフォトリソグラフィ工程でのレジストマスク形成時の露光を行うと
よい。超紫外線による露光は、解像度が高く焦点深度も大きい。従って、後に形成される
トランジスタのチャネル長Lを10nm以上1000nm以下とすることも可能であり、
回路の動作速度を高速化でき、さらにオフ電流値が極めて小さいため、低消費電力化も図
ることができる。
【0186】
また、フォトリソグラフィ工程で用いるフォトマスク数及び工程数を削減するため、透過
した光が複数の強度となる露光マスクである多階調マスクによって形成されたレジストマ
スクを用いてエッチング工程を行ってもよい。多階調マスクを用いて形成したレジストマ
スクは複数の膜厚を有する形状となり、エッチングを行うことでさらに形状を変形するこ
とができるため、異なるパターンに加工する複数のエッチング工程に用いることができる
。よって、一枚の多階調マスクによって、少なくとも二種類以上の異なるパターンに対応
するレジストマスクを形成することができる。よって露光マスク数を削減することができ
、対応するフォトリソグラフィ工程も削減できるため、工程の簡略化が可能となる。
【0187】
なお、導電膜のエッチングの際に、酸化物半導体層531がエッチングされ、分断するこ
とのないようにエッチング条件を最適化することが望まれる。しかしながら、導電膜のみ
をエッチングし、酸化物半導体層531を全くエッチングしないという条件を得ることは
難しく、導電膜のエッチングの際に酸化物半導体層531は一部のみがエッチングされ、
溝部(凹部)を有する酸化物半導体層531となることもある。
【0188】
本実施の形態では、導電膜としてTi膜を用い、酸化物半導体層531にはIn−Ga−
Zn−O系酸化物半導体を用いたので、導電膜のエッチャントとして燐酸と酢酸と硝酸を
混ぜた溶液を用いる。
【0189】
次いで、N
2O、N
2、またはArなどのガスを用いたプラズマ処理を行い、露出してい
る酸化物半導体層の表面に付着した吸着水などを除去してもよい。プラズマ処理を行った
場合、大気に触れることなく、酸化物半導体層の一部に接する保護絶縁膜となる絶縁層5
16を形成する。
【0190】
絶縁層516は、少なくとも1nm以上の膜厚とし、スパッタ法など、絶縁層516に水
、水素等の不純物を混入させない方法を適宜用いて形成することができる。絶縁層516
に水素が含まれると、その水素が酸化物半導体層へ侵入する、又はその水素が酸化物半導
体層中の酸素を引き抜くことで酸化物半導体層のバックチャネルが低抵抗化(N型化)し
てしまい、寄生チャネルが形成されるおそれがある。よって、絶縁層516はできるだけ
水素を含まない膜になるように、成膜方法に水素を用いないことが重要である。
【0191】
本実施の形態では、絶縁層516として膜厚200nmの酸化シリコン膜をスパッタ法を
用いて成膜する。成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく、本実施の形
態では100℃とする。酸化シリコン膜のスパッタ法による成膜は、希ガス(代表的には
アルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または希ガスと酸素の混合雰囲気下において行うこ
とができる。また、ターゲットとして酸化シリコンターゲットまたはシリコンターゲット
を用いることができる。例えば、シリコンターゲットを用いて、酸素を含む雰囲気下でス
パッタ法により酸化シリコンを形成することができる。酸化物半導体層に接して形成する
絶縁層516は、水分や、水素イオンや、OH
−などの不純物を含まず、これらが外部か
ら侵入することをブロックする無機絶縁膜を用い、代表的には酸化シリコン膜、酸化窒化
シリコン膜、酸化アルミニウム膜、または酸化窒化アルミニウム膜などを用いる。
【0192】
酸化物半導体膜530の成膜時と同様に、絶縁層516の成膜室内の水分を除去するため
には、吸着型の真空ポンプ(クライオポンプなど)を用いることが好ましい。クライオポ
ンプを用いて排気した成膜室で成膜することで絶縁層516に含まれる不純物の濃度を低
減できる。また、絶縁層516の成膜室内の水分を除去するための排気手段としては、タ
ーボポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。
【0193】
絶縁層516を、成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基又は水素化物など
の不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
【0194】
次いで、不活性ガス雰囲気下、または酸素ガス雰囲気下で第2の加熱処理(好ましくは2
00℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下)を行う。例えば、窒素雰囲
気下で250℃、1時間の第2の加熱処理を行う。第2の加熱処理を行うと、酸化物半導
体層の一部(チャネル形成領域)が絶縁層516と接した状態で加熱される。
【0195】
以上の工程を経ることによって、酸化物半導体膜に対して第1の加熱処理を行って水素、
水分、水酸基又は水素化物(水素化合物ともいう)などの不純物を酸化物半導体層より意
図的に排除し、かつ不純物の排除工程によって同時に減少してしまう酸化物半導体を構成
する主成分材料の一つである酸素を供給することができる。よって、酸化物半導体層は高
純度化及び電気的にI型(真性)化する。
【0196】
以上の工程でトランジスタ510が形成される(
図12(D)参照)。
【0197】
また、酸化物絶縁層に欠陥を多く含む酸化シリコン層を用いると、酸化シリコン層形成後
の加熱処理によって酸化物半導体層中に含まれる水素、水分、水酸基又は水素化物などの
不純物を酸化物絶縁層に拡散させ、酸化物半導体層中に含まれる該不純物をより低減させ
る効果を奏する。
【0198】
絶縁層516上にさらに保護絶縁層506を形成してもよい。例えば、RFスパッタ法を
用いて窒化シリコン膜を形成する。RFスパッタ法は、量産性がよいため、保護絶縁層の
成膜方法として好ましい。保護絶縁層は、水分などの不純物を含まず、これらが外部から
侵入することをブロックする無機絶縁膜を用い、窒化シリコン膜、窒化アルミニウム膜な
どを用いる。本実施の形態では、保護絶縁層506を、窒化シリコン膜を用いて形成する
(
図12(E)参照)。
【0199】
本実施の形態では、保護絶縁層506として、絶縁層516まで形成された基板505を
100℃〜400℃の温度に加熱し、水素及び水分が除去された高純度窒素を含むスパッ
タガスを導入しシリコン半導体のターゲットを用いて窒化シリコン膜を成膜する。この場
合においても、絶縁層516と同様に、処理室内の水分を除去しつつ保護絶縁層506を
成膜することが好ましい。
【0200】
保護絶縁層506の形成後、さらに大気中、100℃以上200℃以下、1時間以上30
時間以下での加熱処理を行ってもよい。この加熱処理は一定の加熱温度を保持して加熱し
てもよいし、室温から、100℃以上200℃以下の加熱温度への昇温と、加熱温度から
室温までの降温を複数回くりかえして行ってもよい。
【0201】
このように、本実施の形態を用いて作製した、高純度化された酸化物半導体層を含むトラ
ンジスタを用いることにより、オフ状態における電流値(オフ電流値)をより低くするこ
とができる。よって、画像イメージデータ等の電気信号の保持時間を長くすることができ
、書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度をより少なくするこ
とができるため、消費電力を抑制する効果を高くできる。
【0202】
また、高純度化された酸化物半導体層を含むトランジスタは、高い電界効果移動度が得ら
れるため、高速駆動が可能である。よって、液晶表示装置の画素部に該トランジスタを用
いることで、色分離を抑制することができ、高画質な画像を提供することができる。また
、該トランジスタは、同一基板上に駆動回路部または画素部に作り分けて作製することが
できるため、液晶表示装置の部品点数を削減することができる。
【0203】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0204】
(実施の形態7)
本実施の形態では、半透過型液晶表示装置の1画素当たりの反射光量と透過光量を向上せ
しめる画素構成について、
図13、
図14、及び
図16を用いて説明する。
【0205】
図13は、本実施の形態で示す画素の平面構成を説明するための図である。
図14(A)
、は、
図14(B)における一点破線で示したS1−S2部、及びT1−T2部の断面構
成を示している。本実施の形態で説明する画素は、基板800上に、画素電極として透明
電極823と反射電極825が積層されており、画素電極は、絶縁膜827、絶縁膜82
8、及び有機樹脂膜822に設けられたコンタクトホール855を介して、トランジスタ
851のドレイン電極857に接続されている。ドレイン電極857は、絶縁膜を介して
容量配線853と重畳し、保持容量871を構成している(
図14(A)参照)。
【0206】
トランジスタ851のゲート電極858は、配線852に接続されており、ソース電極8
56は、配線854に接続されている。トランジスタ851は、他の実施の形態で説明し
たトランジスタを用いることができる。
【0207】
反射電極825により外光を反射することで、画素電極を反射型液晶表示装置の画素電極
として機能させることができる。反射電極825には複数の開口部826が設けられてい
る。開口部826には反射電極825が存在せず、構造体820及び透明電極823が突
出している。開口部826から、バックライトの光を透過させることで、画素電極を透過
型液晶表示装置の画素電極として機能させることができる。
【0208】
また、
図16は、
図14(B)とは異なる例を示す断面図であり、開口部826において
、構造体820及び透明電極823が突出していない構造を有する本発明の一実施形態で
ある。
図14(B)では、バックライト射出光口841と開口部826はほぼ同一サイズ
であるのに対して、
図16では、バックライト射出光口841のサイズと開口部826の
サイズが異なり、バックライト入射光口842からの距離も異なる。従って、
図16と比
較して
図14(B)のほうが透過光量を大きくすることができ、好ましい断面形状と言え
る。
【0209】
開口部826と重畳して構造体820が形成されている。
図14(B)は、
図13におけ
るT1−T2部の断面図であり、画素電極と構造体820の構成を示している。
図14(
C)は、部位880の拡大図であり、
図14(D)は、部位881の拡大図である。
【0210】
反射光832は、反射電極825で反射された外光を示している。有機樹脂膜822は、
上面に凹凸形状の湾曲面を有している。反射電極825に当該凹凸形状の湾曲面を反映さ
せることで、反射領域の面積を増やし、また、表示映像以外の写り込みが軽減されるため
、表示映像の視認性を高めることができる。断面形状において湾曲面を有する反射電極8
25の最も屈曲している点から、相対向する2つの傾斜面がなす角度θRは、90°以上
、好ましくは100°以上120°以下とするとよい(
図14(D)参照)。
【0211】
構造体820は、開口部826側にバックライト射出光口841を有し、バックライト(
図示せず)側にバックライト入射光口842を有している。また、構造体820の上部は
、反射電極825の表面よりも上方に位置し、反射電極の上端部よりも突出した形状、即
ち、構造体820の上端部と反射電極の上端部との距離Hが0.1μm以上3μm以下、
好ましくは0.3μm以上2μm以下である。また、バックライト射出光口841の面積
よりも、バックライト入射光口842の面積が大きく形成されている。構造体820の側
面(バックライト射出光口841とバックライト入射光口842以外の面)には、反射層
821が形成されている。構造体820は、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(
SiNx)、酸化窒化シリコン(SiNO)などの、透光性を有する材料を用いることが
できる。反射層821は、アルミニウム(Al)や銀(Ag)などの、光の反射率が高い
材料を用いることができる。
【0212】
バックライトから発せられた透過光831は、バックライト入射光口842を通って構造
体820に入射する。入射した透過光831の一部はそのままバックライト射出光口84
1から射出されるが、一部は反射層821によりバックライト射出光口841に向かって
反射され、一部はさらに反射して、バックライト入射光口842へ戻ってしまう。
【0213】
この時、構造体820のバックライト射出光口841とバックライト入射光口842を通
る構造体820の断面形状を見ると、左右に相対向する側面は傾斜面となっている。それ
ぞれの側面のなす角度θTを、90°未満、好ましくは10°以上60°以下とすること
で、バックライト入射光口842から入射した透過光831を効率よくバックライト射出
光口841へ導くことができる(
図14(C)参照)。
【0214】
従来の半透過型液晶表示装置では、画素電極のうち、反射電極として機能する電極面積を
SR、透過電極として機能する電極面積(開口部826の面積)をSTとした場合、両電
極の合計面積が100%(SR+ST=100%)となる。本実施の形態で示した画素構
成を有する半透過型液晶表示装置は、透過電極として機能する電極面積STが、バックラ
イト入射光口842の面積に相当するため、開口部826の面積を大きくすることなく、
または、バックライトの輝度を上げることなく、透過光量を向上させることができる。つ
まり、見かけ上の両電極の合計面積を100%以上(SR+STが100%以上)とする
ことができる。
【0215】
本実施の形態を用いることで、消費電力を増やさずにより明るく表示品位の良い半透過型
液晶表示装置を得ることができる。
【0216】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0217】
(実施の形態8)
本実施の形態においては、上記実施の形態で説明した液晶表示装置を具備する電子機器の
例について説明する。
【0218】
図15(A)は電子書籍(E−bookともいう)であり、筐体9630、表示部963
1、操作キー9632、太陽電池9633、充放電制御回路9634を有することができ
る。
図15(A)に示した電子書籍は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)
を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示
した情報を操作又は編集する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制
御する機能、等を有することができる。なお。
図15(A)では充放電制御回路9634
の一例としてバッテリー9635、DCDCコンバータ(以下、コンバータ9636と略
記)を有する構成について示している。
【0219】
図15(A)に示す構成とすることにより、表示部9631として半透過型の液晶表示装
置を用いる場合、比較的明るい状況下での使用も予想され、太陽電池9633による発電
、及びバッテリー9635での充電を効率よく行うことができ、好適である。なお太陽電
池9633は、筐体9630の表面及び裏面に設けて効率的なバッテリー9635の充電
を行う構成とすることができるため好適である。なおバッテリー9635としては、リチ
ウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
【0220】
また
図15(A)に示す充放電制御回路9634の構成、及び動作について
図15(B)
にブロック図を示し説明する。
図15(B)には、太陽電池9633、バッテリー963
5、コンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示部96
31について示しており、バッテリー9635、コンバータ9636、コンバータ963
7、スイッチSW1乃至SW3が充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
【0221】
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。
太陽電池で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧となるようコンバ
ータ9636で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9
633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9637で
表示部9631に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また、表示部9631
での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにしてバッテリー9635
の充電を行う構成とすればよい。
【0222】
次いで外光により太陽電池9633により発電がされない場合の動作の例について説明す
る。バッテリー9635に蓄電された電力は、スイッチSW3をオンにすることでコンバ
ータ9637により昇圧または降圧がなされる。そして、表示部9631の動作にバッテ
リー9635からの電力が用いられることとなる。
【0223】
なお太陽電池9633については、充電手段の一例として示したが、他の手段によるバッ
テリー9635の充電を行う構成であってもよい。また他の充電手段を組み合わせて行う
構成としてもよい。
【0224】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。