(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記自動警報設備は、異状を感知すると異状感知信号を送出する感知手段と、該異状感知信号を受信したときに異状を感知したと判断する異状判断手段と、該異状判断手段が異状を感知したと判断したときに前記警報装置から第1の警報を報知させると共に前記異状信号を送出し、前記異状感知信号を受信したときに異状位置情報を含む異状発報信号を出力する出力手段とを有し、
前記支援装置は、前記異状発報信号を受信したとき、前記異状判断手段が異状を感知したと判断するまでに所定の判断時間を要する場合は前記所定時間に前記判断時間を加算すると共に、前記選択部は1以上の前記端末を選択する請求項1に記載の支援システム。
前記決定部は、前記所定時間が経過するまでに複数の前記端末から複数の応答を受け取った場合、前記応答の内容と数とに基づいて前記異状の有無を決定する請求項1または2に記載の支援システム。
前記決定部が異状は無いと決定したとき、前記指示部は、異状が無かった旨を報知するように前記自動警報設備へ指示する請求項1から3のいずれか1項に記載の支援システム。
【背景技術】
【0002】
火災等の異状を自動的に感知して報知する自動火災報知設備(以下、自火報設備という)は、実際に火災が発生していなくても火災警報する場合がある。例えば熱や煙など火災に起因する二次的物理現象を検出して異状感知信号を送出する感知手段である感知器は、別の現象に起因して、あるいは、何らかの強力なノイズによって誤作動することがあり、感知器が作動して異状感知信号を送出しても実際には火災等の異状が起きていないこともある(これを非火災報と呼ぶ)。
【0003】
そこで、感知器が異状感知信号を送出した場合に、直ちに避難を促すような警報を報知するのではなく、防災要員が現場を確認する工程を含めて、地区音響装置等の警報手段を多段階で報知するように制御する自火報設備がある。
【0004】
例えば、火災感知器やガス漏れ検知器といった感知手段からの異状感知信号を受信機が受信して受信機が異状判断した場合に、音声メッセージを出力する地区音響装置より、放送する音声メッセージの内容に時間差を設けるように報知する自火報設備、又は、自火報設備と連動して動作する非常放送設備(以下、これも自火報設備に含んで説明する)がある。このような自火報設備は、まず、第1段階の警報として感知手段が作動したことだけを音声メッセージで報知する「火災感知放送」を行い、所定時間経過後に第2段階の警報として異状の発生を音声メッセージで報知する「火災放送」を行い、避難を促す。また、火災感知放送の後、防災要員が所定時間内に現場の異状を確認したとき、防災センタのオペレータは上記所定時間を待たず直ちに受信機等で火災放送操作を行って第2段階の警報を報知する。逆に、防災要員が上記所定時間内に異状が発生していないことを確認したとき、防災センタのオペレータは受信機等で非火災放送操作を行って、第2段階の警報への移行を停止し、音声メッセージで火災ではなかったことを告げる「非火災放送」を行う。
【0005】
また、例えば、ベルや電子サイレン等を用いた地区音響装置からの警報に時間差を設けるように報知する自火報設備がある(この場合は非常放送設備を含まない)。このような自火報設備は、例えば、まず第1段階の警報として出火階と直上階の地区音響装置を鳴動させて警報を報知し、所定時間後に第2段階の警報として全館の地区音響装置を一斉鳴動させて警報を報知する。そして、第1段階の警報の後、防災要員が所定時間内に現場の異状を確認して防災センタのオペレータが受信機で火災断定操作を行うと、所定時間を待たず、直ちに全館の地区音響装置を鳴動させて第2段階の警報を報知する。逆に、防災要員が所定時間内に異状が発生していないことを確認したとき、防災センタのオペレータが受信機の復旧操作を行って警報を停止させる。
【0006】
これにより、自火報設備の信頼性は高まる。すなわち、火災等の異状発生時には速やかに警報を報知して迅速な避難を促して人命を守るとともに、火災等の異状でないことが確認されたときに警報を停止させ、あるいは、更に非火災放送することにより、経済活動停滞による損失、避難時の混乱、盗難の誘発などを未然に防ぐ。
【0007】
一方、高層化した建築物や大規模な工場など、感知器が作動した現場に防災要員が速やかに駆け付けることが困難な場合がある。この問題を解決するため、建築物各階の利用者が自衛消防隊員となって火災の確認をすることが考えられている。
【0008】
例えば、特許文献1、2には、異常監視サーバから火災警報信号を有効受信した場合に警報画面が表示される携帯電話が記載されている(段落98)。また、特許文献3には、避難誘導装置周辺の携帯端末に情報を送信する例が記載されており(段落11、
図1)、特許文献4には、検出された携帯電話子機の位置が警戒エリアにあるとき、その携帯電話子機に対し緊急メッセージを送信するエリア判定通報手段が記載されている(請求項1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記のように、防災要員が現場を確認する工程を含めて多段階の報知を行う自火報設備は、人命優先の観点から、所定時間(例えば、60秒)が経過すると上記第2段階の警報を報知するようになっている。したがって、火災等の異状の確認に時間がかかりすぎると、実際に異状であった場合は一刻を争うような避難開始の遅れに繋がり、非火災報等で異状ではなかった場合は火災でもないのに第2段階の警報が報知されてしまう。
【0011】
しかしながら、上述した特許文献1〜4に記載の技術では、火災等の異状の確認を促された携帯機器の利用者は、上記所定時間を把握できないので、いつまでに現場を確認すればよいかを知ることができない。また、上記所定時間内に現場確認を促された場合に、携帯機器の利用者はその所定時間内にその現場に到着できないと判断することもあるが、上述した特許文献1〜4に記載の技術にはその判断結果を伝える手段がない。
【0012】
本発明は、火災感知器などの感知手段が火災などの異状を感知して異状感知信号を発したとき、あるいは、異状感知信号を受信した受信機が異状と判断して異状信号を発したとき、近くにいる人による迅速な現場確認を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)上述した課題を解決するため、本発明に係る支援システムは、
建築物に配設された感知手段と警報装置とに接続され、前記感知手段が異状を感知すると
前記警報装置から第1段階の警報を報知させると共に異状位置情報を含む異状信号を送出し、所定時間後に前記報知を第2段階の警報へ移行させ
て前記建築物内の人に異状を知らせる受信機を備えた自動警報設備に接続される支援装置と、該支援装置と通信回線を介して通信
し、前記建築物の各所で任命された防災関係者が所持する複数の端末とを具備する支援システムであって、前記端末は、表示部と、操作部と、を有し、前記支援装置は、前記自動警報設備と接続される第1通信部と、通信回線を介して前記端末と通信する第2通信部と、前記異状信号を受信したときに1以上の前記端末を選択する選択部と、選択された前記端末の表示部に前記所定時間が経過するまでに前記異状の確認を要請する
旨のメッセージを表
示させる要請部と、前記所定時間が経過するまでの前記要請に対する前記端末からの応答に基づいて前記異状の有無を決定する決定部と、前記決定
が異状有りのときは前記所定時間を待たずに第2段階の警報への移行を即時実行
するように、前記決定が異状無しのときは第2段階の警報への移行を停止するように
、前記自動警報設備へ指示する指示部と、を有する。
【0014】
(2)また、本発明に係る支援システムは、(1)において、前記自動警報設備は、異状を感知すると異状感知信号を送出する感知手段と、該異状感知信号を受信したときに異状を感知したと判断する異状判断手段と、該異状判断手段が異状を感知したと判断したときに前記警報装置から第1の警報を報知させると共に前記異状信号を送出し、前記異状感知信号を受信したときに異状位置情報を含む異状発報信号を出力する出力手段とを有し、前記支援装置は、前記異状発報信号を受信したとき、前記異状判断手段が異状を感知したと判断するまでに所定の判断時間を要する場合は前記所定時間に前記判断時間を加算すると共に、前記選択部は1以上の前記端末を選択する。
【0015】
さらに、前記選択部は、前記端末から前記所定時間が経過するまでに前記異状の確認ができない旨の応答を受け取った場合に、当該端末以外の新たな端末を選択し、前記要請部は、前記選択部により選択された新たな端末の表示部に前記要請を表示させてもよい。
【0016】
(3)また、本発明に係る支援システムは、(1)、(2)において、前記決定部は、前記所定時間が経過するまでに複数の前記端末から複数の応答を受け取った場合、前記応答の内容と数とに基づいて前記異状の有無を決定する。
【0017】
さらに、前記端末は、前記応答時に前記通信部を介して画像を送出する撮像手段を有し、前記決定部は、前記画像が添付されている前記応答に対して、画像が添付されていない応答よりも重みを有する情報として前記決定を行うようにしてもよい。
【0018】
(4)また、本発明に係る支援システムは、(1)〜(3)において、前記決定部が異状は無いと決定したとき、前記指示部は、異状が無かった旨を報知するように前記自動警報設備へ指示する。
【0019】
(5)本発明に係る支援装置又は端末は、(1)〜(4)のいずれかの支援システムで用いられる。
【0020】
(6)本発明に係る支援装置の制御プログラムは、異状を感知したときに警報装置から第1段階の警報を報知させると共に異状位置情報を含む異状感知信号を送出し、所定時間後に前記報知を第2段階の警報へ移行させる自動警報設備から前記異状信号を受信した場合に、前記報知を第2段階の警報へ移行させるか、又は、前記報知の第2段階の警報への移行を停止させるかを前記自動警報設備に指示する支援装置の制御プログラムであって、前記異状信号を受信した場合に、1以上の端末を選択するステップと、選択された前記端末の表示部に、前記所定時間が経過するまでに前記異状の確認を要請する表示をさせるステップと、前記所定時間が経過するまでに前記要請に対する前記端末からの応答を受け取った場合に、前記応答に基づいて前記異状の有無を決定するステップと、前記決定に基づいて第2段階の警報への移行を即時実行又は停止するように前記自動警報設備へ指示するステップと、を備える。
【0021】
(7)本発明に係る端末の制御プログラムは、異状を感知したときに警報装置から第1段階の警報を報知させると共に異状位置情報を含む異状感知信号を送出し、所定時間後に前記報知を第2段階の警報へ移行させる自動警報設備から前記異状信号を受信した場合に、前記報知を第2段階の警報へ移行させるか、又は、前記報知の第1段階の警報への移行を停止させるかを前記自動警報設備に指示する支援装置に通信回線を介して通信する端末の制御プログラムであって、前記支援装置に選択されて、前記所定時間が経過するまでに前記異状の有無を確認して応答するよう要請されたときに、表示部に確認画面を表示するステップと、前記所定時間が経過するまでに前記異状の有無を確認できない場合にその旨を入力して送信するステップと、前記所定時間が経過するまでに前記異状の有無を確認できる場合に前記異状の有無を確認して前記応答を入力して送信するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、火災感知器等の感知手段が異状感知信号を発したときに、又は、受信機が異状と判断したときに、近くにいる人による迅速な現場確認を支援することができる。
【0023】
また、本発明によれば、火災感知器等の感知手段からの異状感知信号が誤報であった場合、所定時間が経過する前に近くにいる人が異状の有無を確認すれば、誤報による警報を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
1.実施形態
1−1.自動火災報知設備の構成と動作
まず、本実施の形態に係る支援システム100が接続される自動警報設備としての自動火災報知設備200(以下、自火報設備200)について、
図1、2に基づいて説明する。
【0026】
自火報設備200は公知の自動火災報知設備であり、異状を感知する感知手段としての火災感知器5、ガス漏れ検知器6等を有し、これらの感知手段は防火対象物である建築物に配設される。これらの感知手段は、信号線10を介して、あるいは中継手段である中継器8と信号線10とを介して、受信機4へ接続される。そして、これらの感知手段が異状を感知すると、異状位置情報を含む異状感知信号を受信機4へ送出する。
【0027】
また、自火報設備200は、警報装置(地区音響装置)として音声メッセージで警報を報知する音声警報装置7を有し、音声警報装置7は防火対象物である建築物に配設される。この音響警報装置7は、直接に信号線10を介して、又は、中継手段である中継器9と信号線10とを介して、受信機4へ接続される。そして、音声警報装置7は、受信機4からの信号に応じて、後述する火災感知放送、火災放送、非火災放送を出力する。
【0028】
受信機4は、受信機4は、異状感知信号が火災等に異状に基づく信号であるか否かを状況に応じて判断する図示しない異状確認手段を有する。受信機4は、信号線10を介して異状感知信号を受信するまで待ち受け(S001のNo)、異状感知信号を受信すると(S001のYes)、受信した異状感知信号が人為的な操作に基づく異状感知信号であるか否かを異状確認手段で確認する(S002)。図示しない発信機が作動したとき、又は非常電話が起動したときは、異状を確認した人が操作したものとして、異状を確認したものと判断する(S002のYes)。そして、ただちに、後述する第2段階の警報として、音声警報装置7より所定の音声メッセージによる火災放送を報知する(S009)。この火災放送の音声メッセージは、例えば「火事です。火事です。(○階で)火災発生の通報がありました。落ち着いて避難して下さい」というようなものであり、火災発生を告げ、避難を促すものである(S009)。
【0029】
また、受信機4は、蓄積機能等の公知の異状判断手段を有する(図示せず)。受信機4が受信した異状感知信号が、発信機の作動、又は非常電話の起動に基づくものではないと判断すると(S002のNo)、異状感知信号を受信した旨を意味する異状発報信号を送出する(S003)。そして、異状発報信号を送出した後、上記異状判断手段は、受信した異状感知信号に基づいて異状か否かを判断する(S004)。異状判断手段が異状ではないと判断したとき、すなわち異状感知信号が火災等の異状以外の要因による一過性の信号であると判断すると(S004のNo)、(感知手段をリセットするなどして)再び、異状感知信号を待ち受ける状態に戻る(S001)。異状判断手段が異状と判断すると(S004のYes)、受信機4は、受信した異状感知信号を異状信号として送出すると共に、第1段階の警報として音声警報装置7より所定の音声メッセージによる火災感知放送を報知する(S005)。この火災感知放送の音声メッセージは、例えば「ただいま(○階の)火災感知器が作動しました。確認しておりますので、次の放送にご注意下さい」というようなものであり、直ちに火災発生を警報して避難を促すものではない。そして、受信機4は、信号線C1を介して接続された支援システム100の支援装置1へ異状位置情報を含む異状信号を送出する。異状信号を送出した後、先に異状感知信号を送出した感知手段と区分できる第2の感知手段が異状感知信号を送出したとき、上記異状確認手段は火災が拡大したものとして異状を確認したものと判断する。また、オペレータが火災等の異状を確認し、受信機4において火災断定等の異状断定操作を行ったときも上記異状確認手段は異状を確認したものと判断する(S006の有り)。そして、異状確認手段が異状を確認したものと判断したとき、第2段階の警報として、音声警報装置7より所定の音声メッセージによる火災放送を報知する(S009)。
【0030】
受信機4は、上記火災感知放送を出力(S005)した後、上記異状確認手段が異状と確認せず(S006のなし)、所定時間(例えば60秒)が経過したときに(S007のYes)、上記火災放送を報知する(S009)。この火災放送の音声メッセージは、例えば「火事です。火事です。(○階で)火災が発生しました。落ち着いて避難して下さい」というようなものであり、火災発生を告げ、避難を促すものである。
【0031】
すなわち、自火報設備200は、異状を感知すると人為的な操作による場合を除いて警報装置から第1段階の警報を報知させると共に異状位置情報を含む異状信号を送出し、所定時間後に前記報知を第2段階の警報へ移行させる自動警報設備である。
【0032】
なお、上記火災感知放送の後にオペレータが火災ではないと判断したとき、随時、受信機4を操作して音声警報装置7より非火災放送を行うことができる(
図2には図示せず)。この非火災放送の音声メッセージは、例えば「さきほどの火災感知器の作動は、確認の結果、異常がありませんでした。ご安心ください」というようなものであり、火災等の異状ではなかったことを告げるものである。
【0033】
そして、本発明に係る支援システム100に関連して、受信機4は、後述する支援装置1から第2段階の警報への移行を即時実行するように指示する異状確認信号を受信すると(S008の[第2段階の警報への即時以降])、即時、火災放送を行う。すなわち、前記所定時間が経過する前であっても第2段階の警報を行なう(S009)。また、支援装置1から第2段階の警報への移行を停止するように指示する非火災信号を受信すると(S008の[第2段階の警報への移行を停止])、第2段階の警報への移行を停止する(S010)。このとき、上記非火災放送を行うようにしてもよい。
【0034】
1−2.支援システムの構成
次に、本実施の形態に係る支援システム100の構成について、
図1に基づいて説明する。支援システム100は、防災要員が所持し携帯する1以上の端末2と、受信機4と接続された支援装置1と、で構成される。そして、支援装置1と端末2は、通信回線3を介して互いに通信する。通信回線3は、例えばIMT−2000に準拠した無線通信網などである。
【0035】
1−3.支援装置の構成
次に、支援システム100を構成する支援装置1の構成について、
図3に基づいて説明する。支援装置1は、第1通信部14と、第2通信部13と、記憶部12と、制御部11とを有する。第1通信部14は、信号線C1を介して受信機4に接続されて制御情報等を通信するインターフェースである。第2通信部13は、信号線C2と通信回線3とを介して接続された端末2との間で制御情報等を通信するインターフェースである。記憶部12は、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性の記憶手段であり、火災等の異状を確認する活動を支援するための処理を実行するプログラムを記憶する。制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムに基づいて支援装置1の各部の動作を制御する制御手段である。
【0036】
制御部11は、図示しないCPU等の演算処理装置を備え、その機能的構成として、特定部111、選択部112、要請部113、決定部114、指示部115、を備える。特定部111は、第1通信部14を介して受信した異状信号に含まれる異状位置情報に基づいて、後述する設置場所データベース121を参照して異状位置を特定する異状位置特定手段である。選択部112は、異状信号を受信したときに異状位置情報と後述する端末位置情報とに基づいて1以上の端末2を選択する端末選択手段である。要請部113は、選択部112で選択した端末2の表示部に前記所定時間が経過するまでに異状の確認を要請する表示をさせる端末への要請手段である。決定部114は、前記所定時間が経過するまでに前記要請に対する端末2からの応答に基づいて異状の有無を決定する決定手段である。指示部115は、前記決定に基づいて第2段階の警報への移行を即時実行又は停止するように第1通信部14を介して受信機4へ指示する指示手段である。
【0037】
また、記憶部12は、前記プログラムに加えて、火災感知器5やガス漏れ検知器6といった複数の感知手段がそれぞれ設置された場所を記述した設置場所データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)121を有する。設置場所データベース121は、受信機4を介して異状位置情報として与えられる火災感知器5又はガス漏れ検知器6に固有の識別子(又は区画番号)と、例えば、棟、階、フロアにおける座標(又は区画)で示される設置場所(又は区画)のデータとを関連付けて記憶する。例えば、
図6における識別子「AL2」で表される感知器の設置場所を、「1棟(建物)・20階(階層)・X1Y2(平面座標)」というように、感知器の設置座標情報として記憶部12に記憶する。また、例えば、
図6における感知器「AL2」の設置場所を「1棟(建物)・20階(階層)・第1区画(区画)」というように、感知器の設置区画情報として記憶部12に記憶する。設置場所として記憶するデータは上記に限るものではなく、異状位置情報と関連付けて記憶され、後述する複数の端末位置情報と比較し、互いの位置関係を把握できるようなデータであれば良い。例えば、異状を感知した感知手段(例えば、火災感知器5)に最も近い端末2を、あるいは、異状を感知した感知手段から所定の範囲内に位置する1以上の端末2を、特定できるようなデータである。
【0038】
1−4.端末の構成
次に、支援システム100を構成する端末2の構成について、
図4、5に基づいて構成を説明する。
図4は端末2の構成を示すブロック図、
図5は端末2の外観の一例を示す図である。
【0039】
端末2は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、操作部24と、表示部25と、測位部26とを有する。端末2は、防火対象物である建築物の各所で任命された防災関係者が所持する携帯型の端末装置であり、
図5に示すように、端末2は、例えばスマートフォンやタブレット端末等である。端末2には、後述する画面251に重ねて操作者の指等が触れたことを検出するタッチパネル241が設けられる。
【0040】
制御部21は、CPU、ROM、RAMなどを有し、CPUがROMや記憶部22に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより端末2の各部を制御する。
【0041】
表示部25は、液晶などを利用した画面251を備え、制御部21からの指示に応じてこの画面251に画像を表示させる。特に表示部25は、支援装置1からの要請に基づいた制御部21からの指示に応じて画面251に後述する確認画面を表示する。例えば、確認画面には、火災確認ボタン2511、非火災確認ボタン2512、確認不可ボタン2513、メッセージ表示2514、地図表示2515、残り時間表示2516が表示される。メッセージ表示2514には、支援装置1からの要請の内容として、異状位置の異状を確認するよう要請する旨のメッセージが表示される。メッセージ表示2514の表示内容は、例えば、「△△階廊下の火災感知器が作動しました。地図を参照して残り時間までに現場を確認してください。」といったメッセージである。そして、このメッセージに対応して、地図表示2515には異状位置付近の平面地図が、残り時間表示2516には残り時間が表示される。残り時間表示2516は、表示される残り時間がカウントダウンされるように表示すると、異状確認を要請された防災要員が残り時間をリアルタイムで確認できるようになる点で望ましい。火災確認ボタン2511は異状位置に異状があることを確認した場合に、非火災確認ボタン2512は異状位置に異状が無いことを確認した場合に、確認不可ボタン2513は要請された残り時間までに異状位置の異状を確認できない場合に、それぞれ操作されるべき位置を操作ボタンの形状で映出する。
【0042】
操作部24は、タッチパネル241を有する。タッチパネル241は、例えば操作者の指などの指示体によって操作され、表示部25の画面251に重なる領域における位置を指示する操作者の操作を検出する。タッチパネル241は例えば、画面251に重ねられた透明な静電容量方式のタッチパネルである。そして、確認画面が表示されている状態では、画面251に表示された、火災確認ボタン2511、非火災確認ボタン2512、確認不可ボタン2513のいずれかが操作され、タッチパネル241は該当する位置の操作を検出する。これによって、異状が確認されたこと、異状の無いことが確認されたこと、残り時間までに異状の確認ができないこと、のいずれであるかを制御部21が認識する。
【0043】
記憶部22は、フラッシュメモリやSSD(ソリッドステートドライブ)などの不揮発性の記憶手段であり、制御部21のCPUに読み込まれるプログラムを記憶する。
【0044】
通信部23は、支援装置1と通信するために、無線によって通信回線3と接続するインターフェースである。
【0045】
測位部26は、例えば衛星による測位システムGPS(GlobalPositioningSystem)を用いることができる。測位部26はGPSを用いて、端末2が自己の位置を示す情報である端末位置情報を周期的に取得し、これを制御部21が通信部23を介して支援装置1へ送信する。
【0046】
1−5.支援システムの動作
次に、支援システム100の動作について、
図1、3〜5を参照し、
図2、7〜8の動作フロー図に基づいて説明する。
【0047】
自火報設備200において、感知手段である火災感知器5やガス漏れ検知器6が異状を感知し、これを受信した受信機4の異状判断手段が異状であると判断すると(S004のYes)、音声警報装置7より第1段階の警報として「火災感知放送」を行うと共に、異状信号を送出する(S005)。この異状信号は、信号線C1を介して、支援装置1の第1通信部14で受信する(
図1、3参照)。制御部11の特定部111は、受信した異状信号に含まれる感知器固有の識別子(又は区画番号)で与えられる異状位置情報に基づいて、記憶部12が有する設置場所データベース121を参照して、該当する感知手段の設置場所(又は異状区画)である異状位置を特定する。
【0048】
一方、支援装置1は、通信回線3を介して第2通信部13で各端末2の位置情報を周期的に受信している(
図3、
図7のS101、
図8のS201)。端末2は、支援装置1からの要請がなく(S202のNo)、測位周期に達する毎に(S203のYes)、上記測位システムに基づいて端末位置情報を取得し、これを送信する(S201)。そして、支援装置1は、各端末2の位置情報を受信すると(S101のYes)、記憶部12に記憶して、これを常に最新の位置情報に更新し、各端末2の位置を把握している(S102)。そして、異状信号を受信すると(S103のYes)、端末2に表示させる残り時間である所定時間を計時開始する(S104)。同時に、制御部11の選択部112は、記憶部12に記憶した最新の端末2の位置情報と、特定部111によって特定された異状位置とに基づいて、当該感知手段の設置場所(又は異状区画)の近くに位置する端末2を、当該異状位置に対応付けられた端末として選択する(S104)。例えば、
図6において、感知手段AL2に最も近い端末2は半径R1以内のP4位置の端末2であり、選択部112はこれを選択する。
【0049】
次に、制御部11の要請部113は、選択部112によって選択された端末2に向けて、確認画面を表示するように要請する(S105)。確認画面とは、第1段階の警報の後、所定時間が経過して第2段階の警報としての「火災放送」が行われるまでに、異状感知信号を送出した感知手段の設置場所(又は異状区画)である異状位置へ向かい、異状の有無を確認するよう当該端末2の所持者に促す画面である。端末2は、支援装置1からの上記要請を受信すると(S202のYes)、確認画面を表示する(S204)。
【0050】
このときの当該端末2の確認画面の一例を
図5に示す。画面251には、火災確認ボタン2511と、非火災確認ボタン2512と、確認不可ボタン2513とが表示される。これらのボタンは、表示された座標に対応する位置に指示体が触れたときに、操作者に操作されたことがタッチパネル241によって検出される。また画面251には、メッセージ表示2514と、地図表示2515と、残り時間表示2516とが表示される。残り時間表示2516は、要請部113が当該端末2に要請した時点で、所定時間が経過するまでの残り時間を表示する。
【0051】
地図表示2515には、防火対象物である建築物の異状位置付近の平面地図が表示され、この地図上に「○」で異状感知信号を送出した感知手段の設置場所が、「×」で当該端末2の位置が、それぞれ表示される。そして、メッセージ表示2514には、例えば「△△階廊下東の火災感知器が作動しました。地図を参照して残り時間までに現場を確認してください。」といったメッセージが表示される。異状位置が異状区画で与えられる場合は、地図表示2515上の「○」に代えて、当該異状区画に相当する範囲の色を変えるなどして表示し、そして、メッセージ表示2514には、例えば「△△階廊下で火災感知器が作動しました。地図を参照して残り時間までに現場を確認してください。」といったメッセージを表示すればよい。当該端末2の所持者は、メッセージ表示2514を読み、地図表示2515を参照して、上述したいずれかのボタンを操作する。そして、端末2は、操作された各ボタンに割り当てられた内容の応答信号を、通信部23を介して支援装置1に向けて送出する。
【0052】
例えば、操作者が残り時間の間に、異状位置の異状を確認できないと判断した場合(S205のNo)、「間に合いません」と表示された確認不可ボタン2513を操作し(S212)、端末2は、支援装置1に異状確認不可である旨の応答信号を送出する(S213)。また、操作者が残り時間の間に、異状位置の異状を確認できると判断した場合(S205のYes)、異状位置へ急行し、異状の有無を確認する(S206)。
【0053】
そして、異状を確認した場合は(S207の[異状を確認])、この実施形態においてはステップS208、S209を実行しないで、「火災確認」と表示された火災確認ボタン2511を操作し(S210)、端末2は、支援装置1に異状を確認した旨の応答信号を送出する(S213)。また、例えば、操作者が異状でないことを確認した場合は(S207の[異状のないことを確認])、「違いました」と表示された非火災確認ボタン2512を操作し(S211)、端末2は、支援装置1に異状でないことを確認した旨の応答信号を送出する(S213)。
【0054】
支援装置1の決定部114は、所定時間が経過する前であれば(S106のNo)、確認画面に対する端末2からの応答信号を受信したか否かを確認し(S107)、応答信号が火災確認ボタン2511又は非火災確認ボタン2512に基づく応答信号であった場合は、第2段階の警報としての「火災放送」を行うか、それとも「火災放送」への移行を停止するかを決定し(S108)、指示部115は、その決定に応じて第1通信部14を介して受信機4へ指示する。すなわち、火災確認ボタン2511に基づく応答信号であった場合は「火災放送」を行い(S110)、非火災確認ボタン2512に基づく応答信号であった場合は「火災放送」への移行を停止する(S111)。なお、非火災確認ボタン2512に基づく応答信号であった場合は、更に「非火災放送」を行うようにしてもよい。
【0055】
なお、確認画面に対する端末2からの応答信号が確認不可ボタン2513に基づく応答信号であった場合(S108の[確認不可])、制御部11は、再び選択部112で当該感知手段の設置場所(又は異状区画)の近くに位置する他の端末2を再選択する(S109)。そして、再選択されて当該異状位置に対応付けられた端末2に向けて、要請部113より確認画面を表示するように要請する(S105)。
【0056】
例えば、選択された端末2を所持する防災関係者が所定時間までに異状の確認をできないと判断し、確認不可ボタン2513を操作した場合、例えば
図6において異状を感知した感知手段AL2に最も近いP4位置の端末2が選択され、これが確認不可であった場合、探索半径を更に拡げ、例えば半径R2以内に探し出したP3位置の端末2を再選択する。
【0057】
また、感知手段AL2が位置する階に端末2がみつからない場合は、別の階から最も近い端末2(例えば、直上階又は直下階の端末2)を再選択する。そして、第2段階の警報として火災放送を開始するまでの所定時間が経過するまで、要請した当該端末2から火災確認又は非火災確認の応答信号を受け取るまで同様の動作を繰り返す。
【0058】
このようにすることにより、最初に選択した端末2が異状の確認をできない場合でも、現場に急行して異状の確認をできる端末2が存在する場合は、それを選択して異状の確認を要請することができる。
【0059】
以上、説明した通り、支援装置1は、火災感知器5やガス漏れ検知器6といった感知手段が異状を感知した場合に、その近くに位置する端末2に異状の確認を受け付ける残り時間を表示させるので、その端末2を所持する防災関係者は、その時間が経過するまでに現場に向かい、異状の確認をするように試みることができる。
【0060】
また、端末2を所持する防災関係者が、表示された残り時間が経過するまでに異状の確認をできないと判断した場合、支援装置1は、他の端末2を所持する防災関係者に異状の確認を促すことができる。
【0061】
2.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
【0062】
2−1.変形例1
上述した実施形態において、感知手段自体が固有の識別子を有し、異状を感知した感知手段を特定できるような多重伝送を行うR型システムを例として説明しているが、本発明に係る支援システム100が対象とする自火報設備200はこれに限るものではない。
【0063】
例えば、P型システムであっても、感知手段自体が固有の識別子を有し、スイッチング式の異状感知信号を送出する際に固有の識別子のデータを重畳させて伝送し、異状を感知した感知手段を特定できるような公知のシステムであればよい(例えば、特許第4058100号を参照)。このように、自火報設備200は、迅速な確認を期待できる点で、異状位置情報は、上記のように異状を感知した感知手段を特定でき、異状を確認すべき範囲が限定されるようなシステムであることが望ましい。
【0064】
なお、本発明に係る支援システム100が対象とする自火報設備200は、異状を感知した感知手段自体を特定できなくても、異状が感知された区画(以下、異状区画と称する)を特定できるようなシステムを排除するものではない。この場合、支援システム100が防災要員の所持する端末2に対して異状の確認を要請する場所は、異状区画となる。
【0065】
2−2.変形例2
上述した実施形態において、支援装置1は受信機4からの異状信号を受信することによって、所定時間の計時を開始すると共に、異状位置情報と端末位置情報とに基づいて異状の確認を要請する端末2を選択していたが、異状信号に代えて異状発報信号を利用することができる。
【0066】
すなわち、受信機4が感知手段からの異状感知信号を受信し(S001のYes)、それが発信機、非常電話による人為的な操作に基づくものか否かを異状確認手段が確認する(S002)。次に、異状確認手段が、異状感知信号が上記人為的な操作に基づかないと判断したとき(S002のYes)、送出される異状発報信号(S003)を支援装置1の第1通信部14が受信するようにする。そして、異状信号を受信したか否かを判断する支援装置1の判断ステップ(S103)の前に、異状発報信号を受信したか否かを判断するステップを新たに設けるようにする。なお、異状信号と同様に、異状感知位置情報を含まれるようにしておく。
【0067】
一般に、受信機4の異状判断手段が異状発報信号を受信して、異状を感知したと判断するまでに所定の判断時間を要する。例えば、受信機4が公知の蓄積機能を有するような場合、煙感知器からの異状感知信号を異状判断するには40〜50秒程度の判断時間が設けられている。そして、感知手段の種別を特定することができ(例えば、異状感知信号を送出したものが煙感知器であることを識別できる場合)、その煙感知器が受信機から蓄積復旧された後に再発報するまでに要する最小の時間(例えば10秒)が定まると、これを所定の判断時間と定義し、異状位置を確認する際に要請する残り時間である「所定時間」に所定の判断時間を加算して「所定時間」と成し、選択した端末2に異状位置の確認を要請することができる。すなわち、判断時間の分だけ、異状位置を確認する為の残り時間を稼ぐことができる。
【0068】
なお、受信機4の異状判断手段が異状と判断した場合(S004のYes)、第1の警報である火災感知放送が行われると共に異状信号が送出される(S005)。そして、これを受信した支援装置1は、所定時間を元の値に戻し、再び端末2を選択して(S104)、選択された端末2に異状の確認を要請する(S105)。このようにすることにより、端末2の確認画面に表示される残り時間は、第2の警報へ移行するまでの所定時間に更新され、残り時間を正確に把握することができるようになる。
【0069】
2−3.変形例3
上述した実施形態において、支援装置1は、所定時間が経過するまでに端末2から異状確認不可の応答を受け取った場合に、その端末2以外の新たな端末2を選択していたが、この場合の処理はこれに限らない。支援装置1は、例えば、所定時間が経過するまでに端末2から異状確認不可の応答を受け取った場合に、受信機4に対して第2段階の警報への移行を指示するようにしてもよい。
【0070】
2−4.変形例4
上述した実施形態において、支援装置1は、所定時間が経過するまでに端末2から異状を確認した旨の応答を受け取った場合に、受信機4に向けて第2段階の警報を報知するよう指示していたが、この指示に加えて、この端末2と双方向に情報を遣り取りする通信回線を確立してもよい。例えば、支援装置1および端末2は、マイクロフォン、スピーカ、アンプなどを有しており、支援装置1は、上述した異状を確認した旨の応答を受け取った場合に、端末2との間で通話をするための通信回線を確立する。これにより、支援装置1のオペレータは、確認された異状の詳細を現場にいる端末2を所持する防災関係者から直接聞き取ることができる。
【0071】
2−5.変形例5
上述した実施形態において、支援装置1は、受信機4からの異状信号を受信したとき(S103のYes)、又は異状発報信号を受信したとき、所定時間の計時を開始すると共に、異状位置情報と端末位置情報とに基づいて異状位置に最も近い端末2を選択して要請していたが、これを異状位置から所定範囲内に位置する複数の端末2を選択するようにしてもよい。
【0072】
例えば、
図6に示す範囲R2には、3つの端末2がそれぞれ位置するP3、P4、P5が含まれている。支援装置1は、この予め決められた範囲R2に含まれる範囲に位置する全ての端末2を選択してもよい。そして、支援装置1は、選択した全ての端末2に向けて、上述した確認画面を表示するように要請してもよい。
【0073】
また、支援装置1の決定部114は、所定時間が経過するまでに複数の端末2から複数の応答を受け取った場合、応答の内容と数とに基づいて異状の有無を決定するようにしてもよい。
【0074】
例えば、複数の端末2に対して要請をした場合、支援装置1は、これらの端末2から火災を確認した旨の応答を受け取った回数を数え、その回数が決められた数以上になった場合に、受信機4に対して直ちに第2段階の警報を報知するように指示してもよい。また、支援装置1は、これらの端末2から火災の無いことを確認した旨の応答を受け取った回数を数え、その回数が決められた数以上になった場合に、受信機4に対して第2段階の警報へ移行することを停止するように指示してもよい。例えば、支援装置1は、3人以上の防災関係者の各端末2から、異状を確認した旨の応答を受け取った場合に、異状が発生していると見なして受信機4に第2段階の警報として火災放送を報知させてもよい。また、例えば、支援装置1は、3人以上の防災関係者の各端末2から、異状の無いことを確認した旨の応答を受け取った場合に、異状が発生していないと見なして第2段階の警報としての火災放送の報知を停止させてもよい。また、同時に非火災放送を出力させるようにしてもよい。このように複数の防災要員による確認を反映するように異状の有無を決定することによって、一部の防災要員による勘違いや操作ミスによる誤った応答を排除し、異状有無の決定の信頼性を向上させることができる。
【0075】
また、複数の端末2に対して要請をした場合、支援装置1は、これらの端末2から火災を確認した旨の応答または火災の無いことを確認した旨の応答を受け取って、それらの応答にそれぞれ割り当てられた点数の合計を算出してもよい。この場合、支援装置1において点数の合計を算出する制御部11は、所定時間が経過するまでに端末から火災を確認した旨の複数の応答を受け取って、その各応答にそれぞれ割り当てられた点数の合計を算出する算出部として機能する。そして、支援装置1は、算出された合計が閾値を超えた場合に、受信機4に対して直ちに第2段階の警報への移行を指示する、あるいは、第2段階の警報への移行を停止するように指示してもよい。例えば、支援装置1は、異状を感知した感知手段の位置である異状位置と端末2との距離が近いほど、異状を確認した旨の応答に割り当てる点数を高くするように設定しておき、応答を受け取るたびに、その応答をした端末2の端末位置情報と異状位置との距離を参照して、その距離に応じた点数をその応答に割り当てる。そして、支援装置1は、各応答に割り当てた点数の合計を算出してもよい。これにより、支援装置1は、信頼性の高い端末2と信頼性の低い端末2の応答を区別することができる。
【0076】
なお、距離を参照するタイミングは、端末2に確認画面を表示させたときであってもよいし、その端末2から応答を受け取ったときであってもよい。また、端末2に確認画面を表示させたときの位置と、その端末2から応答を受け取ったときの位置との距離に応じて、点数に重み付けをしてもよい。これにより、例えば、確認画面を表示してから応答するまでに端末2が全く動いていない場合、端末2の利用者が確認のために移動することを怠ったと推測して、点数を下げるといった調整をすることができる。
【0077】
また、端末2は、応答時に通信部23を介して画像を送出する図示しない撮像手段を有するようにし、火災確認ボタン2511または非火災確認ボタン2512を操作する前に、異状の有無を確認できる画像を添付して応答するように、現場を撮影するようにしてもよい(S208、S209)。そして、端末2からの応答に現場を撮影した画像が添付されている場合は、画像が添付されていない応答よりも高い点数を割り当てればよい。すなわち、画像が添付されている応答は、画像が添付されていない応答よりも重みを有する情報として異状か否かの決定を行う。
【0078】
2−6.変形例6
上述した実施形態において、端末2と異状を感知した感知手段との近さは、直線距離によって決められていたが、これ以外によってこの近さが決められてもよい。例えば、
図6に示すように、異状を感知した感知手段と端末2との間に壁などの障害物がある場合に、その障害物を回避した距離によって、端末2と感知手段との近さが決められてもよい。また、支援装置1は、障害物によって視認できない位置にある端末2を選択しなくてもよく、
図6に示す例では、感知手段AL2との間に壁がないP5位置の端末2を選択してもよい。また、支援装置1は、各端末2を所持する防災関係者の運動能力を記憶部12に記憶し、その運動能力に応じて各端末2の利用者が異状を感知した感知手段の設置場所やそれを視認できる位置にまで移動する時間を算出し、その時間に応じて、端末2と異状位置との近さを決めてもよい。
【0079】
2−7.変形例7
上述した実施形態において、受信機4からの信号に基づいて音声警報装置7から音声メッセージを出力して報知していたが、受信機4からの異状信号又は異状発報信号に基づいて音声メッセージを出力して報知する非常放送設備を設けるようにしても良い。
【0080】
例えば
図9に示すように、自火報設備200と連動して動作する非常放送設備300を設け、受信機4からの異状信号又は異状発報信号を受信した非常放送制御盤15が、音声警報装置7に代えて防火対象物である建築物に配設されたスピーカ16より音声メッセージを出力して報知するようにしてもよい。このとき、第1段階の警報としての感知器発報放送、所定時間経過した後の第2段階の警報としての火災放送への移行、異状がなかったことを確認した場合の非火災放送は、非常放送制御盤15が制御し、支援装置1は非常放送制御盤15と接続され、異状の確認又は異状でなかったことの確認の信号を出力し、第2段階の警報への移行又は第2段階の警報への移行の停止を指示するようにする。
【0081】
2−8.変形例8
上述した実施形態において、第1段階の警報、及び第2段階の警報は、音声警報装置7より音声メッセージを出力して報知するようにしていたが、ベルを用いた警報装置7としてもよい。
【0082】
例えば、
図1に示した警報装置7をベルとし、第1段階の警報を出火階及び直上階の警報装置7の鳴動、第2段階の警報を警報装置7の全館鳴動とする。そして火災Fが2階で発生した場合、第1段階の警報として2階及び3階のベルが鳴動し、所定時間が経過した後に第2段階の警報として全館の警報装置7が鳴動するようにする。
【0083】
このようにすることにより、従来からのベルによる警報であっても、異状発生時は局所的に警報し、異状が確認されることによって全館に警報して避難を促すことができる。
【0084】
2−9.変形例9
上述した実施形態において、端末2は、支援装置1からの要請に応じて画面251に残り時間表示2516を表示させるようにしたが、この残り時間表示2516を時間経過に合わせて変化させてもよい。すなわち、残り時間をカウントダウン表示してもよい。このようにすることにより、端末2を所持する防災要員は、常に残り時間を把握することができ、異状位置に向かう途中であっても残り時間までに異状の確認が出来ないと判断したときは、確認不可ボタン2513を操作して支援装置1へ状況を伝えることができる。
【0085】
2−10.変形例10
上述した実施形態において、測位部26は、衛星による測位システムGPS(GlobalPositioningSystem)を用いるものとして説明したが、これに限るものではない。
【0086】
例えば、屋外又は衛星通信条件が良い屋内においては、衛星による測位システムとしてGLONASS(GLObal’nayaNAvigatsuionnayaSputnikovayaSistema)も用いることができる。また、例えば、衛星通信条件が悪い屋内においては、GPSを補完するIMES(IndoorMEssagingSystem)を用いることができる。また、例えば、モバイル通信網の無線基地局や無線LANのアクセスポイント等に基づく測位システムによって、自己の位置情報である端末位置情報を取得する(測位する)ことができる。
【0087】
これらの測位システムにより、測位部26は端末位置情報を周期的に取得し、これを制御部21が通信部23を介して支援装置1へ送信する。なお、端末位置情報の取得は、支援装置1からの要請に応じて行うようにしてもよい。
【0088】
2−11.変形例11
上述した実施形態において、感知手段が感知する異状とは火災やガス漏れであったが、他の異状を感知するようにしてもよい。例えば、漏電や水漏れなどを感知する感知手段であってもよい。要するに、感知手段は、それが作動した場合に人が現場で状況を確認する意味がある種類の異状を感知するものであればよい。