特許第6227061号(P6227061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6227061
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20171030BHJP
   B60K 37/00 20060101ALI20171030BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   B60K35/00 A
   B60K37/00 J
   G02B27/01
【請求項の数】9
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-123753(P2016-123753)
(22)【出願日】2016年6月22日
【審査請求日】2016年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】蓬田 康和
【審査官】 中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−006832(JP,A)
【文献】 特開2003−034164(JP,A)
【文献】 特開2007−182132(JP,A)
【文献】 特開2012−061987(JP,A)
【文献】 特開2012−145902(JP,A)
【文献】 特開2013−154816(JP,A)
【文献】 特開2015−121632(JP,A)
【文献】 特開2015−219356(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/051507(WO,A1)
【文献】 特開2016−078732(JP,A)
【文献】 特開2016−099461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00−37/06
G02B 27/00−27/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に取り付けられる表示装置であって、
駆動力を生じる駆動部と、
前記対象物の開口を開閉する蓋部と、
前記駆動部の駆動力により前記蓋部を移動させる蓋駆動部材と、
所定の情報を表示する表示面を有する表示部と、
前記駆動部の駆動力により、前記開口に対する前記表示面の向きを維持した状態で前記表示部を上下移動させ、前記開口の上方において前記表示部を傾動させる表示駆動部材と、
前記駆動部の駆動力によって回転する回転体と、
を備え
前記回転体は、板状を成し、かつ、互いに対向する第1面及び第2面を有し、
前記蓋駆動部材は、前記第1面に係合されており、
前記表示駆動部材は、前記第2面に係合されている、
表示装置。
【請求項2】
方向への前記回転体の回転によって、前記蓋駆動部材が前記蓋部に前記開口を開放させ、前記表示駆動部材が前記表示部の上方への移動及び前記表示部の傾動を行い、
他方向への前記回転体の回転によって、前記表示駆動部材が前記表示部の傾動及び前記表示部の下方への移動を行い、前記蓋駆動部材が前記蓋部に前記開口を閉塞させる、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記一方向に前記回転体が一回転する間に、前記蓋駆動部材が前記蓋部に前記開口を開放させ、前記表示駆動部材が前記表示部の上方への移動及び前記表示部の傾動を行い、
前記他方向に前記回転体が一回転する間に、前記表示駆動部材が前記表示部の傾動及び前記表示部の下方への移動を行い、前記蓋駆動部材が前記蓋部に前記開口を閉塞させる、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記回転体は、前記第1面に設けられた第1溝と、前記第2面に設けられた第2溝と、を有し、
前記蓋駆動部材は、前記第1溝に係合する第1ボスを有し、
前記表示駆動部材は、前記第2溝に係合する第2ボスを有し、
前記回転体の回転によって前記第1ボスが前記第1溝に沿って移動することにより前記蓋駆動部材に前記蓋部を移動させ、前記回転体の回転によって前記第2ボスが前記第2溝に沿って移動することにより前記表示駆動部材に前記表示部を移動させる、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記蓋駆動部材は、前記第1ボスを有するシャッターレバーと、前記シャッターレバーに連結されたシャッターリンクと、第3ボスを有すると共に前記蓋部に連結されたシャッターラックと、前記第3ボスが係合する第3溝を有するカバーと、を含んでおり、
前記回転体の回転によって前記第3ボスが前記第3溝に沿って移動することにより、前記蓋部が前記開口を開閉する、
請求項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示駆動部材は、前記第2ボスを有する表示駆動レバーと、前記表示駆動レバーに連結された表示駆動リンクと、第4ボスを有すると共に前記表示駆動リンクに連結されたチルトリンクと、前記第4ボスが係合する第4溝を有する固定部材と、を含んでおり、
前記回転体の回転によって前記第4ボスが前記第4溝に沿って移動することにより、前記表示部が昇降する、
請求項又はに記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示部を支持すると共に前記チルトリンクに揺動自在に連結されたキャリッジと、前記固定部材に揺動自在に連結されたチルトレバーとを備え、
前記表示部が前記開口の上方に到達した状態で前記キャリッジが前記チルトレバーに当接して前記チルトレバーに押圧されることにより、前記キャリッジと共に前記表示部が傾動する、
請求項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記キャリッジは第5ボスを有し、前記チルトレバーは第5溝を有しており、
前記キャリッジは、前記第5ボスが前記第5溝に係合した状態で前記チルトレバーに押圧される、
請求項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記キャリッジと前記チルトリンクとの間に位置しており、前記キャリッジ及び前記表示部の傾動を戻す方向に前記キャリッジを付勢する付勢部材を備える、
請求項又はに記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転者等に情報を表示する表示装置としては、従来から種々のものが知られている。特許文献1には、車両のダッシュボードに設置されて運転に必要な情報等を表示するコンバイナを備えた表示装置が記載されている。この表示装置は、長方形状の開口が形成された直方体状の上ケースと、上ケースの当該開口との反対側において上ケースに接合された直方体状の下ケースと、当該開口の一方側を覆う第1の蓋部材と、当該開口の他方側を覆う第2の蓋部材とを備えている。
【0003】
コンバイナの未使用時には、第1の蓋部材及び第2の蓋部材が上記の開口を閉塞し、この状態において、コンバイナは、その表示面が上向きとされて上ケースの内部に格納されている。一方、コンバイナの使用時には、第1の蓋部材及び第2の蓋部材が上記開口を開放し、コンバイナは、表示面が上向きから横向きとなるように回動する。このように、コンバイナは、表示面が上向きから横向きとなるように回動すると共に開口から突出して立ち上がり、立ち上がった状態で所定の情報を表示面に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−000710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の表示装置では、コンバイナは、その表示面が上向きから横向きとなるように回動して立ち上がるので、ダッシュボード等の設置対象物に、コンバイナを回動させるためのスペースを確保する必要がある。しかしながら、ダッシュボード等の設置対象物では、より限られたスペースに表示装置を配置することが求められている。従って、コンバイナが回動して立ち上がる表示装置は、設置対象物への配置の自由度が制限されることが懸念される。
【0006】
本発明の一形態は、配置の自由度を高めることができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る表示装置は、対象物に取り付けられる表示装置であって、駆動力を生じる駆動部と、対象物の開口を開閉する蓋部と、駆動部の駆動力により蓋部を移動させる蓋駆動部材と、所定の情報を表示する表示面を有する表示部と、駆動部の駆動力により、開口に対する表示面の向きを維持した状態で表示部を上下移動させ、開口の上方において表示部を傾動させる表示駆動部材と、駆動部の駆動力によって回転する回転体と、を備え、回転体は、板状を成し、かつ、互いに対向する第1面及び第2面を有し、蓋駆動部材は、第1面に係合されており、表示駆動部材は、第2面に係合されている
【0008】
別の形態に係る表示装置において、一方向への回転体の回転によって、蓋駆動部材が蓋部に開口を開放させ、表示駆動部材が表示部の上方への移動及び表示部の傾動を行い、他方向への回転体の回転によって、表示駆動部材が表示部の傾動及び表示部の下方への移動を行い、蓋駆動部材が蓋部に開口を閉塞させてもよい。
【0009】
別の形態に係る表示装置において、一方向に回転体が一回転する間に、蓋駆動部材が蓋部に開口を開放させ、表示駆動部材が表示部の上方への移動及び表示部の傾動を行い、他方向に回転体が一回転する間に、表示駆動部材が表示部の傾動及び表示部の下方への移動を行い、蓋駆動部材が蓋部に開口を閉塞させてもよい。
【0011】
別の形態に係る表示装置において、回転体は、第1面に設けられた第1溝と、第2面に設けられた第2溝と、を有し、蓋駆動部材は、第1溝に係合する第1ボスを有し、表示駆動部材は、第2溝に係合する第2ボスを有し、回転体の回転によって第1ボスが第1溝に沿って移動することにより蓋駆動部材に蓋部を移動させ、回転体の回転によって第2ボスが第2溝に沿って移動することにより表示駆動部材に表示部を移動させてもよい。
【0012】
別の形態に係る表示装置において、蓋駆動部材は、第1ボスを有するシャッターレバーと、シャッターレバーに連結されたシャッターリンクと、第3ボスを有すると共に蓋部に連結されたシャッターラックと、第3ボスが係合する第3溝を有するカバーと、を含んでおり、回転体の回転によって第3ボスが第3溝に沿って移動することにより、蓋部が開口を開閉してもよい。
【0013】
別の形態に係る表示装置において、表示駆動部材は、第2ボスを有する表示駆動レバーと、表示駆動レバーに連結された表示駆動リンクと、第4ボスを有すると共に表示駆動リンクに連結されたチルトリンクと、第4ボスが係合する第4溝を有する固定部材と、を含んでおり、回転体の回転によって第4ボスが第4溝に沿って移動することにより、表示部が昇降してもよい。
【0014】
別の形態に係る表示装置において、表示部を支持すると共にチルトリンクに揺動自在に連結されたキャリッジと、固定部材に揺動自在に連結されたチルトレバーとを備え、表示部が開口の上方に到達した状態でキャリッジがチルトレバーに当接してチルトレバーに押圧されることにより、キャリッジと共に表示部が傾動してもよい。
【0015】
別の形態に係る表示装置において、キャリッジは第5ボスを有し、チルトレバーは第5溝を有しており、キャリッジは、第5ボスが第5溝に係合した状態でチルトレバーに押圧されてもよい。
【0016】
別の形態に係る表示装置において、キャリッジとチルトリンクとの間に位置しており、キャリッジ及び表示部の傾動を戻す方向にキャリッジを付勢する付勢部材を備えてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一形態によれば、配置の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1実施形態に係る表示装置を示す斜視図である。
図2図2は、蓋駆動部材を示す側面図である。
図3図3は、蓋駆動部材を示す斜視図である。
図4図4は、メインギヤの第1面を示す斜視図である。
図5図5は、カバーを示す側面図である。
図6図6は、表示駆動部材を示す斜視図である。
図7図7は、表示駆動部材を図6とは別の方向から見た斜視図である。
図8図8は、メインギヤの第2面を示す斜視図である。
図9図9は、表示駆動リンクを示す斜視図である。
図10図10は、内カバーを示す斜視図である。
図11図11は、蓋部が開口を閉塞した状態を示す図である。
図12図12は、蓋部が開口を開放している状態を示す図である。
図13図13は、蓋部が開口を開放した状態を示す図である。
図14図14は、コンバイナが上昇を開始する状態を示す図である。
図15図15は、コンバイナが上昇している状態を示す図である。
図16図16は、コンバイナが上昇している状態を示す図である。
図17図17は、コンバイナの上昇が完了した状態を示す図である。
図18図18は、コンバイナが傾動している状態を示す図である。
図19図19は、第2実施形態に係る表示装置の蓋駆動部材を示す図である。
図20図20は、第2実施形態の蓋部及び外カバーを示す図である。
図21図21は、蓋部が開口を開放したときの各部品の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して実施形態に係る表示装置について説明する。なお、図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る表示装置1について説明する。図1及び図2に示されるように、表示装置1は、例えば車両のダッシュボードD(対象物)に取り付けられるヘッドアップディスプレイである。ダッシュボードDは、例えば上に凸となるように緩やかに湾曲した形状を呈する。以下の説明では、図2の紙面の上下方向を単に上下方向、図2の左方向を前方向、図2の右方向を後方向、図2の紙面に直交する方向を左右方向として説明する。但し、これらの方向は、説明の便宜のためのものであって、配置の方向等を限定するものではない。
【0021】
ダッシュボードDは、所定の高さから斜め下方に曲面状に延びている。ダッシュボードDには、表示装置1を露出させる開口D1が形成されている。表示装置1は、この開口D1の下部に搭載されている。表示装置1は、開口D1を下から開閉する蓋部2と、車両の運転者等に情報を表示する表示面3aを有するコンバイナ3(表示部)と、外カバー4(カバー)と、内カバー5(固定部材)とを備えている。図2は外カバー4を省略した表示装置1の側面図を示している。
【0022】
蓋部2は、ダッシュボードDの表側に露出する表面2aを有しており、この表面2aは僅かに上に凸とされた曲面状を呈する。また、蓋部2が開口D1を閉じた状態において、蓋部2の表面2aは、ダッシュボードDの表面と同一平面上に設けられる。すなわち、蓋部2は、開口D1を閉じた状態において、ダッシュボードDの表面から突出しない。
【0023】
また、開口D1を開放すると共に、蓋部2は、開口D1に対して下方に移動し、その後、前方かつ斜め下方に移動する。蓋部2は、コンバイナ3を使用していないとき(コンバイナ3の表示面3aに情報を表示しないとき)に、開口D1を閉塞する。これにより、コンバイナ3の不使用時において、ダッシュボードD内部への異物の進入が防止される。
【0024】
蓋部2の左右方向の端部2cは、下方に折り曲げられた折り曲げ部2dを有し、この折り曲げ部2dは、外カバー4と内カバー5の間に上から入り込んでいる。折り曲げ部2dには、蓋部2の前端の下側から外側(図1における左側)に突出するボス2eと、蓋部2の後端の下側から外側に突出するボス2fとが設けられている。
【0025】
コンバイナ3は、蓋部2が開口D1を閉じた状態において、蓋部2の下方に配置されている。コンバイナ3は、平板状とされており、後方かつ斜め下方に向けられた表示面3aを有する。コンバイナ3の表示面3aには、例えば表示装置1の内部に配置された光学系が形成した像が表示される。コンバイナ3は、開口D1が開放されているときに、表示面3aの延在方向に対して略平行に移動する。コンバイナ3は、コンバイナ3の下部が開口D1の上方に到達しているときに前後方向に傾動する。
【0026】
図1図3に示されるように、外カバー4は、略平板状を呈する。外カバー4は、表示装置1の表面を構成する外側面4aと、外側面4aの反対側を向く内側面4bとを有する。外カバー4の上側の端面は、前側に向かうに従って斜め下方に湾曲して延びている。また、内カバー5は、略平板状を呈する。内カバー5は、外カバー4側(外側)を向く外側面5aと、外側面5aの反対側(内側)を向く内側面5b(図10参照)とを有する。内カバー5は、例えば外カバー4と略同一の形状を成しているが、外カバー4とは異なる形状であってもよい。外カバー4及び内カバー5は、蓋部2及びコンバイナ3を左右方向から保護している。
【0027】
更に、表示装置1は、蓋部2及びコンバイナ3を移動させるための駆動力を発生する駆動部10と、駆動部10からの駆動力を伝達するギヤ部20と、ギヤ部20から駆動力を受けて蓋部2を移動させる蓋駆動部材40と、ギヤ部20から駆動力を受けてコンバイナ3を移動させる表示駆動部材60(図6参照)とを備えている。
【0028】
外カバー4、内カバー5、ギヤ部20、蓋駆動部材40及び表示駆動部材60は、蓋部2及びコンバイナ3を挟むように左右一対に設けられている。左右一対に設けられた2つの外カバー4、内カバー5、ギヤ部20、蓋駆動部材40及び表示駆動部材60は、互いに同一の形状を有し、互いに対称に配置されている。従って、図示の簡略化のため、各図では片側の外カバー4、内カバー5、ギヤ部20、蓋駆動部材40及び表示駆動部材60のみを図示している。また、説明の簡略化のため、外カバー4、内カバー5、ギヤ部20、蓋駆動部材40及び表示駆動部材60については、片側のものについてのみ説明する。
【0029】
駆動部10は、例えば、蓋部2の下方であって、かつ左右に並ぶ2枚の内カバー5の間に設けられている。駆動部10は、モータ11と、モータ11の出力軸と共に回転するウォームギヤ12と、ウォームギヤ12に噛合するギヤ部13と、ギヤ部13の駆動力を左右両側のギヤ部20に伝達させるシャフト14とを備えている。
【0030】
ウォームギヤ12は、モータ11の出力軸に圧入されており、ギヤ部13は、モータ11からウォームギヤ12に出力された駆動力を受けて回転駆動する。ギヤ部13は、例えば、ウォームギヤ12が噛合する第1ギヤ13aと、第1ギヤ13aから駆動力を受けると共にシャフト14を回転させる第2ギヤ13bとを含んでいる。但し、ギヤ部13におけるギヤの数及び配置は、上記の例に限定されず適宜変更可能である。シャフト14は、ギヤ部13から左右両側に延びる棒状とされており、内カバー5を左右方向に貫通している。シャフト14の長手方向の端部14aは、外カバー4と内カバー5との間に位置している。
【0031】
ギヤ部20は、外カバー4と内カバー5との間に配置されている。ギヤ部20は、駆動部10からの駆動力を蓋駆動部材40及び表示駆動部材60に伝達する。ギヤ部20は、シャフト14の端部14aにおいてシャフト14と共に回転する駆動ギヤ21と、駆動ギヤ21に噛合するメインギヤ30(回転体)とを備えている。駆動ギヤ21及びメインギヤ30は、共に、上下方向及び前後方向に延在する平歯ギヤである。駆動ギヤ21は、左右方向に伸びる軸を中心として回転し、メインギヤ30は、駆動ギヤ21の回転に伴い回転中心30aを中心として回転する。
【0032】
メインギヤ30は、駆動ギヤ21からの駆動力を蓋駆動部材40及び表示駆動部材60に伝達する。メインギヤ30は、円板状を成している。メインギヤ30は、外カバー4側に向けられた第1面31と、内カバー5側に向けられた第2面32とを有する。第1面31及び第2面32は、共に、上下方向及び前後方向に延在している。また、第1面31及び第2面32は、互いに対向している。
【0033】
第1面31には、蓋駆動部材40が係合する第1溝33が設けられている。第1溝33は、第1面31から突出する一対の突出部31aによって第1面31上に形成されたカム溝である。第1溝33は、メインギヤ30の回転中心30a付近からメインギヤ30の径方向外側に向かって延びる第1部分33aと、第1部分33aの径方向外側の端部に連続すると共にメインギヤ30の外周と同心円状に延びる第2部分33bとを有する。第1部分33aは、蓋駆動部材40に蓋部2を移動させるために設けられる。なお、第1溝33は、突出部31aによって形成された溝でなくてもよく、例えば、第1面31から窪む凹部によって形成された溝であってもよい。
【0034】
第2面32には、表示駆動部材60が係合する第2溝34が設けられている。第2溝34は、第2面32から突出する渦巻き状の突出部32aによって第2面32上に形成されたカム溝である。第2溝34は、回転中心30a付近においてメインギヤ30の外周と同心円状に延びる第1部分34aと、第1部分34aから径方向外側に直線状に延びる第2部分34bと、第2部分34bからメインギヤ30の外周と同心円状に延びる第3部分34cとを有する。第2部分34bは、表示駆動部材60にコンバイナ3を昇降させるために設けられる。
【0035】
更に、第2溝34は、第3部分34cの径方向内側においてメインギヤ30の外周と同心円状に延びる第4部分34dと、第4部分34dから径方向外側に傾斜して延びる第5部分34eと、第5部分34eから径方向外側に延びる第6部分34fとを有する。第5部分34e及び第6部分34fは、表示駆動部材60にコンバイナ3を傾動させるために設けられる。なお、第2溝34は、突出部32aによって形成された溝でなくてもよく、例えば、第2面32から窪む凹部によって形成された溝であってもよい。
【0036】
図2図4に示されるように、蓋駆動部材40は、内カバー5の外側面5aに回転自在に支持されたシャッターレバー41と、シャッターレバー41に回転自在に連結されると共に蓋部2に向かって延びるシャッターリンク42と、シャッターリンク42のシャッターレバー41との反対側の端部においてシャッターリンク42に対して移動可能に連結されたシャッターラック43とを備えている。
【0037】
シャッターレバー41は、棒状を成している。シャッターレバー41の長手方向の一端部41aは、メインギヤ30の回転中心30aから見てメインギヤ30の外部に位置している。一端部41aは、内カバー5の外側面5aから突出する円柱状の突出部5cに回転自在に連結されている。シャッターレバー41の長手方向の他端部41bは、メインギヤ30の第1溝33に沿って移動するボス44(第1ボス)を有する。シャッターレバー41は、その長手方向に交差する方向に突出する突出部41cを有し、この突出部41cには、シャッターリンク42を回転自在に連結する回転軸部45が設けられている。回転軸部45は、メインギヤ30の第1面31の面外方向に延びており、第1面31から僅かに離間している。
【0038】
シャッターリンク42は、シャッターレバー41から棒状に延びると共に僅かに後方に湾曲する形状を成している。シャッターリンク42の長手方向の一端部42aには、前述の回転軸部45が設けられている。シャッターリンク42の一端部42aは、回転軸部45を中心とした円弧状を成すギヤ部42bを備える。また、シャッターリンク42の長手方向の他端部42cには、シャッターリンク42に沿って延びる長穴部42dが形成されており、この長穴部42dは、シャッターリンク42を左右方向に貫通している。
【0039】
シャッターラック43は、多角形状かつ平板状を成している。シャッターラック43は、外カバー4側に突出するボス43b(第3ボス)と、ボス43bよりも小さくかつボス43bと同方向に突出するボス43c(第3ボス)とを有する。更に、シャッターラック43には、シャッターラック43を左右方向に貫通する貫通孔46が形成されており、貫通孔46には、蓋部2のボス2eがシャッターラック43の内側(内カバー5側)から通されている。貫通孔46は、ボス43c側に位置する第1直線部46aと、第1直線部46aからボス43c側に折れ曲がった第2直線部46bと、第2直線部46bから更に折れ曲がった第3直線部46cとを有する。
【0040】
第1直線部46a、第2直線部46b及び第3直線部46cは互いに連続している。第1直線部46aは前後方向に延びており、第2直線部46bは第1直線部46aから後方かつ斜め下方に延びている。第3直線部46cは、第2直線部46bから下方に延びている。
【0041】
図3及び図5に示されるように、外カバー4は、その内側面4bに、シャッターラック43のボス43bが係合する溝51(第3溝)と、シャッターラック43のボス43c及び蓋部2のボス2eが係合する溝52(第3溝)と、蓋部2のボス2fが係合する溝53と、シャッターリンク42のギヤ部42bが噛合する円弧状のギヤ部54とを有する。ギヤ部54の曲率は、ギヤ部42bの曲率よりも小さい。なお、本実施形態では、第3溝として2つの溝51,52が設けられる例について説明するが、第3溝の数は1つ又は3つ以上であってもよい。
【0042】
溝51、溝52及び溝53は、蓋部2を外カバー4に沿って移動させるために設けられる。溝51は、外カバー4の上側かつ前後方向中央付近から前方かつ斜め下方に湾曲して延びている。溝52は、溝51の後方において上下に延びる第1部分52aと、第1部分52aの下端から溝51に沿って斜め下方に延びる第2部分52bとを含んでいる。溝53は、溝52の後方において外カバー4の上端面に沿って直線状に延びている。ギヤ部54は、外カバー4の下側かつ前後方向中央付近において上下方向に延びている。
【0043】
次に、表示駆動部材60について説明する。図6図8に示されるように、表示駆動部材60は、メインギヤ30の第2面32に係合している。表示駆動部材60は、表示駆動レバー61と、表示駆動リンク62と、チルトリンク63と、キャリッジ64と、バネ部材65(付勢部材)と、チルトレバー66とを備えている。
【0044】
表示駆動レバー61は、メインギヤ30の第2面32に係合している。表示駆動レバー61は、内カバー5の外側(図7及び図8における左側)に配置されている。表示駆動レバー61は、平板状に形成されると共に、表示駆動レバー61の中央部61aから第1端部61b、第2端部61c及び第3端部61dの三方向に延びる形状を成している。
【0045】
表示駆動レバー61の第1端部61bは、蓋部2が開口D1を閉塞しているときにおいては、メインギヤ30の回転中心30a付近に位置する。第1端部61bは、メインギヤ30の第2溝34に係合するボス67(第2ボス)を有する。ボス67は、表示駆動レバー61が係合するメインギヤ30側(図7及び図8における左側)に突出している。第2端部61cは、メインギヤ30の回転中心30aから見てメインギヤ30の外部に位置している。第2端部61cは、内カバー5から外側(図7及び図8における左側)に突出する突起5dに回転自在に連結されている。
【0046】
表示駆動レバー61の第3端部61dは、表示駆動リンク62を回転自在に連結する回転軸部68を有する。回転軸部68は円柱状を呈する。回転軸部68は、内カバー5を介して表示駆動レバー61及び表示駆動リンク62を回転自在に連結する。回転軸部68は、内カバー5を左右方向に貫通する長穴部5fに通されている。
【0047】
表示駆動レバー61の中央部61aは、表示駆動レバー61を左右方向に貫通する貫通孔69を有しており、この貫通孔69には、チルトレバー66が通されている。貫通孔69は、全体として略L字状を呈する。貫通孔69は、メインギヤ30の回転中心30a側に位置する第1直線部69aと、第1直線部69aから折れ曲がる第2直線部69bとを含んでいる。
【0048】
表示駆動リンク62、チルトリンク63、キャリッジ64及びバネ部材65は、内カバー5の内側(図7における右側)に配置されている。表示駆動リンク62は、棒状を成している。表示駆動リンク62の長手方向の一端部62aには、回転軸部68が嵌り込んでいる。図6及び図9に示されるように、一端部62aは、回転軸部68を中心とした円弧状のギヤ部70を備えており、このギヤ部70は、内カバー5から内側に突出するギヤ部5gに噛合する。表示駆動リンク62の長手方向の他端部62bには長穴部71が形成されている。長穴部71は、表示駆動リンク62を左右方向に貫通すると共に、表示駆動リンク62の長手方向に沿って延びている。
【0049】
図6及び図7に示されるように、チルトリンク63は、表示駆動リンク62に回転自在に連結されている。チルトリンク63は、上記の長穴部71、及び、内カバー5に直線状に設けられた溝部5h(第4溝)に挿入されるボス63a(第4ボス)と、キャリッジ64を回転自在に保持する保持部63bとを備えている。保持部63bは、チルトリンク63に対するキャリッジ64の回転軸を含んでいる。この回転軸は、チルトリンク63に対するキャリッジ64の傾動軸であり、左右方向に延びている。溝部5hは、内カバー5において、前方かつ下方から後方かつ上方に向かって斜めに延びている。
【0050】
キャリッジ64は、チルトリンク63に回転自在に連結されている。キャリッジ64は、コンバイナ3に沿って左右方向に延びており、コンバイナ3の下部を保持している。キャリッジ64の左右方向の端部64aは、チルトリンク63の保持部63bに形成された孔部を貫通して内カバー5の溝部5hに挿入されたボス64bと、ボス64bとは別の箇所でボス64bと同方向に突出するボス64c(第5ボス)とを有する。
【0051】
バネ部材65は、チルトリンク63とキャリッジ64との間に介在している。バネ部材65は、例えばコイルバネであり、バネ部材65の鋼線の一端がチルトリンク63に支持されると共に、バネ部材65の鋼線の他端がキャリッジ64に支持されている。このバネ部材65によって、キャリッジ64は、キャリッジ64及びコンバイナ3の傾動を戻す方向に付勢されている。本実施形態において、キャリッジ64及びコンバイナ3の傾動を戻す方向とは、コンバイナ3の表示面3aが溝部5hに対して略平行に延在するようにキャリッジ64を付勢する方向を示している。
【0052】
チルトレバー66は内カバー5の内側(図7における右側)に配置されている。チルトレバー66は、内カバー5を介して、メインギヤ30の第2溝34の第4部分34d、第5部分34e又は第6部分34fに係合している。チルトレバー66は長尺状とされている。チルトレバー66の長手方向の一端部66aには、チルトレバー66が係合するメインギヤ30側(図7における左側)に突出するボス66bが設けられている。ボス66bは、図10に示される内カバー5の貫通孔5j、及び表示駆動レバー61の貫通孔69に挿通されている。
【0053】
図8及び図10に示されるように、ボス66bは、貫通孔5j及び貫通孔69を介して、第2溝34の第4部分34d、第5部分34e及び第6部分34fのいずれかに係合する。チルトレバー66は、メインギヤ30及び内カバー5に回転自在に連結されている。また、チルトレバー66の長手方向の他端部66cは、チルトレバー66の長手方向に交差する方向に延びる溝66d(第5溝)を有する。
【0054】
また、チルトレバー66の長手方向の中央部には、チルトレバー66の回転軸である軸穴66kが形成されている。軸穴66kには、内カバー5の内側面5bから内側(図8における右側)に突出する突出部5kが回転自在に係合している。
【0055】
図10に示されるように、長穴部5f、ギヤ部5g及び貫通孔5jは、内側面5bの下側かつ前後方向中央部分に形成されている。長穴部5fは、後方かつ下方から前方かつ上方に向かって斜めに延びている。ギヤ部5gは、長穴部5fの上方かつ後方において長穴部5fに沿って延びている。貫通孔5jは、ギヤ部5gの上方において前後方向に延びており、僅かに下方に湾曲している。また、突出部5kは貫通孔5jの上方に設けられている。
【0056】
以上のように構成された表示装置1の動作について説明する。表示装置1では、駆動部10が発生した駆動力がギヤ部20に伝達され、この駆動力がギヤ部20から蓋駆動部材40及び表示駆動部材60のそれぞれに伝達されることによって、蓋部2の開閉、コンバイナ3の昇降、及びコンバイナ3の傾動が行われる。まず、図11に示されるように、蓋部2が開口D1を塞いでいる状態を初期状態とする。
【0057】
初期状態においてモータ11が駆動すると、モータ11の駆動力が、ウォームギヤ12、ギヤ部13及びシャフト14に伝達される。シャフト14に伝達された駆動力は、左右外側の各ギヤ部20に伝達される。ギヤ部20に伝達された駆動力は、駆動ギヤ21を介してメインギヤ30に伝達される。このように伝達された駆動力によって、メインギヤ30は一方向(例えば、図11における時計回り)への回転を開始する。
【0058】
以下では、メインギヤ30の回転位置を示す仮想の基準点Pを定め、基準点Pの位置と各動作の関係についても説明する。図11に示される例において、基準点Pは、メインギヤ30の外周かつ第1溝33の端部付近に位置しており、初期状態ではメインギヤ30の下側に位置している。以下では、蓋部2による開口D1の開放、コンバイナ3の上方移動、及びコンバイナ3の傾動、の各動作について説明する。
【0059】
(蓋部2による開口D1の開放)
基準点Pがメインギヤ30の下側に位置した状態でメインギヤ30が一方向への回転を開始すると、基準点Pはメインギヤ30の下側から前側に移動する。そして、ボス44が、第1溝33に沿って移動を始め、メインギヤ30の回転中心30a付近からメインギヤ30の径方向外側に向かって移動する。ボス44は、第1溝33の第1部分33aに沿って、回転中心30a付近から移動を開始する。
【0060】
第1部分33aに沿ったボス44の移動により、シャッターレバー41が突出部5cを中心として下方に揺動する。突出部5cを中心としてシャッターレバー41が下方に揺動すると、回転軸部45を中心としてシャッターリンク42の他端部42cが前方に揺動する。このとき、シャッターリンク42のギヤ部42bが外カバー4のギヤ部54(図5参照)に噛合し、ギヤ部54に沿ってギヤ部42bが移動すると共に他端部42cが前方に揺動する。
【0061】
シャッターリンク42の他端部42cが前方に揺動すると、シャッターラック43のボス43bが外カバー4の溝51に沿って前方に移動すると共に、シャッターラック43のボス43cが外カバー4の溝52(第2部分52b)に沿って前方に移動する。これにより、シャッターラック43が前方に移動する。
【0062】
シャッターラック43の前方への移動に伴って、貫通孔46の第1直線部46aに挿通されているボス2eが、シャッターラック43に対して後方に相対移動する。後方に相対移動したボス2eは第2直線部46bに当接する。その後、ボス2eは、第2直線部46bに沿って斜め下方に相対移動する。
【0063】
前述のようにシャッターラック43に対してボス2eが斜め下方に相対移動すると、第2直線部46bの上側の壁面によってボス2eが斜め上から押圧されることにより、ボス2eは、第2直線部46bに沿って摺動すると共に溝52の第1部分52aに沿って下方に移動する。ボス2eが第1部分52aに沿って下方に移動すると、開口D1に対して蓋部2が下方に移動する。この蓋部2の下方への移動によって、蓋部2は、ダッシュボードDの厚み分よりも下方に引き下げられる。そして、ボス2eが第1部分52aの下端に到達するときに、ボス2eは第3直線部46cに到達する。
【0064】
その後は、図12に示されるように、シャッターラック43のボス43bが溝51に沿って前方かつ斜め下方に移動すると共に、シャッターラック43のボス43cが溝52の第2部分52bに沿って前方かつ斜め下方に移動する。シャッターラック43が前方かつ斜め下方に移動すると、貫通孔46に係合するボス2eが溝52の第2部分52bに沿って前方かつ斜め下方に移動すると共に、蓋部2のボス2fが溝53に沿って前方に移動する。蓋部2の前端に位置するボス2eが前方かつ斜め下方に移動すると共に、蓋部2の後端に位置するボス2fが前方に移動することによって、蓋部2は前方かつ斜め下方に移動する。そして、蓋部2は、ダッシュボードDの下に潜り込むと共に開口D1を開放する。
【0065】
蓋部2が開口D1を開放しているときに、メインギヤ30の第2面32では、図8に示されるように、表示駆動レバー61のボス67が第1部分34aに沿って移動する。また、チルトレバー66のボス66bは第4部分34dに沿って移動する。前述したように、第1部分34a及び第4部分34dは、共に、メインギヤ30の外周と同心円状に延びている。よって、ボス67及びボス66bは、メインギヤ30の外周に沿って移動するだけでメインギヤ30の径方向には移動しない。従って、蓋部2が開口D1を開放しているときには、メインギヤ30が回転しても表示駆動レバー61及びチルトレバー66は揺動せず、表示駆動部材60はアイドリング状態となる。
【0066】
一方、図13及び図14に示されるように、メインギヤ30の第1面31においてボス44が第1部分33aに沿って移動するにつれて、ボス2e、ボス43b、及びボス43cが斜め下方に下がると共に、ボス2fが前方に移動する。そして、ボス44は第1溝33の第2部分33bに到達する。
【0067】
第1溝33の第2部分33bは、メインギヤ30の外周と同心円状に延びている。よって、ボス44が第2部分33bに沿って移動するときには、メインギヤ30が回転してもシャッターレバー41及びシャッターリンク42は揺動しない。従って、蓋駆動部材40はアイドリング状態となる。また、第2部分33bに沿ってボス44が移動することにより、シャッターレバー41及びシャッターリンク42の揺動が抑制される。従って、蓋部2が開口D1を開放している状態を安定して維持することができる。
【0068】
前述のように蓋駆動部材40がアイドリング状態となって、蓋部2による開口D1の開放が完了する。蓋部2が開口D1の開放を開始してから開口D1の開放が完了するまでに、メインギヤ30は70°以上かつ200°未満の角度だけ回転する。
【0069】
(コンバイナ3の上方移動)
以上のように蓋部2に開口D1を開放させた後には、コンバイナ3が上方移動を開始する。基準点Pがメインギヤ30の前側に位置した状態でメインギヤ30の一方向への回転を継続すると、基準点Pはメインギヤ30の前側から上側に移動する。そして、図14及び図15に示されるように、表示駆動レバー61のボス67が第1部分34aから第2部分34bに移動する。第2部分34bは、メインギヤ30の径方向外側に延びる部分である。このため、メインギヤ30が回転すると、ボス67が第2部分34bに沿って移動することにより、表示駆動レバー61が内カバー5の突起5dを中心として上方への回転を開始する。
【0070】
すなわち、メインギヤ30が一方向への回転を継続して基準点Pがメインギヤ30の上側に移動すると、表示駆動レバー61は、突起5dを中心としてボス67を上方に移動させるように回転する。このように表示駆動レバー61が回転すると、回転軸部68を介して表示駆動レバー61に連結されている表示駆動リンク62が、回転軸部68を中心として上方に回転する。このとき、表示駆動リンク62は、その一端部62aに設けられたギヤ部70が内カバー5のギヤ部5g(図10参照)に噛合し、ギヤ部5gに沿って回転する。そして、表示駆動リンク62の他端部62bが上方に移動する。
【0071】
表示駆動リンク62の他端部62bが上方に移動すると、他端部62bの長穴部71に入り込んだボス63aが長穴部71に沿って移動する。長穴部71に入り込んだボス63aは、内カバー5の溝部5hに嵌り込んでいる。よって、他端部62bが上方に移動すると、ボス63aは溝部5hに沿って上方に移動する。これにより、溝部5hに沿ってチルトリンク63が上方に移動する。
【0072】
チルトリンク63が上方に移動すると、チルトリンク63に回転自在に連結されたキャリッジ64も上昇する。キャリッジ64のボス64bは内カバー5の溝部5hに嵌り込んでいるので、キャリッジ64はチルトリンク63と共に溝部5hに沿って上昇する。このとき、キャリッジ64の傾動軸を含む保持部63bが溝部5hに沿って直線的に上昇するので、キャリッジ64に支持されたコンバイナ3は、表示面3aの向きを維持した状態で上昇する。
【0073】
ここで、「表示面3aの向きを維持した状態で上昇」とは、表示面3aの向き、すなわち表示面3aが向く方向を変えずにコンバイナ3が上昇することを示している。また、「表示面3aの向きを維持した状態」には、表示面3aの向きが多少変わった状態(例えば、斜め方向又は水平方向を向く表示面3aの角度が微調整された状態)が含まれ得る。
【0074】
図16及び図17に示されるように、メインギヤ30が更に一方向への回転を続けると、基準点Pはメインギヤ30の上側から後側に向かって移動すると共に、コンバイナ3の上昇が継続される。そして、メインギヤ30の第2面32において、表示駆動レバー61のボス67が第2溝34の第3部分34cに到達するときに、コンバイナ3が開口D1の上方に到達する。
【0075】
前述したように、第2溝34の第3部分34cは、メインギヤ30の外周と同心円状に延びている。このため、メインギヤ30が回転してボス67が第3部分34cに沿って移動しても表示駆動レバー61は揺動しない。従って、以降は表示駆動レバー61が揺動しない状態となり、コンバイナ3の上昇が完了する。コンバイナ3が上昇を開始してからコンバイナ3の上昇が完了するまでに、メインギヤ30は70°以上かつ200°未満の角度だけ回転する。
【0076】
(コンバイナ3の傾動)
以上のようにコンバイナ3が上昇を完了した後には、コンバイナ3の傾動を開始する。図17及び図18に示されるように、表示駆動レバー61のボス67が第2溝34の第3部分34cに到達してからメインギヤ30が一方向に回転を続けると、チルトレバー66のボス66bが第2溝34の第4部分34dから第5部分34eに到達する。そして、更にメインギヤ30が回転を続けると、ボス66bは、第5部分34eから第6部分34fに移動し、その後、第6部分34fに沿って移動する。
【0077】
第2溝34の第5部分34e及び第6部分34fはメインギヤ30の径方向外側に延びる部分である。従って、ボス66bが第5部分34e及び第6部分34fに沿って移動すると、チルトレバー66の他端部66cが軸穴66k(図8参照)を中心として前方に揺動する。また、ボス66bは、貫通孔69に挿通されるが、表示駆動レバー61とは接触しない状態で移動する。
【0078】
前述のようにチルトレバー66の他端部66cが前方に揺動すると、他端部66cはキャリッジ64に当接する。そして、チルトレバー66の溝66dにキャリッジ64のボス64cが入り込み、ボス64cが溝66dに沿って摺動する。このとき、溝66dはチルトレバー66が揺動する方向に対して傾斜する方向に延びているので、ボス64cが溝66d内で摺動すると共に、キャリッジ64が上方に押圧される。
【0079】
このようにキャリッジ64が上方に押圧されることによって、キャリッジ64に支持されたコンバイナ3がキャリッジ64と共にボス64bを回転軸として前方に傾動する。コンバイナ3及びキャリッジ64の傾動量は、表示装置1の使用者の操作によって適宜調整される。具体的には、使用者の操作によって、第2溝34の第6部分34fにおけるボス66bの位置が調整され、これにより、チルトレバー66の揺動量、及び溝66dに対するボス64cの入り込み具合が調整されて、コンバイナ3の傾動量が調整される。このように、コンバイナ3が前方に所定量傾動した時点でメインギヤ30が一方向への回転を停止し、コンバイナ3の傾動が完了する。
【0080】
コンバイナ3の傾動が完了したときに、基準点Pはメインギヤ30の後側に位置している。よって、図11に示される開口D1の閉塞時から図18に示されるコンバイナ3の傾動時までの間にメインギヤ30は一回転していない。すなわち、メインギヤ30が一回転する間に、蓋部2による開口D1の開放からコンバイナ3の傾動までの一連の動作が実行される。具体的には、蓋部2による開口D1の開放からコンバイナ3の傾動までの間にメインギヤ30は240°以上かつ360°未満だけ回転する。
【0081】
次に、コンバイナ3を開口D1の下方に収容して、開口D1を蓋部2で閉塞する動作について説明する。この動作では、図11図18に示される一連の動作とは逆の方向に、かつ逆の順序で各部品が移動する。すなわち、コンバイナ3の傾動、コンバイナ3の下降、及び開口D1の閉塞が、この順で直列的に実行される。まず、駆動部10の駆動力によってメインギヤ30が他方向に回転する。他方向とは、例えば前述した一方向の反対方向(図18における反時計回り)を示している。
【0082】
(コンバイナ3の傾動)
図17及び図18に示されるように、メインギヤ30が他方向に回転すると、キャリッジ64に対してチルトレバー66が後方に揺動すると共に、バネ部材65の付勢力によってコンバイナ3及びキャリッジ64の傾動が元に戻される。また、溝66dからキャリッジ64のボス64cが抜け出る。そして、チルトレバー66のボス66bが、第6部分34fから第5部分34eを介して第4部分34dに移動する。これにより、キャリッジ64及びコンバイナ3の傾動状態が元に戻る。
【0083】
(コンバイナ3の下降)
図14図16に示されるように、メインギヤ30が他方向への回転を継続すると、表示駆動レバー61のボス67が第3部分34cから第2部分34bに移動する。そして、表示駆動レバー61がボス67を下方に移動させるように揺動し、表示駆動リンク62が他端部62bを下方に移動させるように揺動する。また、チルトリンク63のボス63a、及びキャリッジ64のボス64bが内カバー5の溝部5hに沿って下降し、これによりチルトリンク63及びキャリッジ64が下降する。このとき、コンバイナ3は、表示面3aの向きを維持した状態で下降する。
【0084】
ここで、「表示面3aの向きを維持した状態で下降」とは、表示面3aの向きを変えずにコンバイナ3が下降することを示している。また、「表示面3aの向きを維持した状態で下降」には、表示面3aの向きが微調整されてコンバイナ3が下降する場合も含まれ得る。本実施形態では、表示面3aが斜め下方を向いた状態でコンバイナ3が昇降する例を示しているが、表示面3aの向きは上記の例に限られない。例えば、表示面3aが水平方向を向いた状態でコンバイナ3が昇降してもよい。
【0085】
更に、メインギヤ30の他方向への回転を継続すると、基準点Pはメインギヤ30の上側から前側に移動し、メインギヤ30の第2面32において、表示駆動レバー61のボス67が第1部分34aに到達する。このときコンバイナ3の下降が終了する。
【0086】
(開口D1の閉塞)
コンバイナ3の下降が完了して他方向へのメインギヤ30の回転を更に続けると、図13及び図14に示されるように、メインギヤ30の第1面31において、ボス44が第1溝33の第1部分33aに入り込む。そして、蓋部2及びシャッターラック43が斜め上方に移動する。このとき、シャッターレバー41及びシャッターリンク42が上方に揺動し、図11及び図12に示されるように、上方に移動する蓋部2によって開口D1が閉塞される。
【0087】
次に、本実施形態に係る表示装置1から得られる効果について説明する。
【0088】
表示装置1は、駆動部10の駆動により蓋部2を移動させる蓋駆動部材40と、所定の情報を表示する表示面3aを有するコンバイナ3と、駆動部10の駆動により、ダッシュボードDの開口D1に対して表示面3aの向きを維持した状態でコンバイナ3を上下移動させ、開口D1の上方においてコンバイナ3を傾動させる表示駆動部材60とを備える。
【0089】
このように、表示装置1では、コンバイナ3が表示面3aの向きを維持した状態で上下移動し、開口D1の上方においてコンバイナ3が傾動する。すなわち、表示装置1では、上下移動時にはコンバイナ3が揺動せず、コンバイナ3が開口D1の上方に達した状態でコンバイナ3を傾動させる。よって、ダッシュボードDにコンバイナ3を揺動させるためのスペースを確保する必要がないので、より限られたスペースに表示装置1を配置することができる。従って、表示装置1では配置の自由度を高めることができる。
【0090】
また、表示装置1は、駆動部10の駆動によって回転するメインギヤ30を備える。一方向へのメインギヤ30の回転によって、蓋駆動部材40が蓋部2に開口D1を開放させ、表示駆動部材60がコンバイナ3の上方への移動及びコンバイナ3の傾動を行う。他方向へのメインギヤ30の回転によって、表示駆動部材60がコンバイナ3の傾動及びコンバイナ3の下方への移動を行い、蓋駆動部材40が蓋部2に開口D1を閉塞させる。
【0091】
このように、表示装置1では、メインギヤ30の一方向への回転によって、開口D1の開放、コンバイナ3の上方移動、及びコンバイナ3の傾動を行い、メインギヤ30の他方向への回転によって、コンバイナ3の傾動(傾動を元に戻すこと)、コンバイナ3の下方移動、及び開口D1の閉塞を行う。従って、メインギヤ30を回転させるだけで開口D1の開閉、コンバイナ3の昇降、及びコンバイナ3の傾動、といった一連の動作を行うことができる。よって、表示装置1の部品点数を少なくすることができるので、表示装置1全体としての奥行き方向(前後方向)及び高さ方向(上下方向)の寸法を小さくすることができる。従って、表示装置1を小型化させることができる。
【0092】
また、表示装置1では、開口D1の開閉、コンバイナ3の昇降、及びコンバイナ3の傾動が、左右それぞれに設けられた一枚のメインギヤ30の回転によって行われる。開口D1の開閉、コンバイナ3の昇降、及びコンバイナ3の傾動は、この順で直列的に実行される。従って、開口D1を開閉させる工程、コンバイナ3を昇降させる工程、及びコンバイナ3を傾動させる工程、のいずれか一つの工程が他の工程を妨げないようにすることができる。よって、外乱又は外部負荷が表示装置1に作用しても、表示装置1全体としての動作に異常を発生しにくくすることができる。すなわち、外乱等に対する表示装置1の耐性を高めることができる。
【0093】
また、表示装置1では、一方向にメインギヤ30が一回転する間に、蓋駆動部材40が蓋部2に開口D1を開放させ、表示駆動部材60がコンバイナ3の上方への移動及びコンバイナ3の傾動を行う。そして、他方向にメインギヤ30が一回転する間に、表示駆動部材60がコンバイナ3の傾動及びコンバイナ3の下方への移動を行い、蓋駆動部材40が蓋部2に開口D1を閉塞させる。このように、メインギヤ30が一回転する間に前述の一連の動作を行うことができる。
【0094】
また、表示装置1において、メインギヤ30は、板状を成し、かつ、互いに対向する第1面31及び第2面32を有し、蓋駆動部材40は、第1面31に係合されており、表示駆動部材60は、第2面32に係合されている。このように、メインギヤ30の第1面31に蓋駆動部材40が係合すると共に第2面32に表示駆動部材60が係合することにより、左右それぞれに設けられた一枚のメインギヤ30から蓋駆動部材40及び表示駆動部材60の両方に駆動力を伝達させる。よって、一枚のメインギヤ30によって蓋駆動部材40及び表示駆動部材60の両方を制御することができる。また、メインギヤ30の両面を駆動力を伝達させる部位として有効利用することができるので、駆動のために必要な部品点数を減らすことができ、表示装置1の小型化に寄与する。
【0095】
また、表示装置1において、メインギヤ30は、第1面31に設けられた第1溝33と、第2面32に設けられた第2溝34と、を有する。蓋駆動部材40は、第1溝33に係合するボス44を有し、表示駆動部材60は、第2溝34に係合するボス67を有する。そして、メインギヤ30は、回転してボス44を第1溝33に沿って移動させることにより蓋駆動部材40に蓋部2を移動させ、回転してボス67を第2溝34に沿って移動させることにより表示駆動部材60にコンバイナ3を移動させる。このように、表示装置1は、第1溝33及び第2溝34とボス44,67とを備えることにより、蓋駆動部材40に蓋部2を移動させて表示駆動部材60にコンバイナ3を移動させることができる。従って、蓋部2及びコンバイナ3を移動させる機構を簡易にすることができる。
【0096】
また、蓋駆動部材40は、ボス44を有するシャッターレバー41と、シャッターレバー41に連結されたシャッターリンク42と、ボス43b,43cを有すると共に蓋部2に連結されたシャッターラック43と、ボス43b,43cのそれぞれが係合する溝51,52を有する外カバー4とを含んでいる。そして、メインギヤ30の回転によってボス43b,43cのそれぞれが溝51,52に沿って移動することにより、蓋部2が開口D1を開閉する。このように外カバー4に設けられた溝51,52に沿ってボス43b,43cを移動させて蓋部2に開口D1を開閉させることにより、開口D1を開閉させる機構を簡易にすることができる。また、外カバー4が蓋部2をガイドする機能を兼ねているので、表示装置1を保護する外カバー4を有効利用することができる。
【0097】
また、表示駆動部材60は、ボス67を有する表示駆動レバー61と、表示駆動レバー61に連結された表示駆動リンク62と、ボス63aを有すると共に表示駆動リンク62に連結されたチルトリンク63と、ボス63aが係合する溝部5hを有する内カバー5とを含んでいる。そして、メインギヤ30の回転によってボス63aが溝部5hに沿って移動することにより、コンバイナ3が昇降する。従って、内カバー5に設けられた溝部5hに沿ってボス63aが移動してコンバイナ3が昇降することにより、コンバイナ3を昇降させる機構を簡易にすることができる。また、表示装置1を保護する内カバー5をコンバイナ3の移動機構として有効利用することができる。更に、直線状に延びる溝部5hに沿ってボス63aが移動することにより、表示面3aの向きを維持してコンバイナ3を昇降させる構成を容易に実現させることができる。
【0098】
また、表示駆動部材60は、コンバイナ3を支持すると共にチルトリンク63に揺動自在に連結されたキャリッジ64と、内カバー5に揺動自在に連結されたチルトレバー66とを備える。そして、コンバイナ3が開口D1の上方に到達した状態でキャリッジ64がチルトレバー66に当接してチルトレバー66に押圧されることにより、キャリッジ64と共にコンバイナ3が傾動する。よって、開口D1の上方に到達した状態で、キャリッジ64がチルトレバー66に押圧されることによりコンバイナ3が傾動する。従って、コンバイナ3を傾動させる機構を簡易にすることができる。
【0099】
また、キャリッジ64はボス64cを有し、チルトレバー66は溝66dを有しており、キャリッジ64は、ボス64cが溝66dに係合した状態でチルトレバー66に押圧される。このようにボス64cが溝66dに係合した状態でキャリッジ64が押圧されることにより、キャリッジ64及びコンバイナ3の傾動の動作を安定させることができる。
【0100】
また、表示駆動部材60は、キャリッジ64とチルトリンク63との間に位置しており、キャリッジ64及びコンバイナ3の傾動を戻す方向にキャリッジ64を付勢するバネ部材65を備える。このバネ部材65は、キャリッジ64の傾動を元に戻す方向にキャリッジ64を付勢するので、コンバイナ3及びキャリッジ64の傾動(傾動の戻し)をがたつき無く行うことができる。
【0101】
また、表示装置1において、駆動部10は、一つのモータ11によって駆動力を発生させる。このように、表示装置1は一つのモータ11によって駆動する。従って、複数のモータを備える場合と比較して、部品点数を減らすことができると共に構成を簡易にすることができ、表示装置1の更なる小型化に寄与する。
【0102】
また、蓋部2は、斜めに移動することによって開口D1の閉塞及び開口D1の開放を行う。すなわち、蓋部2は、回転せずに移動して開口D1を開閉する。従って、表示装置1では、蓋部2が回転するスペースを不要とすることができる。更に、蓋部2は、ダッシュボードDの上方に突出しない。従って、蓋部2が運転者等の視界を遮るのを回避することができる。
【0103】
(第2実施形態)
次に、図19及び図20を参照しながら、第2実施形態に係る表示装置81について説明する。表示装置81は、蓋部82、メインギヤ90及び蓋駆動部材100の構成が第1実施形態と異なっている。すなわち、第2実施形態は、蓋部、回転体及び蓋駆動部材の変形例に相当する。以降の説明では、第1実施形態と重複する説明を省略する。
【0104】
メインギヤ90は前述の第1面31と同様の第1面91を有しており、第1面91には蓋駆動部材100が係合する第1溝93が設けられている。第1溝93は、メインギヤ90の外周と同心円状に延びる第1部分93aと、メインギヤ90の径方向外側に傾斜する第2部分93bと、メインギヤ90の外周と同心円状に延びる第3部分93cとを有する。第1部分93a、第2部分93b及び第3部分93cは、互いに連続している。
【0105】
蓋駆動部材100は、メインギヤ90に噛合する小径ギヤ101と、メインギヤ90の第1溝93に係合するシャッターレバー102と、シャッターラック103とを含んでいる。小径ギヤ101は、メインギヤ90の上方かつ後方に配置されている。蓋部82は、その下部に、小径ギヤ101が噛合するギヤ部82aを備えており、シャッターラック103も同様のギヤ部103aを備えている。
【0106】
シャッターレバー102は、メインギヤ90の第1面91に対向する位置で直線状に延びる第1部分102aと、第1部分102aから第1部分102aに交差する方向に延びる第2部分102bと、第2部分102bの第1部分102aとの反対側の端部から蓋部82に向かって延びる第3部分102cとを有する。
【0107】
第1部分102aは、第1溝93に係合するボス105を備えており、このボス105が第1溝93に入り込むことによって蓋駆動部材100がメインギヤ90に係合している。第1部分102aのボス105との反対側の端部には、回転軸102dが設けられている。また、第3部分102cの第2部分102bとの反対側の端部には、蓋部82に係合するボス106が設けられている。蓋部82は、ボス106を入り込ませることによってボス106を蓋部82に係合させるボス収容部82bを備えており、このボス収容部82bは、蓋部82の後端に設けられている。
【0108】
次に、第2実施形態の表示装置81において、蓋部82に開口D1を開閉させる動作について説明する。蓋部82が開口D1を塞いでいる初期状態において、駆動部10が駆動すると、第1実施形態と同様、駆動部10の駆動力が駆動ギヤ21を介してメインギヤ90に伝達される。この駆動力により、メインギヤ90は、一方向(例えば図19における時計回り)に回転を開始する。
【0109】
(蓋部82による開口D1の開放)
メインギヤ90が一方向への回転を開始すると、シャッターレバー102のボス105が第1溝93の第1部分93aに沿って移動を始める。しかし、第1部分93aはメインギヤ90の外周と同心円状に延びる部分であるため、ボス105が第1部分93aに沿って移動しているときにシャッターレバー102は動作しない。
【0110】
また、メインギヤ90が一方向への回転を開始すると、メインギヤ90に噛合する小径ギヤ101が他方向(例えば図19における反時計回り)に回転する。小径ギヤ101が他方向に回転すると、小径ギヤ101に噛合するシャッターラック103が前方への移動を開始する。そして、第1実施形態と同様、開口D1に対して蓋部82が下方に移動し、その後、蓋部82は前方かつ斜め下方に移動する。このように蓋部82が下方かつ前方に移動することによって開口D1が開放される。
【0111】
また、メインギヤ90が一方向に回転して開口D1が開放され、この開放動作が終了する直前に、シャッターレバー102のボス105が第1溝93の第2部分93bに到達する。そして、図21に示されるように、ボス105が第2部分93bに沿って移動すると、シャッターレバー102の第3部分102cが回転軸102dを中心として上方に揺動する。
【0112】
また、蓋部82の前方への移動に伴ってボス収容部82bが後方からボス106に接近し、ボス収容部82bにボス106を係合させる。そして、ボス収容部82bへのボス106の係合、及び第3部分102cの上方への揺動によって蓋部82が上方に持ち上げられる。このとき、小径ギヤ101へのギヤ部82aの噛合が解除される。このギヤ部82aの噛合の解除を経て、蓋部82による開口D1の開放が完了する。その後は、第1実施形態と同様に、コンバイナ3の上昇、及びコンバイナ3の傾動が行われる。
【0113】
(蓋部82による開口D1の閉塞)
蓋部82に開口D1を閉塞させる動作は、蓋部82に開口D1を開放させる動作とは逆方向かつ逆の順序で各部品が動作する。すなわち、図21に示される状態においてメインギヤ90が他方向に回転すると、ボス105が第2部分93bに沿ってメインギヤ90の径方向内側に移動し、これに伴い、シャッターレバー102の第3部分102cが下方に揺動する。第3部分102cが下方に揺動すると、ボス収容部82bへのボス106の係合が解除されると共に、ギヤ部82aが小径ギヤ101に噛合する。そして、蓋部82及びシャッターラック103が後方かつ斜め上方に移動して、蓋部82が開口D1を閉塞する。
【0114】
以上、第2実施形態に係る表示装置81では、蓋部82、メインギヤ90及び蓋駆動部材100の構成が第1実施形態と異なっており、コンバイナ3が表示面3aの向きを維持した状態で上下移動する点は第1実施形態と共通する。従って、表示装置81では第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0115】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は、前述の各実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明は、特許請求の範囲に記載した要旨を逸脱しない範囲において様々な変形が可能である。
【0116】
例えば、前述の実施形態では、上に凸とされた曲面状の蓋部2、及び平板状のコンバイナ3について説明したが、蓋部及びコンバイナの形状、大きさ及び配置は適宜変更可能である。更に、蓋部2の表面2aが開口D1の閉塞時にダッシュボードDの表面と同一平面上に設けられる例について説明したが、蓋部の表面は、開口の閉塞時にダッシュボードの表面と同一平面上にならなくてもよい。
【0117】
また、前述の実施形態では、表示装置1が外カバー4及び内カバー5を備えており、表示装置1が二重構造のカバーを有する例について説明した。しかしながら、カバーの数、形状及び配置は、上記の例に限られず適宜変更可能である。また、前述の実施形態では、ギヤ部20が駆動ギヤ21及びメインギヤ30を含む例について説明したが、ギヤ部20を構成するギヤの数、ギヤの形状、ギヤの大きさ、及びギヤの配置についても適宜変更可能である。
【0118】
また、前述の第1実施形態では、蓋駆動部材40がシャッターレバー41、シャッターリンク42及びシャッターラック43を備える例について説明した。しかしながら、例えば第2実施形態のように、蓋駆動部材の構成は適宜変更することが可能である。また、シャッターラック43に設けられるボスの数は、2つ(ボス43b,43c)に限られず、1つ又は3つ以上であってもよい。また、表示駆動部材の構成についても、表示駆動レバー61、表示駆動リンク62、チルトリンク63、キャリッジ64、バネ部材65及びチルトレバー66を備えた表示駆動部材60に限られず、適宜変更可能である。
【0119】
また、前述の実施形態では、駆動部10が、蓋部2の下方であって、かつ2枚の内カバー5の間に設けられる例について説明した。しかし、駆動部の配置位置は特に限定されず、駆動部の構成も適宜変更可能である。
【0120】
また、前述の実施形態では、外カバー4、内カバー5、ギヤ部20、蓋駆動部材40及び表示駆動部材60が、左右一対に設けられており、これらの部品が、互いに同一の形状を有し、互いに対称に配置されている例について説明した。しかしながら、これらの部品は、左右対称に設けられていなくてもよく、また、左右で互いに異なる形状であってもよい。
【0121】
また、前述の実施形態では、表示部がコンバイナ3であって表示装置1がダッシュボードDに取り付けられている例について説明した。しかしながら、本発明に係る表示装置は、ダッシュボードD以外の対象物に取り付けられてもよく、表示装置が取り付けられる対象物の種類は特に限定されない。すなわち、蓋部が移動することによって開口を開閉し、かつ、開口に対して上下移動する表示部を備える表示装置であれば、表示装置を適用する対象物は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0122】
1,81…表示装置、2,82…蓋部、3…コンバイナ(表示部)、3a…表示面、4…外カバー(カバー)、5…内カバー(固定部材)、5h…溝部(第4溝)、10…駆動部、30,90…メインギヤ(回転体)、31,91…第1面、32…第2面、33,93…第1溝、34…第2溝、40,100…蓋駆動部材、41,102…シャッターレバー、42…シャッターリンク、43,103…シャッターラック、43b,43c…ボス(第3ボス)、44…ボス(第1ボス)、51,52…溝(第3溝)、60…表示駆動部材、61…表示駆動レバー、62…表示駆動リンク、63…チルトリンク、63a…ボス(第4ボス)、64…キャリッジ、64c…ボス(第5ボス)、65…バネ部材(付勢部材)、66…チルトレバー、66d…溝(第5溝)、67…ボス(第2ボス)、D…ダッシュボード(対象物)、D1…開口。
【要約】
【課題】配置の自由度を高めることができる表示装置を提供する。
【解決手段】一形態に係る表示装置は、ダッシュボードDに取り付けられる表示装置1である。表示装置1は、駆動力を生じる駆動部と、ダッシュボードDの開口D1を開閉する蓋部2と、駆動部の駆動力により蓋部2を移動させる蓋駆動部材40と、所定の情報を表示する表示面3aを有するコンバイナ3と、駆動部の駆動力により、開口D1に対する表示面3aの向きを維持した状態でコンバイナ3を上下移動させ、開口D1の上方において表示面3aを傾動させる表示駆動部材と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21