特許第6227082号(P6227082)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6227082-接続モジュール 図000002
  • 特許6227082-接続モジュール 図000003
  • 特許6227082-接続モジュール 図000004
  • 特許6227082-接続モジュール 図000005
  • 特許6227082-接続モジュール 図000006
  • 特許6227082-接続モジュール 図000007
  • 特許6227082-接続モジュール 図000008
  • 特許6227082-接続モジュール 図000009
  • 特許6227082-接続モジュール 図000010
  • 特許6227082-接続モジュール 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6227082
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】接続モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20171030BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01M2/20 Z
   H01M2/34 B
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-195416(P2016-195416)
(22)【出願日】2016年10月3日
【審査請求日】2017年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 慎一
(72)【発明者】
【氏名】小寺 康彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄介
【審査官】 小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−018741(JP,A)
【文献】 特開2014−146543(JP,A)
【文献】 特開2012−164437(JP,A)
【文献】 特開2013−143281(JP,A)
【文献】 特開2013−105571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/20
H01M 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極の電極端子を有する複数の蓄電素子が並べられた蓄電素子群に取り付けられて前記電極端子間を接続する接続モジュールであって、
前記電極端子間を接続する複数のバスバーを保持する絶縁プロテクタと、
前記絶縁プロテクタに保持され、前記バスバーに接続され前記蓄電素子の状態を検出する検出線が形成されたフレキシブルプリント基板と、を備え、
前記絶縁プロテクタは、
前記バスバーを保持する保持部が一端側に形成されたプロテクタ水平部と、
前記一端側に対向する前記プロテクタ水平部の他端側の少なくとも一部において、前記プロテクタ水平部から垂直方向に延びる垂直部と、を含み、
前記フレキシブルプリント基板は、
前記プロテクタ水平部に保持される基板水平部と、
前記基板水平部に対して垂直に折り曲げられ、前記垂直部に保持される折り曲げ部と、を含む、接続モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の接続モジュールにおいて、
前記絶縁プロテクタは、各バスバーに対応した複数のユニットプロテクタによって構成され、
前記フレキシブルプリント基板は、各ユニットプロテクタに対応した複数のユニット基板によって構成され、
隣接する二つのバスバーの間隙に対応した位置において、
隣接する二つのユニットプロテクタのプロテクタ水平部間には、前記隣接する二つのプロテクタ水平部を連結するとともに、前記間隙よりも長い長さを有するプロテクタ余長部が形成されており、
隣接する二つのユニット基板の基板水平部間には、前記隣接する二つの基板水平部を連結するとともに、前記間隙よりも長い長さを有する水平余長部が形成されており、
隣接する二つのユニット基板の折り曲げ部間には、前記隣接する二つの折り曲げ部を連結するとともに、前記間隙よりも長い長さを有する垂直余長部が形成されている、接続モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の接続モジュールにおいて、
前記水平余長部と、前記垂直余長部との間には開口部が形成されている、接続モジュール。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の接続モジュールにおいて、
前記絶縁プロテクタは、
前記複数の蓄電素子の上面において、前記複数の蓄電素子の並び方向と垂直方向の一端部に取り付けられる第1プロテクタと、
前記複数の蓄電素子の上面において、前記一端部と対向する他端部に取り付けられる第2プロテクタとを含み、
前記フレキシブルプリント基板は、
前記第1プロテクタに保持される第1基板と、
前記第2プロテクタに保持される第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板とを電気的に接続する基板接続部と、を含み、
前記第1プロテクタおよび前記第2プロテクタの一端部には、前記第1プロテクタと前記第2プロテクタとを一体化するとともに、前記基板接続部を載置する載置部が形成されており、
前記第1プロテクタおよび前記第2プロテクタの他端部には、前記第1プロテクタと前記第2プロテクタとを結合する結合部が形成されている、接続モジュール。
【請求項5】
請求項4に記載の接続モジュールにおいて、
前記第1基板および前記第2基板の少なくとも一方には、前記バスバーを介して取り込んだ前記蓄電素子に関する情報を処理するための電子部品が実装されている、接続モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続モジュールに関し、詳しくは、蓄電モジュールに使用される接続モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、正極及び負極の電極端子を備えた蓄電素子を複数並べた蓄電素子群の上面に取り付けられる接続モジュールとして、特許文献1に記載のものが知られている。この種の接続モジュールは、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載された蓄電素子群に取り付けられる。
【0003】
上記文献1の接続モジュール(電池配線モジュール)は、電極端子間を接続する複数のバスバーと、蓄電素子の状態を検出するための複数の導電路(検出線)が形成されたフレキシブルプリント基板と、これら複数のバスバーとフレキシブルプリント基板とを保持する絶縁プロテクタとを備えている。また、フレキシブルプリント基板に補強板を設けることによって、さらに蓄電素子に関する情報を処理するための電気回路を構成する電子部品のフレキシブルプリント基板への実装を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−45508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の接続モジュールでは、フレキシブルプリント基板に電子部品の実装を可能にすることによって、接続モジュールを一層小型化できる。しかしながら、蓄電素子群の高圧化等に伴い、蓄電素子群における蓄電素子の個数が増大するにつれて検出線の数が増大する。その場合、フレキシブルプリント基板の面積も増大する。また、蓄電素子群の上面には、排気用のダクト等が設けられる場合があり、その場合、蓄電素子群の上面上での接続モジュールの占有面積が制限される。そのため、蓄電素子数の増加に対応しつつ、蓄電素子群の上面上での接続モジュールの占有面積を縮小化できる接続モジュールが所望されていた。
【0006】
そこで、本明細書では、蓄電素子数の増加に対応しつつ、蓄電素子群の上面上での接続モジュールの占有面積を縮小化できる接続モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される接続モジュールは、正極及び負極の電極端子を有する複数の蓄電素子が並べられた蓄電素子群に取り付けられて前記電極端子間を接続する接続モジュールであって、前記電極端子間を接続する複数のバスバーを保持する絶縁プロテクタと、前記絶縁プロテクタに保持され、前記バスバーに接続され前記蓄電素子の状態を検出する検出線が形成されたフレキシブルプリント基板と、を備え、前記絶縁プロテクタは、前記バスバーを保持する保持部が一端側に形成されたプロテクタ水平部と、前記一端側に対向する前記プロテクタ水平部の他端側の少なくとも一部において、前記プロテクタ水平部から垂直方向に延びる垂直部と、を含み、前記フレキシブルプリント基板は、前記プロテクタ水平部に保持される基板水平部と、前記基板水平部に対して垂直に折り曲げられ、前記垂直部に保持される折り曲げ部と、を含む。
本構成によれば、絶縁プロテクタは、プロテクタ水平部の他端側の少なくとも一部において、プロテクタ水平部から垂直方向に延びる垂直部を含む。また、蓄電素子の状態を検出する検出線が形成されたフレキシブルプリント基板は、基板水平部に加え、絶縁プロテクタの垂直部に保持される折り曲げ部を含む。そのため、折り曲げ部によって、フレキシブルプリント基板の配線面積を減少させることなく、蓄電素子群上での占有面積を縮小化できる。また、折り曲げ部の面積を蓄電素子数に応じて変更することによって蓄電素子数の増加にも対応できる。すなわち、本構成によれば、蓄電素子数の増加に対応しつつ、蓄電素子群の上面上での接続モジュールの占有面積を縮小化できる。
【0008】
上記接続モジュールにおいて、前記絶縁プロテクタは、各バスバーに対応した複数のユニットプロテクタによって構成され、前記フレキシブルプリント基板は、各ユニットプロテクタに対応した複数のユニット基板によって構成され、隣接する二つのバスバーの間隙に対応した位置において、隣接する二つのユニットプロテクタのプロテクタ水平部間には、前記隣接する二つのプロテクタ水平部を連結するとともに、前記間隙よりも長い長さを有するプロテクタ余長部が形成されており、隣接する二つのユニット基板の基板水平部間には、前記隣接する二つの基板水平部を連結するとともに、前記間隙よりも長い長さを有する水平余長部が形成されており、隣接する二つのユニット基板の折り曲げ部間には、前記隣接する二つの折り曲げ部を連結するとともに、前記間隙よりも長い長さを有する垂直余長部が形成されているようにしてもよい。
本構成によれば、各連結部によって電極端子間のピッチ公差を吸収することができる。
【0009】
また、上記接続モジュールにおいて、前記水平余長部と、前記垂直余長部との間には開口部が形成されているようにしてもよい。
本構成によれば、開口部の大きさを適宜設定することで、一枚のフレキシブルプリント基板から複数のユニット基板、水平余長部、および垂直余長部を、好適に形成することができる。
【0010】
また、上記接続モジュールにおいて、前記絶縁プロテクタは、前記複数の蓄電素子の上面において、前記複数の蓄電素子の並び方向と垂直方向の一端部に取り付けられる第1プロテクタと、前記複数の蓄電素子の上面において、前記一端部と対向する他端部に取り付けられる第2プロテクタとを含み、前記フレキシブルプリント基板は、前記第1プロテクタに保持される第1基板と、第2プロテクタに保持される第2基板と、前記第1基板と前記第2基板とを電気的に接続する基板接続部と、を含み、前記第1プロテクタおよび前記第2プロテクタの一端部には、前記第1プロテクタと前記第2プロテクタとを一体化するとともに、前記基板接続部を載置する載置部が形成されており、前記第1プロテクタおよび前記第2プロテクタの他端部には、前記第1プロテクタと前記第2プロテクタとを結合する結合部が形成されているようにしてもよい。
本構成によれば、電極列が二列に構成される蓄電素子群に対応できるとともに、結合部によって第1プロテクタと第2プロテクタとが結合されているため、接続モジュールを蓄電素子群に取り付ける際の接続モジュールのハンドリングが向上する。それによって、接続モジュールの取り付け作業が効率化される。
【0011】
また、上記接続モジュールにおいて、前記第1基板および前記第2基板の少なくとも一方には、前記バスバーを介して取り込んだ前記蓄電素子に関する情報を処理するための電子部品が実装されているようにしてもよい。
本構成によれば、フレキシブルプリント基板に電子部品が実装されると、フレキシブルプリント基板内における検出線の配線スペースが減少することとなるが、折り曲げ部に検出線を配線することによって、フレキシブルプリント基板の平面面積を増加させることなく配線スペースの減少を補うことできる。そのため、フレキシブルプリント基板に電子部品が実装される本構成において、折り曲げ部をより有効に利用できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の接続モジュールによれば、蓄電素子数の増加に対応しつつ、蓄電素子群の上面上での接続モジュールの占有面積を縮小化できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係る接続モジュールを備えた蓄電モジュールを示す斜視図
図2】一実施形態に係る接続モジュールを示す斜視図
図3図2の部分拡大図
図4】接続モジュールの平面図
図5図4のA−A線における断面図
図6】絶縁プロテクタを示す斜視図
図7図6の部分拡大図
図8】FPCを示す斜視図
図9図8の部分拡大図
図10】バスバーを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
一実施形態を図1から図10を参照して説明する。本実施形態に係る蓄電モジュール10は、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車等の駆動源として使用される。蓄電モジュール10は、図1に示すように、複数(本実施形態では28個)の蓄電素子11が横並びに配置された蓄電素子群12と、蓄電素子群12に取り付けられて複数の蓄電素子11を接続する接続モジュール15とから構成されている。また、蓄電素子群12の上部中央部には、排気用のダクト13が設けられている。なお、図1において矢印Xで示される方向を蓄電モジュール10における左方向とし、矢印Yで示される方向を後方とし、矢印Zで示される方向を上方とする。
【0015】
1.蓄電素子群
図1に示すように、蓄電素子11は、扁平な略直方体形状をなしており、その内部には図示しない発電要素が収容されている。蓄電素子11の上面には、前後方向の両端部寄りの位置に、一対の電極端子14が上方に突出して形成されている。一対の電極端子14の一方は正極端子14Aであり、他方は負極端子14Bである。電極端子14は、雄ねじ状に形成されている。各蓄電素子11の正負の向きは、互いに隣り合う蓄電素子11において逆向きになっており、これにより互いに異極の電極端子14が隣り合うように構成されている。この構成によって形成された電極列が、蓄電素子群12の上面においてダクト13を挟んで前後二列に配置されている。電極端子14は接続モジュール15に保持されたバスバー40を挟んでナット(図示せず)で締め付けられる。複数の蓄電素子11は、詳しくは図示しないが、保持板等の公知の固定手段により固定されている。
【0016】
2.接続モジュールの構成
図1に示すように、蓄電素子群12の上面には、蓄電素子11の並び方向(矢印X方向)に沿って細長い接続モジュール15が配置されている。
接続モジュール15は、大まかには、図2および図3に示されるように、電極端子14間を接続する複数のバスバー40を保持する絶縁プロテクタ30と、絶縁プロテクタ30に保持され、バスバー40に接続され蓄電素子11の状態を検出する検出線28(図9参照)が形成されたフレキシブルプリント基板(以下、単に「FPC」と記す)20とを備える。後述するように、絶縁プロテクタ30は、2列の電極列に対応して2本が互いに平行に配される一方(図6参照)、FPC20はU字形(図8参照)をなして形成されている。
【0017】
2−1.絶縁プロテクタ
絶縁プロテクタ30は、合成樹脂からなり、図6に示されるように、各バスバー40に対応した複数のユニットプロテクタ30Uによって構成されている。各ユニットプロテクタ30Uは、図7に示されるように、バスバー40を保持する保持部(31A,31B)が一端側に形成されたプロテクタ水平部31と、一端側に対向するプロテクタ水平部31の他端側において、プロテクタ水平部31から垂直方向に延びる垂直部32と、を含む。
【0018】
プロテクタ水平部31の前方一端部に形成されたバスバー40の保持部は、一対の挟持部31Aと、一対の係止爪部31Bとを含む。一対の係止爪部31Bはバスバー40に形成された一対の係止溝43(図10参照)と係合する。また、一対の挟持部31Aは、一対の係止爪部31Bと共にバスバー40を挟む。それによって、バスバー40は、プロテクタ水平部31に一端に保持される(図5参照)。また、プロテクタ水平部31には、FPC20に形成された貫通孔21Bに貫通してFPC20を係止する一対の係止柱31Cが形成されている。なお、保持部の構成は、一対の挟持部31Aおよび一対の係止爪部31Bに限られない。
【0019】
また、隣接する二つのユニットプロテクタ30Uのプロテクタ水平部31間には、図7に示されるように、二つのプロテクタ水平部31を連結するプロテクタ余長部33が、プロテクタ水平部31間の前後端部の位置に一対形成されている(図5参照)。各プロテクタ余長部33は、隣接する二つのバスバー40の間隙K1(図4参照)よりも長い長さを有し、それによって湾曲部を形成するように設けられている。その湾曲部が電極端子間のピッチ公差に応じて変形することによって、電極端子間のピッチ公差を吸収できる。なお、プロテクタ余長部33は、一対形成されることに限られず、例えば、プロテクタ水平部31間の中央部の位置に一個形成されてもよい。
【0020】
また、ユニットプロテクタ30Uの垂直部32には、FPC20を係止するための、係止部32Aと一対の係止柱32Bとが形成されている。なお、一部のユニットプロテクタ30UAは、図6に示されるように、垂直部32を含まない。
【0021】
また、絶縁プロテクタ30は、本実施形態では、図6に示されるように、複数の蓄電素子11の上面において、複数の蓄電素子11の並び方向と垂直方向(図1の矢印Y方向)の一端部(本実施形態では後方の端部)に取り付けられる第1プロテクタ30Aと、複数の蓄電素子11の上面において、一端部と対向する他端部(本実施形態では前方の端部)に取り付けられる第2プロテクタ30Bとを含む。
【0022】
図6に示されるように、第1プロテクタ30Aは、複数のユニットプロテクタ30Uによって構成されている。詳細には、本実施形態では、第1プロテクタ30Aは、7個のユニットプロテクタ30Uと8個のユニットプロテクタ30UAとによって構成されている。また、第2プロテクタ30Bは、複数(本実施形態では14個)のユニットプロテクタ30Uによって構成されている。
【0023】
また、図6に示されるように、第1プロテクタ30Aおよび第2プロテクタ30Bの一端部(本実施形態では左側の端部)には、第1プロテクタと第2プロテクタとを一体化するとともに、後述する基板接続部26(図8参照)を載置する載置部36が形成されている。一方、第1プロテクタおよび第2プロテクタの他端部(本実施形態では右側の端部)には、第1プロテクタ30Aと第2プロテクタ30Bとを結合する結合部37が形成されている。
【0024】
2−2.FPC
FPC20は、ポリイミドフィルム等からなる絶縁性のベースフィルムと、検出線28とを含む。FPC20は、図8に示されるように、各ユニットプロテクタ30Uに対応した複数のユニット基板20Uによって構成されている。また、ユニット基板20Uは、図9に示されるように、絶縁プロテクタ30のプロテクタ水平部31に保持される基板水平部21と、基板水平部21に対して垂直に折り曲げられ、絶縁プロテクタ30の垂直部32に保持される折り曲げ部22と、を含む。なお、図9において、検出線28の一部のみが破線で示されている。
【0025】
ユニット基板20Uの基板水平部21には、図9に示されるように、バスバー40の一対の検出端子42(図10参照)に接続される接続ランド21A、および一対の貫通孔21Bが形成されている。接続ランド21Aは検出線28に接続されている。一方、折り曲げ部22には、一対の貫通孔22Aが形成されている。一対の貫通孔22Aには、ユニットプロテクタ30Uの垂直部32の一対の係止柱32Bが貫通する。なお、一部のユニット基板20UAは、図8に示されるように、折り曲げ部22を含まない。
【0026】
また、隣接する二つのバスバー40の間隙K1(図4参照)に対応した位置において、隣接する二つのユニット基板20Uの基板水平部21間には、水平余長部23が形成され、隣接する二つのユニット基板20Uの折り曲げ部22間には、垂直余長部24が形成されている。各余長部23,24は、図9に示されるように、隣接する二つのバスバー40の間隙K1よりも長い長さを有し、それによって湾曲部を形成するように設けられている。その湾曲部が、プロテクタ余長部33と同時に、電極端子間のピッチ公差に応じて変形することによって、電極端子間のピッチ公差を吸収できる。
【0027】
また、水平余長部23と垂直余長部24との間には、図9に示されるように、開口部25が設けられている。開口部25の大きさおよび形状を適宜設定することで、一枚のフレキシブルプリント基板20から複数のユニット基板20U、水平余長部23、および垂直余長部24を、好適に形成することができる。なお、開口部25は省略されてもよい。その場合、水平余長部23あるいは垂直余長部24の形状等によって、開口部25の機能、すなわち、一枚のフレキシブルプリント基板20から、基板水平部21および折り曲げ部22を含む複数のユニット基板20U、水平余長部23、および垂直余長部24を形成する機能を有するようにすればよい。
【0028】
また、FPC20は、本実施形態では、図8に示されるように、第1プロテクタ30Aに保持される第1基板20Aと、第2プロテクタ30Bに保持される第2基板20Bと、第1基板20Aと第2基板20Bとを接続する基板接続部26とによって構成されている。
【0029】
図8に示されるように、第1基板20Aは、複数のユニット基板20Uによって構成されている。詳細には、本実施形態では、第1基板20Aは、7個のユニット基板20Uと8個のユニット基板20UAとによって構成されている。また、第2基板20Bは、複数(本実施形態では14個)のユニット基板20Uによって構成されている。
【0030】
なお、第1基板20Aの一部においてユニット基板20UAが使用されるのは、ユニット基板20UAが使用される位置においては、検出線28の本数が少なくてすむため、検出線28の配線のために折り曲げ部22が必要とされないことによる。なお、これに限られず、第1基板20Aは、全てユニット基板20Uによって構成されてもよいし、全てユニット基板20UAによって構成されてもよい。また、第2基板20Bにおいても、一部、ユニット基板20UAが使用されてもよい。ユニット基板20UAに対応してユニットプロテクタ30UAが使用される。
【0031】
また、本実施形態では、基板接続部26は、第1基板20Aと一体に形成されている。基板接続部26の先端部に形成された検出線28の接続端子部26Aが、第2基板20Bに、例えば半田接続されることによって、第1基板20Aと第2基板20Bとが電気的に接続される。
【0032】
また、本実施形態では、第2基板20Bは両面基板で構成され、図8に示されるように、例えば第2基板20Bの表面基板側には、バスバー40を介して取り込んだ蓄電素子11に関する情報、例えば、蓄電素子11の電圧を処理するための電子部品(29、29A)が実装されている。電子部品29は、例えば、抵抗、コンデンサ、サーミスタ等である、電子部品29Aは、例えば、CPU等の制御素子である。
【0033】
2−3.バスバー
バスバー40は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属からなる。バスバー40には、図10に示されるように、隣り合う電極端子14間の寸法(電極ピッチ)に応じた間隔で形成され、電極端子14が挿通される一対の端子挿通孔41が、形成されている。なお、外部接続電極用バスバー40Aには、端子挿通孔41が1つだけ貫通形成されている(図2図3参照)。端子挿通孔41の形状は、蓄電素子11の並び方向(図1の矢印X方向)に長い長円形状をなす。
【0034】
また、バスバー40の蓄電素子11の並び方向、言い換えれば、バスバー40の並び方向(図1の矢印X方向)の両側縁には、図10に示すように、バスバー40をプロテクタ水平部31に保持させるための一対の係止溝43が形成されている。一対の係止溝43は、上記したように、プロテクタ水平部31の一対の係止爪部31Bと係合することによって、プロテクタ水平部31に保持させる。
【0035】
また、バスバー40には、図10に示すように、蓄電素子11の電圧を検出するための一対の検出端子42が形成されている。一対の検出端子42は、上記したように、基板水平部21の接続ランド21Aに、例えば半田によって接続される。
【0036】
3.組立手順
本実施形態に係る蓄電モジュール10の組立手順を説明する。
図1に示すように、28個の蓄電素子11を、隣り合う蓄電素子11において正負が逆向きとなった形態で重ねて並べることにより、蓄電素子群12が形成される。
【0037】
一方、図8に示すように、第1基板20Aと第2基板20Bとを基板接続部26で接続して、U字形をなすFPC20が形成される。第2基板20Bの表面に対し、CPU29Aを含む電子部品29をリフロー半田付けにより実装する。併せてコネクタ部50も第2基板20Bに装着する。
【0038】
次に、FPC20を、図6に示される絶縁プロテクタ30上に取り付ける。そして、絶縁プロテクタ30の各プロテクタ水平部31の保持部31A、31Bにバスバー40を保持させる。次いで、バスバー40の検出端子42を、FPC20の各基板水平部21の接続ランド21Aに、半田付けする。それによって、図2に示されるような接続モジュール15が形成される。
【0039】
以上のように形成された接続モジュール15が、図1に示すように、蓄電素子群12の上面の所定位置に載置される。すなわち、蓄電素子群12の上面中央部設けられた排気用のダクト13を囲むように、接続モジュール15が蓄電素子群12の上面の所定位置に載置される。このとき、バスバー40の端子挿通孔41に、蓄電素子11の対応する電極端子14をそれぞれ挿通し、各電極端子14にナット(図示せず)を螺合させて締め付けることにより、電極端子14とバスバー40とが接続される。これを以て蓄電モジュール10が形成されることになる。その際、ユニットプロテクタ30Uのプロテクタ水平部31、およびユニット基板20Uに形成された各余長部33,23,24が変形して隣り合うプロテクタ水平部31の間隔が変化する。それによって、隣り合う二つの蓄電素子11間に生じる電極端子14間のピッチ公差を吸収することができる。なお、上記の組立手順は一例に過ぎず、手組順序はこれに限定されない。
【0040】
4.本実施形態の効果
絶縁プロテクタ30は、プロテクタ水平部31の他端側の少なくとも一部において、プロテクタ水平部31から垂直方向に延びる垂直部32を含む。また、蓄電素子11の状態を検出する検出線が形成されたフレキシブルプリント基板20は、基板水平部21に加え、絶縁プロテクタの垂直部32に保持される折り曲げ部22を含む。そのため、折り曲げ部22によって、フレキシブルプリント基板20の配線面積を減少させることなく、蓄電素子群12上での占有面積を縮小化できる。それによって、蓄電素子群12の上面中央部に排気用のダクト13等が設けられ、接続モジュール15の設置に制限のある蓄電素子群12にも対応できる。また、折り曲げ部22の面積を蓄電素子数に応じて変更することによって蓄電素子数の増加にも対応できる。すなわち、本実施形態によれば、蓄電素子数の増加に対応しつつ、蓄電素子群の上面上での接続モジュール15の占有面積を縮小化できる。
【0041】
また、絶縁プロテクタ30は、各バスバー40に対応した複数のユニットプロテクタ30Uによって構成され、フレキシブルプリント基板20は、各ユニットプロテクタ30Uに対応した複数のユニット基板20Uによって構成されている。そして、隣接する二つのユニットプロテクタ30Uのプロテクタ水平部31は、間隙K1よりも長い長さを有するプロテクタ余長部33によって連結されている。また、隣接する二つのユニット基板20Uの基板水平部21は、間隙K1よりも長い長さを有する水平余長部23によって連結され、隣接する二つのユニット基板20Uの折り曲げ部22は、間隙K1よりも長い長さを有する垂直余長部24によって連結されている。そのため、各余長部23,24.33が電極端子間のピッチ公差に応じて、蓄電素子11の並び方向(図1の矢印X方向)に変形すること、すなわち、各余長部23,24.33が二つのバスバー40の間隙K1を拡げたり狭めたりするように変形することによって電極端子間のピッチ公差を吸収することができる。
【0042】
また、電極列が二列に構成される蓄電素子群12に対応できるとともに、結合部37によって第1プロテクタ30Aと第2プロテクタ30Bとが結合されているため、接続モジュール15を蓄電素子群12に取り付ける際の接続モジュール15のハンドリングが向上する。それによって、接続モジュール15の取り付け作業が効率化される。
【0043】
また、フレキシブルプリント基板20に電子部品29が実装されると、フレキシブルプリント基板内における検出線28の配線スペースが減少することとなる。しかしながら、折り曲げ部22に検出線28を配線することによって、フレキシブルプリント基板20の平面面積(占有面積)を増加させることなく配線スペースの減少を補うことできる。そのため、フレキシブルプリント基板20に電子部品29が実装される本実施形態において、折り曲げ部22をより有効に利用できる。
【0044】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0045】
(1)上記実施形態では、絶縁プロテクタ30が複数のユニットプロテクタ30Uによって構成され、FPC20が複数のユニット基板20Uによって構成される例を示したが、これに限られない。絶縁プロテクタ30は連結部を有さない一体型の絶縁プロテクタによって構成され、FPC20は連結部を有さない一体型のFPCによって構成されてもよい。
【0046】
また、絶縁プロテクタ30が第1プロテクタ30Aおよび第2プロテクタ30Bによって構成され、FPC20が第1基板20Aおよび第2基板20Bによって構成される例を示したが、これに限られない。絶縁プロテクタ30は、載置部および結合部を有さず、一個の絶縁プロテクタによって構成され、FPC20は接続部を有さず、一枚のFPCによって構成されてもよい。
【0047】
(2)上記実施形態では、第2基板20Bに電子部品29,29Aが実装される例を示したが、これに限られない。すなわち、FPC20に、電子部品29,29Aが実装されなくてもよい。
【符号の説明】
【0048】
11…蓄電素子
12…蓄電素子群
14…電極端子
15…接続モジュール
20…FPC(フレキシブルプリント基板)
20A…第1基板
20B…第2基板
20U…ユニット基板
21…基板水平部
22…折り曲げ部
23…水平余長部
24…垂直余長部
25…開口部
26…基板接続部
29…電子部品
29A…CPU(電子部品)
30…絶縁プロテクタ
30A…第1プロテクタ
30B…第2プロテクタ
30U…ユニットプロテクタ
31A…挟持部(保持部)
31B…係止爪部(保持部)
33…プロテクタ余長部
36…載置部
37…結合部
40…バスバー
【要約】
【課題】蓄電素子数の増加に対応しつつ、蓄電素子群の上面上での接続モジュールの占有面積を縮小化できる接続モジュールを提供すること。
【解決手段】接続モジュール15は、電極端子間を接続する複数のバスバー40を保持する絶縁プロテクタ30と、絶縁プロテクタ30に保持され、バスバー40に接続され蓄電素子の状態を検出する検出線が形成されたフレキシブルプリント基板20と、を備える。絶縁プロテクタ30は、バスバー40を保持する保持部31Aが一端側に形成されたプロテクタ水平部31と、一端側に対向するプロテクタ水平部31の他端側の少なくとも一部において、プロテクタ水平部31から垂直方向に延びる垂直部32と、を含む。フレキシブルプリント基板20は、プロテクタ水平部31に保持される基板水平部21と、基板水平部1に対して垂直に折り曲げられ、垂直部32に保持される折り曲げ部22と、を含む。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10