特許第6227108号(P6227108)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6227108ウェイストゲートバルブ及び当該ウェイストゲートバルブを有するターボチャージャー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227108
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】ウェイストゲートバルブ及び当該ウェイストゲートバルブを有するターボチャージャー
(51)【国際特許分類】
   F02B 37/18 20060101AFI20171030BHJP
   F02B 39/00 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   F02B37/18 B
   F02B37/18 F
   F02B37/18 M
   F02B39/00 S
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-500650(P2016-500650)
(86)(22)【出願日】2014年3月5日
(65)【公表番号】特表2016-510856(P2016-510856A)
(43)【公表日】2016年4月11日
(86)【国際出願番号】US2014020657
(87)【国際公開番号】WO2014149739
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2017年3月3日
(31)【優先権主張番号】13/838,006
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512309299
【氏名又は名称】デイコ アイピー ホールディングス,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】DAYCO IP HOLDINGS,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ・マーキヴェチ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ディヴィッド・フレッチャー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・グレイチェン
【審査官】 川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−513777(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0064678(US,A1)
【文献】 実開昭63−182234(JP,U)
【文献】 実開昭59−025749(JP,U)
【文献】 米国特許第04245953(US,A)
【文献】 特開昭59−065517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/18
F02B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェイストゲートバルブに作用的に接続されたアクチュエータを包囲するハウジングであって、前記ハウジングの端部において圧潰シールで終端する、ハウジングと;
ターボチャージャー内のウェイストゲート開口部を規定する前記ターボチャージャーの表面に対してシール係合して前記圧潰シールを取り付けるために、前記ターボチャージャーの取付面に接続可能な少なくとも1つの取付部材と;
を備える、ターボチャージャーのためのウェイストゲート組立体であって、
前記ウェイストゲートバルブが、前記ウェイストゲート開口部と遠位の部分的に閉鎖された第1端部と、前記ウェイストゲート開口部と接近した開放された第2端部と、を有する細長いシリンダ状のスリーブを含んでおり、
前記圧潰シールが、前記シール係合によって永久的に変形され、且つ少なくとも前記少なくとも1つの取付部材と、前記ターボチャージャーの前記取付面と、の間の公差の変化を修正することを特徴とするウェイストゲート組立体。
【請求項2】
前記ハウジングが、前記ウェイストゲートバルブに作用的な関係で配置された窓を規定し、閉鎖位置では、前記ウェイストゲートバルブは、前記窓を閉鎖し、開放位置では、部分的又は完全に、前記窓は、前記ハウジングの入口と流体連通することを特徴とする請求項1に記載のウェイストゲート組立体。
【請求項3】
前記アクチュエータが、前記ウェイストゲートバルブを前記閉鎖位置に向かって付勢するための付勢力を有するバネをさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載のウェイストゲート組立体。
【請求項4】
前記部分的に閉鎖された第1端部が、前記アクチュエータに作用的に接続されたロッドに接続されていることを特徴とする請求項1に記載のウェイストゲート組立体。
【請求項5】
前記部分的に閉鎖された第1端部が、複数の開口部を有する格子を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のウェイストゲート組立体。
【請求項6】
前記アクチュエータが、ソレノイド及び電機子を備え、且つ外部電気デバイスと電気的に接続可能な電気コネクタをさらに備えていることを特徴とする請求項1又は3に記載のウェイストゲート組立体。
【請求項7】
前記ウェイストゲートバルブの位置に対する前記アクチュエータの一部の位置を感知するための位置センサをさらに備えていることを特徴とする請求項に記載のウェイストゲート組立体。
【請求項8】
前記電気コネクタが、前記位置センサに電気的に接続されていることを特徴とする請求項7に記載のウェイストゲート組立体。
【請求項9】
前記ハウジングが、前記アクチュエータと前記ウェイストゲートバルブとの間に配置された断熱材を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のウェイストゲート組立体。
【請求項10】
前記ウェイストゲート開口部が、前記ウェイストゲートバルブを包囲する前記ハウジングの一部と連続的に流体連通していることを特徴とする請求項1に記載のウェイストゲート組立体。
【請求項11】
回転軸を規定する共通のシャフト上でともに作用的に結合されたタービン及びコンプレッサホイールを包囲するハウジングであって、前記タービンを収納する部分にウェイストゲート開口部を規定する、ハウジングと;
前記ウェイストゲート開口部に直接取り外し可能に取り付けられた使い捨て可能なウェイストゲート組立体であって、前記ウェイストゲート開口部からの排出ガスの流れを制御するためのウェイストゲートバルブを備える、ウェイストゲート組立体と;
を備えるターボチャージャー組立体であって、
前記ウェイストゲートバルブが、前記ウェイストゲート開口部と接近して据え付けられた開放された端部と、当該端部の反対側の部分的に開放された端部と、を規定し、
前記使い捨て可能なウェイストゲート組立体が、圧潰シールで終端し、前記圧潰シールが、シール係合を形成するために、前記使い捨て可能なウェイストゲート組立体によって前記ウェイストゲート開口部に対して永久的に且つ固定して変形されることを特徴とするターボチャージャー組立体。
【請求項12】
前記圧潰シールが、S字状の断面を有することを特徴とする請求項11に記載のターボチャージャー組立体。
【請求項13】
前記ウェイストゲート組立体が、アクチュエータ及び自己調整センサをさらに含んでいることを特徴とする請求項11に記載のターボチャージャー組立体。
【請求項14】
前記自己調整センサが、前記ウェイストゲートバルブの位置に対する前記アクチュエータの一部の位置を感知するための位置センサを含んでいることを特徴とする請求項13に記載のターボチャージャー組立体。
【請求項15】
付プレートであって、当該取付プレートを貫通する第1開口部及び第2開口部を有する、取付プレートと;
タービンの出口端部に接続された前記取付プレートを有するターボチャージャーであって、前記第1開口部が前記タービンの軸方向出口通路と整列し、前記第2開口部が前記タービンの前記出口端部のウェイストゲート開口部と整列し、前記取付プレート及び前記ターボチャージャーが、前記ウェイストゲート開口部を前記第2開口部に接続する通路を規定する、ターボチャージャーと;
ウェイストゲートバルブを収納し且つ圧潰シールで終端するウェイストゲート組立体であって、前記ウェイストゲート組立体が、前記通路を開閉するために、前記ウェイストゲート開口部を前記取付プレートの前記第2開口部に接続する前記通路内に前記ウェイストゲートバルブが配置され前記取付プレートに取り付けられ、前記圧潰シールが、シール係合を形成するために、前記タービンに対して永久的に変形され且つ前記ウェイストゲート開口部を取り囲む、ウェイストゲート組立体と;
を備えることを特徴とするターボチャージャー組立体。
【請求項16】
前記取付プレートが、前記ターボチャージャーに取り外し可能に取り付けられ、前記ウェイストゲート組立体が、前記取付プレートに取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項15に記載のターボチャージャー組立体。
【請求項17】
前記ウェイストゲート組立体が、ソレノイド及び電機子を備えるアクチュエータを含んでおり、且つ外部電気デバイスと電気的に接続可能な電気コネクタをさらに備えることを特徴とする請求項15に記載のターボチャージャー組立体。
【請求項18】
前記ウェイストゲートバルブの位置に対する前記アクチュエータの一部の位置を感知するための位置センサをさらに備えていることを特徴とする請求項17に記載のターボチャージャー組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェイストゲートバルブに関し、より具体的に、ターボチャージャーの交換可能な自己調整ウェイストゲートバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボチャージャーは、大気よりも高い圧力(ブースト圧力)で内燃機関のインテークに空気を供給するための周知の装置である。図1において参照符号10で全体として示される従来のターボチャージャーは、基本的に、タービンセクション1内に排出ガス被駆動タービンホイール5を備え、排出ガス被駆動タービンホイール5は、タービンハウジング4内で回転可能シャフトに取り付けられている。例えば、求心タービンでは、タービンハウジング4は、タービンホイールの周囲に環状入口通路と、タービンホイールから延在する、全体としてシリンダ状の軸方向出口通路11と、を規定している。タービンホイールの回転は、コンプレッサセクション2のコンプレッサハウジング6内でシャフトの他端に取り付けられたコンプレッサホイールを回転させる。コンプレッサホイールは、圧縮空気をエンジンのインテークマニホールドに送り、それによりエンジン出力を増大させる。
【0003】
ウェイストゲートを組み込むターボチャージャーは、図1で説明されるように同様に周知である。ウェイストゲートを有するターボチャージャーは、タービンハウジングの排出ガス入口部分と排出ガス出口部分との間にバイパス通路を有し、これにより、ターボチャージャーのブースト圧力を制御することを可能にする。ウェイストゲートバルブ組立体13が、通路内に位置づけられ、且つブースト空気の圧力レベルが所定レベルまで増大したときに通路を開放するために制御され、従って、排出ガスのいくらかがタービンホイールを迂回することを可能にし、ブースト圧力がさらに上昇することを防止する。ウェイストゲートバルブ13は、通常、コンプレッサホイールによって送られた過給空気圧力によって稼働される空気圧式アクチュエータ22によって作動される。空気圧式アクチュエータ22は、コンプレッサハウジング6に取り付けられたキャニスタ(アクチュエータ缶と称される)24内に収納された、バネ搭載型ダイアフラム又はスライドシールを備えている。ダイアフラムシールは、ウェイストゲートバルブ組立体13を作動させる接続ロッド26に作用する。アクチュエータ缶24は、ホースを介してコンプレッサ出口に接続され、ダイアフラム(又はスライドシール)に作用する缶にブースト空気を送り、バネの付勢に対抗する。低ブースト状態の下ではウェイストゲートバルブ13aが閉じたままであるように、バネは選択され、アクチュエータ及びウェイストゲートバルブは最初にセットされる。しかしながら、ブースト圧力が所定の最大値に達すると、ダイアフラムシールは、バネの作用に対抗して動かされ、(接続アクチュエータロッドを介して)ウェイストゲートバルブ13aを開くように稼働し、それにより、いくらかの排出ガスがタービンホイールを迂回することを可能にする。
【0004】
従来のウェイストゲートバルブのこれらのタイプでは、ウェイストゲートバルブが開き始める圧力(“リフトオフ圧力”)は、ウェイストゲートバルブの稼働に不可欠である。従って、ウェイストゲートバルブは、空気圧式アクチュエータ22及びウェイストゲートバルブ組立体13がターボチャージャーに組み込まれたときには、極めて注意してセットされなければならない。ダイアフラムが動き始める、正確なアクチュエータ缶24の圧力は、使用されるバネの予め加えられた負荷に依存している。不運なことに、バネの製造公差の変化は、1つのバネから次のバネへバネ定数の変化が起こり得ることを意味し、リフトオフ圧力を決定するために各ターボチャージャーを調整することを個々に必要とする。
【0005】
上述した従来のアクチュエータ組立体の最初のセットアップを実行する1つの方法は、“セットするための溶接”として公知なプロセスである。アクチュエータ缶24、作動ロッド26及びアクチュエータレバー28は、予め組み立てられてターボチャージャー10に取り付けられる。そして、ウェイストゲートバルブ13aは、タービンハウジング4内から閉じてクランプされ、アクチュエータ缶24は、所望のリフトオフ圧力に加圧される。ダイアフラム、アクチュエータロッド26及びバルブ13aがリフトオフする直前のそれらのそれぞれの相対位置に保持された状態で、アクチュエータレバーの端部は、バルブステムに溶接される。従って、所定のリフトオフ圧力以上のアクチュエータに供給される圧力の任意の増大は、バルブ13aを開かせる。
【0006】
上述したものに対する公知の代替案は、長さが調節可能なアクチュエータロッドを使用することであり、このアクチュエータロッドは、一般的に、ネジ山付きロッド及びロッド端部を備えている。設定点は、ロッド端部を回転させること又はロッド端部組立体内に捕らえられたナットを回転させることによって、ロッドの長さを調節することによって達成される。この方法を使用する場合でさえ、それでも、リフトオフ圧力を決定するために、各ターボチャージャーを個々に調整することが必要である。
【0007】
組立プロセス及び組み合わせられる調整プロセスは、非常に時間がかかる。さらに、組み立てられると、欠陥のある空気圧式アクチュエータ22及び/又はウェイストゲートバルブ組立体13を交換することが困難である。従来の実行は、ターボチャージャーが、据え付けられたウェイストゲートアクチュエータ20及びウェイストゲートバルブ組立体13により予め調整されるので、ターボチャージャー組立体全体を交換することである。これは、高価な交換である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書には、ターボチャージャーのタービンスクロールに直接取り付け可能な、実用的な(交換可能な)自己調整ウェイストゲートバルブが開示される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一側面では、バルブに作用的に接続されたアクチュエータを包囲するハウジングであって、圧潰シールで終端し、且つターボチャージャーに接続可能な取付部材を有し、これにより、圧潰シールをターボチャージャーのウェイストゲート開口部とシール係合して取り付ける、ハウジングを含むウェイストゲート組立体が開示される。圧潰シールが、少なくとも、取付部材と、取付部材が取り付けられるターボチャージャーの表面と、の間の公差の変化を修正する。圧潰シールは、ウェイストゲート開口部を規定する表面と、ウェイストゲート組立体の取付部材と、の間に積み重ねられた組立体の他の構成要素の間の公差の変化を修正してもよい。
【0010】
別の側面では、回転軸を規定する共通のシャフト上でともに作用的に結合されたタービン及びコンプレッサホイールを包囲し且つタービンを収納する部分にウェイストゲート開口部を規定するハウジングと、ウェイストゲート開口部に直接取り外し可能に取り付けられ、且つタービンを迂回するためにウェイストゲート開口部からの排出ガスの流れを制御するためのバルブを有する使い捨て可能なウェイストゲート組立体と、を含んでいるターボチャージャー組立体が開示される。
【0011】
さらに別の側面では、取付プレートと、タービンセクションの出口端部に接続された取付プレートを有するターボチャージャーと、取付プレートに取り付けられたその中にバルブを有するウェイストゲート組立体と、を含むターボチャージャー組立体が開示される。取付プレートは、第1開口部及び第2開口部を有し、且つターボチャージャーに取り付けられたときには第1開口部がタービンセクションの軸方向出口通路と整列し、第2開口部がウェイストゲート開口部と整列する。取付プレートは、この取付位置では、ウェイストゲート開口部を取付プレートの第2開口部に接続する通路を規定する。ウェイストゲート組立体は、取付プレートに取り付けられ、このため、バルブは、通路を開閉するためにこの通路内に配置され、これにより、ウェイストゲート開口部を通じてタービンを迂回する排出ガスの流れを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来のダイアフラム稼働ウェイストゲートバルブを有する従来のターボチャージャーの一実施形態の側面斜視図である。
図2】圧力平衡ウェイストゲート組立体の斜視図である。
図3】ターボチャージャーのタービンセクションの出口通路端部に取り付けられた図2の圧力平衡ウェイストゲート組立体の長手方向断面図である。
図4】閉鎖位置にある図2の圧力平衡ウェイストゲート組立体の下部の長手方向断面図である。
図5】部分的な開放位置にある図2の圧力平衡ウェイストゲート組立体の下部の長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明は、本発明の全体的な原理を説明し、本発明の例は、添付の図面でさらに説明される。図面において、同様の参照符号は、同一の又は機能的に類似する要素を示す。
【0014】
内燃機関ターボシステムは、通常、ターボチャージャーの稼働パラメータを制御する以下の構成要素、タービンセクション及びコンプレッサセクションを有する排出ガス被駆動ターボチャージャーと、一般にウェイストゲートと称されるタービンバイパスバルブと、を含んでいる。排出ガス被駆動ターボチャージャーは、通常、タービンホイールを収容する排気ハウジングを含んでおり、タービンホイールは、排出エネルギーを利用して共通のシャフトを通じて機械的仕事に変換し、コンプレッサホイールを回転させ、コンプレッサホイールは、空気を取り込み、圧縮し、内燃機関の入口へ高い稼働圧力で送る。ウェイストゲートは、内燃機関のエキゾーストマニホールドから入ってくる排出ガス体積と、排出ガス被駆動ターボチャージャータービンホイールに動力を供給するために利用可能なエネルギーと、を計量するために使用される制御バルブである。ウェイストゲートは、排出ガスがタービンホイールから離れるように流れるようにバルブをバイパスに開放することによって動作し、それにより、排出ガス被駆動ターボチャージャーの速度と、内燃機関インテークマニホールドの結果的な稼働圧力と、にわたって直接的に制御する。
【0015】
図2を参照すると、全体として符号160で示されるウェイストゲート組立体は、断熱材168によって離される2つのセクション、アクチュエータセクション165及びバルブセクション166に分割されるカートリッジ体164を備えるハウジング162を含み、この断熱材は、2つのセクションの間のシールとして作用してもよい。また、ハウジング162は、キャップ170を含み、キャップ170は、その中に組み込まれた電気コネクタ172を有し、アクチュエータセクション165の一部をカバーする。バルブセクション166内に収納されたバルブ176に作用的に接続されたアクチュエータ174(図3)が、アクチュエータセクション165内に包囲されている。バルブセクション166は、ウェイストゲート組立体160をターボチャージャー100に接続するための取付部材179を含み、且つ圧潰シール178で終端している。圧潰シールの重要性は、押しつぶされることが可能であることが、取付面、例えば取付部材179と取付プレート230との間の公差の変化、それによりハウジング104の出口端部118の公差の変化を許容することである。取付部材179は、ターボチャージャー100内のウェイストゲート開口部116(図3参照)とシール係合して圧潰シール178を取り付けるために配置されている。圧潰シール178は、押しつぶされることが可能であれば、どのようなサイズ、形状及び形態を有してもよい。説明される実施形態では、圧潰シール178は、S字状の断面を有する。しかしながら、圧潰シールは、それに限定されない。
【0016】
図3から分かるように、ウェイストゲート組立体160のハウジング162、特にバルブセクション166は、バルブ176と作用的な関係で配置された窓180を規定している。閉鎖位置(図4)では、バルブ176は、窓180を閉鎖し、開放位置(図5)では、窓180は、部分的であれ完全にであれ、ハウジング162のバルブセクション166内で入口182と流体連通している。
【0017】
ウェイストゲート組立体160のアクチュエータ174は、ソレノイド202と、電機子204と、バルブ176のロッド197に電機子204を接続するためのコネクタ206と、バルブ176を(図4に示されるような)閉鎖位置に向かって付勢するためにコネクタ206上で据え付けられたバネ208と、ソレノイド202を稼働させるために外部電気デバイスに電気的に接続可能な電気コネクタ172と、を含んでいる。また、アクチュエータ174は、バルブ176の位置に対する、アクチュエータ174の一部、例えば図3に示されるようなコネクタ206の位置を感知するための位置センサ210を含んでもよい。ソレノイド202に作用的に電気的に接続された電気コネクタ172は、位置センサ210に電気的に接続されてもよい。電気コネクタ172は、電気コネクタ172を外部デバイスに接続するためにケーブル(図示せず)を受容することができるプラグ又はレセプタクルであってもよい。
【0018】
位置センサ210は、位置測定を可能にするのであればいかなるデバイスであってもよい。位置センサ210は、容量性トランスデューサ、渦電流センサ、グレーティングセンサ、ホール効果センサ、誘導式非接触位置センサ、レーザードップラー振動計(光学式)、線形可変差動変圧器(LVDT)、多軸変位トランスデューサ、フォトダイオードアレイ、圧電トランスデューサ(圧電式)、ポテンショメータ、近接センサ(光学式)、地震応答変位ピックアップ、ストリングポテンショメータ(ストリングポット、ストリングエンコーダ、ケーブル位置トランスデューサとも称される)又はそれらの組み合わせであってもよい。図3から図5の実施形態では、位置センサ210は、アクチュエータ174の一部、例えばコネクタ206の運動に基づく相対位置センサ(例えば変位センサ)である。相対位置センサは、一実施形態では、アクチュエータ174とともに移動可能な磁石212と、磁石の位置、従って磁石212の変位を感知するためのセンサチップ214と、を備えるホール効果センサである。図3から図5から分かるように、磁石212は、コネクタ206とともに並進運動するためにコネクタ206に据え付けられており、材料の環状リングであってもよい。あるいは、磁石212は、コネクタ206又は電機子204に取り付けられてもよい。チップ214は、電気コネクタ172と電気的に接続され、これにより、チップ214によって収集されたデータを外部電子デバイス、例えば内燃機関内に組み込まれるか又は内燃機関に結合されたコンピュータ処理ユニットに伝える。
【0019】
図3から図5を参照すると、ウェイストゲート組立体160のバルブ176は、部分的に閉鎖された第1端部192及び開放された第2端部194を有する細長いシリンダ状のスリーブ190を含んでいる。部分的に閉鎖された端部192は、バルブ176をアクチュエータ174に作用的に接続するロッド197に接続されている。部分的に閉鎖された端部192は、複数の開口部を有する格子196を含み、これにより、スリーブ190が閉鎖位置と開放位置との間で移動するときにバルブ内の圧力を平衡にする。
【0020】
図4及び図5で分類されるように、バルブ176は、スリーブ190とハウジング162のバルブセクション166の内壁167との間に位置決めされたシーリング部材220を含んでもよい。シーリング部材220は、バルブセクション166内の中央位置に近接して配置されてもよいが、バルブ176が(図4に示される)閉鎖位置にあるときには全体としてスリーブ190の部分的に閉鎖された端部192に近接して位置決めされ、このため、細長いスリーブ190は、スリーブ190が閉鎖位置から開放位置へ移動するときにシーリング部材220と接触する。シーリング部材220は、O−リング、V−リング、又はバルブ176の別の部材に対してシール係合するためのシール材料から作られた他の環状シールであってもよい。
【0021】
図3のウェイストゲート160に接続されたターボチャージャー100を参照すると、ターボチャージャーの基本構成要素は、中央軸受ハウジング103を介してコンプレッサセクション102に結合されたタービンセクション101を含んでいる。タービンセクション101は、タービンホイール105を収納するタービンハウジング104を備えている。同様に、コンプレッサ102は、コンプレッサホイール107を収納するコンプレッサハウジング106を備えている。タービンホイール105及びコンプレッサホイール107は、軸受ハウジング103内の軸受上で支持された共通のシャフト109の両端部に取り付けられている。
【0022】
タービンハウジング104には、排出ガス入口110及び排出ガス出口111が設けられている。入口110は、流入排出ガスを、しばしばスクロールと称される環状入口チャンバ112に向け、この環状入口チャンバは、タービンホイール105を取り囲むらせん構造を形成する。排出ガスは、タービンホイール105を通って、且つタービンホイール105と同軸である出口開口部115を介して排出ガス出口111内に流れる。
【0023】
タービンハウジング104には、排出ガス入口110とウェイストゲート開口部116との間を連通するバイパス通路114が設けられ、ウェイストゲート開口部116は、排出ガス出口111と流体連通するために排出ガス出口111と制御可能に流体連通され、従ってタービンホイール105を迂回させる。バイパス通路114の制御可能な流体接続は、上述したウェイストゲート組立体160のバルブ176によって制御され、バルブを開閉する。図3から分かるように、バルブ160の開放位置は、排出ガス入口110を、バイパス通路114を使用して排出ガス出口111と流体連通させて配置する。
【0024】
図2から図5から分かるように、ウェイストゲート組立体160は、長手軸Cを有する細長い全体としてシリンダ状のデバイスである。図3の説明される組み立てられた状態では、ウェイストゲート組立体160の長手軸Cは、ウェイストゲート開口部116と全体として同軸である。別の実施形態では、ウェイストゲート組立体160の少なくとも一部が、ウェイストゲート開口部116と全体として同軸である。図3の組み立てられた状態では、ウェイストゲート開口部116の配置及びハウジング104の形態に基づいて、ウェイストゲート組立体160は、タービン105に近接してハウジング104の出口端部118に取り外し可能に取り付けられ、且つタービン105及びコンプレッサホイール107から離れる方向にハウジング104から延在している。さらに、ウェイストゲート組立体160は、その長手軸Cが、ターボチャージャー100の共通のシャフト109によって規定される回転軸Bと平行である。これら実施形態のそれぞれは、使い捨て可能なウェイストゲート組立体160がウェイストゲート開口部116に直接取り外し可能に取り付けられ、このため、ウェイストゲート組立体160内に収納されたバルブ176がウェイストゲート開口部116からの排出ガスの流れを制御するために位置決めされる点で、共通の形態を共有している。
【0025】
上述したように、ウェイストゲート組立体160、特にそのバルブセクション166の入口端部は、圧潰シール178により終端する。図3の組立体では、圧潰シール178は、ターボチャージャー100のウェイストゲート開口部116に対して永久的に変形され、すなわち“押しつぶされ”、これにより、ウェイストゲート組立体160とターボチャージャー100との間でシール係合を形成する。
【0026】
ウェイストゲート組立体160のターボチャージャー100への接続を容易にするために、特に、ターボチャージャーを交換することなくウェイストゲート組立体160を交換することを可能にする取り外し可能な方法では、ターボチャージャー100は、1つ以上の留め具240によりタービンセクション101の出口端部118に取り外し可能に接続された取付プレート230を含んでいる。留め具240は、ネジ、ボルト、リベット、溶接部又は他の公知な留め具であってもよい。取付プレート230は、それを貫通する第1開口部232及び第2開口部234を含み、且つターボチャージャー100に取り付けられたときには第1開口部232と第2開口部234との間にチャンバ236を規定し、チャンバ236は、第1開口部232及び第2開口部234双方と、ウェイストゲート開口部116及び排出ガス出口111と、と流体連通する。取り付けられると、取付プレート230の第1開口部232は、タービンセクション104の排出ガス出口111と整列し、第2開口部234は、ウェイストゲート開口部116と整列する。
【0027】
取付プレート230がターボチャージャー100に接続された後に、ウェイストゲート組立体160は、バルブセクション166が取付プレート230の第2開口部234内に受容され且つ圧潰シール178がウェイストゲート開口部116とシール関係で固定して変形された状態で、取付プレート230に取り外し可能に取り付けられる。あるいは、ウェイストゲート組立体160は、取付プレート230に取り付けられ、そして、それらは、ともにユニットとして、ターボチャージャー100に取り付けられてもよい。この組立体では、バルブセクション166のバルブ176は、ウェイストゲート開口部116、従って排出ガス入口110と、取付プレート230の第1開口部232と、の間の流体連通を制御するためにチャンバ236内に配置される。ウェイストゲート組立体160は、(図3に示される)1つ以上の留め具242により取付部材179を通じて取付プレート230に取り外し可能に取り付けられてもよい。留め具242は、ネジ、ボルト、リベット、溶接部又は他の公知な留め具であってもよい。
【0028】
ウェイストゲートバルブ176の作動は、電気信号をソレノイド202に送信することによって達成され、これにより、電機子204をソレノイド202に引きつけてバルブ176を開放位置(図3及び図5)に移動させる。そして、電気信号がソレノイド202から取り除かれると、バネ208が、バルブ176を閉鎖位置(図4)に戻すように付勢する。ソレノイド202は、ソレノイドを作動及び/又は作動解除させるときを決定するために、内燃機関の他の構成要素から他のデータ及び/又は電気信号を受信する外部電子デバイス(図示せず)に結合されてもよい。一例では、外部電子デバイスは、バイパス通路114がバルブ176へのバネ208の作用によって閉鎖されるように低ブースト状態が検出されたときに、ソレノイドを作動解除してもよい。しかしながら、コンプレッサ出口内の圧力が所定限界に達すると、外部電子デバイスは、ソレノイドを作動させ、それにより、吸入排出ガスがタービン105を迂回することを可能にするためにバルブ176を開放させる。このようにして、ターボチャージャーによって作り出される最大ブースト圧力は、制御されて制限されることができる。
【0029】
ここで、ウェイストゲート組立体160は、ターボチャージャー全体を交換することを必要とすることなく交換可能であることと、自己調整式であることと、により、従来のウェイストゲートを超えて十分に改善された。ウェイストゲート組立体のアクチュエータ内に位置センサを含むことは、自己調整特性を提供する。自己調整は、据え付けた後の任意の時点でウェイストゲート組立体を据え付けた後に実行することができる。これは、据え付け時の工場での調整の必要性を排除する。さらに、この構成は、スクロールに対して内部にあり且つ故障、摩耗又はその中で動作不良が生じた場合にアクセス可能でない従来のフラッパーバルブ構成を利用しない。この問題は、開示されたウェイストゲート組立体及びターボチャージャー組立体によって排除される。
【0030】
ウェイストゲート組立体に存在する別の利点は、バルブが、作動させるためにより小さい力を必要とする圧力平衡バルブであることである。この利点は、図4及び図5で最もよく見ることができる、バルブ176の細長いスリーブ190の部分的に開放された端部192によって提供される。ここで、開放端部192の両側の表面積は、通常、入口182を介してウェイストゲート組立体160内に流入する排出ガスと等しく、開放端部192の両側で等しい力を付与する。従って、排出ガスは、開放端部192の下側(入口182に面する側)で上方にピストンを押すように作用し、且つピストンを等しい力で開放端部の上側で下方に押すように作用し、従って力を相殺する。このように、排出ガスは、ピストンを下に保持するか又は上に推進する傾向がなく、それにより、アクチュエータ174が独立してバルブの運動を制御することを可能にする。
【0031】
本発明が、本発明の好ましい実施形態を参照して詳細に説明されたが、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく修正及び変更が可能であることは明らかである。
【符号の説明】
【0032】
100 ターボチャージャー、101 タービンセクション、105 タービン、107 コンプレッサホイール、109 シャフト、116 ウェイストゲート開口部、118 出口端部、160 ウェイストゲート組立体、162 ハウジング、168 断熱材、172 電気コネクタ、174 アクチュエータ、176 バルブ、178 圧潰シール、179 取付部材、180 窓、190 スリーブ、192 第1端部、194 第2端部、196 格子、197 ロッド、202 ソレノイド、204 電機子、208 バネ、210 位置センサ、230 取付プレート、232 第1開口部、234 第2開口部、B 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5