特許第6227119号(P6227119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6227119電気サーボブレーキを備えたブレーキシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227119
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】電気サーボブレーキを備えたブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/74 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   B60T13/74 D
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-508196(P2016-508196)
(86)(22)【出願日】2014年5月2日
(65)【公表番号】特表2016-515494(P2016-515494A)
(43)【公表日】2016年5月30日
(86)【国際出願番号】EP2014058987
(87)【国際公開番号】WO2014177691
(87)【国際公開日】20141106
【審査請求日】2015年10月20日
(31)【優先権主張番号】1354092
(32)【優先日】2013年5月3日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】カニャック,バスティアン
【審査官】 杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102009001142(DE,A1)
【文献】 実公昭13−015042(JP,Y1)
【文献】 特開平10−026125(JP,A)
【文献】 特許第4680434(JP,B2)
【文献】 国際公開第2011/003643(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02465741(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタシリンダと電気サーボブレーキ(2)とを備えたブレーキシステムであって、
該ブレーキシステムが、
2つの斜歯歯車(231)に噛み合っているねじ(22)を駆動する電動機(21)であって、前記2つの斜歯歯車がそれぞれ軸(232)によって担持され、該軸がそれぞれ歯車(233)を備え、該歯車が前記電気サーボブレーキ(2)の軸線(xx)に関して直径方向の位置にある一対のラック歯車のうちの1つのラック歯車(24a,24b)と協働し、該1つのラック歯車が前記マスタシリンダ(1)のラック歯車でもある前記電動機を含み、
2つの前記ラック歯車(24a,24b)が、
制御棒(32)をプランジャー(31)により直接押圧させることのできるリアクションディスク(27)を用いて前記マスタシリンダ(1)に作用する送り棒(26)を変位させる
前記ブレーキシステムにおいて、
前記2つのラック歯車(24a,24b)が、
前記電気サーボブレーキ(2)の本体(25)の2つのガイド(251)で案内され、該ガイドは、前記マスタシリンダと前記電気サーボブレーキ(2)とから成る前記システムの前記軸線(xx)に対し平行に位置し、
前記ラック歯車(24a,24b)上に2つの端部(281a,281b)が載置されるレバー(28)が、
前記サーボブレーキの前記軸線(xx)上に配置される球形自在継手から成る、または、前記軸線(xx)に関して対称な2つの球形自在継手又は2つの軸線からなる回転体(282)により、前記リアクションディスク(27)に対し面当接している担持体(29)と結合され、これにより前記レバー(28)の配向方向と前記担持体(29)の配向方向とが互いに切り離される
ことを特徴とするブレーキシステム。
【請求項2】
少なくとも前記レバー(28)が開口部を備え、
該開口部は、
前記プランジャー(31)に、前記担持体(29)により直接に前記リアクションディスク(27)に作用することを可能にさせる
ことを特徴とする請求項に記載のブレーキシステム。
【請求項3】
前記レバー(28)が角形または丸形のフレームの形状を持ち、
該フレームが、
前記軸線(xx)に関し対称な2つの同軸の前記回転体(282)である
ことを特徴とする請求項に記載のブレーキシステム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスタシリンダと電気サーボブレーキとを備えたブレーキシステムであって、該ブレーキシステムが、
ダブル斜歯歯車に噛み合っているねじを駆動する電動機であって、前記ダブル斜歯歯車がそれぞれ軸によって担持され、該軸がそれぞれ歯車を備え、該歯車が前記電気サーボブレーキの軸線(xx)に関して直径方向の位置にある一対のラック歯車のうちの1つのラック歯車と協働し、該1つのラック歯車が前記マスタシリンダのラック歯車でもある、前記電動機を含み、
2つの前記ラック歯車が、前記マスタシリンダに作用する送り棒を、制御棒をプランジャーによりダイレクトに押圧させることのできるリアクションディスクを用いて変位させる、
前記ブレーキシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マスタシリンダと電気サーボブレーキとを備え、ブレーキシステムの軸線(xx)に関し対称な、電動機の運動をマスタシリンダの送り棒へ伝達させるための2つの機構により、電動機の運動を送り棒へ伝達するようにしたブレーキシステムは、種々の形態のものが知られている。
【0003】
すなわち、1つの公知のシステムは2つのラック歯車を対称な位置に有し、これらのラック歯車は電気サーボブレーキの本体のレールで滑動してシェル状の担持体で支持され、シェル状の担持体はリアクションディスクを受容している。この組み立て構造は、ラック歯車を電気サーボブレーキの本体から独立させ、電気サーボブレーキの本体内に滑動するように収納されて送り棒をそのリアクションディスクを用いて駆動する操作ピストンを回避することを目的としている。
【0004】
しかし、電動機の運動をマスタシリンダの送り棒へ伝達させるためのこのシステムには、ラック歯車を含んでいる2つの対称な駆動機構間の遊び差、しかも非常に小さな遊び差を考慮せず、その結果当然のことながら、リアクションディスクの担持体が実際には斜めに配置されるという欠点がある。というのは、実際には2つのラック歯車は厳密には同じ量だけ前進せず、リアクションディスクが斜めに位置決めされるからである。このことは、マスタシリンダに至るまでの動的連鎖機構の信頼性に悪影響を及ぼす。
【0005】
図3Aおよび図3Bはこのような状況を示したものである。
【0006】
図3Aは技術水準の電気サーボブレーキ200を示し、この電気サーボブレーキはサーボブレーキ本体225から成り、サーボブレーキ本体は、2つのラック歯車224a,224bを、サーボブレーキとマスタシリンダとから成るシステムの軸線xxに関し対称な位置で案内する。サーボブレーキ本体は制御棒232を有し、制御棒は図示していないブレーキペダルと結合されて、サーボブレーキをその運動の検知によって制御するプランジャー231に作用する。プランジャー231は中間ピストン240に対し当接し、中間ピストンはシェル状の担持体230によって担持され、シェル状の担持体はリアクションディスク227を受容している。中間ピストン240は、通常の位置ではリアクションディスク227と接触していない。
【0007】
2つのラック歯車224a,224bが、平ピニオンと斜歯歯車とを担持している軸によってダブル伝動部によって駆動されて(図3Aによれば左側へ)前進すると、シェル状の担持体230はこれら2つのラック歯車の前に来て、該ラック歯車によって変位せしめられる。平ピニオンと斜歯歯車自体は、電動機のねじ(図示せず)によって駆動される。2つのラック歯車224a,224bのストローク差の作用で、リアクションディスク227の担持体230は、図3Bに図示したように斜めになり、同じことは、送り棒に対し斜めに当接し、従って横方向力成分に曝されているリアクションディスクに対しても言える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、マスタシリンダと電気サーボブレーキとを備えたブレーキシステムの欠点を解消し、ラック歯車を備えた2つの伝動部の遊びが送り棒のガイドへ作用するのを阻止することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のため、本発明は、上で定義した種類のブレーキシステムを対象とし、2つのラック歯車が、電気サーボブレーキの本体の2つのレールで案内され、該レールがマスタシリンダと電気サーボブレーキとから成るシステムの軸線(xx)に対し平行に位置し、前記ラック歯車上に2つの端部が載置されるレバーが、回転点により、リアクションディスクに対し面当接している担持体と結合され、これにより前記レバーの配向方向と前記担持体の配向方向とが互いに切り離されることを特徴としている。
【0010】
サーボブレーキの電動機の運動をラック歯車と送り棒とへ伝達させるためのこの装置は、常に完全にサーボブレーキの軸線(xx)上に留まっているリアクションディスク上での載置方向とは関係なくラック歯車を運動させる。従って、動的連鎖機構のラック歯車と遊び空間との独立性が、マスタシリンダを制御する送り棒に作用する力の方向に影響しない。
【0011】
この取り付け構造も、2つのラック歯車の間の負荷の補償配分を保証するという利点がある。
【0012】
更なる有利な構成によれば、枢着点は、サーボブレーキの軸線上に配置される球形自在継手から成り、または、軸線に関して対称な2つの枢着点から成り、その幾何学的軸線は、ラック歯車の、軸線を通る面に対し垂直である。これにより、レバー内でのラック歯車の運動によって誘導されうるすべての横方向成分を除去することが簡単に可能になり、その結果レバーに作用する負荷のただ1つの合成力が1回の送りで軸線上に現れる。
【0013】
更なる有利な構成によれば、軸線xxに関し対称な枢着点は、2つの球形自在継手または2つの軸線から成っている。
【0014】
更なる有利な構成によれば、少なくともレバーが開口部を備え、該開口部は、プランジャーに、担持体によりダイレクトにリアクションディスクに作用することを可能にさせる。
【0015】
更なる有利な構成によれば、レバーは角形または丸形のフレームの形状を持ち、該フレームは、軸線に関し対称な2つの同軸の枢着点であって、その幾何学的軸線が、ラック歯車の、軸線を通る面に対し垂直である前記枢着点によって、結合されている。
【0016】
レバーおよび担持体のこれら種々の実施構成は、レバーから担持体へ伝えられる動力の合成力がわずかな横方向成分でも有していることを回避させることを可能にし、その結果リアクションディスクが完全にシステムの軸線xxに方向づけられる力によって変位せしめられるような、簡単な解決手段である。
【0017】
次に、本発明を、添付の図面に図示されている、電気サーボブレーキを備えたブレーキシステムの1実施形態を用いて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】電気サーボブレーキの全体図である。
図2】本発明による電気サーボブレーキの主要部分の概略図である。
図3A】技術水準による電気サーボブレーキを非常に概略的に示した図である。
図3B図3Aの図に対応する非常に概略的に示した図であるが、リアクションディスクの担持体の傾動およびこれから生じるリアクションディスクの傾斜を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、マスタシリンダ1と電気サーボブレーキ2とを備えた本発明によるブレーキシステムの全体図である。なお、マスタシリンダ1と操作ペダル3とはかなり概略化して図示してある。
【0020】
電気サーボブレーキ2は電動機21から成り、その従動軸はねじ22を担持しており、電動機のトルクを、ブレーキシステム(マスタシリンダおよび電気サーボブレーキ)の軸線xxに関して対称な2つの伝動部23a,23bによって対称に伝動させる。
【0021】
ブレーキペダル3は図で右側(背面)にあり、マスタシリンダ1は図で左側(前面)にある。電動機の伝動部23a,23bは2つの斜歯歯車231から成り、これらの斜歯歯車はそれぞれ軸232によって担持され、軸は平歯車233を備え、平歯車はそれぞれラック歯車24a,24bと協働する。これら2つのラック歯車24a,24b(これらのうち図1には1つのみが見える)は、サーボブレーキ2の本体25のガイド251内に滑動するように収納されている。ラック歯車24a,24bはリアクションディスク27上にあり、リアクションディスクは、レバー28および担持体29(図2に詳細に図示した)により送り棒26のほうへ移動し、送り棒26はマスタシリンダ1を操作する。
【0022】
図2によれば、送り棒26によって担持されているリアクションディスク27とダブル伝動部23のラック歯車24a,24bとの結合はレバー28から成り、その2つの端部281a,281bは結合されており、或いは、それぞれ1つのラック歯車24a,24bによって移動せしめられる。このレバー28は枢着点282により担持体29によって担持され、担持体自身はリアクションディスク27に対し面当接している。すなわちレバー28とリアクションディスク27とは回転点282によって結合され、回転点は図2の面に対し垂直な軸線とともに枢着部を形成し、或いは、担持体29に対するレバー28の回動運動を独立に行なわせる球形自在継手システムと比較可能である。担持体29は、リアクションディスク27の載置面271の平面に従ってシステムの軸線xxに対し垂直に留まる。理想的には、枢着点282は、サーボブレーキの軸線xx内に配置される球形自在継手であり、その結果移動せしめられるラック歯車24a,24bの距離差は、軸線xx内に方向づけられて横成分なしに担持体29に対し、よってリアクションディスク27に対し圧力を及ぼす負荷の合成力に影響しない。
【0023】
他の実施形態によれば、枢着点282は、軸線xxに関して対称な2つの枢着点から成り、これら2つの対称な枢着点282を通る幾何学的軸線は、ラック歯車24a,24bの面に対し垂直に軸線xxを通る。
【0024】
このケースでも、枢着点282は球形自在継手または軸線であってよい。
【0025】
レバー28とその担持体29とは、軸線(xx)に沿ったプランジャー31の貫通を許容するために、軸線(xx)のまわりを中空にされている。プランジャーは、ブレーキペダル3から出ている制御棒32と結合されている。枢着部282が軸線xx内にある球形自在継手から成っている場合には、レバー28は少なくとも2つの開口部を有し、これらの開口部を、担持体29上に載置されてプランジャー31の受容を可能にする湾曲体の脚部が横断する。上で考慮したすべての実施形態において、電気サーボブレーキが故障した場合、プランジャー31がリアクションディスク27を押圧して送り棒26を移動させることで、マスタシリンダ1を操作し、ブレーキをダイレクトに制御する。
【0026】
1実施形態によれば、レバー28は、軸線xxに関して担持体29に対し対称な2つの枢着点282を形成している2つの同軸の枢着軸線によって結合されている角形または丸形のフレームの形状を有する。
【0027】
総括すると、レバー28とその担持体29とは2つのラック歯車24a,24bの間の負荷を相殺し、このことはブレーキシステムの良好な作動と信頼性とを保証する。
【符号の説明】
【0028】
1 マスタシリンダ/タンデムマスタシリンダ
2 電気サーボブレーキ
21 電動機
22 ねじ
23a,23b 対称な伝動部
231 斜歯歯車
232 軸
233 平歯車
24a,24b 対称なラック歯車
25 サーボブレーキの本体
251 ラック歯車のガイド
26 送り棒
27 リアクションディスク
271 リアクションディスクの載置面
28 レバー
281a,b レバー28の端部
282 レバーの枢着点
29 担持体
3 ブレーキペダル
31 プランジャー
32 制御棒
200 公知の電気サーボブレーキ
224a,b ラック歯車
225 サーボブレーキの本体
227 リアクションディスク
230 シェル状の担持体
231 プランジャー
232 制御棒
240 中間ピストン
図1
図2
図3A
図3B