(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記数量は、前記基板上の前記ポイントで受けられる前記エネルギドーズにおける変調の振幅であって、平均エネルギドーズのパーセンテージとして表される振幅である、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
前記数量は、変調が適用されない場合に前記基板上の前記位置に送られるであろうエネルギドーズに対する、前記変調による前記基板上の前記位置に送られるエネルギドーズへの前記寄与の比に比例する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
前記数量は、前記放射源の変数に適用される前記変調の前記振幅であって、前記変数の平均値のパーセンテージとして表される振幅によって正規化される、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
放射源によって生成される放射ビームの照射量を測定することであって、前記放射源は、当該放射源の前記出力パワーまたは前記照射量を変動させるように変動することができる変数を有し、前記変数には周期的な変調が適用されることと、
前記変数と前記放射ビームの前記測定された照射量との間の関係を決定することと、
前記放射ビームの前記照射量を制御するために、前記決定された関係に従って前記変数の値を制御することと、
パターニングデバイスを使用して前記放射ビームの断面にパターンを付与することと、
前記パターンが付与された放射ビームを放射バンドとして基板のターゲット部分上に投影することと、を含み、
前記周期的な変調の前記周波数は、請求項1〜27のいずれか一項に従って選択される、
方法。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 一態様によると、放射源の変数に適用されるべき周期的な変調を選択する方法が提供され、放射源は、放射を、放射バンドとして基板上へ投影するために、リソグラフィ装置に送るように動作可能であり、リソグラフィ装置は、スキャン速度で基板を放射バンドに対して移動させるように動作可能であり、この方法は、
一組以上のシステムパラメータおよび基板上の1つ以上の位置について、放射源の変数に適用されている変調による、この位置に送られるエネルギドーズへの寄与の指標である数量を計算することであって、エネルギドーズへの寄与は、放射バンドのプロファイルと、放射源によって送られる放射の照射量への寄与との畳み込みとして計算されることと、
一組以上のシステムパラメータのそれぞれ、および、基板上の1つ以上の位置のそれぞれについての数量が特定の基準を満たすような変調周波数を選択することと、を含む。
【0006】
[0006] 基板上のあるポイントで受けられる放射ドーズは、基板上の同ポイントで受けられる単位面積当たりのエネルギ量として定義される。
【0007】
[0007] このような構成により、放射源の変数に変調を適用しつつ、適用された変調が基板上のあるポイントで受けられる放射ドーズへ与える作用を量的に制御することができる。通常、基板上のあるポイントで受けられる放射ドーズを正確に制御することが望ましいため、この構成は特に有益であり得る。
【0008】
[0008] 変調は、任意の周期的な波形であり得る。一実施形態において、変調は正弦変調である。複雑な波形は、較正プロセスを複雑にし得る一方、利点は全くあるいはほとんどないことから、正弦変調は、適用された変調を使用してリソグラフィ装置を較正する場合に有益であり得る。
【0009】
[0009] 放射源はレーザであり得る。レーザは、ガスレーザであり得る。レーザはエキシマレーザであり得る。
【0010】
[0010] 変調は、放射源の出力パワーまたは照射量の振幅に適用することができる。有益なことに、放射源の出力パワーまたは照射量の振幅を公知の方法で変動させることにより、リソグラフィ装置の放射に対する応答を決定することができる。これにより、基板上に投影されるビームのパワーまたは照射量を正確に制御することが可能になる。
【0011】
[0011] 一実施形態において、変調は、放射源の出力パワーまたは照射量に間接的に影響し得る放射源の変数に適用され得る。例えば、放射源は、放射源の出力パワーまたは照射量を変動させるように変動し得る1つ以上の変数を有し、変調はこれら1つ以上の変数に適用され得る。例えば、放射源がレーザである実施形態の場合、エネルギは、外部供給源によってレーザの利得媒体に供給され得る。このプロセスは、ポンピングとして公知であり、外部供給源には、電源(電気ポンピング)、電磁放射(光ポンピング)、ガス流(ガスダイナミックポンピング)、または他の好適なエネルギ源が含まれ得る。外部パワー供給源は、利得媒体に供給されるポンピングパワーの量を変動させられるように調節可能であってもよい。この目的で、外部パワー供給源は、利得媒体に供給されるパワーを変動させるように変動可能な1つ以上の入力変数を有してもよい。一実施形態において、放射源はエキシマレーザであり、変調は、一対の放電導体間の電圧に適用される。
【0012】
[0012] 放射バンドのプロファイルは、リソグラフィ装置の光学コンポーネントに依存する。通常、放射のプロファイルは、リソグラフィ装置のスキャン方向における放射のプロファイルの一般形状を表す関数によって表され得る。
【0013】
[0013] 放射バンドのプロファイルは、非均一であり得る。エネルギドーズは、放射バンドのプロファイルと、放射源によって送られる照射量への寄与と、の畳み込みとして計算されるため、本発明の一実施形態は、非均一なプロファイルによるエネルギドーズへの作用を考慮に入れることができるという点で有益である。
【0014】
[0014] 放射バンドのプロファイルは、隆起した中心部分と、より低いエッジ部分とを含み得る。このようなプロファイルは、放射源がパルス型である場合に、基板上の異なるポイントで受けられる放射ドーズにおける変動を小さくする点で有益である。例えば、プロファイルは、要望または必要に応じて、台形状、切頭ガウシアン(truncated Gaussian)形状、または任意の他の形状とすることができる。
【0015】
[0015] 通常、一定の変調および放射プロファイルの場合、基板上の異なるポイントに送られる放射ドーズには範囲があるため、基板上の2つ以上の位置に対する数量を計算することは有益である。したがって、上記方法では、基板上の2つ以上の位置を使用することにより、基板上の全てのポイントで受けられる放射ドーズへの、適用された変調による作用が、確実に基準を満たすようにすることが可能になる。例えば、基板上の複数の位置に対して計算を実行し、例えば数量が最大になる位置といった最悪のシナリオを発見することができる。数量がこの最悪のシナリオに対する基準を満たすようにすることにより、この数量が、基板上の全ての位置に対する基準を確実に満たすようにすることができる。
【0016】
[0016] システムパラメータは、基板上のポイントで受けられる放射ドーズに影響し、かつ、装置の寿命期間中に変動し得る、放射源またはリソグラフィ装置の任意のパラメータを含み得る。
【0017】
[0017] システムパラメータは、放射バンドが基板上のある位置を通り過ぎるのに要する時間を含み得る。
【0018】
[0018] システムパラメータは、放射のプロファイルのサイズおよび形状を含んでもよい。
【0019】
[0019] システムパラメータは、スキャン速度を含み得る。
【0020】
[0020] システムパラメータは、変調の位相を含んでもよい。
【0021】
[0021] 放射源により生成された放射は、パルス周波数を有するパルス状の放射ビームであり得る。パルス状の放射は、任意のパルス列を有し得る。パルスの形状、パルス長、およびパルス周波数は、要望または必要に応じて選択され得る。パルス周波数は、例えば、およそ6KHzであり、この周波数は、およそ17msのパルス時間に相当する。パルス長は、パルス列の時間よりは大幅に短くてよい。例えば、パルス長に対するパルス時間の比は、1000程度であり得る。パルス長は、例えば、およそ150nsであり得る。
【0022】
[0022] 放射源によって生成される放射がパルス状の放射ビームである実施形態の場合、システムパラメータは、パルス周波数f
p、パルス状の放射ビームの位相、エネルギドーズに寄与するパルス数、および/または、スキャン速度v
s対パルス周波数f
pの比から選択される1つ以上のパラメータを含み得る。
【0023】
[0023] 数量は、基板上のポイントで受けられるエネルギドーズにおける変調の振幅であり、平均エネルギドーズのパーセンテージで表される振幅であり得る。例えば、数量は、変調が適用されない場合に基板上の位置に送られるエネルギドーズに対する、基板上の同位置に送られるエネルギドーズへの変調による寄与の比に比例し得る。
【0024】
[0024] 数量は、放射源の変数に適用される変調の振幅によって正規化され得る。
【0025】
[0025] 数量は、放射源の変数に適用される変調の振幅であって、この変数の平均値のパーセンテージとして表される振幅によって正規化されてもよい。
【0026】
[0026] 基準は、数量を特定の閾値未満にすることを要件とし得る。それに加えて、またはその代わりに、基準は、変調周波数を、数量の極小値にすること、または、その特定量の範囲内にすることを要件としてもよい。
【0027】
[0027] 変調は、放射ビームバンドが基板上に投影されている間に、放射源の変数に適用され得る。
【0028】
[0028] 上記方法は、さらに、放射源の変数に適用される変調を使用して、リソグラフィ装置を較正することを含み得る。リソグラフィ装置の較正は、放射ビームの照射量を測定することと、これを、変調が適用される放射源の変数の値と比較することを含み得る。
【0029】
[0029] 上記方法を使用して、要望または必要に応じて好適な変調周波数を選択することができる。この方法は、リソグラフィ装置の寿命期間中、好適な変調周波数を比較的低頻度で選択するために使用することができる。例えば、好適な変調周波数は、一度のみ選択され、この周波数の変調を、装置の寿命が続く間、較正の目的で適用することができる。一実施形態では、上記方法を使用して、基板上のポイントで受けられる放射ドーズに影響する放射源またはリソグラフィ装置の任意のパラメータが大きく変化するたびに、好適な変調周波数を選択してもよい。
【0030】
[0030] 一態様によると、リソグラフィ装置を較正する方法が提供され、この方法は、
放射源によって生成される放射ビームの照射量を測定することであって、放射源は、当該放射源の出力パワーまたは照射量を変動させるように変動し得る1つ以上の変数を有し、これら1つ以上の変数のうちの1つ以上には周期的な変調が適用されることと、
1つ以上の変数と測定された放射ビームの照射量との間の関係を決定することと、
放射ビームの照射量を制御するために、決定された関係に従って放射源の1つ以上の変数の値を制御することと、
パターニングデバイスを使用して、放射ビームの断面にパターンを付与することと、
パターンが付与された放射ビームを、放射バンドとして、基板のターゲット部分上に投影することと、を含み、
周期的な変調の周波数は、本明細書に記載された方法に従って選択される。
【0031】
[0031] 放射ビームの照射量は、放射源の変数の多項式関数としてパラメータ化され、リソグラフィ装置の較正は、この関数の1つ以上のパラメータの値を決定することを含み得る。例えば、放射ビームの照射量は、放射源の変数の一次関数としてパラメータ化することができ、リソグラフィ装置の較正は、利得およびオフセットの値を決定することを含み得る。
【0032】
[0032] 1つ以上のパラメータの値は、ロックイン増幅器を使用して決定され得る。これは、特に、放射源が連続放射源である実施形態に対して適用することができる。
【0033】
[0033] 1つ以上のパラメータの値の決定には、放射源の変数に対する放射ビームの照射量の差分を決定することが含まれ得る。
【0034】
[0034] それに加えて、またはその代わりに、1つ以上のパラメータの値は、スペクトル分析を使用して決定されてもよい。スペクトル分析は、フーリエ型分析であり得る。このスペクトル分析は、変調が適用された変数と、測定された照射量とのフーリエ変換を決定することを含み得る。放射源がパルス型である実施形態の場合、フーリエ変換は、離散フーリエ変換であり得る。離散フーリエ変換は、高速フーリエ変換アルゴリズムを使用して計算することができる。有益なことに、高速フーリエ変換アルゴリズムの使用により、離散フーリエ変換の演算時間を短縮することができる。スペクトル分析は、放射源の変数の1つ以上の周波数成分の係数と、放射ビームの照射量と、を比較することを含み得る。スペクトル分析は、2つの信号の周波数成分のうち、ほんのわずかな成分の係数を比較することを含み得る。そのような実施形態では、全フーリエ変換を計算する代わりに、所望の周波数成分のみを計算できるアルゴリズムを使用することができる。例えば、放射源の変数の1つ以上の周波数成分の係数と、放射ビームの照射量と、はゲーツェル(Goertzel)アルゴリズムを使用して決定することができる。
【0035】
[0035] 放射源がパルス型であるか、あるいは、任意の他の方法でサンプリングされる実施形態の場合、変調の周波数は、エイリアシング作用が、1つ以上のパラメータの決定に無視できる程度の作用しか与えないように選択され得る。例えば、変調の周波数は、適用された変調のより高次の高調波が、エイリアシングによって、1つ以上のパラメータの値を決定する際に使用されるより低次の周波数成分に折り返されないように選択することができる。有益なことに、これによって、照射量信号のサンプリングにかかわらず、1つ以上のパラメータを正確に決定することが可能になる。
【0036】
[0036] 周期的な変調の最高周波数成分は、パルス周波数の半分よりも低くなるように選択され得る。有益なことに、これにより、放射源のパルシングによる照射量信号のサンプリングにかかわらず、周期的な変調を再構築することが可能になる。
【0037】
[0037] 較正方法は、オンラインの較正方法であり得る。つまり、1つ以上のパラメータは、放射源からの放射に基板が露光されている間に決定され得る。
【0038】
[0038] ある態様によると、リソグラフィ装置が提供され、このリソグラフィ装置は、
放射源の変数の値を制御し、かつ変調が適用される制御信号を放射源に出力するように構成されたコントローラと、
放射源によって生成された放射ビームの照射量を測定するように構成された放射センサと、
放射ビームの断面にパターンを付与するように機能するパターニングデバイスを支持するように構成されたサポート構造と、
基板を支持するように構成された基板テーブルと、
基板のターゲット部分上にパターン付与された放射ビームを投影するように構成された投影システムと、を備え、
コントローラは、さらに、
放射源の変数と放射ビームの照射量との間の関係を計算し、かつ、
放射ビームの照射量を制御するために、計算された関係に従って制御信号を制御するように構成され、
適用される変調の周波数は、本明細書に記載される方法に従って選択される。
【0039】
[0039] 本発明の様々な態様の様々な特徴は、必要に応じて、組み合わせることができる。
【0040】
[0040] 本発明のさらなる特徴および利点、ならびに、本発明の多様な実施形態の構造および動作が、添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。なお、本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。そのような実施形態は、例示のみを目的として、本明細書に提示される。関連技術の当業者には、本明細書に含まれる教示に基づき、さらなる実施形態が明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0043】
[0049] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、または、メトロロジーもしくはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0044】
[0050] 本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長を有する)、および極端紫外線(EUV)(例えば、5〜20nmの波長を有する)を含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。
【0045】
[0051] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0046】
[0052] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。このようにして、反射されたビームがパターン形成される。
【0047】
[0053] サポート構造は、パターニングデバイスを保持する。サポート構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポートは、機械式クランプ、真空式、またはその他のクランプ技術(例えば、真空条件下では、静電クランプ)を使うことができる。サポート構造は、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよく、かつ、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0048】
[0054] 本明細書において使用される「投影システム」という用語は、例えば、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用または真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型光学系、反射型光学系、および反射屈折型光学系を含む様々な型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。
【0049】
[0055] 照明システムもまた、放射ビームを誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、および反射屈折型光学コンポーネントを包含することができ、このようなコンポーネントは、以下の説明において、一括して、または単独で「レンズ」とも呼ばれ得る。
【0050】
[0056] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のサポート構造)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0051】
[0057] また、リソグラフィ装置は、投影システムの最終要素と基板との間の空間を満たすように、比較的高屈折率を有する液体(例えば水)に基板が浸されている型のものであってもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させることで当技術分野において周知である。
【0052】
[0058]
図1は、本発明の特定の実施形態に係るリソグラフィ装置を概略的に示している。このリソグラフィ装置は、
‐放射ビームPB(例えば、紫外線またはDUV放射)を調整する照明システム(イルミネータ)ILと、
‐パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持し、かつ要素PLに対してパターニングデバイスを正確に位置決めするための第1位置決めデバイスPMに連結されたサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、
‐基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持し、かつ要素PLに対して基板を正確に位置決めするための第2位置決めデバイスPWに連結された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、
‐パターニングデバイスMAによって放射ビームPBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に結像するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PLと、を備える。
【0053】
[0059] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、透過型のもの(例えば、透過型マスクを採用しているもの)である。また、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、上述のプログラマブルミラーアレイを採用しているもの)であってもよい。
【0054】
[0060] イルミネータILは、放射源SOから放射を受ける。例えば、放射源がエキシマレーザである場合、放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを使って送られる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0055】
[0061] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するように構成されたアジャスタAMを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータは、断面に所望の均一性および強度分布を有する調整された放射ビームPBを提供する。
【0056】
[0062] 放射ビームPBは、サポート構造MT上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射する。パターニングデバイスMAを通り抜けた後、ビームPBはレンズPLを通過し、レンズPLは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2位置決めデバイスPWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分CをビームPBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1位置決めデバイスPMおよび別の位置センサ(
図1には明示的に示されていない)を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後またはスキャン中に、パターニングデバイスMAをビームPBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。通常、オブジェクトテーブルMTおよびWTの移動は、位置決めデバイスPMおよびPWの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。
【0057】
[0063] 図示された装置は、スキャンモードで使用することができる。スキャンモードにおいては、サポート構造MTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、ビームPBに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPLの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
【0058】
[0064] 放射源SOは、放射を、放射バンドとして基板W上に投影するためにリソグラフィ装置に送る。基板テーブルWTを移動させることにより、リソグラフィ装置は、スキャン速度v
sで基板Wを放射バンドに対して移動させるように動作することができる。露光中、リソグラフィ装置は、放射バンドに対して、基板Wを一定距離だけ移動させるように動作可能であってもよい。このようにすることにより、リソグラフィ装置は、実質的に一定の領域のターゲット部分Cを放射に露光するように動作可能になり得る。例えば、ターゲット部分Cは、1つまたは複数のダイの一部を含み得る。第1ターゲット部分Cの露光後、リソグラフィ装置は、さらに、第2ターゲット部分Cを放射に露光することができるように、投影システムPLに対して基板Wを移動させるように動作可能であってもよい。単一のウェーハは、複数の工程において放射に露光されてもよく、その場合、各工程は、ターゲット部分Cの露光と、その後に続く基板Wの移動を含む。
【0059】
[0065] 一般的に、基板W上の各ポイントで受けられる放射ドーズを正確に制御することが望ましい。放射ドーズは、基板Wによって受けられる単位面積当たりのエネルギ量として定義される。放射ドーズは、エネルギドーズまたはドーズとも呼ばれる。放射ドーズは、基板W上に形成されたフィーチャのクリティカルディメンジョンの変動を所望の閾値未満にするのに足る程度に正確に制御されることが望ましい場合がある。
【0060】
[0066] スキャン露光中、基板W上の(位置rにある)ポイントに送られる放射ドーズE(r)は、以下の通り、同ポイントに対する放射の照射量I(r,t)の時間積分により得られる。
【数1】
上記式において、t
1は放射バンドの始端が位置rを通過する時間であり、t
2は放射バンドの終端が位置rを通過する時間である。
【0061】
[0067] 照射量は、基板Wで受けられる単位面積当たりのパワーであり、以下の式によって得られる。
I(r,t)=I
so(t)×s(r,t)×m(r) (2)
上記式において、I
so(t)は放射ビームの照射量であり、s(r,t)は放射バンドの空間プロファイルを表す無次元分布であり、m(r)は、パターニングデバイスMAによって放射ビームに付与されるパターンを表す無次元分布である。以下、説明を単純化するために、パターニングデバイスMAによって放射ビームに付与されたパターンから生じるエネルギドーズへの寄与は無視されている。したがって、以下の説明では、mの値はm=1に設定されている。
【0062】
[0068] 放射バンドのプロファイルs(r,t)は、イルミネータILの光学コンポーネントに依存する。通常、基板W上のポイントrは、2つの座標x、yによって定義され得る。例えば、座標yはスキャン方向におけるrの位置を定義し、座標xはスキャン方向に実質的に垂直な方向におけるrの位置を定義することができる。無次元分布s(r,t)は、スキャン方向のrの位置(y)依存し、スキャン方向に垂直な方向におけるrの位置(x)には依存しない場合がある。したがって、放射のプロファイルは、スキャン方向における放射のプロファイルの一般形状を表す関数f(z)により表すことができる。基板W上の(位置rにある)所与のポイントにおいて、無次元分布s(r,t)の値は以下の式によって得ることができる。
s(r,t)=f(y−v
st) (3)
上記式において、f(z)により表される一般形状は、実際上、(例えば、基板が実質的に静止した放射ビームの“下を”移動するため)速度v
sでスキャン方向yに基板Wを横断する。
【0063】
[0069] 式2および式3を式1(m=1)に代入すると、基板上のポイント(位置y)で受けられる放射ドーズE(y)は、放射バンドのプロファイルと放射源の照射量との畳み込みにより以下の通り得ることができる。
【数2】
上記式においても同様に、t
1およびt
2は、それぞれ、放射バンドの始端と終端が位置rを通過する時間である。
【0064】
[0070]
図2aは、スキャン方向における放射バンドのプロファイル20の一例を示す概略的なグラフである。
図2aの横軸は、放射ビームが基板上でスキャンされる方向を示す(慣例的にy方向と呼ばれる)、プロファイル20は、台形状の形状を有する。ただし、プロファイルは他の形状であってもよい。例えば、プロファイルは、「シルクハット」形状でもよく、あるいは切頭ガウシアン(truncated Gaussian)(もしくは「ガウシアン状の」)形状であってもよい。
【0065】
[0071] 放射源SOは、パルス周波数f
pでパルス化された放射ビームを生成することができる。例えば、放射源SOは、パルス周波数f
p有するパルス状の放射ビームを生成するレーザ(例えば、エキシマレーザ)を備え得る。そのような構成において、基板W上の所与のポイントで受けられる放射ドーズは、各パルスによって送られる放射ドーズのうち、所与のポイントを照射する全てのパルスの和である。所与のポイントに対する放射ドーズに寄与するパルス数は、放射バンドがそのポイントを通り過ぎるのに要する時間と、パルス周波数f
pと、プロファイルの始端がその所与のポイントを通過する際の放射パルス列の位相(つまり、該所与のポイントを通過する際のプロファイルの始端と該ポイントを照射する第1パルスとの間に経過した時間)と、に依存する。放射バンドがポイントを通り過ぎるのに要する時間は、放射バンドの幅とスキャン速度v
sとの比により得られる。
【0066】
[0072]
図2bは、放射バンドのプロファイルが、スキャン方向において基板W上の所与のポイントが受ける放射ドーズにどのように影響するかを示す概略的なグラフである。特に、このグラフは、パルス型の放射源SOに関連して使用される
図2aの放射バンドのプロファイル20の作用を示すものである。放射バンドが所与のポイントを通り過ぎる際、同ポイントは、複数の点21で概略的に示されるような規則的な間隔で放射ドーズを受けることになる。2つの連続した放射ドーズ間の間隔は、パルス周波数f
pの逆数によって得られる。放射バンドがターゲットポイント上でスキャンされる時、放射の各パルス21はそのターゲットポイントを露光させる。各パルスにより送られるエネルギドーズは、そのパルス時点における放射プロファイルの値に依存する。
図2bの縦軸は、放射バンドのプロファイルを表し、所与のポイントに送られるドーズに寄与するドーズの和において各パルスドーズを重み付けするための無次元係数である。t
1は放射バンドの始端が所与のポイントを通過する時間であり、t
2は放射バンドの終端がそのポイントを通過する時間である。t<t
1かつt>t
2の場合、パルスはそのポイントへのドーズに寄与せず、無次元係数はゼロである。
【0067】
[0073] パルス型の放射源SOを利用する実施形態では、放射ビームの照射量は、放射源のパルス列に依存することになる。例えば、
I
SO(t)=I
SO,continuous(t)×p(t) (5)
上記式において、I
SO,continuous(t)は放射源の照射量であり、p(t)は無次元パルス波形である。I
SO,continuous(t)は、等価平均(equivalent continuous)放射源の照射量としてみなされ得るものであり、パルス波形は、等価平均放射源の照射量がパルス周波数f
pでどのようにサンプリングされるかを表す。
【0068】
[0074] パルス状の放射は、任意のパルス列を有し得る。パルスの形状、パルス長、およびパルス周波数は、要望または必要に応じて選択すればよい。パルス周波数は、例えば、およそ6KHzであり、この周波数は、およそ17msのパルス時間に相当する(ただし、他のパルス周波数を使用してもよい)。パルス長は、パルス列の時間より大幅に短くてよい。例えば、パルス長に対するパルス時間の比は、1000(または、他の値)程度であり得る。パルス長は、例えば、約150nsであり得る(ただし、他のパルス長を使用してもよい)。
【0069】
[0075] 上述したように、一般的に、基板W上の各ポイントを特定の(例えば、予め決められた)放射ドーズに露光することが有益である。さらに、一般的に、基板W上の各ポイントで受けられる放射ドーズを正確に制御することが望ましいことがある。したがって、例えば、放射ビームの照射量を制御することができれば、有益である。
【0070】
[0076] エネルギは放射源SOに供給される。例えば、放射源がレーザである実施形態の場合、エネルギは、外部供給源により、レーザの利得媒体に供給され得る。このプロセスは、ポンピングとして公知であり、外部供給源には、電力供給源(電気ポンピング)、電磁放射(光ポンピング)、ガス流(ガスダイナミックポンピング)、または他の好適なエネルギ源が含まれ得る。外部パワー供給源は、利得媒体に供給されるポンピングパワーの量を変動させることができるように調節可能であってもよい。外部パワー供給源は、利得媒体に供給されるパワーを変動させることができる1つ以上の入力変数を備え得る。例えば、エキシマレーザなどのガスレーザの場合、外部パワー供給源は、一対の放電導体を備えてよく、この放電導体間には高電圧が印加される。このような実施形態では、導体間に印加される電圧を変動させることにより、利得媒体に供給されるパワーを変動させることができる。
【0071】
[0077] 通常、レーザビームの照射量は、外部パワー供給源によって供給されるポンピングパワーに依存することになる。したがって、ビームの照射量、ひいては、基板Wに送られるドーズを正確に制御するためには、外部パワー供給源の1つ以上の変数とビームの照射量との間の関係を把握することが望ましい。この関係がはっきりと分かっていれば、それに応じて1つ以上の変数の値を選択することによって所望の照射量を実現することができる。しかし、通常、この関係ははっきりとは分かっていない。関係は、較正プロセス中に決定され得る1つ以上の自由パラメータを有する多項式としてパラメータ化され得る。さらに、関係は時間と共に変化し得るため、較正を定期的に行わなければならないことがある。
【0072】
[0078] 例えば、エキシマレーザの場合、レーザの照射量は、2つの導体間に印加される電圧Vに依存する。一般的に、この関係は非線形である。実用的に使用される電圧Vの範囲に対して、レーザの照射量Eは、電圧Vの多項式展開によって十分に近似され得る。電圧Vの範囲が十分に小さい場合、照射量Eと電圧との間の関係は、線形関係により近似することができる。
E=O+G×V (6)
上記式において、レーザの利得GおよびオフセットOは、較正プロセス中に決定され得るパラメータである。電圧の範囲が大きい場合、電圧Vと照射量Eとの間の関係をパラメータ化するには、より多くの調節可能パラメータを含むより高次の多項式が必要になり得る。
【0073】
[0079] 実用において、測定された照射量Eは、ノイズ成分を含むことになるため、較正プロセスでは、長時間かけて得たデータを使用して、外部パワー供給源の1つ以上の変数と照射量との間の関係に使用された1つ以上のパラメータを評価する。1つ以上のパラメータの値は、リソグラフィ装置が動作している間、時間の経過と共に変動し得るため、1つ以上のパラメータは較正プロセスを用いて定期的に決定され得る。
【0074】
[0080] 較正プロセスは、外部パワー供給源の1つ以上の変数に既知の変調を適用することと、当該1つ以上の変数の変動に対する照射量Eの応答を測定することとを含む。変動に対する測定された照射量Eの応答を使用して、外部パワー供給源の1つ以上の変数と照射量との間の関係で使用される1つ以上のパラメータの値が決定され得る。
【0075】
[0081] したがって、較正プロセスの一環として、特定の(例えば、予め決められた)周波数および振幅を有する変調は、利得材料に供給されるパワーに影響し得る1つ以上の変数に適用され得る。例えば、エキシマレーザの場合、変調は、一対の導体間に印加される電圧Vに適用され得る。以下の説明において、変調は、それぞれ区別なく、変調、ディザ変調、またはディザと呼ばれ得る。変調は、要望または必要に応じて、任意の好適な振幅を有し得る。このような電圧Vの変調は、基板W上の複数のポイントで受けられるドーズに変調をもたらすことになる。したがって、変調の振幅は、これらのドーズが許容可能な平均ドーズ量の範囲内に収まるように選択され得る。例えば、変調の振幅は、基板W上の複数のポイントで受けられるドーズが、平均ドーズの約3%以内になるように選択され得る(ただし、必要に応じて、より大きい振幅または小さい振幅が選択されてもよい)。さらに、変調の振幅は、1つ以上の変数と照射量との関係のパラメータ化が、変調によってカバーされる値の範囲にわたり十分に保持されるように選択され得る。例えば、エキシマレーザの場合、変調の振幅は、式6の線形関係が維持されるように選択され得る。ディザ変調の振幅を大きくすると、ポンピングパワーと、レーザにより放出される放射パルス(もしくは、同等に、レーザの照射量)のエネルギとの間の関係を決定することがより簡単になる。しかし、ディザ変調の振幅を大きくすると、基板W上で受けられる露光ドーズに影響するディザの範囲も広がることになる。したがって、ディザ変調の振幅は、ポンピングパワーとレーザ放射パルスのエネルギとの関係を所望の較正時間フレーム内に所望の精度で決定することが可能な最低限のレベルに維持され得る。
【0076】
[0082] ディザ変調は、周期的な波形を有する任意の変調であってよい。波形が複雑であるほど、多くの制限が課される一方、利点は全くあるいはほとんどないため、ディザ変調は、特定の周波数を有する正弦変調であることが望ましい場合がある。例えば、フーリエ型のスペクトル分析を使用して、照射量Eを印加電圧Vに結び付ける1つ以上のパラメータを決定し得るが(以下参照)、複数の周波数成分を含むディザ変調は、はっきりわかっているとしても、この分析を複雑にする一方で、利点は全くあるいはほとんどない場合がある。
【0077】
[0083] 放射源SOの変数に適用されるディザ変調は、対応する照射量Eの変調を引き起こすことになる。
図3は、エキシマレーザに印加された電圧Vを、ディザ変調の4つの周期に亘る時間を係数として示すグラフ30である。ディザ変調の振幅は、例えば、平均電圧のほんの小さな割合であり得る。ただし、
図3に示すグラフのスケールは、電圧Vのディザ変調のスケールに合わせて拡大されている。規則的な間隔のパルスのうち、ディザ変調がサンプリングされるタイミングも、点31としてグラフ上に示されている。
【0078】
[0084] 放射源SOが連続放射源である実施形態において、ディザ変調が適用された変数に照射量Eを結び付ける1つ以上のパラメータの値は、ロックイン増幅器を使用して決定することができる。それに加えて、あるいはその代わりに、照射量Eを印加電圧Vに結びつける1つ以上のパラメータの値は、スペクトル分析を使用して決定することができる。このスペクトル分析は、フーリエ型分析であり得る。これには、(a)ディザ変調が適用された1つ以上の変数と、(b)測定された照射量Eと、のフーリエ変換を決定することと、これらの2つの信号の1つ以上の周波数成分の係数を比較することと、を含む。放射源がパルス型である実施形態の場合、フーリエ変換は、離散フーリエ変換であり得る。離散フーリエ変換は、高速フーリエ変換アルゴリズムを使用して計算することができる。スペクトル分析は、2つの信号の周波数成分のうち、ほんのわずかな成分の係数を比較することを含み得る。そのような実施形態では、全フーリエ変換を計算する代わりに、所望の周波数成分のみを計算可能なアルゴリズムを使用することができる。例えば、ゲーツェル(Goertzel)アルゴリズムが使用され得る。
【0079】
[0085] 放射源SOがパルス状の放射ビームを生成する実施形態では、放射源のパルシングは、実際上、f
pの速度でビームの照射量をサンプリングする。ディザ変調f
dの周波数は、パルス周波数f
pよりも低くてよい。ディザ変調を再構築するのに十分なビーム照射量のサンプリングを行うためには、ディザ変調の各周期に3つ以上の放射パルスが存在するように、ディザ変調の最高周波数成分をパルス周波数f
pの半分よりも低くするべきである。
【0080】
[0086] このようなビーム照射量のサンプリングの結果、信号のエイリアシングが引き起こされることがあり、その場合、信号内の高周波数成分には、より低い周波数へのエイリアシングまたは「折り返し」が生じる。例えば、離散フーリエ変換を利用したビームの照射量のスペクトル分析では、周波数f
0を有する成分は、周波数f
0を有する信号の成分からの寄与に加え、複数の他の結像周波数を有する信号内の成分からの寄与も受ける。通常、これらの結像周波数は、
【数3】
によって得られ、この式においてnは整数である。ディザが適用される放射源SOの変数と、ビームの照射量との関係における1つ以上のパラメータは、照射量のフーリエ型分析を使用して決定され、その結果、このような結像周波数からの汚染がパラメータの正確な決定を妨げる場合がある。例えば、式6の線形関係が想定される場合、利得Gは、ディザ周波数f
dでの電圧Vおよび照射量Eの成分を比較することにより決定され得る。パルス周波数f
pは、そのようなエイリアシング作用がパラメータの決定に無視できる程度の作用しか与えないように選択され得る。
【0081】
[0087] 通常、各放射パルスのエネルギは、その放射パルスが生じた時点のディザ変調の位相に依存する。パルス周波数f
pは、ディザ周波数f
dの整数倍であってよく、その場合、放射パルスは、ディザ変調の各周期に対して、そのディザ変調の同一位相で生じることになる。しかし、実用において、特に、ディザが適用される放射源SOの変数とビームの照射量との関係が非線形の場合は、パルス周波数f
pがディザ変調の周波数の整数倍ではない方が好ましいことがある。この関係が非線形の場合、ディザ変調に加え、ビームの照射量は、ディザ変調のより高次の高調波を含むことになる。つまり、照射量は、2f
d、3f
d、4f
dなどの周波数を有する成分を含むことになる。パルス周波数f
pがディザ周波数f
dの整数倍の場合、ディザ信号のこれらより高次の高調波の少なくとも一部は、エイリアシングによりディザ周波数f
dに折り返された結像周波数と一致し得る。例えば、f
p=3f
dの場合、それぞれ周波数2f
dおよび4f
dを有するディザ変調の第2高調波および第4高調波は、エイリアシングによりディザ周波数f
dに折り返されることになる。そして、これが、ディザが適用される放射源SOの変数とビームの照射量との関係における1つ以上のパラメータを正確に決定する妨げになり得る。例えば、式6における利得Gが、ディザ周波数f
dでの電圧Vおよび照射量Eの成分を比較することにより決定される実施形態では、これらより高次の高調波から周波数f
dを有する照射量の成分への寄与は、利得Gの正確な決定の妨げとなり得る。このような実施形態では、パルス周波数f
pに対するディザ周波数f
dの比は、ディザ変調のより高次な高調波がエイリアシングによってディザ周波数f
dに折り返されないように選択され得る。例えば、ディザ変調の周波数f
dは、例えば、以下の式によって得ることができる。
【数4】
ただし、他の比が選択されてもよい。一実施形態において、パルス周波数f
pは、およそ6KHzであり、ディザ変調の周波数f
dはおよそ2.8KHzであり得る(ただし、他の周波数が選択されてもよい)。
【0082】
[0088] 照射量Eは、放射センサRSによって測定され得る(
図1参照)。放射センサRSは、放射センサRSに入射する放射のエネルギを測定するのに好適な任意のセンサであってよい。例えば、放射センサRSはフォトダイオードであり得る。放射センサRSは、放射源SOにより生成された放射ビームの少なくとも一部が放射センサRSに入射するように位置決めされ得る。放射源SOにより生成された放射ビームの一部のみが放射センサRSに入射する実施形態では、放射センサRSが受けるドーズと基板Wが受けるドーズとの間の関係は既知のはずであるため、前者の測定により後者を決定することができる。
【0083】
[0089] 放射センサRSの位置決めの一例が
図1に示されている。部分的に透過性のあるミラーPMは、イルミネータIL内に位置決めされている。部分的に透過性のあるミラーPMは、放射ビームの第1部分101を放射センサRSに向けて反射する。放射ビームの残部102は、部分的に透過性のあるミラーPMによって透過され、パターニングデバイスMAに送られる。放射ビームのうち、部分的に透過性のあるミラーPMによって反射される割合(第1部分101)は、例えば、放射ビームの数パーセント以下程度であり得る。この割合が既知である場合、部分的に透過性のあるミラーPMによって透過される放射ビーム102のエネルギは、放射センサRSによって得られた測定値を使用して計算することができる。この割合が既知でない場合、放射センサRSは、第2放射センサ(図示なし)を使用し、基板をこの第2放射センサに置き換えて、両放射センサによって測定されたエネルギを比較することにより、較正され得る。
【0084】
[0090] 他の実施形態において、部分的に透過性のあるミラーPMおよび放射センサRSは、放射ビームのパスに沿った別の位置に置かれてもよい。例えば、部分的に透過性のあるミラーPMおよび放射センサRSは、イルミネータILの前(例えば、ビームデリバリシステム内)に位置決めされ得る。
【0085】
[0091] 測定された放射照射量Eは、ディザ変調信号と組み合わせて、ディザ変調に起因する照射量Eの変動を抽出するために使用することができる。抽出されたディザ変調に起因する照射量Eの変動は、ディザ変調と組み合わせて、ディザ変調が適用される放射源SOの変数V(例えば、電圧V)と、照射量Eと、の間の関係を計算するために使用することができる。特に、数量dE/dVを計算することができる。変数Vと照射量Eとの間に線形関係がある場合、この数量は利得Gに相当し得る。
【0086】
[0092] 較正プロセスは、任意の好適なプロセッサにより実行され得る。例えば、較正プロセスは、マイクロプロセッサを備え得るコントローラCN(
図1に図示)によって実行され得る。コントローラCNは、ディザ変調が適用される放射源SOの変数Vと放射ビームの照射量Eとの間の関係を計算するように構成され得る。コントローラは、さらに、ディザ変調が適用される放射源SOの変数Vを制御するための制御信号を放射源SO(例えば、レーザ)に出力するように構成されてもよい。ビームの照射量Eを制御するために、計算された関係に従って、制御信号と、ひいては変数Vの値が制御され得る。
【0087】
[0093] 放射源SOを較正する方法は、オンライン較正プロセスとして実行されてもよい。オンライン較正プロセスは、上述した較正方法を実行しつつ、同時に、パターニングデバイスMAから基板W上にパターンを投影することを含み得る。オンラインプロセスとして較正を実行することは、較正がオフラインプロセスとして実行される場合(つまり、基板の露光が行われていない時に較正が実行される場合)に生じるリソグラフィ装置のスループットの低下を回避することができるため、有益である。較正をオンラインプロセンスとして実行することは、露光中に生じる1つ以上の較正パラメータ内の変動を、その変動が生じた時に補正することができる点においても、有益である。
【0088】
[0094] オンライン較正プロセスは、1つ以上のオフライン較正プロセスと組み合わせて実行されてもよい。較正プロセスの精度は、較正プロセスが実行される時間の長さに関連し得る。オフライン較正プロセスの所要時間は、このオフライン較正プロセスと組み合わせてオンライン較正プロセスを実行することにより、短縮することができる。
【0089】
[0095] オンライン較正プロセスを実行することで、オフライン較正プロセスの使用を省略することができる。この場合、オンライン較正プロセスは、基板Wの露光が継続している間(例えば、各ターゲット部分Cの露光中)に実行され得る。1つ以上の較正パラメータは、基板の露光終了時に、オンライン較正に従って更新されてもよい。その後、1つ以上の新しい較正パラメータを使用して、次の基板Wの露光中、放射源SOが制御され得る。
【0090】
[0096] 1つ以上の較正パラメータは、時間とともに大きく変化し得る。例えば、単一の基板Wの露光中、利得Gは50%ほども変動し得る。基板Wもしくはそのターゲット部分Cの露光前に較正パラメータが計算される場合、その較正パラメータは、基板Wもしくはそのターゲット部分Cの露光終了時にはもはや正確でないこともある。したがって、基板Wもしくはターゲット部分Cの露光終了時の直前に露光される領域は、基板Wもしくはターゲット部分Cの露光開始時に露光される領域と比較して、実質的に異なる放射ドーズを受けることがある。したがって、基板Wの露光中に較正パラメータを更新することが望ましい場合がある。例えば、利得材料に供給されるパワーに影響し得る1つ以上の変数に対してディザ変調が適用され、放射のエネルギが測定されている間に、基板Wまたはターゲット部分Cの第1領域が露光され得る。その後、第1領域の露光中に得られた放射ビームの測定値を使用して、外部パワー供給源の1つ以上の変数と、放射ビームのエネルギEとの間の関係の1つ以上のパラメータが計算され、1つ以上の較正パラメータが更新され得る。その後、更新された較正パラメータを使用して、外部供給源が制御される一方、基板Wまたはターゲット部分Cの第2領域が放射ビームに露光され得る。このようにして、較正パラメータは、リソグラフィ装置のスループットに影響を及ぼすことなく、定期的に更新することができる。
【0091】
[0097] 以下、
図4aおよび4bを参照してより詳細に説明するように、露光中にディザ変調が適用される較正プロセス(つまり、オンラインプロセス)中、基板W上の一定のポイントで受けられる放射ドーズは、ディザ変調による影響を受けることになる。本実施形態は、基板W上の一定のポイントで受けられるドーズに対するディザ変調の作用を低減する、あるいは最小限に抑えることに関連する。
【0092】
[0098]
図4aは、放射源がパルス型であり、この放射源の変数にディザ変調が適用されている場合において、
図2aに示した放射ビームプロファイルが基板Wのターゲットポイント上でスキャンされた際に、この基板Wのターゲットポイントが受ける放射ドーズを概略的に示している。線401は、放射源の変数に適用されるディザ変調を示す。励起電圧が印加されるエキシマレーザの場合、ディザ変調の振幅は、例えば、平均値のほんの小さい割合であり得る。ただし、
図4aにおいて電圧Vを示す縦軸は、ディザ変調の大きさに合わせて拡大されており、ゼロからオフセットされている。線402は、放射バンドのプロファイル、つまり、ターゲットポイントで受けられるパルスの無次元基準化因子(scale factor)を示す。線402は、
図2bの実線に相当する。
図4aの点404は、放射のパルスを表す。線403は、これらの点をつなぐものであり、線401と線402との積である。
【0093】
[0099] 上述したように、スキャン方向において基板上の一定ポイントで受けられるドーズE(パターニングデバイスMAの影響は無視する)は、放射バンドのプロファイルと、放射源の照射量と、の畳み込みによって得られる(式4参照)。電圧VとドーズEとの間に線形関係があると想定し、ノイズの影響を無視すると、連続放射源の場合、このドーズEは、時間に関して、線403の積分に比例する。パルス型の放射源の場合、ドーズは、ドット404によって表されるエネルギの和に比例する。
【0094】
[00100] 通常、(ターゲットポイントと呼ばれ得る)一定ポイントが露光される放射ドーズは、プロファイルの始端がそのポイントを通過する時の変調の位相に依存する。
図4aに示される例において、この位相は、放射ビームのプロファイルの中心が、ディザ変調におけるピークに対応する時点でターゲット上を通過するようになっている。
【0095】
[00101]
図4bに示された例では、プロファイルのポイントを通過する時の、適用された変調の位相が、
図4aに示されたものとは異なること以外は、
図4bは
図4aと同様である。
図4bに示された例において、この位相は、放射ビームのプロファイルの中心が、ディザ変調における谷に対応する時点でターゲットポイント上を通過するようになっている。
【0096】
[00102]
図4aおよび
図4bに示された二例のそれぞれでは、ターゲットポイント上で放射ビームがスキャンされる際に、ターゲットポイントに送られる放射の合計ドーズが異なる。これは、プロファイルの始端がこれら2つのポイントを通過する際の放射パルス列の位相が異なるためである。
【0097】
[00103] 通常、ターゲットポイントが露光される放射ドーズは、プロファイルの始端が同ポイントを通過する時の放射パルス列の位相(つまり、ターゲットポイントを通過するプロファイルの始端と、同ターゲットポイントを照射する最初のパルスと、の間に経過する時間の長さΔt)にも依存する。
【0098】
[00104] したがって、一般的には、一定のディザ変調、パルス列、およびスリットプロファイルの場合、基板W上の異なる点に送られるドーズに範囲が存在することになる。これは、通常、適用された変調の位相およびプロファイルの始端が所与のポイントを通過する時の放射パルス列の位相は、ポイントごとに異なるためである。
【0099】
[00105] エキシマレーザの電圧に正弦変調を適用するとみなすと、
V(t)=V
0+A
dsin(2πf
dt+φ
d) (8)
であり、上記式において、V
0は一定のオフセット電圧であり、A
d、f
d、およびφ
dは、振幅、周波数、および変調の位相である。電圧Vと放射ビームの照射量との間に線形関係があると想定し、ノイズの影響を無視すると、ビームの照射量は以下の式により得られる(式5参照のこと)。
I
so(t)=[I
0+I
1sin(2πf
dt+φ
d)]×[p(t)] (9)
上記式において、I
0は一定のオフセット照射量であり、I
1は電圧V(t)に適用されたディザによる照射量への寄与の振幅である。
【0100】
[00106] これを式4に代入することにより、基板上のポイントyに送られるドーズが以下の式により得られる。
E(y)=E
0(y)+E
d(y) (10)
上記式において、E
0(y)は、変調が適用されない場合(つまり、A
d=0の場合)に同ポイントに送られることになるドーズであり、変調E
d(y)によるドーズへの寄与は、以下の式により得られる。
【数5】
【0101】
[00107] 上記の計算がある範囲の周波数に対して実行され、E
d(y)の大きさを減少または最小化する周波数が選択され得る。通常、E
d(y)に関する数量が計算され、この数量を減少させる好適な変調周波数を選択することが実施形態に含まれ得る。
【0102】
[00108] 一定のディザ振幅、パルス列、およびスリットプロファイルの場合、基板W上の一定ポイントで受けられるドーズに対する変調E
d(y)による寄与は、変調の周波数f
dに依存する。特に、所与のスリットプロファイル、スキャン速度v
s、およびパルス周波数f
pに対して、数量を減少させるディザ変調の周波数が存在することになる。これらの周波数は、この数量の最小値に対応し得る。
【0103】
[00109] スリットプロファイルf(x)が「シルクハット」状の分布であり、放射源SOが連続的である(つまり、式11においてf(y−v
st)=p(t)=1)である場合、このプロファイルが基板W上の所与のポイントを通り過ぎるのに要する時間がディザ変調の整数周期である時、寄与E
d(y)は消滅することになる。さらに、このプロ
ファイルが所与のポイントを通り過ぎるのに要する時間が、ディザ変調の整数周期よりもディザ変調の半周期分大きい時、寄与E
d(y)は最大になり得る。したがって、このような非現実的な構成の場合、変調周波数f
dの関数としてE
d(y)のグラフをプロットしようとすると、変調周波数f
d内に規則的な間隔で最小値が観測されることが予測される。しかし、以下においてさらに詳述するように、通常、(a)非均一なスリットプロファイルが使用される場合、または、(b)パルス型の放射源が使用される場合、このパターンは変わることになる。
【0104】
[00110] より複雑なスリットプロファイルの場合、極小値での打消しは完全でない場合があり、打消しが生じる周波数は、通常、スリットプロファイル全体にわたる変調の整数周期に対応しないことになる。これは、スリットプロファイルf(y−v
st)が、実際上、正弦曲線上のポイントごとに、それぞれ異なる重みを印加しているためである。
【0105】
[00111] さらに、パルス型の放射源の場合、均一な「シルクハット」状のプロファイルで、かつ、このプロファイルが基板W上の所与のポイントを通り過ぎるのに要する時間がディザ変調の整数周期である場合でも、通常、完全な打消しは生じず、E
d(y)は消滅しない。打消しは、パルス列とディザ変調の相対位相(パルス周波数f
pが変調周波数f
dの整数倍でない限り基板上の異なるポイントごとに変動する)に依存し、かつ、放射プロファイルの始端が基板上のポイントを通過する時のパルス列およびディザ変調の位相に依存することになる。
【0106】
[00112] E
d(y)の絶対値の代わりに、E
d(y)に比例するが、ある程度正規化されるような数量を考慮することが望ましいことがある。例えば、E
d(y)とE
0(y)との比、つまり、ディザが適用されなかった場合に受けたであろうドーズのパーセンテージで表されるドーズにおける相対的な変調の大きさを考慮することが望ましいことがある。さらに、この比を、変調が無い場合の変数のパーセンテージで表される、放射源の変数に適用された変調の相対的な大きさの比(つまり、A
dとV
0との比)と比較することが望ましい場合がある。例えば、適用される変調が例えば3%であるとして、ドーズにおける変調が確実に所与のレベル(例えば1%など)になることが望まれることもある。
【0107】
[00113] したがって、放射源の変数に適用されるべき周期的な変調を選択する方法が提供される。放射源は、基板と放射とをスキャン速度v
sで相対移動させながら、放射バンドとして基板上へ投影するための放射をリソグラフィ装置に送るように動作可能である。この方法は、ある範囲の周波数について、ディザ変調による、基板W上のある位置に送られるエネルギドーズへの寄与の指標である数量の計算と、この数量を最小化する周波数の選択と、を含む。エネルギドーズへの寄与は、(例えば、式11によって得られるように)放射バンドのプロファイルと、放射源によって送られる照射量との畳み込みとして計算される。
【0108】
[00114] この方法は、放射バンドが基板上の位置を通り過ぎるのに要する時間、スリットプロファイルのサイズおよび形状、スキャン速度v
s、パルス周波数f
p、ならびに/または、エネルギドーズに寄与するパルス数といった一組以上のシステムパラメータについて実行され得る。
【0109】
[00115] さらに、上述したように、ディザ変調によるエネルギドーズへの寄与は、通常、基板上のポイントごとに異なるため、この方法は、基板上の2か所以上の位置に対して実行されてもよい。そのような実施形態では、この方法は、最悪のシナリオを使用して、基板上の全てのポイントにおけるエネルギドーズへの寄与が、確実に、特定の(例えば、予め決められた)レベル未満にすることができる。
【0110】
[00116]
図5は、ディザ変調による、基板W上のある位置に送られるエネルギドーズへの寄与の指標である数量を、ディザ変調の周波数の関数として示す概略的なグラフである。
図5のグラフは、
図2aに示される放射プロファイルを使用して計算された。この計算は、MatLabを使用して実行されたが、要望または必要に応じて、他のソフトウェアプログラムを使用してもよい。図示された数量は、放射源の変数に対して適用された変調の相対的な大きさ(変調が適用されない場合の同変数に対するパーセンテージで表される)に対する、ドーズにおける変調の相対的な大きさ(ディザが適用されなかった場合に受けたであろうドーズのパーセンテージで表される)の比である。これは、放射源に適用される変調の大きさに対するドーズ変調の大きさと言い換えることもできる。数量は、スキャン速度v
s対パルス周波数f
pの第1の比および第2の比について計算された(それぞれ、線501および線520)。線501は、0.2m/秒のスキャン速度v
sおよび2kHzのパルス周波数f
pを示し、線502は、0.39m/秒のスキャン速度v
sおよび2kHzのパルス周波数f
pを示す。503a〜dの周波数範囲は、スキャン速度v
s対パルス周波数f
pの第1の比および第2の比の両方について、数量が顕著に減少する周波数を示している。
【0111】
[00117] リソグラフィ装置は、スキャン速度v
s対パルス周波数f
pの様々な比で動作し得る。例えば、リソグラフィ装置は、第1バッチの基板Wを第1の比で露光し、第2バッチの基板Wを第2の比で露光することができる。ディザ変調周波数は、第1の比および第2の比の両方で第1および第2バッチの基板Wを露光する間、数量が確実に許容可能なレベルになるように、周波数範囲503a〜dから選択され得る。許容可能なレベルとは、例えば、特定の(例えば、予め決められた)基準を満たすものであり得る。基準は、例えば、変調により生じるドーズの変動が閾値未満であることなどであってよい。
【0112】
[00118] 通常、リソグラフィ装置は、スキャン速度v
sおよびパルス周波数f
pなどのシステムパラメータを一定範囲の値にして動作し得る。ディザ変調周波数の関数としての数量は、リソグラフィ装置が動作するためのシステムパラメータの値として予測される全ての組み合わせについて、計算され得る。その後、これらの組み合わせの全てについて数値が許容可能なレベルになるような周波数範囲が求められ、この範囲内でディザ変調周波数が選択され得る。その後、選択されたディザ変調周波数は、リソグラフィ装置の動作中、較正プロセスにおいて使用され得る。
【0113】
[00119] 一実施形態において、ディザ変調周波数は、異なる組のシステムパラメータ(例えば、スキャン速度v
s対パルス周波数f
pの異なる比など)に対して、変更され得る。ディザ変調周波数は、リソグラフィ装置が動作するための一組のシステムパラメータにおける数量を小さくするために(例えば、数量が最小値になる周波数を選択するために)変更され得る。例えば、第1ディザ変調周波数は、第1バッチの基板Wが露光され、リソグラフィ装置がスキャン速度v
s対パルス周波数f
pの第1の比で動作している間に使用され得る。第1ディザ変調周波数は、スキャン速度v
s対パルス周波数f
pの第1の比でリソグラフィ装置を動作させつつ、数量を減少させるようなディザ変調周波数であり得る。ディザ変調周波数は、スキャン速度v
s対パルス周波数f
pの第2の比で動作しているリソグラフィ装置で第2バッチの基板Wを露光するために第2ディザ変調周波数に変更され得る。第2ディザ変調周波数は、スキャン速度v
s対パルス周波数f
pの第2の比でリソグラフィ装置を動作させつつ、数量を減少させるようなディザ変調周波数であり得る。
【0114】
[00120] 放射源SOは、レーザを備えるものとして説明したが、放射源SOは、いずれの形態の放射源SOであってもよい。例えば、放射源SOは、EUV放射源(例えば、DPP源またはLPP源)、あるいはランプタイプの放射源(例えば、水銀放電ランプ)などであり得る。
【0115】
[00121] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明の実施形態は、上記に開示した方法を表す1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、またはこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態であってもよい。さらに、機械読取可能命令は、2つ以上のコンピュータプログラムにおいて具現化され得る。2つ以上のコンピュータプログラムは、1つ以上の異なるメモリおよび/またはデータ記憶媒体に記憶され得る。本記載は、本発明を限定することを意図したものではない。