(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポジ型液晶化合物を含み前記ネガ型液晶化合物を含まない液晶材料は、実質的に同じ絶対値を有する正極性電圧と負極性電圧とが極性を切り替えて印加されるときに、前記スリット上において、前記正極性電圧を印加したときの安定輝度から画素全体の輝度が一時的に低下した状態における輝度まで第1の低下率で輝度が低下するとともに、画素全体の輝度が一時的に低下した状態における輝度から前記負極性電圧を印加したときの安定輝度まで第2の低下率で輝度が低下し、かつ、前記複数の直線部分上において、前記正極性電圧を印加したときの安定輝度から画素全体の輝度が一時的に低下した状態における輝度まで第1の上昇率で輝度が上昇するとともに、画素全体の輝度が一時的に低下した状態の輝度から前記負極性電圧を印加したときの安定輝度まで第2の上昇率で輝度が上昇する、ポジ型液晶材料であり、
前記ネガ型液晶化合物を含み前記ポジ型液晶化合物を含まない液晶材料は、実質的に同じ絶対値を有する正極性電圧と負極性電圧とが極性を切り替えて印加されるときに、前記スリット上において、前記正極性電圧を印加したときの安定輝度から画素全体の輝度が一時的に低下した状態における輝度まで第3の上昇率で輝度が上昇するとともに、画素全体の輝度が一時的に低下した状態における輝度から前記負極性電圧を印加したときの安定輝度まで第4の上昇率で輝度が上昇し、かつ、前記複数の直線部分上において、前記正極性電圧を印加したときの安定輝度から画素全体の輝度が一時的に低下した状態における輝度まで第3の低下率で輝度が低下するとともに、画素全体の輝度が一時的に低下した状態の輝度から前記負極性電圧を印加したときの安定輝度まで第4の低下率で輝度が低下する、ネガ型液晶材料であり、
前記ポジ型液晶材料についての前記第2の低下率と前記第2の上昇率との大きさの差が、前記ネガ型液晶材料についての前記第4の上昇率と前記第4の低下率との大きさの差よりも大きい、請求項1から5のいずれかに記載の液晶表示装置。
前記ネガ型液晶材料における前記スリット上での前記第3の上昇率と前記第4の上昇率との差は、前記ポジ型液晶材料における前記第1の低下率と前記第2の低下率との差よりも小さい、請求項7に記載の液晶表示装置。
実質的に同じ絶対値を有する正極性電圧と負極性電圧とが極性を切り替えて印加されるとき、前記正極性電圧印加時の安定的な画素全体輝度と前記負極性電圧印加時の安定的な画素全体輝度とが実質的に同じ場合において、前記極性を切り替えた直後の所定期間に、前記安定的な画素全体輝度から一時的な画素全体輝度の低下が生じ、
前記ポジ型液晶化合物は、前記スリット上において、前記正極性電圧を印加したときの安定的な輝度と前記一時的な画素全体輝度の低下が生じたときの輝度との差である第1の差が、前記一時的な画素全体輝度の低下が生じたときの輝度と前記負極性電圧を印加したときの安定的な輝度との差である第2の差よりも大きくなる液晶化合物からなり、
前記ネガ型液晶材料は、前記スリット上において、前記正極性電圧を印加したときの安定的な輝度と前記一時的な画素全体輝度の低下が生じたときの輝度の差である第3の差と、前記一時的な画素全体輝度の低下が生じたときの輝度と前記負極性電圧を印加したときの安定的な輝度との差である第4の差との差異が、前記第1の差と前記第2の差との差異よりも小さくなる液晶化合物からなる、請求項1から5のいずれかに記載の液晶表示装置。
【背景技術】
【0002】
TFT型液晶表示装置は、TFT(薄膜トランジスタ)を介して各画素の液晶層(電気的には、「液晶容量」と呼ばれる。)に印加する電圧を制御することによって、各画素を透過する光の量を調節し、表示を行う。各画素の液晶層に印加される電圧は、ある期間毎に極性が反転される。このような液晶表示装置の駆動方法は、交流駆動法と呼ばれ、液晶層に長時間にわたって直流電圧が印加されないようにしている。液晶層に長時間にわたって直流電圧が印加されると、液晶材料中に存在するイオンの偏在(界面分極)や液晶材料の劣化が起こり、表示品位が低下するからである。
【0003】
本明細書において、各画素の液晶層(液晶容量)に印加される電圧を画素電圧と呼ぶことにする。画素電圧は、画素の画素電極と対向電極との間に印加される電圧であり、対向電極の電位に対する画素電極の電位で表される。対向電極の電位よりも画素電極の電位が高いときの画素電圧の極性を正とし、対向電極の電位よりも画素電極の電位が低いときの画素電圧の極性を負とする。
【0004】
TFT型液晶表示装置において、TFTのドレイン電極に接続された画素電極には、TFTのソースに接続されているソースバスライン(信号線)から供給される表示信号電圧が供給される。画素電極に供給される表示信号電圧と、対向電極に供給される対向電圧との差が、画素電圧に相当する。
【0005】
TFT型液晶表示装置において、画素電圧の極性は、典型的にはフレーム期間毎に反転する。ここで、TFT型液晶表示装置におけるフレーム期間とは、全ての画素に画素電圧を供給するために必要な期間であって、あるゲートバスライン(走査線)が選択され、次にそのゲートバスラインが選択されるまでの期間を意味し、垂直走査期間と言われることもある。画素は、行および列を有するマトリクス状に配列されており、典型的には、ゲートバスラインは画素の行に対応し、ソースバスラインは画素の列に対応する。ゲートバスラインに供給される走査信号(ゲート信号)によって行ごとに画素のTFTをオンにすることで、行ごとに画素電圧が順次供給される。
【0006】
従来の一般的なTFT型液晶表示装置のフレーム期間は1/60秒(フレーム周波数は60Hz)である。入力映像信号が例えばNTSC信号の場合、NTSC信号は、インターレース駆動用の信号であり、1フレーム(フレーム周波数は30Hz)が、奇数フィールドおよび偶数フィールドの2つのフィールド(フィールド周波数は60Hz)で構成されているが、TFT型液晶表示装置では、NTSC信号の各フィールドに対応して、全ての画素に画素電圧を供給するので、TFT型液晶表示装置のフレーム期間は1/60秒(フレーム周波数は60Hz)となる。なお、最近では、動画表示特性の向上や3D表示を行うために、フレーム周波数を120Hzにした倍速駆動や、240Hzの4倍速駆動のTFT型液晶表示装置が市販されている。このように、TFT型液晶表示装置は、入力される映像信号に応じてフレーム期間(フレーム周波数)を決定し、各フレーム期間に全ての画素に画素電圧を供給するように構成された駆動回路を備えている。
【0007】
近年、In-Plane Switching(IPS)モードやFringe Field Switching(FFS)モードに代表される横電界モードの液晶表示装置の利用が広がっている。横電界モードの液晶表示装置は、Vertical Alignment(VA)モードなどの縦電界モードの液晶表示装置に比べて、画素電圧の極性反転に伴う画面のちらつき(フリッカ)が見えやすいという問題がある。これは、液晶層の液晶分子の配向が、ベンド変形やスプレイ変形を伴う変化をすると、液晶分子の配向の非対称に起因した配向分極が生じるためと考えられている。このような双極子(液晶分子)の配列の空間的な不均一性によって生じる分極変化は、フレクソエレクトリック効果(Flexo-electric Effect)と呼ばれている。
【0008】
特許文献1は、画素電極を第1および第2の領域に分割し、第1の領域における櫛歯の数と第2の領域における櫛歯の数とを1つ異ならせ、画素領域内に形成される櫛歯の数と櫛歯間のスリットの数とを同数にすることによってフレクソエレクトリック効果を低減する液晶表示装置を開示している。
【0009】
また、特許文献2は、画素電極が有する複数の帯状部分と平行なダミー電極を隣接する2つの画素電極間の領域に配置するなどして電界の分布を制御するように構成された液晶表示装置を開示している。このような方法によってもフレクソエレクトリック効果を低減することができる。
【0010】
ところで、本願出願人は、酸化物半導体層(例えば、In−Ga−Zn−O系の半導体層)を備えたTFTを用いた低消費電力の液晶表示装置を製造販売している。In−Ga−Zn−O系半導体層を有するTFTは、高い移動度(a−SiTFTに比べ20倍超)および低いリーク電流(a−SiTFTに比べ100分の1未満)を有している。画素TFTとして、In−Ga−Zn−O系半導体層を有するTFTを用いると、リーク電流が小さいので、休止駆動法(低周波駆動法とよばれることもある)を適用することによって、消費電力を低減することができる。
【0011】
休止駆動法は、例えば、特許文献3に記載されている。休止駆動法は、通常の60Hz駆動(1フレーム期間=1/60秒間)において、1フレーム期間(1/60秒間)で画像を書き込んだ後、続く59フレーム期間(59/60秒間)では画像を書き込まないというサイクルを繰り返す。この休止駆動法では、1秒間に1回だけ画像を書き込むので、1Hz駆動と呼ばれることもある。ここでは、休止駆動法とは、画像を書き込む期間よりも長い休止期間を有する駆動方法、または、フレーム周波数が60Hz未満の低周波駆動を指すことにする。
【0012】
フリッカとして視認されやすいかどうかは、輝度の変化が生じる周波数に依存する。例えば、60Hzでは気にならない輝度の変化も、周波数が60Hzより小さく、例えば30Hz以下になるとフリッカとして視認されやすくなる。特に、10Hz付近の周波数で輝度が変化すると、フリッカが非常に気になることが知られている。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態による液晶表示装置を説明する。以下では、FFSモードの液晶表示装置を例示するが、本発明の実施形態は、例示するFFSモードの液晶表示装置100に限られず、種々の公知のFFSモードの液晶表示装置に適用できる。また、IPSモードなどの他の方式の横電界モードの液晶表示装置にも適用できる。
【0032】
図1(a)および(b)は、本発明の実施形態による液晶表示装置100の構造を模式的に示す。液晶表示装置100は、FFSモードのTFT型液晶表示装置である。
図1(a)は、液晶表示装置100の模式的な平面図であり、
図1(b)は、
図1(a)における1B−1B’線に沿った模式的な断面図である。
図1(a)および(b)は、液晶表示装置100の1つの画素に対応する領域を示している。
【0033】
液晶表示装置100は、表示領域において行および列を有するマトリクス状に配列された複数の画素を有しており、表示領域の外側において不図示の駆動回路を有している。駆動回路は、後述するように画素に画素電圧を供給するように構成されていれば良く、複数の画素から構成される表示領域の周辺領域(額縁領域)に配置されてもよいし、別途設けられていてもよい。なお、
図1(a)には、行方向の画素の配列ピッチをPx、列方向の画素の配列ピッチをPy、有効画素開口幅をWoで示している。
【0034】
液晶表示装置100は、TFT基板(第1基板)10と、対向基板(第2基板)30と、TFT基板10と対向基板30との間に設けられた液晶層42とを有する。液晶表示装置100は、さらに不図示の一対の偏光板を有している。一対の偏光板は、TFT基板10および対向基板30の外側に設けられており、一方の透過軸(偏光軸)が水平方向、他方の透過軸が垂直方向に沿うようにクロスニコルに配置される。
【0035】
TFT基板10は、液晶層42側から、第1配向膜25と、第1電極24と、誘電体層23と、第2電極22とをこの順で有し、第1電極24は、互いに平行な複数の直線部分24e(あるいは隣接する2本の直線部分24eの間に設けられるスリット24sまたは切り込み)を有している。ここでは、第1電極24が複数の直線部分24eを有する構造を例示しているが、第2電極22が複数の直線部分を有してもよい。直線部分24eは、例えば、第1電極24を形成する導電膜に複数のスリットを設けることによって形成される。
【0036】
第1電極24および第2電極22のうちの一方が画素電極であり、他方が対向電極(共通電極)であればよい。ここでは、第1電極24が画素電極であり、第2電極22が対向電極である例を説明する。
【0037】
この例の場合、対向電極(第2電極)22は、典型的にはベタ電極(スリットなどがない膜電極)として設けられる。対向電極は、複数の画素に共通するように表示領域全体に広がるように形成されていてもよい。
【0038】
また、画素電極24が有する複数の直線部分24eのそれぞれの幅Lは、例えば、1.5μm以上5.0μm以下であり、隣接する2つの直線部分24eの間隙(スリット24s)の幅Sは、例えば、2.0μm超6.0μm以下である。画素電極24および対向電極22は、ITO(インジウム錫酸化物)などの透明導電材料から形成される。
【0039】
画素電極24は、TFTのドレイン電極に接続されており、TFTを介して、TFTのソース電極に接続されたソースバスライン(不図示)から、表示信号電圧が供給される。ソースバスラインは列方向に延びるように配置され、ゲートバスラインは行方向に延びるように配置されている。TFTとしては、酸化物半導体を用いたTFTが好ましい。液晶表示装置100に好適に用いられる酸化物半導体については後述する。酸化物半導体を用いたTFTを備えるFFSモードの液晶表示装置としては種々の形態が知られている。
図1(b)には、一例として、ボトムゲート型のTFTを有する場合の積層構造が模式的に示されている。
【0040】
TFT基板10は、基板(例えばガラス基板)11と、その上に形成されたゲートメタル層12と、ゲートメタル層12を覆うゲート絶縁層13と、ゲート絶縁層13上に形成された酸化物半導体層14と、酸化物半導体層14上に形成されたソースメタル層16と、ソースメタル層16上に形成された層間絶縁層17とを有している。
【0041】
ここでは、簡略化しているが、ゲートメタル層12はゲート電極、ゲートバスラインおよび対向電極用配線を含み、酸化物半導体層14はTFTの活性層を含み、ソースメタル層16は、ソース電極、ドレイン電極およびソースバスラインを含む。対向電極22は、層間絶縁層17上に形成されている。必要に応じて、層間絶縁層17と対向電極22との間に、さらに平坦化層が設けられることもある。
【0042】
対向基板30は、基板(例えばガラス基板)31上に、液晶層42側から、第2配向膜35と、開口部32aを有する遮光層32(ブラックマトリクス)とをこの順で有する。遮光層32の開口部32aには、カラーフィルタ層34が設けられている。遮光層32は、例えば、感光性を有する黒色樹脂層を用いて形成することができる。カラーフィルタ層34も、感光性を有する着色樹脂層を用いて形成することができる。基板31の外側(液晶層42とは反対側)に、必要に応じて、帯電を防止するための、ITO等からなる透明導電層(不図示)が設けられることもある。
【0043】
本実施形態の液晶表示装置100において、液晶層42は、誘電異方性が正のネマチック液晶化合物(以下、ポジ型液晶化合物と呼ぶ)と、誘電異方性が負のネマチック液晶化合物(以下、ネガ型液晶化合物と呼ぶ)とを含んでいる。より具体的には、液晶層42は、ポジ型液晶化合物として誘電異方性Δε>3を満たす液晶化合物を含み、ネガ型液晶化合物として誘電異方性Δε<−1.5を満たす液晶化合物を含んでいる。なお、本明細書において、誘電異方性Δεは、1kHzの周波数および20℃の条件において測定されたものである。
【0044】
液晶層42は、ポジ型液晶材料とネガ型液晶材料とを混合させた液晶材料を用いて形成されていてよい。ここで、ポジ型液晶材料とは、単数または複数の種類のポジ型液晶化合物を含む液晶材料を意味している。ポジ型液晶材料は、ポジ型液晶化合物以外に誘電異方性がニュートラルである化合物を含んでいても良い。また、ネガ型液晶材料とは、単数または複数の種類のネガ型液晶化合物を含む液晶材料を意味している。ネガ型液晶材料もまた、ネガ型液晶化合物以外に誘電異方性がニュートラルである化合物を含んでいて良い。
【0045】
本実施形態において、液晶層42は、主としてポジ型液晶化合物を含むものであり、液晶層42におけるポジ型液晶化合物の合計の含有量は、ネガ型液晶化合物の合計の含有量を下回らず、典型的にはネガ型液晶化合物の合計の含有量よりも多い。ネガ型液晶化合物の合計の含有量は、液晶材料全体に対する例えば1体積%以上40体積%以下、好ましくは2体積%以上30体積%以下である。また、液晶応答性の低下を防止するという観点からは、ネガ型液晶化合物の合計の含有量を15体積%以下にすることが好適である。
【0046】
ネガ型液晶化合物としては、例えば、MLC−6608(メルク社製)を用いることができる。また、ポジ型液晶化合物としては、例えば、ZLI−1565(メルク社製)を用いることができる。
【0047】
なお、このようにポジ型液晶化合物とネガ型液晶化合物とを含む液晶材料が、特許文献4または特許文献5に開示されている。特許文献4には、ネガ型液晶材料にポジ型液晶材料を混ぜたときに、応答や温度特性が改善されることが記載されており、特許文献5には、ポジ型液晶材料にネガ型液晶材料を混ぜたときに、応答や温度特性が改善されることが記載されている。
【0048】
液晶層42が、適切な量のポジ型液晶化合物とネガ型液晶化合物との両方を含んでいることによって、応答速度や透過率を損なうことなく、特に休止駆動(または60Hz未満での低周波駆動)を行うときのフリッカの発生を効果的に抑制することができる。この原理については後述する。
【0049】
なお、FFSモードの液晶表示装置100において、液晶層42に含まれる液晶分子は、第1配向膜25および第2配向膜35によって基板面とほぼ水平に配向している。第1配向膜25および第2配向膜35によって規制される配向の方位は、平行または反平行であってよい。第1配向膜25および第2配向膜35による配向規制方位は、直線部分24eの延びる方向にほぼ平行である。ただし、直線部分24eの延びる方向に対して配向膜の配向規制方位は例えば3°〜7°異なっていても良い。第1配向膜25および第2配向膜35によって規定されるプレチルト角(配向膜の膜面に対する液晶分子の立ち上がり角度)は例えば0°である。
【0050】
この構成において、画素電圧印加時に、画素電極24と対向電極22との間に生じる電界によって液晶分子が面内において回転し、これによって表示を行うことができる。
【0051】
ここで、従来のFFSモードの液晶表示装置における、極性反転駆動時の輝度分布の変化について説明する。なお、以下に説明する従来の液晶表示装置では、本発明の実施形態とは異なり、液晶層がポジ型液晶材料のみから形成されている。
【0052】
図2は、従来の液晶表示装置における画素内の輝度分布を示す図であり、
図2(a)は、画素電圧が+2Vである正極性電圧印加時の輝度分布を示し、
図2(b)は、画素電圧が−2Vである負極性電圧印加時の輝度分布を示している。ここで、画素電圧は、対向電極22の電位を基準としたときの画素電極24の電圧として規定される。
【0053】
図2(a)および
図2(b)に示した画素の輝度分布の画像を比較して明らかなように、正の画素電圧(>0V)を印加したときの方が、負の画素電圧(<0V)を印加したときよりも明るい。ここで示した画素は、試作した液晶表示パネルの画素を顕微鏡で観察することによって得られた画像であり、
図1(a)および(b)に示した構成を備えているが、液晶層はポジ型の液晶材料から形成されている。
【0054】
図2(a)からわかるように、正の画素電圧を印加すると、画素電極24のスリット24sにおいて輝度が高く、画素電極24の直線部分24eにおいて輝度が低い。一方で、
図2(b)からわかるように、負の画素電圧を印加すると、画素電極24の直線部分24eにおいて輝度が高く、画素電極24のスリット24sにおいて輝度が低い。これは、正極性電圧印加時と負極性電圧印加時とでは、印加電圧の大きさ(絶対値)が同じときにも、それぞれで液晶分子の配向に違いが生じることに起因しているものと考えられる。
【0055】
この現象をより詳細に説明すると、正極性電圧を印加したときには、液晶分子の局所的な配向秩序の乱れ(例えば縦電界成分に由来するスプレイ配向)によって発生したフレクソエレクトリック分極が、スリット上に位置する液晶分子の横電界成分による面内回転を妨げず、かつ、直線部分上に位置する液晶分子の横電界成分による面内回転を妨げるように作用するものと考えられる。一方で、負極性電圧を印加したときには、正極性電圧の印加時とは異なる配向秩序の乱れおよびフレクソエレクトリック分極が発生し、これがスリット上に位置する液晶分子の面内回転を妨げ、かつ、直線部分上に位置する液晶分子の面内回転を妨げないように作用するものと考えられる。その結果、正極性電圧を印加したときと負極性電圧を印加したときとでは、発生するフレクソエレクトリック分極の違いに応じて、明るくなる領域と暗くなる領域とが異なるものとなると推測される。このように画素電圧の極性に応じて、明るい領域と暗い領域とが異なる態様で形成される場合、画素全体の輝度(平均輝度)も画素電圧の極性に応じて異なりやすい。
【0056】
また、画素電圧の極性に応じて輝度が変化する画素を交流駆動すると、極性の変化に伴う輝度変化が、特に低周波駆動を行う場合において、フリッカとして視認されやすくなる。これは、オフセット電圧を加えて正極性電圧と負極性電圧とのバランスを調整したとしても、極性切り替え時には輝度低下が発生するからである。例えば1Hz駆動(1フレーム期間(1/60秒間)で画像を書き込んだ後、続く59フレーム期間(59/60秒間)では画像を書き込まないというサイクルを繰り返す)を行うと、極性反転した後の短期間に出現する一時的な輝度の変動によってフリッカが視認される。この過渡的な輝度の変化は、特許文献1や特許文献2に記載の技術では解決できない新たな問題である。このことを
図3を参照してより詳細に説明する。
【0057】
図3は、1Hz駆動を行ったときの1画素の輝度の時間変化を測定した結果を示す図であり、
図3(a)はオフセット電圧を印加していない場合の結果を示し、
図3(b)はオフセット電圧を印加した場合の結果を示している。オフセット電圧とは、一般の液晶表示装置においても、フリッカを防止するために印加される直流電圧であり、主に、TFTの引き込み電圧によって画素電圧の絶対値が正極性と負極性とで異なることを防止するために画素電極および/または対向電極に印加される電圧成分である。
【0058】
図3(a)に示すように、オフセット電圧を印加しないと、画素電圧が正極性のときと、負極性のときとで輝度が大きく異なる。これに対して、オフセット電圧を印加すると、
図3(b)に示すように、正極性のときと負極性のときとの輝度の差をほとんどなくすことができる。
【0059】
しかしながら、
図3(b)からわかるように、たとえオフセット電圧を印加したとしても、画素電圧の極性を反転させた直後のタイミングで、瞬時的な輝度の低下が発生する。言い換えると、画素電圧の極性を切り替えた直後の短期間(例えば数ミリ秒間)において画素が一瞬暗くなり、その後、画素が再び明るく戻る現象が生じる。このように極性切り替えのタイミングで周期的に発生する輝度の一時低下は、特許文献1および2に記載の技術を含む、従来の技術では解決できない。
【0060】
なお、上記の一時的に低下した輝度を、本明細書では、輝度min(または低下輝度)と称することがある。この輝度minは、画素電圧の絶対値が一定である条件で駆動したときにおいても極性切り替え時に生じる一時的な平均輝度(画素全体の輝度)の低下状態、または、このときの輝度(平均輝度)の最小を意味している。輝度minは、正極性画素電圧または負極性画素電圧が安定的に印加されている期間における所定領域(例えばスリット上の領域)での最小の輝度を意味するものではない。画素電圧の極性切り替え時以外における画素内の所定領域での最小の輝度は、輝度minを下回っていて良い。
【0061】
極性切り替えごとに生じる上記の輝度の落ち込みは、フレーム周波数に応じた頻度で発生する。このため、休止駆動などにおいて、60Hz未満での駆動を行う場合には、輝度の落ち込みも60Hz未満の頻度で生じ、これがフリッカとして視認されやすい。
【0062】
これに対して、本実施形態の液晶表示装置100のように、ポジ型液晶化合物とネガ型液晶化合物とを含む液晶層42を用いると、特に低周波駆動時におけるフリッカの発生を抑制することができる。この理由は、ネガ型液晶化合物を所定量だけ混合することによって、上記の極性切り替え時の一時的な輝度低下を緩和できるからである。
【0063】
図4(a)および(b)は、ポジ型液晶材料(ポジ型液晶化合物を含みネガ型液晶化合物を含まない液晶材料)とネガ型液晶材料(ネガ型液晶化合物を含みポジ型液晶化合物を含まない液晶材料)とをそれぞれ用いた場合における、画素電極の直線部分上およびスリット上における輝度(画素内の輝度分布)を示す図である。
図4(a)および(b)のそれぞれにおいて、正電圧印加時の輝度分布、負電圧印加時の輝度分布、および、上記の輝度minのとき(すなわち極性切り替え直後の短期間)における輝度分布が示されている。
【0064】
図4(a)に示すように、ポジ型液晶材料を用いる場合において、画素電圧の極性が正から負に反転するとき、画素電極のスリット24sの上では、輝度が高い状態(正電圧印加時の安定状態)から、輝度が低い状態(負電圧印加時の安定状態)へと輝度が変化する。また、画素電極の直線部分24eの上では、輝度が低い状態から輝度が高い状態へと輝度が変化する。この過程において、
図3(b)に示したように、画素全体の輝度の一時的な落ち込みが生じ、この輝度落ち込み状態に対応する
図4(a)の輝度minで示す輝度分布が実現される。
【0065】
ここで、
図4(a)からわかるように、スリット24sの上では、正極性輝度から輝度minまで急激に輝度低下が生じ、その後、輝度minから負極性輝度までは緩やかに輝度低下が生じる。また、これとは異なり、直線部分24eの上では、正極性輝度から輝度minまでの輝度の上昇の程度と、輝度minから負極性輝度までの輝度の上昇の程度とが同等になる。
【0066】
この場合、スリット24s上における時間当たりの輝度低下率が、直線部分24e上における時間当たりの輝度上昇率を大きく上回るため、ある時間において画素全体としての輝度低下度が輝度上昇度を大きく上回る状態に陥る。このため、画素全体の輝度が、極性切り替え直後のあるタイミングで大幅に低下することになり、輝度minにおける輝度の落ち込みが大きいものとなる。
【0067】
同様の現象は、負電圧印加の安定状態から正電圧印加の安定状態に切り替わるときにも生じる。このため、ポジ型液晶材料を用いた場合には、正から負または負から正への極性切り替えのタイミングごとに、比較的大きな輝度低下が生じる。
【0068】
一方で、
図4(b)に示すように、ネガ型液晶材料を用いる場合において、画素電圧の極性が正から負に反転するとき、画素電極のスリット24sの上では、輝度が低い状態(正電圧印加時の安定状態)から、輝度が高い状態(負電圧印加の安定状態)へと輝度が変化する。また、画素電極の直線部分24eの上では、輝度が高い状態から輝度が低い状態へと輝度が変化する。この過程において、
図3(b)に示したように、全体輝度の一時的な落ち込みが生じ、この輝度落ち込み状態に対応する
図4(b)の輝度minで示す輝度分布が実現される。
【0069】
ここで、
図4(b)からわかるように、スリット24sの上では、正極性輝度から輝度minまで一定的な輝度上昇が生じ、その後、輝度minから負極性輝度までも同様の一定的な輝度上昇が生じる。また、これと同様に、直線部分24eの上においても、正極性輝度から輝度minまで、また、輝度minから負極性輝度まで、比較的一定的な輝度低下が生じる。
【0070】
この場合、スリット24s上における時間当たりの輝度低下率と、直線部分24e上における時間当たりの輝度上昇率とが比較的近いものであるので、画素全体としての輝度低下度と輝度上昇度とが、極性切り替え期間を通じてそれほど変わらない。このため、輝度minにおける輝度の落ち込みの程度は比較的小さいものとなる。
【0071】
同様の現象は、負電圧印加の安定状態から正電圧印加の安定状態に切り替わるときにも生じる。このため、ネガ型液晶材料を用いた場合には、正から負または負から正への極性切り替えのタイミングにおいて生じる輝度低下の大きさが、ポジ型液晶材料を用いた場合に比べて小さいものとなる。
【0072】
図5は、ポジ型液晶材料およびネガ型液晶材料のそれぞれについて、オフセット電圧印加の極性反転駆動を行ったときの平均輝度の時間変化を示す。なお、グラフの縦軸において示される輝度は、正電圧または負電圧印加の安定状態における最大輝度によって規格化されている。
【0073】
また、
図5に示すのは、行方向画素配列ピッチPx=27μm、列方向画素配列ピッチPy=81μm、有効画素開口幅Wo=19μm、画素電極の幅Lとスリットの幅Sの比L/S=3.1μm/5μm、複屈折率Δn=1.03、印加電圧±1.5V、セルギャップ3.4μmの条件で得られた結果である。ここで用いたポジ型液晶材料の誘電異方性Δε=7.5であり、ネガ型液晶材料の誘電異方性Δε=−7.5である。
【0074】
図5から分かるように、ポジ型液晶材料を用いたとき(実線)に比べて、ネガ型液晶材料を用いたとき(破線)の方が、極性切り替え時における輝度の落ち込みが小さくなる。したがって、ネガ型液晶材料を用いれば、極性切り替え時の輝度の落ち込みを小さくでき、特に休止駆動時におけるフリッカの発生を抑制することができる。
【0075】
なお、フリッカの発生を評価する指標としては、(最大輝度−最小輝度)/平均輝度で定義されるフリッカ率を用いることができる。本発明者の実験によれば、1Hzで駆動した場合において、ポジ型液晶材料を用いた場合のフリッカ率が26%であったのに対し、ネガ型液晶材料を用いた場合のフリッカ率は7%であった。このように、ネガ型液晶材料を用いれば、ポジ型液晶材料を用いる場合に比べてフリッカ率を大幅に低下させることができる。
【0076】
なお、フリッカ率を規定する「最大輝度」「最小輝度」および「平均輝度」は、公知の一般的な方法により、フォトダイオードを用いて検出した液晶パネルの輝度の波形データから容易に求めることができる。すなわち、得られた波形データにおいて、最も明るい輝度を最大輝度とし、最も暗い輝度を最小輝度とし、全体の平均を平均輝度とすればよい。
【0077】
ただし、ネガ型液晶材料のみを用いて液晶層を形成することは実用上困難であることが多い。ネガ型液晶材料はポジ型液晶材料に比べて粘性が高いことが多く、液晶の応答性が低下するという問題が生じ得るからである。
【0078】
そこで本発明者らは、ポジ型液晶材料とネガ型液晶材料とを混合して用い、それらの混合率(より具体的には、ポジ型液晶材料に含まれるポジ型液晶化合物の合計量およびネガ型液晶材料に含まれるネガ型液晶化合物の合計量)を適切に選択することによって、透過率や応答性の低下が表示に悪影響を与えない範囲で、特に60Hz未満、特に30Hz以下での駆動においてもフリッカが生じにくい液晶表示装置を得ることについて鋭意検討した。
【0079】
図6は、60Hz、30Hz、10Hz、および、1Hzのそれぞれで駆動する場合において、ネガ型液晶化合物とポジ型液晶化合物との混合割合を変えて、フリッカ発生率の変化を調べた結果を示す。なお、
図6のグラフは、シミュレーションソフトのLCD Master2D(シンテック社製)を用いて得られたグラフである。
【0080】
図6からわかるように、液晶材料全体に対するネガ型液晶化合物の合計の比率(体積%)を0%〜50%まで変化させると、より多いネガ型液晶化合物を含む方が、いずれの駆動周波数においてもフリッカ率が低下することがわかる。また、特に1Hzという低い周波数での駆動の場合に、ネガ型液晶化合物を含まない場合に比べて、大幅にフリッカ率を低減できることがわかる。
【0081】
以上の結果から、60Hz未満の駆動周波数においては、50体積%以下のネガ型液晶化合物を液晶材料に含ませることによって、フリッカの発生を抑制しながら、実用的な液晶材料を得ることができることがわかった。また、30Hz以下、特に10Hz以下の周波数で駆動する場合において、液晶層が2〜30体積%のネガ型液晶化合物(残りはポジ型液晶化合物)を含んでいることがフリッカ抑制のために効果的であることがわかった。
【0082】
また、ネガ型液晶化合物の含有量を50体積%以下に抑えることによって、透過率および液晶の応答性も良好に保たれることが確認された。なお、
図6からわかるように、特に1Hz駆動などの駆動周波数が非常に低い動作(例えば、10Hz以下)を行うときには、10体積%程度のネガ型液晶化合物を含ませることで十分にフリッカ率改善の効果が得られることがわかった。透過率および応答性を考慮すると、例えば1Hz〜10Hzの駆動を行う場合には、ネガ型液晶化合物の含有量を1体積%以上20体積%以上、より特定的には2体積%以上15体積%以下と比較的少量にすればよい。
【0083】
このように、本実施形態の液晶表示装置は、画素電圧の極性切り替え時に一時的な輝度低下が生じる横電界モードの液晶表示装置であるが、上記の一時的な輝度低下が生じたときの最低輝度を低下輝度(輝度min)とするとき、液晶層に含まれるポジ型液晶化合物およびネガ型液晶化合物としては次のような条件を満たすものが用いられる。
【0084】
すなわち、本実施形態において用いられるポジ型液晶化合物を含みネガ型液晶化合物を含まない液晶材料(ポジ型液晶材料)は、画素電極のスリット24s上において、
図4(a)に示すように、正極性時輝度と低下輝度との差である差A1(第1の差)が、負極性時輝度と低下輝度との差B1(第2の差)よりも実質的に大きくなる材料である。差A1:差B1は、例えば、4:1以上2:1以下である。また、画素電極の直線部分24e上において、正極性時輝度と低下輝度との差である差A2(第5の差)が、負極性時輝度と低下輝度との差B2(第6の差)とさほど変わらない。差A2:差B2は、例えば、2:1以上1:1以下である。また、スリット上における差A1(輝度低下度)と、直線部分上における差A2(輝度上昇度)との差は、20%以下である。
【0085】
一方で、本実施形態において用いられるネガ型液晶化合物を含みポジ型液晶化合物を含まない液晶材料(ネガ型液晶材料)は、画素電極のスリット24s上において、
図4(b)に示すように、正極性時輝度と低下輝度との差である第3の差C1と、負極性時輝度と低下輝度との差D1(第4の差)とがそれほど変わらない材料である。差C1:差D1は、例えば、1:2以上1:1以下である。また、画素電極の直線部分24e上において、正極性時輝度と低下輝度との差である差C2(第7の差)が、負極性時輝度と低下輝度との差D2(第8の差)とさほど変わらない。差C2:差D2は、例えば、1:2以上1:1以下である。
【0086】
そして、ネガ型液晶材料における差C1と差D1との差は、ポジ型液晶材料における差A1と差B1との差よりも小さい。また、ネガ型液晶材料における差D1と差D2との差は、ポジ型液晶材料における差B1と差B2との差よりも小さい。
【0087】
以上に説明したように、液晶表示装置100では、ポジ型液晶化合物と所定量のネガ型液晶化合物とを含む液晶層を用いているので、正極性電圧と負極性電圧とが交互に印加される駆動において極性切り替え時の輝度低下が緩和され、フリッカが抑制される。なお、上記の液晶表示装置は、液晶層に正極性電圧と負極性電圧とが交互に印加されるように構成されるものと説明しているが、液晶層に常に0V超および0V未満の画素電圧が供給されるように動作が行われなくてもよい。上記の正極性電圧と負極性電圧とは0Vを含み得るものであり、例えば、0Vの電圧が複数フレーム期間にわたって印加されてもよい。また、本実施形態の液晶表示装置において最低階調電圧は必ずしも0Vに設定される必要はなく、正または負の極性を持つ微小なオフセット電圧であってもよい。この場合、最低階調で表示が行われるとき、液晶層には微小な正極性または負極性の電圧が継続的に印加され得る。本発明の実施形態による液晶表示装置は、このような場合も含め、実質的な画素電圧(最低階調電圧以外)として正極性の画素電圧と負極性の画素電圧とが切り替えて印加され得るように構成されている。
【0088】
なお、本発明の実施形態による液晶表示装置100のTFTとして、酸化物半導体層を有するTFTを用いることが好ましい。酸化物半導体として、In−Ga−Zn−O系の半導体(以下、「In−Ga−Zn−O系半導体」と略する。)が好ましく、結晶質部分を含むIn−Ga−Zn−O系半導体がさらに好ましい。ここで、In−Ga−Zn−O系半導体は、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)の三元系酸化物であって、In、GaおよびZnの割合(組成比)は特に限定されず、例えばIn:Ga:Zn=2:2:1、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:1:2等を含む。
【0089】
In−Ga−Zn−O系半導体層を有するTFTは、高い移動度(a−SiTFTに比べ20倍超)および低いリーク電流(a−SiTFTに比べ100分の1未満)を有しているので、画素TFTだけでなく駆動TFTとしても好適に用いられる。In−Ga−Zn−O系半導体層を有するTFTを用いれば、表示装置の有効開口率を増大させるとともに、表示装置の消費電力を削減することが可能になる。
【0090】
In−Ga−Zn−O系半導体は、アモルファスでもよいし、結晶質部分を含んでもよい。結晶質In−Ga−Zn−O系半導体としては、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質In−Ga−Zn−O系半導体が好ましい。このようなIn−Ga−Zn−O系半導体の結晶構造は、例えば、特開2012−134475号公報に開示されている。参考のために、特開2012−134475号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0091】
酸化物半導体層は、In−Ga−Zn−O系半導体の代わりに、他の酸化物半導体を含んでいてもよい。例えばZn−O系半導体(ZnO)、In−Zn−O系半導体(IZO(登録商標))、Zn−Ti−O系半導体(ZTO)、Cd−Ge−O系半導体、Cd−Pb−O系半導体、CdO(酸化カドミウム)、Mg−Zn−O系半導体、In−Sn−Zn−O系半導体(例えばIn
2O
3−SnO
2−ZnO)、In−Ga−Sn−O系半導体などを含んでいてもよい。
【0092】
また、本実施形態の液晶表示装置100には、上記の極性切り替え時の輝度の一時的な落ち込みを低減するために適した駆動方法を適用することもできる。このような駆動方法は、本願発明者によって出願された国際公開第2015/025772号に記載されている。参考のため国際公開第2015/025772号の開示内容の全てを本願に援用する。なお、液晶表示装置100は、60Hz未満(例えば、10Hz以下)での休止駆動を実現することができる公知の構成による駆動回路を備えていてよく、その構成は容易に理解される。
【0093】
以下、
図7〜
図10を参照して液晶表示装置100の駆動方法について説明する。なお、
図7〜
図10において、極性反転を行う画素を太線で囲み、画素電圧を印加する画素にハッチングを付している。
【0094】
液晶表示装置100が有する駆動回路は、入力映像信号に応じて決められるフレーム期間に相当する時間間隔をリフレッシュ期間とすると、第1のリフレッシュ期間内に、複数の画素の内の奇数行または偶数行の画素にだけ、その画素に保持されている電圧とは逆極性の画素電圧を供給する、第1極性反転リフレッシュ動作と、第1のリフレッシュ期間の後に、リフレッシュ期間よりも長い時間間隔を有する休止期間にわたって、複数の画素のいずれにも画素電圧を供給しない休止動作と、休止動作の直後の第2のリフレッシュ期間内に第1極性反転リフレッシュ動作によって逆極性の画素電圧が供給されなかった偶数行または奇数行の画素にだけ、その画素に保持されている電圧とは逆極性の画素電圧を供給する、第2極性反転リフレッシュ動作とを行うように構成されている。第1極性反転リフレッシュ動作および第2極性反転リフレッシュ動作は、いずれも1行毎に極性反転が行われる。このような極性反転を「1H反転」ということがある。
図7〜
図10に示す駆動方法は、全てこの条件を満足している。
【0095】
図7〜
図9に示す実施形態においては、第1のリフレッシュ期間内において、第1極性反転リフレッシュ動作によって逆極性の画素電圧が供給されない、偶数行または奇数行の画素が保持する電圧の極性は反転しない。したがって、第1極性反転リフレッシュ動作において、画素に画素電圧を供給する時間を従来よりも長くできるという利点が得られる。
【0096】
まず、
図7(a)を参照して、極性反転リフレッシュ動作を1H反転で行う駆動方法の例を説明する。
図7(a)は、本発明の実施形態による液晶表示装置100の駆動回路によって行われる極性反転のシークエンスの1例を示す図である。
【0097】
図7(a)に示すように、あるフレームAでは、列毎に画素電圧の極性が逆になるように配列されている(列反転状態またはソースバスライン反転状態ということがある)。
【0098】
次のフレームBに対応する第1のリフレッシュ期間内に、複数の画素の内の奇数行(または偶数行)の画素にだけ、その画素に保持されている電圧とは逆極性の画素電圧を供給する第1極性反転リフレッシュ動作を行い、第1極性反転リフレッシュ動作によって逆極性の画素電圧が供給されない、偶数行または奇数行の画素には、画素電圧を供給しない。したがって、第1のリフレッシュ期間内において、第1極性反転リフレッシュ動作によって逆極性の画素電圧が供給される期間は、リフレッシュ期間の2分の1超とすることができるので、画素への充電を十分に行うことができる。なお、フレームBの極性分布は、列方向および行方向のいずれの方向においても互いに隣接する画素の画素電圧の極性が互いに逆である、いわゆるドット反転(1Hドット反転)状態となっている。
【0099】
フレームBの後、リフレッシュ期間(フレーム期間)よりも長い時間間隔(ここでは、59/60フレーム)を有する休止期間にわたって、複数の画素のいずれにも画素電圧を供給しない休止動作を行う。
【0100】
次に、休止動作の直後のフレームCに対応する第2のリフレッシュ期間内に、第1極性反転リフレッシュ動作によって逆極性の画素電圧が供給されなかった偶数行(または奇数行)の画素にだけ、その画素に保持されている電圧とは逆極性の画素電圧を供給する、第2極性反転リフレッシュ動作を行う。このときも、先と同様に、第2極性反転リフレッシュ動作によって逆極性の画素電圧が供給されない、奇数行または(偶数行)の画素には、画素電圧を供給しない。フレームCの極性分布は、列反転状態となり、フレームAのときと正・負が逆である。
【0101】
この後、休止動作を行った後、奇数行と偶数行とを逆にして、先の動作を繰り返すことによって(フレームDおよびE)、フレームAと同じ極性分布に戻る。フレームDでは、ドット反転状態(「1Hドット反転」を単に「ドット反転」という。)となり、極性分布はフレームBのときと正・負が逆である。フレームEはフレームAと同じ極性分布を有している。
【0102】
このように、
図7(a)に例示した駆動方法における極性分布は、列反転状態とドット反転状態とがリフレッシュ期間毎に交互に現れる。
図7(a)では、フレームAを列反転状態とし、フレームA→B→C→D→E(=A)と極性を変化させた場合を示したが、これに限られず、例えば、ドット反転状態であるフレームDから初めて、フレームD→C→B→A(=E)と極性を変化させてもよい。
【0103】
このような駆動方法を採用すると、
図7(b)に示すように、極性反転のときの輝度の低下を約2分の1にすることができる。その結果、60Hz未満の周波数で駆動してもフリッカが視認され難い。
【0104】
なお、
図8に示す極性反転のシークエンスを行うように駆動回路を構成してもよい。すなわち、
図7(a)に示したシークエンスでは、1リフレッシュ期間(フレーム期間)において、1回だけ極性反転リフレッシュ動作を行ったのに対し、
図8に示すシークエンスでは、第1のリフレッシュ期間内において、第1極性反転リフレッシュ動作によって逆極性の画素電圧が供給された奇数行(または偶数行)の画素にだけ、逆極性の画素電圧を再び供給する。第2のリフレッシュ期間についても同様である。すなわち、フレームBを2つのサブフレームB1(1/120秒)およびB2(1/120秒)に分割し、それぞれのサブフレームに対応する期間に、同じ逆極性の画素電圧を供給する。このとき、逆極性の画素電圧が供給される期間は、リフレッシュ期間の2分の1以下である。TFT型液晶表示装置は、よく知られているように、画素電圧を1回印加するだけでは、画素が所望の電圧に到達しない。もちろん、オーバーシュート駆動を行ってもよいが、
図8に例示したように、画素電圧を2回続けて印加することによって、所望の電圧に到達するように構成してもよい。フレームC以降についても同様である。
【0105】
図7および
図8に示したシークエンスでは、極性反転を行う画素に対してのみ画素電圧を供給するので、複数の画素のそれぞれに画素電圧が供給される時間間隔は、休止期間の2倍以上となっている。すなわち、各画素は、従来よりも長い時間(2倍以上)にわたって画素電圧を保持する必要がある。TFTの特性によっては、画素が保持する電圧が低下するおそれがある。
【0106】
そのような場合には、
図9に示す極性反転のシークエンスを行うように駆動回路を構成してもよい。すなわち、
図9に示すシークエンスでは、第1のリフレッシュ期間内において、第1極性反転リフレッシュ動作に加えて、第1極性反転リフレッシュ動作によって逆極性の画素電圧が供給されなかった偶数行(または奇数行)の画素にだけ、その画素に保持されている電圧と同極性の画素電圧を供給する、第1極性維持リフレッシュ動作を行う。従って、
図9のシークエンスを採用すると、各リフレッシュ期間において全ての画素に画素電圧が供給されるので、複数の画素のそれぞれに画素電圧が供給される時間間隔は休止期間と等しい。
【0107】
さらに、
図10に示す極性反転のシークエンスを行うように駆動回路を構成してもよい。
図10に示すシークエンスでは、第1のリフレッシュ期間内において、第1極性反転リフレッシュ動作に加えて、第1極性反転リフレッシュ動作によって逆極性の画素電圧が供給されなかった偶数行(または奇数行)の画素にだけ、その画素に保持されている電圧とは逆極性の画素電圧を供給する、第2極性反転リフレッシュ動作を行う。すなわち、フレームBを2つのサブフレームB1(1/120秒)およびB2(1/120秒)に分割し、サブフレームB1に対応する期間内に第1極性反転リフレッシュ動作を行い、サブフレームB2に対応する期間内に第2極性反転リフレッシュ動作を行う。
【0108】
このような駆動方法を採用すると、
図10(b)に示すように、極性反転のときの輝度の低下が2回起こることにはなるが、低下の度合いを約2分の1にすることができる。したがって、60Hz未満の周波数で駆動してもフリッカが視認され難い。
【0109】
上記の実施形態による液晶表示装置は、第1のリフレッシュ期間内および第2のリフレッシュ期間内に、奇数行または偶数行の画素にだけ、その画素に保持されている電圧とは逆極性の画素電圧を供給する極性反転リフレッシュ動作(1H反転)を行うように構成された駆動回路を有しているが、本発明の実施形態による液晶表示装置は、これに限られず、第1のリフレッシュ期間内に、互いに隣接する奇数行と偶数行とを1つの対とする複数の対の奇数対または偶数対の画素にだけ、その画素に保持されている電圧とは逆極性の画素電圧を供給する極性反転リフレッシュ動作(2H反転)を行うように構成された駆動回路を有してもよい。
【0110】
このような駆動回路は、具体的には、第1のリフレッシュ期間内に、複数の画素の互いに隣接する奇数行と偶数行とを1つの対とする複数の対の奇数対または偶数対の画素にだけ、その画素に保持されている電圧とは逆極性の画素電圧を供給する、第1極性反転リフレッシュ動作と、第1のリフレッシュ期間の後に、リフレッシュ期間よりも長い時間間隔を有する休止期間にわたって、複数の画素のいずれにも画素電圧を供給しない休止動作と、休止動作の直後の第2のリフレッシュ期間内に、第1極性反転リフレッシュ動作によって逆極性の画素電圧が供給されなかった偶数対または奇数対の画素にだけ、その画素に保持されている電圧とは逆極性の画素電圧を供給する、第2極性反転リフレッシュ動作とを行うように構成されている。第1極性反転リフレッシュ動作および第2極性反転リフレッシュ動作は、いずれも2行毎に行われるので、「2H反転」ということがある。
【0111】
図11を参照して、極性反転リフレッシュ動作を2H反転で行う駆動方法の例を説明する。
図11は、極性反転リフレッシュ動作を2H反転で行うように構成された駆動回路によって行われる極性反転のシークエンスの例を示す図であり、極性反転リフレッシュ動作を1H反転で行う場合の
図7(a)に対応する。ただし、ここでは、フレームAにおける極性分布は2Hドット反転状態となっている。
【0112】
図11に示すように、フレームAでは、2行毎に画素電圧の極性が逆になるように配列されている(2Hドット反転状態)。
【0113】
次のフレームBに対応する第1のリフレッシュ期間内に、複数の画素の内の互いに隣接する奇数行と偶数行とを1つの対とする複数の対の奇数対(または偶数対)の画素にだけ、その画素に保持されている電圧とは逆極性の画素電圧を供給する第1極性反転リフレッシュ動作を行い、第1極性反転リフレッシュ動作によって逆極性の画素電圧が供給されない、偶数行または奇数行の画素には、画素電圧を供給しない。したがって、第1のリフレッシュ期間内において、第1極性反転リフレッシュ動作によって逆極性の画素電圧が供給される期間は、リフレッシュ期間の2分の1超とすることができるので、画素への充電を十分に行うことができる。なお、フレームBの極性分布は、列毎に画素電圧の極性が逆になるように配列されている(列反転状態またはソースバスライン反転状態)。
【0114】
フレームBの後、リフレッシュ期間(フレーム期間)よりも長い時間間隔(ここでは、59/60フレーム)を有する休止期間にわたって、複数の画素のいずれにも画素電圧を供給しない休止動作を行う。
【0115】
次に、休止動作の直後のフレームCに対応する第2のリフレッシュ期間内に、第1極性反転リフレッシュ動作によって逆極性の画素電圧が供給されなかった偶数対(または奇数対)の画素にだけ、その画素に保持されている電圧とは逆極性の画素電圧を供給する、第2極性反転リフレッシュ動作を行う。このときも、先と同様に、第2極性反転リフレッシュ動作によって逆極性の画素電圧が供給されない、奇数対(または偶数対)の画素には、画素電圧を供給しない。フレームCの極性分布は、2Hドット反転状態となり、フレームAのときと正・負が逆である。
【0116】
この後、休止動作を行った後、奇数対と偶数対とを逆にして、先の動作を繰り返すことによって(フレームDおよびE)、フレームAと同じ極性分布に戻る。フレームDでは、列反転状態となり、極性分布はフレームBのときと正・負が逆である。フレームEはフレームAと同じ極性分布を有している。
【0117】
このように、
図11に例示した駆動方法における極性分布は、2Hドット反転状態と列反転状態とがリフレッシュ期間毎に交互に現れる。
図11では、フレームAを2Hドット反転状態とし、フレームA→B→C→D→E(=A)と極性を変化させた場合を示したが、これに限られず、例えば、列反転状態であるフレームDから初めて、フレームD→C→B→A(=E)と極性を変化させてもよい。
【0118】
このように極性反転リフレッシュ動作を2H反転で行っても、極性反転リフレッシュ動作を1H反転で行う場合と同様に、60Hz未満の周波数で駆動してもフリッカが視認され難いという効果を得ることができる。同様に、
図8、
図9および
図10(a)に示した他の極性反転シークエンスの例についても同様である。
【0119】
図12に、極性反転リフレッシュ動作を2H反転で行うように構成された駆動回路を備える液晶表示装置200の画素構造を模式的に示す。液晶表示装置200の駆動回路は、
図11に示した極性反転のシークエンスを行うことができる。
【0120】
液晶表示装置200は、疑似デュアルドメイン構造を有するFFSモードの液晶表示装置であり、液晶表示装置200が有する複数の画素は、電極構造が異なる2種類の画素Paと画素Pbとを有している。画素Paと画素Pbとは、例えばここで例示するように、画素電極が有する直線部分(またはスリット)が延びる方向が互いに異なる。画素Paおよび画素Pbに電圧を印加すると、液晶分子は互いに異なる方向に回転し、ダイレクタが互いに交差する2種類の液晶ドメインが形成される。この2種類の液晶ドメインがリタデーションを相互に補償しあうので、視角による色ずれを抑制することができる。2種類の液晶ドメインを1つの画素内に形成する構造をデュアルドメイン構造というのに対し、隣接する2つの画素で2種類の液晶ドメインを形成する構造を擬似デュアルドメイン構造という。擬似デュアルドメイン構造は、画素が小さい、モバイル機器用の高精細な液晶表示装置に好適に用いられる。疑似デュアルドメイン構造を有するFFSモードの液晶表示装置は、例えば、特開2009−237414号公報に開示されている。また、特開2000−29072号公報には、疑似デュアルドメインを有するIPSモードの液晶表示装置が開示されている。参考のために、特開2009−237414号公報および特開2000−29072号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0121】
液晶表示装置200は、画素Paのみからなる画素行と、これに隣接する画素Pbのみからなる画素行とが、列方向に交互に配列されている。互いに隣接する奇数行と偶数行とを1つの対(Pp)とすると、複数の画素は、奇数対(例えばPp(n))および偶数対(例えばPp(n+1))とで構成され、奇数対と偶数対とは、列方方向に交互に配列されている。ここで、nは正の整数であり、例えば、
図12において、n=1とすると、対Pp(1)は、1行目の画素Paと、2行目の画素Pbとで構成されており、対Pp(2)は、3行目の画素Paと、4行目の画素Pbとで構成されている。同様に、対Pp(3)は、5行目の画素Paと、6行目の画素Pbとで構成され、対Pp(4)は、7行目の画素Paと、8行目の画素Pbとで構成される。
【0122】
したがって、
図7〜10を参照して説明した、極性反転リフレッシュ動作を1H反転で行う駆動方法における各行(1H)を、個々の対(画素行の対:2H)に置き換えることによって、極性反転リフレッシュ動作を2H反転で行う駆動方法に変更することができる。
【0123】
例えば、
図7(a)のフレームDの各行を画素行の対に置き換えると
図11のフレームA(=E)が得られ、
図7(a)のフレームCの各行を画素行の対に置き換えると
図11のフレームBが得られ、
図7(a)のフレームBの各行を画素行の対に置き換えると
図11のフレームCが得られ、
図7(a)のフレームA(=E)の各行を画素行の対に置き換えると
図11のフレームDが得られる。
【0124】
上述したことから明らかなように、本発明の実施形態による液晶表示装置は、極性反転リフレッシュ動作を1H反転で行うように構成されていてもよいし、2H反転で行うように構成されていてもよい。
【0125】
ここで例示した擬似デュアルドメイン構造を有するFFSモードの液晶表示装置や、IPSモードの液晶表示装置は、電極構造が互いに異なる2種類の画素が列方向に隣接するように配置されている。電極構造が異なるということは、最適な対向電圧も異なり得る。したがって、極性反転を2種類の画素を含む2行単位で行うことによって、画素構造の違いに起因する対向電圧のずれによるフリッカを効果的に抑制することができる。
【0126】
なお、休止駆動の例として1Hzを例示したが、本発明の実施形態による液晶表示装置が行う休止駆動はこれに限られず、休止期間はフレーム期間よりも長ければよく、60Hz未満のフレーム周波数の休止駆動において、上述の効果が得られる。また、フレクソエレクトリック効果は、誘電異方性が正のネマチック液晶材料を用いたFFSモードの液晶表示装置において顕著であるが、誘電異方性が負のネマチック液晶材料を用いたFFSモードの液晶表示装置においても、フリッカを視認され難くできる。また、上記の実施形態のように、ポジ型液晶材料とネガ型液晶材料とを混合して用いたFFSモードの液晶表示装置に上記の駆動方法を適用することによって、60Hz未満(例えば30Hz以下、特に10Hz以下)の休止駆動時におけるフリッカ率を大幅に低減することができる。
【0127】
本発明の実施形態による液晶表示装置は、当然に、上述の休止駆動だけでなく、通常の駆動(フレーム周波数が60Hz)を行うことができる。また、通常の駆動におけるフレーム周波数は60Hz超であってもよいが、フレーム周波数が大きくなると消費電力が増大するので、好ましくない。
【0128】
以上に説明した実施形態による液晶表示装置は、上記に説明したようにポジ型液晶材料とネガ型液晶材料とが所定の割合で混合された液晶層を有するだけでなく、行および列を有するマトリクス状に配列された複数の画素であって、それぞれの液晶層に横電界を生成させる第1および第2電極を備える複数の画素を有する表示領域と、複数の画素のそれぞれに画素電圧を供給する駆動回路とを有する液晶表示装置であって、駆動回路は、入力映像信号に応じて決められるフレーム期間に相当する時間間隔をリフレッシュ期間とすると、第1のリフレッシュ期間内に、複数の画素の内の奇数行もしくは偶数行の画素にだけ、または、複数の画素の互いに隣接する奇数行と偶数行とを1つの対とする複数の対の奇数対もしくは偶数対の画素にだけ、その画素に保持されている電圧とは逆極性の画素電圧を供給する、第1極性反転リフレッシュ動作と、第1のリフレッシュ期間の後に、リフレッシュ期間よりも長い時間間隔を有する休止期間にわたって、複数の画素のいずれにも画素電圧を供給しない休止動作と、休止動作の直後の第2のリフレッシュ期間内に、第1極性反転リフレッシュ動作によって逆極性の画素電圧が供給されなかった偶数行もしくは奇数行、または偶数対もしくは奇数対の画素にだけ、その画素に保持されている電圧とは逆極性の画素電圧を供給する、第2極性反転リフレッシュ動作とを行うように構成されていてよい。