(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の領域におけるアンモニアV族原料物質のIII族窒化物媒介の接触分解の増加を正当化するように、前記第1のIII族窒化物半導体ナノワイヤコア及び前記第2のIII族窒化物半導体ナノワイヤコアは、十分に高い密度の前記第2の領域の開口部及び十分に高い成長温度と組み合わせて、前記V族制限成長様式で成長し、
前記第1の成長テンプレートの各々は、前記第2の活性領域に接触する前記第2の成長テンプレートの各々の前記成長領域と比較して、前記第1の活性領域に接触する前記より小さな成長領域を有することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書において、
「p面」は、「ピラミッド面」を意味し、III族窒化物系における
【0021】
を示し、
「c面」は、{0001}面を示し、
「m面」は、
【0023】
を示す。特に指定のない限り、成長率は、層の成長率を意味する。通常、選択成長において、体積成長率は、幾何学的配置に関わらず一定である。以下で説明する本発明の一側面は、半導体材料の成長体積量をローカルに設定する機能を提供する。
【0024】
本明細書において、「動力学的制限成長様式」は、成長率が主にエネルギー障壁(低温、原料物質の分解、表面結合の解除など)によって妨げられて、熱力学的平衡に到達する成長様式を意味する。「マスフロー制限成長様式」は、成長領域における堆積物が大部分は妨げられていないが、成長率が成長領域における原料物質の濃度によって制限される成長様式を意味する。「III族制限成長様式」は、1つ又は複数のIII族列元素に対してマスフロー制限される成長様式を意味し、「V族制限成長様式」は、1つ又は複数のV族列に対してマスフロー制限される成長様式を意味する。
【0025】
成長系は、通常、これらのパラメータを組み合わせた部分集合によって制限される。成長系において深刻な慣性反力障壁が存在するとしても、成長率は、原料濃度によって制限されることが多い。V〜III族制限成長率の相対的な重要性(weight)は、全V/III族比を変更することによって、最も容易に調整される。動力学的制限成長率対マスフロー制限成長率の相対的な重要性は、動力学的障壁の起源に依存するため、より複雑である。これを変化させる通常のパラメータは、温度、全圧、全流量、キャリアガス及びV/III族比である。各元素群の50%が堆積される必要があるV/III族の成長において、2つの族のうちの1つのみが成長率を制限しているように、一方の族元素が動力学的に制限され、他方の族元素がマスフロー制限されることを実現することも重要である。従来のV/III族の成長において、MOVPE法及び同様な成長法で、高品質材料は、例えば、1,000〜10,000などの少なくとも1,000のV/III族原料ガスマスフロー比を使用するGaNにおいて、V族材料の高オーバフローで成長することが多い。これらの条件の下、成長率は、III族で制限され、V族濃度は、成長表面へのV族材料の飽和オーバフローを維持するように高い。これに対して、V族制限成長モードにおいて、V/III族比は、0.001〜100などの1,000未満であり、例えば、0.001〜0.1などの1未満であることが好ましい。
【0026】
成長率の種類を決定するために、ある特定の成長条件における制限は、相対的に簡単であり、条件パラメータを変更すること及び成長率(例えば、厚さ測定)の変化を記録することによって実行される。動力学的障壁のエネルギーの高さは、温度に依存して成長率を測定することによって推論される。
【0027】
なお、GaNによるNH
3の分解効率の動力学的障壁は、適切に設けられるが、以下の理論部分においては説明されない追加パラメータである。理論部分は、流量及び成長領域を単に幾何学的なものとして扱い、成長率に対する体積衝撃係数を扱う。
【0028】
その他の材料系に基づく成長可能な緑色の蛍光体及び緑色LEDを実現するのが困難であったため、1つの工程における幾つかのカラーLEDの同時成長は、光の白色を抽出するためのRGB(赤緑青)、YB(黄青)又はYGB(黄緑青)の組み合わせ(即ち、RGB、YB又はYGBのピーク波長発光の組み合わせに基づく白色発光LED)だけでなく、高効率GB(緑青)に対しても商業的に高い関心となるだろう。従来技術のデバイスの欠点を鑑みて、本発明者らは、LEDアレイなどの光電子デバイスを形成するために使用可能な選択的に成長した構造を発明する。本明細書において使用されるように、1つの工程における同時成長という用語は、異なる色を発するLEDの対応する層又は構造が1つの工程において成長することを意味する。従って、例えば、異なる色を発するLEDのナノ構造コアは、同一の第1の工程において成長し、異なる色を発するLEDのQW活性領域は、同一の第2の工程において成長し、異なる色を発するLEDの接合形成要素又は接合形成シェルは、同一の第3の工程において成長する。
【0029】
半導体LED素子のアレイは、活性領域を含むシェル及びボリュームエレメントシェルによって取り囲まれた、本明細書においてはテンプレートと呼ばれるナノ構造(例えば、ナノワイヤ又はナノピラミッド)コアを含むことが好ましい。そのようなナノ構造LEDは、光又はUV放射の「点光源」であると考えられ、伸張したストライプ又は平面バルク半導体層を含む従来技術のLED構造とは異なる。テンプレートは、ナノワイヤコアなどの単一の成長層を含んでもよいが、以下に説明されるように複数の層から形成されてもよい。
【0030】
以下の実施形態のうちの幾つかにおいて、V族制限条件/様式は、マスクの開口を介したナノワイヤコア成長工程において例示される。しかしながら、V族制限が製品として十分に良質な材料で達成される、その他のあらゆる適切な成長様式、例えば、VLS成長法又はその他の選択成長法が利用されてもよい。従って、V族制限成長工程である選択的ナノワイヤ成長は、本発明を限定するものではなく、単に例示するために使用される。
【0031】
1つの実施形態において、アレイは、幾何学的配置の点で異なる性質、例えば、個々の元素の長さ及び/又は幅、並びに/或いは異なる元素間の間隔を有するナノ構造などの少なくとも2つの半導体構造を含む。また、量子井戸の領域及びQWが成長するテンプレート上での相対ファセット分布は、異なってもよい。以下の例において、特に、望ましいマルチカラー(即ち、複数のピーク波長)発光の効果を提供するために、異なる幾何学的性質を有する元素は、選択されたパターンに応じて、ともに分類されるのがよい。異なる光学的性質及び幾何学的性質を有する元素又は元素群は、即ち、チップレベルで色を混合するため又はその他の光学的相互作用を容易にするために、混合パターンで製造されてもよい。
【0032】
別の実施形態において、マルチカラーLEDアレイを製造する方法は、アレイにおいて半導体構造の種々の幾何学的配置を提供するために、異なるサイズ(面積及び/又は直径)、並びに/或いはマスクの種々の部分における開口部間の異なる間隔を有する成長開口部のパターンを含む成長マスクを形成することを備える。方法は、半導体構造の製造中に成長チャンバ外のその他の処理工程、例えば、エッチング及びイオン注入を必要とせずに、半導体構造(例えば、ナノワイヤコア)の複数の族の元の位置の成長を利用する。幾つかの実施形態において、方法は、テンプレートを形成するために、少なくとも1つのナノワイヤコア成長工程及びコアの周囲で放射層を成長させる1つ以上の工程を含む複数の工程成長モードを含む。
【0033】
方法の利点は、より大きな半導体構造を製造するために、小さな設置面積の開口部を使用する機会である。それにより、半導体構造の総底面積と比較して、かなり小さな断面設置面積によって区別されたデバイスを形成し、設置面積が小さいため、基板と比較して、結晶欠陥が少なくなる、或いは、転位密度が低くなる。方法の別の利点は、種々の構造形状及び相対ファセット面積率を同時に(即ち、同一の成長工程において)製造できることである。放射層成長に遷移するまで成長領域が変化しない成長様式を導入することによって、構造の高さ、即ち、結果として得られる構造の形状は、以下に説明されるように、開口部のサイズ及び/又は間隔のうちの1つの影響を受けないようにできる。
【0034】
方法は、アレイにおいて種々のLEDによる異なる波長発光を最適化するために、結果として得られるナノワイヤの長さが連続してマスクの幾何学的配置に依存しないように又は依存するように制御されるナノワイヤ成長様式を利用することを更に備える。
【0035】
本発明の一側面は、同様な高さであるが異なる形状(例えば、異なる厚さのナノワイヤ、並びに/或いは、ナノワイヤ及びナノピラミッド)の半導体構造(例えば、ナノ構造コア)群を製造する実現性を示す。本発明の別の側面は、高さは異なるが同様な形状の半導体構造群を製造する実現性を示す。
【0036】
本発明の一側面は、略同一の形状を有するが総面積の異なる層を含む半導体構造群を製造する機能を提供することである。別の側面によって、略同一の面積を有するが形状の異なる層を含む半導体構造群を製造できる。
【0037】
本発明の一側面は、略同一の面積を有するが、族間の相対ファセット面積率の異なる層を含む半導体構造群を製造する機能を提供する。本発明の別の側面は、同様な間隔、族間の相対ファセット面積率の異なる層を含む半導体構造群を製造する機能を提供する。
【0038】
一般的な一側面において、本発明は、複数の個々の選択的に成長した構造群が、種々の構造群から異なる色の発光を提供するためにサイズ、幾何学的配置、間隔及び基板にわたって分布の点で異なる性質を有する基板上に提供された選択的に成長した光電子構造又は光電子素子に関する。幾何学的配置の点で、個々の元素は、同一の長さ及び/又は高さ、或いは、異なる長さ及び/又は高さを有し、異なる又は同一の有効径(又は幅)を有し、異なるファセットを示し、全体的に幾何学的配置は、個々の元素及び元素群間の成長のために、マスクの開口部間の間隔又はサイズに基づいて変動する。
【0039】
従って、本発明の実施形態は、基板と、基板から突出する少なくとも2つの成長元素(例えば、ナノ構造コア)とを提供する。コアは、基板にわたって成長マスクの開口部を介して基板から突出することが好ましい。ナノ構造コアは、いずれかの横方向において3μm以下、例えば、100nm〜1μの横方向延長部(即ち、直径又は幅)と、50nm〜10μm、例えば、0.1μ〜5μの高さとを有することが好ましい。ナノ構造コアの例は、以下に説明するナノワイヤ(即ち、ナノピラー)コア及びナノピラミッドコアを含む。上述したように、ナノ構造コア自体又は1つ以上のシェル層を有するナノ構造コアは、成長テンプレートを形成する。更に、要望に応じて、完成したデバイスが自立型のデバイスであるか、或いは、異なるハンドル基板に取り付けられるように、成長基板は、基板にわたってコアが成長した後に除去されてもよい。
【0040】
InGaN量子井戸(「QW」)活性領域に対して、InGaN半導体層(例えば、半導体ナノ構造コア上のQWシェル)の成長率がより高い結果、量子井戸により多くのインジウムが取り入れられる。より多くのインジウムが取り入れられる結果、QW半導体材料のバンドギャップが狭くなるため、LEDによって発光されるピーク波長(即ち、発光された色の赤色シフト)が長くなる。
【0041】
第1の実施形態において、互いにより近くに離間される第2の成長領域(例えば、テンプレート)と比較して、非成長領域(例えば、マスクされた基板領域)によって互いにより遠くに離間される第1の成長領域上(例えば、ナノワイヤテンプレート又はナノピラミッドテンプレート上)でより高いQW成長率が発生する。従って、第1の実施形態において、第1の成長領域は、第2の成長領域の隣接テンプレートより長い距離だけ隣接テンプレートから離間される半導体テンプレートを含む。活性領域が第1群及び第2群の成長領域の両方で同時に同一の成長工程において形成される場合でも、このような間隔の差異によって、結果として、第2の成長領域のテンプレート上より第1の成長領域のテンプレート上に形成された活性領域(例えば、QW)において、より多くのインジウムが取り入れられる。第1の成長領域において形成されたLEDは、第2の成長領域において形成されたLEDより長いピーク発光波長を有する。
【0042】
第1の成長領域のより広く離間されたテンプレートは、より大きな高さを有するため、一般的なIII族制限(例えば、マスフロー制限)MOCVD成長様式で第2の領域のより狭く離間されたコアより大きな露出表面積を有する。第1の領域のコアのより大きな高さ及び表面積は、第2の領域のコア上に形成された活性領域と比較して、第1の領域のテンプレート上に形成された活性領域に取り入れられるインジウムがより少ないことを意味する。従って、コアの高さ及び面積の差異は、活性領域と発光波長とを区別する際にテンプレート間の間隔の差異に不利に作用する。
【0043】
本発明者らは、III−V族の成長において使用された従来のIII族制限様式とは対照的なV族材料制限成長様式を導入することによって、第1の成長領域及び第2の成長領域のテンプレートの高さの差異をより小さく又は同等にさえできると保証することを認識した。これは、後続の層に対する成長領域の合計が第2の成長領域より大きくなることを更に意味する。従って、第1の実施形態のテンプレートは、少なくとも1つの成長工程、例えば、V族材料制限成長様式で動作する少なくとも1つの有機金属気相成長法(MOCVD)成長工程によって、成長マスクの開口部を介して形成されることが好ましい。この様式において、相対的に低いV〜III族の原料ガス比(例えば、アンモニア:GaNコアに対して0.001〜100などの1,000を下回るTEG比又はTMG比)が使用されるため、成長は、V族元素(例えば、窒素)制限される。なお、ナノ構造(例えば、ナノワイヤ)コア及び1つ以上のシェルの両方を含むテンプレートに対して、以下に説明されるように、シェルはIII族又はV族制限モードで成長してもよいが、ナノ構造コアはV族制限モードで成長することが好ましい。従って、テンプレート(例えば、ナノワイヤコア又はナノワイヤコア+少なくとも1つのシェル)の高さ及び面積は、第1の領域及び第2の領域におけるLEDに対する異なる発光波長を保証する際にテンプレート間隔の差異に不利に作用しない。以下において更に詳細に説明されるように、アンモニアのより多い又はより少ない瞬間的な気相拡散(TEG又はTMGと比較して)によって、成長がV族(例えば、アンモニア)に制限される場合に、ローカルに気相濃度が低下しない原料が得られる。
【0044】
第2の実施形態において、テンプレートのm面上で成長した活性領域と比較して、テンプレートのp面上で成長した活性領域(例えば、QW)に、より多くのインジウムが取り入れられる。従って、第2の実施形態において、第1の成長領域のテンプレートは、第2の領域のテンプレートより大きな露出p面ファセット面積(及びより小さなm面ファセット面積)を含む。換言すれば、テンプレートのうちの少なくとも2つは、異なる面積のファセット比又は形状を有する。面積のファセット比は、少なくとも2つのそのようなファセット、例えば、p面ファセット及びm面ファセットの相対面積である。
【0045】
マスクの開口部を介した成長によって形成されるテンプレートに対して、第1の成長領域のマスクは、第2の成長領域のマスクより大きな開口部を含む。これにより、第1の成長領域に形成される露出p面の面積がより大きなナノピラミッドテンプレート、露出p面(例えば、ナノワイヤの先端部においてのみ露出したp面)の面積がより小さく、且つ、露出m面(例えば、六角形の断面のナノワイヤテンプレートの側壁上に露出した)がより大きなナノワイヤテンプレートが形成される。活性領域が第1の成長領域及び第2の成長領域の両方で同時に同一の成長工程において形成される場合でも、このようなテンプレート上に露出したp面面積の量の差異によって、結果として、第2の領域の成長領域上に形成された活性領域(例えば、QW)と比較して、第1の領域のテンプレート上に形成された活性領域(例えば、QW)に、より多くのインジウムが取り入れられる。従って、第1の成長領域において形成されたLEDは、第2の成長領域において形成されたLEDより長いピーク発光波長を有する。
【0046】
より大きな成長領域上の活性領域の成長率は、より小さな成長領域上の成長率より遅い。従って、より小さな面積のテンプレート上に形成された活性領域と比較して、より大きな面積のテンプレート上に形成された活性領域に取り入れられるインジウムは、より少ない(テンプレートサイズの相対的な差異より大きな影響を合計のローカル成長領域に与える程度に間隔が変更されない限り)。従って、p面ファセット優勢テンプレート(例えば、ナノピラミッドテンプレート)がm面ファセット優勢テンプレート(例えば、ナノワイヤテンプレート)より小さな面積又は高さを有する場合、m面ファセット優勢テンプレートに取り入れられるインジウムは、より少なくなる。これにより、ナノピラミッドテンプレートとナノワイヤテンプレートとの間の露出p面面積の差異のプラスの効果が増す(即ち、総面積の差異は、露出p面面積の差異と相乗作用を示す)。
【0047】
本発明者らは、例えば、開口部の密度を増加させることでローカル成長領域を増加させることによって、V族制限様式で成長する際により遠くに離間されたコアと比較して、密集して成長したコアの高さが更に増加することを認識した。元素として存在する窒素に対して分解する際に深刻な動力学的ボトルネックを有する、特に、ここではNH
3により例示されたV族原料によって、その効果を説明する。約15%のNH
3は、GaN表面によって触媒された950℃で分解される。GaNなしでの又は窒化シリコンマスクなどの誘電体表面に露出した場合の気相分解のおおよその見積もりは、800℃〜1,000℃の一般的なGaN成長温度において、1%〜3%である。コアのより密集した間隔によって形成されたGaNテンプレートの拡大された表面積は、このように、V族制限成長率及びより近くに離間されたテンプレートの高さを互いにより遠くに離間されたテンプレートの高さ以上に向上できる。これは、第2の成長領域のより近くに離間されたテンプレートの総面積が第1の成長領域のより遠くに離間されたテンプレートの総面積より大きいことを保証する。従って、第2の成長領域のテンプレートが第1の成長領域のテンプレートより大きな面積又は高さを有し、それにより、第2の成長領域において成長した活性領域により多くのインジウムが取り入れられることを保証するために、V族制限成長様式を使用するのが望ましい。従って、第2の実施形態のIII族窒化物のナノワイヤテンプレート又はナノピラミッドテンプレートは、GaNが引き起こすNH
3V族原料ガスの接触分解の増加を正当化するために、十分な密度の開口部と組み合わせてV族制限様式で動作する有機金属気相成長法(MOCVD)方法によって、成長マスクの開口部を介して形成されることが好ましい。この結果、第1の成長領域よりも第2の成長領域において、より高く、且つ、より面積の大きなテンプレートが得られる。
【0048】
第3の実施形態は、第1の実施形態と第2の実施形態との組み合わせである。第3の実施形態において、成長マスクの開口部は、第2の成長領域よりも第1の成長領域において大きく、第2の成長領域よりも第1の成長領域において遠くに離間される。従って、開口部の間隔及びサイズは、第1の成長領域及び第2の成長領域において形成されたLED間のピーク発光波長の差異を相乗効果的に増加させる。
【0049】
本実施形態において、第1の成長領域のテンプレートの高さは、第2の成長領域のテンプレートの高さより大きいことが好ましい。第1の成長領域におけるGaN表面積の増加、上述したようなNH
3分解の動力学的障壁を利用することによって、この効果を向上できる。従って、第1の領域と第2の領域との間において開口部間隔の差異が開口部サイズの差異よりはるかに大きくない限り、第3の実施形態においてテンプレート成長に含まれたNWコア成長工程は、V族材料制限成長様式で実施されることが好ましい。この場合、III族制限成長様式が使用されることが好ましい。なお、活性領域(例えば、QW)及びシェル成長は、テンプレートを成長させるために使用された様式に関係なく、全ての3つの実施形態においてIII族制限成長様式で実施されることが好ましい。
【0050】
従って、LED又はその他の光電子デバイスに対するテンプレートを成長させるために使用されたマスクは、各成長領域における種々の形状のテンプレートの成長及び後続してテンプレート上の異なる構成物(例えば、異なるインジウム含有量)を有する活性領域の成長を促進するために、種々の成長領域において間隔及び/又はサイズの異なる開口部を含む。
【0051】
選択成長という用語は、他の表面における成長が低いか又はごく僅かである少なくとも1つの表面上のエピタキシャル成長を示す。MOCVDによる選択的なナノ構造テンプレートの成長は、成長がマスク上で成長しない開口部に限定されるエピタキシャル基板にわたって開口を有するマスクを使用することが好ましい。しかしながら、VLSなどのその他の形式のナノ構造(例えば、ナノワイヤ)成長又は粒子によって向上した成長は、結晶のある方向又はファセットがその他のファセットよりかなり速く成長しているように更に選択的である。ナノワイヤ成長は、表面選択成長と呼んでよいが、表面選択成長という用語は、ある表面又はファセットがその他の表面より速く成長しているあらゆる種類の構造に対しても使用されている。従って、本発明は、マスク開口部を介したテンプレート成長に限定されるものではなく、種々のその他の種類のナノ構造テンプレートを含む。更に、成長法は、MOCVDに限定されず、例えば、CBE、MBE、LP−MOVPEなどのその他の方法を含む。効果的及び特徴的な選択成長形態が実現されるあらゆる方法が実行可能である。
【0052】
光電子デバイスは、形状、サイズ及び/又はピッチの異なるテンプレートを有するLEDアレイであることが好ましい。各テンプレートは、第1の導電型の半導体テンプレート(例えば、n型のGaNナノワイヤ又はナノピラミッドテンプレート)であることが好ましい。テンプレート、活性領域(例えば、InGaN量子井戸)及び第2の導電型のシェル(例えば、p型GaNシェル)は、pin接合を形成する。電圧が接合にわたって印加される場合、活性領域は、光(例えば、可視光又はUV放射線)を発する。アレイにおいて、少なくとも2つのLEDから発せられた光は、異なる波長を有する。発せられた光の異なる波長は、異なる面積を示す少なくとも2つのテンプレートによって達成される。
【0053】
図1乃至
図6を参照して、上述したマスク開口部及びナノ構造テンプレートの構成の種々の限定しない実施形態を説明する。
図1A乃至
図6Aは、マスク開口部におけるナノ構造テンプレートを示す上面図であり、
図1B乃至
図6Bは、それぞれ、
図1A乃至
図6Bの各々の線A−Aに沿った
図1A乃至
図6Aのそれぞれにおけるデバイスを示す垂直断面図である。3つの異なる変数は、これらの図において示された多数の組み合わせ、即ち、1)開口部と開口部の群との間の間隔、2)マスク開口部サイズ、及び、3)テンプレート成長(例えば、テンプレートナノ構造コア成長)を含む成長工程のうちの1つがV族又はIII族で制限されるかで変動する。
【0054】
図1A及び
図1Bは、異なる方法で離間されたテンプレートが2つの異なる波長を発するLEDに提供されている第1の実施形態を示す。これらの図において、成長マスク6(例えば、窒化シリコン層又は別の絶縁材料層)は、基板5(例えば、シリコン、GaN、サファイヤなど)にわたって成長する。基板5は、マスク6の下に、半導体バッファ層(例えば、理解を容易にするために示されないGaN、AlGaNなど)を含む。
図1Aは、第1の成長領域8a及び第2の成長領域8bのそれぞれのナノ構造テンプレート2a、2bの2群を含むLEDチップを示す概略上面図である。
図1Bは、
図1の線A−Aに沿った元素を通る断面を含む垂直断面図である。図に示されるように、基板5上には複数の成長領域8a、8b(例えば、交互の第1の成長領域及び第2の成長領域)がある。
【0055】
図1A及び
図1Bにおいて、テンプレート2a、2bの幾何学的配置は、マスク6の開口部10a及び10bの間隔によって制御される。開口部10a、10bは、同一のサイズ(例えば、同一の幅、長さ及び/又は直径)を有し、開口部間の間隔は、成長領域8a及び8bにおいて異なる。ナノワイヤコア成長を相対的に大きなV:III族流量比によるIII族制限に設定することによって、成長領域8aのテンプレートの高さは、成長領域8bのテンプレートの高さより大きくなる。これらの図に示されるように、ナノピラミッド型テンプレート2a、2bは、ナノワイヤコア成長後の放射状(ピラミッド状)のシェル成長工程のIII族制限条件のために、それぞれの成長領域8a、8bのそれぞれの開口部10a、10bにおいて選択的に成長する。開口部10a及び10bが縮小する場合、その他のテンプレートの種類(例えば、ナノワイヤテンプレート)が成長してもよい。本実施形態において、V族制限成長工程は、正当化されない。
【0056】
第1の成長領域8aの第1の開口部10aは、第2の成長領域8bの第2の開口部10bより隣接開口部から広く離間される。従って、第1の成長領域8aの第1の開口部10aから突出する第1のナノピラミッドテンプレート2aは、第2の成長領域8bの第2の開口部10bから突出するナノピラミッドテンプレート2bより隣接テンプレートから広く離間される。
【0057】
テンプレート間の間隔が異なるため、同一の後続の工程において、テンプレート2a、2b上に形成される活性領域(例えば、QW)へのInの取り込みは異なる。特に、活性領域の成長工程の間、第2のテンプレート2b上の活性領域と比較して、第1のテンプレート2a上の活性領域に、より多くのInが取り込まれることになる。従って、バンドギャップは、第2のテンプレート2b上より第1のテンプレート2a上で成長した活性領域において広くなる。特に、第1のテンプレート2a上で成長した、あまり密集せずに配置されたLEDは、より長い波長光(例えば、赤色光、黄色光又は緑色光)を発光でき、第2のテンプレート2b上により密集して配置されたLEDは、より短い波長光(例えば、青色光)をできる。
【0058】
なお、格子間のマスク面積が8a及び8bの間隔差とともに増加したほどテンプレート2bより大きなテンプレート2aの表面積が増加していないということによって、これは条件付けられる。第2のナノピラミッドテンプレート2bと比較して、第1のナノピラミッドテンプレート2aは、より大きな高さを有するため、III族列制限成長様式に起因して、より大きな露出表面積を有する。テンプレート2aのより大きな高さ及び表面積は、テンプレート2b上よりテンプレート2a上に形成された活性領域に取り入れられるインジウムがより少ないことを意味する。従って、テンプレートの高さ及び面積の差異は、発光波長と活性領域とを区別する際に、テンプレート間の間隔の差異に不利に作用する。
【0059】
従って、本発明者らは、テンプレートが異なる成長領域において異なる間隔を有する場合(但し、両方の成長領域において開口部サイズが同一の場合)、V族制限成長様式でテンプレートを成長させるのが好ましいことを認識した。
図2A及び
図2Bに示されるように、V族制限成長様式が同一のサイズの開口部10a、10bで使用される場合、領域8aの成長マスク6のより広く離間された開口10aから突出するテンプレート2aは、ナノピラミッド形状を有し、領域8bの成長マスク6のより狭く離間された開口10bから突出するテンプレート102bは、ナノワイヤ(例えば、ナノピラー)形状を有する。
【0060】
ナノピラミッドテンプレート2a及びナノワイヤテンプレート2bは、ほぼ同一の高さ及びそれらがV族制限成長モードで成長する同様な露出表面積を有する。これは、テンプレート2a及び102bの露出表面積の小さな差異(もしあれば)が、テンプレート上の活性領域に取り込まれるインジウムの量の差異に大きな悪影響を及ぼさないことを意味する。更に、ナノワイヤテンプレート102bは、大部分の側壁に沿って露出したm面「m」ファセット及び先端部に近接して露出したp面「p」ファセットを有する。これは、露出p面ファセットの面積がナノワイヤテンプレート102bより大きなナノピラミッドテンプレート2a上に形成された活性領域が、相乗効果的にナノワイヤテンプレート102bのm面ファセット上に形成された活性領域より多くのインジウムを取り込むことを意味する。従って、領域8aのナノピラミッドテンプレート上に形成された活性領域は、領域8bのナノワイヤテンプレート102bにおいて形成された活性領域より更により長い波長を発する。従って、V族制限成長様式は、領域8a及び8bのLED間の発光波長の差異を大きくする。
【0061】
図2C及び
図2Dは、第2の成長領域8bにおけるNH
3のGaN媒介の接触分解の増加を正当化するように、十分に高い密度の領域8bの開口部及び十分に高い成長温度と組み合わせてナノワイヤテンプレート102b及びナノピラミッドテンプレート2aがV族制限成長モードで成長する場合、ナノワイヤテンプレート102bがナノピラミッドテンプレート2aより大きな高さ及びより大きな露出表面積を有する別の一実施形態を示す。
【0062】
上述したように、約15%のV族原料ガスNH
3は、GaNテンプレート表面による分解の触媒作用のために、950℃で分解される。GaNテンプレートなしでの又はガスが窒化シリコンマスク6表面などの誘電体表面に露出する場合のNH
3気相分解のおおよその見積もりは、800℃〜1,000℃の一般的なGaN成長温度において、1%〜3%である。領域8aより領域8bにおいてGaNコアの間隔がより密集している結果として、領域8bにおいてアンモニアガスに露出されたGaNの拡大された表面積は、V族制限成長率及び領域8bのより近くに離間されたナノワイヤ形状のテンプレート102bの高さを互いにより遠くに離間される領域8aのピラミッド形状のテンプレート2aの高さ以上に向上できる。これは、成長領域8bのより近くに離間されたテンプレート102bのテンプレートの総面積が成長領域8aのより遠くに離間されたテンプレート2aのテンプレートの総面積より大きいことを保証する。従って、成長領域8において成長した活性領域に更により多くのインジウムが取り込まれるために、成長領域8bのテンプレート102bが領域8aのテンプレート2aより大きな面積又は高さを有することを保証するために、十分に高い温度で(例えば、800℃〜1,000℃などの少なくとも800℃、例えば、950℃〜1,000℃で)V族制限成長様式を使用することが望ましい。換言すれば、テンプレート2aがより小さな露出面積を有し、より遠くに離間され、且つ、より大きな露出p面面積を有するため、領域8bのテンプレート102b上で成長した活性領域と比較して、領域8aのテンプレート2a上で成長した活性領域に、より多くのインジウムが取り込まれる。
【0063】
図1及び
図2には、2つの繰り返しの成長領域8a、8bしか示されないが、3つ以上の成長領域が同一の基板5上に形成されてもよい。例えば、
図3A及び
図3Bに示されるように、3つの異なる成長領域8a、8b及び8cが基板5上に形成されてもよい。マスク6の開口部10a、10b及び10cのサイズは、全ての3つの領域8a、8b及び8cにおいて同一である。しかしながら、領域8cの開口部10cは、領域8aの開口部10aより広く離間され、領域8aの開口部10aは、領域8bの開口部10bより広く(大きなピッチで)離間される。限定しない実施形態において、ナノワイヤテンプレート102bは、領域8bにおいて形成され、ナノピラミッドテンプレート2a及び2cは、領域8a及び8cにおいてそれぞれ形成される。従って、領域8bのテンプレート102b上に形成されたLEDの活性領域は、最短発光波長(例えば、青色)を有し、領域8aのテンプレート2a上に形成されたLEDの活性領域は、中間発光波長(例えば、緑色)を有し、領域8cのテンプレート2c上に形成されたLEDの活性領域は、最長発光波長(例えば、赤色)を有する。当然のことながら、赤色、橙色、黄色、緑色及び青色の波長光を発するLEDの活性領域を形成するために、4つ以上の成長領域が含まれてもよい(例えば、5乃至7つの領域)。
【0064】
図4A及び
図4Bに示された別の実施形態において、成長領域8a及び8bの隣接開口部間の間隔を変動させるのではなく、成長領域8aと8bとの間でマスク開口部10a、10b又は領域のサイズを変動させる。隣接開口部間の間隔は、成長領域8a及び8bの両方において同一である。領域8aの開口部10aは、領域8bの開口部10bより大きい。
【0065】
本実施形態において、成長様式は、相対的に小さなIII:V族流量比によって制限されたIII族に設定されることが好ましい。それにより、領域8bのより小さな開口部10bから突出するテンプレートに対してよりも領域8aのより大きな開口部10aから突出するテンプレートに対して成長領域がより大きいために、成長が垂直方向の成長に対して最初に設定されるため、領域8aのテンプレートは、領域8bのテンプレートより広くて短い。これは、所定の時間の間、同等の量の材料がマスク開口部10a、10bにおいて堆積するためである。放射方向にテンプレートの成長が継続するか又は切り替わることによって、2つの異なるテンプレートの種類が得られる。ナノワイヤテンプレート又はナノピラーテンプレート102bは、領域8bのより小さな開口部10bにおいて形成され、ナノピラミッドテンプレート2aは、領域8aのより大きな開口部10aにおいて形成される。ナノピラミッドテンプレート2aは、ナノワイヤテンプレート102bと比較して、活性領域成長に露出されたp面側のファセット「p」の量が多い。ナノワイヤテンプレート102bは、ナノピラミッドテンプレート2aと比較して、より多くのm面側のファセット「m」が露出される。p面側のファセットによって、結果として、m面側のファセットよりこれらのファセット上で成長した活性領域に多くのインジウムが取り入れられるため、領域8aのナノピラミッドテンプレート2a上で成長した活性領域は、同一の成長工程の間、領域8bのナノワイヤテンプレート102b上で成長した活性領域より長い波長光を発する。
【0066】
更に、III族制限成長様式において、ナノピラミッドテンプレート2aと比較して、ナノワイヤテンプレート102bは、より高く、より大きな露出表面積を有する。これは、ナノワイヤテンプレート102b上よりナノピラミッドテンプレート2a上に形成された活性領域に、より多くのインジウムが取り入れられることを意味する。この相乗効果によって、テンプレート2a上の領域8aにおいて形成された活性領域(例えば、更により短い波長)と、テンプレート102b上の領域8bにおいて形成された活性領域(例えば、更により長い波長)との間の発光波長の差異が更に増加する。上述したように、開口部サイズの異なる3つ以上の成長領域(例えば、3〜7つの領域)が使用されてもよい。
【0067】
図5A及び
図5Bに示された第3の実施形態において、開口部間隔(第1の実施形態に係る)及び開口部サイズ(第2の実施形態に係る)の両方は、成長領域間で変動する。従って、成長領域8aの開口部10aは、成長領域8bの開口部10bと比較して、隣接開口部からより広く離間され、より大きなサイズを有する。
【0068】
図5A及び
図5Bにおいて、領域8bの開口部の間隔がナノワイヤ成長工程中にGaN表面積を増加させるのに十分なほど近接する場合(NH
3分解の動力学的効率を向上させるために)、テンプレートは、III族制限成長様式又はV族制限成長様式で成長する。これらの両方の様式の結果、領域8aの開口部10aから突出する、より短く、且つ、より遠くに離間されたナノピラミッドテンプレート2aと、領域8bの開口部10bから突出する、より高く、且つ、より近くに離間されたナノワイヤテンプレート102bとが得られる。これまでの実施形態において提供されたように、領域8bのテンプレート102b上で成長したLEDの活性領域と比較して、領域8aのテンプレート2a上で成長したLEDの活性領域は、より多くのインジウムを含み、より長い波長の光を発する。
【0069】
図6A及び
図6Bにおいて、開口部10a、10bは、
図5A及び
図5Bと同一のサイズ及び間隔を有する。しかしながら、NH
3分解がGaN表面によって明らかに触媒作用を及ぼさない場合、テンプレートは、V族制限成長様式で成長する。この結果、領域8aの開口部10aから突出する、より遠くに離間されたナノピラミッドテンプレート2aと、領域8bの開口部10bから突出する、より近くに離間されたナノワイヤテンプレート102bとが更に得られる。しかしながら、テンプレート2a及び102bは、ほぼ同一の高さを有する。これまでの実施形態において提供されたように、領域8bのテンプレート102b上で成長したLEDの活性領域と比較して、領域8aのテンプレート2a上で成長したLEDの活性領域は、より多くのインジウムを含み、より長い波長の光を発する。しかしながら、活性領域のインジウムの取り込み及び発光波長の差異は、一般に、
図5A及び
図5Bの高さの異なるテンプレートを含むデバイスに対する差異より小さい。従って、開口部間隔の差異が開口部サイズの差異より非常により大きくない限り、III族制限様式は、第3の実施形態に対して好ましい。GaN表面は、半径方向の成長においてテンプレートをマスク比率に設定するための、且つ、触媒表面である変化する変数(成長時間に依存する)である。ナノワイヤ成長モードにおいて成長がより長く継続するほど、触媒効果に対して差異がより大きくなる(即ち、ナノワイヤの上端及び側壁の両方がアンモニアの分解を助長するため、ナノワイヤが長いほど、使用可能なアンモニア分解領域が大きくなる)。
【0070】
図1乃至
図6に示されたテンプレート2、102を形成するために、あらゆる適切なMOCVD処理条件が使用されてもよい。MOCVDリアクタの圧力は、5kPa〜100kPa(50mbar〜1,000mbar)であり、リアクタの温度は、500℃〜1,200℃、好ましくは、900℃〜1,200℃であることが好ましい。III族原料ガスは、0.12及び1.2μmol/min又は0.5〜10sccm/minの流量を有するTMG(トリメチルガリウム)又はTEG(トリエチルガリウム)である。V族原料ガスは、0.2〜10sccm/min、例えば、0.2〜3sccm/minの流量を有するアンモニアである。
【0071】
処理は、III族のV族に対する原料ガス流量比を変更することによって、III族で制限されるか、或いは、V族で制限される。更に、V族制限様式は、ローカルGaN総表面積によって、ローカルにある程度動力学的に制限されるように操作される。増加するIII族原料ガスフローとともに、成長率が増加していないIII族原料ガスの増加するフローを提供する結果、V族制限成長(即ち、高いIII:V族比)が得られる。増加するIII族原料ガスフローとともに、成長率が増加しているIII族原料ガスのより低いフローを提供する結果、V族制限成長(即ち、低いIII:V族比)が得られる。
【0072】
図7に示されるように、完成した各LED1は、基板5上に形成される。基板5は、オプションのGaN又はAlGaNのエピタキシャルバッファ層7を含むサファイヤ、SiC、Si又はGaNの基板を含む。マスク6は、PECVDによって堆積された窒化シリコン又は酸化シリコンの層(厚さ20nm〜50nm)を含む。電子ビームリソグラフィ(EBL)、ナノインプリントリソグラフィ、光リソグラフィ及び反応性イオンエッチング(RIE)又は湿式化学エッチングの方法などの当該技術分野において知られている幾つかの技術は、開口部10a、10bを形成するために使用される。各開口部は、50nm〜200nmなどの10nm〜500nmのサイズ(即ち、直径)であり、150nm
2〜0.5μ
2の面積を有し、0.5μm〜5μm離れて傾斜(即ち、離間)されることが好ましい。テンプレート2は、上述したように、更に動力学的制限又はマスフロー制限されるIII族又はV族の制限工程から構成される別の適切な方法又はMOCVDによって、開口部10において選択的に成長する。テンプレート2は、第1の(例えば、n型)導電型のドーパントを用いてドープされた別のIII族窒化物半導体材料又はGaNを含む。
【0073】
活性領域4(例えば、量子井戸)は、MOCVD又は別の適切な方法によってテンプレート2上で成長し、第2の(例えば、p型)導電型のシェルなどの接合形成要素3は、活性領域上で成長する。活性領域4及びシェル3は、III族制限様式で成長することが好ましい。シェル3は、p型GaNを含み、活性領域は、予め選択されたInのGaに対する比率を有するIn
xGa
1−xN量子井戸を含む(即ち、xは、0より大きく、且つ、1より小さい範囲で変動する)。InGaNは、インジウム含有量に基づいて約375nm〜1,100nmのピーク発光波長の適応性を有する。要望に応じて、量子井戸は、InAlGaN又は別の適切な半導体材料などの4元材料を含んでもよい。InAlGaNは、約200nm〜1,100nmの波長の材料適応性を高めるが、高品質成長のために更なる課題を取り入れる。その後、電極がテンプレート2及びシェル3との電気的コンタクトにおいて形成され、LEDが完成する。
【0074】
本発明の一側面によって突出したアレイは、活性領域のIn含有量が異なるために各領域における活性領域4バンドギャップが異なるLED1の群(即ち、成長領域8a、8bなど)が別個に電気的にアドレス可能であるように並べられる。換言すれば、種々の駆動電圧又は駆動電流は、種々の成長領域におけるLEDの種々の群に印加される。同一の駆動電圧が全ての元素に印加される場合、幾つかのデバイスの効率が低くなりすぎるか又は過剰な電圧がその他に印加され、それはエネルギー使用の観点から非効率であるため、これは望ましい。更に、LEDアレイによって発せられる光の色を変更するために、LEDの群のうちの幾つか(例えば、1つ以上)はonにされ、LEDのその他の幾つか(例えば、1つ以上)の群はoffにされる。これは、各LED群と(例えば、各成長領域と)接触している別個の電極を形成し、各群からの電極対を1つ以上の電圧源又は電流源に別個に接続することによって達成される。
【0075】
別の実施形態において、種々の成長領域における異なる色の光を発するLEDは、直列に電気的に接続される。例えば、1つ以上の領域8aは、1つ以上の領域8bと直列に接続される。
【0076】
第4の実施形態において、単一のテンプレート上の各活性領域が複数の波長を発するようにできる。各活性領域が3つの波長を発することができる
図8A及び
図8Bにおいて、限定しない一例を示す。これは、開口部10の行(rows)を含むマスク6開口部10パターンのレイアウトによって達成される。各行「r」における開口部10は、隣接開口部に対して近くに離間されるが、行「r」間には相対的に大きな距離がある。例えば、同一の行「r」における隣接開口部間の距離「y」は、少なくとも2倍大きく、例えば、隣接行における隣接開口部間の距離「x」より2〜10倍大きい。行間の距離xは、
図7に示された個々のLED1の幅の少なくとも2〜3倍であることが好ましい。
【0077】
従って、LED1は、個々のテンプレートのファセットが同一の行における隣接テンプレートから狭い距離「y」だけ離間される行に提供される。それにより、活性領域4へのInの取り込みを抑制/阻止する。従って、同一の行における隣接LED1に対面するテンプレート2のm面サイドファセット上の活性領域4の部分4bは、最少量のインジウム、即ち、最短発光波長(例えば、青色領域において)を有することになる。一方、近接する隣接LEDがない行の側に対面する(即ち、隣接行に対面する)テンプレート2のm面サイドファセット上に形成された活性領域4の部分4aは、より多くのInを取り込む傾向がある。従って、活性領域の部分4aは、部分4bより長い波長(例えば、緑色領域において)を有する発光を有する。最後に、テンプレート2の上端のp面ファセット上に形成された活性領域4の部分4cは、p面ファセット上の活性領域において最も多くのInが取り込まれるため、最長の波長光(例えば、赤色領域において)を発する。このようなナノワイヤテンプレート102の上端のp面ファセット上で多くのインジウムを取り込むことが第1の実施形態乃至第3の実施形態において望ましくない場合、テンプレート102は、急峻なp面ファセットの先端部を除去し、ナノワイヤテンプレート102上の平面のc面上面を残すようにエッチバックされる。テンプレート102のc面ファセット上に形成された活性領域部分は、堆積中に優先的にインジウムを取り込まない。
【0078】
上述したように、LED発光色の差異は、基板のローカルな幾何学的配置、並びに、基板上のテンプレート(例えば、テンプレート)のローカルな形状及び寸法によって制御される。白色光を高品質に抽出できるように、最短波長と最長波長との間の最大200nmの波長の差異が必要である。より小さな差異が有利であるが、青色/緑色を良好に抽出するために、最短波長と最長波長との間の最大100nmの波長の差異が必要である。
【0079】
マルチカラーLEDのコンテキストでデバイスを説明したが、LEDアレイは、波長の範囲にわたって単色LEDを含んでもよい。更に、青色と、緑色と、赤色との間の従来の分割で多くの例を挙げたが、あらゆる複数の色の集合が想像されてよい。例えば、近接して置かれた色は、実質的に連続したスペクトル偽装黒体発光型の光源を提供するように生成される。更に、上述のテンプレートは、例えば、レーザ、光検出器、トランジスタ、ダイオードなどのその他のデバイスに対して使用される。
【0080】
マスクに依存しない構造設計のための多段階選択成長
上述したように、3D構造用のテンプレートに対する第1の工程としてナノワイヤ成長を利用する場合、構造のサイズ及び形状は、III族制限の条件下で依然として間隔及び開口部サイズ(ローカルなA
g/A
m)に結合される。しかしながら、本発明の実施形態において、V族制限条件を利用すること、成長がIII族原料物質の供給によってレート制限されない場合、間隔に依存しない一定の成長率を更に達成できる。
【0081】
上述と同一の機構は、マスク開口部サイズに対しても当てはまる。開口部サイズは、主に、テンプレートの長さ及び幅に影響を及ぼし、特に、III族原料物質制限成長様式で、テンプレートは、開口部サイズに依存しない長さで成長する。
【0082】
従って、二段階の成長は、グローバルで単調なファセット成長を切り離し、且つ、開口部の間隔及びサイズを変動させることによって、種々の位置において異なる方法で成形された半導体構造を製造する機会を与えるため、更なる利点を有する。なお、テンプレートのサイドファセット上の半径方向の成長への遷移は、ナノワイヤの上端領域とともにナノワイヤ側のファセットが次に成長領域として使用される一方で、上端領域がナノワイヤ条件の間は成長領域であったという意味において、成長領域の再定義を意味する。
【0083】
ナノワイヤ成長の機能は、成長率が間隔及び開口部サイズに直接依存し、且つ、成長量が一定である一般的な一段階の成長より非常に高い自由度で、間隔及び開口部サイズに依存せずに、後続の半径方向の成長のために成長領域を規定するテンプレートの準備を構成するものと理解される。ナノワイヤコアの一部として又はナノワイヤコア上に提供された層は、活性層を提供するためにテンプレートを形成し、ナノワイヤの比高に依存して、ピラミッドファセットと層のサイドファセットとの比率は変動する。核形成ごとの収集量/マスク領域のより大きな比率によって、ナノワイヤに対して放射層の成長中に、より多くの材料が使用可能になるため、間隔は、同一のテンプレート長においてp/m面の比率を増加させる。種々の方法で、例えば、間隔及び開口部サイズによってテンプレートを分類することで、種々の性質(高さ、幅、ファセット面積など)を達成できるため、3元QWがこれらのテンプレート上で成長する場合に本質的に異なる発光波長が得られる。
【0084】
上述したように、マルチカラー発光LEDを製造する方法は、基板上に所望の開口部パターンを有する成長マスクを規定することを備える。成長マスクは、異なるサイズ及び/又は異なる間隔の開口部を有する基板を範囲に含む層であり、開口は、上述したような所望の性質を取得するためのある特定の規則によって分類される。テンプレートは、テンプレートの長さが実質的には開口部間隔に依存しないように、成長様式で選択的に成長する。
【0085】
テンプレートが要望通りに成長している場合、即ち、複数のナノワイヤ及び/又はナノピラミッドが長さ、幅等の種々の組み合わせを示している場合、少なくとも1つの放射層(例えば、活性領域及びシェル)は、テンプレート上で成長する。これまでに示したように、成長様式に依存して高さを開口部ピッチに依存させるか、或いは、依存させないようにする場合、テンプレートを更に製造できる。これは、開口部サイズにも当てはまる。開口部サイズは、主に、テンプレートの長さ及び幅に影響を及ぼすが、長さを開口部サイズに依存させないようにできる。
【0086】
しかしながら、III族フローが高い極端な条件において、多くのナノワイヤ条件と同様に、少量のA
mを用いた成長は、極端に大きな開口部と同様に実現不可能である。その結果、低品質の成長を招き、多くの場合表面上に液体III族元素液滴形態が得られる。
【0087】
このように、ナノワイヤ成長において、成長がIII族原料物質の供給によってレート制限されない場合、間隔に依存しない一定の成長率を更に達成できる。上述と同一の機構は、マスク開口部サイズに対しても当てはまる。開口部サイズは、主に、テンプレートの長さ及び幅に影響を及ぼし、特に、III族原料物質制限成長様式において、テンプレートは、開口部サイズに依存しない長さで成長する。
【0088】
マスクの開口部は、一般に、円形状を有するが、六角形又は矩形などのその他の形状が可能である。マスク開口部サイズは、10nm〜500nm(「有効径」)の範囲又は150nm
2〜0.5μm
2の面積である。
【0089】
テンプレートの長さ/幅の比率は、活性領域QWなどの放射層のc面/p面/m面面積の比率に直接影響を及ぼす。テンプレートがより短いほど、成長した同一の量の下地層において、より大きなピラミッド部分が得られる。増強された成長及びより長い成長時間で、p面が最も遅い成長率を示すため、ピラミッド形状は、サイドファセットを犠牲にして徐々に形成される。p面のみが元素を終了させる場合、体積成長率は減少する。原料流量がp面成長率より高い場合、この効果は強い。ナノワイヤ長がピラミッドの高さを決定するため、これは、より大きな間隔で、より小さな正味量の族を製造する際に更なる利点に対して使用される。完全なピラミッドが形成されている場合、ピラミッドの体積は、結果として、ナノワイヤ長によって完全に制御される。
【0090】
なお、マスフローが優位に立つ際に理論的な説明が成長率上になす寄与表面比率に限定されているため、V族制限様式で増加したGaN表面への露出により向上したローカルNH
3分解などの動力学的効果によって発生した成長率の変動は、上述した理論への更なる効果である。しかしながら、全ての動力学的障壁が最小限にされる場合を除いて、マスフロー及び動力学的妨害への成長率応答は、少しも相互に限定されない。
【0091】
上端、下端、基部、側部などに対する全ての参照は、理解を容易にするためだけに導入され、特定の配向を限定するものとして考えられるべきではない。更に、図面における構造の寸法は、必ずしも縮尺通りではない。
【0092】
現在最も実用的であると考えられるもの及び好適な実施形態に関連して本発明を説明した。しかしながら、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内で種々の変更及び等価の構成を範囲に含むことを意図することが理解されるだろう。