特許第6227137号(P6227137)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227137
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 1/32 20060101AFI20171030BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20171030BHJP
   F02B 37/12 20060101ALI20171030BHJP
   F02B 37/16 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   F16K1/32 C
   F16K31/06 305L
   F02B37/12 303G
   F02B37/16 B
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-528395(P2016-528395)
(86)(22)【出願日】2014年7月8日
(65)【公表番号】特表2016-530462(P2016-530462A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】EP2014064578
(87)【国際公開番号】WO2015010890
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2016年3月25日
(31)【優先権主張番号】102013214594.2
(32)【優先日】2013年7月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロザリオ ボナンノ
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−090071(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/048828(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101354092(CN,A)
【文献】 独国特許出願公開第10020041(DE,A1)
【文献】 実開平03−036582(JP,U)
【文献】 国際公開第2002/021031(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/32
F16K 31/06
F02B 37/12
F02B 37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、該ハウジング内に配置されたソレノイドと、該ソレノイドにより可動のピンと、該ピンと結合されたピストンと、シールと、
を備える弁であって、
前記ピストン(27)は、シール縁(21)を具備する環状の基体(20)を有し、
該環状の基体(20)は、ダイヤフラム(19)として形成された底部を有し、
該ダイヤフラム(19)は、その中心に、ブシュ(18)を有し、
該ブシュ(18)は、前記ピン(16)と結合されている、
ことを特徴とする弁。
【請求項2】
前記ダイヤフラム(19)は、金属またはプラスチックから成る、請求項1記載の弁。
【請求項3】
前記ダイヤフラム(19)は、前記基体(20)の対称軸線に対して直角に配置されている、請求項2記載の弁。
【請求項4】
前記基体(20)は、プラスチックから成り、前記ダイヤフラム(19)は、インサート部品として前記基体の射出成形時に前記基体(20)に埋め込まれている、請求項1から3までのいずれか1項記載の弁。
【請求項5】
前記ブシュ(18)は、前記ダイヤフラム(19)と溶接されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の弁。
【請求項6】
前記ダイヤフラム(19)は、少なくとも2つの開口(26)を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の弁。
【請求項7】
前記ピン(16)は、前記ブシュ(18)にプレス接合されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の弁。
【請求項8】
前記ピン(16)または前記ブシュ(18)に、圧入すべき構成要素(16,18)の移動を制限するカラー(17)が設けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載の弁。
【請求項9】
前記ピン(16)は、該ピン(16)を貫通する縦孔(23)を有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の弁。
【請求項10】
前記ピン(16)は、縦軸線に対して直角に延びて、前記ピン(16)を貫通する横孔(24)を有し、該横孔(24)は、前記縦孔(23)に接続されている、請求項記載の弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、ハウジングと、ハウジング内に配置されたソレノイドと、ソレノイドにより可動のピンと、ピンと結合されたピストンとを備える弁である。
【背景技術】
【0002】
そのような弁は、特に、エンジンブレーキ運転時に吸込側へのバイパスを開放するために、自動車におけるターボチャージャに設けられたブローオフバルブとして使用されていて、ゆえに知られている。ターボチャージャの強すぎる制動を防ぐだけでなく、迅速な始動を保証するために、弁の迅速な開閉は重要な前提条件である。特に、閉弁時、弁座に対するピストンの当接による即時の閉弁が重要である。弁座は、ターボチャージャのハウジングにより形成され、このハウジングに弁がフランジ接合される。その結果、弁座は、ピストンに対して十分には平行に位置しなくなるが、このことは、迅速で、かつとりわけ密な閉弁のために必要である。それにもかかわらず確実な閉弁を保証するためには、ピストンが弁座に適合しなければならない。そのために、ピストンを、ピンの半径方向で環状に延在する溝に係合する、半径方向で斜め内向きに突出するフィンガを有する環状の基体として形成することが知られている。その弾性に基づいて、フィンガは、ピンに対するピストンの動きを可能にする。製造公差および組立て公差の結果、ピストンとピンとが互いに遊びなく結合されてはおらず、これが弁の閉弁時に欠点をもたらすことが判明した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、簡単な構造を有し、迅速で確実な閉弁を可能にする弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、ピストンが、シール縁を含む環状の基体を有し、環状の基体は、ダイヤフラムとして形成された底部を有し、ダイヤフラムは、その中心に、ブシュを有し、ブシュは、ピンと結合されていることによって解決される。
【0005】
ダイヤフラムの配置により、ピストンとピンとの間の相対的な動き、特に揺動運動が可能になる。同時に、ピンに対するピストンの僅かな揺動だけが可能であることが保証されている。使用例に応じて、数度〜数十度の揺動角度を実現することができる。このような僅かな揺動は、ピストンと弁座との間の位置ずれを補償するのに十分である。同時に、揺動角度を制限することができるので、弁の迅速な閉弁が保証される。ダイヤフラムの構成によって、最大限可能な揺動角度を所期の目的に合わせて調節することができるので、弁は、様々な用途に適合可能である。ただし、主要な利点は、このようにしてピンとピストンとの間の遊びのない結合が達成されることにあり、これは、特に弁の作動領域で重要な役割を担う。ダイヤフラムの中心に配置されたブシュは、さらに、ピンとの確実な結合が達成されるという利点を有する。
【0006】
好適な態様では、ダイヤフラムは、金属またはプラスチックから成り、この場合、金属から成るダイヤフラムは、特に薄く形成することができる。
【0007】
別の1つの態様では、ダイヤフラムは、基体の対称軸線に対して直角に配置されている。
【0008】
ダイヤフラムは、様々な形状を有してよい。ダイヤフラムは、これが円板状である場合、低コストで製作することができる。
【0009】
同一の厚さでのダイヤフラムの補強は、別の1つの態様では、ダイヤフラムが同心的な段部または溝を有することにより達成することができる。
【0010】
ダイヤフラムとの基体の簡単で確実な結合は、基体がプラスチックから成り、ダイヤフラムがインサート部品として基体の射出成形時に基体に埋め込まれる場合に達成される。このようにして、特に基体とダイヤフラムとがそれぞれ異なる材料から成る場合に確実な結合を形成することができる。
【0011】
しかも、プラスチックダイヤフラムの場合には、プラスチックダイヤフラムを基体とともに射出成形により製作することも可能であるので、ダイヤフラムは、基体と一体的に結合されていて、これら両方は、単一の構成要素を形成する。
【0012】
ブシュとダイヤフラムとの簡単な結合は、プレス接合により行うことができる。特に、薄いダイヤフラムの場合、確実な結合は、ブシュがダイヤフラムと溶接されていることにより達成される。
【0013】
プラスチックダイヤフラムを使用する場合、ブシュは、射出成形により、ダイヤフラムの一体的な構成要素であってよい。
【0014】
ダイヤフラムは、中実材料から成っていてよい。ただし、少なくとも2つ、好適には4つ〜6つの開口を有するダイヤフラムを形成することが有利であることが判明している。この場合、開口を互いに分離している材料は、弾性的な領域として作用するので、開口の構成により、ダイヤフラムの弾性を所期の目的に合わせて調節することができる。特に、その構成は、ダイヤフラムの基本形状の使用を可能にする一方、開口の種類や数を介して、様々な用途への適合が行われる。別の利点によれば、ダイヤフラムはより大きな厚さを有することができ、これにより、ダイヤフラムは全体的により高い形状安定性を有する。なぜならば、弾性が、開口の間に残る領域を介して調節されるからである。
【0015】
ブシュとピンとの結合は、ねじ接合または溶接により行うことができる。著しく低コストの結合は、プレス接合により達成することができる。この場合、ピンをブシュに圧入するか、またはブシュをピンに圧入することができる。
【0016】
ピンまたはブシュに、圧入すべき構成要素の移動を制限するカラーが設けられている場合には、圧入すべき構成要素を、特に容易に取り付けることができる。
【0017】
弁の、特にハウジングの圧力荷重を低減するために、ピンは、ピンを貫通する縦孔を有し、縦孔を介して圧力補償を行うことができる。
【0018】
さらに迅速な圧力補償のために、かつ場合によって生じる、圧力補償に基づく騒音を最少化するために、ピンは、付加的に、縦軸線に対して直角に延びる横孔を有し、横孔は、同様にピンを貫通し、縦孔に接続されている。
【0019】
本発明を、1つの実施の形態を参照して詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】弁の配置の概略図を示す。
図2】弁の平面図を示す。
図3図2の弁の断面図を示す。
図4】ピストンの断面図を示す。
図5】ピストンの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、シリンダ1と、シリンダ1内で可動のシリンダピストン2と、シリンダ1に開口する、スロットルバルブ4がその中に配置された新鮮空気管路3と、シリンダ1から導出された排ガス管路5とを備える、自動車の駆動トレーンの一部を示している。さらに、ターボチャージャ6が配置されており、ターボチャージャ6は、両管路3,5に接続されている。ターボチャージャ6は、排ガス管路5に接続されたタービン7と、新鮮空気管路3に接続されたコンプレッサ8とから成っている。スロットルバルブ4が閉鎖された状態で、コンプレッサ8により形成された圧力は、圧縮された空気の導出によりバイパス管路9を介して戻され得る。バイパス管路9は、ブローオフバルブ10により開閉される。
【0022】
図2に示す弁10は、弁10の電気的な接続のための、一体的に成形されたブッシング12を有するハウジング11から成っている。ハウジング11は、一体的に成形されたフランジ13と3つの孔とをさらに有し、3つの孔を介して、ハウジング11は、バイパス管路9の領域でターボチャージャ6にフランジ接合されている。
【0023】
図3によれば、ハウジング11内に、コイル15と金属ピン16とを備えるソレノイド14が配置されている。金属ピン16は、ソレノイド14から離れた側の端部25に、半径方向で環状に延在するカラー17を有する。端部25は、ダイヤフラム19のブシュ18に圧入されており、カラー17とブシュ18とは互いに当接している。ダイヤフラム19は、プラスチックから成る基体20と結合されている。環状の基体20は、ソレノイド14から離れた側に、環状に延在するシール縁21を有する。図示の閉弁位置では、シール縁21は弁座22に当接しており、これによりバイパス管路は閉鎖されている。ピストン27のさらなる構造は、以下の図4図5に記載されている。金属ピン16は、縦孔23と、縦孔23に対して直角に配置された横孔24とを有する。両孔23,24は、ピン16を貫通していて、ハウジング11内の圧力補償に用いられる。この場合、横孔24は、迅速な圧力補償のために設けられている。
【0024】
図4および図5に示すピストン27は、金属から成る円板状のダイヤフラム19を有する。ダイヤフラム19は、0.5mmの厚さを有する。ダイヤフラム19の中心にブシュ18が一体的に溶接されている。ダイヤフラム19は、複数の開口26を有し、開口26を介して圧力補償が行われる。ダイヤフラム19は、ダイヤフラム19がインサート部品として射出成形型に挿入され、射出成形によりプラスチックで包囲されることにより、その周で、基体20と固く結合されている。ダイヤフラム19は、円筒形の基体20と相俟って、ポット状のピストン27を形成している。開いた端部で、基体20に隆起部28が形成されており、隆起部28は、図3に示すシール29との当接により、ピストン移動の制限部を形成している。
図1
図2
図3
図4
図5