(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227139
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】車両シート用バックレスト調整器と車両シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/22 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
B60N2/22
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-529953(P2016-529953)
(86)(22)【出願日】2014年11月12日
(65)【公表番号】特表2016-540676(P2016-540676A)
(43)【公表日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】EP2014074363
(87)【国際公開番号】WO2015071301
(87)【国際公開日】20150521
【審査請求日】2016年5月26日
(31)【優先権主張番号】102013223026.5
(32)【優先日】2013年11月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502156098
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】バーレン、 ヒルマー
(72)【発明者】
【氏名】クライン−ヒットパス、 トルシュテン
(72)【発明者】
【氏名】ゲヌート、 ウーリ
(72)【発明者】
【氏名】ミューレンブロック、 ルドガー
【審査官】
永安 真
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03501198(US,A)
【文献】
特開2009−061834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シート(2)のバックレスト(2.1)の、シート部に対する傾斜を調整する車両シート用のバックレスト調整器(1)であって、
前記バックレスト(2.1)に固定された継手上部(6)と、前記シート部に固定された継手下部(7)とが前記車両シート(2)の両側にそれぞれ設けられ、
前記車両シート(2)の一側において前記継手上部(6)と前記継手下部(7)との間に継手(4)が設けられ、
前記車両シート(2)の他側において前記継手上部(6)に、前記バックレスト(2.1)の前記シート部に対する自由枢動を可能とする回転軸受(3)が設けられ、
一側が前記継手(4)に結合されかつ他側が前記回転軸受(3)に結合された伝動要素(5)を有し、
前記回転軸受(3)の領域及び対向する前記継手(4)の領域に固定された突っ張り要素(11)が設けられ、
前記突っ張り要素(11)は、第1レッグ(L1)及び第2レッグ(L2)からなるL字形状に形成され、
前記突っ張り要素(11)は少なくとも一部が、前記回転軸受(3)と前記継手(4)との間において前記伝動要素(5)の中に配列されるバックレスト調整器(1)。
【請求項2】
前記伝動要素(5)は管として設計される請求項1に記載のバックレスト調整器(1)。
【請求項3】
前記継手(4)は前記車両シート(2)の外側に配列され、
前記継手下部(7)は、フロア側シート部構造物によって車両フロアに締結される請求項1又は2に記載のバックレスト調整器(1)。
【請求項4】
前記車両シート(2)の、一つの前記継手(4)に対向する側において、前記回転軸受(3)は、対応する継手下部(7)に、前記伝動要素(5)を締結する回転軸受側ソケット(8)を有する請求項3に記載のバックレスト調整器(1)。
【請求項5】
前記伝動要素(5)は、フロア側の前記継手下部(7)に取り付けられ、端側が、前記継手下部(7)の外側において突出する請求項3又は4に記載のバックレスト調整器(1)。
【請求項6】
前記伝動要素(5)を前記継手下部(7)に固定するべく締め付け要素(9)が配列される請求項3から5のいずれか一項に記載のバックレスト調整器(1)。
【請求項7】
前記シート部に対する前記バックレスト(2.1)の傾斜の、予め張力が加えられた調整を目的として、前記バックレスト調整器(1)は前記突っ張り要素(11)を有し、
前記突っ張り要素(11)の一端が、対応する継手下部(7)の外側において回転軸受側に支持され、
前記突っ張り要素(11)の他端が、継手側端の領域において、圧力嵌め及び/又は形状嵌めにより前記伝動要素(5)の中に保持される請求項3から6のいずれか一項に記載のバックレスト調整器(1)。
【請求項8】
前記第1レッグ(L1)は、外側から前記伝動要素(5)の中へと突出して内部固定部材まで達し、
前記第2レッグ(L2)は、前記回転軸受(3)に支持される請求項1から7のいずれか一項に記載のバックレスト調整器(1)。
【請求項9】
前記第1レッグ(L1)は、端側がU字形状に曲げられて丸み部分(11.2)を有する請求項8に記載のバックレスト調整器(1)。
【請求項10】
前記伝動要素(5)は、継手側端に、前記第1レッグ(L1)の屈曲端を形状嵌め固定するための継手側ソケット(8)を有する請求項9に記載のバックレスト調整器(1)。
【請求項11】
バックレスト調整器(1)によって枢動軸まわりに傾斜が調整可能なバックレストを備えた車両シートであって、
前記バックレスト調整器(1)は、請求項1から10のいずれか一項に記載のバックレスト調整器(1)である車両シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両シートのバックレストの傾斜を調整する車両シート用バックレスト調整器に関する。本発明はさらに、かかるバックレスト調整器を備えた車両シートに関する。
【背景技術】
【0002】
枢動軸まわりに傾斜が調整可能なバックレストを備えた車両シートが、先行技術により知られている。通例、かかる車両シートは、伝動シャフトを備えたバックレスト調整器を有する。伝動シャフトは、一側が関節継手に結合され、他側が回転軸受又はさらなる関節継手に結合される。少なくとも一つの関節継手は、シートフレームに固定された下側継手部と、バックレストに固定された上側継手部とを含む。双方の継手部は、バックレストの傾斜を調整するべく互いに対して調整可能である。
【0003】
特許文献1は、2つの部品が、棒によって関節状に互いに接続された動き機構を開示する。この機構は、枢動可能シート要素、特に自動車シートのために設けられる。
【0004】
さらに、傾斜調整可能バックレストを備えた自動車シートが特許文献2に記載される。ここで、2つの駆動要素の接続部には突っ張り結合が搭載される。この突っ張り結合は、バックレストの傾斜が不意に自動調整されるのを防止するべく使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,090,264(A1)号明細書
【特許文献2】独国特許第4314119(A1)号明細書
【特許文献3】米国特許第3,501,198(A)号明細書
【特許文献4】仏国特許出願公開第2990166(A1)号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第102010062122(A1)号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、シート用の、特に車両シート用の、先行技術と比べて改善されたバックレスト調整器を特定することにある。
【0007】
この目的は、本発明によれば、請求項1に特定される特徴を有するバックレスト調整器と、請求項11に特定される特徴を有するシートとによって達成される。
【0009】
バックレスト調整器は、少なくとも一つの継手及びこれに対向配列された回転軸受と、当該継手と回転軸受とを互いに接続する伝動要素とを有する。ここで、回転軸受側すなわち回転軸受の領域に固定され、かつ、継手側すなわち対向継手の領域に固定された突っ張り要素が設けられる。ここで、突っ張り要素は、回転軸受と継手との間の領域にある伝動要素によって取り囲まれる。
【0010】
枢動機能を果たす伝動要素と突っ張り要素との双方をバックレスト調整器の枢動軸領域に統合することにより、バックレスト調整器に対し、特に単純かつコスト効果の高いソリューションが可能となる。さらに、片側継手に作用する負荷が、当該一方の継手と対向する回転軸受とを接続する伝動要素、特に単純な管によって、直接的にサブ構造物へと導き出されるので、当該片側継手には過剰な負荷がかからない。
【0011】
有利な実施形態では、継手上部及び継手下部を有する継手が、いずれの場合も、車両シートの両外側に配列される。継手上部はバックレストに固定的に接続され、継手下部は、フロア側シート部構造物によって車両フロアに締結される。
【0012】
さらに有利な改善では、車両シートの、一方の継手に対向する側において、伝動要素の締結用のソケットが、対応する継手下部の回転軸受に取り付けられる。
【0013】
さらに有利な改善では、伝動要素は、フロア側継手下部に取り付けられて端側が、継手下部の外側から突出する。
【0014】
さらに、継手下部に伝動要素を固定するべく、締め付け要素を配列することもできる。
【0015】
さらに有利な改善では、突っ張り要素の回転軸受側の端が、対応する継手下部の外側に支持される。ここで、突っ張り要素の他端は、継手側の端の領域において伝動要素の中に、圧力嵌め及び/又は形状嵌めによって保持される。
【0016】
突っ張り要素は一体に形成されるのが好ましく、実質的にL字形状設計である。第1の長いレッグが、外側から伝動要素の中へと内部固定部に達するまで突出する。第2レッグは回転軸受に支持される。
【0017】
突っ張り要素の有利な改善では、第1レッグの端側がU字形状に曲げられて丸み部分とされる。これにより、突っ張り要素を管状伝動要素の中へと単純に嵌め込んで、当該突っ張り要素を伝動要素の中に形状嵌め固定することが可能となる。これを目的として、伝動要素は、継手側端に、突っ張り要素の第1レッグの屈曲端を形状嵌め固定するためのソケットを有することが好ましい。
【0018】
添付の模式的な図面を参照して本発明の典型的実施形態が詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】前から斜めの斜視図において、シートのバックレストの枢動軸領域において両側に固定された伝動要素と、少なくとも当該伝動要素の領域に包み込まれた突っ張り要素とを備えたバックレスト調整器を模式的に示す。
【
図2】
図1に係るバックレスト調整器を、前から斜めの異なる斜視図において模式的に示す。
【
図4】突っ張り要素がトーションばねとして設計されて伝動要素の中に配列されたシート構造物の一部の斜視図を示す。
【
図5】突っ張り要素がトーションばねとして設計されたシート構造物の一部の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
互いに対応する部分には、すべての図面にわたって同じ参照符号が付される。
【0021】
図1及び2は、前から斜めの異なる斜視図において、シート2、特に車両シートのためのバックレスト調整器1を示す。シート2は、少なくとも一つのバックレスト2.1と、シート部(特に図示せず)とを有する。バックレスト2.1はシート部に、バックレスト調整器1によって枢動可能に配列される。
【0022】
バックレスト調整器1は、両外側の一方に、典型的実施形態においては前から見て左外側に回転軸受3を含み、対向側の継手4も含む。回転軸受3は、傾斜調整と、バックレスト2.1のシート部に対する自由枢動とを目的とする。継手4と対向回転軸受3とは、伝動要素5、特に管又は棒によって互いに接続し合う。
【0023】
伝動要素5は、枢動可能バックレスト2.1の回転又は枢動軸Dが貫通して延びる。伝動要素5は、中空管として設計され、回転軸Dに沿って継手4と回転軸受3とを結合する。
【0024】
バックレストに固定された継手上部6と、シート部に固定され、特にフロアに固定された継手下部7とが、シート2の両側にそれぞれ設けられる。継手下部7は、ここでは、フロア側シート部構造物(特に図示せず)を介して車両フロア(特に図示せず)に締結される。
【0025】
継手4は、シート2の当該外側(典型的実施形態においては右外側)において、対応する継手上部6と対応する継手下部7との間に配列され、バックレスト2.1に固定的に接続される。
【0026】
図1に示されるように、シート2の、継手4に対向する側に、回転軸受3は、対応する継手下部7において伝動要素5を収容するソケット8を有する。例えばプラスチック製の軸受ブッシングを、特に図示しない態様でソケットに配列することができる。
【0027】
フロア側継手下部7に取り付けられた伝動要素5の端側が、継手下部7の外側に突出する。伝動要素5を継手下部7に固定するべく、締め付け要素9が設けられる。締め付け要素9は、バックレスト調整器1の回転軸受側コンポーネントと、伝動要素5の当該端と、当該継手下部7とを互いに回転軸受側に固定する締め付けディスク又は固定ディスクの態様で設計される。
【0028】
図2に示されるように、伝動要素5は、内側継手上部6によって回転軸受側に案内されて当該内側継手上部6に固定される。伝動要素5の継手上部6への回転軸受側固定を目的として、伝動要素5は、形状嵌め及び/又は圧力嵌めによる一体接合の態様で継手上部6に接続され、ひいては、バックレストに固定されるように形成される。例えば、伝動要素5は、内側が回転軸受3の領域において継手上部6に溶接される。これは、
図2において、溶接線10によって例示される。
【0029】
対向側、したがって継手側でも同様に、伝動要素5は、バックレストに固定されるように形成される。例えば、伝動要素5の継手側端は、形状嵌め及び/又は圧力嵌めによる一体接合の態様で内側継手上部6に締結される。特に、伝動要素5の継手側端は継手上部6に溶接される。これは、
図1において、さらなる溶接線10によって例示される。
【0030】
したがって、伝動要素5はいずれの場合も、バックレストの両側すなわち回転軸受側及び継手側に固定される態様で、継手上部6の、特に内側に溶接及び形成される。
【0031】
バックレスト2.1の調整動作中、継手4がロック解除されると、伝動要素5は、バックレスト2.1と一緒に回転軸Dまわりに回転し、枢動機能を果たす。伝動要素5は、回転軸受側のソケット8の中に回転可能に取り付けられる。
【0032】
機械的応力の結果として継手4に過剰な負荷がかからないよう、伝動要素5は、回転軸受3によって、継手上部6を介してバックレスト2.1へと、及び継手下部7を介して車両フロア、ひいてはサブ構造物へと接続される。回転軸受3をフロア側継手下部7の中に収容することにより、発生する機械的応力は、車両フロアへと導き出される。
【0033】
さらに、シート部に対するバックレスト2.1の傾斜の、予め張力が加えられた調整を目的として、バックレスト調整器1は、両端が所定位置に固定され又は固定的に留められた突っ張り要素11を含む。突っ張り要素11は、例えばトーションばねの形態にある。
【0034】
突っ張り要素11の一端は、
図1に見えるように、対応する継手下部7の外側において回転軸受側に支持されかつ取り付けられる。これを目的として、支持軸受12は、回転軸受側の継手下部7の外側に配列される。支持軸受12は、例えば、継手下部7から形成され又は継手下部7に固定されたタブ、クリップ又はスリーブの形態にある。
【0035】
突っ張り要素11の他端、したがって継手側は、当該継手側端の領域において、圧力嵌め及び/又は形状嵌めにより伝動要素5の中に保持される。これを目的として、伝動要素5は特に、内方にエンボス加工された構造物13を含む。突っ張り要素11の継手側端が、エンボス構造物13によって伝動要素5に固定される。
【0036】
突っ張り要素11は、円形又は実質的に円形断面であり実質的にL字形状の金属材料、特にばね鋼から一体的に形成される。ここで、第1レッグL1は、第2レッグL2と比べて長さが増大している。
【0037】
図2から明らかなように、第2レッグL2は、支持軸受12の中に当該レッグが収容されるように、例えば波形又はS字形状設計とすることができる。
図1に示されるように、第2レッグL2は、特にプラスチック製ストッパであるストッパ14によって、伝動要素5の回転軸受側端の外側に配列及び案内される。
【0038】
第1レッグL1は、回転軸受側に支持される第2レッグL2に対して実質的に90°の角度で角度付けされ、回転軸受側の外側から中空伝動要素5の中に入るように突出し、継手側の、伝動要素5のエンボス構造物13との内部固定部まで達する。第1レッグL1の、伝動要素5の中へと突出する端は、突っ張り要素11の伝動要素5内へ搭載及び固定を容易にするべく、丸められ又は屈曲され、特にU字形状に曲げられる。
【0039】
したがって、突っ張り要素11の第1レッグL1と、特に第1レッグL1を包み込む伝動要素5とは、回転軸Dの領域においてシート2の横方向に延びる。
【0040】
バックレスト調整器1の回転軸受3、継手4、伝動要素5、及び突っ張り要素11のようなコンポーネントの、そのような、回転軸に近接したコンパクトな配列により、バックレスト調整器1の特に単純かつ統合された設計が可能となる。
【0041】
特に、突っ張り要素11を、継手4の領域において、伝動要素5自体において、及び支持軸受12の外側の回転軸受3の領域において、回転軸に近接した両側に固定することと、伝動要素5自体を回転軸に近接して継手上部6に配列及び固定することとが、バックレスト調整器1及び当該バックレスト調整器1を備えたシート2の、特にコンパクトかつ単純な実施形態を構成する。
【0042】
図4は、突っ張り要素11を備えたシート構造物の一部の斜視図を模式的に示す。突っ張り要素11は、トーションばねとして設計され、伝動要素5の中の少なくとも複数の区画に配列される。シート構造物は、フレームワークに固定された少なくとも伝動要素5によって互いに結合された少なくとも2つのシート側チーク15を含む。ここで、従来型のシート調整要素は、伝動要素5の両側に配列される。シート表面のシートクッション(図示せず)は、シート側チーク15同士の間に保持される。
【0043】
取り付け対象の車両シートにおいて、第1レッグL1は、完全に又は実質的に完全に伝動要素5の中に配列される。ここで、トーションばねのばね端は、屈曲部分11.3が、形状嵌めによって伝動要素5の中に保持される。例えば、ばね端の屈曲部分11.3に対応するように設計された抜き部17を伝動要素5に配列することにより、第1レッグL1の屈曲部分11.3を、伝動要素5の抜き部17の中に形状嵌めによって配列することができる。ここで、伝動要素5と突っ張り要素11の第1レッグL1とは、車両の横方向に配列される。
【0044】
第2レッグL2の保持部11.1は、シート側チーク15の保持要素16に保持される。保持要素16は、シート側チーク15において側方に型成形され又は形作られ、例えば、シート側チーク15において第2レッグL2の保持部11.1に対応する面取りの形態で形成される。
【0045】
図3は、本発明に係る突っ張り要素11を模式的に示す。当該突っ張り要素は、トーションばねとして有効であり、円形又は実質的に円形断面の実質的にL字形状の金属材料、例えばばね鋼から一体的に形成される。第1レッグL1は、第2レッグL2と比べて長さが増大している。
【0046】
保持部11.1は、第2レッグL2の端側に形成され、シート構造物の保持要素16(
図4に示す)に対応するように設計される。第1レッグL1のばね端は、当該ばね端の領域が第1レッグL1に対して平行又は実質的に平行に延びるように、端側がU字形状に曲げられて屈曲部分11.3において終端するので、第1レッグL1は、端側に丸み部分11.2を有する。その結果、有利なことに、大きな有効ばね長さが達成される。トーションばねのばね端の丸み部分11.2により、管状伝動要素5における突っ張り要素11の第1レッグL1の、特に単純な搭載が可能となる。第2レッグL2の保持部11.1は、シート側チーク15の保持要素16に保持される。保持要素16は、シート側チーク15の側方に配列され、シート側チーク15における第2レッグL2の保持部11.1に対応する面取り部として構成される。
【0047】
図4は、突っ張り要素11を備えたシート構造物の一部の斜視図を模式的に示す。突っ張り要素11は、伝動要素5の中の少なくとも複数の区画に配列される。シート構造物は、フレームワークに固定された少なくとも伝動要素5によって互いに結合された少なくとも2つのシート側チーク15を含む。ここで、従来型のシート調整要素は、伝動要素5の両側に配列される。シート表面のシートクッション(図示せず)は、シート側チーク15同士の間に保持される。
【0048】
取り付け対象の車両シートにおいて、第1レッグL1は、完全に又は実質的に完全に伝動要素5の中に配列される。ここで、トーションばねとして設計された突っ張り要素11の屈曲ばね端11.3は、形状嵌めによって伝動要素5の中に保持される。例えば、ばね端に対応するように設計された抜き部17を伝動要素5に配列することにより、第1レッグL1の屈曲ばね端11.3は、形状嵌めによって伝動要素5の抜き部17の中に固定される。ここで、伝動要素5とトーションばねの第1レッグL1とは、車両の横方向に配列される。
【0049】
図5は、突っ張り要素11を備えたシート構造物の一部の斜視図を模式的に示す。ここで、管状伝動要素5は、当該伝動要素5の中にあるトーションばねとして設計された突っ張り要素11の外形を可視とするべく、省略されている。
【0050】
取り付け対象の車両シートにおいて、第1レッグL1は、完全に又は実質的に完全に伝動要素5の中に配列される。ここで、ばね端は、形状嵌めによって伝動要素5の中に保持される。例えば、ばね端に対応するように設計された抜き部を伝動要素5に配列することにより、第1レッグL1のばね端は、形状嵌めによって抜き部の中に保持される。
【符号の説明】
【0051】
1 バックレスト調整器
2 シート
2.1 バックレスト
3 回転軸受
4 継手
5 伝動要素
6 継手上部
7 継手下部
8 ソケット
9 締め付け要素
10 溶接線
11 突っ張り要素
11.1 保持部
11.2 丸み部分
11.3 屈曲部分
12 支持軸受
13 エンボス構造物
14 ストッパ
15 シート側チーク
16 保持要素
17 抜き部
D 回転軸
L1 突っ張り要素の第1レッグ
L2 突っ張り要素の第2レッグ