(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記探索指示生成部は、出力する電力の基準電力に対する比率が、他の電力変換装置に比して所定程度以上低い電力変換装置に対して、動作ポイントの探索指示を生成し出力し、
前記基準電力は、前記電力変換装置ごとに、対応する前記発電装置の最大出力電力または定格電力に基づいて定められている、もしくは前記電力変換装置の最大出力電力または定格電力に基づいて定められている、
請求項5記載の電源システム。
前記電力変換装置は、前記探索指示生成部からの動作ポイントの探索指示に関わらず、動作ポイントを変動させて出力電力が増加する方向に動作ポイントを移動させる処理を行う、
請求項1または請求項5記載の電源システム。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の電源システムを、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の電源システム1の構成例を示す図である。電源システム1は、複数の発電装置10−1から10−8と、電力変換装置20−1および20−2とを備える。以下、発電装置10、および電力変換装置20において、区別しない場合はハイフン(−)以下の符号を省略して表記する。電力変換装置20−1および20−2は、系統電源90に接続される。なお、電源システム1は、3台以上の電力変換装置20を備えていてもよい。
【0009】
発電装置10は、例えば太陽光発電装置である。発電装置10は、電力変換装置20と電気的に接続されている。例えば発電装置10−1と10−2、および発電装置10−3と10−4は、それぞれ直列に接続される。直列に接続された発電装置10−1および10−2(ストリング)と、発電装置10−3および10−4とは、電力変換装置20−1に対して並列に接続される。発電装置10は、太陽光のエネルギーを、直流電力に変換し、電力変換装置20へ出力する。発電装置10は、太陽光発電装置の他、風力発電装置や、地熱発電装置など、出力電力が自然環境などに応じて変動する類の他の発電装置であってもよい。また、以下、発電装置10−1から10−4および電力変換装置20−1を発電ユニットU1といい、発電装置10−5から10−8および電力変換装置20−2を発電ユニットU2という。また、以下、発電ユニットU1と発電ユニットU2とを区別しない場合は、単に「発電ユニットU」という。発電装置10−1から10−4は、電力変換装置20−1に「対応する発電装置」の一例であり、発電装置10−5および10−8は、電力変換装置20−2に「対応する発電装置」の一例である。なお,それぞれ直列に接続された発電装置(ストリング)に対し,ダイオード(不図示)を直列接続してもよい。この場合、ダイオードは発電装置から電力変換装置へ出力(電流を許容)する方向に接続される。
【0010】
系統電源90は、例えば、電力会社により供給される交流電源である。系統電源には、交流電力を利用する負荷、或いは
図1に示すものとは異なる電力変換装置を介して蓄電池などが接続される。
【0011】
電力変換装置20は、例えば、発電装置10により発電された直流電力を交流電力に変換して系統電源90に出力する、PCS(Power Conditioning System)である。第1の実施形態では、電力変換装置20−1がマスター装置として、電力変換装置20−2がスレーブ装置として、それぞれ機能する。以下、マスター装置である電力変換装置20−1について説明する。
【0012】
図2は、電力変換装置20−1の機能構成を示す図である。電力変換装置20−1は、変換部30と、制御部40と、通信部60とを備える。
【0013】
変換部30は、例えば不図示のDC(Direct Current)−DCコンバータや、インバータ、駆動部等を有する。DC−DCコンバータは、発電装置10から入力された直流電力を、所望の電流および電圧の直流電力に変換する。インバータは、複数のスイッチング素子を備え、駆動部により出力されたゲート制御信号に基づいてスイッチング素子をオンオフ制御することで、DC−DCコンバータにより変換された直流電力を交流電力に変換する。駆動部は、PWM(Pulse Width Modulation)制御部、ゲート駆動部等を有する。PWM制御部は、制御部40から入力された信号に基づいて、スイッチング素子のオンオフ時間を演算する。PWM制御部は、演算したオンオフ時間に基づいてPWM信号を生成し、ゲート駆動部にPWM信号を出力する。ゲート駆動部は、PWM制御部によって生成されたPWM信号に基づいて各スイッチング素子をオンオフ動作させる。
【0014】
制御部40は、直流電流検出部42と、直流電圧検出部44と、中央制御部46と、探索指示生成部48と、ローカル探索指示生成部49と、動作ポイント探索部50と、記憶部52と、交流電流検出部54と、交流電圧検出部56とを備える。これらの機能部のうち、中央制御部46と、探索指示生成部48と、ローカル探索指示生成部49と、動作ポイント探索部50とは、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムを実行することで実現される。また、これらの機能部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0015】
記憶部52は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等で実現される。なお、スレーブである電力変換装置20−2は、
図2に示す構成から探索指示生成部48を省略した構成を有する。
【0016】
直流電流検出部42は、発電装置10により出力された直流電力の電流値を検出する。直流電圧検出部44は、発電装置10により出力された直流電力の電圧値を検出する。また、その他の検出情報、回路情報、制御情報を基に推定された、直流電圧値や直流電流値の推定値が中央制御部46の制御に用いられてもよい。検出情報とは、内部温度、外部温度、外部湿度、位置情報(GPS)などである。回路情報とは、電力変換装置20の直流から交流に変換するための主たる回路の情報のことであり、回路固有の電圧、電流の情報などである。制御情報とは、電力変換装置20の制御変数、たとえば電圧制御や電流制御に使用されるPI制御の積分器情報(Iが積分に相当)などである。
【0017】
交流電流検出部54は、変換部30により出力された交流電力の電流値を検出する。交流電圧検出部56は、変換部30により出力された交流電力の電圧値を検出する。また、その他の検出情報、回路情報、制御情報を基に推定された、交流電圧値や交流電流値の推定値が中央制御部46の制御に用いられてもよい。
【0018】
中央制御部46は、制御部40の各部を統合的に制御したり、変換部30の稼働状態(運転または停止)を制御したりする。また、中央制御部46は、交流電流検出部54により検出された電流値と、交流電圧検出部56により検出された電圧値とに基づき交流電力を算出する。この交流電力は、変換部30の出力電力に相当する。
【0019】
探索指示生成部48は、変換部30の出力電力を参照し、複数の変換部30のうち、出力する電力が他の変換部30に比して所定程度以上低い変換部30に対して、動作ポイントの探索指示を生成し出力する。より具体的には、探索指示生成部48は、複数の変換部30のうち、出力する電力の基準電力に対する比率が、他の変換部30に比して所定程度以上低い変換部30に対して、動作ポイントの探索指示を生成し出力する。基準電力とは、例えば、発電装置10の最大出力電力または定格出力電力であってもよいし、変換部30の最大出力電力または定格出力電力であってもよい。また、基準電力は、電力変換装置20に与えられた出力電力の制限値,または指令値であってもよい。
【0020】
ローカル探索指示生成部49は、探索指示生成部48の判定結果に基づいて生成される動作ポイントの探索指示に関わらず、動作ポイントを変動させて出力電力が増加する方向に動作ポイントを移動させる(探索する)処理を行う。発電装置10により出力される電力の電流および電圧の値は、日射量や温度により変化するため、ローカル探索指示生成部49は、設定された第1周期で、動作ポイントを変動させて出力電力が増加する方向に動作ポイントを移動させる処理を行う。
【0021】
動作ポイント探索部50は、探索指示生成部48により生成された探索指示、またはローカル探索指示生成部49により生成された探索指示に基づいて動作ポイントを探索する。動作ポイントは、例えば最大電力点追従制御(MPPT;Maximum Power Point Tracking)を行うためのポイントである。動作ポイント探索部50は、例えば、予め決定された範囲内で変換部30の出力する電流および電圧を変えながら、発電装置10、もしくは変換部30の出力する電力が最大となる動作ポイント(出力電流および出力電圧)を求める。なお、ローカル探索指示生成部49の指示による動作ポイントの探索処理は、探索指示生成部48の指示による動作ポイントの探索処理に比して、簡易なものであってもよい。例えば、局所的な最大値が求められると終了するものであってもよいし、探索範囲が狭いものであってもよい。
【0022】
記憶部52には、中央制御部46、探索指示生成部48、ローカル探索指示生成部49、または動作ポイント探索部50が実行するプログラムが記憶されている。また、記憶部52には、基準電力の情報が記憶されている。
【0023】
電力変換装置20−1の通信部60は、電力変換装置20−2の通信部60との間で無線通信を行う。通信部60間では、例えば小電力無線の920[MHz]帯域や、2.4[GHz]帯域を利用した通信が行われる。通信部60は、複数の電力変換装置20によりそれぞれ出力される電力に関する情報(発電情報)を取得する。なお、電力変換装置20間では、電力線(Power Line Communication)を用いた通信やLAN(Local Area Network)等のネットワークNWを介した通信が行われてもよい。この場合、電力変換装置20は、それぞれの通信態様に応じた通信インターフェースを備える。
【0024】
図3は、制御部40により実行される処理の流れを示すフローチャートである。本処理は、例えば予め設定された第2周期で繰り返し実行される。第2周期は、例えば、第1周期よりも長い周期である。
【0025】
まず、探索指示生成部48が、通信部60を介して他の電力変換装置20から、或いは中央制御部46から、一つの電力変換装置20を選択し、その出力電力を取得する(ステップS100)。次に、探索指示生成部48は、記憶部52から、その変換部30に対応する基準電力を取得する(ステップS102)。次に、探索指示生成部48は、ステップS100で取得した変換部30の出力電力を、ステップS102で取得した基準電力で除算して発電率を算出する(ステップS104)。なお、発電率は、出力電力および基準電力から算出されることに代えて、電力変換装置20から取得されてもよい。
【0026】
ここで基準電力の詳細について説明する。基準電力は、発電装置10の発電可能な電力が、変換部30により出力可能な電力に比して小さい場合と、発電装置10の発電可能な電力が、変換部30により出力可能な電力に比して大きい場合とで異なる。基準電力は、例えば発電装置10、または変換部30の出力特性に依存する、電力変換装置20の出力特性により決定される。
【0027】
発電ユニットUの発電装置10の定格出力電力が、変換部30の定格出力電力より小さい場合、基準電力は発電装置10の出力特性により決定される。
図4は、発電ユニットUの発電装置10の発電可能な電力が、変換部30により出力可能な電力に比して小さい場合の発電ユニットUの出力特性の一例を示す図である。この図は、一日の間の発電ユニットUが発電している時間帯の出力電力を示している。図示する例では、時刻ごとに所定の放射照度のエネルギーが発電ユニットUに与えられた場合を示している。縦軸は発電ユニットUの出力電力を示し、横軸は時刻を示している。この場合、基準電力は、例えば発電装置10の最大出力電力または定格出力電力により定められる。記憶部52には、発電装置10の基準電力を返すマップや関数、テーブルなどのデータが記憶されている。
【0028】
一方、発電ユニットUの発電装置10の定格出力電力が、変換部30の定格出力電力よりも大きい場合、基準電力は、変換部30に依存する電力変換装置20の出力特性により決定される。
図5は、発電ユニットUの発電装置10の出力可能な電力が、変換部30の出力可能な電力より大きい場合の発電ユニットUの出力特性を示す図である。この図は、一日の間の発電ユニットUが発電している時間帯の出力電力を示している。図示する例では、時刻ごとに所定の放射照度のエネルギーが発電ユニットUに与えられた場合を示している。縦軸は発電ユニットUの出力電力を示し、横軸は時刻を示している。基準電力は、例えば電力変換装置20の最大出力電力または定格出力電力により定められる。
【0029】
また、ステップS104で求められる発電率は、探索指示生成部48によって、発電ユニットUの出力電力を、基準電力(発電装置10の最大出力電力または定格出力電力)で除算することで算出される。探索指示生成部48は、例えば、記憶部52に記憶された情報を参照して発電装置10の基準電力を導出し、その時点における発電ユニットUの出力電力を基準電力で除算することで発電率を算出する。
【0030】
図6は、各発電ユニットUの出力特性に基づいて基準電力Prefが定められる様子を示す図である。この図では、各発電ユニットUが、
図4に示す出力特性を有していることを前提としている。縦軸は発電ユニットUの出力電力を示し、横軸は時刻を示している。この図は、一日の間の発電ユニットUの出力電力を示している。推移線L1は、発電ユニットU1の時刻に応じた出力電力の推移を示している。推移線L2は、発電ユニットU2の時刻に応じた出力電力の推移を示している。推移線L3は、発電ユニットU3の時刻に応じた出力電力の推移を示している。図中、発電ユニットU1からU3の最大出力電力を、それぞれPref(U1)、Pref(U2)、およびPref(U3)と表している。発電ユニットU1は、例えば東向きに設置されているため、午前中の発電量が大きい。発電ユニットU2は、例えば西向きに設置されているため、午後の発電量が大きい。発電ユニットU3は、例えば南向きに設置されており、且つ発電ユニットU1およびU2に比して最大出力電力が大きい。この場合、基準電力Pref(U1)は、一日の中で推移線L1が最大値を付ける時刻における出力電力に決定される。基準電力Pref(U2)は、一日の中で推移線L2が最大値を付ける時刻における出力電力に決定される。基準電力Pref(U3)は、一日の中で推移線L3が最大値を付ける時刻における出力電力に決定される。
【0031】
そして、発電率は、発電ユニットU毎に決定される基準電力Prefに基づいて決定される。
図7は、各電力変換装置20の出力特性が異なる場合の発電率算出手法の一例を示す図である。発電ユニットU1、U2およびU3のPref(U1)、Pref(U2)、およびPref(U3)は、それぞれ発電ユニットU1、U2、およびU3の基準電力を示している。探索指示生成部48は、例えば、基準電力Pref(U1)と、その時点における発電ユニットU1の出力電力P(U1)に基づいて、発電ユニットU1の発電率を決定する。探索指示生成部48は、例えば、基準電力Pref(U2)と、その時点における発電ユニットU2の出力電力P(U2)に基づいて、発電ユニットU2の発電率を決定する。探索指示生成部48は、例えば、基準電力Pref(U3)と、その時点における発電ユニットU3の出力電力P(U3)に基づいて、発電ユニットU3の発電率を決定する。
【0032】
次に、探索指示生成部48は、全ての発電ユニットU(例えばU1、U2およびU3)の発電率を取得したか否かを判定する(ステップS106)。全ての発電ユニットUの発電率を取得していない場合、ステップS100の処理に戻り、次の電力変換装置20を選択し、その出力電力を取得する。
【0033】
全ての発電ユニットUの発電率を取得した場合、探索指示生成部48は、発電ユニットU間の発電率を比較して、所定程度以上低い発電率の発電ユニットUが存在するか否かを判定する(ステップS108)。例えば、探索指示生成部48は、例えば発電率を算出した発電ユニットUの中で所定程度以上、発電率が低い発電ユニットUが存在するか否かを判定する。「所定程度以上、発電率が低い」とは、例えば、発電率をデータ集合とした場合に、代表値からの乖離がα標準偏差(σ)以上であることをいう。αは、1〜3程度の間で、任意に定めてもよい。また、探索指示生成部48は、スミルノフ・グラブス検定等の公知の手法を用いて、算出した発電率が外れ値であるか否かを判定してもよい。算出した発電率が外れ値であると判定した場合、探索指示生成部48は、算出した発電率は所定程度以上低い発電率であると判定する。なお、上述したように設置場所や方位により発電ユニットUごとに出力特性が異なる場合があるが、探索指示生成部48は、異常値を判定するための、乖離に対する閾値を、設置場所や方位に依存する出力特性の差に影響を受けない程度に設定する。
【0034】
また、探索指示生成部48は、例えば出力特性の傾向に応じて発電ユニットUをグループ化し、グループ化した発電ユニットUの中で所定程度以上、発電率が低い発電ユニットUが存在するか否かを判定してもよい。出力特性の傾向とは、午前中に多く発電するタイプ、午後に多く発電するタイプなどのように分類される傾向である。例えば、探索指示生成部48は、午前に最大の電力を出力する発電ユニットU、または、例えば午後に最大の電力を出力する発電ユニットUごとに発電ユニットUをグループ化する。探索指示生成部48は、出力特性の傾向に応じて発電ユニットUをグループ化することで時間的な出力特性の相違によって、誤検出が生じるのを抑制することができ、より正確に異常を検出することができる。
【0035】
所定程度以上低い発電率の発電ユニットUが存在しない場合、本フローチャートの処理は終了する。所定程度以上低い発電率の発電ユニットUが存在する場合、探索指示生成部48は、探索指示信号を生成する(ステップS110)。探索指示信号とは、動作ポイント探索部50に設定された範囲において動作ポイントを探索させることを指示する信号である。なお、詳細は後述する。次に、探索指示生成部48は、ステップS108で判定した所定程度以上低い発電率の発電ユニットUに、生成した探索指示信号を送信する(ステップS112)。これにより本フローチャートの処理は終了する。
【0036】
なお、基準電力は、その発電ユニットUの最大出力電力に限らず、発電ユニットUの定格出力電力としてもよい。また、基準電力は、例えば理想的な日照があった場合における時刻ごとの最大出力電力または定格出力電力としてもよい。この場合、基準電力は、時刻に応じて変動する値となる。
【0037】
図8は、電力変換装置20が探索指示信号を受信する場合に実行する処理の流れを示すフロー−チャートである。まず、中央制御部46が、探索指示信号を受信したか否かを判定する(ステップS150)。探索指示信号を受信していない場合、本フローチャートの1ルーチンは終了する。
【0038】
探索指示信号を受信した場合、動作ポイント探索部50が、設定された電圧範囲Vrにおいて動作ポイントを探索する(ステップS152)。
図9は、動作ポイント探索部50により実行される動作ポイントの探索について説明するための図である。縦軸は発電ユニットU(発電装置10)の出力電力を示し、横軸は発電装置10の出力電圧を示している。図示するように、出力電力が大きくなるポイントが複数出現する場合がある。これは太陽光の発電装置10内で直列に接続されているサブストリングに対する部分陰が影響する。サブストリングは、直列に接続された複数枚の太陽電池セルと、直列に接続された太陽電池セルに対して並列に接続された逆方向電流が流れるのを防止するバイパスダイオードを有する。サブストリングの一部に影がある場合、バイパスダイオードに電流が還流するため、出力電力が大きくなるポイントが複数出現する。この場合、電力変換装置20は、出力電圧が最大になるポイントPmaxより小さい出力電力となる動作ポイントPcを動作ポイントとして設定している場合がある。本実施形態の動作ポイント探索部50は、探索指示信号を受信すると、設定された電圧範囲Vrにおいて動作ポイントを探索する。この結果、動作ポイント探索部50は、出力電圧が最大になるポイントPmaxを導出することができる。
【0039】
次に、中央制御部46は、動作ポイント探索部50により探索された動作ポイントで発電装置10を作動させる(ステップS154)。これにより本フローチャートの1ルーチンは終了する。
【0040】
例えば、現在の動作ポイントが最大の電力を出力できる動作ポイントであるかを判定するために、所定時間間隔で動作ポイントを探索する場合、現在の動作ポイントが最大電力を出力できる動作ポイントにもかかわらず動作ポイントの探索が行われる場合がある。この場合、所定の電圧範囲に対して動作ポイントの探索を行うにはある所定の時間がかかる場合があるため、発電電力量が低下する場合があった。
【0041】
これに対して本実施形態の電力変換装置20−1は、発電率が所定程度以上低い発電ユニットUに対して探索指示信号を送信する。これにより、発電率が低い発電ユニットUの電力変換装置20が所定の電圧範囲に対して動作ポイントの探索を行うことで、最大電力を出力できる動作ポイントを探索することができる。この結果、電力変換装置20−1は、不要な動作ポイントの探索により発電電力が低下することを抑制させることができる。また、電力変換装置20−1は、より発電率の高い動作ポイントで発電装置10を稼働させることができる。
【0042】
なお、本実施形態では電力変換装置20−1がマスター装置として機能し、電力変換装置20−2がスレーブ装置として機能するものとしたが、電力変換装置20−1および電力変換装置20−2のそれぞれが、探索指示生成部48を備えたマスター装置として機能してもよい。この場合、電力変換装置20−1および電力変換装置20−2のそれぞれが、他の電力変換装置20の発電率と自装置の発電率とを比較し、自装置の発電率が低い場合に、自装置のローカル探索指示生成部49に動作ポイントを探索させる。
【0043】
以上説明した第1の実施形態の電源システム1によれば、探索指示生成部48が、通信部60、および交流電流検出部54と交流電圧検出部56により取得された電力変換装置20の出力電力を参照し、複数の電力変換装置20のうち、出力する電力が他の電力変換装置20に比して所定程度以上低い電力変換装置20に対して、動作ポイントの探索指示を生成し出力することにより、動作ポイントの探索タイミングを、より適切に決定することができる。
【0044】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。第2の実施形態では、監視装置100が、電力変換装置20の出力電力を参照し、複数の電力変換装置20のうち、出力する電力が他の電力変換装置20に比して所定程度以上低い電力変換装置20に対して、動作ポイントの探索指示を生成し出力する。
【0045】
図10は、第2の実施形態の電源システム1Aの構成例を示す図である。電源システム1Aは、発電装置10−1Aから10−4Aや電力変換装置20−1Aを含む発電ユニットU1A、発電装置10−5Aから10−8Aや電力変換装置20−1Aを含む発電ユニットU1Aの他、監視装置100を備える。
【0046】
監視装置100は、例えば、監視側通信部102と、ネットワーク通信部104と、監視側探索指示生成部106と、表示部108と、監視側記憶部110とを備える。監視側通信部102は、電力変換装置20の通信部60とLAN等のネットワークNWを介して通信する。ネット―ワーク通信部104は、外部のネットワークNWに接続可能な通信インターフェースである。
【0047】
監視側探索指示生成部106は、電力変換装置20から取得した出力電力を参照し、複数の電力変換装置20のうち、出力する電力が他の電力変換装置20に比して所定程度以上低い電力変換装置20に対して、動作ポイントの探索指示を生成し出力する。
【0048】
表示部108は、例えば複数のセグメントを有するLEDのデジタル表示部や、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)等の表示装置である。表示部108は、各電力変換装置20から取得した出力電力等を表示する。
【0049】
監視側記憶部110には、監視側探索指示生成部106が実行するプログラムが記憶されている。また、監視側記憶部110には、各電力変換装置20の基準電力の情報が記憶されている。
【0050】
本実施形態の電力変換装置20−1Aおよび20−2Aは、探索指示生成部48を備えていない点を除いては、第1の実施形態の電力変換装置20−1と同様の機能構成である。
【0051】
図11は、監視装置100が実行する処理の流れの変形例を示すフローチャートである。本処理では、設定時刻に到達した場合、且つ発電電力が閾値Th以上の場合に、発電率が低い発電ユニットUが存在するか否かを判定する。
【0052】
まず、監視側探索指示生成部106が、設定された時刻に到達したか否かを判定する(ステップS200)。設定された時刻に到達していない場合、本フローチャートの1ルーチンは終了する。設定された時刻に到達した場合、監視側探索指示生成部106は、参照発電電力が閾値Th以上であるか否かを判定する(ステップS202)。参照発電電力は、発電ユニットU1Aおよび発電ユニットU2Aの一方の発電電力でもよいし、双方の発電電力を合算した発電電力でもよい。
【0053】
図12は、設定された時刻および発電電力について説明するための図である。縦軸は電力を示し、横軸は時刻tを示している。図中、GPは発電電力を示し、Dは電力需要を示している。例えば日中の電力需要が低い時刻である11時から13時の間をステップS200の設定された時刻であるものとする。また、需要電力よりも高い電力を閾値Thとする。これにより電力変換装置20が、動作ポイントの探索を行う場合であっても、発電電力に余裕があるため、電力の供給を低下させることを抑制させることができる。
【0054】
参照発電電力が閾値Th未満である場合、本フローチャートの1ルーチンは終了する。一方、参照発電電力が閾値Th以上である場合、監視側探索指示生成部106は、監視側通信部102を介して他の電力変換装置20から、一つの電力変換装置20を選択し、その出力電力を取得する(ステップS204)。次に、監視側探索指示生成部106は、監視側記憶部110から、その電力変換装置20に対応する基準電力を取得する(ステップS206)。次に、監視側探索指示生成部106は、ステップS206で取得した電力変換装置20の出力電力を、ステップS206で取得した基準電力で除算して発電率を算出する(ステップS208)。次に、監視側探索指示生成部106は、全ての発電ユニットUの発電率を取得したか否かを判定する(ステップS210)。全ての発電ユニットUの発電率を取得していない場合、ステップS204の処理に戻り、次の電力変換装置20を選択し、その出力電力を取得する。
【0055】
全ての発電ユニットUの発電率を取得した場合、監視側探索指示生成部106は、発電ユニットU間の発電率を比較して、所定程度以上低い発電率の発電ユニットUが存在するか否かを判定する(ステップS212)。所定程度以上低い発電率の発電ユニットUが存在しない場合、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。所定程度以上低い発電率の発電ユニットUが存在する場合、監視側探索指示生成部106は、探索指示信号を生成する(ステップS214)。次に、監視側探索指示生成部106は、生成した探索指示信号を発電率の低い発電ユニットUの電力変換装置20に送信する(ステップS216)。これにより、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
【0056】
なお、本実施形態では、設定時刻に到達した場合、且つ参照発電電力が閾値Th以上の場合に、発電率が低い発電ユニットUが存在するか否かを判定したが、監視装置100は、設定時刻に到達した場合、または参照発電電力が閾値Th以上の場合に、設定された周期で発電率が低い発電ユニットUが存在する否かを判定してもよい。また、設定時刻に到達した場合、設定された電圧範囲Vrにおいて動作ポイントを探索させるための信号を電力変換装置20に送信し、設定時刻に到達していない場合、発電率が低い発電ユニットUが存在する否かを判定してもよい。
【0057】
以上説明した第2の実施形態の電源システム1Aによれば、監視装置100が、監視側通信部102により取得された電力変換装置20の出力電力を参照し、複数の電力変換装置20のうち、出力する電力が他の電力変換装置20に比して所定程度以上低い電力変換装置20に対して、動作ポイントの探索指示を生成し出力することにより、動作ポイントの探索タイミングを、より適切に決定することができる。
【0058】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。第3の実施形態では、電力変換装置20−1Bおよび20−2Bは、それぞれ複数の変換部30(不図示)を有する点が第1の実施形態と異なる。
【0059】
図13は、第3の実施形態の電源システム1Bの構成例を示す図である。第3の実施形態の電源システム1Bは、発電装置10−1Bから10−8Bと、電力変換装置20−1Bおよび20−2Bとを備える。発電装置10−1Bと10−2B、発電装置10−3Bと10−4B、発電装置10−5Bと10−6B、および発電装置10−7Bと10−8Bは、それぞれ直列に接続される。以下、直列に接続された2つの発電装置10(ストリング)を「発電装置群」という。
【0060】
電力変換装置20−1Bおよび20−2Bは、複数の変換部30を備える。変換部30は、発電装置群と1対1で接続される。例えば発電装置10−1Bと10−2Bの発電装置群により出力された直流電流は、電力変換装置20−1Bの変換部30の入力部In1に入力される。例えば発電装置10−3Bと10−4Bの発電装置群により出力された直流電流は、電力変換装置20−1Bの入力部In1に対応する変換部30とは異なる変換部30の入力部In2に入力される。電力変換装置20−1Bおよび20−2Bは、発電装置群単位で動作ポイントを探索する。電力変換装置20−1Bおよび20−2Bは、発電装置10の出力電力が最大となる動作ポイントに対する出力電圧が異なる発電装置群において、それぞれに応じた動作ポイントを探索することができる。この結果、電力変換装置20−1Bおよび20−2Bは、それぞれの発電装置群の動作ポイントの探索タイミングを、より適切に決定することができる。
【0061】
探索指示生成部48は、変換部30の出力電力を参照し、複数の変換部30のうち、出力する電力が他の変換部30に比して所定程度以上低い変換部30に対して、動作ポイントの探索指示を生成し出力する。基準電力は、発電装置群から直流電流が入力される各入力部に対する変換部30の定格出力電力である。
【0062】
以上説明した第3の実施形態の電力変換装置20によれば、発電装置10の出力が最大となる動作ポイントの電圧が異なる発電装置群において、それぞれに応じた動作ポイントを探索することができるため、動作ポイントの探索タイミングを、より適切に決定することができる。
【0063】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。第4の実施形態では、電力変換装置20は、ストリングごとに設けられ、ストリングに含まれる発電装置10から出力される直流電力を交流電力に変換するインバータ(いわゆるストリングインバータ)である点が第1の実施形態と異なる。
【0064】
図14は、第4の実施形態の電源システム1Cの構成例を示す図である。電源システム1Cは、発電装置10−1Cから10−4Cと、電力変換装置20−1Cおよび20−2Cとを備える。発電装置10−1Cおよび10−2Cは直列に接続され、発電装置10−1Cおよび10−2Cの出力端子は電力変換装置20−1Cに接続されている。発電装置10−3Cおよび10−4Cは直列に接続され、発電装置10−3Cおよび10−4Cの出力端子は電力変換装置20−2Cに接続されている。
【0065】
電力変換装置20−1Cおよび20−2Cの変換部30は、直流電力を交流電力に変換するストリングインバータである。ストリングインバータは、直列に接続された発電装置10−1Cおよび10−2C、または発電装置10−3Cおよび10−4Cごとに動作ポイントを探索し電力変換を行う。
【0066】
以上説明した第4の実施形態の電力変換装置20によれば、直列に接続された発電装置10ごとに動作ポイントを探索し電力変換を行うことができるため、発電装置10ごとに動作ポイントの探索タイミングを、より適切に決定することができる。
【0067】
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について説明する。ここでは、第4の実施形態との相違点を中心に説明し、第4の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。
図15は、第5の実施形態の電源システム1Dの構成例を示す図である。電源システム1Dは、発電装置10−1Dと、発電装置10−1Dに電気的に接続された電力変換装置20−1Dと、発電装置10−2Dと、発電装置10−2Dに電気的に接続された電力変換装置20−2Dとを備える。第5の実施形態の電力変換装置20―1Dおよび20−2Dは、それぞれ発電装置10とペアとなり、このペアがそれぞれ並列運転する。電力変換装置20−1Dおよび20−2Dは、発電装置10から出力される直流電力を交流電力に変換する、いわゆるマイクロインバータである。
【0068】
監視装置100Dの監視側探索指示生成部106は、電力変換装置20から取得した出力電力と、複数の電力変換装置20のうち、出力する電力が他の電力変換装置20に比して所定程度以上低い電力変換装置20に対して、動作ポイントの探索指示を生成し出力する。
【0069】
以上説明した第5の実施形態の電源システム1Dによれば、監視装置100Dが、設定値以上低い発電率の発電ユニットUが存在するか否かを判定するため、電力変換装置20の処理負荷を軽減させることができる。
【0070】
(第6の実施形態)
以下、第6の実施形態について説明する。ここでは、第2の実施形態との相違点を中心に説明し、第2の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。第6の実施形態では、発電制御装置120が発電装置10の動作ポイントを探索する。
【0071】
図16は、第6の実施形態の電源システム1Eの構成例を示す図である。電源システム1Eは、発電装置10−1Eと、発電装置10−1Eに電気的に接続された発電制御装置120−1と、発電装置10−2Eと、発電装置10−2Eに電気的に接続された発電制御装置120−2と、発電制御装置120−1および発電制御装置120−2に電気的に接続された電力変換装置20Eとを備える。また、電源システム1Eは、発電制御装置120−1および発電制御装置120−2と通信する監視装置100Eとを備える。以下、発電制御装置120−1および120−2を、区別しない場合は、発電制御装置120という。
【0072】
図17は、発電制御装置120の機能構成を示す図である。発電制御装置120は、制御側通信部122と、DC−DC変換部124と、発電制御部126とを備える。制御側通信部122は、例えば監視装置100の監視側通信部102と無線通信する。DC−DC変換部124は、発電制御部126の制御に基づいて、直流電力を所望の電流および電圧の直流電力に変換して発電装置10に出力する。発電制御部126は、DC−DC変換部124を制御して、動作ポイントを探索する。
【0073】
監視装置100Eの監視側探索指示生成部106は、監視側通信部102により取得された発電制御装置120の出力電力を参照し、複数の発電制御装置120のうち、出力する電力が他の発電制御装置120に比して所定程度以上低い発電制御装置120に対して、動作ポイントの探索指示を生成し出力することにより、動作ポイントの探索タイミングを、より適切に決定することができる。
【0074】
図18は、第6の実施形態の変形例の電源システム1Eの構成例を示す図である。図示するように、発電制御装置120は、電力変換装置20を介して監視装置100と情報を送受信してもよい。
【0075】
以上説明した第6の実施形態の電源システム1Eによれば、発電制御装置120が発電装置10を制御するため、電力変換装置20の構成をより簡易にすることができる。
【0076】
(第7の実施形態)
以下、第7の実施形態について説明する。ここでは、第2の実施形態との相違点を中心に説明し、第2の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。本実施形態では、監視装置100Fと、複数の電源システム1F−1から1F−n(不図示)とがネットワークNWに接続されている。以下、電源システム1−1から1−nまでを区別しない場合は、電源システム1Fという。
【0077】
図19は、第7の実施形態の電源システム1Fの構成例を示す図である。本実施形態では、電源システム1Fは、位置特定部130を備える。位置特定部130は、例えば複数の衛星、例えば複数のGPS(Global Positioning System)衛星から電波を受信する。位置特定部130は、受信した電波に基づいて、測位演算を行うことによって自装置の位置を特定する。また、位置特定部130は、ネットワークNWを介して自装置の位置情報を監視装置100Fに送信する。
【0078】
監視装置100の監視側探索指示生成部106は、取得した位置情報に基づいて、取得した位置情報付近に設置された制御対象とは異なる電源システム1Fに属する電力変換装置20の出力電力を、ネットワークNWを介して取得する。複数の電源システム1Fと、位置情報との対応関係は、例えば記憶部52に記憶されている。または、複数の電源システム1Fと、位置情報との対応関係は、監視側探索指示生成部106が、ネットワークNWに接続された上位装置から取得する。監視側探索指示生成部106は、例えばネットワークNWを介して、制御対象の電源システム1Fおよび制御対象とは異なる電源システム1Fの発電ユニットUの出力電力を取得する。監視側探索指示生成部106は、電源システム1Fから取得した出力電力と、発電ユニットUの発電装置10または電力変換装置20の基準電力とに基づいて発電率を算出する。監視側探索指示生成部106は、算出した発電率を比較して、所定程度以上低い発電率の低い発電ユニットUが存在するか否かを判定する。所定程度以上低い発電率の電源システム1Fが存在する場合、監視側探索指示生成部106は、所定程度以上低い発電率の発電ユニットUの電力変換装置20に対して動作ポイントの探索指示を生成し出力する。
【0079】
以上説明した第7の実施形態の電源システム1Fによれば、取得した位置情報に基づいて、制御対象の電源システム1F付近に設置された電源システム1Fの発電率と、制御対象の電源システム1Fの発電率とを比較して、所定程度以上低い発電率の発電ユニットUが存在すか否かを判定する。これにより、電源システム1Fは、動作ポイントの探索タイミングを、より適切に決定することができる。
【0080】
(第8の実施形態)
以下、第8の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。第1の実施形態では、全ての発電ユニットUの発電率を取得した場合に、探索指示生成部48が、発電ユニットU間の発電率を比較して、所定程度以上低い発電率の発電ユニットUが存在するか否かを判定するものとした。これに対して、第8の実施形態では、電源システム1において、発電装置10の最大出力電力または定格出力電力を基準電力とする電力変換装置20と、変換部30の最大出力電力または定格出力電力とする電力変換装置20とが混在している場合に、探索指示生成部48は、所定の条件を満たす(例えば変換部30の出力特性を基準電力としている発電ユニットUの中で発電率が100%の)発電ユニットUを除外して、発電ユニットU間の発電率を比較して、所定程度以上低い発電率の発電ユニットUが存在するか否かを判定する。
【0081】
本実施形態の電源システム1は、複数の発電ユニットUを備える。第5の実施形態で示したように発電ユニットUは、例えば、電力変換装置20と、発電装置10とがペアとなっている。また、複数の発電ユニットUのうち、少なくとも1以上の発電ユニットUに含まれる電力変換装置20の基準電力は、発電装置10の最大出力電力または定格出力電力であり、少なくとも1以上の発電ユニットUに含まれる電力変換装置20の基準電力は、変換部30の最大出力電力または定格出力電力である。また、本実施形態の記憶部52には、基準電力の情報として、それぞれの発電ユニットUに対する基準電力の種別が対応付けられて記憶されている。基準電力の種別とは、発電装置10の最大出力電力または定格出力電力を基準電力としているか、或いは変換部30の最大出力電力または定格出力電力を基準電力としているかを示す情報である。
【0082】
図20は、第8の実施形態の制御部40により実行される処理の流れを示すフローチャートである。本処理は、例えば予め設定された第2周期で繰り返し実行される。第2周期は、例えば、第1周期よりも長い周期である。
【0083】
まず、探索指示生成部48が、通信部60を介して他の電力変換装置20から、或いは中央制御部46から、一つの電力変換装置20を選択し、その出力電力を取得する(ステップS300)。次に、探索指示生成部48は、記憶部52から、その変換部30に対応する基準電力を取得する(ステップS302)。次に、探索指示生成部48は、記憶部52から、その変換部30に対応する基準電力の種別を取得する(ステップS304)。次に、探索指示生成部48は、ステップS300で取得した変換部30の出力電力を、ステップS302で取得した基準電力で除算して発電率を算出する(ステップS306)。
【0084】
次に、探索指示生成部48は、全ての発電ユニットUの発電率を取得したか否かを判定する(ステップS308)。全ての発電ユニットUの発電率を取得していない場合、ステップS300の処理に戻り、次の電力変換装置20を選択し、その出力電力を取得する。
【0085】
全ての発電ユニットUの発電率を取得した場合、探索指示生成部48は、変換部30の最大出力電力または定格出力電力(出力特性)を基準電力としている発電ユニットUの中で、発電率が100%の発電ユニットUを除外する(ステップS310)。これにより、発電率が100%の発電ユニットUは、監視の対象外となる。なお、本処理において「発電率が100%の発電ユニットU」に代えて、例えば「発電率が99.5%以上の発電ユニットU」としてもよいし、「発電率が所定以上の発電ユニットU」としてもよい。次に、探索指示生成部48は、ステップS310で除外していない発電ユニットU間の発電率を比較して、所定程度以上低い発電率の発電ユニットUが存在するか否かを判定する(ステップS312)。
【0086】
所定程度以上低い発電率の発電ユニットUが存在しない場合、本フローチャートの処理は終了する。所定程度以上低い発電率の発電ユニットUが存在する場合、探索指示生成部48は、探索指示信号を生成する(ステップS314)。次に、探索指示生成部48は、ステップS312で判定した所定程度以上低い発電率の発電ユニットUに、生成した探索指示信号を送信する(ステップS316)。これにより本フローチャートの処理は終了する。
【0087】
図21は、除外される発電ユニットUについて説明するための図である。図中、縦軸は発電率[%]を示し、横軸は時間[t]を示している。推移線L4は、発電ユニットUの発電装置10の発電可能な電力が、変換部30により出力可能な電力に比して小さい場合の発電ユニットUの出力特性を示している。この場合、基準電力は、例えば発電装置10の最大出力電力または定格出力電力により定められる。推移線L5は、発電ユニットUの発電装置10の出力可能な電力が、変換部30の出力可能な電力より大きい場合の発電ユニットUの出力特性を示している。この場合、基準電力は、例えば電力変換装置20の最大出力電力または定格出力電力により定められる。
【0088】
図示するように、時間Dの間において、推移線L5の発電率は100%である。この期間において、推移線L5に対応する発電ユニットUは、監視の対象から除外される。推移線L5に対応する発電ユニットUに含まれる発電装置10に出力されている電力と、電力変換装置20の変換部30により変換される電力とが乖離している場合があり、推移線L5に対応する発電ユニットUの発電率が低いか否かを精度よく判定することができないためである。また、以下に説明するように、他の発電ユニットUと比較する対象から除外するためである。
【0089】
ここで、発電装置10の出力可能な電力が、変換部30の出力可能な電力より大きい発電ユニットUであり、且つ発電率が100%である発電ユニットUを除外する処理(上述したステップS310の処理)を省略する場合を考える。この場合、基準電力は、変換部30の最大出力電力または定格出力電力であるため、実際に発電装置10により出力されている電力は、基準電力に比して大きいことがある。このように発電装置10により出力されている電力と、変換部30により出力されている電力とに乖離が生じている発電ユニットUを、他の発電ユニットUの比較の対象にすると、発電率の低い発電ユニットUが存在するか否かを精度よく判定することができない場合がある。
【0090】
これに対して、本実施形態では、発電率が100%の発電ユニットUを除外することによって、発電装置10により出力されている電力と、変換部30により出力されている電力とに乖離が生じていない発電ユニットUを、他の発電ユニットUの比較の対象としている。これにより、電源システム1は、発電率の低い発電ユニットUが存在するか否かを精度よく判定することができる。
【0091】
より具体的には、探索指示生成部48は、例えば、すべての発電率から代表値を導出し、その代表値と、対象の発電ユニットUの発電率とを比較して、発電ユニットUの異常を判定する場合、発電率が100%の発電ユニットUを除外しないと、代表値は、実際に発電装置10により出力された発電率を加味した場合と異なる場合がある。本実施形態では、実際に発電装置10により出力されている電力から導出された発電率のみを加味しているため、より精度よく発電率の低い発電ユニットUが存在するか否かを判定することができる。
【0092】
なお、基準電力が発電装置10の最大出力電力または定格出力電力である場合、発電装置10は、最大出力電力または定格出力電力を超えた電力を出力することがある。この場合、他の発電ユニットUの発電装置10も同じ環境(照度や温度等)において発電している。そして、電力変換装置20の変換部30の最大出力電力または定格出力電力が、発電装置10により出力された電力より大きければ、発電装置10により出力された電力を制限せずに出力する。このため、電源システム1は、発電率が100%または100%以上の発電ユニットUを除外せずに、精度よく発電率の低い発電ユニットUが存在するか否かを判定することができる。
【0093】
以上説明した第8の実施形態によれば、探索指示生成部48は、所定の条件を満たす発電ユニットUを除外して、所定程度以上低い発電率の発電ユニットUが存在するか否かを判定することにより、より精度よく発電率の低い発電ユニットが存在するか否かを判定することができる。
【0094】
なお、上述した第1の実施形態から第8の実施形態において説明した機能構成は、任意に組み合わされてもよい。例えば、電源システム1は、電力変換装置20−1A、20−1B(各種セントラルインバータ)や、電力変換装置20−1C(ストリングインバータ)、電力変換装置20−1D(マイクロインバータ)、発電制御装置120(パワーオプティマイザー等)のうち、異なる電力変化装置が組み合わされて用いられてもよい。
【0095】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、発電装置(10)により発電された電力を他の態様の電力に変換する複数の電力変換装置(20、30、120)と、複数の電力変換装置によりそれぞれ出力される電力に関する情報を取得する取得部(60)と、取得部により取得された情報を参照し、複数の電力変換装置のうち、出力する電力の基準電力に対する比率が、他の電力変換装置に比して所定程度以上低い電力変換装置に対して、動作ポイントの探索指示を生成し出力する探索指示生成部とを持ち、基準電力は、電力変換装置ごとに、対応する発電装置の最大出力電力または定格電力に基づいて定められていることにより、動作ポイントの探索タイミングを、より適切に決定することができる。基準電力は定格電力もしくは最大出力電力とされているが,別の指標をベースとしてもよい。たとえば,NOCT(公称動作セル温度)条件における電力でもよい。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。