特許第6227190号(P6227190)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227190
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】熱膨張性微小球及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/00 20060101AFI20171030BHJP
   B01J 13/18 20060101ALI20171030BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   C09K3/00 111B
   B01J13/18
   C08F2/44 B
【請求項の数】12
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-503417(P2017-503417)
(86)(22)【出願日】2016年2月19日
(86)【国際出願番号】JP2016054819
(87)【国際公開番号】WO2016140080
(87)【国際公開日】20160909
【審査請求日】2017年4月25日
(31)【優先権主張番号】特願2015-43252(P2015-43252)
(32)【優先日】2015年3月5日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000188951
【氏名又は名称】松本油脂製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川南 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 良貢
【審査官】 菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−068890(JP,A)
【文献】 特開2012−137179(JP,A)
【文献】 特開2014−019750(JP,A)
【文献】 特開2011−016884(JP,A)
【文献】 特開2010−265421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/00
B01J 13/18
C08F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包される内包物とから構成される熱膨張性微小球であって、
前記内包物が、加熱することによって気化し、かつ下記式(I)で定義される膨潤度が3.0%以下となる発泡剤と、下記式(I)で定義される膨潤度が5〜30%となる成分(A)とを含み、
前記成分(A)の割合が、前記発泡剤100重量部に対して0.0001〜30重量部である、
熱膨張性微小球。
膨潤度(%)={(M−M)/M}×100 (I)
:熱膨張性微小球を構成する外殻と同じ熱可塑性樹脂からなる試験片(1)の重量(g)
:発泡剤又は成分(A)に試験片(1)を40℃環境下で24時間浸漬し、発泡剤又は成分(A)から当該試験片を取り出して25℃環境下で24時間放置したときの試験片(2)の重量(g)
【請求項2】
前記成分(A)のSP値が8〜15である、請求項1に記載の熱膨張性微小球。
【請求項3】
前記成分(A)が、アルキル基置換芳香族化合物及びエステル系化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の熱膨張性微小球。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂が、ニトリル系単量体を含む重合性成分を重合して得られる、請求項1〜3のいずれかに記載の熱膨張性微小球。
【請求項5】
前記熱膨張性微小球の最大膨張温度が80〜200℃である、請求項1〜4のいずれかに記載の熱膨張性微小球。
【請求項6】
前記熱膨張性微小球の膨張開始温度が50〜150℃である、請求項1〜5のいずれかに記載の熱膨張性微小球。
【請求項7】
前記熱膨張性微小球の最大膨張温度をT(℃)とし、前記熱膨張性微小球の内包物から成分(A)を除く以外は同じものから構成される熱膨張性微小球の最大膨張温度をT(℃)としたとき、下記数式(II)の関係を満たす、請求項1〜6のいずれかに記載の熱膨張性微小球。
−T>3 (II)
【請求項8】
熱可塑性樹脂からなる外殻とそれに内包される内包物とから構成される熱膨張性微小球の製造方法であって、
前記内包物及び重合性成分を含む油性混合物を水性分散媒中に分散させ、前記重合性成分を重合させる工程を含み、
前記内包物が、加熱することによって気化し、かつ下記式(I)で定義される膨潤度が3.0%以下となる発泡剤と、下記式(I)で定義される膨潤度が5〜30%となる成分(A)とを含み、
前記成分(A)の割合が、前記発泡剤100重量部に対して0.0001〜30重量部である、
熱膨張性微小球の製造方法。
膨潤度(%)={(M−M)/M}×100 (I)
:熱膨張性微小球を構成する外殻と同じ熱可塑性樹脂からなる試験片(1)の重量(g)
:発泡剤又は成分(A)に試験片(1)を40℃環境下で24時間浸漬し、発泡剤又は成分(A)から当該試験片を取り出して25℃環境下で24時間放置したときの試験片(2)の重量(g)
【請求項9】
熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包される内包物とから構成される熱膨張性微小球の膨張温度の低温化方法であって、
前記内包物及び重合性成分を含む油性混合物を水性分散媒中に分散させ、前記重合性成分を重合させる工程を含み、
前記内包物が、加熱することによって気化し、かつ下記式(I)で定義される膨潤度が3.0%以下となる発泡剤と、下記式(I)で定義される膨潤度が5〜30%となる成分(A)とを含み、
前記成分(A)の割合が、前記発泡剤100重量部に対して0.0001〜30重量部である、
熱膨張性微小球の膨張温度の低温化方法。
膨潤度(%)={(M−M)/M}×100 (I)
:熱膨張性微小球を構成する外殻と同じ熱可塑性樹脂からなる試験片(1)の重量(g)
:発泡剤又は成分(A)に試験片(1)を40℃環境下で24時間浸漬し、発泡剤又は成分(A)から当該試験片を取り出して25℃環境下で24時間放置したときの試験片(2)の重量(g)
【請求項10】
請求項1〜7のいずれかに記載の熱膨張性微小球の膨張体である、中空微粒子。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれかに記載の熱膨張性微小球及び請求項10に記載の中空微粒子から選ばれる少なくとも1種の粒状物と、基材成分とを含む、組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の組成物を成形してなる、成形物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱膨張性微小球及びその用途に関する。詳細には、熱膨張性微小球、熱膨張性微小球の製造方法、該熱膨張性微小球の膨張体である中空微粒子、該熱膨張性微小球及び該中空微粒子から選ばれる少なくとも1種の粒状物と基材成分とを含む組成物、該組成物を成形してなる成形物、熱膨張性微小球の膨張温度の低温化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂を外殻とし、その内部に熱可塑性樹脂の軟化点以下の温度でガス状になる発泡剤が内包された構造を有する熱膨張性微小球は、一般に熱膨張性マイクロカプセルと呼ばれている。熱可塑性樹脂としては、通常、塩化ビニリデン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、アクリル系共重合体等が用いられている。また、発泡剤としてはイソブタンやイソペンタン等の炭化水素が主に使用されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
熱膨張性マイクロカプセルの膨張温度の制御は、通常、外殻の熱可塑性樹脂を構成する重合性単量体の種類や比率、または内包される発泡剤の種類や比率を変更することで可能である。すなわち、ホモポリマーのTgが低い重合性単量体又は沸点の低い発泡剤を使用することで、より低い温度で膨張させることができ、一方、ホモポリマーのTgが高い重合性単量体又は沸点の高い発泡剤を使用することで、より高い温度で膨張させることができる。しかしながら、重合性単量体の種類や比率及び/又は発泡剤の種類や比率を変更すると、その都度反応条件の調整を行う必要があり、煩雑な作業を必要とする。そのため、簡便な手段により、膨張開始温度や最大膨張温度等の膨張温度を制御する方法が望まれている。
また、熱膨張性マイクロカプセルは、発泡インキ、自動車アンダーコート、樹脂、塗料の軽量化剤等に幅広く利用されているが、近年の省エネルギー化に伴い、低温での加工が必要となっており、より低温で膨張する熱膨張性マイクロカプセルの開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3615972号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、重合性単量体の種類や比率及び/又は発泡剤の種類や比率を変更せずに、簡便な手段により膨張温度を低温化させることのできる熱膨張性微小球及びその用途を提供することである。又、低温膨張領域において、より低温で膨張させることのできる熱膨張性微小球及びその用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、発泡剤とともに、外殻の熱可塑性樹脂に対して特定の関係を有する成分(A)を発泡剤に対して特定量内包させることで、重合性単量体の種類や比率及び/又は発泡剤の種類や比率を変更せずに膨張温度を低温化できることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包される内包物とから構成される熱膨張性微小球であって、前記内包物が、加熱することによって気化し、かつ下記式(I)で定義される膨潤度が3.0%以下となる発泡剤と、下記式(I)で定義される膨潤度が5〜30%となる成分(A)とを含み、前記成分(A)の割合が、前記発泡剤100重量部に対して0.0001〜30重量部である。
膨潤度(%)={(M−M)/M}×100 (I)
:熱膨張性微小球を構成する外殻と同じ熱可塑性樹脂からなる試験片(1)の重量(g)
:発泡剤又は成分(A)に試験片(1)を40℃環境下で24時間浸漬し、発泡剤又は成分(A)から当該試験片を取り出して25℃環境下で24時間放置したときの試験片(2)の重量(g)
【0008】
本発明の熱膨張性微小球は、次の1)〜6)から選ばれる少なくとも1つをさらに満足すると好ましい。
1)前記成分(A)のSP値は8〜15であること。
2)前記成分(A)が、アルキル基置換芳香族化合物及びエステル系化合物から選ばれる少なくとも1種である。
3)前記熱可塑性樹脂が、ニトリル系単量体を含む重合性成分を重合して得られる。
4)前記熱膨張性微小球の膨張開始温度が50〜150℃である。
5)前記熱膨張性微小球の最大膨張温度が80〜200℃である。
6)前記熱膨張性微小球の最大膨張温度をT(℃)とし、前記熱膨張性微小球の内包物から成分(A)を除く以外は同じものから構成される熱膨張性微小球の最大膨張温度をT(℃)としたとき、下記数式(II)の関係を満たす。
−T>3 (II)
【0009】
本発明の製造方法は、熱可塑性樹脂からなる外殻とそれに内包される内包物とから構成される熱膨張性微小球の製造方法であって、前記内包物及び重合性成分を含む油性混合物を水性分散媒中に分散させ、前記重合性成分を重合させる工程を含み、前記内包物が、加熱することによって気化し、かつ下記式(I)で定義される膨潤度が3.0%以下となる発泡剤と、下記式(I)で定義される膨潤度が5〜30%となる成分(A)とを含み、前記成分(A)の割合が、前記発泡剤100重量部に対して0.0001〜30重量部である。
膨潤度(%)={(M−M)/M}×100 (I)
:熱膨張性微小球を構成する外殻と同じ熱可塑性樹脂からなる試験片(1)の重量(g)
:発泡剤又は成分(A)に試験片(1)を40℃環境下で24時間浸漬し、発泡剤又は成分(A)から当該試験片を取り出して25℃環境下で24時間放置したときの試験片(2)の重量(g)
【0010】
本発明の低温化方法は、熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包される内包物とから構成される熱膨張性微小球の膨張温度の低温化方法であって、前記内包物及び重合性成分を含む油性混合物を水性分散媒中に分散させ、前記重合性成分を重合させる工程を含み、
前記内包物が、加熱することによって気化し、かつ下記式(I)で定義される膨潤度が3.0%以下となる発泡剤と、下記式(I)で定義される膨潤度が5〜30%となる成分(A)とを含み、前記成分(A)の割合が、前記発泡剤100重量部に対して0.0001〜30重量部である。
膨潤度(%)={(M−M)/M}×100 (I)
:熱膨張性微小球を構成する外殻と同じ熱可塑性樹脂からなる試験片(1)の重量(g)
:発泡剤又は成分(A)に試験片(1)を40℃環境下で24時間浸漬し、発泡剤又は成分(A)から当該試験片を取り出して25℃環境下で24時間放置したときの試験片(2)の重量(g)
【0011】
本発明の中空微粒子は、上記の熱膨張性微小球の膨張体である。
【0012】
本発明の組成物は、上記の熱膨張性微小球及び上記の中空微粒子から選ばれる少なくとも1種の粒状物と、基材成分とを含むものである。
【0013】
本発明の成形物は、上記の組成物を成形してなるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の熱膨張性微小球は、重合性単量体の種類や比率及び/又は発泡剤の種類や比率を変更せずに、膨張温度を低温化させることができる。又、低温膨張領域において、より低温で膨張させることができる。
本発明の中空微粒子、組成物及び成形物は、より低温膨張領域での利用が可能となる。
本発明の熱膨張性微小球の発泡開始温度の低温化方法によれば、重合性単量体の種類や比率及び/又は発泡剤の種類や比率を変更せずに、膨張温度を低温化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】熱膨張性微小球の一例を示す概略図である。
図2】中空粒子の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔熱膨張性微小球〕
本発明の熱膨張性微小球は、図1に示すように、熱可塑性樹脂からなる外殻(シェル)11と、それに内包される内包物(コア)12とから構成される熱膨張性微小球である。この熱膨張性微小球はコア−シェル構造をとっており、熱膨張性微小球は微小球全体として熱膨張性(微小球全体が加熱により膨らむ性質)を示す。
【0017】
内包物は、加熱することによって気化し、かつ下記式(I)で定義される膨潤度が5%未満となる発泡剤と、下記式(I)で定義される膨潤度が5〜30%となる成分(A)とを含むものである。また、成分(A)の割合は、発泡剤100重量部に対して0.0001〜30重量部である。
膨潤度(%)={(M−M)/M}×100 (I)
:熱膨張性微小球を構成する外殻と同じ熱可塑性樹脂からなる試験片(1)の重量(g)
:発泡剤又は成分(A)に試験片(1)を40℃環境下で24時間浸漬し、発泡剤又は成分(A)から当該試験片を取り出して25℃環境下で24時間放置したときの試験片(2)の重量(g)
つまり、ここでいう膨潤度とは、発泡剤や成分(A)等、内包物を構成する各成分に対する熱可塑性樹脂の膨潤度をいう。従って、「式(I)で定義される膨潤度が5%未満となる発泡剤」の場合、Mでは発泡剤を用いる。「式(I)で定義される膨潤度が5〜30%となる成分(A)」の場合、Mでは成分(A)を用いる。試験片(1)は、熱膨張性微小球の外殻を構成する熱可塑性樹脂と同じ重合性成分を重合し、幅3cm、長さ5cm、厚み2mmに成形したものを用いる。
【0018】
このように、熱可塑性樹脂に対する膨潤度が特定の関係にある成分(A)を発泡剤と併用し、さらに成分(A)を発泡剤に対して特定の割合で用いることにより、熱可塑性樹脂が可塑化され、より低温で軟化するようになるため、重合性単量体の種類や比率及び/又は発泡剤の種類や比率を変更せずに、膨張温度を簡便に低温化させることができる。又、低温膨張領域において、より低温で膨張させることができる。
【0019】
発泡剤は、加熱することによって気化する成分であり、かつ上記膨潤度が5%未満となるものを用いる必要がある。当該膨潤度が5%以上となる場合、外殻の熱可塑性樹脂の可塑化への寄与が大きくなり、熱膨張性微小球の膨張性が損なわれることがある。当該膨潤度は、好ましくは4.5%以下、より好ましくは4.0%以下、さらに好ましくは3.5%以下、特に好ましくは3.0%以下である。
発泡剤の沸点は、熱可塑性樹脂の軟化点以下であれば、特に限定はないが、好ましくは−30〜100℃、より好ましくは−25〜90℃、さらに好ましくは−20〜80℃、特に好ましくは−15〜70℃である。当該沸点が100℃超の場合、本願の低温化の効果が十分に得られないことがある。
発泡剤のSP値は、好ましくは5以上8未満であり、より好ましくは5.5〜7.9、さらに好ましくは6〜7.8、特に好ましくは6〜7.7である。
【0020】
このような発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン等の直鎖状炭化水素;イソブタン、イソペンタン、イソヘキサン、イソヘプタン、イソオクタン、イソノナン、イソデカン、イソドデカン、3−メチルウンデカン、イソトリデカン、4−メチルドデカン、イソテトラデカン、イソペンタデカン、イソヘキサデカン、2,2,4,4,6,8,8−ヘプタメチルノナン、イソヘプタデカン、イソオクタデカン等の分岐状炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロドデカン等の脂環状炭化水素;石油エーテル;それらのハロゲン化物;ハイドロフルオロエーテル等の含弗素化合物;テトラアルキルシラン;加熱により熱分解してガスを生成する化合物等が挙げられる。発泡剤は、直鎖状、分岐状、脂環状のいずれでもよいが、脂肪族であるものが好ましい。これらの発泡剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
【0021】
これらの中でも、本発明の効果をより発揮させる点から、発泡剤は、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンの直鎖状炭化水素;イソブタン、イソペンタン、イソヘキサン、イソヘプタン、イソオクタンの分岐状炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンの脂環状炭化水素;石油エーテル;それらのハロゲン化物;ハイドロフルオロエーテル等の含弗素化合物;テトラアルキルシランが好ましい。
【0022】
成分(A)は、上記膨潤度が5〜30%となるものである。当該膨潤度は、好ましくは5〜25%、より好ましくは5〜20%、さらに好ましくは5〜15%、特に好ましくは7〜15%である。当該膨潤度が5%未満の場合、低温化の効果が十分に得られないことがある。一方当該膨潤度が30%超の場合、外殻の熱可塑性樹脂の可塑化が顕著になり、膨張性が損なわれることがある。
成分(A)の沸点は、好ましくは100℃超、より好ましくは103℃以上、さらに好ましくは105℃以上、特に好ましくは110℃以上である。当該沸点が100℃未満の場合、発泡剤としての寄与が大きくなり、低温化の効果が十分に得られないことがある。成分(A)の沸点の上限値は500℃である。
【0023】
成分(A)のSP値は、好ましくは8〜14であり、より好ましくは8〜13、さらに好ましくは8〜12、特に好ましくは8.5〜11である。当該SP値が範囲外であると、本願の膨張温度の低温化の効果が十分に得られないことがある。
なお、SP値(溶解度パラメーター又は溶解性パラメーター)は、「溶解性パラメーター適用事例集、情報機構(2007)、p14」に記載されたFedorsによる各種原子団及び官能基ごとのモル蒸発エネルギーとモル分子容から次式で表される。
【0024】
【数1】
【0025】
成分(A)としては、例えば、アルキル基置換芳香族化合物、エステル系化合物等が挙げられる。成分(A)は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。また成分(A)の添加方法としては、原料の1種として添加してもよく、原料中の混合物又は不純物として含まれていてもよい。
【0026】
アルキル基置換芳香族化合物としては、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等が挙げられる。キシレンとしては、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンが挙げられる。
エステル系化合物としては、安息香酸エステル類、フタル酸エステル類、アジピン酸エステル類、フマル酸エステル類、マレイン酸エステル類、オレイン酸エステル類、セバシン酸エステル類、アゼライン酸エステル類、コハク酸エステル類、リン酸エステル類、クエン酸エステル類、トリメリット酸エステル類、ポリエステル等が挙げられる。
【0027】
安息香酸エステル類としては、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸イソプロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソブチル、安息香酸ペンチル、安息香酸イソペンチル、安息香酸ヘキシル、安息香酸イソヘキシル、安息香酸ヘプチル、安息香酸イソヘプチル、安息香酸オクチル、安息香酸イソオクチル、安息香酸ノニル、安息香酸イソノニル、安息香酸デシル、安息香酸イソデシル、安息香酸ウンデシル、安息香酸ドデシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル等が挙げられる。
【0028】
フタル酸エステル類としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジイソペンチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジイソヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジイソヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジドデシル、フタル酸ジフェニル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ベンジルオクチル、フタル酸ビス(2−ブトキシエチル)、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジプロピル、イソフタル酸ジイソプロピル、イソフタル酸ジブチル、イソフタル酸ジイソブチル、イソフタル酸ジペンチル、イソフタル酸ジイソペンチル、イソフタル酸ジヘキシル、イソフタル酸ジイソヘキシル、イソフタル酸ジヘプチル、イソフタル酸ジイソヘプチル、イソフタル酸ジオクチル、イソフタル酸ジイソオクチル、イソフタル酸ジ2−エチルヘキシル、イソフタル酸ジノニル、イソフタル酸ジイソノニル、イソフタル酸ジデシル、イソフタル酸ジイソデシル、イソフタル酸ジウンデシル、イソフタル酸ジドデシル、イソフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジプロピル、テレフタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジブチル、テレフタル酸ジイソブチル、テレフタル酸ジペンチル、テレフタル酸ジイソペンチル、テレフタル酸ジヘキシル、テレフタル酸ジイソヘキシル、テレフタル酸ジヘプチル、テレフタル酸ジイソヘプチル、テレフタル酸ジオクチル、テレフタル酸ジイソオクチル、テレフタル酸ジ2−エチルヘキシル、テレフタル酸ジノニル、テレフタル酸ジイソノニル、テレフタル酸ジデシル、テレフタル酸ジイソデシル、テレフタル酸ジウンデシル、テレフタル酸ジドデシル、テレフタル酸ジフェニル、テレフタル酸ジベンジル等が挙げられる。
【0029】
アジピン酸エステル類としては、例えば、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジペンチル、アジピン酸ジイソペンチル、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジイソヘキシル、アジピン酸ジヘプチル、アジピン酸ジイソヘプチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソオクチル、アジピン酸ジノニル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジフェニル、アジピン酸ジベンジル等が挙げられる。
【0030】
フマル酸エステル類としては、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジイソブチル、フマル酸ジペンチル、フマル酸ジイソペンチル、フマル酸ジヘキシル、フマル酸ジイソヘキシル、フマル酸ジヘプチル、フマル酸ジイソヘプチル、フマル酸ジオクチル、フマル酸ジイソオクチル、フマル酸ジノニル、フマル酸ジイソノニル、フマル酸ジデシル、フマル酸ジイソデシル、フマル酸ジフェニル、フマル酸ジベンジル等が挙げられる。
【0031】
マレイン酸エステル類としては、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジイソプロピル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジイソブチル、マレイン酸ジペンチル、マレイン酸ジイソペンチル、マレイン酸ジヘキシル、マレイン酸ジイソヘキシル、マレイン酸ジヘプチル、マレイン酸ジイソヘプチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ジイソオクチル、マレイン酸ジノニル、マレイン酸ジイソノニル、マレイン酸ジデシル、マレイン酸ジイソデシル、マレイン酸ジフェニル、マレイン酸ジベンジル等が挙げられる。
【0032】
オレイン酸エステル類としては、例えば、オレイン酸ジメチル、オレイン酸ジエチル、オレイン酸ジプロピル、オレイン酸ジイソプロピル、オレイン酸ジブチル、オレイン酸ジイソブチル、オレイン酸ジペンチル、オレイン酸ジイソペンチル、オレイン酸ジヘキシル、オレイン酸ジイソヘキシル、オレイン酸ジヘプチル、オレイン酸ジイソヘプチル、オレイン酸ジオクチル、オレイン酸ジイソオクチル、オレイン酸ジノニル、オレイン酸ジイソノニル、オレイン酸ジデシル、オレイン酸ジイソデシル、オレイン酸ジフェニル、オレイン酸ジベンジル等が挙げられる。
【0033】
セバシン酸エステル類としては、例えば、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジイソブチル、セバシン酸ジペンチル、セバシン酸ジイソペンチル、セバシン酸ジヘキシル、セバシン酸ジイソヘキシル、セバシン酸ジヘプチル、セバシン酸ジイソヘプチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジイソオクチル、セバシン酸ジノニル、セバシン酸ジイソノニル、セバシン酸ジデシル、セバシン酸ジイソデシル、セバシン酸ジフェニル、セバシン酸ジベンジル等が挙げられる。
【0034】
アゼライン酸エステル類としては、例えば、アゼライン酸ジメチル、アゼライン酸ジエチル、アゼライン酸ジプロピル、アゼライン酸ジイソプロピル、アゼライン酸ジブチル、アゼライン酸ジイソブチル、アゼライン酸ジペンチル、アゼライン酸ジイソペンチル、アゼライン酸ジヘキシル、アゼライン酸ジイソヘキシル、アゼライン酸ジヘプチル、アゼライン酸ジイソヘプチル、アゼライン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジノニル、アゼライン酸ジイソノニル、アゼライン酸ジデシル、アゼライン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジフェニル、アゼライン酸ジベンジル等が挙げられる。
【0035】
コハク酸エステル類としては、例えば、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、コハク酸ジイソプロピル、コハク酸ジブチル、コハク酸ジイソブチル、コハク酸ジペンチル、コハク酸ジイソペンチル、コハク酸ジヘキシル、コハク酸ジイソヘキシル、コハク酸ジヘプチル、コハク酸ジイソヘプチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソオクチル、コハク酸ジノニル、コハク酸ジイソノニル、コハク酸ジデシル、コハク酸ジイソデシル、コハク酸ジフェニル、コハク酸ジベンジル等が挙げられる。
【0036】
リン酸エステル類としては、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリイソプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリイソブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリイソペンチル、リン酸トリヘキシル、リン酸トリイソヘキシル、リン酸トリヘプチル、リン酸トリイソヘプチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリイソオクチル、リン酸トリス(2−エチルヘキシル)、リン酸トリノニル、リン酸トリイソノニル、リン酸トリデシル、リン酸トリイソデシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリベンジル、リン酸トリクレシル、リン酸トリキシレニル、リン酸クレシルジフェニル、リン酸2−エチルヘキシルジフェニル、リン酸トリス(2−クロロエチル)、リン酸トリス(1,3−ジクロロ−2−フェニル)、リン酸トリス(2−ブトキシエチル)等が挙げられる。
【0037】
クエン酸エステルとしては、例えば、クエン酸トリメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリイソブチル、クエン酸トリペンチル、クエン酸トリイソペンチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸トリイソヘキシル、クエン酸トリヘプチル、クエン酸トリイソヘプチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリイソオクチル、クエン酸トリノニル、クエン酸トリイソノニル、クエン酸トリデシル、クエン酸トリイソデシル、クエン酸トリフェニル、クエン酸トリベンジル、アセチルクエン酸トリメチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリプロピル、アセチルクエン酸トリイソプロピル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリイソブチル、アセチルクエン酸トリペンチル、アセチルクエン酸トリイソペンチル、アセチルクエン酸トリヘキシル、アセチルクエン酸トリイソヘキシル、アセチルクエン酸トリヘプチル、アセチルクエン酸トリイソヘプチル、アセチルクエン酸トリオクチル、アセチルクエン酸トリイソオクチル、アセチルクエン酸トリノニル、アセチルクエン酸トリイソノニル、アセチルクエン酸トリデシル、アセチルクエン酸トリイソデシル、アセチルクエン酸トリフェニル、アセチルクエン酸トリベンジル等が挙げられる。
【0038】
トリメリット酸エステル類としては、例えば、トリメリット酸トリメチル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸トリプロピル、トリメリット酸トリイソプロピル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリイソブチル、トリメリット酸トリペンチル、トリメリット酸トリイソペンチル、トリメリット酸トリヘキシル、トリメリット酸トリイソヘキシル、トリメリット酸トリヘプチル、トリメリット酸トリイソヘプチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリイソオクチル、トリメリット酸トリノニル、トリメリット酸トリイソノニル、トリメリット酸トリデシル、トリメリット酸トリイソデシル、トリメリット酸トリフェニル、トリメリット酸トリベンジル等が挙げられる。
【0039】
ポリエステルとしては、脂肪族カルボン酸とアルコールとの縮合物である脂肪族系ポリエステル、芳香族カルボン酸とアルコールとの縮合物である芳香族系ポリエステル等が挙げられる。
【0040】
これらの中でも、本発明の効果をより発揮できる点から、成分(A)としては、トルエン、フタル酸エステル類、アジピン酸エステル類、クエン酸エステル類が好ましく、トルエン、クエン酸エステル類がさらに好ましい。
【0041】
内包物における成分(A)の割合は、発泡剤100重量部に対して0.0001〜30重量部である。当該割合が0.0001重量部未満の場合、膨張温度の低温化の効果が十分に得られないことがある。一方、当該割合が30重量部以上の場合、熱可塑性樹脂の可塑化が顕著になり、膨張性が損なわれることがある。当該割合は、0.001〜30重量部、0.01〜30重量部、0.1〜30重量部、1〜25重量部、2〜20重量部、4〜20重量部の順で好ましい。
【0042】
熱膨張性微小球の外殻を構成する熱可塑性樹脂は、重合性成分を重合して得られる。重合性成分は、単量体成分を必須とし架橋剤を含むことがある成分である。単量体成分は、重合性二重結合を1個有するラジカル重合性単量体を意味し、付加重合可能な成分である。また、架橋剤は重合性二重結合を複数有するラジカル重合性単量体を意味し、橋架け構造を熱可塑性樹脂に導入する成分である。重合性成分を構成するこれらのラジカル重合性単量体は、1種又は2種以上を併用してもよい。
【0043】
単量体成分としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル等のニトリル系単量体;塩化ビニリデン;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル等のハロゲン化ビニル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル系単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−クロルエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等のカルボキシル基含有単量体;スチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体;アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド等のマレイミド系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、n−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等のスチレン系単量体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフイン系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン系単量体;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル系単量体、ビニルナフタリン塩等を挙げることができる。カルボキシル基含有単量体については、一部または全部のカルボキシル基が重合時に中和されていてもよい。なお、(メタ)アクリルは、アクリルまたはメタクリルを意味する。マレイミド系単量体は、窒素原子に置換基を有する構造のN−置換マレイミド系単量体であると好ましい。
【0044】
これらの中でも、重合性成分がニトリル系単量体を必須に含むと好ましい。ニトリル系単量体を必須に含むと、ガスバリアー性が向上すると共に幅広い温度領域で膨張させることができる。
重合性成分に占めるニトリル系単量体の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは5〜95重量%、より好ましくは10〜95重量%、さらに好ましくは15〜95重量%、特に好ましくは20〜95重量%、最も好ましくは25〜95重量%である。
【0045】
重合性成分がニトリル系単量体と共に、塩化ビニリデン及び/又は(メタ)アクリル酸エステル系単量体をさらに含むと好ましい。重合性成分が塩化ビニリデンを含むとガスバリアー性がさらに向上すると共に、低温膨張領域での膨張性が向上する。重合性成分が(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含むと膨張挙動をコントロールし易くなる。
塩化ビニリデンを含む場合の重合性成分に占める塩化ビニリデンの重量割合は、特に限定はないが、好ましくは1〜90重量%、より好ましくは5〜85重量%、さらに好ましくは10〜80重量%、特に好ましくは20〜75重量%、最も好ましくは30〜70重量%である。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む場合の重合性成分に占める(メタ)アクリル酸エステル系単量体の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは0.01〜70重量%、より好ましくは0.01〜65重量%、さらに好ましくは0.1〜60重量%、特に好ましくは0.1〜55重量%、最も好ましくは0.1〜50重量%である。
【0046】
重合性成分がニトリル系単量体と共にカルボキシル基含有単量体をさらに含むと、熱可塑性樹脂のガラス転移温度が高くなり、熱膨張性微小球を高温で熱膨張させることができるために好ましい。重合性成分がマレイミド系単量体をさらに含む場合は、熱膨張性微小球の着色が少ないために好ましい。
カルボキシル基含有単量体を含む場合の重合性成分に占めるカルボキシル基含有単量体の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは0.01〜70重量%、より好ましくは0.1〜60重量%、さらに好ましくは1〜50重量%、特に好ましくは3〜50重量%、最も好ましくは5〜50重量%である。
マレイミド系単量体を含む場合の重合性成分に占めるマレイミド系単量体の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは0.01〜50重量%、より好ましくは0.1〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは3〜25重量%、最も好ましくは5〜20重量%である。
【0047】
なお、単量体成分がハロゲン、酸素、窒素などを有する単量体を含む場合は、重合時に生成する熱膨張性微小球の凝集や重合反応器内のスケール発生を効果的に防止することができる。
【0048】
重合性成分は、上記単量体成分以外に、重合性二重結合を2個以上有する重合性単量体(架橋剤)を含んでいてもよい。架橋剤を用いて重合させることにより、熱膨張後の内包された発泡剤の保持率(内包保持率)の低下が抑制され、効果的に熱膨張させることができる。
【0049】
架橋剤としては、特に限定はないが、たとえば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;メタクリル酸アリル、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、PEG#200ジ(メタ)アクリレート、PEG#400ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物を挙げることができる。これらの架橋剤は、1種または2種以上を併用してもよい。上記で、「PEG#○○○ジ(メタ)アクリレート」と表記されている一連の化合物は、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートで、そのポリエチレングリコール部分の平均分子量が○○○であることを意味する。
【0050】
架橋剤は必須成分ではないので、その量については、特に限定はないが、架橋の程度、外殻に内包された発泡剤の内包保持率、耐熱性および熱膨張性を考慮すると、単量体成分100重量部に対して、好ましく0〜3.0重量部、さらに好ましくは0.02〜1.5重量部、特に好ましくは0.02重量部〜1.0重量部である。
【0051】
熱膨張性微小球の膨張開始温度(T)は、特に限定されないが、好ましくは50〜150℃、より好ましくは55〜145℃、さらに好ましくは60〜140℃、特に好ましくは60〜135℃、最も好ましくは60〜130℃である。当該膨張開始温度が50℃未満であると、貯蔵安定性が悪化することがある。一方、当該膨張開始温度が150℃超であると、膨張温度の低温化の効果が十分に得られないことがある。
熱膨張性微小球の最大膨張温度(T)は、特に限定はないが、好ましくは80〜200℃、さらに好ましくは85〜190℃、特に好ましくは90〜185℃、最も好ましくは95〜180℃である。Tが80℃未満であると、膨張温度域が狭くなり、膨張のコントロールが難しくなることがある。一方、Tが200℃超であると、膨張温度の低温化の効果が十分に得られないことがある。
【0052】
熱膨張性微小球の最大膨張温度をT(℃)とし、熱膨張性微小球の内包物から成分(A)を除く以外は同じものから構成される熱膨張性微小球の最大膨張温度をT(℃)としたとき、本発明の熱膨張性微小球は下記数式(II)の関係を満たすことが好ましい。
−T>3 (II)
ここで、「熱膨張性微小球の内包物から成分(A)を除く以外は同じものから構成される熱膨張性微小球」とは、Tを有する熱膨張性微小球において、内包物から成分(A)のみを除き、それ以外は同じ内包物及び同じ熱可塑性樹脂からなる外殻で構成される熱膨張性微小球をいう。
−Tの値(℃)は、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上である。T−Tの上限値は30である。上限値30を超えるまで成分(A)を併用すると、発泡剤の内包保持率が低下するため、好ましくない。
【0053】
熱膨張性微小球の膨張開始温度をT(℃)とし、熱膨張性微小球の内包物から成分(A)を除く以外は同じものから構成される熱膨張性微小球の膨張開始温度をT(℃)としたとき、本発明の熱膨張性微小球は下記式(III)の関係を満たすことが好ましい。
−T>1 (III)
−Tの値(℃)は、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2以上である。T−Tの上限値は30である。上限値30を超えるまで成分(A)を併用すると、発泡剤の内包保持率が低下するため、好ましくない。
【0054】
熱膨張性微小球の平均粒子径については特に限定されないが、好ましくは1〜100μm、より好ましくは3〜80μm、さらに好ましくは7〜60μm、特に好ましくは10〜50μmである。平均粒子径が1μmより小さい場合、熱膨張性微小球の膨張性能が低くなることがある。一方、平均粒子径が100μmより大きい場合、充填効率が低下し、樹脂と混合した際に作業性が低下する可能性がある。
【0055】
熱膨張性微小球の粒度分布の変動係数CVは、特に限定されないが、好ましくは50%以下、さらに好ましくは45%以下、特に好ましくは40%以下である。変動係数CVは、以下に示す計算式(1)及び(2)で算出される。
【0056】
【数2】
(式中、sは粒子径の標準偏差、<x>は平均粒子径、xはi番目の粒子径、nは粒子の数である。)
【0057】
発泡剤の内包率は、熱膨張性微小球の重量に対する熱膨張性微小球に内包された発泡剤の重量の百分率で定義される。発泡剤の内包率については、特に限定されないが、熱膨張性微小球の重量に対して、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜45重量%、さらに好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは10〜30重量%である。
【0058】
熱膨張性微小球の最大膨張倍率は、特に限定されないが、好ましくは3倍以上、より好ましくは10倍以上、さらにより好ましくは20倍以上、特に好ましくは30倍以上、さらに好ましくは50倍以上、最も好ましくは70倍以上である。一方、最大膨張倍率の上限値は、好ましくは200倍である。
熱膨張性微小球を加熱膨張して得られる中空微粒子の耐圧性が要求される場合には、中空微小球の外殻の厚みを保持するために、微小球の最大膨張倍率は、好ましくは3倍以上、好ましい上限値は100倍である。最大膨張倍率が3倍未満であると、十分な軽量化効果が得られないことがある。最大膨張倍率が100倍を超えると、耐圧性が不十分となる場合がある。
熱膨張性微小球を樹脂組成物に混合し、該樹脂組成物を加熱により膨張させ、軽量化物を得る場合には、最大膨張倍率は20倍以上が好ましく、上限値は、好ましくは200倍である。最大膨張倍率が20倍未満であると、成形物等に熱膨張性微小球を含有したとき十分な膨張倍率が得られないことがある。最大膨張倍率が200倍を超えると、熱膨張性微小球を含有する成形物等で面荒れの原因になることがある。
【0059】
本発明の熱膨張性微小球は、塩ビペースト等のペースト状物や、EVAエマルション、アクリルエマルション、溶剤型バインダー等の液状組成物に混合して使用することが可能である。また、射出成形、押出成形、混練成形、カレンダー成形、ブロー成形、圧縮成形、真空成型、熱成形等の成形加工に使用することも可能である。
【0060】
〔熱膨張性微小球の製造方法〕
本発明の熱膨張性微小球の製造方法は、内包物及び重合性成分を含む油性混合物を水性分散媒中に分散させ、重合性成分を重合させる工程(以下では、重合工程ということがある。)を含むものである。前記内包物は、加熱することによって気化し、かつ上記式(I)で定義される膨潤度が5%未満となる発泡剤と、上記式(I)で定義される膨潤度が5〜30%となる成分(A)とを含み、成分(A)の割合が、前記発泡剤100重量部に対して0.0001〜30重量部である。重合性成分、発泡剤、成分(A)、熱膨張性微小球等の詳細については前述した通りである。
【0061】
本発明の製造方法においては、重合性成分を重合開始剤の存在下で重合させることが好ましい。重合開始剤としては、特に限定はないが、ごく一般に用いられる過酸化物やアゾ化合物等を挙げることができる。
過酸化物としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジベンジルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール;クメンハイドロパーキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等のパーオキシエステルを挙げることができる。
【0062】
アゾ化合物としては、例えば、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1‘−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等を挙げることができる。
【0063】
重合開始剤の重量割合については、重合性成分100重量部に対して、好ましくは0.05〜10重量%であり、さらに好ましくは0.1〜8重量%、最も好ましくは0.2〜5重量%である。当該重量割合が0.05重量%未満である場合、重合されない重合性成分の残存量が増加することがある。当該重量割合が10重量%を超える場合、内包物の内包保持率が低くなることがある。
【0064】
本発明の製造方法では、油性混合物を水性分散媒中に分散させた水系懸濁液を調製し、重合性成分を重合させる。
水性分散媒は、油性混合物を分散させるイオン交換水等の水を主成分とする媒体であり、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールや、アセトン等の親水性有機性の溶媒をさらに含有してもよい。本発明における親水性とは、水に任意に混和できる状態であることを意味する。水性分散媒の使用量については、特に限定はないが、重合性成分100重量部に対して、100〜1000重量部の水性分散媒を使用するのが好ましい。
【0065】
水性分散媒は、電解質をさらに含有してもよい。電解質としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、炭酸ナトリウム等を挙げることができる。これらの電解質は、1種又は2種以上を併用してもよい。電解質の含有量については、特に限定はないが、水性分散媒100重量部に対して0.1〜50重量部含有するのが好ましい。
【0066】
水性分散媒は、カルボン酸(塩)基及びホスホン酸(塩)基から選ばれる親水性官能基が置換したアルキル基が窒素原子と結合した構造を有するポリアルキレンイミン類、水酸基、カルボン酸(塩)基及びホスホン酸(塩)基から選ばれる親水性官能基とヘテロ原子とが同一の炭素原子に結合した構造を有する水溶性1,1−置換化合物類、重クロム酸カリウム、亜硝酸アルカリ金属塩、金属(III)ハロゲン化物、ホウ酸、水溶性アスコルビン酸類、水溶性ポリフェノール類、水溶性ビタミンB類及び水溶性ホスホン酸(塩)類から選ばれる少なくとも1種の水溶性化合物を含有してもよい。なお、本発明における水溶性とは、水100gあたり1g以上溶解する状態であることを意味する。
【0067】
水性分散媒中に含まれる水溶性化合物の量については、特に限定はないが、重合性成分100重量部に対して、好ましくは0.0001〜1.0重量部、さらに好ましくは0.0003〜0.1重量部、特に好ましくは0.001〜0.05重量部である。水溶性化合物の量が少なすぎると、水溶性化合物による効果が十分に得られないことがある。また、水溶性化合物の量が多すぎると、重合速度が低下したり、原料である重合性成分の残存量が増加したりすることがある。
【0068】
水性分散媒は、電解質や水溶性化合物以外に、分散安定剤や分散安定補助剤を含有していてもよい。
分散安定剤としては、特に限定はないが、例えば、第三リン酸カルシウム、複分解生成法により得られるピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウムや、コロイダルシリカ、アルミナゾル、水酸化マグネシウム等を挙げることができる。これらの分散安定剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
分散安定剤の配合量は、重合性成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜100重量部、さらに好ましくは0.5〜70重量部である。
分散安定補助剤としては、特に限定はないが、例えば、高分子タイプの分散安定補助剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤を挙げることができる。これらの分散安定補助剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
【0069】
水性分散媒は、例えば、水(イオン交換水)に、水溶性化合物とともに、必要に応じて分散安定剤及び/又は分散安定補助剤等を配合して調製される。重合時の水性分散媒のpHは、水溶性化合物、分散安定剤、分散安定補助剤の種類によって適宜決められる。
【0070】
本発明の製造方法では、水酸化ナトリウムや、水酸化ナトリウム及び塩化亜鉛の存在下で重合を行ってもよい。
本発明の製造方法では、所定粒子径の球状油滴が調製されるように油性混合物を水性分散媒中に懸濁分散させる。
【0071】
油性混合物を懸濁分散させる方法としては、例えば、ホモミキサー(例えば、プライミクス社製)等により攪拌する方法や、スタティックミキサー(例えば、株式会社ノリタケエンジニアリング社製)等の静止型分散装置を用いる方法、膜懸濁法、超音波分散法等の一般的な分散方法を挙げることができる。
次いで、油性混合物が球状油滴として水性分散媒に分散された分散液を加熱することにより、懸濁重合を開始する。重合反応中は、分散液を攪拌するのが好ましく、その攪拌は、例えば、単量体の浮上や重合後の熱膨張性微小球の沈降を防止できる程度に緩く行えばよい。
【0072】
重合温度は、重合開始剤の種類によって自由に設定されるが、好ましくは30〜100℃、さらに好ましくは40〜90℃の範囲で制御される。反応温度を保持する時間は、1〜20時間程度が好ましい。重合初期圧力については特に限定はないが、ゲージ圧で0〜5MPa、さらに好ましくは0.1〜3MPaの範囲である。
【0073】
得られたスラリーを遠心分離機、加圧プレス機、真空脱水機等により濾過し、含水率10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、更に好ましくは20〜40重量%のケーキ状物とし、ケーキ状物を、棚型乾燥機、間接加熱乾燥機、流動乾燥機、真空乾燥機、振動乾燥機、気流乾燥機等により乾燥し、含水率6重量%以下、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは4重量%以下の乾燥粉体とする。
イオン性物質の含有量を低減させる目的で、ケーキ状物を水洗及び/又は再分散後に再濾過し、乾燥させても構わない。また、スラリーを噴霧乾燥機、流動乾燥機等により乾燥し、乾燥粉体を得てもよい。
【0074】
[熱膨張性微小球の膨張温度の低温化方法]
本発明の低温化方法は、熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包される内包物とから構成される熱膨張性微小球の膨張温度の低温化方法であって、前記内包物及び重合性成分を含む油性混合物を水性分散媒中に分散させ、前記重合性成分を重合させる工程を含み、前記内包物が、加熱することによって気化し、かつ上記式(I)で定義される膨潤度が5%未満となる発泡剤と、上記式(I)で定義される膨潤度が5〜30%となる成分(A)とを含み、前記成分(A)の割合が、前記発泡剤100重量部に対して0.0001〜30重量部である。内包物、発泡剤、成分(A)、重合性成分、油性混合物、水性分散媒、重合させる工程、熱膨張性微小球等の詳細については前述した通りである。
このように、内包物において、発泡剤に対して特定の割合の成分(A)を併用することにより、重合性単量体の種類や比率及び/又は発泡剤の種類や比率を変更せずに、膨張開始温度や最大膨張温度等の膨張温度を低温化することができる。
【0075】
〔中空粒子〕
本発明の中空粒子は、上記で説明した熱膨張性微小球の膨張体である粒子である。中空粒子は熱膨張性微小球を加熱膨張させてことで得られる。中空粒子は、軽量であり、組成物や成形物に含ませると材料物性に優れる。
【0076】
中空粒子を得る製造方法としては、乾式加熱膨張法、湿式加熱膨張法等が挙げられ、ホッパー等に充填した熱膨張性微小球を真空搬送、エア搬送、スクリュー搬送等により移送する工程を有する。
【0077】
本発明の中空粒子は、上記で説明した熱膨張性微小球を、好ましくは50〜400℃で加熱膨張させることで得られる。
【0078】
中空粒子の平均粒子径については用途に応じて自由に設計することができるために特に限定されないが、好ましくは1〜1000μm、より好ましくは3〜200μmである。また、中空粒子の粒度分布の変動係数CVについても、特に限定はないが、50%以下が好ましく、さらに好ましくは40%以下である。
【0079】
中空粒子の真比重については特に限定はないが、好ましくは0.005〜0.6、さらに好ましくは0.015〜0.4、特に好ましくは0.020〜0.3である。中空粒子の真比重が0.005より小さい場合は、耐久性が不足することがある。一方、中空粒子の真比重が0.6より大きい場合は、低比重化効果が小さくなるため、中空粒子を用いて組成物を調製する際、その添加量が大きくなり、非経済的であることがある。
【0080】
中空粒子(1)は、図2に示すように、その外殻(2)の外表面に付着した微粒子(4や5)から構成されていてもよく、以下では、微粒子付着中空粒子(1)ということがある。
ここでいう付着とは、単に微粒子付着中空粒子(1)の外殻(2)の外表面に微粒子充填剤(4及び5)が、吸着された状態(4)であってもよく、外表面近傍の外殻を構成する熱可塑性樹脂が加熱によって融解し、微粒子付着中空粒子の外殻の外表面に微粒子充填剤がめり込み、固定された状態(5)であってもよいという意味である。微粒子充填剤の粒子形状は不定形であっても球状であってもよい。
中空粒子を基材成分と混合し、組成物とする際に、組成物中に混合する微粒子をあらかじめ中空粒子の外表面に付着させてから混合することも可能である。この場合、均一分散しにくい微粒子を容易に分散させることが可能となる。
【0081】
微粒子の平均粒子径については、用いる中空体本体によって適宜選択され、特に限定はないが、好ましくは0.001〜30μm、さらに好ましくは0.005〜25μm、特に好ましくは0.01〜20μmである。
微粒子としては、種々のものを使用することができ、無機物、有機物のいずれの素材であってもよい。微粒子の形状としては、球状、針状や板状等が挙げられる。
【0082】
微粒子としては特に限定はないが、微粒子が有機物の場合は、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム等の金属セッケン類;ポリエチレンワックス、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、硬化ひまし油等の合成ワックス類;ポリアクリルアミド、ポリイミド、ナイロン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機系充填剤が挙げられる。微粒子が無機物の場合には、例えばタルク、マイカ、ベントナイト、セリサイト、カーボンブラック、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、弗化黒鉛、弗化カルシウム、窒化ホウ素等;その他、シリカ、アルミナ、雲母、コロイダル炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、セラミックビーズ、ガラスビーズ、水晶ビーズ等の無機系充填剤が挙げられる。
微粒子の平均粒子径は、微粒子付着中空粒子の平均粒子径の1/10以下であることが好ましい。ここで、平均粒子径とは、一次粒子における平均粒子径を意味する。
【0083】
中空粒子が微粒子付着中空粒子の場合、中空粒子として微粒子付着中空粒子を後述の組成物に配合すると、塗料組成物や接着剤組成物として有用である。
微粒子付着中空粒子は、例えば、微粒子付着熱膨張性微小球を加熱膨張させることによって得ることができる。微粒子付着中空粒子の製造方法としては、熱膨張性微小球と微粒子とを混合する工程(混合工程)と、前記混合工程で得られた混合物を前記軟化点超の温度に加熱して、前記熱膨張性微小球を膨張させるとともに、得られる中空粒子の外表面に微粒子を付着させる工程(付着工程)を含む製造方法が好ましい。
【0084】
微粒子付着中空粒子の真比重については、特に限定はないが、好ましくは0.01〜0.6であり、さらに好ましくは0.03〜0.5、特に好ましくは0.05〜0.4、最も好ましくは0.07〜0.3である。微粒子付着中空粒子の真比重が0.01より小さい場合は、耐久性が不足することがある。一方、微粒子付着中空粒子の真比重が0.6より大きい場合は、低比重化効果が小さくなるため、微粒子付着中空粒子を用いて組成物を調製する際、その添加量が大きくなり、非経済的であることがある。
【0085】
〔組成物及び成形物〕
本発明の組成物は、本発明の熱膨張性微小球及び本発明の中空粒子から選ばれる少なくとも1種の粒状物と、基材成分とを含む。
基材成分としては特に限定はないが、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンーブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム、シリコンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等のゴム類;エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂;ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等のワックス類;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリスチレン(PS)等の熱可塑性樹脂;エチレン系アイオノマー、ウレタン系アイオノマー、スチレン系アイオノマー、フッ素系アイオノマー等のアイオノマー樹脂;オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマー;変性シリコン系、ウレタン系、ポリサルファイド系、アクリル系、シリコン系、ポリイソブチレン系、ブチルゴム系等のシーリング材料;ウレタン系、エチレン−酢酸ビニル共重合物系、塩化ビニル系、アクリル系、アルキド樹脂系、アミノアルキド樹脂系、アミノ樹脂系、塩化ゴム系、エポキシ樹脂系、フェノール樹脂系、フッ素樹脂系、ポリエステル系の塗料成分;セメントやモルタルやコージェライト等の無機物等が挙げられる。
【0086】
本発明の組成物は、これらの基材成分と熱膨張性微小球及び/又は中空粒子とを混合することによって調製することができる。また、基材成分と熱膨張性微小球及び/又は中空粒子とを混合して得られた組成物を更に別の基材成分と混合して本発明の組成物とすることもできる。
基材成分100重量部に対する熱膨張性微小球及び/又は中空粒子の重量割合は、好ましくは0.1〜70重量部、より好ましくは0.5〜65重量部、さらに好ましくは1〜60重量部である。
混合方法は、特に限定はないが、ニーダー、ロール、ミキシングロール、ミキサー、単軸混練機、二軸混練機、多軸混練機等により混合することが好ましい。
本発明の組成物の用途としては、例えば、成形用組成物、塗料組成物、粘土組成物、繊維組成物、接着剤組成物、粉体組成物等を挙げることができる。
【0087】
本発明の組成物が、特に、熱膨張性微小球とともに、基材成分として、熱膨張性微小球の膨張開始温度より低い融点を有する化合物及び/又は熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等のワックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリスチレン(PS)等の熱可塑性樹脂;エチレン系アイオノマー、ウレタン系アイオノマー、スチレン系アイオノマー、フッ素系アイオノマー等のアイオノマー樹脂;オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマー)を含む場合は、樹脂成形用マスターバッチとして用いることができる。この場合、この樹脂成形用マスターバッチ組成物は、射出成形、押出成形、プレス成形等に利用され、樹脂成形時の気泡導入に好適に用いられる。樹脂成形時に用いられる樹脂としては、上記基材成分から選択されれば特に限定はないが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリスチレン(PS)オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、天然ゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンーブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム、シリコンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等、及びそれらの混合物等が挙げられる。また、ガラス繊維、カーボンファイバー、天然繊維等の補強繊維;タルク、酸化チタン、シリカ、無機顔料等の無機粉末;アクリル系微粒子、スチレン系微粒子、ウレタン系微粒子、シリコン系微粒子等の高分子微粒子や有機顔料等の有機粉末、難燃剤、化学発泡剤等を含有していてもよい。
【0088】
本発明の成形物は、この組成物を成形して得られる。本発明の成形物としては、例えば、成形品や塗膜等の成形物等を挙げることができる。本発明の成形物では、軽量性、多孔性、吸音性、断熱性、低熱伝導性、低誘電率化、意匠性、衝撃吸収性、強度等の諸物性が向上している。
基材成分として無機物を含む成形物は、さらに焼成することによって、セラミックフィルタ等が得られる。
本発明の組成物及び成形物は、本発明の熱膨張性微小球及び本発明の中空粒子から選ばれる少なくとも1種の粒状物を混合するため、より低温膨張領域での利用が可能となる。
【実施例】
【0089】
以下に、本発明の熱膨張性微小球の実施例について、具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、断りのない限り、「%」とは「重量%」を意味するものである。
以下の実施例及び比較例で挙げた熱膨張性微小球、中空粒子、組成物及び成形物等について、次に示す要領で物性を測定し、さらに性能を評価した。以下では、熱膨張性微小球を簡単のために「微小球」ということがある。
【0090】
[膨潤度の測定]
各実施例・比較例の熱膨張性微小球の重合性成分のみを重合させ、熱膨張性微小球を構成する外殻と同様の熱可塑性樹脂を合成する。合成した熱可塑性樹脂を、幅3cm、長さ5cmの金型に入れ、卓上型テストプレス機(テスター産業社製)で、加熱しながらプレス成型し、幅3cm、長さ5cm、厚み2mmの膨潤度測定用の試験片を得た。
得られた試験片の重量を測定した後に、成分(A)に40℃環境下で24時間浸漬し、成分(A)から取り出した後に25℃環境下で24時間放置した後に重量を測定した。成分(A)に浸漬する前の試験片の重量をM(g)、成分(A)から取り出した後の当該試験片の重量をM(g)とした時に、下記式(I)で表される値を成分(A)に対する熱可塑性樹脂の膨潤度(以下、成分(A)の膨潤度という)とした。
膨潤度(%)={(M−M)/M}×100 (I)
上記において、成分(A)を発泡剤に変更する以外は同様にして得られた値を発泡剤に対する熱可塑性樹脂の膨潤度(以下、発泡剤の膨潤度という)とした。
【0091】
[平均粒子径の測定]
レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(Microtrac ASVR 日機装社製)を使用した。d50の値を平均値とした。
【0092】
[膨張開始温度(Ts)及び最大膨張温度(Tm)の測定]
測定装置として、DMA(DMA Q800型 TA instruments社製)を使用した。微小球0.5mgを直径6.0mm、深さ4.8mmのアルミカップに入れ、微小球層の上部にアルミ蓋(直径5.6mm、厚み0.1mm)をのせて試料を準備した。その試料に上から加圧子により0.01Nの力を加えた状態でサンプル高さを測定した。加圧子により0.01Nの力を加えた状態で20℃から300℃まで10℃/minの昇温速度で加熱し、加圧子の垂直方向における変位量を測定した。正方向への変位開始温度を膨張開始温度(Ts)とし、最大変位量(Dmax)を示した温度を最大膨張温度(Tm)とした。
なお、表1において、比較例1の熱膨張性微小球では成分(A)を用いていないことから、比較例1の熱膨張性微小球の膨張開始温度をT(℃)、最大膨張温度をT(℃)とし、それ以外の実施例・比較例の熱膨張性微小球の膨張開始温度をT(℃)、最大膨張温度をT(℃)として、T−T、T−Tを算出することができる。同様に、表2〜6においても、比較例3、5、7、9、11の熱膨張性微小球の膨張開始温度をT(℃)、最大膨張温度をT(℃)とし、それ以外の実施例・比較例の熱膨張性微小球の膨張開始温度をT(℃)、最大膨張温度をT(℃)として、T−T、T−Tを算出することができる。
【0093】
[比較例1]
イオン交換水600gに、有効成分20重量%であるコロイダルシリカ50g、ポリビニルピロリドン1.0g及びカルボキシメチル化されたポリエチレンイミン類(CMPEI;置換アルキル基:−CHCOONa、置換率:80%、重量平均分子量:5万)0.1gを加えた後、得られた混合物のpHを2.5〜3.5に調整し、水性分散媒を調製した。なお、CMPEIについては、国際公開第2008/142849号パンフレットの第0140段落記載のものと同じである。
これとは別に、塩化ビニリデン150g、アクリロニトリル75g、アクリル酸メチル25g、エチレングリコールジメタクリレート0.5g、イソブタン40g及び有効成分70%のt−ヘキシルパーオキシピバレート含有液4gを混合して油性混合物を調製した。
水性分散媒と油性混合物を混合し、得られた混合液をホモミキサー(プライミクス社製、TKホモミキサー)により、回転数8000rpmで2分間分散して、懸濁液を調製した。この懸濁液を容量1.5Lの加圧反応器に移して窒素置換をしてから反応初期圧0.5MPaにし、80rpmで攪拌しつつ60℃で20時間重合し、得られた生成物を濾過、乾燥して、熱膨張性微小球を得た。得られた熱膨張性微小球の平均粒子径、膨張開始温度、最大膨張温度を評価した。その結果を表1に示す。
【0094】
[実施例1〜7、比較例2]
油性混合物に表1に示す成分(A)をさらに添加する以外は比較例1と同様にして熱膨張性微小球を得た。得られた熱膨張性微小球の平均粒子径、膨張開始温度、最大膨張温度を評価した。その結果を表1に示す。
なお、比較例2で得られた熱膨張性微小球の膨張開始温度及び最大膨張温度を評価したが、膨張を確認できなかった。
【0095】
[実施例8〜42及び比較例3〜12]
水系分散媒及び油性混合物を表2〜6に示すものに変更すること以外は比較例1と同様にして熱膨張性微小球をそれぞれ得た。得られた熱膨張性微小球の平均粒子径、膨張開始温度、最大膨張温度を評価した。その結果を表2〜6に示す。なお、比較例4、6、8、10、12で得られた熱膨張性微小球の膨張開始温度及び最大膨張温度を評価したが、膨張を確認できなかった。
【0096】
なお、比較例1(実施例1〜7、比較例2)における発泡剤の膨潤度は2.1%であり、比較例3(実施例8〜14、比較例4)における発泡剤の膨潤度は1.9%であり、比較例5(実施例15〜21、比較例6)における発泡剤の膨潤度は1.6%であり、比較例7(実施例22〜28、比較例8)における発泡剤の膨潤度は1.0%であり、比較例9(実施例29〜35、比較例10)における発泡剤の膨潤度は0.8%であり、比較例11(実施例36〜42、比較例12)における発泡剤の膨潤度は0.7%であった。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
【表6】
【0103】
表1〜6では単量体成分及び架橋剤を以下の略号で示す。
PVP:ポリビニルピロリドン
CMPEI:ポリエチレンイミン類(置換アルキル基:−CHCOONa、置換アルキル基の置換率:80%、重量平均分子量:5万)。なお、カルボキシメチル化ポリエチレンイミン・Na塩とも表記される。
VCl2:塩化ビニリデンモノマー
AN:アクリロニトリル
MAN:メタクリロニトリル
MMA:メタクリル酸メチル
MA:アクリル酸メチル
IBX:イソボルニルメタクリレート
EDMA:エチレングリコールジメタクリレート
4EG−A:PEG#200ジメタクリレート
TMP:トリメチロールプロパントリメタクリレート
パーヘキシルPV:t−ヘキシルパーオキシピバレート(純度70%)
OPP:ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート(純度70%)
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
ATBC:アセチルクエン酸トリブチル
DINA:アジピン酸ジイソノニル
TCP:リン酸トリクレシル
DINP:フタル酸ジイソノニル
なお、トルエンのSP値は9.1であり、ATBCのSP値は9.8であり、DINAのSP値は8.7であり、TCPのSP値は10.5であり、DINPのSP値は9.4である。
【0104】
実施例1〜36の熱膨張性微小球は、比較例1〜12の熱膨張性微小球と比較して、膨張開始温度及び最大膨張温度が低温化しており、低温での膨張性が優れる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の熱膨張性微小球は、たとえば、パテ、塗料、インク、シーリング材、モルタル、紙粘土、陶器等の軽量化材として用いることができたり、基材成分に配合して、射出成形、押出成形、プレス成形等の成形を行って、遮音性、断熱性、遮熱性、吸音性等に優れる成形物の製造に用いることができる。本発明の組成物及び成形物は、より低温膨張領域での利用が可能となる。
【符号の説明】
【0106】
11 熱可塑性樹脂からなる外殻
12 内包物
1 中空粒子(微粒子付着中空粒子)
2 外殻
3 中空部
4 微粒子(吸着された状態)
5 微粒子(めり込み、固定化された状態)
図1
図2