【実施例】
【0029】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<樹脂粒子の融点、結晶化温度及び結晶化熱量>
JIS K7121:1987、2012「プラスチックの転移温度測定方法」及び、「JIS K7122:1987、2012「プラスチックの転移熱測定方法」に準拠した。但し、サンプリング方法及び温度条件に関しては次のように行った。示差走査熱量計装置(DSC6220 ASD−2、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製又はDSC7000X AS−3、日立ハイテクサイエンス社製)を用い、アルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充填して、窒素ガス流量20mL/minのもと、30℃から−70℃まで降温した後10分間保持し、−70℃から220℃まで昇温(1st Heating)、10分間保持後220℃から−70℃まで降温(Cooling)、10分間保持後−70℃から220℃まで昇温(2nd Heating)した時のDSC曲線を得た。但し、−70〜220℃の範囲に融解ピークが見られない場合は、融点Tm+40℃を目安に1st及び2nd Heatingの上限温度を設定した。例えば、ポリエチレンテレフタレートは、−70℃から290℃まで昇温した。なお、全ての昇温・降温は速度10℃/minで行い、基準物質としてアルミナを用いた。本発明において、融点とは、装置付属の解析ソフトを用いて、2nd Heating過程にみられる最も大きな融解ピークのトップの温度を読み取った値とした。また、結晶化温度は、装置付属の解析ソフトを用いて、Cooling過程にみられる、最も高温側の結晶化ピークのトップ温度を読み取った値とした。なお、結晶化熱量は、装置付属の解析ソフトを用いて、高温側のベースラインからDSC曲線が離れる点と、そのDSC曲線が再び低温側のベースラインへ戻る点とを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる部分の面積から算出した。
【0030】
<樹脂粒子のD硬度>
樹脂粒子を融点Tm+20℃の温度で熱プレスし、平滑な厚み3mm以上のフィルムを作製した。これを温度23±2℃、湿度50±5%の環境下で72時間以上状態調節後、硬度計(テクロックデュロメータタイプD、テクロック社製)を用いて測定した。押針が試験片測定面に垂直になるように加圧面を密着させて、直ちに目盛を読み取った。試料の5箇所を測定し、その平均値をD硬度とした。
【0031】
<発泡粒子の嵩密度>
発泡粒子を測定試料として任意の質量W(g)計量した。この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させた後、メスシリンダーの底をたたいて体積を一定にし、試料の見掛け体積V(cm
3)を測定した。下記式に基づいて発泡粒子の嵩密度を算出した。
嵩密度(g/cm
3)=測定試料の質量W/測定試料の体積V
【0032】
<発泡成形体の密度>
成形直後に発泡成形体を温度40℃で12時間乾燥し、乾燥後に温度23±2℃、湿度50±5%の環境下で72時間状態調節した。状態調節した発泡成形体の質量a(g)を小数点2桁まで測定すると共に、外寸をデジマチックキャリパ(ミツトヨ社製)で1/100mmまで測定して、見掛けの体積b(cm
3)を求めた。発泡成形体の密度を次式により算出した。
発泡成形体密度(g/cm
3)=a/b
【0033】
<発泡成形体の平均気泡径(表層部)と平均気泡径(中心部)>
発泡成形体の平均気泡径は、次の方法で測長した。具体的には、発泡成形体から剃刀を用いて試験片(厚み1mm)を3つ切り出し、切断面を走査電子顕微鏡(S−3000N、日立製作所社製又はS−3400N、日立ハイテクノロジーズ社製)にて15倍に拡大して撮影した。撮影した画像をA4用紙に印刷し、印刷した画像から、できるだけ断面積の大きな発泡粒子を選択した。選択した発泡粒子に中心を通る最小径及び最大径を引いた。中心から、最小径を基準とする半径2/5の円を描いた。描かれた円の内側を中心部としての領域Aとした。また、中心から、最大径を基準とする半径13/15の円を描いた。描かれた円の外側を表層部としての領域Bとした。
領域Aの中に気泡20個以上に接する任意の直線を描き、直線の長さLを測長すると共に、直線に接している気泡数Nを数えた。気泡20個に接する直線が描けない場合は、領域内で最も長い直線を描いた。任意の直線は可能な限り接点でのみ接しないようにし、接してしまう場合は気泡数に含めた。気泡が小さく数えることが難しい場合は、15倍以上に拡大した写真を、発泡粒子が大きく15倍の写真にはいらない場合は、15倍以下に縮小した写真を用いてもよい。計測結果から、下記式により平均弦長t及び気泡径Dを算出した。
平均弦長t=線長L/(気泡数N×写真の倍率)
気泡径D=平均弦長t/0.616
各試験片についても同様に行い、これらの算術平均を平均気泡径(中心部)とした。
領域Bについても同様に算出し、これらの算術平均を平均気泡径(表層部)とした。
【0034】
<発泡成形体の独立気泡率>
厚み方向に直交する2つの面のみスキン層を残し、発泡成形体を25×25×厚み20mmにカットし、JIS K7100:1999 記号23/50、2級の環境下で16時間状態調節した後、JIS K7100:1999 記号23/50、2級の環境下で測定を行った。まず、得られた試験片の質量(g)を小数点2桁まで測定すると共に、外寸をデジマチックキャリパ(ミツトヨ社製)で1/100mmまで測定して、見掛けの体積A(cm
3)を求めた。次に、空気比較式比重計(1000型、東京サイエンス社製)を用い、1−1/2−1気圧法により測定試料の体積B(cm
3)を求めた。下記式により独立気泡率(%)を計算し、5つの試験片の平均値を独立気泡率(%)とした。なお、空気比較式比重計は、標準球(大28.96cc 小8.58cc)にて補正を行った。また、樹脂密度は、バイロンGM−913、バイロンGM−915及びペルプレンP−55Bは1.15g/cm
3、ペルプレンGP−400は1.12g/cm
3、ペルプレンGP−475は1.17g/cm
3、ペルプレンGP−600は1.19g/cm
3、ポリウレタンは1.20g/cm
3、ポリエチレンテレフタレートは1.39g/cm
3とした。
独立気泡率(%)=(B−(試験片質量/樹脂密度))/A×100
【0035】
<発泡成形体の反発弾性率>
JIS K 6400−3:2011に準拠して測定した。反発弾性試験機(FR−2、高分子計器社製)に、温度23±2℃、湿度50±5%の環境下で72時間以上状態調節した、同一の発泡体から切り出した50×50×厚み20mmの試料を2枚重ねてセットし、500mmの高さ(a)から鋼球(φ5/8インチ、16.3g)を自由落下させて、その反発最高到達時の高さ(b)を読み取り、式(b)/(a)×100により反発弾性率(%)を算出した。ただし、同一試験片を用いて3回測定を行い、これらの平均値を反発弾性率とした。
【0036】
<発泡成形体のC硬度>
C硬度は、50×50×厚み20mmの試料を温度23±2℃、湿度50±5%の環境下で72時間以上状態調節後、硬度計(アスカーゴム・プラスチック硬度計C形、高分子計器社製)を用いて測定した。押針が試験片測定面に垂直になるように加圧面を密着させて、直ちに目盛を読み取った。発泡粒子同士の融着面をさけて、試料の5箇所を測定し、その平均値をC硬度とした。
【0037】
<発泡成形体の圧縮永久歪>
JIS K6767:1999「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」に準拠した。また、厚みはJIS K6250:2006の寸法測定A法の10kPaで測った。発泡成形体を厚み方向に直交する面のスキン層を残して50×50×厚み20mmにカットし、JIS K 7100:1999の記号「23/50」(温度23℃、相対湿度50%)、2級の標準雰囲気下で16時間かけて状態調整した後、同じ標準雰囲気下で測定を行った。まず、試験片の厚みA(mm)を小数点2桁まで測った。次に、試験片を圧縮永久歪試験器(FCS−1型、高分子計器社製)により試験片厚みの25%歪んだ状態に圧縮し、22時間放置後、圧縮永久歪試験器から試験片を取出し、圧縮終了30分後の厚みB(mm)を小数点2桁まで測定した。圧縮永久歪(%)を次式により算出した。なお、試験数は3回とし、これらの平均値を圧縮永久歪(%)とした。
圧縮永久歪(%)=(A−B)/A×100
【0038】
<発泡成形体の圧縮応力>
JIS K6767:1999「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」記載の方法により測定した。すなわち、テンシロン万能試験機(UCT−10T、オリエンテック社製)、万能試験機データ処理(UTPS−458X、ソフトブレーン社製)を用いて、試験体サイズを50×50×厚み20mm(厚み方向に直交する面のスキン層を残してパンスライサーにてカットした)で圧縮速度を10mm/min(1分あたりの移動速度ができるだけ試験片厚さの50%に近い速度)とした。圧縮弾性率の直線部分と変位軸との交点とし、厚みの25%圧縮時及び50%圧縮時の圧縮応力(kPa)を測定した。試験片の数は3個とし、JIS K 7100:1999の記号「23/50」(温度23℃、相対湿度50%)、2級の標準雰囲気下で16時間かけて状態調整した後、同じ標準雰囲気下で測定を行った。
25%圧縮応力σ
25は次式により算出した。
σ
25=10
3×F
25/A
0
σ
25:圧縮応力(kPa)
F
25:25%変形時の荷重(N)
A
0:試験片の初めの断面積(mm
2)
50%圧縮応力σ
50は次式により算出した。
σ
50=10
3×F
50/A
0
σ
50:圧縮応力(kPa)
F
50:50%変形時の荷重(N)
A
0:試験片の初めの断面積(mm
2)
【0039】
<発泡成形体の融着率>
発泡成形体(400×300×厚み20mm)の表面に、一対の長辺の中心同士を結ぶ直線に沿ってカッターナイフで深さ約5mmの切り込み線を入れた後、この切り込み線に沿って発泡成形体を2分割した。この2分割された発泡成形体の破断面の発泡粒子について、100個の発泡粒子を含む任意の範囲を設定し、この範囲内において発泡粒子内で破断している発泡粒子数(a)と、発泡粒子同士の界面で破断している発泡粒子数(b)を数え、下記式により融着率F(%)を算出した。
F(%)=a/(a+b)×100
【0040】
<発泡性粒子の含浸ガス量(ブタンガス、炭酸ガス)>
得られた発泡性粒子の質量W1(g)を直ちに計量し、温度23±2℃、湿度50±5%の環境下で24時間静置した。静置後、発泡性粒子の質量W2(g)を計量し、次式により含浸ガス量を算出した。
発泡性粒子の含浸ガス量(質量%)=(W1−W2)/W1×100
【0041】
<発泡粒子の含浸ガス量(窒素ガス)>
まず、内圧付与前の発泡粒子の質量W1(g)を計量した。次に、内圧付与後の窒素ガスを含む発泡粒子の質量W2(g)を計量した。次式により発泡粒子の含浸ガス量を算出した。
発泡粒子の含浸ガス量(質量%)=(W2−W1)/W2×100
【0042】
<実施例1>
(1)発泡性粒子
内容積5Lの撹拌機付オートクレーブに、エステル系エラストマー(商品名:「ペルプレン GP−400」、東洋紡社製、ハードセグメント:ポリブチレンテレフタレート、ソフトセグメント:脂肪族ポリエーテル)樹脂粒子2kg(100質量部)、蒸留水2.5L、界面活性剤(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、商品名:「ニューレックスR」、油化産業社製)0.13質量部及び有機系気泡調整剤(エチレンビスステアリン酸アミド、商品名:「花王ワックスEBFF」、花王社製)0.5質量部を投入し、密閉した後、撹拌状態で発泡剤のブタン(ノルマルブタン:イソブタン=7:3)12質量部を窒素ガスと共に圧入した。次に、オートクレーブを100℃で3時間加熱して、25℃まで冷却した。冷却完了後にオートクレーブを除圧し、直ちに蒸留水で界面活性剤と余剰の気泡調整剤を洗浄し、脱水することで発泡性粒子を得た。発泡性粒子の含浸ガス量は、8.5質量%であった。
(2)発泡粒子
発泡性粒子1.5kg(100質量部)に合着防止剤(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、商品名:「エパン450」、第一工業製薬社製)0.25質量部を塗布した後、内容積50Lの撹拌機付円筒型予備発泡機に投入し、撹拌させながらゲージ圧0.21MPaの水蒸気で加熱して、発泡粒子を得た。
(3)発泡成形体
発泡粒子をオートクレーブに投入し、ゲージ圧1.2MPaの窒素ガスを圧入した後、30℃で18時間静置して、発泡粒子に窒素ガスを含浸した(内圧付与)。窒素の含浸量は2.6質量%であった。
発泡粒子をオートクレーブから取り出して、直ちに水蒸気孔を有する400mm×300mm×厚み20mmの大きさの成形用キャビティ内に充填し、ゲージ圧0.27MPaの水蒸気で加熱成形を行い、発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体の断面写真を
図1に示す。
【0043】
<実施例2>
(1)発泡性粒子
基材樹脂をエステル系エラストマー(商品名:「ペルプレン GP−475」、東洋紡社製、ハードセグメント:ポリブチレンテレフタレート及びポリブチレンイソフタレート、ソフトセグメント:脂肪族ポリエーテル)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で作製した。発泡性粒子の含浸ガス量は、4.8質量%であった。
(2)発泡粒子
ゲージ圧0.20MPaの水蒸気で加熱したこと以外は実施例1と同様の方法で作製した。
(3)発泡成形体
ゲージ圧0.18MPaの水蒸気で加熱成形を行ったこと以外は実施例1と同様の方法で作製した。なお、発泡粒子の窒素含浸量は3.5質量%であった。
得られた発泡成形体の断面写真を
図2に示す。
<実施例3>
(1)発泡性粒子
基材樹脂をエステル系エラストマー(商品名:「バイロン GM−913」、東洋紡社製、ハードセグメント:ポリブチレンテレフタレート及びポリブチレンイソフタレート、ソフトセグメント:脂肪族ポリエーテル)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で作製した。発泡性粒子の含浸ガス量は、8.8質量%であった。
(2)発泡粒子
ゲージ圧0.06MPaの水蒸気で加熱したこと以外は実施例1と同様の方法で作製した。
(3)発泡成形体
ゲージ圧0.06MPaの水蒸気で加熱成形を行ったこと以外は実施例1と同様の方法で作製した。なお、発泡粒子の窒素含浸量は1.7質量%であった。
得られた発泡成形体の断面写真を
図3に示す。
【0044】
<実施例4>
(1)発泡性粒子
基材樹脂をエステル系エラストマー(商品名:「バイロン GM−915」、東洋紡社製、ハードセグメント:ポリブチレンテレフタレート及びポリブチレンイソフタレート、ソフトセグメント:脂肪族ポリエーテル)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で作製した。発泡性粒子の含浸ガス量は、6.1質量%であった。
(2)発泡粒子
ゲージ圧0.06MPaの水蒸気で加熱したこと以外は実施例1と同様の方法で作製した。
(3)発泡成形体
ゲージ圧0.1MPaの水蒸気で加熱成形を行ったこと以外は実施例1と同様の方法で作製した。なお、発泡粒子の窒素含浸量は1.0質量%であった。
得られた発泡成形体の断面写真を
図4に示す。
<実施例5>
(1)発泡性粒子
基材樹脂をエステル系エラストマー(商品名:「ペルプレン P−55B」、東洋紡社製、ハードセグメント:ポリブチレンテレフタレート、ソフトセグメント:脂肪族ポリエーテル)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で作製した。発泡性粒子の含浸ガス量は、7.8質量%であった。
(2)発泡粒子
ゲージ圧0.35MPaの水蒸気で加熱したこと以外は実施例1と同様の方法で作製した。
(3)発泡成形体
ゲージ圧0.4MPaの水蒸気で加熱成形を行ったこと以外は実施例1と同様の方法で作製した。なお、発泡粒子の窒素含浸量は1.0質量%であった。
得られた発泡成形体の断面写真を
図5に示す。
【0045】
<実施例6>
(1)発泡性粒子
基材樹脂をエステル系エラストマー(商品名:「ペルプレン GP−600」、東洋紡社製、ハードセグメント:ポリブチレンテレフタレート及びポリブチレンイソフタレート、ソフトセグメント:脂肪族ポリエーテル)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で作製した。発泡性粒子の含浸ガス量は、5.5質量%であった。
(2)発泡粒子
ゲージ圧0.28MPaの水蒸気で加熱したこと以外は実施例1と同様の方法で作製した。
(3)発泡成形体
ゲージ圧0.40MPaの水蒸気で加熱成形を行ったこと以外は実施例1と同様の方法で作製した。なお、発泡粒子の窒素含浸量は1.3質量%であった。
得られた発泡成形体の断面写真を
図6に示す。
<実施例7>
(1)発泡性粒子
内容積5Lのオートクレーブに、エステル系エラストマー(商品名:「ペルプレン GP−475」、東洋紡社製、ハードセグメント:ポリブチレンテレフタレート及びポリブチレンイソフタレート、ソフトセグメント:脂肪族ポリエーテル)樹脂粒子2kgを投入し、密閉した後、二酸化炭素(発泡剤)で大気圧からゲージ圧4MPaまで加圧した。次に、オートクレーブを23℃で24時間静置した後、徐圧することで発泡性粒子を得た。発泡性粒子の含浸ガス量は、7.0質量%であった。
(2)発泡粒子
ゲージ圧0.11MPaの水蒸気で加熱したこと以外は実施例1と同様の方法で作製した。
(3)発泡成形体
ゲージ圧0.21MPaの水蒸気で加熱成形を行ったこと以外は実施例1と同様の方法で作製した。なお、発泡粒子の窒素含浸量は0.3質量%であった。
得られた発泡成形体の断面写真を
図7に示す。
【0046】
<実施例8>
(1)樹脂粒子
エステル系エラストマー(商品名:「ペルプレン GP−475」、東洋紡社製、ハードセグメント:ポリブチレンテレフタレート及びポリブチレンイソフタレート、ソフトセグメント:脂肪族ポリエーテル)100質量部と有機系気泡調整剤(エチレンビスステアリン酸アミド、商品名:「花王ワックスEBFF」、花王社製)0.3質量部を単軸押出機に供給し、180〜280℃で溶融混練した。次に、溶融状態のエステル系エラストマーを冷却して粘度を調整した後、単軸押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型(直径1.3mmのノズルを8穴有する)の各ノズルから樹脂を押し出し、30〜50℃の水中でカットした。得られた樹脂粒子は、粒子の長さLが1.4〜1.8mm、粒子の平均径Dが1.4〜1.8mmであった。
(2)発泡性粒子
内容積5Lの撹拌機付オートクレーブに、樹脂粒子1.5kg(100質量部)、蒸留水3L、界面活性剤(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、商品名:「ニューレックスR」、油化産業社製)4gを投入し、密閉した後、撹拌状態で発泡剤のブタン(ノルマルブタン:イソブタン=7:3)16質量部を圧入した。次に、オートクレーブを100℃で2時間加熱して、25℃まで冷却した。冷却完了後にオートクレーブを除圧し、直ちに蒸留水で界面活性剤を洗浄し、脱水することで発泡性粒子を得た。発泡性粒子の含浸ガス量は、7.9質量%であった。
(3)発泡粒子
発泡性粒子1.5kg(100質量部)に合着防止剤(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、商品名:「エパン450」、第一工業製薬社製)0.25質量部を塗布した後、内容積50Lの撹拌機付円筒型予備発泡機に投入し、撹拌させながらゲージ圧0.11MPaの水蒸気で加熱して、発泡粒子を得た。
(4)発泡成形体
発泡粒子をオートクレーブに投入し、ゲージ圧0.5MPaの窒素ガスを圧入した後、30℃で18時間静置して、発泡粒子に窒素ガスを含浸した(内圧付与)。窒素ガスの含浸量は、1.1質量%であった。
発泡粒子をオートクレーブから取り出して、直ちに水蒸気孔を有する400mm×300mm×厚み20mmの大きさの成形用キャビティ内に充填し、ゲージ圧0.21MPaの水蒸気で加熱成形を行い、発泡体を得た。
得られた発泡成形体の断面写真を
図8に示す。
【0047】
<実施例9>
(1)樹脂粒子
基材樹脂をエステル系エラストマー(商品名:「ペルプレン GP−600」、東洋紡社製、ハードセグメント:ポリブチレンテレフタレート及びポリブチレンイソフタレート、ソフトセグメント:脂肪族ポリエーテル)に変更したこと以外は実施例8と同様の方法で作製した。得られた樹脂粒子は、粒子の長さLが1.4〜1.8mm、粒子の平均径Dが1.4〜1.8mmであった。
(2)発泡性粒子
実施例8と同様の方法で作製した。発泡性粒子の含浸ガス量は、7.6質量%であった。
(3)発泡粒子
ゲージ圧0.26MPaの水蒸気で加熱したこと以外は実施例8と同様の方法で作製した。
(4)発泡成形体
ゲージ圧0.40MPaの水蒸気で加熱成形を行ったこと以外は実施例8と同様の方法で作製した。なお、発泡粒子の窒素含浸量は1.6質量%であった。
得られた発泡成形体の断面写真を
図9に示す。
【0048】
<実施例10>
(1)樹脂粒子
押出機のマルチノズル金型の直径を1.3mmから1.0mmに変更したこと以外は、実施例8と同様の方法で作製した。得られた樹脂粒子は、粒子の長さLが1.1〜1.5mm、粒子の平均径Dが1.1〜1.5mmであった。
(2)発泡性粒子
内容積43Lの加温密閉可能な耐圧回転式混合機に、樹脂粒子15kg(100質量部)、合着防止剤(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、商品名:「エパン450」、第一工業製薬社製)0.25質量部及び蒸留水0.3質量部を投入して密閉した後、回転状態で発泡剤のブタン(ノルマルブタン:イソブタン=7:3)16質量部を圧入した。次に、回転状態で混合機を85℃で2時間加熱した後、25℃まで冷却して混合機を除圧し、発泡性粒子を得た。発泡性粒子の含浸ガス量は、5.9質量%であった。
(3)発泡粒子
発泡性粒子1.5kgを内容積50Lの撹拌機付円筒型予備発泡機に投入し、撹拌させながらゲージ圧0.12MPaの水蒸気で加熱して、発泡粒子を得た。
(4)発泡成形体
発泡粒子をオートクレーブに投入し、ゲージ圧0.5MPaの窒素ガスを圧入した後、30℃で18時間静置して、発泡粒子に窒素ガスを含浸した(内圧付与)。窒素ガスの含浸量は、0.7質量%であった。
発泡粒子をオートクレーブから取り出して、直ちに水蒸気孔を有する400mm×300mm×厚み20mmの大きさの成形用キャビティ内に充填し、ゲージ圧0.22MPaの水蒸気で加熱成形を行い、発泡体を得た。
得られた発泡成形体の断面写真を
図10に示す。
<実施例11>
(1)樹脂粒子
実施例10と同様の方法で作製した。得られた樹脂粒子は、粒子の長さLが1.1〜1.5mm、粒子の平均径Dが1.1〜1.5mmであった。
(2)発泡性粒子
実施例10と同様の方法で作製した。発泡性粒子の含浸ガス量は、5.8質量%であった。
(3)発泡粒子
ゲージ圧0.13MPaの水蒸気で加熱したこと以外は実施例10と同様の方法で作製した。
(4)発泡成形体
ゲージ圧0.21MPaの水蒸気で加熱成形を行ったこと以外は実施例10と同様の方法で作製した。なお、発泡粒子の窒素含浸量は1.0質量%であった。
得られた発泡成形体の断面写真を
図11に示す。
【0049】
<比較例1>
スポーツシューズ(商品名:「エナジーブースト」、アディダス社製)のミッドソール部のポリウレタン発泡成形体を切り抜き、各種評価を実施した。
切り抜いた発泡成形体の断面写真を
図12に示す。
【0050】
<比較例2>
(1)発泡粒子
ポリエチレンテレフタレート(商品名:「SA−135」、三井化学社製)100質量部、ポリエチレンテレフタレートにタルクを含有させてなるマスターバッチ(ポリエチレンテレフタレート含有量:60質量%、タルク含有量:40質量%、ポリエチレンテレフタレートの固有粘度:0.88)1.8質量部及び無水ピロメリット酸0.20質量部を含むポリエチレンテレフタレート組成物を口径が65mmでかつL/D比が35の単軸押出機に供給して290℃にて溶融混練した。
続いて、押出機の途中から、イソブタン30質量%及びノルマルブタン70質量%からなるブタンをポリエチレンテレフタレート100質量部に対して0.7質量部となるように溶融状態のポリエチレンテレフタレート組成物に圧入して、ポリエチレンテレフタレート中に均一に分散させた。しかる後、押出機の前端部において、溶融状態のポリエチレンテレフタレート組成物を280℃に冷却した後、押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型の各ノズルからポリエチレンテレフタレート組成物を押出発泡させた。ポリエチレンテレフタレート組成物の押出量を30kg/hとした。
【0051】
なお、マルチノズル金型は、出口部の直径が1mmのノズルを20個有しており、ノズルの出口部は全て、マルチノズル金型の前端面に想定した、直径が139.5 mmの仮想円上に等間隔毎に配設されていた。そして、回転軸の後端部外周面には、2枚の回転刃が回転軸の周方向に180°の位相差でもって一体的に設けられており、各回転刃はマルチノズル金型の前端面に常時、接触した状態で仮想円上を移動するように構成されていた。更に、冷却部材は、正面円形状の前部と、この前部の外周縁から後方に向かって延設されかつ内径が320mmの円筒状の周壁部とからなる冷却ドラムを備えていた。そして、供給管及び冷却ドラムの供給口を通じて冷却ドラム内に20℃の冷却水が供給されていた。冷却ドラム内の容積は17684cm
3であった。冷却水は、供給管から冷却ドラムの周壁部の内周面に供給される際の流速に伴う遠心力によって、冷却ドラムの周壁部内周面に沿って螺旋状を描くように前方に向かって進んでおり、冷却液は、周壁部の内周面に沿って進行中に、徐々に進行方向に直交する方向に広がり、その結果、冷却ドラムの供給口より前方の周壁部の内周面は冷却液によって全面的に被覆された状態となっていた。
【0052】
そして、マルチノズル金型の前端面に配設した回転刃を2500rpmの回転数で回転させてあり、マルチノズル金型の各ノズルの出口部から押出発泡されたポリエチレンテレフタレート押出物を回転刃によって切断して略球状の粒子状切断物を製造した。ポリエチレンテレフタレート押出物は、マルチノズル金型のノズルから押出された直後の未発泡部と、この未発泡部に連続する発泡途上の発泡部とからなっていた。そして 、ポリエチレンテレフタレート押出物は、ノズルの出口部の開口端において切断されており、ポリエチレンテレフタレート押出物の切断は未発泡部において行われていた。
なお、上述の型内発泡成形用ポリエチレンテレフタレート発泡粒子の製造にあたっては、先ず、マルチノズル金型に回転軸を取り付けずかつ冷却部材をマルチノズル金型から退避させておいた。この状態で、押出機からポリエチレンテレフタレート押出物を押出発泡させ、ポリエチレンテレフタレート押出物が、マルチノズル金型のノズルから 押出された直後の未発泡部と、この未発泡部に連続する発泡途上の発泡部とからなることを確認した。
【0053】
次に、マルチノズル金型に回転軸を取り付けかつ冷却部材を所定位置に配設した後、回転軸を回転させ、ポリエチレンテレフタレート押出物をノズルの出口部の開口端において回転刃で切断して粒子状切断物を製造した。この粒子状切断物は、回転刃による切断応力によって外方或いは前方に向かって飛ばされ、冷却部材の冷却ドラムの内面に沿って流れている冷却水にこの冷却水の流れの上流側から下流側に向かって冷却水を追うように冷却水の表面に対して斜交する方向から衝突し、粒子状切断物は冷却水中に進入して直ちに冷却され、発泡粒子が製造された。得られた発泡粒子は、冷却ドラムの排出口を通じて冷却水と共に排出された後、脱水機にて冷却水と分離された。
(2)発泡成形体
水蒸気孔を有する400mm×300mm×厚み20mmの大きさの成形用キャビティ内に発泡粒子を充填し、ゲージ圧0.13MPaの水蒸気で加熱成形を行い、発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体の断面写真を
図13に示す。
実施例1〜11及び比較例1〜2の樹脂粒子のハードセグメント量、テレフタル酸成分量、イソフタル酸成分量、融点、結晶化温度、結晶化熱量及び樹脂ショアD硬度、発泡粒子の嵩密度、発泡成形体の密度、平均粒子径、平均気泡径(表層部)、平均気泡径(中心部)、独立気泡率、反発弾性率、C硬度、圧縮永久歪、25%圧縮応力、50%圧縮応力及び融着率をまとめて表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
表1から、実施例1〜11の発泡成形体は、高反発弾性及び低密度を示すことが分かる。
【0056】
<測定例>
実施例1〜6のエステル系エラストマーのハードセグメント量、エラストマー中のテレフタル酸成分量とイソフタル酸成分量とを、以下の方法により測定した。なお、実施例2、7、8、10及び11は同じエステル系エラストマーを、実施例6と9は同じエステル系エラストマーを使用している。
エステル系エラストマー40mgを、内部基準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を含む2gの1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP−d
2、重溶媒)に溶解させた。得られた溶液を用いて、
1H−NMRである日本電子社製AL400型により、エステル系エラストマーの
1H−NMRスペクトルを測定した。実施例1〜6のエステル系エラストマーの
1H−NMRスペクトルを、
図14〜19に示す。
得られたスペクトルを、既知物質のスペクトルと照合することで、実施例2〜4及び6のエステル系エラストマーは、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分及びブタンジオール成分から構成されていることが分かった。
更に、得られたスペクトルを、各成分の水素(a)〜(i)(下記化学式参照)に相当するピークの面積比を算出した(基準をテレフタル酸成分の水素に相当する面積を、水素原子数4個を想定して、4.0000とした)。算出した面積比を表2に示す。
【0057】
【化1】
【0058】
【表2】
【0059】
上記表2の面積比から、以下の式により各成分のモル比及び質量比を算出した。なお、ブタンジオール成分は、モノブタンジオール成分とポリブタンジオール成分に分けて算出した。算出結果を表3に示す。
(1)モル比
テレフタル酸成分:100×(f/4)/[(f/4)+(i/1)+(c/4)+(b/8)]
イソフタル酸成分:100×(i/1)/[(f/4)+(i/1)+(c/4)+(b/8)]
モノブタンジオール成分:100×(c/4)/[(f/4)+(i/1)+(c/4)+(b/8)]
ポリブタンジオール成分:100×(b/8)/[(f/4)+(i/1)+(c/4)+(b/8)]
(2)質量比
テレフタル酸成分:100×148×(f/4)/{148×(f/4)+148×(i/1)+72×(c/4)+72×[d+(b/2)]/4}
イソフタル酸成分:100×148×(i/1)/{148×(f/4)+148×(i/1)+72×(c/4)+72×[d+(b/2)]/4}
モノブタンジオール成分:100×72×(c/4)/{148×(f/4)+148×(i/1)+72×(c/4)+72×[d+(b/2)]/4}
ポリブタンジオール成分:100×72×[d+(b/2)]/4/{148×(f/4)+148×(i/1)+72×(c/4)+72×[d+(b/2)]/4}
【0060】
【表3】
【0061】
更に、上記表2の面積比から、以下の式により各エラストマーのハードセグメントとソフトセグメントの組成比(質量%)を算出した。算出結果は表1に示されている。なお、ハードセグメントは、ポリブチレンテレフタレート成分、ポリブチレンイソフタレート成分、テレフタル酸成分及びイソフタル酸成分からなり、ソフトセグメントは、ポリブタンジオール成分からなる、と定義した。
(1)ハードセグメント
100×{148×(f/4)+148×(i/1)+72×(c/4)}/{148×(f/4)+148×(i/1)+72×(c/4)+72×[d+(b/2)]/4}
(2)ソフトセグメント
100×{72×[d+(b/2)]/4}/{148×(f/4)+148×(i/1)+72×(c/4)+72×[d+(b/2)]/4}