(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
この種の電子部品装着装置は、例えば特許文献1などに開示されている。一般に、基板上へ複数の電子部品を装着するとき、先ず
図11に示したような、装着する電子部品毎装着座標であるXY座標、装着する際の電子部品の回転角度及び部品名から成る装着データに基づいて、例えば電子部品を部品供給装置から吸着して取出して基板に装着する吸装着順を最適化するソフトを利用して、吸装着順データを作成する。
図12は作成された吸装着順データの例であり、吸装着順であるシーケンスNo毎に、ヘッドNoと部品名が設定されている。
【0003】
そして、装着順序を指定するときには、
図13に示したように吸装データの部品名の行に複数のブロックを表すブロック番号(数字の1、2)を入れることで、ブロックごとで吸装着順を制御することが可能になる。
【0004】
従って、
図13に示した装着順序のブロックによる指定例では、装着データの1行目に「1」が、更に4行目に「2」が入力されており、2〜3行目の電子部品はブロック1となり、4行目の電子部品はブロック2となる。したがって、ブロック1の電子部品を基板に装着した後に、ブロック2の電子部品が装着され、ブロックを越えた順序で電子部品が装着されることはない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態につき説明する。
【0014】
図1はプリント基板等の基板上に電子部品を装着する電子部品実装ライン100の管理装置の概略説明図であり、この電子部品実装ラインは前記基板上に半田クリームを塗布するスクリーン印刷機や、基板上に接着剤を塗布する接着剤塗布装置や、基板上に電子部品を装着する電子部品装着装置1、2、3、4・・・などの作業装置を備えているが、これらの装置に限らず、電子部品実装ラインに電子部品の実装に係る他の装置も含んでもよい。
【0015】
そして、前記電子部品装着装置1、2、3、4・・・は相互に通信回線5を介して送受信が可能で有ると共に、それぞれ前記通信回線5を介して管理パソコン7にも接続されてこの管理パソコン7との間で送受信が可能である。なお、管理パソコン7は、マイクロコンピュータなどから構成される図示しない制御装置、HDD(ハードドライブディスク)等の図示しない記憶装置、表示装置であるモニタ8及びキーボード等の指定装置である入力装置9を備えている。なお、モニタ8にタッチスイッチを設け、モニタが入力装置を兼ねるようにしてもよい。
【0016】
次に、
図2に基づいて、 電子部品装着装置1を例として説明する。先ず、電子部品装着装置1には、基板6を搬送する搬送装置12と、この搬送装置12を挟んで手前側と奥側に配設される電子部品を供給するための部品供給装置13と、駆動源により一方向(Y方向)に移動可能な一対のビーム14A、14Bと、それぞれ複数(例えば、12本)の保持手段である吸着ノズル15を着脱可能に備えて前記各ビーム14A、14Bに沿った方向に各駆動源により移動可能で且つ回転可能な作業ヘッドとしての装着ヘッド16とが設けられている。
【0017】
前記搬送装置12は電子部品装着装置1の前後の中間部に配設され、上流側装置から基板6を受け継ぐ基板供給部12Aと、前記各装着ヘッド16の吸着ノズル15に吸着保持された電子部品を装着するために基板供給部12Aから供給された基板6を位置決め固定する基板位置決め部12Bと、この基板位置決め部12Bで電子部品が装着された基板6を受け継いで下流側装置に搬送する基板排出部12Cとから構成され、これら基板供給部12A、基板位置決め部12B及び基板排出部12Cは基板6の幅(搬送方向と直交する方向の幅)に合わせて間隔が調整できる一対の搬送コンベアから構成される。
【0018】
前記部品供給装置13は、キャスタ付きのカートのフィーダベース13A上に部品供給ユニット13Bを多数並設したものであり、部品供給側の先端部が基板6の搬送路に臨むように装着装置本体に連結具(図示せず)を介して着脱可能に配設され、この連結具を解除して把手を引くと下面に設けられたキャスタにより移動できる構成である。
【0019】
この部品供給ユニット13Bには多数の電子部品をキャリアテープの凹部から成る各収納部に一定の間隔で収容したカバーテープで覆う収納テープが搭載されており、収納テープを間欠送りすると共にキャリアテープからカバーテープを剥離することで、部品供給ユニット13Bの部品取出位置に電子部品が1個ずつ供給され、各収納部から前記装着ヘッド16の吸着ノズル15により取出される。
【0020】
X方向に長い前後一対の前記ビーム14A、14Bは、Y方向リニアモータ17の駆動により左右一対の前後に延びたガイドに沿って前記各ビーム14A、14Bに固定されたスライダが摺動して個別にY方向に移動する。前記Y方向リニアモータ17は左右一対の基体11A、11Bに沿って固定された左右一対の固定子と、前記ビーム14A、14Bの両端部に設けられた取付板の下部に固定された可動子17Aとから構成される。
【0021】
また、前記ビーム14A、14Bにはその長手方向(X方向)にX方向リニアモータ19によりガイドに沿って移動する前記装着ヘッド16が夫々内側に設けられており、前記X方向リニアモータ19は各ビーム14A、14Bに固定された前後一対の固定子と、各固定子の間に位置して前記装着ヘッド16に設けられた可動子とから構成される。
【0022】
従って、各装着ヘッド16は向き合うように各ビーム14A、14Bの内側に設けられ、前記搬送装置12の基板位置決め部12B上の基板6や部品供給ユニット13Bの部品取出し位置上方を移動する。
【0023】
そして、各装着ヘッド16には各バネにより下方へ付勢されている12本の吸着ノズル15が円周に沿って所定間隔を存して配設されており、各装着ヘッド16の3時と9時の位置に位置する吸着ノズル5により並設された複数の部品供給ユニット3Bから電子部品を同時に取出しすることも可能である。この吸着ノズル15は上下軸モータ20により昇降可能であり、またθ軸モータ21により装着ヘッド16を鉛直軸周りに回転させることにより、結果として各装着ヘッド16の各吸着ノズル15はX方向及びY方向に移動可能であり、垂直線回りに回転可能で、且つ上下動可能となっている。
【0024】
18は前記吸着ノズル15に吸着保持された電子部品を撮像する部品認識カメラで、22は基板6に付された基板認識マークを撮像するための基板認識カメラで各装着ヘッド16に搭載されている。
【0025】
23は種々の吸着ノズル15を収納するノズルストッカであり、前記搬送装置12の奥側位置に2個、手前側位置に2個設置可能であり、吸着ノズル15の形状・サイズが異なるために、異なる種類のものが準備される。
【0026】
図3は電子部品装着装置1の電子部品装着に係る制御のための制御ブロック図であり、以下説明する。電子部品装着装置1の各要素は制御手段、マイクロコンピュータなどから構成される制御装置31が統括制御しており、記憶装置33がバスライン34を介して制御装置31に接続されている。また、制御装置31には操作画面等を表示する表示装置としてのモニタ35及び該モニタ35の表示画面に形成された入力手段としてのタッチパネルスイッチ36がインターフェース37を介して接続されている。また、前記Y方向リニアモータ19等が駆動回路38、インターフェース37を介して前記制御装置31に接続されている。
【0027】
前記記憶装置33には、生産する基板6の機種毎に電子部品装着装置1を動かすためのパターンプログラムデータが格納され、各パターンプログラムデータは、基板6のX方向・Y方向のサイズ、厚み、基板認識の有無・各基板認識マークM1、M2の位置などから構成される基板情報データ、装着する部品毎に、基板6内でのX座標、Y座標、角度情報等から構成される装着データ、各部品供給ユニット13Bのフィーダベース13A上における配置番号に対応した各電子部品の種類の情報である部品配置データ(後述するリール配置データ)、どの装着ヘッド16のどの位置にどの種類の吸着ノズル15が装着されているかを示すノズル配置データなどから構成される。
【0028】
また、前記記憶装置33には、この電子部品の種類を表す部品ID毎に部品の種類、電子部品のサイズ、特徴等に関する部品ライブラリデータが格納されている。即ち、この部品ライブラリデータは、
図4に示したように、例えば部品名である部品ID毎にX方向、Y方向及び高さ(厚さ)方向のサイズ、部品の種類、使用するノズルの種類、電子部品が水平方向に移動するときの予め設定されている速度からの減速率及び装着優先度等から構成される。なお、装着優先度、数字により設定され、「0」は優先度の指定が無いことであり、「1」から数字が大きくなるほど電子部品実装ラインの下流の電子部品装着装置で装着を行うことを示している。
【0029】
39はインターフェース37を介して前記制御装置31に接続される認識処理装置で、前記基板認識カメラ22や部品認識カメラ18により撮像して取込まれた画像の認識処理が該認識処理装置39にて行われ、制御装置31に処理結果が送出される。即ち、制御装置31は基板認識カメラ22や部品認識カメラ18により撮像された画像を認識処理(吸着ノズル16に吸着保持された電子部品或いは位置決めされた基板6の位置ずれ量の算出など)するように指示を認識処理装置39に出力すると共に、認識処理結果を認識処理装置39から受取るものである。
【0030】
以下、
図5〜
図11に基づいて、管理パソコン7での電子部品の装着順を最適化ソフトにより決定する方法について説明する。なお、電子部品の基板への装着順が決定されると、装着順と同様に電子部品の装着順も決定されるので、以下、吸装着順という。
【0031】
最適化ソフトは、装着データ及び部品ライブラリデータを用いて基板への装着時間が短くなる吸装着順データを出力するためのソフトであり、
図5は装着データ及び部品ライブラリデータを入力として、最適化ソフトにより吸装着順データを出力することを示した最適化の説明図であり、
図6は、最適化ソフトにより電子部品実装ラインの各電子部品装着装置での吸装着順(解)を得るときのフローチャートであり、フローチャートに従い、吸装着順の最適化について説明する。
【0032】
最適化が開始されると(ステップ1)、優先順位リストが作成される(ステップ2)。即ち、管理パソコン7の制御装置は、記憶装置に格納されている基板に装着する各電子部品の部品ライブラリデータに中の装着優先度のデータに基づいて、装着優先度の数字が「1」から大きくなる順に並べ吸装着順位のデータである優先順位リストを作成する。
図7は、作成された優先順位リストであり、装着部品について装着優先度が「1」の部品から順に次に並べられる。
【0033】
優先順位リストが作成された後、管理パソコン7は、装着する電子部品を電子部品実装ラインの各電子部品装着装置に振り分ける処理を実行する(ステップ3)。この振り分け処理では、優先順位リストで優先度が高い電子部品から順に上流側の電子部品装着装置1から順に振り分けられる。
図8は、電子部品装着装置毎の振り分け処理が終わった振り分けリストであり、装着優先度が高く「1」の電子部品が電子部品装着装置1に振り分けられ、以下、各電子部品が各電子部品装着装置に振り分けられる。
【0034】
次に、管理パソコン7は、各電子部品装着装置内の吸装着順(解)のデータ(リスト)を生成する(ステップ4)。この吸装着順のデータの生成について、
図9のフローチャート等に基づいて説明する。
【0035】
例えば電子部品装着装置1内の吸装着順(解)の生成が開始されるとき、先ず、作業者は、装着する電子部品の中で、フィーダベース13A、13B上での電子部品(部品供給ユニット)の配置位置を予め指定する電子部品(以下、配置指定電子部品という。)について、配置位置を決定する。即ち、作業者は、
図10に示した電子部品装着装置1についての部品配置リストをモニタ8に表示させ、入力装置9を操作して配置指定電子部品の部品名を指定配置位置であるスロットNoの部品欄に入力する。
図10の部品配置リストでは、電子部品装着装置1の手前側のフィーダベース13Aの部品配置位置であるスロットNo117の位置に部品名COMP00を入力することにより、この電子部品の指定配置位置が管理パソコン8に登録される。同様に、電子部品装着装置1の奥側のフィーダベース13Aの部品配置位置であるスロットNo217の位置に部品名COMP01を入力することにより、この電子部品の指定配置位置が管理パソコン8に登録される。
図11はこのように登録された電子部品の装着データのリストであり、装置指定の欄に電子部品装着装置の番号と、スロットNoが入力される。なお、装置指定の欄が空欄の電子部品は指定配置位置が登録されていないことを表し、フィーダベース13Aの何れの位置にも配置可能である。
【0036】
このように、配置指定部品の登録が終わり、作業者がモニタ8の図示しない解生成のスタートボタンを操作すると、解生成が開始される(ステップ5)。そして、装着ヘッド16において吸着ノズルは配置されていることを確認し(ステップ6)する。次に、配置指定(固定)電子部品の優先配置が装着優先度よりが評価が高く設定されているので、先ず、指定配置電子部品が収納されたテープを巻装したリールのフィーダベース上での配置位置を決定する(ステップ7)。このとき、次に、吸装着順を決定する(ステップ8)。即ち、部品ライブラリデータの装着優先度のデータに基づいて装着優先度が高い電子部品、即ち、装着優先度が小さい電子部品から順に吸装着順が設定される。次に、設定された吸装着順を、各装着ヘッド毎に電子部品を吸着してから装着するまでの1回の吸装着順である1つのサイクル毎に振り分け、サイクル順が設定される(ステップ9)。そして、振り分けられた吸装着順のデータが管理パソコン8の記憶装置に格納され、電子部品装着装置1についての解生成処理は終了する(ステップ10)。即ち、電子部品装着装置1での電子部品の装着順(吸着順)を各電子部品のライブラリデータの中に入っている装着優先度に基づいて容易に設定することができる。また、その他の電子部品装着装置2、3、4等においても同様に、電子部品の装着順(吸着順)が設定される。
【0037】
次に、本発明の電子部品実装ラインに設けられている電子部品装着装置での基板への電子部品の装着動作について説明する。
【0038】
初めに、本管理措置における先頭の電子部品装着装置1は、その上流側作業装置(図示せず)から所定のロットにおける1枚目の基板6を受け取り、基板位置決め部12Bにてこの基板6を位置決め固定する。この基板6の位置決めがされると、電子部品装着装置1に設けられた一方のビーム4AがY方向リニアモータ17の駆動によりY方向に移動すると共にX方向リニアモータ19によりビーム14Aに設けられた装着ヘッド16がX方向に移動し、上述したように予め設定され、管理パソコン8から送られてきて、記憶装置31に格納された吸装着順のデータに基づいて対応する部品供給ユニット13Bの部品取出し位置上方まで移動して上下軸モータ20の駆動により装着ヘッド16に設けられた吸着ノズル15を下降させて部品供給ユニット13Bから電子部品を取出す。
【0039】
そして、取出した後は装着ヘッド16の吸着ノズル15を上昇させて、部品認識カメラ18上方を通過させ、この移動中に複数の吸着ノズル15に吸着保持された複数の電子部品を一括して撮像して、この撮像された画像を認識処理装置39が認識処理して吸着ノズル15に対する位置ズレを把握する。
【0040】
また、各装着ヘッド16に設けられた基板認識カメラ22が基板6上方位置まで移動して、基板6に付されたこの基板6全体の位置認識をするための基板認識マークM1、M1及び各割基板部6Aの位置認識をするための各割基板部6A毎の基板認識マークM2、M2を撮像し、この撮像された画像を認識処理装置39が認識処理して基板6の位置が把握され記憶装置33に格納される。
【0041】
そして、装着データの装着座標に基板6の位置決めマークM1、M1と各基板認識マークM2、M2の認識処理結果及び各部品認識処理結果を加味して、吸着ノズル15が位置ずれを補正しつつ、それぞれ電子部品を吸装着順のデータに基づいて基板6上に装着する。このようにして、基板6上に全ての電子部品の装着をしたら、この基板6を基板位置決め部12Bから基板排出部12Cを介して電子部品装着装置2に受け渡して、この基板6上への電子部品の装着動作は終了する。
【0042】
以下電子部品装着装置1と同様に、電子部品装着装置1からこの1枚目の基板6を受け継いだ電子部品装着装置2は、この基板6を位置決め固定し、装着ヘッド16を移動させて吸着ノズル15が部品供給ユニット13Bから順次電子部品を取出す。
【0043】
そして、取出し後に前記装着ヘッド16を移動させて、部品認識カメラ18上方を通過させ、この移動中に複数の吸着ノズル15に吸着保持された複数の電子部品を一括して撮像して、この撮像された画像を認識処理装置39が認識処理して吸着ノズル15に対する位置ズレを把握する。
【0044】
また、各装着ヘッド16に設けられた基板認識カメラ22が基板6上方位置まで移動して、この基板6全体の位置認識をするための基板認識マークM1、M1位置認識をするための各割基板部6A毎の基板認識マークM2、M2を撮像し、この撮像された画像を認識処理装置39が認識処理して基板6の位置及び各割基板部6Aの位置が把握され記憶装置33に格納される。
【0045】
そして、装着データの装着座標に基板6の位置決めマークM1、M1と各基板認識マークM2、M2の認識処理結果及び各部品認識処理結果を加味して、吸着ノズル15が位置ずれを補正しつつ、それぞれ電子部品を基板6上に装着する。このようにして、基板6上に全ての電子部品の装着をしたら、この基板6を電子部品装着装置3に受け渡して、この基板6上への電子部品の装着動作は終了する。
【0046】
以下、電子部品装着装置1、2と同様に、電子部品装着装置3、4においても、またN台目の電子部品装着装置においても、上述した実施例と同様の動作が行われることとなる。
【0047】
また、生産する基板の機種が変わり、装着順を設定するときも上述した方法と同様に装着する電子部品毎の部品ライブラリデータの装着優先度に基づいて電子部品の装着順のデータを容易に作成することができる。
【0048】
なお、上述した実施形態では、電子部品実装ラインの管理パソコンで部品ライブラリデータの装着優先度に基づいて装着順を決定したが、電子部品装着装置において、記憶装置33には、装着優先度のデータを有した部品ライブラリデータが格納され、制御装置31が装着順の最適化を行うときに、部品ライブラリデータの装着優先度に基づいて電子部品の装着順のデータを作成し、作成された装着順に基づいて電子部品を基板に装着するようにしてもよい。
【0049】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。