特許第6227285号(P6227285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227285
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】起泡具
(51)【国際特許分類】
   B65D 35/22 20060101AFI20171030BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   B65D35/22 D
   B65D81/32 Q
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-122688(P2013-122688)
(22)【出願日】2013年6月11日
(65)【公開番号】特開2014-240284(P2014-240284A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2016年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100112818
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 昭久
(72)【発明者】
【氏名】土屋 英里香
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英哉
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−211598(JP,A)
【文献】 特開2004−203484(JP,A)
【文献】 特開2012−090781(JP,A)
【文献】 特開2003−290317(JP,A)
【文献】 特開平10−043085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/00−35/42
B65D 81/32
A47K 5/14
A47K 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
泡の吐出部及び非通液性の材料からなる押圧変形部を備えた容器内に、起泡部材と起泡性を有する液体とが仕切りを介して分かれた状態に収容されており、前記押圧変形部を押圧して変形させることにより、前記仕切りの仕切り機能が消失して、前記起泡部材と前記液体とを接触させ得るとともに、該押圧を繰り返すことにより生じさせた泡を、前記吐出部から吐出させ得るように構成されており、
前記容器は、チューブ容器であり、該チューブ容器は、筒状のチューブ体からなり前記押圧変形部として機能する胴部と、該チューブ体の長手方向の一端に形成されたエンドシール部と、該チューブ体の長手方向の他端に形成された口首部とを備えた容器本体、及び該容器本体に固定され、前記吐出部を有するキャップ部材を有しており、
前記胴部内が前記仕切り壁により区画されて液体収容部が形成され、該液体収容部内に前記液体が収容されており、且つ該液体収容部は前記口首部から離間した位置に形成されており、
前記起泡部材は、前記吐出部を通って外部に漏れ出さない大きさを有し、前記容器内に3個以上収容されている、起泡具。
【請求項2】
前記仕切りの破断により、前記起泡部材に前記起泡性を有する液体が含浸される請求項1に記載の起泡具。
【請求項3】
前記起泡部材は、多孔質部分に加えて、貫通孔又は一端のみが開口した穴からなる空洞部を有する、請求項1又は2に記載の起泡具。
【請求項4】
前記容器は、前記起泡部材と前記起泡性を有する液体が接触した際に、前記液体に完全には浸漬しない起泡部材が存在する請求項1〜の何れか1項に記載の起泡具。
【請求項5】
前記容器には、開封後に使いきる量の前記液体が収容されている請求項1〜の何れか1項に記載の起泡具。
【請求項6】
前記容器の内部に、軟質多孔性材料の目の細かさが異なる複数種類の起泡部材が収容されている、請求項1〜の何れか1項に記載の起泡具。
【請求項7】
前記仕切りは、脆性材料から構成されるか、前記仕切りに破断誘導手段が設けられている、請求項2に記載の起泡具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起泡具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗顔料や石鹸等を泡立てる起泡具として、通水性を有する袋に多孔性部材を収容したもの等が知られている。
例えば、特許文献1には、通水シートからなる収容袋に複数の発泡ブロックを収容した泡立て具が記載され、特許文献2には、多数の細孔を有する収容網体に海綿状物を収容した洗浄具が記載されている。
また、特許文献3には、多孔質軟質シートからなる袋体に合成樹脂製のネット材を丸めて収容した洗浄用泡立て具が記載され、特許文献4には、目の細かさが異なる2種類の軟質多孔体を布地体で包み込んだ洗浄用具が記載されている。
【0003】
また、本出願人は、濡らしたネットに洗顔料を塗布した後、該ネットを手で擦り合わせることによって、きめの細かい泡を生じさせ、その泡を用いて洗顔する技術を提案している(特許文献5,6参照)。
また、別のタイプの起泡具として、特許文献7には、上方が解放された容器の内壁面に泡立て用のブラシを設け、この容器内に洗浄剤や水等を入れて泡立てるようにした洗浄剤の泡立て器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−102236号公報
【特許文献2】特開2000−17095号公報
【特許文献3】特開2003−61855号公報
【特許文献4】特開2002−253442号公報
【特許文献5】特開2000−316744号公報
【特許文献6】特開平10−276928号公報
【特許文献7】特開2002−277353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1〜4の起泡具は、洗顔料や石鹸が付着した道具を直接手に持って泡立てを行うものであるため、洗顔料や石鹸が、両手の広い範囲に付着する。両手に付着した洗顔料等は、泡立てや洗顔後に、水やお湯で洗い流すことになるが、朝などに浴室に入らずに洗顔のみを行いたい場合、両手の広い範囲を洗い流す必要があることは、時間が掛かり負担となる。また、起泡具についても使用後に付着した洗顔料等を洗い流す必要があり、その作業にも手間が掛かる。
【0006】
特許文献5〜6の技術によれば、きめの細かい泡を生じさせることができるが、洗顔料が付いたネットを直接手に持って泡立て作業を行うものであるため、特許文献1〜4の技術と同様の問題がある。
【0007】
他方、特許文献7の起泡具は、きめの細かい泡を発生させることが困難である。
【0008】
従って、本発明の課題は、従来技術が有する上述した解決課題を解決し得る起泡具に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、泡の吐出部及び非通液性の材料からなる押圧変形部を備えた容器内に、起泡部材と起泡性を有する液体とが分かれた状態に収容されており、前記押圧変形部を押圧して変形させることにより、両者を接触させ得るように構成されている、起泡具を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の起泡具は、手を汚さずに簡便に泡を生じさせることができる。さらに泡質がきめの細かい泡を生じることが可能である。また、目的に応じた適切な起泡を、場所を選ばず得ることができる。また、起泡操作をするまで、起泡性を有する液体と起泡部材とを分けた状態に維持できるので、該液体と該起泡部材との接触により生じ得る不都合の発生を防止することもできる。例えば、せん断などの外力をうけることで、安定性が損なわれるような液体に対する安定性を得ることができる。例えば、シェアにより損傷を受けやすいゲル状又はカプセル粒子を含有した起泡剤などに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の第1実施形態の起泡具を示す一部破断正面図である。
図2図2は、図1の起泡具の吐出口近傍の断面図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、起泡部材の形状の具体例を示す斜視図である。
図4図4は、内部に発生させた泡を吐出口から吐出させる様子を示す模式図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態の起泡具の模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の起泡具の一実施形態を示す図である。図1及び図3に示すように、第1実施形態の起泡具1Aは、泡の吐出部21及び非通液性の材料からなる押圧変形部22を備えた容器2内に、軟質多孔性材料からなる起泡部材3を収容してなる。また、容器2内には、起泡部材3と起泡性を有する液体6とが、液体6を透過させない仕切り壁8(仕切り)を介して分けた状態とされて収容されている。
【0013】
本実施形態の起泡具1Aにおける容器2は、図1及び図2に示すように、チューブ容器2Aである。チューブ容器2Aは、合成樹脂製の筒状のチューブ体からなる胴部23と、該チューブ体の長手方向の一端における内面間を熱融着させて形成したエンドシール部24と、該チューブ体の長手方向の他端に口首部形成部材25aを固定して形成した口首部25とを備えた容器本体20を備えている。口首部形成部材25aは、胴部23に接続された一端と口首部25に接続された他端と、前記一端と前記他端との間を繋ぐ円錐台状の肩部25bとを有している。
また、チューブ容器2Aは、容器本体20に固定されたキャップ部材26を備えている。キャップ部材26は、容器本体20の口首部25と螺合する内筒27a、内筒27aとの間に間隔を有する外筒27b、及び中央部に泡の吐出部21を有する天面部27cを備えたキャップ基部27と、ヒンジ部28を介して、キャップ基部27に対して回動可能に結合した開閉キャップ29とを備えている。開閉キャップ29は、泡の吐出部21の内面に密着して該吐出部21を液密に閉鎖可能な突起29aを備えている。チューブ容器2は、開閉キャップ29により、吐出部21を開閉自在である。なお、図2においては、チューブ容器2A内に収容された起泡部材3及び液体の図示を省略してある。
【0014】
本実施形態におけるチューブ容器2Aは、チューブ体からなる胴部23が、非通液性の材料からなる押圧変形部22となっている。押圧変形部22は、手で押圧することにより変形して、容器の内部に収容された起泡部材3を圧縮変形させ得る。また、押圧変形部22は、非通液性の材料である合成樹脂の筒状成形体からなるため、押圧変形部22を押圧させる際に、内部に収容した液体が手に付着することもない。
押圧変形部22を構成する胴部23は、変形性の向上の点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン等の柔軟な樹脂からなることが好ましい。胴部23等を構成するチューブ体は、合成樹脂の押出成形により製造されたものが好ましいが、シート状の成形体を円筒状に丸めて重ねた側縁同士を融着させて製造したものであっても良い。
また、胴部23(押圧変形部2)の外壁の肉厚は、手で押圧することによる容易に変形可能とする観点等から、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。下限は、好ましくは0.1mm以上である。
【0015】
本実施形態におけるチューブ容器2Aは、液体6を、起泡部材3から分けた状態に保持するための仕切り壁8(仕切り)を有している。より具体的には、チューブ容器2Aの胴部23内に、仕切り壁8が設けられており、それによって、チューブ容器2Aの内部に、他の部分とは仕切り壁8により区画された液体収容部50が形成されており、その液体収容部50に、起泡性を有する液体6が収容されている。
仕切り壁8は、例えば厚みの薄い樹脂フィルムやシートからなり、チューブ容器2Aの胴部23(押圧変形部)を手で強めに押圧することにより、液体収容部50の内圧が高まり容易に破断する。仕切壁8の破断は、仕切壁8の中央部等に生じても良いし、仕切壁8と胴部23との間の接合部等に生じても良い。
【0016】
本発明における仕切りは、本実施形態におけるように、押圧変形させた時の内容液の液圧による破れが生じても良いが、それに代えて、仕切り壁等の仕切りを押圧により破損させることにより破れが生じて仕切り機能を消失するものであっても良い。例えば仕切りは、脆性的な材料で構成することにより押圧によって破損しやすいものを選択することができる。「脆性材料」は、金属などの一般的な脆性材料や脆性的な樹脂を用いることができる。脆性的な材料にプラスチックを用いる場合、例えば、添加剤を調整(添加剤を添加したり、抜いたりする)し、Tg(ガラス遷移点)を使用温度以上にすることで、プラスチックの脆性化が可能である。好ましいTgの温度は40度以上、より好ましくは60度以上である。
また、仕切りは剛性の高いプラスチックからなり、予め破断線(破断誘導手段)などを入れることで破損が起こりやすい状態とすることでも本発明の機能を達成できる。破断誘導手段としては、仕切りにあらかじめ破断線を入れておいたり、破断しやすい様に一部厚みを薄くすることが有効である。また、例えば、プラスチックからなる仕切り壁に、壁の厚みの途中まで達するスリットを入れたり、壁の厚みの途中までの深さの凹部を任意のパターンで形成したりすることができる。
【0017】
本実施形態の起泡具1Aにおいては、前述したチューブ容器2A内に、軟質多孔性材料からなる起泡部材3及び起泡性を有する液体6が収容されている。
軟質多孔性材料としては、発泡ポリウレタンや、架橋型や無架橋型ポリエチレン等の軟質樹脂の発泡体、海綿動物から得られた多孔体(骨格)、合成樹脂等からなる網を積層、巻回等により立体形状としたもの等が挙げられるが、きめの細かい泡を効率よく発生させる観点の観点から、軟質樹脂の発泡体又は海綿動物の骨格からなるスポンジを用いることが好ましい。
また、軟質樹脂の発泡体(軟質多孔性材料)の目の細かさは、25mm中の孔の数である、セル数で表すことができる。ある程度細かい目の方が、もっちりした泡を立てられるが、細かすぎると、空気を取り込みにくく発泡し難いため、セル数は、20〜70個/25mmが好ましく、より好ましくは30〜70個/25mm、更に好ましくは30〜35個/25mmである。
セル数は、JIS K6400−1:2004に記載の方法で求める。
【0018】
また、起泡部材3は、図3(a)に示すように、全体が均質な軟質多孔性材料からなるものであっても良いが、図3(b)に示すように、均質な多孔質部分31に加えて、貫通孔又は一端のみが開口した穴からなる空洞部32を有するものであっても良い。均質な多孔質部分31と空洞部32とを有すると、空洞部32内に入り込んだ気体と多孔質部分31に含浸した液体とが混ざり合いやすくなって、きめの細かい泡を一層確実に生じさせることができる。
一端のみが開口した穴は、貫通することなく途中で止まっている穴である。
貫通孔又は一端のみが開口した穴からなる空洞部32は、一つの起泡部材3当たり複数個形成されていることが好ましく、総ての起泡部材3に複数個の空洞部32が形成されていることがより好ましい。
貫通孔又は一端のみが開口した穴は、その深さ方向(軸方向)に直交する断面の面積が、好ましくは0.78mm2以上、より好ましくは1.77mm2以上であり、また、好ましくは7.06mm2以下、より好ましくは3.14mm2以下である。一端のみが開口した穴は、該穴が開口する面と該面と対向する対向面との間の距離の1/3以上の深さを有することが好ましく、1/2以上の深さを有することが好ましい。
【0019】
また、起泡部材3は、チューブ容器2A等の一つの容器2に一つのみ収容されていても良いが、図1に示すように、一つの容器2に複数の起泡部材3が収容されていることが、きめの細かい泡を一層効果的に生じさせる点から好ましい。
一つの容器内に収容する起泡部材3の数は、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上であり、また、好ましくは300以下、更に好ましくは200以下である。
起泡部材3を容器内に一つのみ収容する場合の起泡部材3としては、例えば、その容器の内面形状に沿う大きさ及び外形を有するもの等が挙げられる。
【0020】
また、起泡部材3の形状としては、例えば、図3に示すように、直方体(立方体を含む)であることが好ましいが、それに制限されるものではなく、起泡部材3の形状は、任意の形状とすることができる。例えば、円柱状、円錐状、円錐台状、角柱状、角錐状、角錐台状、球状、半球状等とすることもできる。また、形状が異なる起泡部材3を組み合わせて用いることもできる。
【0021】
起泡部材3の大きさは、吐出部21を通って外部に漏れ出さない大きさであることが好ましい。また、個々の起泡部材3の大きさが、あまりに小さいと、泡の生成力が低下する。そのため、個々の起泡部材3の体積は、好ましくは0.785cm3以上、より好ましくは1cm3以上である。上限は特にないが、例えば、125cm3以下であることが好ましい。個々の起泡部材3の体積には、その起泡部材3を構成する多孔性材料の孔の内部の容積や前述した貫通孔又は止め穴からなる空洞部32の内部の容積も含める。
【0022】
起泡性を有する液体6は、起泡部材3と接触させた状態で、該起泡部材3とともに圧縮されることにより多数の泡を生じうるものである。起泡性を有する液体は、少なくとも1種類以上の界面活性剤を有していることが好ましい。
界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤の何れでも良い。また、界面活性剤は、起泡性を有する液体の用途に応じて、特に制限なく用いることができる。また、界面活性剤以外の成分についても、起泡性を有する液体の用途に応じて、その用途に従来用いられている各種の成分を特に制限なく配合することができる。泡立ち性の向上の観点等から、起泡性を有する液体中、界面活性剤の含有割合は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下であり、また、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは15〜30質量%である。
【0023】
起泡性を有する液体の用途としては、洗顔料、ハンドソープ、食器用洗剤、シャンプー、眼鏡拭き剤等が挙げられる。
液体の用途が洗浄剤である場合、少なくとも、該液体には、少なくとも以下の表1に示す洗浄基材が、例えば、表1に示す割合(質量%)で含まれていることが更に好ましい。
【0024】
【表1】
【0025】
本実施形態の起泡具1Aによれば、押圧変形部22である胴部23を両手又は片手で押圧することにより、仕切り壁(仕切り)8による分離状態が解除されて、泡性を有する液体6が、起泡部材3と接触する。
そして、泡性を有する液体6と起泡部材3とが接触した状態において、押圧変形部22である胴部23を再び押圧することにより、液体6が含浸した状態の起泡部材3を圧縮させることができる。胴部23の押圧は、仕切り壁8等による分離状態を解除する押圧を1回目として、2回以上繰り返すことが好ましく、3回以上繰り返すことが、泡質が均一になることからも、より好ましい。
そして、液体6が含浸した状態の起泡部材3を圧縮することにより、容器2の内部に、きめの細かい多数の泡が発生する。圧縮を複数回繰り返すことにより、一層確実に、きめの細かい多数の泡を発生させることができる。なお、本実施形態の起泡具1Aは、容器本体20を片手で持ち、容器本体20をその片手で持ちながら、上記の一連の操作を行うことができ、作業性にきわめて優れている。
そして、吐出部21を解放した状態で、容器2の押圧変形部22を再度押圧することにより、図4に示すように、容器の内部に発生した、きめの細かい泡4を、解放された吐出部21から手の平5の上などに吐出させることができる。
【0026】
本実施形態の起泡具1Aによれば、このようにして、きめの細かい泡を容易に発生させることができる。しかも、泡を生じさせる際に、内部の液体や発生した泡が手に付くこともない。そのため、例えば、泡状の洗顔料を用いて洗顔する場合にも、手の平の最低限必要な範囲に洗顔料を乗せて洗顔することができ、洗顔後に手に付着した洗顔料を容易に水やお湯で洗い流すことができる。
また、道具である起泡具1Aについても、使用後の処理は、開閉キャップ29で吐出部21を閉鎖するだけで良い。従って、道具に付着した洗顔料等を洗い流す必要もなく、洗顔後の道具の後片付け等の負担も軽減される。
また、吐出部21の近傍に起泡部材3を存在させ、内部に発生した泡を、その起泡部材3内を通過させて外部に押し出すことによって泡のサイズを揃えることもできる。
【0027】
また、起泡性を有する液体6を起泡部材3と当初は分けた状態としておき、押圧変形部を押圧変形させる等の所定の操作により、仕切りが破れて両者が接触するようにすることで、起泡性を有する液体6が、起泡部材3に接触すると新鮮さが低下する性質を有する場合であっても、その新鮮さを長時間維持させることができる。
また、起泡性を有する液体を起泡部材3に長時間接触させると該液体に起泡部材3の臭いが移る等の不都合を生じ得る場合にも、当初は分離状態としておき、所定の操作で両者が接触するようにすることで、そのような不都合を解消ないし軽減することもできる。
【0028】
本発明では、容器を一回使いきりの容量とすることが好ましい。それにより、洗顔時の機能性を上げることが可能となる。適切な量の洗顔料を、容器内に入れておくことで、適切な起泡と洗顔効果を得ることができる。また、使用場所を選ばず、起泡を得ることができる。特に手がふさがっていた際に、片手操作で起泡、洗顔を行うことが可能となる。ここで、容器を一回使いきりの容量とは、例えばメイク落としの場合、洗顔を始めて終わるまでに一度で使うメイク落としの使用量を言い、使用法として能書に記載された内容を言う。
【0029】
また、本実施形態の起泡具1Aによれば、チューブ容器2Aの内部に、起泡性を有する液体6が、仕切りにより起泡部材3と分けた状態に収容されている。
そのため、容器2内に収容する液体が、従来、粘度が低くて、チューブ容器に適さない液状製品等である場合であっても、チューブ容器に収容しての市販等が可能となる。例えば、チューブ容器内に収容する液体は、比重が、1.1以下であっても良く、更には1.0以下であっても良い。但し、当該比重は0.9以上であることが好ましい。尚、チューブ容器は、従来、ペースト状のものの収容容器として使用されている。
【0030】
容器2の内部に泡を発生させるためには、容器2の内部に空気も存在する必要がある。そのため、吐出部21を閉鎖した状態で泡立て作業を行えるようにするためには、例えば、本実施形態の起泡具1Aを、チューブ容器入り洗顔料等として市販する場合、消費者が吐出部を解放させる前の状態から、内部に空気が入っていることが好ましい。
また、吐出部21を解放した状態で泡立て作業を行っても良く、例えば、解放された吐出部21を上方に向けて押圧操作を行えば、容器内の液体や泡が意図せずに漏れることを防止しつつ容器内に泡を発生させることができる。このように使用することを想定すると、消費者が吐出部を解放させることによって、初めて内部に空気が取り込まれるようにしても良い。
【0031】
本発明の起泡具においては、泡の吐出部が開放されていない未使用状態(例えば、店舗における棚等に商品として陳列されている状態)において、容器2内に空気等の気体が含まれていることが好ましい。
【0032】
また、本発明の起泡具1Cにおいては、容器2内に、起泡部材3として、軟質多孔性材料の目の細かさが異なる複数種類の起泡部材3A,3Bが収容されていることも好ましい。例えば、2種類の起泡部材として、目の細かい起泡部材と、その起泡部材に比して目の粗い起泡部材とを収容することにより、目の細かい起泡部材により濃密な泡を発生させることができる一方、目が相対的に粗い起泡部材により泡の吐出性や容器2を押圧して圧縮させたときの復元性等を向上させることができる。
【0033】
本発明においては、通常、起泡部材、起泡性を有する液体、空気が、容器内に存在するが、全ての起泡部材が、起泡性を有する液体に満たされている必要は無い。起泡部材内部を、空気が通過できるように、液体が充填されていないところを有することで、起泡性を高めることができる。
即ち、本発明の起泡具における容器2は、起泡部材3と起泡性を有する液体が接触した際に、該液体に完全には浸漬しない起泡部材が存在することが好ましい。例えば、第1実施形態においては、仕切り壁8による分離状態を解除したときに、起泡性を有する液体に浸漬された起泡部材と、該液体に完全には浸漬されない起泡部材とが生じることが好ましい。液体に浸漬された起泡部材とは、液体中に全体が浸っているものであり、完全には浸漬されない起泡部材とは、液体から全体又は一部が露出しているものである。完全には浸漬されない起泡部材は、気体を含んでおり、起泡部材に含ませ得る最大量の液体を含んでいないものである。
液体に浸漬された起泡部材と完全には浸漬されない起泡部材とを含むことにより、液体と気体とが一層良好に混合して、目の細かい濃密な泡を生じさせることができる。
【0034】
本発明は、上述した実施形態に制限されない。
例えば、第1実施形態の起泡具においては、起泡部材3と起泡性を有する液体とを分離状態に保持する仕切りとして仕切り壁8を設けたが、それに代えて、起泡性を有する液体を破れやすい袋に収容するなどして、容器2内に、起泡部材3と起泡性を有する液体とを分けた状態に収容しておくことも好ましい。
また、仕切り壁8の形成態様は、図1に示すものに限定されることなく、起泡性を有する液体6と泡部材3とを分離して保持できる限り多様な態様で形成することができる。例えば、チューブ容器2Aの軸方向(図1の上下方向)の中央部に、仕切り壁を該軸方向の直交方向に延在させて形成しても良い。
【0035】
また、本発明におけるチューブ容器2Aは、胴部23を構成する筒状のチューブ体と口首部形成部材25aが一体成形により形成されていても良い。また、チューブ容器は、容器本体20の口首部25に、螺合、嵌合、係合等により直接、口首部25を開閉可能な開閉キャップが取り付けられていても良い。キャップ部材26におけるキャップ基部27と開閉キャップ29とは、ヒンジ部28を介して連結されておらず、完全に分離可能なものであっても良い。
【0036】
また、本発明における容器は、ボトル容器等の他の形態の容器であっても良い。本発明の第2実施形態の起泡具1Bは、図5に示すように、容器2として、ボトル容器2Bを具備している。図5に示すボトル容器2Bは、口首部、胴部及び底部を備えたボトル状の容器本体20と、該容器本体の口首部に螺合により脱着自在に取り付けられて口首部上端の開口部を開閉するキャップ26Bとからなる。ボトル容器2B内には、図示しないが、起泡部材3と、起泡性を有する液体とを分離状態に保持するための仕切りが設けられている。仕切りは、仕切り壁であっても良いし、ボトル容器2B内に収容した小袋等であっても良い。第2実施形態の起泡具1Bにおいても、押圧変形部である容器本体20の胴部を手で押圧して仕切りの機能を消失させることにより、起泡性を有する液体と起泡部材3とを接触させることができ、押圧変形を繰り返すことによりきめの細かい泡を発生させることができる。
【0037】
また、本発明における容器は、スタンチングパウチであっても良い。スタンディングパウチの例としては、合成樹脂製のシートの所定箇所をヒートシール等により接合して袋状に形成した袋本体を備えるとともに、袋本体の上部等に、切断により開口する吐出部又はキャップ等により開閉可能な吐出部を形成してなり、袋本体の底部を棚の上面等に接地させて自立させることが可能なものが挙げられる。
また、本発明における容器は、泡の吐出部をキャップ等で繰り返し開閉自在であることが好ましいが、一度開封したら再度閉鎖する手段を持たないワンウェイタイプの容器であっても良い。
【符号の説明】
【0038】
1A,1B 起泡具
2 容器
2A チューブ容器
2B ボトル容器
20 容器本体
21 吐出部
22 胴部(押圧変形部)
24 エンドシール部
26 キャップ部材
27 キャップ基部
29 開閉キャップ
3 起泡部材
31 多孔質部分
32 空洞部
4 泡
5 手の平
6 起泡性を有する液体
8 仕切り壁(仕切り)
図1
図2
図3
図4
図5