(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、このような無線式の防災監視システムにおいては、電波中継器の子ノードとして配置された無線式感知器からの無線信号を中継するため、電波中継器に無線式感知器のノードID(機器ID)を予め登録し、無線信号から得られた送信IDが登録したノードIDに一致した場合に中継するようにしている。
【0010】
また無線受信用中継器については、無線信号を受信する無線式感知器及び電波中継器のノードIDを予め登録し、無線信号から得られた送信IDが登録したノードIDに一致した場合に、受信機に火災発報信号を送るようにしている。
【0011】
更に、電波中継器に登録されているノードIDを、無線受信用中継器に送信して予め登録し、電波中継器で中継された電文が何らかの原因で届かず、無線式感知器からの電文が直接届いていた場合、追加登録したノードIDとの一致で有効な無線信号として処理し、中継送信に依存せずに迅速に処理するようにしている。
【0012】
ところで、このような従来の無線防災システムで使用している426MHz帯の特定小電力無線にあっては、占有帯域幅が狭いために通信速度が例えば1200〜4800bpsと遅く、無線式感知器、電波中継器及び無線受信用中継器の間で無線信号を送受信する場合、無線信号が相手先に到達するまでに時間がかかる場合がある。
【0013】
例えば、無線防災システムの設置時に、無線受信用中継器に無線式感知器及び電波中継器のノードID(機器ID)を登録するため、表示器を使用して無線式感知器又は電波中継器の登録アドレスを指定し、続いてスイッチ操作で登録待ち状態を設定し、この状態で登録要求操作に基づき無線式感知器または電波中継器から送信されてくる起動電文又は試験電文を受信し、電文に含まれる送信元IDを取得してメモリに登録しており、この登録処理に時間がかかる問題がある。
【0014】
また、無線防災システムにあっては、火災又は火災復旧を示す機器状態電文以外に、起動電文、試験電文、登録要求電文、定期通報電文、障害電文といった様々な機器制御電文を送受信しており、これらの電文が相手先に到達して処理を完了するまでに時間がかかる問題がある。また、それらの電文の通信中に火災が発生した場合には、火災信号の受信に時間がかかったり、もしくは受信できない状態になることも想定される。
【0015】
一方、広い占有帯域を確保することで通信速度の速い920MHz帯を使用した特定小電力無線局が知られている。920MHz帯の無線通信は、2.4GHz帯より通信到達距離が長く、426MHz帯より通信速度が高速となるバランスの良い周波数割当帯域であり、電力やガスなどのスマートメータや家庭用エネルギ管理システム(HEMS:Home Energy Management System)等の無線ネットワークやセンサネットワークの構築に広く利用可能とされている。920MHz帯の無線通信は、キャリアセンスを行って通信が空いているときに伝送することが義務づけられている。
【0016】
そこでセキュリティ用を対象とした426MHz特定小電力無線を、通信速度を高速化するために、一般データ用を対象とした920MHz特定小電力無線に置き換えることも考えられるが、これはセキュリティ専用の周波数割当帯域の設定という規格の意図を損なうこととなり、そのような置き換えはできない。
【0017】
本発明は、セキュリティ用と一般データ用の異なる2つの周波数割当帯域の特定小電力無線を併用して異常発生監視の信頼性と通信速度の高速化による処理時間の短縮を可能とする無線防災システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、センサノードと親ノードで構成され、センサノードから送信された無線信号を親ノードで受信して処理する無線防災システムに於いて、
センサノード及び親ノードの各々に、
セキュリティ用の特定小電力無線局を対象とした所定の第1周波数割当帯域を使用して
、監視区域の異常検知状態を示す機器状態電文を送受信する第1無線通信部と、
第1周波数割当帯域とは異なる、データ用の特定小電力無線局を対象とした所定の第2周波数割当帯域を使用して
、機器状態電文以外の機器制御電文を送受信する第2無線通信部と、
を有する無線通信部を
備え、
機器状態電文の送受信及び機器制御電文の送受信を並行して行うことが可能であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、センサノードと親ノードで構成され、センサノードから送信された無線信号を親ノードで受信して処理する無線防災システムに於いて、
センサノード及び親ノードの各々に、
セキュリティ用の特定小電力無線局を対象とした所定の第1周波数割当帯域を使用して、監視区域の異常検知状態を示す機器状態電文を送受信する第1無線通信部と、
第1周波数割当帯域とは異なる、データ用の特定小電力無線局を対象とした所定の第2周波数割当帯域を使用して、機器状態電文及び機器状態電文以外の機器制御電文を送受信する第2無線通信部と、
を有する無線通信部を備え、
第1周波数割当帯域及び第2周波数割当帯域の一方を使用して機器状態電文を送信した後に受信確認ができない場合は、一方の周波数割当帯域を使用して繰り返し送信するか、他方の周波数割当帯域を使用して送信するかの何れかを選択して受信確認ができない機器状態電文を再送することを特徴とする。
【0020】
無線通信部は、第1無線通信部と第2無線通信部により無線信号を、
第1周波数割当帯域と第2周波数割当帯域を交互に使用して送信するか、
第1周波数割当帯域と第2周波数割当帯域を同時に使用して送信するか、
第1周波数割当帯域を使用して送信した後に第2周波数割当帯域を使用して送信する。
【0021】
機器状態電文は、監視区域の異常検知及び異常復旧を示す。
機器制御電文は、登録要求電文を含む。
【0022】
親ノードは、受信した無線信号を中継して無線送信する電波中継ノードである。
【発明の効果】
【0023】
(基本的な効果)
本発明の無線防災システムによれば、センサノード及び親ノードの無線通信部として、セキュリティ用の特定小電力無線局を対象とした所定の第1周波数割当帯域を使用して信号を送受信する第1無線通信部と、第1周波数割当帯域とは異なる、データ用の特定小電力無線局を対象とした所定の第2周波数割当帯域を使用して信号を送受信する第2無線通信部とを設けるようにしたため、センサノードと親ノードの間で送受信する無線信号を、セキュリティ用の第1周波数割当帯域とデータ用の第2周波数割当帯域を使用して二重に送受信することを可能とし、それぞれの周波数割当帯域の利点を生かした無線信号の送受信が可能となる。
【0024】
(2つの周波数割当帯域の併用による効果)
また、第1無線通信部の第1周波数割当帯域はセキュリティ専用の特定小電力無線局を対象とした周波数割当帯域であり、第2無線通信部の第2周波数割当帯域はデータ用の特定小電力無線局を対象とした周波数割当帯域としたため、第1周波数帯域による無線信号の送受信については、セキュリティ専用で他種信号との混信がない信頼性を確保した通信制御を行うことを可能とし、第2周波数割当帯域による無線信号の送受信については、データ用としての通信速度の高速性を生かした通信制御を行うことを可能とする。
【0025】
(単一アンテナによる効果)
また、無線通信部は、第1無線通信部で使用する第1周波数割当帯域の信号を通過させる第1フィルタと、第2無線通信部で使用する第2周波数割当帯域の信号を通過させる第2フィルタとを介して第1無線通信部及び第2無線通信部の各々と、第1周波数割当帯域の信号と第2周波数割当帯域の信号の送受信が可能なアンテナとを接続するようにしたため、例えば第1周波数割当帯域を426MHz帯、第2周波数割当帯域を920MHz帯とした場合、アンテナ長を第1周波数割当帯域426MHzの1/4波長とした場合、第2周波数割当帯域920MHzの5/8波長に対応したアンテナ長の近傍の長さとなり、このため第1周波数割当帯域426MHzの送受信と第2周波数割当帯域920MHzの送受信を1本のアンテナで併用でき、警報器の構成を簡単にして、コストの増加を最小限に抑えることを可能とする。
【0026】
(2つの周波数割当帯域
の使い分けによる効果)
第1無線通信部は火災等の異常検知を示す機器状態電文をセキュリティ用の第1周波数割当帯域を使用して送受信し、第2無線通信部は機器状態電文及び機器状態電文以外の機器制御電文をデータ用の第2周波数帯域を使用して送受信することで、異常検知を示す機器状態電文を送受信については、セキュリティ情報以外の種類信号が伝搬しない、セキュリティ用の第1周波数割当帯域で信頼性を確保した通信制御を行うことを可能とし、一方、機器状態電文以外の機器制御電文については、データ用の第2周波数割当帯域で高速性を生かして処理時間の短縮を可能
とし、また、他の機器から送信された火災検知の重要な状態信号と混信することがない。更に、火災を示す機器状態電文をデータ用の第2周波数割当帯域も使用して送受信することで、セキュリティ用の第1周波数割当帯域の通信障害に対しバックアップ通信を行って信頼性を高めることを可能とする。
【0027】
また、第1無線通信部は火災を示す機器状態電文をセキュリティ用の第1周波数割当帯域を使用して送受信し、第2無線通信部は機器状態電文以外の機器制御電文をデータ用の第2周波数割当帯域を使用して送受信することで、例えばデータ用の第2周波数割当帯域を使用して登録要求電文、試験電文、障害電文などを送受信中のセンサノードで火災が検知された場合、機器制御電文の送受信を中断することなく、あるいはその影響を受けずにセキュリティ用の第1周波数割当帯域を使用して火災を示す機器状態電文を確実に送信して警報させることを可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[無線防災システム]
(無線防災システムの概要)
図1は本発明による無線防災システムの実施形態を示した説明図である。
図1に示すように、監視対象となる建物11の各階には無線防災ノードとして機能する無線受信用中継器12−1〜12−3が設置され、火災受信機であるP型受信機10から階別に引き出された感知器回線18−1〜18−3に接続されている。
【0030】
1F〜3Fの各階には、センサノードとして機能する火災等の監視エリアの異常事態を検知する無線式感知器16−11〜16−14、16−21〜16−24、及び16−31〜16−34が設置されている。また本実施形態にあっては、無線受信用中継器12−1〜12−3に対し、距離が離れている無線式感知器からの電波の減衰による信号喪失を防ぐために、電波中継ノードとして機能する電波中継器14−1〜14−3を設置している。
【0031】
尚、無線式感知器16−11〜16−34、電波中継器14−1〜14−3、無線受信用中継器12−1〜12−3を区別しない場合は、無線式感知器16、電波中継器14、無線受信用中継器12と呼ぶ。
【0032】
ここで、親子関係をみると、無線式感知器16と無線受信用中継器12は親子関係にあり、無線式感知器16は子ノードであり、無線受信用中継器12は親ノードとなる。無線式感知器16と電波中継器14も親子関係にあり、無線式感知器16は子ノードであり、電波中継器14は親ノードとなる。電波中継器14と無線受信用中継器12も親子関係にあり、電波中継器14は子ノードであり、無線受信用中継器12は親ノードとなる。
【0033】
無線式感知器16、電波中継器14及び無線受信用中継器12は、セキュリティ用の特定小電力無線局を対象とした426MHz帯の第1周波数割当帯域を使用して電文信号を送受信すると共に、データ用の特定小電力無線局を対象とした920MHz帯の第2周波数割当帯域を使用して電文信号を送受信する。
【0034】
なお、電文信号は以下の説明では「電文」とする。また、426MHz帯の第1周波数割当帯域の電文を「426MHz電文」といい、920MHz帯の第2周波数割当帯域の電文を「920MHz電文」という。また単に「電文」とした場合は、426MHz電文と920MHz電文の両方を意味する場合がある。
【0035】
また、無線監視システムにあっては、火災検出及び火災復旧を
含む監視エリアの異常検知状態を示す電文を送受信すると共に、システムにおける各種設定や監視に使用する機器制御電文を送受信し、この機器制御電文には、登録要求電文、障害電文、起動電文、試験制御電文が含まれる。
【0036】
このような機器状態電文及び機器制御電文の426MHz帯と920MHz帯を使用した通信モード(使い分け)は次のものがある。
(通信モード1)
火災などの監視エリアの異常事態であって処理優先度の高い重要な機器状態電文を426MHz帯で通信し、異常事態よりは処理優先度や重要度の低い登録要求電文などの機器制御電文を920MHz帯で通信する。
(通信モード2)
火災電文などの機器状態電文を426MHz帯で通信し、火災電文などの機器状態電文と登録要求電文などの機器制御電文を920MHz帯で通信する。
【0037】
通信モード1は、火災や火災復旧を示す処理優先度の高い機器状態電文をセキュリティ専用の426MHz帯で通信することでセキュリティ以外の一般の無線信号と混信することがなく信頼性を確保でき、IDなど登録要求電文の機器制御電文を920MHz帯で高速通信して処理時間を短縮するモードとなる。
【0038】
通信モード1の場合、例えば1階の無線式感知器16−11が火災を検知したとすると、無線式感知器16−11は通信経路15aで示すように426MHz電文で火災検出信号を電波中継器14−1へ送信し、これを受信した電波中継器14−1は通信経路15aで示すように、受信した周波数帯域と同じ426MHz電文で無線式感知器16−11の火災検出信号を無線受信用中継器12−1へ送信する。
【0039】
一方、通信モード2は、通信モード1に火災や火災復旧を示す機器状態電文の920MHz帯による通信を加え、426MHz帯で通信障害が起きても火災や火災復旧を示す機器状態電文を確実に通信可能とするバックアップ機能を果すモードとなる。
【0040】
通信モード2の場合、例えば1階の無線式感知器16−11が火災を検知したとすると、無線式感知器16−11は通信経路15aで示すように426MHz電文で火災検出を電波中継器14−1へ送信すると共に通信経路15bで示すように920MHz電文で火災検出を電波中継器14−1へ送信する。これを受信した電波中継器14−1は、通信経路15aで示すように426MHz電文で火災検出を無線受信用中継器12−1へ送信すると共に、通信経路15bで示すように920MHz電文で火災検出を無線受信用中継器12−1へ送信する。
【0041】
なお、426MHz電文の方も、火災検知等の電文が親ノードに送信できることを確認するため、426MHz電文で定期通報電文、通信試験電文を送信して試験を行う。
【0042】
以下の説明は、通信モード1を例にとって説明するが、通信モード2とした場合も基本的に同様となる。
【0043】
無線式感知器16−11〜16−34及び電波中継器14−1〜14−3のそれぞれには、機器IDを使用した固有のノードIDが予め登録されている。
【0044】
また無線受信用中継器12−1〜12−3,電波中継器14−1〜14−3及び無線式感知器16−11〜16−34には、階別に無線ネットワークを構築していることから、階毎に異なるネットワークアドレス(以下、単に「アドレス」という)を設定している。
【0045】
無線式感知器16−11〜16−14は火災による煙濃度または温度が所定の閾値を超えたときに火災と判断し、426MHz電文で火災検出を所定間隔で繰り返し無線送信する。
【0046】
電波中継器14−1と無線受信用中継器12−1のそれぞれには、親子関係において子ノードに対応する送信元を特定するノードIDが予め登録されている。即ち、無線受信用中継器12−1には子ノードとなる無線式感知器16−13,16−14及び電波中継器14−1のノードIDが予め登録されている。また電波中継器14−1には、子ノードとなる無線式感知器16−11,16−12のノードIDが予め登録されている。電波中継器14−1と無線受信用中継器12−1は、内蔵した電池の寿命を長くするため、無線信号の受信回路を間欠的に起動して子ノードからの無線信号を受信する。
【0047】
また、無線受信用中継器12−1は、通常は電波中継器14−1を介して無線式感知器16−11,16−12からの各種無線信号を受信する状況において、電波中継器14−1を経由せずに無線式感知器16−11,16−12から送信した電文を直接受信した場合であっても、有効な電文としての処理を可能とするため、無線受信用中継器12−1の記憶部に、同じ階(グループ)に設置された無線式感知器16−11、16−12のノードIDも登録している。無線受信用中継器12の記憶部への各機器のノードIDの登録は、無線受信用中継器12とその他の子ノードを相互に通信することで各子ノードのIDを登録してもよいし、先に電波中継器14に登録した無線式感知器16のノードIDを、無線受信用中継器12に920MHz帯の高速通信を使用して転送することにより無線受信用中継器12の記憶部に追加登録する構成でもよい。
【0048】
2F及び3Fの無線受信用中継器12−2,12−3及び電波中継器14−2,14−3についても同様である。
【0049】
なお、子ノードが親ノードからの無線信号を受信する必要がある場合は、子ノードの記憶部には、親ノードのノードIDを記憶して、親子双方が送受信できるようにする。親ノードから子ノードへの無線信号においても、426MHz電文と920MHz電文を通信内容の種別に応じて使い分ける。例えば重要度高い火災信号に関わる信号(火災信号を受信できた旨の確認信号など)を426MHz電文で子ノードから親ノードへ送信し、機器制御電文は920MHz電文で送信する。なお、子ノードから親ノードへ伝送する426MHz電文での火災等の機器状態電文と混信させないために、親ノードから子ノードへの電文(例えば、火災信号を確認できた旨の電文、試験制御電文)は原則920MHz電文を使用して送信するようにしてもよい。
【0050】
このような無線受信用中継器12−1及び電波中継器14−1に対するノードIDの登録により、電文を受信した際には、電文に含まれる送信元IDと予め登録したノードIDとを比較し、例えば両者が一致したときに有効な電文として処理することになる。
【0051】
電波中継器14−1は、無線式感知器16−11,16−12からの電文を受信した際に、電文の送信元IDと登録しているノードIDとを比較し、両者が一致したときに有効な電文として無線受信用中継器12−1に対し中継送信する。
【0052】
無線受信用中継器12−1は、子ノードとして割り当てられた無線式感知器16−13,16−14からの電文を受信した際に、電文の送信元IDと登録しているノードIDとを比較し、両者が一致したときに有効な電文として受信処理し、処理結果をP型受信機10に送信する。
【0053】
電波中継器14や無線受信用中継器12は、子ノードから426MHz電文と920MHz電文の両方を受信した場合は、処理優先度が高く重要な情報が含まれている426MHz電文の内容を優先的に処理する。
【0054】
無線受信用中継器12−1は、受信した電文が無線式感知器16からの火災を示す電文であった場合、P型受信機10に対し感知器回線18−1に対する接点出力として発報電流を流すことで火災発報信号を送信する。
【0055】
また無線受信用中継器12−1は電波中継器14−1を経由して無線式感知器16−11,16−12から電文を受信した場合にも、電文に含まれる送信元IDと予め登録したノードIDとの一致により有効な電文として受信し、受信結果をP型受信機10に送信する。
【0056】
更に無線受信用中継器12−1は、割り当て対象となっていない無線式感知器16−11,16−12より直接、電文を受信した場合についても、受信した電文の送信元IDと追加登録されたノードIDと比較し、両者が一致したときに有効な電文として処理し、処理結果をP型受信機10に送信することになる。
【0057】
また本実施形態にあっては、電波中継器14−1及び無線式感知器16−11〜16−14が正常に動作していること、即ち持ち去りや電池切れが発生していないことを監視するため、当該各ノードは920MHz定期通報電文を定期的に送信する。
【0058】
無線式感知器16−11〜16−14及び電波中継器14−1からの920MHz定期通報電文の送信に対し、無線受信用中継器12−1は、電文の送信元IDと登録したノードIDの一致により有効な電文として受信したとき、登録したノードIDごとに設けている定期通報タイマをリセットスタートしている。しかしながら、定期的に920MHz定期通報電文が受信されずに定期通報タイマが所定時間を超えてタイムアップした場合には、そのノードが正常に動作していない定期通報異常であることを判断し、P型受信機10に対し障害発生を通知する。
【0059】
この障害発生通知は、例えばP型受信機10からの感知器回線18−1に接続している終端抵抗を切り離して擬似的に断線状態を作り出すことで、定期通報異常による障害発生を通知する。
【0060】
なお、火災信号が伝送される426MHz電文が正しく親子関係で伝送できることを確認するために、426MHz電文のほうも定期通報を行っても良い。この場合は、火災等の異常信号と混信する確率を低くするため、426MHz電文は920MHz定期通報電文の送信周期よりも長く設定するとよい。
【0061】
[無線式感知器の構成]
(無線式感知器の概略)
図2は
図1に設けた1Fの無線式感知器16−11を取り出して、その機能構成の概略を示したブロック図である。なお、他の無線式感知器16−12〜16−34も同様となる。
【0062】
図2に示すように、センサノードとして機能する無線式感知器16−11は、制御部20、無線通信部22、アンテナ24、センサ部26、試験用・登録用スイッチなどの操作部28及びバッテリー30で構成される。
【0063】
センサ部26は温度検出部または検煙部(煙検出部)である。センサ部26として温度検出部を設けた場合、温度検出素子として例えばサーミスタを使用し、この場合、温度による抵抗値の変化に対応した電圧検出信号を制御部20へ出力する。またセンサ部26として検煙部を設けた場合、公知の散乱光式の検煙構造をもち、制御部20の指示により、所定周期でLEDを用いた発光部を間欠的に発光駆動し、フォトダイオードなどの受光部で受光した散乱光の受光信号を増幅し、煙濃度に応じた検出信号を制御部20へ出力する。
【0064】
制御部20は、例えばプログラムの実行により実現する機能である。ハードウェアとしてはCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等を使用する。
【0065】
(無線通信部の構成)
無線通信部22は、第1無線通信部32、第2無線通信部34、ローパスフィルタ(LPF)36、ハイパスフィルタ(HPF)38、分波器40を備える。
【0066】
第1無線通信部32は、セキュリティ用の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)となる426MHz帯の第1周波数割当帯域となる無線信号、即ち426MHz電文を送受信する。
【0067】
第1無線通信部32による送信は、STD−30の通信規格に従い、空中線電力が10mW以下であり、426.250MHz以上で426.8375MHz以下の周波数の電波を使用することで、キャリアセンスを行うことなく無線送信を行う。また、第1無線通信部32による送信は、STD−30の規格に従い、送信開始から3秒以内の所定の送信時間T1で送信を停止して2秒の休止時間を設け、これを繰り返す。更に、第1無線通信部32による受信は、常時受信状態を維持しているが、電池消耗を低減するために、間欠受信としても良い。
【0068】
第2無線通信部28は、データ用の特定小電力無線局の標準規格(STD−T108)として知られた920MHz帯の第2周波数割当帯域となる無線信号、即ち920MHz電文を送受信する。
【0069】
第2無線通信部34による送信は、920MHz帯の通信規格に従い、空中線電力が250mW以下であり、916MHz以上で928MHz以下の周波数の電波を使用することで、キャリアセンスに基づき無線送信を行う。また、第2無線通信部34による受信は、常時受信状態を維持しているが、電池消耗を低減するために、間欠受信としても良い。
【0070】
第1無線通信部32はローパスフィルタ36を介して分波器40の一方の分波端子に接続し、また、第2無線通信部34はハイパスフィルタ38を介して分波器40の他方の分波端子に接続し、分波器40の結合端子は同軸ケーブルによりアンテナ24の給電点42に接続している。
【0071】
ローパスフィルタ36は426MHz帯近傍以下の信号を通過し、ハイパスフィルタ38は920MHz帯近傍以上の信号を通過し、これにより426MHz帯の送受信信号と920MHz帯の送受信信号を相互に高周波的に分離している。
【0072】
アンテナ24は単ポール型のアンテナを使用しており、アンテナ長Lは、426MHz帯と920MHz帯を併用可能な長さとしている。すなわち、アンテナ24のアンテナ長Lは、426MHzの1/4波長で、かつ、920MHzの5/8波長としている。具体的には、426MHz帯における1/4波長のアンテナ長L={(300×106)/(426×106)}/4≒0.176m=17.6cmであり、926MHz帯における5/8波長のアンテナ長L={(300×106)/(920×106)}×5/8≒20.4cmとほぼ同一であるため、アンテナ
24のアンテナ長Lを426MHz帯によるL=17.6cmとしている。また、実際のアンテナ長Lは、さらに短縮率を考慮して決定する。
【0073】
(感知器制御)
制御部20は、センサ部26から出力される例えば煙濃度検出信号を予め定めた閾値と比較し、閾値を超えたときに火災と判断し、第1無線通信部
32から426MHz電文で火災検出信号をアンテナ24から無線送信する。
【0074】
また、制御部20は、センサ部26から出力される例えば煙濃度検出信号が閾値を下回る状態が例えば所定時間継続した場合或いは例えば所定回数連続した場合、火災の復旧(火災検知状態が解消したこと)を検知し、第1無線通信部
32から426MHz電文で火災復旧信号をアンテナ24から無線送信する。
【0075】
また、制御部20は、操作部28の登録用スイッチの操作により登録モードをセットすると、機器IDとして知られたノードIDを送信元IDにセットした920MHz電文の試験信号を送信し、電波中継器14−1にノードIDを登録させ、920MHzの高速通信を使用することで、登録に要する処理時間を短縮可能とする。また、920MHz電文はキャリアセンスを行って伝送するため、確実に信号を相手に伝達することができる。
【0076】
[電波中継器の構成]
(電波中継器の概要)
図3は
図1に設けた1Fの電波中継器14−1を取り出して、その機能構成の概略を示したブロック図である。なお、他の電波中継器14−2,14−3も同様となる。
【0077】
図3に示すように、中継ノードとして機能する電波中継器14−1は、制御部44、無線通信部46、アンテナ48、操作部50、表示部52、メモリ54及びバッテリー56で構成される。
【0078】
制御部44は、例えばプログラムの実行により実現する機能である。ハードウェアとしてはCPU、メモリ54、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等を使用する。またメモリ54には中継制御テーブル70が設けられ、
図1に示すように、電波中継器14−1に子ノードとして割り当てられた無線式感知器16−11,16−12のノードIDが登録されている。バッテリー56は商用AC100ボルトを直流電源に変換してもよい。
【0079】
(無線通信部の構成)
無線通信部46は、第1無線通信部58、第2無線通信部60、ローパスフィルタ(LPF)62、ハイパスフィルタ(HPF)64、分波器66を備える。
【0080】
第1無線通信部58は、セキュリティ用の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30となる426MHz帯の第1周波数割当帯域となる無線信号、即ち426MHz電文を送受信し、その詳細は、
図2の第1無線通信部32と同様である。
【0081】
第2無線通信部60は、データ用の特定小電力無線局の標準規格として知られた920MHz帯の第2周波数割当帯域となる無線信号、即ち920MHz電文を送受信し、その詳細は、
図2の第2無線通信部34と同様である。
【0082】
第1無線通信部58はローパスフィルタ62を介して分波器66の一方の分波端子に接続し、また、第2無線通信部48はハイパスフィルタ64を介して分波器66の他方の分波端子に接続し、分波器66の結合端子は同軸ケーブルによりアンテナ48の給電点68に接続している。アンテナ48は単ポール型のアンテナを使用しており、アンテナ長Lは、426MHz帯と920MHz帯を併用可能な長さL=17.6cmとしている。
【0083】
(電波中継制御)
制御部44は、プログラムの実行により実現される制御機能として、中継制御、登録制御及び検証制御を行う。
【0084】
制御部44は、操作部50に設けている登録スイッチの操作により、電波中継器14−1の使用を開始する際に、メモリ54の中継制御テーブル70に、自己に割り当てられた
図1に示した無線式感知器16−11,16−12のノードIDを登録する登録制御を行う。
【0085】
電波中継器14−1で無線式感知器16−11,16−12のノードIDを登録する際には、担当者は、操作部50と表示部52の例えば7セグメント表示器を使用して登録待ち状態を設定する。制御部44は、この状態で無線式感知器16−11,16−12から送信されてくる920MHz電文で試験信号や登録信号を第2無線通信部60を介して受信し、電文に含まれる送信元IDを取得して中継制御テーブル70にノードIDとして登録する制御を行う。
【0086】
また、制御部44は、割り当てられた
図1の無線式感知器16−11,16−12のノードIDを中継制御テーブル70に登録する毎に、登録したノードIDを読み出して登録電文を生成し、第2無線通信部60に指示して920MHz電文で登録信号を
無線受信用中継器12−1へ送信させる制御を行い、これを受信した無線受信用中継器12−1側で無線式感知器16−11,16−12のノードIDの追加登録を行わせる。
【0087】
また、制御部44は、中継制御テーブル70に登録されたノードIDを無線受信用中継器12−1へ送信して追加登録した後、操作部50の試験スイッチなどによる検証操作の受付けを検知した場合、登録済みのノードIDに基づいて圧縮生成した検証データであるチェックサムコードをセットした起動電文又は試験電文を生成し、第2無線通信部60に指示して920MHz電文で試験信号を無線受信用中継器12−1へ送信させる制御を行い、これを受信した無線受信用中継器12−1側で表示することで追加登録したノードIDの検証制御を行わせる。
【0088】
また、制御部44は、中継制御テーブル70に対するノードIDの登録が終了した後の監視状態で、第1無線通信部58を介して無線式感知器から送信された426MHz電文で火災信号や火災復旧信号を受信した際に、各電文に含まれる送信元IDを取得し、中継制御テーブル70に登録しているノードIDと比較し、両者が一致した場合に、第1無線通信部58に指示し、受信した電文を中継送信させる制御を行い、一方、不一致の場合には中継送信を行わない。
【0089】
このように制御部44はノードIDの登録に必要な電文の送受信を、920MHz帯の高速通信を使用して行うことで、従来の426MHz帯の通信を使用した場合に比べ、登録に要する処理時間を大幅に短縮できる。またキャリアセンスした伝送することで、確実に信号を伝えることができる。
【0090】
また、制御部44は、中継制御テーブル70に対するノードIDの登録が終了した後の監視状態で、第2無線通信部60を介して無線式感知器から送信された定期通報電文などの920MHz電文で機器制御信号を受信した際に、電文に含まれる送信元IDを取得し、中継制御テーブル70に登録しているノードIDと比較し、両者が一致した場合に、第2無線通信部60に指示し、受信した機器状態電文を中継送信させる制御を行い、一方、不一致の場合には中継送信を行わない。
【0091】
[無線受信用中継器の構成]
(無線受信用中継器の概要)
図4は
図1に設けた1Fの防災無線ノードとして機能する無線受信用中継器12−1を取り出して、その機能構成の概略をP型受信機と共に示したブロック図である。なお、他の無線受信用中継器12−2,12−3も同様となる。
【0092】
無線受信用中継器12−1は、制御部72、無線通信部74、アンテナ76、有線通信部78、操作部80、表示部82、メモリ84及び電源部86で構成される。
【0093】
制御部72は、例えばプログラムの実行により実現する機能である。ハードウェアとしてはCPU、メモリ84、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等を使用する。またメモリ84には中継制御テーブル85が設けられ、
図1に示すように、無線受信用中継器12−1に子ノードとして割り当てられた無線式感知器16−13,16−14及び電波中継器14−1のノードIDが登録されている。
【0094】
電源部86は、
図1に示したように、
P型受信機10からの電源線15による直流電力の供給を受けているが、商用AC100ボルトから直流電力を変換して電源を作り出してもよいし、電池電源を採用してもよい。
【0095】
(無線通信部の構成)
無線通信部74は、第1無線通信部88、第2無線通信部90、ローパスフィルタ(LPF)92、ハイパスフィルタ(HPF)94、分波器96を備える。
【0096】
第1無線通信部88は、セキュリティ用の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30となる426MHz帯の第1周波数割当帯域となる無線信号、即ち426MHz電文を送受信し、その詳細は、
図2の第1無線通信部32と同様である。
【0097】
第2無線通信部90は、データ伝送用の特定小電力無線局の標準規格として知られた920MHz帯の第2周波数割当帯域となる無線信号、即ち920MHz電文を送受信し、その詳細は、
図2の第2無線通信部34と同様である。
【0098】
第1無線通信部88はローパスフィルタ92を介して分波器96の一方の分波端子に接続し、また、第2無線通信部90はハイパスフィルタ94を介して分波器96の他方の分波端子に接続し、分波器96の結合端子は同軸ケーブルによりアンテナ76の給電点98に接続している。アンテナ76は単ポール型のアンテナを使用しており、アンテナ長Lは、426MHz帯と920MHz帯を併用可能な長さL=17.6cmとしている。
【0099】
(受信用中継制御)
制御部72は、メモリ84の中継制御テーブル85に対して無線式感知器16や電波中継器14のノードIDの登録を行う。無線式感知器16−13,16−14及び電波中継器14−1のノードIDを登録する際に、担当者は操作部80で登録待ち状態を設定する。制御部72は、この登録待ち状態で、無線式感知器16−13,16−14または電波中継器14−1から送信されてくる920MHz電文で試験信号を、第2無線通信部90を介して受信した場合、この電文に含まれる送信元IDを取得して中継制御テーブル85に登録する制御を行う。
【0100】
また、制御部72は、子ノードとして割り当てられた無線式感知器16−13,16−14及び電波中継器14−1のノードIDの登録を完了した後、電波中継器14−1により送信されてくる
図3の中継制御テーブル70に登録しているノードIDを含む920MHz電文で登録要求信号を、第2無線通信部90を介して受信した際に、この登録要求電文から取得した無線式感知器16−11,16−12のノードIDを中継制御テーブル85に追加登録する制御を行う。この場合、同時に親ノードとなる電波中継器14−1のアドレスも送ってくることから、制御部72は、これも登録する制御を行う。
【0101】
また、制御部72は、中継制御テーブル85に対するノードIDの登録及び電波中継器14−1からの転送によるノードIDの追加登録が終了した後、電波中継器14−1から送信されてくる検証コードとしてのチェックサムコードを含む920MHz電文の起動信号を、第2無線通信部90を介して受信した場合、この電文から取得したチェックサムコードと、そのとき中継制御テーブル85に追加登録している電波中継器14−1から転送されたノードIDに基づいて生成したチェックサムコードとを比較し、両者が一致したときに、中継制御テーブル85に追加登録されたノードIDが正しいものとして監視処理に移行する制御を行う。
【0102】
一方、制御部72は、チェックサムコードが不一致となった場合には、中継制御テーブル85には誤ったノードIDの追加登録が行われていることから、表示部82で異常表示を行う。この場合にはP型受信機10に通知して障害発生を報知させる制御を行ってもよく、その後、担当者に登録処理を改めてやり直させる。
【0103】
このように制御部72はノードIDの登録、追加登録、更に検証に必要な電文の送受信を、920MHz帯の高速通信を使用して行うことで、従来の426MHz帯の通信を使用した場合に比べ、登録に要する処理時間を大幅に短縮できる。
【0104】
また、制御部72は、第1無線通信部88を介して426MHz電文で火災信号を受信した場合に、この電文に含まれる送信元IDと中継制御テーブル85に登録及び追加登録しているノードIDとを比較し、両者が一致した場合に、有線通信部78に指示し、感知器回線18−1に発報電流を流す接点出力動作により火災発報信号をP型受信機10に送信する制御を行う。
【0105】
また、制御部72は、火災発報信号をP型受信機10に送信した後に、第1無線通信部88を介して426MHz電文で火災復旧を受信した場合、この電文に含まれる送信元IDと中継制御テーブル85に登録及び追加登録しているノードIDとを比較し、両者が一致した場合に、有線通信部78に指示し、感知器回線18−1に発報電流を流す接点出力動作を解除し、P型受信機10に対する火災報知信号の送信を停止する制御を行う。
【0106】
また、制御部72は、第2無線通信部90を介して920MHz電文で定期通報を受信した場合に、この電文に含まれる送信元IDと中継制御テーブル85に登録及び追加登録しているノードIDとを比較し、両者が一致した場合に、ノードIDごとに設けている定期通報タイマをリセットスタートし、定期通報電文が受信されずに定期通報タイマが所定時間を越えてタイムアップした場合は、P型受信機10からの感知器回線18−1に接続している終端抵抗を切り離して擬似的に断線状態を作り出すことで、定期通報異常による障害発生を通知する制御を行う。
【0107】
このように制御部72は、920MHz電文で定期通報により電波中継器14−1及び無線式感知器16−11〜16−14が持ち去りや電池切れが発生せずに正常に動作していることを監視できる。また、定期通報のタイミングで火災が検知された場合、426MHz電文で火災信号を送信することから、920MHz電文での定期通報の送信を抑制する必要がなく、火災等の異常情報と定期通報電文等の制御・設定信号の送受信による処理を相互に干渉することなく並行して確実に行うことを可能とする。
【0108】
[P型受信機の構成]
図4において、P型受信機10は、制御部100、回線受信部102−1〜102−3、電源供給部104、表示部106、音響警報部108、操作部110、移報部112及びメモリ114を備えている。なお自身の動作電源は、適切にバックアップされた商用電源を使用している(図示せず)。
【0109】
回線受信部102−1〜102−3からは感知器回線18−1〜18−3が
図1に示したようにそれぞれ引き出され、感知器回線18−1には無線受信用中継器12−1が接続されている。
【0110】
回線受信部102−1は、無線受信用中継器12−1に設けた有線通信部78による接点動作で流れる発報電流を検知し、制御部100に対し火災検出信号を出力する。また、回線受信部102−1は、無線受信用中継器12−1の有線通信部78における定期通報異常の検出に基づく終端抵抗の切り離しを、感知器回線の断線による監視電流の遮断と看做して検出し、障害検出信号を制御部100に出力する。
【0111】
制御部100はCPU、ROM、RAM、AD変換ポート及び各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路等であり、CPUによるプログラムの実行で制御部100の機能を実現している。
【0112】
制御部100は回線受信部102−1〜102−3のいずれかによる発報電流の検出で火災発報信号の受信出力が得られると、対応する感知器回線の火災発報と判断し、表示部106に代表火災表示を行うと共に、発報した回線を表示する。また音響警報部108より音響火災警報を出力する。
【0113】
また制御部100は、回線受信部102−1〜102−3により感知器回線18−1〜18−3の断線を検出した場合、表示部106に代表障害表示を行うと共に、障害を発生した地区を回線単位に表示し、更に音響警報部108から音響障害警報を出力する。
【0114】
[本発明の変形例]
(無線防災システム)
上記の実施形態は、無線式感知器、電波中継器、無線受信用中継器及び受信機で無線防災システムを構成しているが、無線受信用中継器と通信可能な比較的短い通信距離の範囲に無線式感知器を設置している場合には、電波中継器を除き、無線式感知器、無線受信用中継器及び受信機で無線防災システムを構成するようにしても良い。センサーノードは火災感知器だけでなく、ガス漏れや侵入者検出の監視区域の異常を検出するセンサを含む。
【0115】
(受信機)
上記の実施形態は、火災受信機としてP型受信機からの感知器回線に無線受信用中継器を接続しているが、データ伝送機能を持つR型受信機に無線受信用中継器を接続して、無線受信用中継器に設定された固有アドレスを使ってR型受信機に火災発生地区等を有線伝送するようにしてもよい。
【0116】
無線受信用中継器12と
P型受信機10は一体にして、無線信号を受信した際に表示部や音響警報部で警報する無線送受信可能な受信機であってもよい。この場合、無線受信用中継器12と一体化した
P型受信機10は親ノードとなる。
【0117】
(ISO通信規格)
また、上記の実施形態は、セキュリティ用の第1周波数割当帯域として426MHz帯、データ用の第2周波数割当帯域として920MHzを例にとるものであったが、これは日本国内の場合であり、例えばISOの通信規格に準拠する場合には、セキュリティ用の第1周波数割当帯域として433MHz帯、データ用の第2周波数割当帯域として860MHzとすればよい。
【0118】
この場合、433MHzの1/4波長は17.3cm、860MHzの5/8波長は21.8cmとなり、両者は略一致することから、
図2の場合と同様、アンテナ長L=17.3cmのアンテナ
を設けることで、併用することができる。
【0119】
(426MHz電文と920MHz電文の順次送信)
また、上記の実施形態の通信モード2は、火災又は火災復旧を検出した場合に、426MHz電文で送信しているが、最初に426MHz電文で火災信号を送信し、続いて920MHz電文でも火災信号を送信して、一方の周波数帯で無線信号が届かなかった事態を想定して、他方の周波数帯で補償するようにしてもよい。火災等の異常電文を確実に伝送するため、426MHz電文と920MHz電文で同じ情報を交互に又は同時に所定回数送信してもよい。
【0120】
また、一方の周波数割当帯域電文で送信して、送信先から受信した旨の無線信号が返信されなかった場合に、繰り返し送信する、もしくは他方の周波数割当帯域電文に切り替えて再送信してもよい。
【0121】
(無線LANとの連携)
また防災監視システムの監視領域となる例えばオフィスに、920MHz帯を使用した無線LANがアクセスポイントの設置で構築されている場合、無線式感知器の制御部に無線LANのステーションとしての制御機能を設けることで、火災を検知した場合、920MHz電文を、アクセスポイントを経由して例えばブロードキャストで送信し、監視領域に設置しているパソコンやタブレット等の情報端末で火災電文を受信して火災警報を出力させるように連携させても良い。
【0122】
(その他)
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。