(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
本発明の積層体は、着色層の上に、合成樹脂エマルション、水分散性シリカ、光輝性顔料を含む光輝層用組成物により形成される光輝層を積層したものである。
【0012】
本発明の光輝層用組成物は、合成樹脂エマルションを含む組成物に、特定粒子径の水分散性シリカと特定粒子径の光輝性顔料を特定量混合することによって、高級感のある優れた美観性を付与するものである。
具体的に、合成樹脂エマルションの固形分100重量部に対し、平均粒子径1nm以上200nm未満の水分散性シリカを固形分重量比率で0.005重量部以上50重量部以下、平均粒子径100nm以上300μm以下の光輝性顔料を0.01重量部以上100重量部以下含むことを特徴とするものである。
【0013】
一般に、光輝性顔料を含有することにより、意匠にキラキラ感を与え、高級感をかもし出すことが可能となる。本発明では、着色層の上に、特定平均粒子径の光輝性顔料とともに、特定平均粒子径の水分散性シリカを含有する光輝層を積層することにより、より効率よく高級感、奥行き感を表出することができることをはじめて見出したものである。
本発明の作用の詳細は不明であるが、おそらく、水分散性シリカの表面移行作用とともに光輝性顔料も光輝層表面へと移行し、光輝層表面付近にて光輝性顔料のキラキラ感が効率よく発揮されること、さらに、光輝性顔料の周囲に存在する水分散性シリカが光輝性顔料のキラキラ感をより増幅させる効果があるため、と考えられる。
水分散性シリカを含まない、あるいは少なすぎる場合は、光輝性顔料が表面へと効率よく移行されず、光輝性顔料によるキラキラ感、高級感の向上がみられない。また、水分散性シリカの平均粒子径が小さすぎる場合は、光輝性顔料の塗膜表面への移行がすすみにくく、高級感、奥行き感の向上がみられない。また、水分散性シリカの平均粒子径が大きすぎる場合は、水分散性シリカ自体が不安定となってしまう。
光輝性顔料を含まない、あるいは少なすぎる場合は高級感、奥行き感に劣り、光輝性顔料が多すぎる場合は、キラキラ感が目立ち、かえって意匠性に悪影響を及ぼす場合がある。また、光輝性顔料の平均粒子径が小さすぎる場合は、光輝性顔料の存在が薄くなり、光輝性顔料の平均粒子径が大きすぎる場合は、光輝層表面への移行がすすみにくく、高級感、奥行き感の向上がみられない。
【0014】
本発明における水分散性シリカは、平均粒子径が1nm以上200nm未満(5nm以上100nm未満、より好ましくは10nm以上50nm以下、さらに好ましくは15nm以上40nm以下)のもので、シリカを主成分とするため硬度が高く、かつその粒子表面にシラノール基を有する化合物である。
このような水分散性シリカは、上記のように光輝性顔料を補助する効果に加えて、耐汚染性の向上効果にも大きく寄与するものである。特に水分散性シリカの平均粒子径が小さすぎる場合は、耐汚染性において十分な効果が得られないおそれがある。また、水分散性シリカの平均粒子径が大きすぎる場合は、積層体の外観に悪影響を及ぼすおそれがある。本発明では、平均粒子径が異なる2種以上の水分散性シリカを使用することもできる。
なお、水分散性シリカの平均粒子径は、フィールドエミッション型走査型電子顕微鏡(「FE‐SEM S‐4100」株式会社日立製作所製)等によって測定することができる。また、水分散性シリカの平均粒子径は、平均一次粒子径のことをいう。
【0015】
水分散性シリカは、例えば、珪酸ソーダ、珪酸リチウム、珪酸カリウム、シリケート化合物を原料として製造することができる。このうち、シリケート化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等、あるいはこれらの縮合物等が挙げられる。この他、上記シリケート化合物以外のアルコキシシラン化合物や、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、フッ素アルコール、シランカップリング剤、ポリオキシアルキレン基含有化合物等を併せて使用することもできる。製造時には触媒等を使用することもできる。また、製造過程ないし製造後に、触媒等に含まれる金属をイオン交換処理等によって除去することもできる。
【0016】
水分散性シリカのpHは、通常pH5以上12以下、好ましくは6以上11以下、より好ましくは7以上10以下である。このようなpHに調製された水分散性シリカは、その粒子表面の豊富なシラノール基によって、親水性を発揮することができ、耐汚染性向上に大きく寄与するものである。
【0017】
水分散性シリカの媒体としては、水及び/または水溶性溶剤が使用できる。水溶性溶剤としては、例えば、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類等が挙げられる。本発明では、特に媒体が水のみからなることが望ましい。このような水分散性シリカを使用することにより、低揮発性有機溶剤(低VOC)化を図ることができる。また、水分散性シリカを着色層用組成物に混合した際の凝集物発生を抑制することもできる。
【0018】
水分散性シリカの固形分は、通常5〜60重量%であり、好ましくは10〜55重量%、より好ましくは15〜50重量%である。水分散性シリカの固形分がこのような範囲内であれば、水分散性シリカ自体の安定性、さらには水分散性シリカを混合したときの安定性を確保することができる。
【0019】
また、水分散性シリカの含有量としては、合成樹脂エマルションの固形分100重量部に対し、固形分重量比率で0.005重量部以上50重量部以下、好ましくは0.01重量部以上30重量部以下、さらに好ましくは0.1重量部以上20重量部以下、最も好ましくは0.5重量部以上15重量部以下である。
【0020】
本発明における光輝性顔料としては、例えば、アルミニウムフレーク顔料、蒸着アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミニウムフレーク顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆マイカ顔料、金属酸化物被覆合成マイカ顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、金属被覆ガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆板状酸化鉄、グラファイト、ステンレスフレーク、金属チタンフレーク顔料、板状硫化モリブデン、板状塩化ビスマス、ホログラム顔料、コレステリック液晶ポリマー、金属蒸着高分子フィルムの破砕品等が挙げられる。
本発明では、光輝性顔料としては、平均粒子径が100nm以上300μm以下(好ましくは500nm以上250μm以下、より好ましくは1μm以上200μm未満、さらに好ましくは2μm以上190μm以下)のものを、合成樹脂エマルションの固形分100重量部に対し0.01重量部以上100重量部以下(好ましくは0.05重量部以上80重量部以下、さらに好ましくは0.1重量部以上60重量部以下)混合して用いることを特徴とするものである。このような範囲であることにより、着色粒子による意匠性を有しつつ、光輝性顔料のキラキラ感が現れ、高級感のある優れた美観性を付与することができる。
なお、光輝性顔料の平均粒子径は、フィールドエミッション型走査型電子顕微鏡(「FE‐SEM S‐4100」株式会社日立製作所製)等によって測定することができる。
【0021】
特に、本発明では、光輝性顔料の平均粒子径よりも、水分散性シリカの平均粒子径のほうが小さいことが好ましい。また、光輝性顔料よりも小さい平均粒子径を有する水分散性シリカを、光輝性顔料の含有量よりも多く含有することによって、より効率よく高級感を表出することができる。
【0022】
本発明における合成樹脂エマルションは、光輝性顔料等を固定化する役割を担う。このような合成樹脂エマルションとしては、例えば、各種重合性モノマーを共重合することにより得ることができる。
重合性モノマー成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはそのモノアルキルエステル、イタコン酸またはそのモノアルキルエステル、フマル酸またはそのモノアルキルエステル等のカルボキシル基含有モノマー;
N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド等のアミノ基含有モノマー;
ビニルピリジン等のピリジン系モノマー;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;
アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー;
スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等の芳香族モノマー;
アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸アミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド基含有モノマー;
グリシジル(メタ)アクリレート、ジグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;
アクロレイン、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン等のカルボニル基含有モノマー;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有モノマー;
塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系モノマー;
その他、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアミド、クロロプレン等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
このうち、重合性モノマーとしてアルコキシシリル基含有モノマーを含む場合は、後述する水分散性シリカとの相互作用により塗膜物性向上を図ることができる。
【0023】
合成樹脂エマルションの最低造膜温度は、適宜設定することができるが、通常は80℃以下、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは30℃以下である。最低造膜温度がこのような範囲内であれば、耐割れ性等の塗膜物性を確保しつつ、耐汚染性を発揮させることが可能となる。
また、合成樹脂エマルションの平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは5nm以上400nm以下、より好ましくは10nm以上300nm以下、さらに好ましくは50nm以上250nm以下、最も好ましくは80nm以上180nm以下である。特に、本発明の合成樹脂エマルションの平均粒子径は、上記光輝性顔料よりも小さく、上記水分散性シリカよりも大きいことが好ましく、このような場合は、奥行き感が表出しやすく、より優れた意匠を形成することができる。
なお、合成樹脂エマルションの平均粒子径は、動的光散乱法によって測定される値である。具体的には、動的光散乱測定装置(「LB‐550」株式会社堀場製作所製)等を用いて測定することができる。(測定温度は25℃。)
【0024】
合成樹脂エマルションの製造方法は特に限定されないが、例えば、乳化重合、ソープフリー乳化重合、分散重合、フィード乳化重合、フィード分散重合、シード乳化重合、シード分散重合等を採用することができる。合成樹脂エマルション全量中の固形分比率は、特に限定されないが、通常10〜60重量%程度である。
【0025】
本発明では、合成樹脂エマルションとして架橋反応型合成樹脂エマルション、コアシェル型合成樹脂エマルション等を使用することもできる。また、2種以上の合成樹脂エマルションを併用することもできる。このうち、架橋反応型合成樹脂エマルションにおける架橋反応としては、例えばカルボキシル基と金属イオン、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基、水酸基とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジド基、エポキシ基とヒドラジド基、エポキシ基とアミノ基、加水分解性シリル基どうし等の組み合わせが挙げられる。このうち好適な架橋反応としては、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とオキサゾリン基、カルボニル基とヒドラジド基、エポキシ基とヒドラジド基、加水分解性シリル基どうし等が挙げられる。
【0026】
特に、合成樹脂エマルションは、後述する水分散性シリカと、反応可能なものであることが好ましい。合成樹脂エマルションとしては、例えば、水分散性シリカに存在するシラノール基と反応可能な、水酸基、加水分解性シリル基等(好ましくは、加水分解性シリル基)の官能基を有する合成樹脂エマルションであることが好ましい。
合成樹脂エマルションと水分散性シリカが化学的に結合することによって、耐割れ性等の塗膜物性を確保しつつ、耐汚染性を発揮させることが可能となる。
【0027】
本発明の光輝層は、本発明の効果を損なわない程度に、上記成分の他に、着色顔料、体質顔料、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、分散剤、消泡剤、防藻剤、抗菌剤、消臭剤、吸着剤、難燃剤、繊維、撥水剤、架橋剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒等を用いることができる。また、後述する着色粒子、鱗片状粒子を含むこともできる。
【0028】
本発明における着色層は、主に意匠性を付与する層である。
着色層としては、合成樹脂エマルションと着色粒子を含む着色層用組成物により形成されるものが好ましい。
【0029】
合成樹脂エマルションとしては、上述したもの等を使用することができ。
【0030】
着色粒子としては、例えば、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、貝殻、バライト粉、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、蛍石、寒水石、長石、珪石、珪砂等の粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、ガラスビーズ、ガラス粉砕物、金属類等、あるいは、これらの粒子表面を着色顔料で着色したもの等が挙げられる。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。また着色粒子表面に、赤外線反射性等の機能を有する化合物を被覆することもできる。
着色粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは0.01mm以上5mm以下、より好ましくは0.05mm以上4mm以下、さらに好ましくは0.1mm以上3mm以下、最も好ましくは0.2mm以上2mm以下である。特に、本発明の着色粒子は、上記水分散性シリカ、光輝性顔料の粒子径よりも大きいものを使用することが好ましい。着色粒子の平均粒子径が、水分散性シリカ、光輝性顔料の粒子径よりも大きいことにより、奥行き感が表出しやすく、より優れた意匠を形成することができる。
このような着色粒子のうち、色相や粒子径、形状の異なる2種以上の着色粒子を組み合わせることによって、意匠性の幅を広げ、優れた意匠性の表面を表出することができる。
なお、着色粒子の平均粒子径は、JIS Z8801−1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けを行い、その重量分布の平均値を算出することによって得られる値である。
【0031】
合成樹脂エマルションと着色粒子の混合比率は、特に限定されないが、合成樹脂エマルションの固形分100重量部に対し、着色粒子100重量部以上4000重量部以下、さらには300重量部以上2000重量部以下であることが好ましい。
【0032】
さらに本発明の着色層としては、大きさ0.3mm超10mm以下(好ましくは0.5mm以上8mm以下、さらに好ましくは1.0mm以上6mm以下)の鱗片状粒子を含むことが好ましい。
このような鱗片状粒子は、肉眼でその形状等が確認できる程度の大きさであり、鱗片状という特異な形状と、反射の角度とにより、見る角度により輝度感を変化させることができ、奥行き感、高級感のある優れた意匠を得ることができる。また、耐割れ性等の塗膜物性の向上も期待できる。大きさが小さすぎると、その形状等が肉眼で確認し難く、その存在感が薄れ、奥行き感が得られにくい。また大きすぎると、奥行き感が得られにくくなる場合がある。
鱗片状粒子としては、例えば、白雲母、合成雲母、シリカフレーク、ガラスフレーク、樹脂フレーク、アルミフレーク、マイカフレーク等が挙げられ、また、これら表面は、光輝性顔料、無機着色顔料、有機着色顔料、蛍光顔料、蓄蛍光顔料によって着色されたものでもよい。本発明では光輝性鱗片状粒子が好ましく、特に、鱗片状粒子表面が光輝性顔料よって着色されたものがより好適に用いられる。
なお、鱗片状粒子の大きさとは、鱗片状粒子を水平面に安定に静置させ、上から観察したときの最大直径のことである。
鱗片状粒子の大きさは、光学顕微鏡(BHT−364M、オリンパス光学工業株式会社製)等で測定することができる。
【0033】
合成樹脂エマルションと鱗片状粒子の混合比率は、特に限定されないが、合成樹脂エマルションの固形分100重量部に対し、鱗片状粒子0.1重量部以上100重量部以下、好ましくは0.3重量部以上80重量部以下、さらに好ましくは0.5重量部以上50重量部以下であることが好ましい。
【0034】
本発明の着色層は、本発明の効果を損なわない程度に、上記成分の他に、着色顔料、体質顔料、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、分散剤、消泡剤、防藻剤、抗菌剤、消臭剤、吸着剤、難燃剤、繊維、撥水剤、架橋剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒等を用いることができる。また、光輝性顔料、水分散性シリカを含むこともできる。
【0035】
本発明の積層体は、建築物、土木構造物等の表面に適用することができるものである。
建築物、土木構造物等の基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、ALC板、サイディング板、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、合板、煉瓦、プラスチック板、金属板、ガラス、磁器タイル等が挙げられる。またこれら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、フィラーやパテによる処理等)が施されたものでもよく、既に被膜が形成されたものや、壁紙が貼り付けられたもの等であってもよい。また基材は、平坦であっても、凹凸を有するものであってもよい。
【0036】
このような基材の上に、着色層、光輝層を積層すればよい。
積層方法としては特に限定されないが、(1)基材の上に、着色層用組成物を塗付積層した後、光輝層用組成物を塗付積層する方法、
(2)予め、着色層と光輝層からなる積層体を形成させておき、該積層体を基材の上に貼着する方法等が挙げられる。
【0037】
(1)の方法では、まず、基材の上に着色層用組成物を塗付積層する。塗装には、スプレー、ガン、ローラー、刷毛、こて等の各種塗装器具が使用でき、塗付け量は、0.3〜8kg/m
2、より好ましくは0.5〜6kg/m
2である。また、塗装後の乾燥は通常、常温で行えばよいが、加熱することも可能である。
次いで、着色層用組成物を塗付積層後、着色層用組成物が硬化するかあるいは半硬化の状態で、光輝層用組成物を塗付積層する。塗装には、各種塗装器具が使用でき、塗付け量は、0.01〜0.8kg/m
2、より好ましくは0.02〜0.5kg/m
2である。
【0038】
(2)の方法は、例えば、予め用意された型枠に、着色層用組成物、光輝層用組成物を流し込み、硬化後脱型して積層体を得る方法である。この方法では、着色層用組成物、光輝層用組成物の流し込む順序は特に限定されないが、着色層用組成物を流し込んだ後、光輝層用組成物を流し込んで製造すればよい。着色層用組成物としては、0.3〜8kg/m
2、より好ましくは0.5〜6kg/m
2、光輝層用組成物としては、0.01〜0.8kg/m
2、より好ましくは0.02〜0.5kg/m
2程度で流し込めばよい。
また積層体を得た後、基材に対し、光輝層側を表面に向け、接着剤・粘着剤を介して貼り付けることができる。
【実施例】
【0039】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にするが、本発明はこの実施例に限定されない。
【0040】
(試験例1〜85)
基材(スレート板)の上に、下塗材(結合材:アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、ガラス転移温度20℃))をスプレーガンを用いて、塗付け量0.1kg/m
2で塗装し、標準状態(気温23℃、相対湿度50%)にて硬化、乾燥させた。
次に、表3‐1〜3‐3の原料を用い、表2‐1〜2‐4に示す配合にて製造した着色層用組成物をスプレーガンを用いて、塗付け量4.0kg/m
2で塗装し、標準状態で48時間乾燥させ、着色層を得た。
次に着色層の上に、表3‐1〜3‐3の原料を用い、表1‐1〜1‐4に示す配合にて製造した光輝層用組成物をスプレーガンを用いて、塗付け量0.3kg/m
2で塗装し、標準状態で24時間乾燥させ、光輝層を得、試験体1〜85を得た。
得られた試験体1〜85に対し、塗膜表面を目視にて観察し、表面の意匠性を評価した。
評価は、高級感・奥行き感が感じられる優れた意匠のものを「10」、高級感・奥行き感が感じられない意匠のものを「1」とし、10段階評価で行った。結果は表4に示す。
【0041】
【表1-1】
【0042】
【表1-2】
【0043】
【表1-3】
【0044】
【表1-4】
【0045】
【表2-1】
【0046】
【表2-2】
【0047】
【表2-3】
【0048】
【表2-4】
【0049】
【表3-1】
【0050】
【表3-2】
【0051】
【表3-3】
【0052】
【表4】