(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227303
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】ハイブリッド自動車の動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
B60K 6/40 20071001AFI20171030BHJP
F16H 3/66 20060101ALI20171030BHJP
B60K 17/04 20060101ALI20171030BHJP
F16H 3/72 20060101ALI20171030BHJP
B60K 6/387 20071001ALI20171030BHJP
B60K 6/365 20071001ALI20171030BHJP
B60K 6/547 20071001ALI20171030BHJP
B60K 6/445 20071001ALI20171030BHJP
B60K 6/24 20071001ALI20171030BHJP
B60K 6/26 20071001ALI20171030BHJP
【FI】
B60K6/40
F16H3/66 AZHV
B60K17/04 G
F16H3/72 A
B60K6/387
B60K6/365
B60K6/547
B60K6/445
B60K6/24
B60K6/26
【請求項の数】19
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-139172(P2013-139172)
(22)【出願日】2013年7月2日
(65)【公開番号】特開2014-104969(P2014-104969A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2016年2月23日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0134734
(32)【優先日】2012年11月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】イ、チャン、ウク
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジョン、スル
【審査官】
増子 真
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−127774(JP,A)
【文献】
特開2003−220856(JP,A)
【文献】
特開2005−008005(JP,A)
【文献】
特開2008−105495(JP,A)
【文献】
特開2009−250375(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0021300(US,A1)
【文献】
特開2002−225578(JP,A)
【文献】
特開2005−206136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 − 6/547
B60W 10/00 − 20/50
B60K 17/00 − 17/08
F16H 3/00 − 3/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの動力の伝達を受ける入力軸と、
前記入力軸と一定の間隔をおいて平行に配置される出力軸と、
前記入力軸上に配置されており、第1モータ/ゼネレータと連結される第1回転要素、出力要素として作動する第2回転要素、および、前記入力軸と直接連結される第3回転要素、を保有する第1遊星ギヤセットと、
前記出力軸上に配置されており、第2モータ/ゼネレータと連結される第4回転要素、前記第2回転要素と外接ギヤを通じて直接連結されると同時に出力軸と連結される第5回転要素、および、選択的に前記第1回転要素と外接ギヤを通じて連結されると同時に変速機ハウジングに選択的に連結される第6回転要素、を保有する第2遊星ギヤセットと、
前記第2遊星ギヤセットの3つの回転要素のうちの2つの回転要素を選択的に連結する直結手段と、
第2回転要素と第5回転要素を連結する前記外接ギヤを形成する第1トランスファギヤと、第1回転要素と第6回転要素を連結する前記外接ギヤを形成する第2トランスファギヤと、を含む複数のトランスファギヤと、
選択された回転要素を選択されたトランスファギヤに選択的に連結するか、選択された回転要素を変速機ハウジングと選択的に連結する複数の摩擦要素と、
を含んでなることを特徴とするハイブリッド自動車の動力伝達装置。
【請求項2】
前記第1遊星ギヤセットはシングルピニオン遊星ギヤセットであって、第1回転要素は第1サンギヤ、第2回転要素は第1遊星キャリア、第3回転要素は第1リングギヤに設定され、
前記第2遊星ギヤセットはシングルピニオン遊星ギヤセットであって、第4回転要素は第2サンギヤ、第5回転要素は第2遊星キャリア、第6回転要素は第2リングギヤに設定されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車の動力伝達装置。
【請求項3】
前記第1遊星ギヤセットはダブルピニオン遊星ギヤセットであって、第1回転要素は第1サンギヤ、第2回転要素は第1リングギヤ、第3回転要素は第1遊星キャリアに設定され、
前記第2遊星ギヤセットはシングルピニオン遊星ギヤセットであって、第4回転要素は第2サンギヤ、第5回転要素は第2遊星キャリア、第6回転要素は第2リングギヤに設定されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車の動力伝達装置。
【請求項4】
前記第1遊星ギヤセットはシングルピニオン遊星ギヤセットであって、第1回転要素は第1サンギヤ、第2回転要素は第1遊星キャリア、第3回転要素は第1リングギヤに設定され、
前記第2遊星ギヤセットはダブルピニオン遊星ギヤセットであって、第4回転要素は第2サンギヤ、第5回転要素は第2リングギヤ、第6回転要素は第2遊星キャリアに設定されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車の動力伝達装置。
【請求項5】
前記直結手段は、第4回転要素と第6回転要素の間に配置される第1クラッチからなることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車の動力伝達装置。
【請求項6】
前記直結手段は、第4回転要素と第5回転要素の間に配置される第1クラッチからなることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車の動力伝達装置。
【請求項7】
前記直結手段は、第5回転要素と第6回転要素の間に配置される第1クラッチからなることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車の動力伝達装置。
【請求項8】
前記複数の摩擦要素は、
第6回転要素と変速機ハウジングの間に配置されるブレーキと、
第1回転要素と第2トランスファギヤの間に配置される第2クラッチと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車の動力伝達装置。
【請求項9】
前記複数の摩擦要素は、
前記第6回転要素と変速機ハウジングの間に配置されるブレーキと、
前記第6回転要素と第2トランスファギヤの間に配置される第2クラッチと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車の動力伝達装置。
【請求項10】
前記直結手段は第1クラッチを含み、前記複数の摩擦要素はブレーキおよび第2クラッチを含み、
前記第6回転要素と変速機ハウジングの間に配置されるブレーキの作動で第6回転要素が固定要素として作動し、第2モータ/ゼネレータを作動させて第4回転要素に第2モータ/ゼネレータの動力が入力され、第2モータ/ゼネレータの動力が変換されて第5回転要素を通じて出力される第1EVモードと、
第1EVモードにおいてブレーキの作動を解除し、第2遊星ギヤセットの第4回転要素、第5回転要素及び第6回転要素を直結の状態にする第1クラッチを作動させることにより実現される第2EVモードと、
第1EVモードにおいて第1モータゼネレータを用いてエンジンを作動させることにより始まる第1ハイブリッド入力分岐モードと、
第1ハイブリッド入力分岐モードにおいてブレーキの作動を解除し、第1クラッチを作動させることにより始まる第2ハイブリッド入力分岐モードと、
第1ハイブリッド入力分岐モードにおいてブレーキの作動を解除し、第2クラッチを作動させることにより始まるハイブリッド複合分岐モードと、
第2クラッチ及びブレーキを作動させ、エンジンの速度が第2トランスファギヤを通じて第2遊星ギヤセットに伝達されて、第4回転要素がエンジンと反対方向に回転し、第6回転要素N6が停止する第1エンジンモードと、
第1エンジンモードにおいて第1クラッチを作動させることにより始まる第2エンジンモードと、が実現可能であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車の動力伝達装置。
【請求項11】
エンジンの動力の伝達を受ける入力軸と、
前記入力軸と一定の間隔をおいて平行に配置される出力軸と、
前記入力軸上に配置されており、第1モータ/ゼネレータと連結される第1回転要素、第2回転要素、および、前記入力軸と直接連結される第3回転要素、を保有する第1遊星ギヤセットと、
前記出力軸上に配置されており、第2モータ/ゼネレータと連結される第4回転要素、前記第2回転要素と連結されると同時に出力軸と連結される第5回転要素、および、前記第1回転要素と連結されると同時に、変速機ハウジングに選択的に連結される第6回転要素、を保有する第2遊星ギヤセットと、
前記第2遊星ギヤセットの3つの回転要素のうちの2つの回転要素を選択的に連結する第1クラッチと、
前記第2回転要素と第5回転要素の間に配置される第1トランスファギヤと、
前記第1回転要素と第6回転要素の間に配置される第2トランスファギヤと、
第6回転要素と変速機ハウジングの間に配置されるブレーキおよび第1回転要素又は第6回転要素と第2トランスファギヤの間に配置される第2クラッチを含む複数の摩擦要素と、
を含むことを特徴とするハイブリッド自動車の動力伝達装置。
【請求項12】
前記第1遊星ギヤセットはシングルピニオン遊星ギヤセットであって、第1回転要素は第1サンギヤ、第2回転要素は第1遊星キャリア、第3回転要素は第1リングギヤに設定され、
前記第2遊星ギヤセットはシングルピニオン遊星ギヤセットであって、第4回転要素は第2サンギヤ、第5回転要素は第2遊星キャリア、第6回転要素は第2リングギヤに設定されることを特徴とする請求項11に記載のハイブリッド自動車の動力伝達装置。
【請求項13】
前記第1遊星ギヤセットはダブルピニオン遊星ギヤセットであって、第1回転要素は第1サンギヤ、第2回転要素は第1リングギヤ、第3回転要素は第1遊星キャリアに設定され、
前記第2遊星ギヤセットはシングルピニオン遊星ギヤセットであって、第4回転要素は第2サンギヤ、第5回転要素は第2遊星キャリア、第6回転要素は第2リングギヤに設定されることを特徴とする請求項11に記載のハイブリッド自動車の動力伝達装置。
【請求項14】
前記第1遊星ギヤセットはシングルピニオン遊星ギヤセットであって、第1回転要素は第1サンギヤ、第2回転要素は第1遊星キャリア、第3回転要素は第1リングギヤに設定され、
前記第2遊星ギヤセットはダブルピニオン遊星ギヤセットであって、第4回転要素は第2サンギヤ、第5回転要素は第2リングギヤ、第6回転要素は第2遊星キャリアに設定されることを特徴とする請求項11に記載のハイブリッド自動車の動力伝達装置。
【請求項15】
前記第1クラッチは、第4回転要素と第6回転要素の間に配置されることを特徴とする請求項11に記載のハイブリッド自動車の動力伝達装置。
【請求項16】
前記第1クラッチは、第4回転要素と第5回転要素の間に配置されることを特徴とする請求項11に記載のハイブリッド自動車の動力伝達装置。
【請求項17】
前記第1クラッチは、第5回転要素と第6回転要素の間に配置されることを特徴とする請求項11に記載のハイブリッド自動車の動力伝達装置。
【請求項18】
前記複数の摩擦要素は、
第6回転要素と変速機ハウジングの間に配置されるブレーキと、
第1回転要素と第2トランスファギヤの間に配置される第2クラッチと、
を含むことを特徴とする請求項11に記載のハイブリッド自動車の動力伝達装置。
【請求項19】
前記複数の摩擦要素は、
前記第6回転要素と変速機ハウジングの間に配置されるブレーキと、
前記第6回転要素と第2トランスファギヤの間に配置される第2クラッチと、
を含むことを特徴とする請求項11に記載のハイブリッド自動車の動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハイブリッド自動車の動力伝達装置に係り、より詳しくは、
自由なギヤ歯数の変更で車両別最適のギヤ比が設定でき、要求性能条件に合うようにギヤ歯数の変更が可能で発進性能を向上させることができるハイブリッド自動車の動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の親環境技術は未来自動車産業の生存が左右される核心技術であって、多数の先進自動車メーカーは環境および燃費規制を達成するための親環境自動車の開発に総力を傾けている。
【0003】
これにより、各自動車メーカーは電気自動車(EV:Electric Vehicle)、ハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、燃料電池自動車(FCEV:Fuel Cell Electric Vehicle)などの未来型自動車技術を開発している。
【0004】
上記のような未来型自動車は、重量および原価などの様々な技術的制約があるために、自動車メーカーでは排気ガス規制を満足させ、燃費性能の向上のための現実的な問題の代案としてハイブリッド自動車に注目しており、これを実用化するために熾烈な競争を繰り広げている。
【0005】
ハイブリッド自動車は2つ以上のエネルギー源(Power Source)を使用する自動車であり、ハイブリッド自動車のエネルギー源としては化石燃料を使用するガソリンエンジンまたはディゼルエンジンと、電気エネルギーによって駆動されるモータ/ゼネレータが主に使用される。
【0006】
このようなハイブリッド自動車は、低速で相対的に低速トルク特性が良いモータ/ゼネレータを主動力源として使用し、高速では相対的に高速トルク特性が良いエンジンを主動力源として使用する。
【0007】
これにより、ハイブリッド自動車は低速区間で化石燃料を使用するエンジンの作動が停止しモータ/ゼネレータを使用するために、燃費改善と排気ガスの低減に優れた効果がある。
【0008】
そして前記のようなハイブリッド自動車の動力伝達装置は単一モード方式と多重モード方式に分類される。
【0009】
前記単一モード方式は、変速制御のためのクラッチおよびブレーキのようなトルク伝達機構が必要でないという長所はあるが、高速走行時に効率が低下して燃費が低く大型自動車に適用するためには付加的なトルク増倍装置が必要であるという短所がある。
【0010】
前記多重モード方式は、高速走行時に効率が高く、自律的にトルク増倍が可能であるように設計することができて、中大型自動車への適用が可能であるという長所がある。
【0011】
これにより、最近は単一モード方式よりは多重モード方式を主に採択しており、それに伴う研究が活発に行われている。
【0012】
前記多重モード方式の動力伝達装置は、複数の遊星ギヤセットと、モータおよび発電機として使用される複数のモータ/ゼネレータと、前記遊星ギヤセットの回転要素を制御することができる複数のトルク伝達機構(摩擦要素)と、前記モータ/ゼネレータの動力源として使用されるバッテリーなどを含んでなる。
【0013】
このような多重モード方式の動力伝達装置は前記遊星ギヤセット、モータ/ゼネレータ、トルク伝達機構の連結構成によって相違した作動メカニズムを有する。
【0014】
また、前記多重モード方式の動力伝達装置はその連結構成によって耐久性、動力伝達効率、大きさなどが変わる特性があるために、ハイブリッド自動車の動力伝達装置分野ではより堅固で、動力損失がなく、コンパクトな動力伝達装置を実現するための研究開発が続けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の実施形態は、
自由なギヤ歯数の変更で車両別最適のギヤ比が設定でき、要求性能条件に合うようにギヤ歯数の変更が可能で発進性能を向上させることができるハイブリッド自動車の動力伝達装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一つの態様によるハイブリッド自動車の動力伝達装置は、エンジンの動力の伝達を受ける入力軸と、前記入力軸と一定の間隔をおいて平行に配置される出力軸と、前記入力軸上に配置されており、第1モータ/ゼネレータと連結される第1回転要素、出力要素として作動する第2回転要素、および、前記入力軸と直接連結される第3回転要素、を保有する第1遊星ギヤセットと、前記出力軸上に配置されており、第2モータ/ゼネレータと連結される第4回転要素、前記第2回転要素と外接ギヤを通じて直接連結されると同時に出力軸と連結される第5回転要素、および、選択的に前記第1回転要素と外接ギヤを通じて連結されると同時に変速機ハウジングに選択的に連結される第6回転要素、を保有する第2遊星ギヤセットと、前記第2遊星ギヤセットの3つの回転要素のうちの2つの回転要素を選択的に連結する直結手段と、前記第1遊星ギヤセットの2つの回転要素と前記第2遊星ギヤセットの2つの回転要素をそれぞれ連結する前記外接ギヤを形成する複数のトランスファギヤと、選択された回転要素を選択されたトランスファギヤに選択的に連結するか、選択された回転要素を変速機ハウジングと選択的に連結する複数の摩擦要素とを含むことができる。
【0017】
多様な実施形態で、前記第1遊星ギヤセットはシングルピニオン遊星ギヤセットであって、第1回転要素は第1サンギヤ、第2回転要素は第1遊星キャリア、第3回転要素は第1リングギヤに設定され、前記第2遊星ギヤセットはシングルピニオン遊星ギヤセットであって、第4回転要素は第2サンギヤ、第5回転要素は第2遊星キャリア、第6回転要素は第2リングギヤに設定され得る。
【0018】
多様な実施形態で、前記第1遊星ギヤセットはダブルピニオン遊星ギヤセットであって、第1回転要素は第1サンギヤ、第2回転要素は第1リングギヤ、第3回転要素は第1遊星キャリアに設定され、前記第2遊星ギヤセットはシングルピニオン遊星ギヤセットであって、第4回転要素は第2サンギヤ、第5回転要素は第2遊星キャリア、第6回転要素は第2リングギヤに設定され得る。
【0019】
多様な実施形態で、前記第1遊星ギヤセットはシングルピニオン遊星ギヤセットであって、第1回転要素は第1サンギヤ、第2回転要素は第1遊星キャリア、第3回転要素は第1リングギヤに設定され、前記第2遊星ギヤセットはダブルピニオン遊星ギヤセットであって、第4回転要素は第2サンギヤ、第5回転要素は第2リングギヤ、第6回転要素は第2遊星キャリアに設定され得る。
【0020】
多様な実施形態で、前記直結手段は第4回転要素と第6回転要素の間に配置される第1クラッチからなり得る。
【0021】
多様な実施形態で、前記直結手段は第4回転要素と第5回転要素の間に配置される第1クラッチからなり得る。
【0022】
多様な実施形態で、前記直結手段は第5回転要素と第6回転要素の間に配置される第1クラッチからなり得る。
【0023】
前記複数のトランスファギヤは、第2回転要素と第5回転要素の間に配置される第1トランスファギヤと、第1回転要素と第6回転要素の間に配置される第2トランスファギヤとを含むことができる。
【0024】
多様な実施形態で、前記複数の摩擦要素は、第6回転要素と変速機ハウジングの間に配置されるブレーキと、第1回転要素と第2トランスファギヤの間に配置される第2クラッチとを含むことができる。
【0025】
多様な実施形態で、前記複数の摩擦要素は、前記第6回転要素と変速機ハウジングの間に配置されるブレーキと、前記第6回転要素と第2トランスファギヤの間に配置される第2クラッチとを含むことができる。
【0026】
前記直結手段は第1クラッチを含み、前記複数の摩擦要素はブレーキおよび第2クラッチを含み、第1EVモードではブレーキが作動し、第2EVモードでは第1クラッチが作動し、第1ハイブリッド入力分岐モードではブレーキが作動し、第2ハイブリッド入力分岐モードでは第1クラッチが作動し、ハイブリッド複合分岐モードでは第2クラッチが作動し、第1エンジンモードでは第2クラッチとブレーキが同時に作動し、第2エンジンモードでは第1クラッチと第2クラッチが同時に作動することができる。
【0027】
本発明の他の態様によるハイブリッド自動車の動力伝達装置は、エンジンの動力の伝達を受ける入力軸と、前記入力軸と一定の間隔をおいて平行に配置される出力軸と、前記入力軸上に配置されており、第1モータ/ゼネレータと連結される第1回転要素、第2回転要素、および、前記入力軸と直接連結される第3回転要素、を保有する第1遊星ギヤセットと、前記出力軸上に配置されており、第2モータ/ゼネレータと連結される第4回転要素、前記第2回転要素と連結されると同時に出力軸と連結される第5回転要素、および、前記第1回転要素と連結されると同時に、変速機ハウジングに選択的に連結される第6回転要素、を保有する第2遊星ギヤセットと、前記第2遊星ギヤセットの3つの回転要素のうちの2つの回転要素を選択的に連結する第1クラッチと、前記第2回転要素と第5回転要素の間に配置される第1トランスファギヤと、前記第1回転要素と第6回転要素の間に配置される第2トランスファギヤと、ブレーキおよび第2クラッチを含む複数の摩擦要素とを含むことができる。
【0028】
多様な実施形態で、前記第1遊星ギヤセットはシングルピニオン遊星ギヤセットであって、第1回転要素は第1サンギヤ、第2回転要素は第1遊星キャリア、第3回転要素は第1リングギヤに設定され、前記第2遊星ギヤセットはシングルピニオン遊星ギヤセットであって、第4回転要素は第2サンギヤ、第5回転要素は第2遊星キャリア、第6回転要素は第2リングギヤに設定され得る。
【0029】
多様な実施形態で、前記第1遊星ギヤセットはダブルピニオン遊星ギヤセットであって、第1回転要素は第1サンギヤ、第2回転要素は第1リングギヤ、第3回転要素は第1遊星キャリアに設定され、前記第2遊星ギヤセットはシングルピニオン遊星ギヤセットであって、第4回転要素は第2サンギヤ、第5回転要素は第2遊星キャリア、第6回転要素は第2リングギヤに設定され得る。
【0030】
多様な実施形態で、前記第1遊星ギヤセットはシングルピニオン遊星ギヤセットであって、第1回転要素は第1サンギヤ、第2回転要素は第1遊星キャリア、第3回転要素は第1リングギヤに設定され、前記第2遊星ギヤセットはダブルピニオン遊星ギヤセットであって、第4回転要素は第2サンギヤ、第5回転要素は第2リングギヤ、第6回転要素は第2遊星キャリアに設定され得る。
【0031】
多様な実施形態で、前記第1クラッチは第4回転要素と第6回転要素の間に配置され得る。
【0032】
多様な実施形態で、前記第1クラッチは第4回転要素と第5回転要素の間に配置され得る。
【0033】
多様な実施形態で、前記第1クラッチは第5回転要素と第6回転要素の間に配置され得る。
【0034】
多様な実施形態で、前記複数の摩擦要素は、第6回転要素と変速機ハウジングの間に配置されるブレーキと、第1回転要素と第2トランスファギヤの間に配置される第2クラッチとを含むことができる。
【0035】
多様な実施形態で、前記複数の摩擦要素は、前記第6回転要素と変速機ハウジングの間に配置されるブレーキと、前記第6回転要素と第2トランスファギヤの間に配置される第2クラッチとを含むことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の実施形態によれば、2つの遊星ギヤセットと2つのトランスファギヤ、3つの摩擦要素および2つのモータ/ゼネレータの組み合わせで、2つのEVモードと、2つのハイブリッド入力分岐モードと、1つのハイブリッド複合分岐モード、2つのエンジンモードが実現できる。
【0037】
また、遊星ギヤセット以外に外接ギヤである2つのトランスファギヤを適用することによって、自由なギヤ歯数の変更で車両別最適のギヤ比を設定することができ、要求性能条件に合うようにギヤ歯数の変更が可能で発進性能が向上できる。
【0038】
そしてWOT(Wide Open Throttle)発進時に十分な動力性能を提供してエンジンモードへの変換を抑制し、ハイブリッド入力分岐モードと複合分岐モードの変換時、エンジンの最大動力を使用することができる。
【0039】
また、エンジン動力の分岐時、機械的動力伝達経路の比重を高めて電気負荷を減らしエンジンの最大動力が使用できるようにし、発進時モード変換回数を減らし、モード変換時すべての回転要素の回転数変化を最少化することができる。
【0040】
そしてエンジンモードを提供して高速走行時、モータ/ゼネレータの電気負荷なく走行可能にして燃費を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の第1実施形態による動力伝達装置の構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による動力伝達装置に適用される複数の摩擦要素の各作動モード別作動表である。
【
図3A】本発明の第1実施形態による動力伝達装置の第1EVモードでのレバー解釈図である。
【
図3B】本発明の第1実施形態による動力伝達装置の第2EVモードでのレバー解釈図である。
【
図4A】本発明の第1実施形態による動力伝達装置の第1ハイブリッド入力分岐モードでのレバー解釈図である。
【
図4B】本発明の第1実施形態による動力伝達装置の第2ハイブリッド入力分岐モードでのレバー解釈図である。
【
図5】本発明の第1実施形態による動力伝達装置のハイブリッド複合分岐モードでのレバー解釈図である。
【
図6A】本発明の第1実施形態による動力伝達装置の第1エンジンモードでのレバー解釈図である。
【
図6B】本発明の第1実施形態による動力伝達装置の第2エンジンモードでのレバー解釈図である。
【
図7】本発明の第2実施形態による動力伝達装置の構成図である。
【
図8】本発明の第3実施形態による動力伝達装置の構成図である。
【
図9】本発明の第4実施形態による動力伝達装置の構成図である。
【
図10】本発明の第5実施形態による動力伝達装置の構成図である。
【
図11】本発明の第6実施形態による動力伝達装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態を添付した図面により詳細に説明する。
【0043】
但し、本発明の実施形態を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な図面符号を適用して説明する。
【0044】
下記の説明で構成の名称を第1、第2などに区分したことはその構成の名称が同一でこれを区分するためであり、必ずしもその順序に限定されるのではない。
【0045】
図1は本発明の第1実施形態によるハイブリッド自動車の動力伝達装置の構成図である。
【0046】
図1に示す通り、本発明の第1実施形態によるハイブリッド自動車の動力伝達装置は、入力軸IS上に配置される第1遊星ギヤセットPG1と、前記入力軸ISと平行に配置される出力軸OS上に配置される第2遊星ギヤセットPG2と、2つのトランスファギヤTF1、TF2と、2つのクラッチCL1、CL2および1つのブレーキBKからなる摩擦要素と、2つのモータ/ゼネレータMG1、MG2を含んでなる。
【0047】
これにより、前記第1、第2遊星ギヤセットPG1、PG2は、入力軸ISから入力されるエンジンENGの回転動力と、第1、第2モータ/ゼネレータMG1、MG2の回転動力を変速して、変速された回転動力を前記出力軸OSを通じて出力する。
【0048】
前記入力軸ISは入力部材としてエンジンENGの回転動力の伝達を受け、前記出力軸OSは出力部材として差動装置(図示せず)を通じて駆動輪に駆動力を伝達する。
【0049】
前記第1遊星ギヤセットPG1はシングルピニオン遊星ギヤセットであって、第1サンギヤS1からなる第1回転要素N1と、前記第1サンギヤS1と外接でかみ合う第1ピニオンP1を支持する第1遊星キャリアPC1からなる第2回転要素N2と、前記第1ピニオンP1と内接でかみ合う第1リングギヤR1からなる第3回転要素N3を含んでなる。
【0050】
前記第2遊星ギヤセットPG2はシングルピニオン遊星ギヤセットであって、第2サンギヤS2からなる第4回転要素N4と、前記第2サンギヤS2と外接でかみ合う第2ピニオンP2を支持する第2遊星キャリアPC2からなる第5回転要素N5と、前記第2ピニオンP2と内接でかみ合う第2リングギヤR2からなる第6回転要素N6を含んでなる。
【0051】
前記第1遊星ギヤセットPG1の第3回転要素N3が入力軸ISと直接連結され、前記第2遊星ギヤセットPG2の第5回転要素N5が出力軸OSと直接連結される。また、前記第1遊星ギヤセットPG1の複数の回転要素は第1、第2トランスファギヤTF1、TF2と第1、第2クラッチCL1、CL2、そしてブレーキBKによって第2遊星ギヤセットPG2の複数の回転要素および変速機ハウジングHに連結される。
【0052】
前記第1、第2トランスファギヤTF1、TF2は、それぞれ互いに外接する第1、第2トランスファドライブギヤTF1a、TF2aと、第1、第2トランスファドリブンギヤTF1b、TF2bを含んでなる。
【0053】
前記第1トランスファギヤTF1は、第2回転要素N2と第5回転要素N5を外接で連結することができるように配置される。
【0054】
前記第2トランスファギヤTF2は、第1回転要素N1と第6回転要素N6を外接で連結することができるように配置される。
【0055】
これにより、前記第1、第2トランスファギヤTF1、TF2によって連結される複数の回転要素は、第1、第2トランスファギヤTF1、TF2のギヤ比によって相互反対方向に回転する。
【0056】
そして、摩擦要素である第1、2クラッチCL1、CL2とブレーキBKは次の通り配置される。
【0057】
前記第1クラッチCL1は、第4回転要素N4と第6回転要素N6を選択的に連結することができるように配置される。
【0058】
前記第2クラッチCL2は、第1回転要素N1と第2トランスファギヤTF2を選択的に連結することができるように配置される。
【0059】
これにより、前記第1クラッチCL1は第2遊星ギヤセットPG2の2つの回転要素を選択的に連結して第2遊星ギヤセットPG2が選択的に直結の状態になるようにする直結手段であり、第2クラッチCL2は第1回転要素N1の回転動力を選択的に第6回転要素N6に伝達されるようにする。
【0060】
また、前記ブレーキBKは、第6回転要素N6と変速機ハウジングHを選択的に連結することができるように配置される。
【0061】
前記第1、第2クラッチCL1、CL2とブレーキBKからなる複数の摩擦要素は油圧によって摩擦結合される多板式油圧摩擦結合ユニットからなり得る。
【0062】
前記第1モータ/ゼネレータMG1と第2モータ/ゼネレータMG2はそれぞれ独立的な動力源であって、モータとゼネレータ機能を有する。
【0063】
前記第1モータ/ゼネレータMG1は、前記第1遊星ギヤセットPG1の第1回転要素N1と連結されて第1回転要素N1に回転動力を供給するモータとして作動するか、前記第1回転要素N1の回転力によって電気を生成する発電機役割を果たす。
【0064】
前記第2モータ/ゼネレータMG2は、前記第2遊星ギヤセットPG2の第4回転要素N4と連結されて第4回転要素N4に回転動力を供給するモータとして作動するか、前記第4回転要素N4の回転力によって電気を生成する発電機役割を果たす。
【0065】
このために前記第1モータ/ゼネレータMG1と第2モータ/ゼネレータMG2の複数の固定子は変速機ハウジングHに固定され、複数の回転子は前記第1回転要素N1と第4回転要素N4にそれぞれ連結される。
【0066】
図2は本発明の第1実施形態による遊星ギヤトレインに適用される複数の摩擦要素の各作動モード別作動表である。
【0067】
図2に示す通り、第1EVモードは、ブレーキBKの作動によって達成される。
【0068】
第2EVモードは、第1クラッチCL1の作動によって達成される。
【0069】
第1ハイブリッド入力分岐モードは、ブレーキBKの作動によって達成される。
【0070】
第2ハイブリッド入力分岐モードは、第1クラッチCL1の作動によって達成される。
【0071】
ハイブリッド複合分岐モードは、第2クラッチCL2の作動によって達成される。
【0072】
第1エンジンモードは、第2クラッチCL2とブレーキBKの同時作動によって達成される。
【0073】
第2エンジンモードは、第1クラッチCL1と第2クラッチCL2の同時作動によって達成される。
【0074】
前記のように本発明の第1実施形態による動力伝達装置は、2つのEVモードと、2つのハイブリッド入力分岐モードと、1つのハイブリッド複合分岐モード、2つのエンジンモードを実現することができる。
【0075】
図3乃至
図6は本発明の第1実施形態による動力伝達装置の複数のモードをレバー解釈法で説明するための図面である。
【0076】
図3乃至
図6に示す通り、第1遊星ギヤセットPG1の3つの縦線は左側から第1、第2、第3回転要素N1、N2、N3に設定され、第2遊星ギヤセットPG2の3つの縦線は左側から第6、第5、第4回転要素N6、N5、N4に設定される。中間の横線は回転速度“0”を示し、上側の複数の横線は正回転を示し、下側の複数の横線は逆回転を示す。
【0077】
前記逆回転はエンジンの回転方向と反対方向に回転することを意味し、第1遊星ギヤセットPG1と第2遊星ギヤセットPG2がアイドリングギヤ(Idling Gear)なしに第1、第2トランスファギヤTF1、TF2を通じて外接で連結されるためである。
【0078】
また、前記第1、第2遊星ギヤセットPG1、PG2の複数の縦線の間の間隔は、第1、第2遊星ギヤセットPG1、PG2のギヤ比(サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)によって設定される。
【0079】
[第1EVモード]
図3Aは第1EVモードに対するレバー解釈図である。
【0080】
EVモードは、エンジンが停止した状態でバッテリーの電源をモータ/ゼネレータに供給してモータ/ゼネレータの動力で車両を走行させるモードを意味する。エンジンが停止しているため燃費向上に大きい影響を与え、別途の後進装置なくても後進走行が可能であるという長所がある。
【0081】
EVモードは停止した状態で車両が出発したり車両が低速で走行する時に活用され、登り坂道での後退防止または速い加速のために動力源が出力部材より速く回転する減速変速比が要求される。
【0082】
このような条件で、第1EVモードではブレーキBKの作動で第6回転要素N6が固定要素として作動し、第2モータ/ゼネレータMG2を作動させて第4回転要素N4に第2モータ/ゼネレータMG2の動力が入力される。したがって、第2遊星ギヤセットPG2のギヤ比によって第2モータ/ゼネレータMG2の動力が変換されて第5回転要素N5を通じて出力される。
【0083】
この時、第1遊星ギヤセットPG1は変速には関与しないが、第3回転要素N3がエンジンと共に停止した状態を維持し、第2回転要素N2が第5回転要素N5と第1トランスファギヤTF1を通じて連結されているため第1、第2回転要素N1、N2が空転する。
【0084】
[第2EVモード]
図3Bは第2EVモードに対するレバー解釈図である。
【0085】
モータ/ゼネレータは回転速度とトルクによってその効率が変わる特性を有する。これは同一な電流を供給しても回転速度とトルクによって電気エネルギーが機械的エネルギーに変換される比率が異なるということを意味する。
【0086】
EVモードで使用されるバッテリーの電流はエンジンで燃料の燃焼によるか回生制動によって蓄積されたエネルギーであるが、エネルギー発生方法と関係なく蓄積されたエネルギーを効率的に使用することは燃費向上に直接影響を与える。
【0087】
このような理由で最近は電気自動車でも2つの変速段以上を実現する変速機を装着する傾向であり、ハイブリッド自動車のEVモードでも2つ以上の変速段を有するのが有利である。したがって、本発明の実施形態では2つのEVモードが実現できるようになっている。
【0088】
このような点を考慮して第2EVモードへの変速過程を見てみると次の通りである。前記第1EVモードで走行中に、車速が増加して第2モータ/ゼネレータMG2の効率が悪い地点でブレーキBKの作動を解除し、第1クラッチCL1を作動させると第2EVモードが実現される。
【0089】
そうすれば、第2遊星ギヤセットPG2の直結手段である第1クラッチCL1が作動するので、第2遊星ギヤセットPG2は直結の状態になって第2遊星ギヤセットPG2のすべての回転要素N4、N5、N6が同一な速度で回転しながら第5回転要素N5を通じて出力が行われる。
【0090】
この時、第1遊星ギヤセットPG1は変速には関与しないが、第3回転要素N3がエンジンと共に停止した状態を維持し、第1、第2回転要素N1、N2が空転する。
【0091】
[第1ハイブリッド入力分岐モード]
図4Aは第1ハイブリッド入力分岐モードに対するレバー解釈図である。
【0092】
ハイブリッド入力分岐モードではエンジンの動力が機械的経路と電気的経路を通じて出力部材に伝達され、このようなエンジンの動力分配は遊星ギヤセットによって行われる。前記遊星ギヤセットに連結されたエンジンとモータ/ゼネレータは車速に関係なく回転速度を任意に調節することができるため、ハイブリッド入力分岐モードでの動力伝達装置は電子式無段変速機役割を果たす。
【0093】
既存の変速機では与えられた車速でエンジン速度とトルクが固定されるが、電子式無段変速機では与えられた車速でエンジン速度とトルクを自由に変更することができる。したがって、エンジンの運転効率を極大化させることができ、燃費向上を図ることができる。
【0094】
このような点を考慮して第1ハイブリッド入力分岐モードへの変速過程を見てみると次の通りである。前記EVモードでは第2回転要素N2が第1トランスファギヤTF1を通じて第5回転要素N5に連結されているが、第1、第2回転要素N1、N2は空転する。
【0095】
前記状態で第1モータゼネレータMG1を用いてエンジンENGを作動させれば、車速に関係なくエンジンENGと第1モータ/ゼネレータMG1の速度を制御することができる。
【0096】
これにより、エンジンENGと第1モータ/ゼネレータMG1を制御すれば、エンジンのトルクと第1モータ/ゼネレータMG1のトルクが合わせられて第1トランスファギヤTF1を通じて出力要素である第5回転要素N5に伝達される。したがって、高い駆動力を発生させることができる。
【0097】
この時、第2遊星ギヤセットPG2ではブレーキBKが作動しながら第6回転要素N6が固定要素として作動して第5回転要素N5を通じて出力が行われ、第4回転要素N4は空転する。
【0098】
このように第1ハイブリッド入力分岐モードではエンジンENGと第1モータ/ゼネレータMG1を独立的に制御することができるので、燃費と動力性能が非常に優れている。
【0099】
[第2ハイブリッド入力分岐モード]
図4Bは第2ハイブリッド入力分岐モードに対するレバー解釈図である。
【0100】
車両が前記第1ハイブリッド入力分岐モードで走行中に車速が増加すれば、第1遊星ギヤセットPG1の複数の回転要素の回転速度を全体的に低下させるためにブレーキBKの作動を解除し、第1クラッチCL1を作動させる。これにより、第2ハイブリッド入力分岐モードが始まる。
【0101】
第2遊星ギヤセットPG2の直結手段である第1クラッチCL1が作動するので、第2遊星ギヤセットPG2は直結の状態になり、第2遊星ギヤセットPG2のすべての回転要素N4、N5、N6が同一な速度で回転しながら駆動力が第5回転部材N5を通じて出力される。
【0102】
第2ハイブリッド入力分岐モードでは第1ハイブリッド入力分岐モードと同様にエンジンENGと第1モータ/ゼネレータMG1を独立的に制御することができるため燃費と動力性能が非常に優れている。
【0103】
[ハイブリッド複合分岐モード]
図5はハイブリッド複合分岐モードに対するレバー解釈図である。
【0104】
前記ハイブリッド入力分岐モードでは出力部材に連結されたモータ/ゼネレータの回転速度が車速に拘束されていて、モータ/ゼネレータの効率的な運用が難しいだけでなくモータ/ゼネレータの容量を減らすのも難しい。
【0105】
特に、車速が高くて車速に拘束されたモータ/ゼネレータの回転速度が高い時にはモータ/ゼネレータの効率が悪化するため、最適の燃費が実現できない。
【0106】
このような条件でエンジンENGに連結された第1遊星ギヤセットPG1の2つの回転要素と出力軸に連結された第2遊星ギヤセットPG2の2つの回転要素を互いに結合させてエンジンENGの回転速度と2つのモータ/ゼネレータMG1、MG2の回転速度を車速と関係なく制御することができるようにすれば、前記動力伝達装置は無段変速機の役割を果たし燃費向上を図ることができる。
【0107】
第2クラッチCL2を作動させると、第2トランスファギヤTF2を通じて第2モータ/ゼネレータMG2の速度とトルクがエンジンENGの速度とトルクによって拘束される。
【0108】
また、第1トランスファギヤTF1を通じて第2回転要素N2と第5回転要素N5が連結されるので、第2回転要素N2および第5回転要素N5の速度とトルクが互いに拘束を受ける。
【0109】
そして第1、第2モータ/ゼネレータMG1、MG2の電気エネルギーが平衡をなさなければならないので、ハイブリッド複合分岐モードでは第1、第2遊星ギヤセットPG1、PG2のすべての回転要素の速度とトルクが互いに連関を有しながら前記動力伝達装置は電子式無段変速機役割を果たす。
【0110】
前記ハイブリッド複合分岐モードは第1ハイブリッド入力分岐モードと第2ハイブリッド入力分岐モードから変換が可能である。即ち、前記第1ハイブリッド入力分岐モードと第2ハイブリッド入力分岐モードからハイブリッド複合分岐モードに変換しようとする時には、エンジンENGと第1モータ/ゼネレータMG1を制御して第1遊星ギヤセットPG1の複数の回転要素と第2遊星ギヤセットPG2の複数の回転要素が同期されるようにした後、第2クラッチCL2を作動させる。
【0111】
そして第1ハイブリッド入力分岐モードからハイブリッド複合分岐モードに変換する時には第2クラッチCL2を作動させブレーキBKを解除し、第2ハイブリッド入力分岐モードからハイブリッド複合分岐モードに変換する時には第2クラッチCL2を作動させ第1クラッチCL1を解除すれば良い。
【0112】
ハイブリッド複合分岐モードでは第6回転要素N6がトルクを受けることができないために、第4回転要素N4に入力されるトルクの合計と第5回転要素N5に入力されるトルクの合計がそれぞれ“0”にならなければならない。
【0113】
即ち、前記第4回転要素N4は第2モータ/ゼネレータMG2のトルクと第2トランスファギヤTF2から入力される外部トルクが平衡をなす。
【0114】
また、前記第5回転要素N5は走行抵抗によって入力されるトルクと第1トランスファギヤTF1から入力される外部トルクが平衡をなす。
【0115】
[第1エンジンモード]
図6Aは第1エンジンモードに対するレバー解釈図である。
【0116】
ハイブリッド自動車の燃費向上のための核心技術は、制動エネルギーの回収および再使用とエンジン運転点の自由な制御と言える。
【0117】
そしてエンジン運転点の制御にはエンジンの機械的エネルギーがモータ/ゼネレータで電気的エネルギーに変換される過程と、モータ/ゼネレータの電気的エネルギーがモータ/ゼネレータで再び機械的エネルギーに変換される二回のエネルギー変換過程を伴う。
【0118】
このようなエネルギー変換過程で入力された全てのエネルギーが出力されず中間に損失が発生する。
【0119】
したがって、ある運転条件ではハイブリッドモードよりむしろエンジンのみで駆動されるエンジンモードの燃費が優れていることがあるので、本発明の実施形態では2つのエンジンモードを提供する。
【0120】
即ち、第1エンジンモードでは、第2クラッチCL2とブレーキBKを締結すると、エンジンENGの速度が第2トランスファギヤTF2を通じて第2遊星ギヤセットPG2に伝達されて、第4回転要素N4がエンジンENGと反対方向に回転し、第6回転要素N6が停止するために減速変速比が形成される。
【0121】
この時、第1、第2モータ/ゼネレータMG1、MG2はトルクを提供する必要がないため、エンジンENGの動力のみで車両が駆動される第1エンジンモードが実現される。
【0122】
[第2エンジンモード]
前記第1エンジンモードで走行中に車速が増加すれば、第1クラッチCL1と第2クラッチC2を作動させて第2エンジンモードに進入する。
【0123】
そうすれば、第1クラッチCL1の作動によって第2遊星ギヤセットPG2のすべての回転要素N4、N5、N6は同一な速度で回転する。
【0124】
そして第2トランスファギヤTF2のギヤ比によって第1回転要素N1が第3回転要素N3より高速で回転しながら第2回転要素N2の回転動力が第1トランスファギヤTF1によって第5回転要素N5に伝達されて出力される。
【0125】
これにより、エンジンENGより第5回転要素N5がさらに速い速度で回転しながらオーバードライブ出力が行われ、第1、第2モータ/ゼネレータMG1、MG2はトルクを提供する必要がないためエンジンENGの動力のみで車両が駆動される第2エンジンモードが成立する。
【0126】
本発明の第1実施形態によれば、2つの遊星ギヤセットPG1、PG2と2つのトランスファギヤTF1、TF2、3つの摩擦要素CL1、CL2、BK、および2つのモータ/ゼネレータMG1、MG2の組み合わせで2つのEVモードと、2つのハイブリッド入力分岐モードと、1つのハイブリッド複合分岐モード、2つのエンジンモードを実現することができる。
【0127】
また、遊星ギヤセット以外に外接ギヤである2つのトランスファギヤを適用することによって、自由なギヤ歯数の変更で車両別最適のギヤ比が設定でき、要求性能条件に合うようにギヤ歯数の変更が可能で発進性能を向上させることができる。
【0128】
そしてWOT(Wide Open Throttle)発進時、十分な動力性能を提供してエンジンモードへの変換を抑制し、ハイブリッド入力分岐モードと複合分岐モードの変換時にエンジンの最大動力を使用することができる。
【0129】
また、エンジン動力の分岐時、機械的動力伝達経路の比重を高めて電気負荷を減らしエンジンの最大動力が使用できるようにし、発進時モード変換回数を減らし、モード変換時すべての回転要素の回転数変化を最少化することができる。
【0130】
そしてエンジンモードを提供して、高速走行時にモータ/ゼネレータの電気負荷なく走行可能にして燃費を向上させることができる。
【0131】
図7は本発明の第2実施形態による動力伝達装置の構成図である。
【0132】
図7に示す通り、第1実施形態では第2クラッチCL2を第1回転要素N1と第2トランスファギヤTF2の間に配置しているが、第2実施形態では前記第2クラッチCL2を第2トランスファギヤTF2と第6回転要素N6の間に配置している。
【0133】
このような第2実施形態の場合、前記第1実施形態と比較して第2クラッチCL2の配置位置のみ異なるだけでその作動が同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0134】
図8は本発明の第3実施形態による動力伝達装置の構成図である。
【0135】
図8に示す通り、第1実施形態では第1クラッチCL1を第4回転要素N4と第6回転要素N6の間に配置しているが、第3実施形態では第1クラッチCL1を第4回転要素N4と第5回転要素N5の間に配置している。
【0136】
このような第3実施形態の場合、前記第1実施形態と比較して第1クラッチCL1の配置位置のみ異なるだけでその作動が同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0137】
図9は本発明の第4実施形態による動力伝達装置の構成図である。
【0138】
図9に示す通り、第1実施形態では第1クラッチCL1を第4回転要素N4と第6回転要素N6の間に配置しているが、第4実施形態では第1クラッチCL1を第5回転要素N5と第6回転要素N6の間に配置している。
【0139】
このような第4実施形態の場合、前記第1実施形態と比較して第1クラッチCL1の配置位置のみ異なるだけでその作動が同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0140】
図10は本発明の第5実施形態による動力伝達装置の構成図である。
【0141】
図10に示す通り、第1実施形態では第1遊星ギヤセットPG1をシングルピニオン遊星ギヤセットで構成しているが、第5実施形態では第1遊星ギヤセットPG1をダブルピニオン遊星ギヤセットで構成している。
【0142】
これにより、第1回転要素N1が第1サンギヤS1、第2回転要素N2が第1リングギヤR1、第3回転要素N3が第1遊星キャリアPC1に設定される。
【0143】
このような第5実施形態の場合、前記第1実施形態と比較して第2、第3回転要素N2、N3を構成する複数の回転要素が変わるだけでその作動が同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0144】
図11は本発明の第6実施形態による動力伝達装置の構成図である。
【0145】
図11に示す通り、第1実施形態では第2遊星ギヤセットPG2をシングルピニオン遊星ギヤセットで構成しているが、第6実施形態では第2遊星ギヤセットPG2をダブルピニオン遊星ギヤセットで構成している。
【0146】
これにより、第4回転要素N4が第2サンギヤS2、第5回転要素N5が第2リングギヤR2、第6回転要素N6が第2遊星キャリアPC2に設定される。
【0147】
このような第6実施形態の場合、前記第1実施形態と比較して第5、第6回転要素N5、N6を構成する複数の回転要素が変わるだけでその作動が同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0148】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の実施形態から当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって容易に変更されて均等であると認められる範囲のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0149】
BK:ブレーキ
CL1、CL2:第1、第2クラッチ
IS:入力軸
OS:出力軸
MG1、MG2:第1、第2モータ/ゼネレータ
PG1、PG2:第1、第2遊星ギヤセット
S1、S2:第1、第2サンギヤ
PC1、PC2:第1、第2遊星キャリア
R1、R2:第1、第2リングギヤ