特許第6227321号(P6227321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6227321プロテクトフィルム付き透明導電性フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227321
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】プロテクトフィルム付き透明導電性フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20171030BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20171030BHJP
   G02B 1/10 20150101ALI20171030BHJP
   G02B 1/11 20150101ALI20171030BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   B32B27/30 A
   B32B27/00 L
   G02B1/10
   G02B1/11
   H01B5/14 A
【請求項の数】8
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2013-162003(P2013-162003)
(22)【出願日】2013年8月5日
(65)【公開番号】特開2015-30213(P2015-30213A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106404
【弁理士】
【氏名又は名称】江森 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100184479
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 卓三
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慶一
(72)【発明者】
【氏名】大類 知生
(72)【発明者】
【氏名】所司 悟
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−253676(JP,A)
【文献】 特開2004−059860(JP,A)
【文献】 特開2010−032795(JP,A)
【文献】 特開2013−071380(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0033735(US,A1)
【文献】 特開2001−332132(JP,A)
【文献】 特開2002−073282(JP,A)
【文献】 特開2008−251529(JP,A)
【文献】 特開2013−160954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
G02B 1/10−1/18
H01B 5/00−5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明導電性膜と、第1のハードコート層と、透明プラスチックフィルム基材と、第2のハードコート層と、プロテクトフィルムと、を順に積層してなるプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムであって、
前記プロテクトフィルムが、粘着剤層およびプロテクトフィルム基材とからなるとともに、前記第2のハードコート層に対して、剥離可能に積層されており、
前記第1のハードコート層および前記第2のハードコート層、あるいはいずれか一方が、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるとともに、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における、1分子中に2個以上の下記一般式(1)で表される基を有し、かつ、当該基を除いた残りの構造中にアルキレンオキサイド単位を含まない重合性化合物(A)と、1分子中に5〜8個の下記一般式(2)で表される基を有する重合性化合物(B)と、の重量比(重合性化合物(A)/重合性化合物(B))を15/85〜85/15の範囲内の値とし、かつ、
前記透明プラスチックフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率を0.6%以下の値とし、前記プロテクトフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率を0.6%以下の値とすることを特徴とするプロテクトフィルム付き透明導電性フィルム。
【化1】
(一般式(1)中、Rは、独立した水素原子またはメチル基であり、*は結合部分を示す。)
【化2】
(一般式(2)中、R1は、独立した水素原子またはメチル基であり、Aは、独立した炭素数1〜5のアルキレン基であり、繰り返し数nは、それぞれ独立した1以上の整数であり、*は結合部分を示す。)
【請求項2】
前記透明プラスチックフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率と、前記プロテクトフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率と、の差を−0.5〜0.5%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルム。
【請求項3】
前記透明プラスチックフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のTD方向の熱収縮率を0.6%以下の値とし、前記プロテクトフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のTD方向の熱収縮率を0.6%以下の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルム。
【請求項4】
前記プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを、MD方向100mm×TD方向100mmの正方形に切り出し、前記プロテクトフィルム側を下側にして150℃で60分間加熱した際のカール値の絶対値を25mm以下の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルム。
【請求項5】
前記第1のハードコート層および前記第2のハードコート層の厚さを1〜15μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルム。
【請求項6】
前記プロテクトフィルム基材の厚さを10〜300μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルム。
【請求項7】
前記透明プラスチックフィルム基材の厚さを10〜200μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルム。
【請求項8】
前記第1のハードコート層と、前記透明導電性膜と、の間に、光学調整層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムに関する。
特に、ハンドリング性に優れる一方で、アニール処理を施した場合であっても、カールの発生を効果的に抑制することができるプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像表示部に直接触れることにより情報を入力できるタッチパネルは、光透過性の入力装置をディスプレイ上に配置してなるものである。
かかるタッチパネルの代表的な形式としては、2枚の透明電極基板をそれぞれの透明電極層が向かい合うように隙間を設けつつ配置してなる抵抗膜式タッチパネルや、透明電極膜と指との間に生じる静電容量の変化を利用する静電容量式タッチパネルが存在する。
【0003】
このうち、静電容量式タッチパネルでは、指のタッチ位置を検出するためのフィルムセンサーとして、透明導電性膜を透明プラスチックフィルム基材上に積層してなる透明導電性フィルムが広く用いられている。
また、透明導電性フィルムにおける透明導電性膜の電気伝導度を向上させるために、透明プラスチックフィルム上に積層された状態の当該透明導電性膜を加熱処理により結晶化する処理、所謂、アニール処理が広く実施されている。
【0004】
また、静電容量式タッチパネルを搭載したスマートフォン等における薄型化の要請に伴い、透明導電性フィルムに対しても薄型化が要求されている。
その一方で、透明導電性フィルムに対しては、タッチパネルという使用用途に起因して高度な耐久性が要求されるとともに、パターン化された透明導電性膜を精密に形成する観点から、厳密な寸法安定性も要求されている。
【0005】
したがって、これらの要求に応えるべく、透明プラスチックフィルム基材の表面にハードコート層を有するハードコートフィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、特許文献1には、プラスチック基材フィルム(透明プラスチックフィルム基材)の片面にハードコート層を有するハードコートフィルムであって、下記要件(1)〜(5)を満たすことを特徴とするハードコートフィルムが開示されている。
(1)プラスチック基材フィルムの厚さが50μm以上500μm以下
(2)ハードコート層の膜厚が1μm以上30μm以下
(3)ハードコートフィルムの鉛筆硬度がH以上
(4)150℃、30分処理後の熱収縮率が0.1%以上2%以下
(5)下記測定方法により測定された150℃、30分処理後のカール値が0mm以上5mm以下
(測定方法)
ハードコートフィルムを縦方向に20cm、幅方向に2cm、および縦方向に2cm、幅方向に20cmの大きさに2つのフィルム試料を切り出し、150℃の熱風循環式オーブンで30分間放置し熱処理を行った。室温にて放置冷却後、プラスチック基材フィルム面を下にしてガラス板上に置き、ガラス板面から垂直方向での4隅の浮き上がり量を測定した。切り出した2つのフィルム試料において、最大の浮き上がり量をカール値とした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−31457号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されているハードコートフィルムは、透明プラスチックフィルム基材の片面にのみハードコート層を有することを特徴としていることから、アニール処理を施した場合には、ハードコート層の熱収縮率と、透明プラスチックフィルム基材の熱収縮率との差に起因したカールの発生を、確実に抑制することが困難になるという問題が見られた。
【0008】
また、薄型化により低下したハンドリング性を補うために、近年の透明導電性フィルムでは、透明プラスチックフィルム基材における透明導電性膜が形成された側とは反対側の面に対して、剥離可能なプロテクトフィルムを補助的に積層し、最終的にはこれを剥離除去する方法が採られている。
この点、特許文献1に開示されているハードコートフィルムでは、ハードコートフィルム単体の場合にはカールの発生をある程度抑制できたとしても、プロテクトフィルムが積層してある状態の場合には、ハードコートフィルムの熱収縮率と、プロテクトフィルムの熱収縮率との差に起因して、著しくカールが発生してしまうという問題が見られた。
【0009】
そこで、本発明者等は、以上のような事情に鑑み、鋭意努力したところ、透明プラスチックフィルム基材の両面にハードコート層を設けるとともに、透明プラスチックフィルム基材およびプロテクトフィルム基材における所定条件下におけるMD方向の熱収縮率をそれぞれ所定の範囲内の値とすることにより、アニール処理を施した場合であっても、カールの発生を効果的に抑制できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、ハンドリング性に優れる一方で、アニール処理を施した場合であっても、カールの発生を効果的に抑制することができるプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、透明導電性膜と、第1のハードコート層と、透明プラスチックフィルム基材と、第2のハードコート層と、プロテクトフィルムと、を順に積層してなるプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムであって、プロテクトフィルムが、粘着剤層およびプロテクトフィルム基材とからなるとともに、第2のハードコート層に対して、剥離可能に積層されており、第1のハードコート層および前記第2のハードコート層、あるいはいずれか一方が、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるとともに、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における、1分子中に2個以上の下記一般式(1)で表される基を有し、かつ、当該基を除いた残りの構造中にアルキレンオキサイド単位を含まない重合性化合物(A)と、1分子中に5〜8個の下記一般式(2)で表される基を有する重合性化合物(B)と、の重量比(重合性化合物(A)/重合性化合物(B))を15/85〜85/15の範囲内の値とし、かつ、透明プラスチックフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率を0.6%以下の値とし、前記プロテクトフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率を0.6%以下の値とすることを特徴とするプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムが提供され、上述した問題を解決することができる。
【0011】
【化1】
【0012】
(一般式(1)中、Rは、独立した水素原子またはメチル基であり、*は結合部分を示す。)
【0013】
【化2】
【0014】
(一般式(2)中、R1は、独立した水素原子またはメチル基であり、Aは、独立した炭素数1〜5のアルキレン基であり、繰り返し数nは、それぞれ独立した1以上の整数であり、*は結合部分を示す。)
【0015】
すなわち、本発明のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムであれば、プロテクトフィルムにより支持されていることから、薄型化された透明導電性フィルムに対して優れたハンドリング性を付与することができる。
また、本発明のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムであれば、透明プラスチックフィルム基材の両面にハードコート層を設けるとともに、透明プラスチックフィルム基材およびプロテクトフィルム基材における所定条件下におけるMD方向の熱収縮率をそれぞれ所定の範囲内の値としていることから、アニール処理を施した場合であっても、カールの発生を効果的に抑制することができる。
さらに、本発明のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムであれば、透明プラスチックフィルム基材の両面にハードコート層を設けていることから、プロテクトフィルムを剥離した後の透明導電性フィルム単体におけるカールの発生についても効果的に抑制することができる。
なお、MD方向とは、フィルム成型時の長尺方向を意味し、TD方向とは、フィルム成形時の幅方向を意味する。
また、本発明のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムは、アニール処理前のものと、アニール処理後のものの両方を意味する。
また、このように構成することにより、得られるハードコート層に適切な表面硬化を付与すると共に、熱収縮に起因するひずみを分散・緩和させることができる。
【0016】
また、本発明のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを構成するにあたり、透明プラスチックフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率と、プロテクトフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率と、の差を−0.5〜0.5%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、アニール処理を施した場合であっても、カールの発生をより効果的に抑制することができる。
【0017】
また、本発明のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを構成するにあたり、透明プラスチックフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のTD方向の熱収縮率を0.6%以下の値とし、プロテクトフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のTD方向の熱収縮率を0.6%以下の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、アニール処理を施した場合であっても、カールの発生をさら効果的に抑制することができる。
【0018】
また、本発明のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを構成するにあたり、プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを、MD方向100mm×TD方向100mmの正方形に切り出し、プロテクトフィルム側を下側にして150℃で60分間加熱した際のカール値の絶対値を25mm以下の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、アニール処理を施した場合であっても、カールの発生を一段と効果的に抑制することができる。
【0020】
また、本発明のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを構成するにあたり、第1のハードコート層および第2のハードコート層の厚さを1〜15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、透明プラスチックフィルム基材の熱収縮に起因するカールの発生を抑制し、また、ハードコート層に起因するアニール処理時のアウトガス発生も抑制することができる。
【0021】
また、本発明のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを構成するにあたり、プロテクトフィルム基材の厚さを10〜300μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、透明導電性フィルムのアニール処理時のカールの発生を抑制し、また、プロテクトフィルム基材自体のカールも抑制することができる。
【0022】
また、本発明のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを構成するにあたり、透明プラスチックフィルム基材の厚さを10〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、ハードコート層や透明導電性膜の厚さの均一性などを優れたものにするとともに、透明プラスチックフィルム基材に起因するアウトガス発生を抑制することができる。
【0023】
また、本発明のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを構成するにあたり、第1のハードコート層と、透明導電性膜と、の間に、光学調整層を有することが好ましい。
このように構成することにより、エッチング処理により透明導電性膜をパターン形状とした際、透明導電性膜の存在部分と非存在部分で視認性に差異を生じないよう(パターン形状が視認しずらいよう)に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1(a)〜(b)は、本発明のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムについて説明するために供する図である。
図2図2は、透明プラスチックフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率と、プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムにおけるカール値との関係を説明するために供する図である。
図3図3は、プロテクトフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率と、プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムにおけるカール値との関係を説明するために供する図である。
図4図4は、透明プラスチックフィルム基材およびプロテクトフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率の差と、プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムにおけるカール値との関係を説明するために供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第1の実施形態は、図1(a)に示すように、透明導電性膜1と、第1のハードコート層2aと、透明プラスチックフィルム基材3と、第2のハードコート層2bと、プロテクトフィルム7と、を順に積層してなるプロテクトフィルム付き透明導電性フィルム10であって、プロテクトフィルム7が、粘着剤層4およびプロテクトフィルム基材5とからなるとともに、第2のハードコート層2bに対して、剥離可能に積層されており、かつ、透明プラスチックフィルム基材3における150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率を0.6%以下の値とし、プロテクトフィルム基材5における150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率を0.6%以下の値とすることを特徴とするプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムである。
以下、本発明の実施形態を、図面を適宜参照して、具体的に説明する。
【0026】
1.透明プラスチックフィルム基材
(1)種類
透明プラスチックフィルム基材に使用される樹脂としては、柔軟性および透明性に優れるものであれば特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリウレタン樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルムを挙げることができる。
これらの中でも、透明性に優れ、かつ汎用性があることから、ポリエチレンテレフタレートまたはポリカーボネートからなる透明樹脂フィルムを使用することが好ましい。
【0027】
(2)熱収縮率
本発明においては、透明プラスチックフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率を0.6%以下の値とすることを特徴とする。
この理由は、後述するプロテクトフィルム基材における所定の熱収縮特性と相まって、プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムの状態でアニール処理を施した場合であっても、カールの発生を効果的に抑制することができるためである。
すなわち、透明プラスチックフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率が0.6%を超えた値となると、プロテクトフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率との差によらず、カールの発生を効果的に抑制することが困難になる場合があるためである。一方、透明プラスチックフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率の下限値は0%を含むものである。しかし、当該下限値を過度に小さな値とするためには、微粒子等を添加したり、耐熱性に優れた材料をブレンドしたりする必要が生じ、光学特性を悪化させることとなる場合がある。
したがって、透明プラスチックフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率を0.01〜0.5%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.05〜0.3%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、透明プラスチックフィルム基材における所定の熱収縮特性と、プロテクトフィルム基材における所定の熱収縮特性と、の間の相互作用は、これら2つのフィルム基材を、透明プラスチックフィルム基材におけるMD方向と、プロテクトフィルム基材におけるMD方向とが一致するように貼り合せることによって得られる。
また、透明プラスチックフィルム基材の熱収縮率を上述した範囲とするためには、基本的には、そのような透明プラスチックフィルム基材を選択することが最も容易であるが、二軸延伸後に所定温度で熱固定処理を行うとともに、その際にMD方向の緩和処理を行うことによって熱収縮率を調節することもできる(後述するTD方向の熱収縮率およびプロテクトフィルム基材における熱収縮率についても同様)。
【0028】
ここで、図2を用いて、透明プラスチックフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率と、プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムにおけるカール値との関係を説明する。
すなわち、図2には、横軸に透明プラスチックフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率(%)を採り、縦軸にプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムのカール値(mm)を採った散布図が示してある。
なお、プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムのカール値とは、以下のようにして測定される値である。
すなわち、プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを、MD方向100mm×TD方向100mmの正方形に切り出し試験片とし、当該試験片をプロテクトフィルム側を下側にして150℃の温度にした炉内で60分間静置する。
次いで、当該試験片をプロテクトフィルム側を下側にして温度23℃、湿度50%RHの環境下にてガラス板上に60分間静置する。
そして、ガラス板面から垂直方向での試験片における4隅の浮き上がり量をノギスにて測定し、得られた浮き上がり量のうち最大の値をカール値とする。
なお、ガラス板面から4隅が浮き上がらず、フィルムの中央部分が浮いてしまう場合には、プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムの表裏をひっくり返して、4隅の浮き上がり量を測定し、その浮き上がり量の最大の値にマイナスを付してカール値とする。
また、測定対象としてのプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムは、後述する実施例1〜5および比較例1として作成したものを用いた。
すなわち、プロテクトフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率が0.6%以下の値であるようなプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを測定対象とした。
【0029】
かかる散布図から理解されるように、プロテクトフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率が0.6%以下の値という条件下では、透明プラスチックフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率が0.6%以下の値であれば、カール値を−20〜20mm程度という、実際上、許容可能な範囲に抑えることができる。
一方、プロテクトフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率が0.6%以下の値という条件下であっても、透明プラスチックフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率が0.6%を超えた値になると、カール値が−40mm未満、もしくは40mmを超えた値となり、実際上、許容可能な範囲に抑制することができず、問題が生じてしまうことが分かる。
したがって、図2に示す散布図より、プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムにおけるカールの発生を効果的に抑制する観点から、プロテクトフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率が0.6%以下の値という条件下では、透明プラスチックフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率を0.6%以下の値とすることが必要であることが理解される。
【0030】
また、透明プラスチックフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のTD方向の熱収縮率を0.6%以下の値とすることが好ましい。
この理由は、透明プラスチックフィルム基材におけるTD方向の熱収縮率をかかる範囲内の値とすることにより、アニール処理を施した場合であっても、カールの発生をさらに効果的に抑制することができるためである。
すなわち、TD方向の熱収縮率が0.6%を超えた値となると、プロテクトフィルム基材におけるTD方向の熱収縮率との差によらず、カールの発生を効果的に抑制することが困難になる場合があるためである。
したがって、透明プラスチックフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のTD方向の熱収縮率を0.5%以下の値とすることがより好ましく、0.3%以下の値とすることがさらに好ましい。
【0031】
(3)厚さ
また、透明プラスチックフィルム基材の厚さを10〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、透明プラスチックフィルム基材の厚さをかかる範囲内の値とすることにより、ハードコート層の塗工性やその後の透明導電性膜の積層性を優れたものにするとともに、透明プラスチックフィルム基材に起因するアウトガスの発生を抑制することができるためである。
すなわち、透明プラスチックフィルム基材の厚さが10μm未満の値となると、ハードコート層や透明導電性膜の積層時に厚みムラが生じる場合があるためである。一方、透明プラスチックフィルム基材の厚さが200μmを超えた値となると、アニール処理時のアウトガスの発生が問題となる場合があるためである。
したがって、透明プラスチックフィルム基材の厚さを30〜150μmの範囲内の値とすることがより好ましく、50〜100μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0032】
2.ハードコート層
本発明においては、透明プラスチックフィルム基材の一方の面に、第1のハードコート層を設け、もう一方の面に第2のハードコート層を設けることを特徴としている。
これら第1のハードコート層および第2のハードコート層は、それぞれ異なる材料物質から構成されてもよいし、それぞれ異なる厚さであってもよいが、プロテクトフィルムを剥離した後の透明導電性フィルム単体におけるカールの発生を効果的に抑制する観点からは、同一の材料物質から構成され、かつ、同一の厚さとすることが好ましい。
したがって、以下においては、第1のハードコート層および第2のハードコート層を区別せずに説明する。
【0033】
(1)材料物質
本実施形態に係るハードコート層は、活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化物を含む層である。当該層における、活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化物の含有量は、ハードコート層の全重量に対して、好ましくは70〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%、さらに好ましくは90〜100重量%である。
【0034】
この活性エネルギー線硬化性樹脂(以下、硬化性樹脂と略す場合がある。)としては、従来のハードコート層に使用できるものを自由に使用することができる。さらには、アニール処理時に発生するカールの抑制という効果を最も発揮させる観点から、当該硬化性樹脂は、1分子中に2個以上の上記一般式(1)で表される基を有し、且つ、該基を除いた残りの構造中にアルキレンオキサイド単位を含まない重合性化合物(A)、1分子中に3個以上の上記一般式(2)で表される基を有する重合性化合物(B)、および光重合開始剤(C)を含有することが好ましい。
【0035】
(i)重合性化合物(A)(以下、(A)成分と称する場合がある。)
硬化性樹脂は、1分子中に2個以上の下記一般式(1)で表される基を有し、かつ、該基を除いた残りの構造中にアルキレンオキサイド単位を含まない重合性化合物(A)を含有することが好ましい。重合性化合物(A)を含有することで、得られるハードコート層の表面硬度を高めることができる。
【0036】
【化3】
【0037】
上記一般式(1)中、Rは、独立した水素原子またはメチル基であり、*は結合部分を示す。
【0038】
重合性化合物(A)の1分子中に有する上記一般式(1)で表される基の数は、2個以上であり、好ましくは2〜16個、より好ましくは2〜12個、さらに好ましくは3〜10個、よりさらに好ましくは3〜8個である。
当該基の数が2個未満であると、十分な架橋構造が形成されず、得られるハードコート層の表面硬度が低下するため、ハードコート層による透明プラスチックフィルム基材の支持機能が十分ではなくなり、アニール処理時の透明プラスチックフィルム基材の熱収縮に起因するカールの発生を抑制することできなくなる場合がある。一方、16個を超えると、架橋密度が高くなり過ぎ、得られるハードコート層の柔軟性が失われ、アニール処理時に生じるひずみを分散・緩和することができず、両面のハードコート層の微妙な相違等によりカールが発生する場合がある。
【0039】
また、重合性化合物(A)は、上記一般式(1)で表される基を除いた残りの構造中にアルキレンオキサイド単位を含まない化合物である。アルキレンオキサイド単位を含む化合物は、アルキレンオキサイド構造の鎖長が長いために、架橋点間距離が伸び、得られるハードコート層全体の構造が疎になる傾向があり、結果としてハードコート層の表面硬度の低下の原因になると考えられる。そのため、本発明では(A)成分として、このような重合性化合物を用いることで、得られるハードコート層の表面硬度を高めていると考えられる。
【0040】
このような重合性化合物(A)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、エチレングルコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、および分子内に2個以上の上記一般式(1)で表される基を有し、該基を除いた残りの構造中にアルキレンオキサイド単位を含まないオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、オリゴウレタン(メタ)アクリレート類、およびオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
なお、これらの(A)成分は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0041】
(ii)重合性化合物(B)(以下、(B)成分と称する場合がある。)
本発明で用いる硬化性樹脂は、1分子中に3個以上の下記一般式(2)で表される基を有する重合性化合物(B)を含有することが好ましい。
一般式(2)で表されるような(メタ)アクリロイル基とアルキレンオキサイド鎖とが直接結合した基を1分子中に3個以上有する重合性化合物(B)を、(A)成分と共に含有することで、得られるハードコート層が、(A)成分に起因した剛直部分と(B)成分に起因した柔軟部分を併せ持つことができ、剛直部分により透明プラスチックフィルム基材の熱収縮を抑制すると共に、柔軟部分により熱収縮に伴うひずみなどを緩和・消失させ、これにより、アニール処理による透明導電性フィルムのカールを効果的に抑制することができると考えられる。
また、(B)成分は、ハードコート層表面に適切な極性を付与するという効果も併せ持つ。すなわち、(A)成分と(B)成分を有するハードコート層は、後述の光学調整層のようなナノオーダーの塗膜を形成する場合においても、塗液のハジキ等を生じさせず、これにより光学調整層の欠点発生を防止することができる。
【0042】
【化4】
【0043】
上記一般式(2)中、R1は、独立に水素原子またはメチル基を示す。なお、*は結合部分を示す。Aは、独立に、炭素数1〜5のアルキレン基を示すが、エチレン基またはプロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。Aが当該アルキレン基であることで、得られるハードコート層に適度な柔軟性を持たせ、アニール処理時に透明プラスチックフィルム基材やハードコート層に生じるひずみを緩和・消失させることができる。
【0044】
なお、重合性化合物(B)の1分子中に含まれる全アルキレンオキサイド単位に対する、エチレンオキサイド単位の含有量は、積層される透明導電性膜や後述の光学調整層との密着性や粘着剤との接着性を向上させる観点から、好ましくは60〜100モル%、より好ましくは75〜100モル%、さらに好ましくは85〜100モル%、最も好ましくは実質100モル%である。
【0045】
nは、アルキレンオキサイド単位の数を示し、それぞれ独立に1以上の整数である。
また、重合性化合物(B)の1分子における、上記一般式(2)中のnの合計値(重合性化合物(B)の1分子中のアルキレンオキサイド単位の合計数)は、3以上であるが、好ましくは4〜20、より好ましくは6〜16、さらに好ましくは8〜14である。
当該合計値が4以上であれば、得られるハードコート層に柔軟性を付与し、アニール処理時のひずみを緩和・消失させる効果を期待できる。
一方、当該合計値が20を超える場合、ハードコート層の剛直性が不十分となり透明プラスチックフィルム基材の熱収縮を抑制する効果が不十分となる場合がある。
【0046】
重合性化合物(B)の1分子中に有する上記一般式(2)で表される基の数は、3個以上であり、好ましくは3〜16個、より好ましくは3〜12個、さらに好ましくは3〜10個、よりさらに好ましくは5〜8個である。
当該基の数が3個未満であると、得られるハードコート層の架橋密度が低下することになり、表面硬度が低下するため好ましくない。
一方、16個以下であれば、架橋密度が高くなり過ぎることによる柔軟性の低下を抑えることができるため好ましい。
【0047】
このような重合性化合物(B)としては、例えば、アルキレンオキサイド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、これらの(B)成分は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0048】
硬化性樹脂において、(A)成分と(B)成分との重量比((A)/(B))は、15/85〜85/15であるが、好ましくは20/80〜80/20、より好ましくは28/72〜72/28、より好ましくは35/65〜65/35、さらに好ましくは41/59〜59/41、よりさらに好ましくは46/54〜54/46である。
当該重量比が15/85未満であると、(B)成分の量が多すぎるため、得られるハードコート層の表面硬度が低下するため好ましくない。
一方、当該重量比が85/15を超えると、(A)成分の量が多すぎるため、得られるハードコート層の熱によるひずみの解消能力が低下することが考えられる。
【0049】
(iii)光重合開始剤(C)(以下、(C)成分と称する場合がある。)
また、活性エネルギー線硬化性樹脂を効率的に硬化させる観点から、所望により光重合開始剤(C)を含有することも好ましい。
かかる光重合開始剤(C)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミン安息香酸エステル等が挙げられる。
なお、これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、光重合開始剤(C)の配合量としては、(A)成分および(B)成分の合計100重量部に対して、0.2〜10重量部の範囲内の値とすることが好ましく、1〜5重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0050】
(2)ハードコート層形成用の組成物
また、ハードコート層は、ハードコート層形成用の組成物を予め調製し、後述の通り塗布・乾燥してから硬化することにより形成されることが好ましい。
当該組成物は、必要に応じ、適当な溶媒中に活性エネルギー線硬化性樹脂、および所望により用いられる各種添加成分を、それぞれ所定の割合で加え、溶解または分散させることにより調製することができる。
なお、各種添加成分としては、例えば、シリカ微粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、(近)赤外線吸収剤、シランカップリング剤、光安定剤、レベリング剤、屈折率調整剤、帯電防止剤、消泡剤等が挙げられる。
【0051】
また、用いる溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤等が挙げられる。
このようにして調製されたハードコート層形成用の組成物の濃度、粘度としては、コーティング可能な範囲であればよく、状況に応じて適宜選定することができる。
したがって、通常、得られるハードコート層の厚さを所望の範囲に調節しやすくする観点から、固形分濃度が0.05〜10重量%の範囲内の値となるように希釈することが好ましく、0.1〜8重量%の範囲内の値となるように希釈することがより好ましい。
【0052】
(3)厚さ
また、ハードコート層の厚さを1〜15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ハードコート層の厚さが1μm未満の値となると、アニール処理による透明プラスチックフィルム基材の熱収縮に対する保持機能が不十分となり、カールの発生を抑制できなくなる場合があるためである。
一方、ハードコート層の厚さが15μmを超えた値となると、アニール処理によりハードコート層よりアウトガスが発生する場合があるためである。
したがって、ハードコート層の厚さを1.5〜10μmの範囲内の値とすることがより好ましく、2〜5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0053】
(4)硬度
また、ハードコート層のJIS K 5600−5−4に準じて測定される鉛筆硬度が2B〜6Hの範囲内であることが好ましく、HB〜5Hの範囲内であることがより好ましく、H〜4Hの範囲内であることがさらに好ましい。
【0054】
3.透明導電性膜
(1)材料物質
透明導電性膜の材料物質としては、透明性と導電性とを併せ持つものであれば特に制限されるものではないが、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化錫、インジウム錫酸化物(ITO)、錫アンチモン酸化物、亜鉛アルミニウム酸化物、インジウム亜鉛酸化物等が挙げられる。
また、特に、材料物質としてITOを用いることが好ましい。
この理由は、ITOであれば、適当な造膜条件を採用することで、透明性および導電性に優れた透明導電性膜を形成することができるためである。
【0055】
(2)厚さ
また、透明導電性膜の厚さを5〜500nmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、透明導電性膜の厚さが5nm未満の値となると、透明導電性膜がもろくなるばかりか、十分な導電性が得られなくなる場合があるためである。一方、透明導電性膜の厚さが500nmを超えた値となると、透明導電性膜に起因した色味が強くなり、透明導電性膜のパターン形状が認識されやすくなる場合があるためである。
したがって、透明導電性膜の厚さを15〜250nmの範囲内の値とすることがより好ましく、20〜100nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0056】
(3)導電性
また、アニール処理後の透明導電性膜の表面電気抵抗を10〜1000Ω/□の範囲内の値とすることが好ましく、50〜500Ω/□の範囲内の値とすることがより好ましく、100〜300Ω/□の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0057】
4.光学調整層
第2の実施形態として、図1(b)に示すように、前述の第1の実施形態に係るプロテクトフィルム付き透明導電性フィルム10における、透明導電性膜1と、第1のハードコート層2aとの間に、光学調整層8を設ける構成が好ましく挙げられる。かかる光学調整層8を設けることにより、透明導電性膜1の屈折率と、第1のハードコート層2aの屈折率との差に起因した透明導電性膜1のパターン形状を視認されずらくすることができるためである。
【0058】
ここで、図1(b)に示すように、光学調整層8は、第1のハードコート層2aの上に、屈折率が相対的に高い高屈折率層8aと、屈折率が相対的に低い低屈折率層8bと、を順次に積層してなることが好ましい。
以下、光学調整層8を構成する高屈折率層8aおよび低屈折率層8bについて、それぞれ説明する。
【0059】
(1)高屈折率層
(1)−1 屈折率
高屈折率層の屈折率は、1.6以上、2未満であることが好ましい。
この理由は、高屈折率層の屈折率が1.6未満の値となると、低屈折率層との有意な屈折率差が得られなくなり、透明導電性膜のパターン形状が視認されやすくなる場合があるためである。一方、高屈折率層の屈折率が2以上の値となると、高屈折率層の膜が脆くなる場合があるためである。
したがって、高屈折率層の屈折率は、1.6以上、1.9未満であることがより好ましく、1.6以上、1.8未満であることがさらに好ましい。
【0060】
(1)−2 厚さ
また、高屈折率層の厚さは、20〜130nmであることが好ましい。
この理由は、高屈折率層の厚さが20nm未満の値となると、高屈折率層の膜が脆くなり、層の形状を維持できなくなる場合があるためである。一方、高屈折率層の厚さが130nmを超えた値となると、透明導電性膜のパターン形状が視認されやすくなる場合があるためである。
したがって、高屈折率層の厚さは、23〜120nmであることがより好ましく、30〜110nmであることがさらに好ましい。
【0061】
(1)−3 材料物質
また、高屈折率層が、金属酸化物微粒子および活性エネルギー線硬化型化合物を含む組成物の硬化物からなることが好ましい。
この理由は、金属酸化物微粒子を含むことにより、高屈折率層における屈折率の調整が容易になるためである。
【0062】
(i)金属酸化物微粒子
金属酸化物の種類は、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化ハフニウム、酸化セリウム、酸化錫、酸化ニオブ、インジウム錫酸化物(ITO)、アンチモン錫酸化物(ATO)等が好ましく挙げられる。
また、透明性を低下させずに高屈折率化を実現する観点から、酸化チタンおよび酸化ジルコニウムから選択される少なくとも1種類であることが特に好ましい。
なお、これらの金属酸化物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、金属酸化物微粒子の平均粒径は、0.005μm〜1μmの範囲内の値とすることが好ましい。なお、金属酸化物微粒子の平均粒径は、例えば、ゼータ電位測定法を用いた測定法により求めることができる。
金属酸化物微粒子の配合量としては、後述の活性エネルギー線硬化型化合物100重量部に対して、20〜2000重量部であることが好ましく、80〜1000重量部であることがより好ましく、150〜400重量部であることがさらに好ましい。
【0063】
(ii)活性エネルギー線硬化型化合物
高屈折率層の形成に用いられる活性エネルギー線硬化型化合物とは、電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線等を照射することにより、架橋、硬化する重合性化合物を意味し、例えば、光重合性プレポリマーや光重合性モノマーを挙げることができる。
【0064】
また、上述した光重合性プレポリマーには、ラジカル重合型とカチオン重合型があり、ラジカル重合型の光重合性プレポリマーとしては、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系等が挙げられる。
【0065】
また、ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得られる化合物が挙げられる。
また、エポキシアクリレート系プレポリマーとしては、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得られる化合物が挙げられる。
また、ウレタンアクリレート系プレポリマーとしては、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得られる化合物が挙げられる。
さらに、ポリオールアクリレート系プレポリマーとしては、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得られる化合物が挙げられる。
なお、これらの重合性プレポリマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0066】
一方、カチオン重合型の光重合性プレポリマーとしては、通常、エポキシ系樹脂が使用される。
かかるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール樹脂やノボラック樹脂等の多価フェノール類にエピクロルヒドリン等でエポキシ化して得られる化合物、直鎖状オレフィン化合物や環状オレフィン化合物を過酸化物等で酸化して得られる化合物等が挙げられる。
【0067】
また、光重合性モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレートが挙げられる。
なお、これらの光重合性モノマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0068】
(iii)光重合開始剤
活性エネルギー線硬化型化合物を効率的に硬化させる観点から、所望により光重合開始剤を併用することも好ましい。
かかる光重合開始剤としては、ラジカル重合型の光重合性プレポリマーや光重合性モノマーに対しては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミン安息香酸エステル等が挙げられる。
【0069】
また、カチオン重合型の光重合性プレポリマーに対する光重合開始剤としては、例えば、芳香族スルホニウムイオン、芳香族オキソスルホニウムイオン、芳香族ヨードニウムイオン等のオニウムと、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネート等の陰イオンからなる化合物等が挙げられる。
なお、これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、光重合開始剤の配合量としては、上述した活性エネルギー線硬化型化合物100重量部に対して、0.2〜10重量部の範囲内の値とすることが好ましく、1〜5重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0070】
(1)−4 高屈折率層の形成用の組成物
高屈折率層は、高屈折率層形成用の組成物を予め調製し、後述の通り塗布・乾燥してから硬化することにより形成されることが好ましい。
当該組成物は、必要に応じ、適当な溶媒中に活性エネルギー線硬化型化合物、光重合開始剤、および所望により用いられる各種添加成分を、それぞれ所定の割合で加え、溶解または分散させることにより調製することができる。
なお、各種添加成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、(近)赤外線吸収剤、シラン系カップリング剤、光安定剤、レベリング剤、帯電防止剤、消泡剤等が挙げられる。
【0071】
また、用いる溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤等が挙げられる。
このようにして調製された高屈折率層形成用の組成物の濃度、粘度としては、コーティング可能なものであればよく、特に限定されず、状況に応じて適宜選定することができる。
したがって、通常、得られる高屈折率層の膜厚を所定の範囲に調節しやすい観点から、固形分濃度0.05〜10重量%となるように希釈することが好ましく、0.1〜8重量%となるように希釈することがより好ましい。
【0072】
(2)低屈折率層
(2)−1 屈折率
低屈折率層の屈折率は、1.3以上、1.6未満であることが好ましい。
この理由は、低屈折率層の屈折率が1.3未満の値となると、低屈折率層の膜が脆くなる場合があるためである。一方、低屈折率層の屈折率が1.6以上の値となると、高屈折率層との有意な屈折率差が得られなくなり、透明導電性膜のパターン形状が視認されやすくなる場合があるためである。
したがって、低屈折率層の屈折率は、1.3以上、1.5未満であることがより好ましく、1.3以上、1.45未満であることがさらに好ましい。
【0073】
(2)−2 厚さ
また、低屈折率層の厚さは、10〜150nmであることが好ましい。
この理由は、低屈折率層の厚さが10nm未満の値となると、低屈折率層の膜が脆くなり、層の形状を維持できなくなる場合があるためである。一方、低屈折率層の厚さが150nmを超えた値となると、透明導電性膜のパターン形状が視認されやすくなる場合があるためである。
したがって、低屈折率層の厚さは、15〜135nmであることがより好ましく、20〜120nmであることがさらに好ましい。
【0074】
(2)−3 材料物質
また、低屈折率層が、シリカ微粒子および活性エネルギー線硬化型化合物を含む組成物の硬化物からなることが好ましい。
この理由は、シリカ微粒子を含むことにより、低屈折率層における屈折率の調整が容易になるためである。
【0075】
シリカ微粒子としては、中空シリカ微粒子または多孔質シリカ微粒子であることが好ましい。
この理由は、中空シリカ微粒子または多孔質シリカ微粒子であれば、低屈折率層の屈折率をより効果的に所定の範囲内まで低下させることができるためである。
さらに、低屈折率層としての効果を発揮させるためには、シリカ微粒子の平均粒径が、1μm以下のものであることが好ましく、10〜100nmの範囲内の値であることが好ましい。なお、シリカ微粒子の平均粒径は、例えば、ゼータ電位測定法により求めることができる。
また、シリカ微粒子の配合量としては、上述した活性エネルギー線硬化型化合物100重量部に対して、50〜500重量部であることが好ましく、80〜300重量部であることがより好ましく、100〜250重量部であることがさらに好ましい。
【0076】
(2)−4 低屈折率層形成用の組成物
低屈折率層は、低屈折率層形成用の組成物を予め調製し、後述の通り塗布・乾燥してから硬化することにより形成されることが好ましい。
当該組成物は、必要に応じ、適当な溶媒中に前述したシリカ微粒子、活性エネルギー線硬化型化合物、光重合開始剤、および所望により用いられる各種添加成分を、それぞれ所定の割合で加え、溶解または分散させることにより調製することができる。
なお、各種添加成分、溶媒、低屈折率層形成用の組成物の濃度、粘度等については、高屈折率層の説明における内容と同様である。
【0077】
(3)光学調整層の特性
上述のように光学調整層を、透明導電性膜と第1のハードコート層の間に設ける第2の実施形態は、パターン形状の透明導電性膜を視認されづらくするという効果を有する。さらに、本実施形態のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムは、アニール処理後も透明導電性膜のパターン形状が視認されづらい効果を維持することができる。
具体的に説明すると、通常の透明導電性フィルムにおいては、たとえ光学調整層を設けても、アニール処理後は、透明導電性膜のパターン形状が目立ってしまうという問題を有している。これは、無機材料からなる透明導電性膜部分は熱収縮率が小さいのに対して、有機材料からなる光学調整層部分は熱収縮率が大きいため、アニール処理により、透明導電性膜の存在部分と非存在部分の境界でひずみが生じるためと考えられる。
これに対し、本発明のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムでは、カールの発生の抑制を透明プラスチックフィルム基材の熱収縮を抑える方向で実現するものでもある。このため、第2の実施形態においては、透明プラスチックフィルム基材の熱収縮を抑制し、これにより、第2の実施形態においては、アニール処理後も引き続き透明導電性膜のパターン形状が視認しづらいものとできる。
このような効果をより発揮する観点からは、透明プラスチックフィルム基材のMD方向およびTD方向の熱収縮率は、いずれも0.5%以下であることが好ましく、0.3%以下であることが特に好ましい。
また、同様の観点から、カール値の絶対値が30mm以下であることが好ましく、15mm以下であることが特に好ましい。
【0078】
5.プロテクトフィルム
(1)プロテクトフィルム基材
(1)−1 種類
プロテクトフィルム基材に使用される樹脂としては、透明導電性フィルムに対して積層することにより、ハンドリング性を向上させることができるものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、紙等を用いることができる。
これらの中でも、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂がより好ましい。
【0079】
(1)−2 熱収縮率
本発明においては、プロテクトフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率を0.6%以下の値とすることを特徴とする。
この理由は、上述した透明プラスチックフィルム基材における所定の熱収縮特性と相まって、プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムの状態でアニール処理を施した場合であっても、カールの発生を効果的に抑制することができるためである。
すなわち、プロテクトフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率が0.6%を超えた値となると、透明プラスチックフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率との差によらず、カールの発生を効果的に抑制することが困難になる場合があるためである。一方、プロテクトフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率が過度に小さな値とするためには、微粒子等を添加したり、耐熱性に優れた材料をブレンドしたりする必要が生じ、これに起因してアニール処理時にアウトガスの発生が問題となる場合がある。
したがって、プロテクトフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率を0.01〜0.6%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.1〜0.5%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0080】
ここで、図3を用いて、プロテクトフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率と、プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムにおけるカール値との関係を説明する。
すなわち、図3には、横軸にプロテクトフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率(%)を採り、縦軸にプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムのカール値(mm)を採った散布図が示してある。
なお、測定対象としてのプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムは、後述する実施例1〜5および比較例3として作成してものを用いた。
すなわち、透明プラスチックフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率が0.6%以下の値であるようなプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを測定対象とした。
【0081】
かかる散布図から理解されるように、透明プラスチックフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率が0.6%以下の値という条件下では、プロテクトフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率が0.6%以下の値であれば、カール値を−20〜20mm程度という、実際上、許容可能な範囲に抑えることができる。
一方、透明プラスチックフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率が0.6%以下の値という条件下であっても、プロテクトフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率が0.6%を超えた値になると、カール値が−40mm未満、もしくは40mmを超えた値となり、実際上、許容可能な範囲に抑制することができず、問題が生じてしまうことが分かる。
したがって、図3に示す散布図より、プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムにおけるカールの発生を効果的に抑制する観点から、透明プラスチックフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率が0.6%以下の値という条件下では、プロテクトフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率を0.6%以下の値とすることが必要であることが理解される。
さらに、図2および図3の散布図を両方考慮すると、プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムにおけるカールの発生を効果的に抑制するためには、透明プラスチックフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率を0.6%以下の値とするとともに、プロテクトフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率を0.6%以下の値とする必要があることが理解される。
【0082】
次いで、図4を用いて、透明プラスチックフィルム基材およびプロテクトフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率の差と、カール値との関係を説明する。
すなわち、図4には、横軸に透明プラスチックフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率(%)からプロテクトフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率(%)を引いた差(%)を採り、縦軸にプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムにおけるカール値(mm)を採った散布図が示してある。
なお、測定対象としてのプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムは、後述する実施例1〜5および比較例1〜3として作成したものを用いた。
【0083】
かかる散布図から理解されるように、透明プラスチックフィルム基材およびプロテクトフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率の差と、カール値との間には、明確な相関関係が存在していない。
より具体的には、透明プラスチックフィルム基材およびプロテクトフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率の差の絶対値が比較的小さな値をとる場合であっても、カール値は大きな値となる場合があり、逆に、かかる熱収縮率の差の絶対値が比較的大きな値をとる場合であっても、カール値は小さな値となる場合があることが分かる。
この理由は、MD方向の熱収縮率の差が小さく、かつ同程度の差を有している場合には、TD方向の熱収縮率の差も影響してくるためと考えられる。
【0084】
但し、透明プラスチックフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率が0.6%以下の値であるとともに、プロテクトフィルム基材におけるMD方向の熱収縮率が0.6%以下の値である場合には、これらの差を所定の範囲内の値とすることで、カールの発生をより効果的に抑制することができる。
したがって、透明プラスチックフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率と、プロテクトフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率と、の差を−0.5〜0.5%の範囲内の値とすることが好ましく、−0.4〜0.4%の範囲内の値とすることがより好ましく、−0.3〜0.3%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0085】
また、プロテクトフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のTD方向の熱収縮率を0.6%以下の値とすることが好ましい。
この理由は、プロテクトフィルム基材におけるTD方向の熱収縮率をかかる範囲内の値とすることにより、アニール処理を施した場合であっても、カールの発生をさらに効果的に抑制することができるためである。
すなわち、TD方向の熱収縮率が0.6%を超えた値となると、透明プラスチックフィルム基材におけるTD方向の熱収縮率との差によらず、カールの発生を効果的に抑制することが困難になる場合があるためである。一方、プロテクトフィルム基材におけるTD方向の熱収縮率を過度に小さな値とするためには、微粒子等を添加したり、耐熱性に優れた材料をブレンドしたりする必要が生じ、これに起因してアニール処理時にアウトガスの発生が問題となる場合がある。
したがって、プロテクトフィルム基材における150℃で60分間加熱した際のTD方向の熱収縮率を0.01〜0.5%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.02〜0.3%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0086】
(1)−3 厚さ
また、プロテクトフィルム基材の厚さを10〜300μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、プロテクトフィルム基材の厚さが10μm未満の値となると、アニール処理時に透明導電性フィルムのカールを抑制する効果が不十分となる場合があるためである。一方、プロテクトフィルム基材の厚さが300μmを超えた値となると、アニール処理後のプロテクトフィルム基材自体に、厚さ方向で熱分布を生じ、これによりプロテクトフィルム基材自体がカールする場合があるためである。
したがって、プロテクトフィルム基材の厚さを30〜200μmの範囲内の値とすることがより好ましく、50〜150μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0087】
(2)粘着剤層
(2)−1 材料物質
粘着剤層に用いられる粘着剤としては、特に制限されるものではなく、従来公知の粘着剤を用いることができる。
例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜選択して用いることができる。
【0088】
(2)−2 厚さ
また、粘着剤層の厚さを2〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、粘着剤層の厚さが2μm未満の値となると、粘着力が不十分となる場合があるためである。一方、粘着剤層の厚さが100μmを超えた値となると、粘着剤層のアウトガスが問題となる場合があるためである。
したがって、粘着剤層の厚さを5〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜30μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0089】
6.カール値
また、本発明のプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムは、MD方向100mm×TD方向100mmの正方形に切り出し、プロテクトフィルム側を下側にして150℃で60分間加熱した際のカール値の絶対値を25mm以下の値とすることが好ましい。
この理由は、所定の方法で測定されるカール値の絶対値をかかる範囲内の値とすることにより、アニール処理を施した場合であっても、カールの発生を一段と効果的に抑制することができるためである。
すなわち、かかるカール値の絶対値が25mmを超えた値となると、実使用上も問題となる場合があるためである。
なお、かかるカール値の絶対値の下限値は0mmである。
したがって、MD方向100×TD方向100mmの正方形に切り出し、プロテクトフィルム側を下側にして150℃で60分間加熱した際のカール値の絶対値を22mm以下の値とすることがより好ましく、15mm以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、前述の通り光学調整層を設ける場合には、カール値の絶対値が上述した範囲であれば、アニール処理後の透明導電性膜のパターンの視認性の変化も有効に防止することができる。
【0090】
7.透明導電性フィルムの製造方法
本発明の透明導電性フィルムは、下記工程(a)〜(g)を含む製造方法により得ることができる。
(a)150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率が0.6%以下の値である透明プラスチックフィルム基材を準備する工程
(b)透明プラスチックフィルム基材の片面に第1のハードコート層を形成する工程
(c)透明プラスチックフィルム基材のもう一方の面に第2のハードコート層を形成する工程
(d)第1のハードコート層上に、透明導電性膜を形成し、透明導電性フィルムを得る工程
(e)150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率が0.6%以下の値であるプロテクトフィルム基材を準備する工程
(f)プロテクトフィルム基材の片面に粘着剤層を形成し、プロテクトフィルムを得る工程
(g)プロテクトフィルムにおける粘着剤層と、透明導電性フィルムにおける第2のハードコート層と貼合し、プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを得る工程
以下、これまでの内容と重複する部分は省略し、異なる部分のみを詳述する。
【0091】
(1)工程(a):透明プラスチックフィルム基材を準備する工程
150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率が0.6%以下の値である透明プラスチックフィルム基材を準備する。
なお、透明プラスチックフィルム基材の詳細については、既に説明したため、省略する。
【0092】
(2)工程(b):第1のハードコート層を形成する工程
工程(a)で準備した透明プラスチックフィルム基材の片面に、上述したハードコート層形成用の組成物を、従来公知の方法にて塗布し塗膜を形成した後、乾燥し、これに活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させることにより第1のハードコート層を形成する。
また、ハードコート層形成用の組成物の塗布方法としては、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
【0093】
また、塗膜の乾燥条件としては、60〜150℃で10秒〜10分程度行うことが好ましい。
さらに、活性エネルギー線としては、例えば、紫外線や電子線等が挙げられる。
また、紫外線の光源としては、高圧水銀ランプ、無電極ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が挙げられ、その照射量は、通常、100〜500mJ/cm2とすることが好ましい。
一方、電子線の光源としては、電子線加速器等が挙げられ、その照射量は、通常、150〜350kVとすることが好ましい。
【0094】
(3)工程(c):第2のハードコート層を形成する工程
工程(a)で準備した透明プラスチックフィルム基材のもう一方の面に、第1のハードコート層の形成と同様にして、ハードコート層形成用の組成物を塗布して塗膜を形成した後、乾燥し、これに活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させることにより第2のハードコート層を形成する。
【0095】
(4)工程(c´):光学調整層を形成する工程
所望により、工程(c)の後に、工程(c´)として光学調整層を形成する工程を設けることもできる。当該光学調整層を設けることによる効果は前述のとおりである。
すなわち、上述した工程で形成された第1のハードコート層の表面に、上述の高屈折率層形成用の組成物を、従来公知の方法にて塗布し塗膜を形成した後、乾燥し、これに活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させることにより、高屈折率層が形成される。
高屈折率層形成用の組成物の塗布方法としては、例えば、バーコート法、ナイフ
コート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
【0096】
また、乾燥条件としては、60〜150℃で10秒〜10分程度行うことが好ましい。
さらに、活性エネルギー線としては、例えば、紫外線や電子線等が挙げられる。
また、紫外線の光源としては、高圧水銀ランプ、無電極ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が挙げられ、その照射量は、通常、100〜500mJ/cm2とすることが好ましい。
一方、電子線の光源としては、電子線加速器等が挙げられ、その照射量は、通常、150〜350kVとすることが好ましい。
【0097】
次いで、形成された高屈折率層上に、低屈折率層を形成する。
すなわち、低屈折率層は、ハードコート層1上に高屈折率層を形成するのと同様にして、上述した低屈折率層形成用の組成物を塗布・乾燥するとともに、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより形成することができる。
【0098】
(5)工程(d):透明導電性膜を形成する工程
工程(b)で形成した第1のハードコート層(若しくは、工程(c´)で形成した光学調整層)に対し、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、スプレー法、ゾル−ゲル法等の公知の方法により、透明導電性膜を形成し、透明導電性フィルムを得る。
また、スパッタリング法としては、化合物を用いた通常のスパッタリング法、あるいは金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法等が挙げられる。
この際、反応性ガスとして酸素、窒素、水蒸気等を導入したり、オゾン添加やイオンアシスト等を併用したりすることも好ましい。
また、透明導電性膜は、上述したようにして製膜した後、フォトリソグラフィー法により所定のパターンのレジストマスクを形成した後、公知の方法によりエッチング処理を施すことで、ライン状のパターン等を形成することができる。
なお、エッチング液としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の酸の水溶液等が好ましく挙げられる。
【0099】
(6)工程(e):プロテクトフィルム基材を準備する工程
150℃で60分間加熱した際のMD方向の熱収縮率が0.6%以下の値であるプロテクトフィルム基材を準備する。
なお、プロテクトフィルム基材の詳細については、既に説明したため、省略する。
【0100】
(7)工程(f):粘着剤層を形成する工程
工程(e)で準備したプロテクトフィルム基材の片面に、粘着剤組成物を、従来公知の方法にて塗布し塗膜を形成した後、乾燥し、あるいはこれに活性エネルギー線を照射して粘着剤層を形成し、プロテクトフィルムを得る。
また、粘着剤組成物の塗布方法としては、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
【0101】
(8)工程(g):貼合工程
工程(f)で得られたプロテクトフィルムにおける粘着剤層と、工程(d)で得られた透明導電性フィルムにおける第2のハードコート層とを貼合し、プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを得る。
このとき、透明導電性フィルムにおけるMD方向と、プロテクトフィルム基材におけるMD方向と、が一致するように貼合する。
なお、貼合方法としては、例えば、ラミネーターを用いて貼合することができる。
【実施例】
【0102】
以下、実施例を参照して、本発明の透明導電性フィルムをさらに詳細に説明する。
【0103】
[実施例1]
1.プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムの製造
(1)透明プラスチックフィルム基材の準備
透明プラスチックフィルム基材として、厚さ60μm、MD方向の熱収縮率0.26%、TD方向の熱収縮率0%のPETフィルムを準備した。
ここで、透明プラスチックフィルム基材の熱収縮率は、以下のようにして測定した。
すなわち、透明プラスチックフィルム基材から、MD方向110mm×TD方向110mmの正方形を切り出し、試験片とした。
次いで、得られた試験片上において、ボールペンを用いてMD方向100mm×TD方向100mmの正方形をマークした。
次いで、ボールペンでマークした正方形の4辺のうち、MD方向に沿った一辺の長さX(μm)を、デジタルマイクロメーター(Mitutoyo(株)製、MODEL AT112)を用いて測定した。
次いで、試験片を、150℃の熱風循環式オーブン内で60分間静置した。
その後、試験片を熱風循環式オーブンから取り出し、ボールペンでマークした正方形における先ほど長さを測定したのと同じ辺について、MD方向に沿った一辺の長さY(μm)を、デジタルマイクロメーターを用いて測定した。
そして、下記計算式(1)を用いて、MD方向の熱収縮率を算出した。
また、MD方向の熱収縮率と同様にして、TD方向の熱収縮率についても算出した。(X−Y)/X×100=熱収縮率(%) (1)
【0104】
(2)ハードコート層形成用の組成物の調製
重合性化合物(A)としてペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名「A−TMM−3L」)70重量部(固形分換算値を表す。以下、同じ。)、重合性化合物(B)としてエチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学(株)製、商品名「A−DPH−12E」)30重量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF(株)製、商品名「イルガキュア184」)5重量部、およびシロキサン変性アクリルポリマー系レベリング剤(ビッグケミー・ジャパン(株)製、商品名「BYK−3550」)0.2重量部を混合して、活性エネルギー線硬化樹脂を調製した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈し、固形分濃度30重量%のハードコート層形成用の組成物を得た。
【0105】
(3)ハードコート層の形成
次いで、準備した透明プラスチックフィルム基材の表面に、ハードコート層形成用の組成物をマイヤーバー#4にて塗工した。
次いで、70℃のオーブンで1分間乾燥させた後、窒素雰囲気下にて高圧水銀ランプを用いて200mJ/cm2の紫外線を照射し、透明プラスチックフィルム基材の表面に厚さ3μm、鉛筆硬度Hの第1のハードコート層を形成した。
【0106】
次いで、第1のハードコート層を形成した側とは反対側の透明プラスチックフィルム基材の表面に、第1のハードコート層と同様のハードコート層形成用の組成物をマイヤーバー#4にて塗工した。
次いで、70℃のオーブンで1分間乾燥させた後、窒素雰囲気下にて高圧水銀ランプを用いて200mJ/cm2の紫外線を照射し、透明プラスチックフィルム基材の表面に厚さ3μm、鉛筆硬度Hの第2のハードコート層を形成した。
【0107】
(4)光学調整層の形成
(4)−1 高屈折率層形成用の組成物の調製
高屈折率コート剤(アトミクス(株)製、アトムコンポブリッドHUV SRZ100、高屈折率剤としてのナノメートルサイズの酸化ジルコニウム微粒子含有)30重量部、光重合開始剤(BASF(株)製、イルガキュア907)0.9重量部、およびレベリング剤(ビックケミ−(株)製、BYK−355)0.02重量部を混合し、メチルイソブチルケトン1493重量部およびシクロヘキサノンを1493重量部により希釈することにより、固形分濃度1重量%である高屈折率層形成用の組成物を調製した。
【0108】
(4)−2 低屈折率層形成用の組成物の調製
ハードコート剤(荒川化学工業(株)製、ビームセット575CB)100重量部、中空シリカゾル(日揮触媒化成(株)製、スルーリア4320、平均粒径50nm)98重量部、光重合開始剤(BASF(株)製、イルガキュア907)0.9重量部、およびレベリング剤(ビックケミ−(株)製、BYK−355)0.05重量部を混合し、メチルイソブチルケトン9700重量部およびシクロヘキサノン9700重量部により希釈することにより、固形分濃度1重量%である低屈折率層形成用の組成物を調製した。
なお、ハードコート剤(荒川化学工業(株)製、ビームセット575CB)の組成は以下の通りである。
・ウレタンアクリレートを含有する活性エネルギー線硬化性化合物 95重量%
・光重合開始剤 5重量%
【0109】
(4)−3 高屈折率層の形成
第1のハードコート層上に、高屈折率層形成用の組成物をマイヤーバー#4にて塗工した。
次いで、70℃のオーブンで1分間乾燥させた後、窒素雰囲気下にて高圧水銀ランプを用いて200mJ/cm2の紫外線を照射し、ハードコート層上に厚さ23nm、屈折率1.87の高屈折率層を形成した。
【0110】
(4)−4 低屈折率層の形成
次いで、形成した高屈折率層上に、低屈折率層形成用の組成物をマイヤーバー#4にて塗工した。
次いで、70℃のオーブンで1分間乾燥させた後、窒素雰囲気下にて高圧水銀ランプを用いて200mJ/cm2の紫外線を照射し、高屈折率層上に厚さ74nm、屈折率1.39の低屈折率層を形成し、ハードコート層上に2層構造の光学調整層を形成した。
【0111】
(5)透明導電性膜の形成
次いで、第1および第2のハードコート層および光学調整層を形成したPETフィルムを縦100mm×横100mmにカットした後、ITOターゲット(酸化錫10重量%、酸化インジウム90重量%)を用いて光学調整層上にスパッタリングを行い、光学調整層上の中央部に縦60mm×横60mmの正方形状、厚さ30nm、表面抵抗250Ω/□の透明導電性膜を形成した。
次いで、得られた透明導電性膜の表面上に格子状にパターン化されたフォトレジスト膜を形成した。
次いで、室温下にて、10重量%の塩酸に1分間浸漬することによりエッチング処理を行った後、フォトレジスト膜を除去し、パターン化された透明導電性膜を有する透明導電性フィルムを得た。
当該透明導電性フィルムは、光学調整層上の前面に、線幅2mmの透明導電性の先負により1辺2mmの正方形の空隙が格子状に区画化されたパターン形状を有する厚さ30nmの透明導電性膜を有するものであった。
【0112】
(6)プロテクトフィルム基材の準備
プロテクトフィルム基材として、厚さ135μm、MD方向の熱収縮率0.55%、TD方向の熱収縮率0.04%のPETフィルムを準備した。
なお、プロテクトフィルム基材の熱収縮率は、透明プラスチックフィルム基材の熱収縮率と同様にして測定した。
【0113】
(7)粘着剤層の形成
次いで、準備したプロテクトフィルム基材の表面に、重量平均分子量60万、モノマー組成比(重量)ブチルアクリレート:アクリル酸=100:6(重量比)からなるアクリル系ポリマー100重量部に対して、エポキシ系架橋剤(三菱瓦斯化学(株)製「テトラッドC」)6重量部を含有する粘着剤組成物を酢酸エチルにて固形分濃度30重量%に希釈して、塗工した。その後、90℃、1分間乾燥し、25℃、7日間養生した。これにより、ゲル分率95重量%、厚み20μm の粘着剤層を有するプロテクトフィルムを得た。
【0114】
(8)プロテクトフィルムの貼合
次いで、透明導電性フィルムにおける第2のハードコート層と、プロテクトフィルムにおける粘着剤層とをラミネーターを用いて貼り合せ、プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムとした。
このとき、透明プラスチックフィルム基材におけるMD方向と、プロテクトフィルム基材におけるMD方向とが一致するように貼り合せた。
【0115】
2.カールの評価
得られたプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムにおけるカールの発生具合を評価した。
すなわち、得られたプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを、プロテクトフィルム側を下側にして150℃の温度にした炉内で60分間静置した。
その後、試験片を炉内から取り出し、プロテクトフィルム側を下側にして温度23℃、湿度50%RHの環境下にてガラス板上に60分間静置した。
そして、ガラス板面から垂直方向での試験片における4隅の浮き上がり量をノギスにて測定し、得られた浮き上がり量のうち最大の値をカール値とした。得られた結果を表1に示す。
なお、マイナスが表記されているものは、カールの方向が逆であったため、表裏をひっくり返し、同様にカール値を計測した。
【0116】
3.パターン状の透明導電性膜の視認性評価(パターン形状視認性)
カールの評価に使用した上記プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムからプロテクトフィルムを剥がし、当該透明導電性フィルムのパターン形状の視認性を評価した。
具体的には、透明導電性フィルムを白色蛍光灯から1mの位置に設置し、透明導電性フィルムに白色蛍光灯を映り込ませた状態で、白色蛍光灯が設置されているのと同じ側における透明導電性フィルムから30cmの位置より、目視にて歪みが生じているか否かを観察した。
そして、得られた観察結果を、下記判定基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、実際の透明導電性フィルムの使用態様としては、ライン状にパターン化された透明導電性膜を有する透明導電性フィルム2枚を、90°回転させて配置することにより格子状のパターンが形成されるのが一般的であるが、本評価では、簡略化のため、1枚の透明導電性フィルムにおける透明導電性膜を格子状にパターン形成して評価した。
◎:評価者3人について、いずれも反射光の下で、パターンが視認されないと評価した。
○:評価者3人について、2人が反射光の下で、パターンが視認されないと評価した。
×:評価者3人について、2人以上が反射光の下で、パターンが視認されると評価した。
【0117】
[実施例2]
実施例2では、透明プラスチックフィルム基材として、厚さ60μm、MD方向の熱収縮率0.14%、TD方向の熱収縮率0.32%のPETフィルムを用いたほかは、実施例1と同様にプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0118】
[実施例3]
実施例3では、透明プラスチックフィルム基材として、厚さ60μm、MD方向の熱収縮率0.14%、TD方向の熱収縮率0.32%のPETフィルムを用いるとともに、プロテクトフィルム基材として、厚さ135μm、MD方向の熱収縮率0.51%、TD方向の熱収縮率0.2%のPETフィルムを用いたほかは、実施例1と同様にプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0119】
[実施例4]
実施例4では、透明プラスチックフィルム基材として、厚さ188μm、MD方向の熱収縮率0.26%、TD方向の熱収縮率0%のPETフィルムを用いるとともに、プロテクトフィルム基材として、厚さ55μm、MD方向の熱収縮率0.5%、TD方向の熱収縮率0.08%のPETフィルムを用いたほかは、実施例1と同様にプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0120】
[実施例5]
実施例5では、透明プラスチックフィルム基材として、厚さ188μm、MD方向の熱収縮率0.26%、TD方向の熱収縮率0%のPETフィルムを用いるとともに、プロテクトフィルム基材として、厚さ135μm、MD方向の熱収縮率0.51%、TD方向の熱収縮率0.2%のPETフィルムを用いたほかは、実施例1と同様にプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0121】
[比較例1]
比較例1では、透明プラスチックフィルム基材として、厚さ60μm、MD方向の熱収縮率0.74%、TD方向の熱収縮率0.46%のPETフィルムを用いるとともに、プロテクトフィルム基材として、厚さ135μm、MD方向の熱収縮率0.06%、TD方向の熱収縮率0.03%のPETフィルムを用いたほかは、実施例1と同様にプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0122】
[比較例2]
比較例2では、透明プラスチックフィルム基材として、厚さ60μm、MD方向の熱収縮率が0.74%、TD方向の熱収縮率が0.46%のPETフィルムを用いるとともに、プロテクトフィルム基材として、厚さが135μm、MD方向の熱収縮率0.67%、TD方向の熱収縮率0.12%のPETフィルムを用いたほかは、実施例1と同様にプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0123】
[比較例3]
比較例3では、プロテクトフィルム基材として、厚さが135μm、MD方向の熱収縮率0.67%、TD方向の熱収縮率0.12%のPETフィルムを用いたほかは、実施例1と同様にプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0124】
[比較例4]
比較例4では、透明プラスチックフィルム基材における透明導電性膜側のみにハードコート層を設け、プロテクトフィルム基材側には設けなかったほかは、実施例1と同様にプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0125】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0126】
以上、詳述したように、本発明によれば、プロテクトフィルム付き透明導電性フィルムにおいて、透明プラスチックフィルム基材の両面にハードコート層を設けるとともに、透明プラスチックフィルム基材およびプロテクトフィルム基材における所定条件下におけるMD方向の熱収縮率をそれぞれ所定の範囲内の値とすることにより、アニール処理を施した場合であっても、カールの発生を効果的に抑制できるようになった。
その結果、本発明によれば、ハンドリング性に優れる一方で、アニール処理を施した場合であっても、カールの発生を効果的に抑制することができるプロテクトフィルム付き透明導電性フィルムを得ることができるようになった。
したがって、本発明の透明導電性フィルムは、液晶ディスプレイ等のディスプレイ装置の高品質化に著しく寄与することが期待される。
【符号の説明】
【0127】
1:透明導電性膜、2a:第1のハードコート層、2b:第2のハードコート層、3:透明プラスチックフィルム基材、4:粘着剤層、5:プロテクトフィルム基材、6:透明導電性フィルム、7:プロテクトフィルム、8:光学調整層、8a:高屈折率層、8b:低屈折率層
図1
図2
図3
図4