【課題を解決するための手段】
【0006】
後記実施形態の図面(
図1〜6)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる鋏
は、下記のように構成されている。
一対の刀身(1,2)を回動支持部(3)で互いに開閉可能に支持し、その回動支持部(3)の回動中心線(14a)より基端側で両刀身(1,2)に柄部(4,5)を設けるとともに、その回動支持部(3)の回動中心線(14a)より先端側で両刀身(1,2)に刃部(6,7)を設けている。この回動支持部(3)は両刀身(1,2)のうち一方の刀身(1)に設けた軸部(14)と他方の刀身(2)に設けた軸孔(15)とを有し、その軸部(14)と軸孔(15)とは両刀身(1,2)を所定開き角度(θ)だけ互いに開いた際に挿脱されて、両刀身(1,2)をこの回動支持部(3)における回動中心線(14a)の方向へ互いに着脱させることができる。両刀身(1,2)のうち一方の刀身(1)の柄部(4)に設けた収容部(11)には一方の刀身(1)の柄部(4)に設けた把持部(12)と前記回動支持部(3)の回動中心線(14a)との間で可動伝達部材(16)をこの回動支持部(3)の回動中心線(14a)に対し所定距離離間した回動中心線(17a)を中心に回動可能に支持している。この可動伝達部材(16)の外周には歯列(19)を可動伝達部材(16)の回動中心線(17a)を中心とする円弧状に形成するとともに、他方の刀身(2)の柄部(5)には歯列(20)を前記回動支持部(3)の回動中心線(14a)を中心とする円弧状に形成して、それらの歯列(19,20)を互いに着脱可能に噛み合わせている。前記収容部(11)で可動伝達部材(16)の回動中心線(17a)の周囲に嵌め込んだねじりコイルばね(18)による付勢力をこの可動伝達部材(16)の歯列(19)を介して他方の刀身(2)の柄部(5)の歯列(20)に伝達して、両刀身(1,2)の刃部(6,7)及び柄部(4,5)をそれぞれ互いに開くように付勢している。
【0007】
請求項1の発明
は下記(イ)〜(ヌ)の特徴を有している。
(イ) 一方の刀身(1)側に可動伝達部材(16)及び
ねじりコイルばね(18)を設けたので、一方の刀身(1)に対し他方の刀身(2)を開閉させる際に、その開閉の動きにより
ねじりコイルばね(18)が影響を受けにくくなって両刀身(1,2)を円滑に開閉させ易くすることができる。また、一対の刀身(1,2)を互いに組付けたり分解したりすることができるように連結する場合、他方の刀身(2)に対する
ねじりコイルばね(18)の連係がないので、一方の刀身(1)に対し他方の刀身(2)を容易に着脱することができる。
【0008】
(ロ) 前記可動伝達部材(16)は一方の刀身(1)の柄部(4)に取り付けられ
ている。前記
ねじりコイルばね(18)はこの可動伝達部材(16)とこの一方の刀身(1)の柄部(4)との間に設けられ
ている。前記回動支持部(3)は前記両刀身(1,2)を互いに組付けたり分解したりすることができる連結部
(軸部14、軸孔15)を有し
ている。このねじりコイルばね(18)による付勢力をこの可動伝達部材(16)を介して他方の刀身(2)の柄部(5)に伝達し得る連動部(歯列19、歯列20)は、この可動伝達部材(16)と他方の刀身(2)の柄部(5)とに設けられ、前記両刀身(1,2)を互いに組付けたり分解したりする際に互いに着脱可能である。
従って、一方の刀身(1)の柄部(4)側に可動伝達部材(16)及び
ねじりコイルばね(18)を設けたので、他方の刀身(2)に対する
ねじりコイルばね(18)の連係がなく、一方の刀身(1)に対し他方の刀身(2)を容易に着脱することができる。
【0009】
(ハ) 前記可動伝達部材(16)は、一方の刀身(1)の柄部(4)に設けた把持部(12)と前記回動支持部(3)との間に取り付けられている。
従って、可動伝達部材(16)を把持部(12)と回動支持部(3)との間に配置して柄部(4)の把持部(12)を支障なく把持することができる。
【0010】
(ニ) 前記可動伝達部材(16)は一方の刀身(1)の柄部(4)に回動可能に支持されている。
従って、ねじりコイルばね(18)による付勢力を可動伝達部材(16)の回動により他方の刀身(2)に対し円滑に伝達することができる。
【0011】
(ホ) 前記可動伝達部材(16)の連動部と他方の刀身(2)の柄部(5)の連動部とは、互いに着脱可能に噛み合う歯列(19,20)である。
従って、ねじりコイルばね(18)による付勢力を可動伝達部材(16)と他方の刀身(2)の柄部(5)との間で円滑に連動させることができる。
【0012】
(ヘ) 前記
ねじりコイルばね(18)は可動伝達部材(16)と一方の刀身(1)の柄部(4)との間に設けた収容部(11)に嵌め込まれている。
従って、ねじりコイルばね(18)を一方の刀身(1)側にコンパクトに配置することができる。
【0016】
(ト) 前記可動伝達部材(16)における回動中心線(17a)は、前記両刀身(1,2)間の回動支持部(3)における回動中心線(14a)に対し所定距離離間している。
従って、回動支持部(3)の回動中心線(14a)を中心とする両刀身(1,2)の開閉動作と、回動中心線(17a)を中心とする可動伝達部材(16)の回動とを互いに円滑に連動させることができる。
【0017】
(チ) 前記両刀身(1,2)間の回動支持部(3)における連結部
(軸部14、軸孔15)は、両刀身(1,2)を所定開き角度(θ)だけ互いに開いた際に、両刀身(1,2)をこの回動支持部(3)における回動中心線(14a)の方向へ互いに着脱させることができる。
従って、両刀身(1,2)を所定開き角度(θ)だけ互いに開いた状態で両刀身(1,2)を互いに組付けたり分解したりすることができるので、その所定開き角度(θ)以外の状態で両刀身(1,2)を円滑に開閉させることができる。
【0018】
(リ) 前記連結部は、両刀身(1,2)のうち一方に設けた軸部(14)と他方に設けた軸孔(15)であって、その軸部(14)と軸孔(15)とは両刀身(1,2)を互いに組付けたり分解したりする際に互いに挿脱される。
従って、軸部(14)と軸孔(15)とにより両刀身(1,2)間の連結部を回動支持部(3)における回動中心線(14a)の方向へ互いに容易に着脱させることができる。
【0019】
(ヌ) 前記回動支持部(3)より基端側で両刀身(1,2)に柄部(4,5)を設けるとともに、その回動支持部(3)より先端側で両刀身(1,2)に刃部(6,7)を設けた。
従って、両刀身(1,2)をX状に交差させた洋鋏におい
て、上記の効果を発揮させることができる。
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明にかかる収容部は、一方の刀身(1)の柄部(4)に形成した凹所(11)であって、前記可動伝達部材(16)とねじりコイルばね(18)とは、凹所(11)内でその凹所(11)の開口縁(11a)の内側に配置されている。請求項2の発明では、可動伝達部材(16)とねじりコイルばね(18)とを凹所(11)内に収容して一方の刀身(1)側にコンパクトに配置することができる。
【0020】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明においては、前記
両刀身(1,2)の柄部(4,5)のうち、一方
の刀身(1)の柄部(4)にはロックレバー(21)を取り付けるとともに、他方
の刀身(2)の柄部(5)にはこのロックレバー(21)が係脱されるロック孔(22)を形成し、前記
ねじりコイルばね(18)の付勢力により一方の刀身(1)の柄部(4)に対し他方の刀身(2)の柄部(5)が開くようにロックレバー(21)がロック孔(22)に対し離脱したロック解除状態(A)と、前記
ねじりコイルばね(18)の付勢力に抗して一方の刀身(1)の柄部(4)に対し他方の刀身(2)の柄部(5)が開くのを阻止するようにロックレバー(21)がロック孔(22)に係入されたロック状態(B)とを取り、このロックレバー(21)及びロック孔(22)には、前記ロック状態(B)で前記
ねじりコイルばね(18)の付勢力に抗して一方の刀身(1)の柄部(4)に対し他方の刀身(2)の柄部(5)を閉じる向きに回動させた際にロックレバー(21)がロック孔(22)から離脱して前記ロック解除状態(A)を取るようにカム面(21a,22a)を形成した。
請求項3の発明では、両刀身(1,2)をX状に交差させた洋鋏において両刀身(1,2)のロックを容易に解除させることができる。