特許第6227334号(P6227334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6227334複数種類の半導体ウエハを検出するロードポート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227334
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】複数種類の半導体ウエハを検出するロードポート
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
【請求項の数】8
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-182909(P2013-182909)
(22)【出願日】2013年9月4日
(65)【公開番号】特開2015-50410(P2015-50410A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】591213232
【氏名又は名称】ローツェ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森本 敦志
(72)【発明者】
【氏名】濱本 朋弥
(72)【発明者】
【氏名】住吉 真隆
(72)【発明者】
【氏名】尾坂 浩太
【審査官】 梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−207507(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/051577(WO,A1)
【文献】 特開2002−164411(JP,A)
【文献】 特開平11−48057(JP,A)
【文献】 特開2012−64828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポート開口部と、
前記ポート開口部を覆うドアと、
第1の直径を有する半導体ウエハを棚段状に収容する第1のウエハカセットを所定の位置に載置するステージと、
前記ステージ上に着脱可能に設置され、
第2の直径を有する半導体ウエハを棚段状に収容する第2のウエハカセット、及び前記第2の直径を有する半導体ウエハよりも小さい第3の直径を有する半導体ウエハを棚段状に収容する第3のウエハカセットのいずれかそれぞれ所定の位置に載置するカセットアダプタと、
前記ステージに備えられ、
前記第1のウエハカセット若しくは前記カセットアダプタが載置されたことを検出する検出スイッチと、
前記第1の直径を有する半導体ウエハを検出する第1のマッピングセンサと、
前記第2の直径を有する半導体ウエハ若しくは前記第3の直径を有する半導体ウエハを検出する第2のマッピングセンサと、
前記第1及び第2のマッピングセンサを前記ウエハカセットに対して進退移動させるマッピングセンサ駆動機構と、
前記第1及び第2のマッピングセンサを上下方向に昇降移動させる昇降機構と、
制御部と、を備えるロードポートであって、
前記カセットアダプタは、
前記第2のウエハカセット、及び前記第3のウエハカセットを所定の位置に位置決めするカセットガイドと、
前記第2のウエハカセット、及び前記第3のウエハカセットが載置されたことを検知するカセット識別部と、を備え、
前記制御部と前記カセット識別部とはケーブルとコネクタを介して互いに接続され、
前記制御部は、予め教示された前記第1及び第2のウエハカセットに関する位置情報が保存された記憶手段を備えており、
前記制御部は、前記検出スイッチと前記カセット識別部から送信される信号に基づいて
前記第1及び第2のウエハカセットに関する前記位置情報に則って
前記マッピングセンサ駆動機構と前記昇降機構とを動作させ、
前記第1のウエハカセットが前記ステージ上に載置されたときには、
前記第1のマッピングセンサから送られる信号を受信し、
前記第2のウエハカセット若しくは前記第3のカセットが載置されたときには、
前記第2のマッピングセンサから送られる信号を受信する
ことを特徴とするロードポート。
【請求項2】
前記第1のマッピングセンサは第1の投光器と第1の受光器を有し、
前記第1の投光器と前記第1の受光器との離間距離は、
前記第1のウエハカセットに形成された開口部の水平方向の寸法よりも小さく、且つ、前記第2のウエハカセットに形成された開口部の水平方向の寸法よりも大きく、
前記第2のマッピングセンサは第2の投光器と第2の受光器を有し、
前記第2の投光器と前記第2との受光器の離間距離は、
前記第1のウエハカセットに形成された開口部の水平方向の寸法よりも小さく、且つ、前記第2のウエハカセットに形成された開口部の水平方向の寸法よりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載のロードポート。
【請求項3】
前記第1のウエハカセットは直径300mmの半導体ウエハを収容するものであり、
前記第2のウエハカセットは直径200mmの半導体ウエハを収容するものであり、
前記第3のウエハカセットは直径150mmの半導体ウエハを収容するものである
ことを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のロードポート。
【請求項4】
前記第1のウエハカセットは直径450mmの半導体ウエハを収容するものであり、
前記第2のウエハカセットは直径200mmの半導体ウエハを収容するものであり、
前記第3のウエハカセットは直径150mmの半導体ウエハを収容するものである
ことを特徴とする請求項1、若しくは請求項2に記載のロードポート。
【請求項5】
前記カセットアダプタは、前記第2のウエハカセット、若しくは前記第3のウエハカセットの周囲を覆い、且つ、搬送手段により、前記第2の直径を有する半導体ウエハ、若しくは前記第3の直径を有する半導体ウエハを搬入及び搬出するための開口部が形成された保護カバーを備える、ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のロードポート。
【請求項6】
前記保護カバーに形成された前記開口部の面積は、前記ポート開口部の開口面積と略同一である、ことを特徴とする請求項5に記載のロードポート。
【請求項7】
前記保護カバーの一部は、オペレータが前記第2のウエハカセット、若しくは前記第3のウエハカセットにアクセスするための開閉可能な扉を備える、ことを特徴とする請求項5、若しくは請求項6に記載のロードポート。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のロードポートを備え、更に、前記ロードポートから送信されるマッピング情報を基にして、前記ウエハカセットに収容された前記半導体ウエハを保持して搬送する搬送ロボットを備えることを特徴とする搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハを保管するウエハカセットにおいて、複数の直径の異なるウエハをそれぞれ収容する大きさの異なるウエハカセットを載置して、内部に収容された各種ウエハの有無を検出するロードポート、及びウエハマッピング装置に関する。さらに、ロードポート上に固定され、直径の比較的小さい半導体ウエハを収容するウエハカセットを位置決め載置するカセットアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な半導体集積回路の製造工程においては、半導体ウエハ等の基板上に露光、成膜処理、エッチング処理、熱処理といった各種処理を繰り返し行うことによって微細なパターンを有する集積回路を形成していく。こういった各種処理工程は、夫々の処理のための専用の機材から構成された処理室を備える基板処理装置によって行われる。これら各工程間において、半導体ウエハはその直径に対応した専用のウエハカセットの内側に形成された各棚板に、上下方向に一定の間隔をあけて棚段状に水平方向に載置された状態で収容され、各工程間を手動若しくは工場に備えられた搬送装置によって搬送される。
【0003】
近年、半導体製造装置は半導体回路線幅のデザインルールの微細化に伴って各種処理装置は高額なものとなり、その結果として、各種処理工程における歩留まりの向上が大きな課題となっている。この歩留まり向上の一つの解決策としてウエハ直径の大口径化が進行していて、150mmから200mm、300mmへと半導体ウエハの直径は拡大していき、最近では直径450mmのウエハを使った半導体製造工程が主流になりつつある。
【0004】
一方、半導体ウエハの直径が大きくなるに従って半導体チップの材料となる半導体ウエハ自体の価格も上昇してきている。そこで、半導体チップを大量生産する必要のない場合には、300mmもしくは450mm用の装置において、従来からの比較的小さい直径を有する半導体ウエハを使用して各種処理することも、製造コストの観点から必要となってきている。また、従来の製造設備を有効に活用するという観点からも、既存の比較的小さい直径の半導体ウエハ用の処理装置と比較的大きな直径の半導体ウエハ用の処理装置を併用して1つの生産ラインとすることが多くなってきていて、各装置メーカーから300mm、450mmといった比較的大きな直径の半導体ウエハ用の処理装置に、150mm、200mmといった比較的小さな直径の半導体ウエハを搬入できる装置が考案されている。
【0005】
例えば特許文献1では、第1のサイズである直径300mmの半導体ウエハを収容する第1のウエハカセットを載置するキャリア載置台と、このキャリア台上に着脱自在に位置決めされるとともに、第1のサイズとは異なる第2のサイズの半導体ウエハを収容する第2のウエハカセットを載置する板状部材を備えたキャリア載置台が開示されている。この第2のカセットを載置する板状部材には、各種カセットに対応できるように、移動可能な位置決め部材が備えられている。
【0006】
また、特許文献2では、比較的大径の半導体ウエハを収容する密閉型の収納器が載置される載置部と、この載置部に着脱自在に載置され、小径の半導体ウエハを収納する開放型の収納器が載置されるアダプタを備える載置装置が開示されている。ここに記載された密閉型の収納器とは、300mm半導体ウエハを収納するFOUP(Front−Opening Unified Pod)と呼ばれる開閉可能な蓋を備え、半導体ウエハが収納される内部空気を気密に維持するように構成された収納容器のことである。また、開放型の収納器とはオープンカセットと呼ばれ、一般に、半導体ウエハを等間隔で棚段状に支持するスロットが複数設けられたものであり、半導体ウエハは周辺雰囲気に開放された状態で収納されるものである。
【0007】
特許文献2においては、FOUPが載置台に載置されたときに、FOUPによって押し下げられるピンと、その押し下げられたピンを検知するセンサとが載置台に備えられている。更に、アダプタにはオープンカセットが載置されたときには、このオープンカセットに押されることで載置台に備えられたピンを押し下げる機構が備えられていて、オープンカセットの在荷を検出できる方法が開示されている。
【特許文献1】特開平10−144755号公報
【特許文献2】特開2003−142551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献1、2に開示された装置を用いることで、直径の異なる半導体ウエハを収納した収納容器を載置して、内部に収納された半導体ウエハを処理装置へと受け渡すことが可能になったが、新たな問題が発生している。一般的に、特定の種類の半導体ウエハを収納したFOUPやオープンカセットと呼ばれる容器を載置する載置台には、その容器内に収納された半導体ウエハの各棚段ごとでの有無や載置状態を検出する機構が備えられていて、容器が載置されると、この機構が動作することでマッピングデータと呼ばれる半導体ウエハの有無に関する情報や正常に載置されているかといった情報が自動的に検出される。この検出されたマッピングデータを基に、搬送装置に備えられた搬送機構が目的の半導体ウエハを自動的に処理装置へと搬送することとなっている。
【0009】
上記特許文献1、2に開示された装置には、こういったマッピングデータを自動的に取得する機構は備えられていないので、アダプタを介して所定の容器以外の容器を載置した場合には、マッピングデータや半導体ウエハのサイズ、容器の種類をオペレータが手動で制御部に入力する必要があり、自動化の大きな妨げとなっていた。更に、入力ミスがあった場合、搬送ロボットのフィンガと半導体ウエハが衝突して半導体ウエハを破損してしまうといった問題も発生していた。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、複数の種類のウエハカセットを載置することが可能で、更に、各ウエハカセットに収納された半導体ウエハの載置状態を自動的に検出することが可能なロードポートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明のロードポートは、ポート開口部と、前記ポート開口部を覆うドアと、第1の直径を有する半導体ウエハを棚段状に収容する第1のウエハカセットを所定の位置に載置するステージと、前記ステージ上に着脱可能に設置され、第2の直径を有する半導体ウエハを棚段状に収容する第2のウエハカセット、及び第3の直径を有する半導体ウエハを棚段状に収容する第3のウエハカセットのいずれかそれぞれ所定の位置に載置するカセットアダプタと、前記ステージに備えられ、前記第1のウエハカセット若しくは前記カセットアダプタが載置されたことを検出する検出スイッチと、前記第1の直径を有する半導体ウエハを検出する第1のマッピングセンサと、前記第2の直径を有する半導体ウエハ若しくは前記第3の直径を有する半導体ウエハを検出する第2のマッピングセンサと、前記第1及び第2のマッピングセンサを前記ウエハカセットに対して進退移動させるマッピングセンサ駆動機構と、前記第1及び第2のマッピングセンサを上下方向に昇降移動させる昇降機構と、制御部と、を備えるロードポートであって、前記カセットアダプタは、前記第2のウエハカセット、及び前記第3のウエハカセットを所定の位置に位置決めするカセットガイドと、前記第2のウエハカセット、及び前記第3のウエハカセットが載置されたことを検知するカセット識別部と、を備え、前記制御部と前記カセット識別部とはケーブルとコネクタを介して互いに接続され、前記制御部は、予め教示された前記第1及び第2のウエハカセットに関する位置情報が保存された記憶手段を備えており、前記制御部は、前記検出スイッチと前記カセット識別部から送信される信号に基づいて前記第1及び第2のウエハカセットに関する前記位置情報に則って前記マッピングセンサ駆動機構と前記昇降機構とを動作させ、前記第1のウエハカセットが前記ステージ上に載置されたときには、前記第1のマッピングセンサから送られる信号を受信し、前記第2のウエハカセット若しくは前記第3のカセットが載置されたときには、前記第2のマッピングセンサから送られる信号を受信する
ことを特徴としている。
【0012】
この構成により、本発明のロードポートは直径300mmの半導体ウエハを収容するウエハカセットを載置する構造のステージに、カセットアダプタを設置し、そのカセットアダプタ上に直径200mmや直径150mmといった第2の直径を有する半導体ウエハを収容する第2のウエハカセット、若しくは第3のウエハカセットを載置するだけで、制御部はカセット識別部からの信号により自動的にウエハカセットのサイズを認識し、そのウエハカセットに対応したマッピングセンサからのマッピング信号を選択的に取得することが出来る。これにより、従来装置で必要だった、マッピングセンサ交換作業やオペレータによる手動でのウエハカセットデータの入力といった手間を省略することができる。
【0013】
また、請求項2に記載の本発明のロードポートは、前記第1のマッピングセンサは第1の投光器と第1の受光器を有し、前記第1の投光器と前記第1の受光器との離間距離は、前記第1のウエハカセットに形成された開口部の水平方向の寸法よりも小さく、且つ、前記第2のウエハカセット、及び前記第3のウエハカセットに形成された開口部の水平方向の寸法よりも大きく、前記第2のマッピングセンサは第2の投光器と第2の受光器を有し、前記第2の投光器と前記第2との受光器の離間距離は、前記第1のウエハカセット、前記第2のウエハカセット、及び第3のウエハカセットにそれぞれ形成されたいずれの開口部の水平方向の寸法よりも小さいことを特徴としている。
【0014】
この構成により、第2のマッピングセンサで第2のウエハカセットの内部に収容された第2の直径を有する半導体ウエハを検出する場合において、第1のマッピングセンサが第2のウエハカセット、若しくは第3のウエハカセットに衝突することを避けることができる。
【0015】
また、請求項3に記載の本発明のロードポートは、前記第1のウエハカセットは直径300mmの半導体ウエハを収容するものであり、前記第2のウエハカセットは直径200mmの半導体ウエハを収容するものであり、前記第3のウエハカセットは直径150mmの半導体ウエハを収容するものであることを特徴としている。
【0016】
また、請求項4に記載の本発明のロードポートは、前記第1のウエハカセットは直径450mmの半導体ウエハを収容するものであり、前記第2のウエハカセットは直径200mmの半導体ウエハを収容するものであり、前記第3のウエハカセットは直径150mmの半導体ウエハを収容するものであることを特徴としている。
【0017】
また、請求項5に記載の本発明のロードポートは、前記カセットアダプタは、前記第2のウエハカセット、若しくは前記第3のウエハカセットの周囲を覆い、且つ、搬送手段により、前記第2の直径を有する半導体ウエハ、若しくは前記第3の直径を有する半導体ウエハを搬入及び搬出するための開口部が形成された保護カバーを備えることを特徴としている。
【0018】
この構成により、カセットアダプタに載置されたウエハカセットにオペレータが不用意に接触することを防止することが出来る。さらに、ウエハカセットがオープンカセットの場合、収容された半導体ウエハを搬出・搬入している間、EFEM内部に比べて装置清浄度の低い環境に晒されることになるが、この保護カバーを備えることで、清浄度の低い環境による半導体ウエハの汚染を抑制することができる。
【0019】
また、請求項6に記載の本発明のロードポートは、前記保護カバーに形成された前記開口部の面積は、前記ポート開口部の開口面積と略同一であることを特徴としている。
【0020】
この構成とすることで、EFEM内部からロードポート開口を通過して流出する清浄度の高い空気を、保護カバーの開口を介して保護カバー内部に取り込むことができる。特に、ロードポート開口部を形成する仕切りと保護カバーとの間は密着させずに僅かに隙間を設けることで、この隙間が陽圧のエアシールとなり、外部環境の清浄度の低い空気が保護カバー内部に流入するのを防止することができる。
【0021】
また、請求項7に記載の本発明のロードポートは、前記保護カバーの一部は、オペレータが前記第2のウエハカセット、若しくは前記第3のウエハカセットにアクセスするための開閉可能な扉を備えることを特徴としている。この構成とすることで、オペレータのウエハカセットへのアクセスを容易にし、更に保護カバー内部を清浄な雰囲気に維持することもできる。
【0022】
また、請求項8に記載の本発明の搬送装置は、本発明のロードポートを備え、更に前記ロードポートから送信されるマッピング情報を基にして、前記ウエハカセットに収容された前記半導体ウエハを保持して搬送する搬送ロボットを備えることを特徴としている。
【0023】
この構成により、ロードポートによって検出された半導体ウエハの直径やウエハカセット内での載置状態、各棚板上における半導体ウエハの存否情報を、搬送装置が備える搬送ロボットが取得して、この情報を基にして自動的にそのウエハカセットに合致した適切な搬送位置への動作を行い、半導体ウエハを保持し目的の場所まで搬送することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のロードポートは、第1のウエハカセットを載置するステージ上にカセットアダプタを介して第1、第3のウエハカセットを載置することで、自動的にウエハカセットの種類を検出し、そのウエハカセットに対応したマッピングセンサにより自動的にマッピング動作を行うことが出来るので、従来のロードポートに必要であった異なるウエハカセットに対応する改造作業を行う必要が無くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明の実施の形態について図を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る一般にロードポート呼ばれるキャリア載置台2を備える半導体製造システム1の概略を示した斜視図である。一般に半導体製造システム1は、所定の雰囲気中で半導体ウエハ3の表面に各種処理を施す処理装置4と、前の工程からFOUPと呼ばれる密閉容器5を載置固定して、FOUP5内部に棚段状に収容された状態で運ばれてきた半導体ウエハ3を処理装置4へと搬送する搬送装置であるEFEM(Equipment Front End Module)6とから構成されている。
【0026】
EFEM6は、FOUP5と処理装置4との間で半導体ウエハ3の受渡しを行う搬送装置であり、FOUP5を載置して蓋体18を開閉するロードポート2、FOUP5内部の各棚段に載置された半導体ウエハ3をフィンガ8で保持して、予め教示された経路を通って処理装置4へと搬送する搬送ロボット7と、半導体ウエハ3の中心位置合わせ及び半導体ウエハ3に形成されたノッチやオリフラを識別して半導体ウエハ3の回転方向の位置合わせを行うアライナ9と呼ばれる装置から構成されている。
【0027】
なお、本説明図においては、鉛直方向をZ軸方向とし、このZ方向に対し直角な方向であって、EFEM6における複数のロードポート2が配置されている方向をX軸方向とし、このZ軸方向及びX軸方向に直角な方向をY軸方向としている。
【0028】
搬送ロボット7は、半導体ウエハ3を保持するフィンガ8を有するとともに、屈伸・旋回及び昇降動作するように構成された搬送アーム9を備えていて、FOUP5とアライナ9、及び処理装置4との間で半導体ウエハ3の受け渡しをすることが出来るように構成されている。これらロードポート2、アライナ9及び搬送ロボット7等の各軸の動作はEFEM6内に配置された制御機器11により制御されている。制御機器11は搬送ロボット7がアクセスする際の座標データや経路データ等を予め内部に備える不図示の記憶手段に記憶していて、記憶された動作シーケンスに沿って、ロードポート2、アライナ9、搬送ロボット7に適宜動作命令を出す。また、EFEM6には入力手段12が備えられていて、これら座標データや経路データ、オペレーターによる動作指令の入力等は、この入力手段12を介して手動でも入力できるように構成されている。
【0029】
また、搬送ロボット7が動作する空間は四方をフレームとカバーとで構成される仕切り13で覆われていて、仕切り13の天井部分にはFFU(Fun Filter Unit)14が設置されている。FFU14は、ファンによって外部から導入してきた空気をフィルタによって濾過し、清浄なクリーンエアとしてEFEM6内部に下向きの層流として供給するもので、このFFU14から供給されるクリーンエアのダウンフローよって、EFEM6内部は外部環境に対して陽圧に維持されていて、常に清浄な環境が維持されている。
【0030】
次に、ロードポート2について図2図3を参照して以下に説明する。図2は本実施例のロードポート2のステージ駆動機構16周辺をX軸正方向から見た断面図であり、図3は本実施例のロードポート2を示した斜視図である。ロードポート2は半導体製造工程において、半導体ウエハ3を内部に収容するFOUP5を載置して、その蓋体18を開閉し、内部に形成された各棚板上における半導体ウエハ3の有無に関する情報、及び、正常に載置されているか否かの情報といった半導体ウエハ3に関する在荷情報を取得する装置である。半導体ウエハ3は、FOUP本体30内部での在荷情報が取得されることで、EFEM6内部に備えられた搬送ロボット7によって自動的に処理装置4内へと搬送されることとなる。
【0031】
ロードポート2はEFEM6の内部空間を形成する仕切り13の所定の位置に固定されていて、FOUP5を所定の位置に固定するステージ15と、ステージ15をY軸方向に前進・後退移動させるステージ駆動機構16と、搬送ロボット7がFOUP5の内部に収容された半導体ウエハ3の搬出・搬入を行うためのポート開口部17と、ポート開口部17の開口面積と略同一の表面積を有し、X−Z平面内に配置されていて、FOUP5の内部を密閉するための蓋体18と一体化するドア19と、ドア19を昇降動作させるドア昇降機構20と、FOUP5内部における半導体ウエハ3の在荷情報を取得するためのマッピング装置21とから構成されている。
【0032】
ステージ15はFOUP5を所定の位置に正確に位置決め固定し、FOUP5の鉛直方向の荷重を支持する。ステージ15の表面にはキネマティックピンと呼ばれる円筒状の位置決めピン22が平面視して二等辺三角形を描くように三ヶ所に立設されている。この位置決めピン22は頂部が略半球状の形状を有していて、この位置決めピン22の頂部とFOUP5の底部の位置決めピン22に対応する位置に形成された円錐状の窪みとが当接することによって各位置決めピン22の頂部が対応する円錐状の窪みの傾斜面に案内されて、ステージ15に対するFOUP5の正確な位置決めを行うことが可能となっている。ステージ15上に載置されたFOUP5は、係止フック23によって位置決めピン22上、ひいてはステージ15上に係止される構造となっている。また、本実施例のロードポート2には、FOUP5が位置決めピン22上に正常に載置されているかどうかを検出するための検出スイッチ31が、ステージ15表面から突出するように3個配置されている。なお、検出スイッチ31の高さ方向の位置は、FOUP5が正常に載置されている場合に全ての検出スイッチ31がFOUP5の底面によって押下されるように調整されている。
【0033】
ステージ駆動機構16には駆動源であるモータ24と、雌ネジがステージ15に固定された送りネジ機構25と、送りネジ機構25に対し平行に配置され、ステージ15を案内するガイドレール26とが備えられている。送りネジ機構25とガイドレール26とは、ステージ15をドア19に対してY軸方向に進退移動させることが出来るように、ロードポート2のフレーム27に互いに平行に位置するように固定されている。モータ24の回転軸は送りネジ機構25と連結されていて、モータ24の回転が送りネジ25に伝達されることでステージ15をドア19に対して任意の位置まで進退移動させることが可能となっている。なお、モータ24はステッピングモータやサーボモータといった、回転角度の制御が可能なものを使用することでステージ15を任意の位置まで正確に移動させることが出来る。
【0034】
ドア19には、蓋体18に対して位置決めを行うためのレジストレーションピン28と、蓋体18に備えられたラッチキー穴に嵌合し回転することでラッチキー穴と連動するラッチキー29と、ラッチキー29を回転させることで蓋体18をロック状態とアンロック状態とに切り替える不図示のラッチ機構とが備えられている。この構成により、蓋体18とドア19が当接した後、ラッチ機構によりラッチキー29が回転することで、蓋体18とFOUP本体30とのロック状態は解除されると同時に、蓋体18とドア19は一体化される。
【0035】
ドア19は、上面視して略コの字状をしたブラケット32に固定され、このブラケット32を介してドア昇降機構20に昇降可能に取り付けられている。Z軸方向において蓋体18と一体化可能な位置で待機しているドア19は、ステージ駆動機構16によるステージ15の前進動作により蓋体18が当接した後、蓋体18に備えられたロック機構をアンロック状態にするとともに蓋体18と一体化する。その後、蓋体18とFOUP本体6aとが分離され、蓋体18と一体化されたドア19はドア昇降機構20によって任意の位置までZ軸マイナス方向に下降移動させられる。図3を参照すると、ドア昇降機構20は駆動源である昇降モータ33がZ軸に対して平行になるように設置された送りネジ機構34を正転もしくは逆転動作させることにより、同じくZ軸に対して平行になるように設置されたガイドレール35に案内される範囲で、ドア19を任意の位置までZ軸方向に昇降移動させることが可能となるように構成されている。昇降モータ33は、ステッピングモータやサーボモータといった、軸の運動量が駆動パルスの量に比例するパルス信号によって回転角度の制御が可能なものを使用することでドア19を任意の位置まで正確に昇降移動させることが可能となる。なお、昇降モータ33に代えて、空気圧や油圧といった流体圧を利用したシリンダを使用することとしても良い。なお、上述した各駆動機構への動作指令や各センサや各スイッチからの入力信号の受信は制御部72によって行われる。また、制御部72は記憶手段79を備えていて、記憶手段79はロードポート2に関する情報や動作プログラム、各ウエハカセットに関する位置情報、予め教示された位置情報を内部にデータとして保存している。なお、本実施例のロードポート2が備える記憶手段79は、記憶媒体として磁気ディスクを備えているが、磁気ディスク以外にも、光学ディスク、フラッシュメモリに代表される半導体素子を利用することも十分可能である。
【0036】
ここで、半導体ウエハ3を収容するウエハカセットについて説明する。図4(a)は300mmや450mmといった比較的直径の大きい半導体ウエハ3aを内部に形成された棚板上に上下方向に間隔を置いて収容するFOUP5と呼ばれる密閉容器であり、図4(b)は直径150mmや200mmといった、比較的直径の小さい半導体ウエハ3bを、内側に形成された棚板上に上下方向に間隔を置いて収容するオープンカセット43と呼ばれるウエハカセットである。FOUP5は、半導体ウエハ3aを内部に形成された棚板上に載置して収容するFOUP本体30と、ラッチ機構によりドア19と一体化し、且つ施錠及び開錠させられる蓋体18とから形成されていて、内部に収容した半導体ウエハ3を気密状態で保管することができるものであり、オープンカセット43は、収容する半導体ウエハ3を外部雰囲気に対して開放状態で収容するものである。
【0037】
FOUP本体30とオープンカセット43は、共に、内側に上下方向に一定の間隔をおいて等間隔に形成された棚板上に半導体ウエハ3a、3bを水平な状態で支持する。また、FOUP本体30とオープンカセット43は、共に、所定の直径の半導体ウエハ3を25枚収容することが出来る。なお、これら収容された各半導体ウエハ3は、平面視して同一の位置に積み上げられて収容される。また、200mm半導体ウエハ3b用オープンカセット43に比べて300mm半導体ウエハ3a用のFOUP5のX方向及びY方向の寸法は、どちらも約1.5倍の寸法となっていて、さらに、FOUP5の内部に形成された棚板の上下方向(Z方向)の間隔は、オープンカセット43の内部に形成された棚板の上下方向(Z方向)の間隔よりも広くなっている。この結果、同じ枚数の半導体ウエハ3を収容する場合、FOUP5の全高はオープンカセット43の全高に比べて大きくなっている。なお、国際半導体製造装置材料協会Semiconductor Equipment and Materials International(SEMI)によってまとめられた標準規格では、各カセットの半導体ウエハ3を支持する棚板の上下ピッチは、直径150mmまでの半導体ウエハ3b用のカセットで概ね4.7mm、直径200mmの半導体ウエハ3b用カセットで約7mm、直径300mmの半導体ウエハ3a用カセットで10mm、直径450mmのカセットで12mmと規定されている。
【0038】
次に、本実施例のロードポート2が備えるマッピング装置21について図3図5図6を参照して説明する。図5は本実施例のマッピング装置21をロードポート2の斜め後方から見た斜視図であり、図6は本実施例のマッピング装置21が備える第1のマッピングセンサ53a及び第2のマッピングセンサ53bを模式的に示した平面図である。マッピング装置21は、ロードポート2に載置されたウエハカセット内部において、どの段の棚板に半導体ウエハ3が載置されているか否か、及びその半導体ウエハ3が正常に載置されているか否かを検知するための装置である。本実施例のロードポート2に備えられたマッピング装置21は支軸38を有していて、この支軸38は、ドア19の下方においてそのドア19と平行なX軸方向に延在する水平軸線Cを中心軸線として、ドア19を支持しているブラケット32に軸受けを介して回転自在に取り付けられている。この支軸38の両端には、ドア19の近傍であって、そのドア19の両側面及び上側面を囲うように配置された正面視コの字形状をした揺動枠39の両端部がそれぞれ固定されている。上記構成により、マッピング装置21は、ドア昇降機構20の作動によってドア19とともにZ軸方向に昇降移動することが出来ることとなり、さらに、マッピング装置21が備える揺動枠39は、マッピングセンサ駆動機構45により、ドア19に平行な水平軸線Cを中心軸としてドア19の周囲を揺動することが出来ることとなっている。この構成によって第1、第2のマッピングセンサ53a、53bはステージ15上に載置され固定されたFOUP5及びオープンカセット43に対して進退移動が可能となっている。さらに、ブラケット32は、一端をドア19に固定され他端をガイドレール35及び送りネジ機構34の移動子に固定さているので、第1、第2のマッピングセンサ53a、53bはZ軸方向に昇降移動が可能となっている。
【0039】
また、本実施例のロードポート2に備えられたマッピング装置21には、揺動枠39を揺動駆動させるマッピングセンサ駆動機構45の駆動源として、エアシリンダ40が支軸38の下方に位置するようにブラケット32に固定されている。このエアシリンダ40のロッドは支軸38に固定されたレバー41の下部と係合している。更に、ブラケット32には、揺動枠39の傾斜角度を制限するため、揺動枠39が揺動動作を行った際レバー41の下部と当接する位置にストッパ部材42が備えられていて、このストッパ部材42には、レバー41の下部との衝突による振動を最小にするため、バネや流体圧を利用したダンパが設けられている。またここでは、揺動枠39を鉛直方向に直立した姿勢となる原点位置へ向けて常時付勢する付図示のバネ部材が設けられている。
【0040】
さらに本実施例のマッピング装置21には、揺動枠39の一部であって、ドア19の上方に配置され、ポートドア19及び水平軸線Cに対し平行なX軸方向に延在する水平部材44に、二対の透過光式センサ50a、50bの各光軸51a、51bがX軸方向に延在する水平軸線Cに対し平行となるように配置されている。この2本の各光軸51a、51bを備えることによって本実施例のマッピング装置21は、一対の透過光式センサ50しか備えられていない従来の公知のマッピング装置では不可能であった、所定の直径を有する半導体ウエハ3aのみならず、より小径の半導体ウエハ3bの検出が可能となる。
【0041】
第1の透過光式センサ50aは、揺動枠39の水平部材44からステージ15に載置されたFOUP5に向かって突出していて、互いに離間する二本の第1の支持部材52aによって一対の第1のマッピングセンサ53aが固定されている。第1のマッピングセンサ53aは、直径300mmの半導体ウエハ3aを検出するための第1の投光器36aと、第1の投光器36aから照射された検出光を受光する第1の受光器37aが互いに対向するように固定されている。ここで、第1の投光器36aによって第1の受光器37aに向かって照射される半導体ウエハ3検出用の光軸を第1の光軸51aとする。また、第1のマッピングセンサ53aは、ステージ15上に位置決めして載置されるFOUP5に収容される半導体ウエハ3aの中心を通るY軸方向の中心線C´に関して対称となるように第1の投光器36aと第1の受光器36bが配置されている。さらに、第1の投光器36aと第1の受光器37aの水平面内に於ける離間距離は、FOUP本体30の両側面の離間距離よりも小さく、且つ、オープンカセット43の両側面の離間寸法よりも大きくなるように設定されている。
【0042】
第2の透過光式センサ50bは、第1の透過光式センサ50aと同様の構成をしていて、揺動枠39の水平部材44からステージ15に載置されたFOUP5側に突出した、互いに離間する二本の第2の支持部材52bによって一対の第2のマッピングセンサ53bが固定されている。第2のマッピングセンサ53bは、直径200mmの半導体ウエハ3bを検出するために、第2の投光器36bと第2の投光器36bから照射された検出光を受光する第2の受光器37bが互いに対向するように固定されている。ここで、第2の投光器36bによって第2の受光器37bに向かって照射される半導体ウエハ3検出用の光軸を第2の光軸51bとする。また、第2のマッピングセンサ53bは、ステージ15上に位置決めして載置されるオープンカセット43に収容される半導体ウエハ3bの中心を通るY方向の中心線C´に関して対称となるように第2の投光器36bと第2の受光器36bが配置されている。さらに、第2の投光器36bと第2の受光器37bの水平面内に於ける離間距離は、オープンカセット43の両側面の離間寸法よりも小さくなるように設定されている。なお、各透過光式センサ50a、50bはウエハカセット内における半導体ウエハ3の存否を検出するのみならず、半導体ウエハ3が同一の棚板上に2枚載置されていたり、両端で段の異なる棚板に、斜めになった状態で載置されていたりといった異常な載置状態の検出を行うことも重要な役目の一つになっている。
【0043】
次に、第1の光軸52aと第2の光軸52bの配置について説明する。前述のように、第1の光軸51aは比較的大きい直径の半導体ウエハ3aを、第2の光軸51bは比較的直径の小さい半導体ウエハ3bを検出するように構成されているが、一般的に半導体ウエハ3を検出する際には、半導体ウエハ3の周縁部分、すなわちウエハカセット内に収容された半導体ウエハ3の最もドア19寄りの端部よりも所定の距離だけ奥まった位置を検出するようにしている。これは、半導体ウエハ3の周縁部分を検出した場合、半導体ウエハ3が微小な位置ずれを起こしていてFOUP5内の奥まった位置に移動していたり、マッピング装置21の昇降移動時の振動によってセンサの光軸51a、51bが前後方向に揺動してしまったりして、光軸51a、51bが半導体ウエハ3によって遮光されず実際の載置状態とは違った検出結果を導き出す可能性があるので、これらの誤った検出を行わないようにするためである。
【0044】
そこで、本実施例のマッピング装置21においても、検出が確実に行われるために、光軸51a、51bは半導体ウエハ3の周縁部から所定の距離だけ奥まった位置、言い換えると半導体ウエハ3の周縁部から中心位置に向かって所定の距離だけオフセットした位置を通過させるようにしている。第2のマッピングセンサ53bは第1のマッピングセンサ53aよりも揺動枠39に近い位置、言い換えるとステージ15上に載置された収容容器に対して第1のマッピングセンサ53aよりも離間する位置に配置されている。これは、オープンカセット43が開放型の箱状容器であり、内部を密閉状態に維持うるために必要な部材が無いシンプルな構造のため、FOUP5に比べて、マッピング装置21により接近することができるためである。これに対して、FOUP5はオープンカセット43と比べて、本体30から分離させた蓋体18が障害物となり第1のマッピングセンサ53aに接近し難い構成となっている。そこで本実施例のマッピング装置21では、第1の光軸51aが半導体ウエハ3aの周縁部分から所定の距離だけ奥まった位置を通過できるようにするために、第1の投光器36aと第1の受光器37aとの離間距離は、第2の投光器36bと第2の受光器37bとの離間距離よりも大きくなるように構成され、さらに、第1の投光器36aと受光器37aは、第2の投光器36bと受光器37bの配置位置よりも、ステージ15上に載置されたFOUP5側により近接する位置になるように、揺動枠39から突出して固定されている。
【0045】
また、本実施例の第1のマッピングセンサ53aと第2のマッピングセンサ53bは、それぞれの光軸51a、51bが平面視して互いに平行であり、さらにステージ15及びステージ上に載置された各種ウエハカセット内に収容された半導体ウエハ3の中心位置を通るY軸に平行な中心線C´に対して直交するように、揺動枠39と支持部材52a、52bに支持されている。なお、揺動枠39が鉛直方向に直立した待機位置にあるとき、本実施例の各光軸51a、51bは同じ高さ位置で水平となるように配置されているが、各光軸51a、51bの高さを互いに違えて配置させることとしてもよい。さらに、水平に配置された半導体ウエハ3を検出するために、各光軸51a、51bはX軸方向に平行に延在するように配置されているが、比較的薄い半導体ウエハ3を検出する際、光軸51a、51bがこの半導体ウエハ3によって十分に遮光されないで、誤った検出結果を受信するというトラブルが発生する可能性がある。図7(a)参照。そこで、本発明の他の実施例では、投光器36a、36bと受光器37a、37bは互いに異なる高さ位置に配置されている。これにより、それぞれの光軸51a、51bは半導体ウエハ3に対して鉛直方向に所定の角度傾いて照射されることとなり、光軸51a、51bは半導体ウエハ3によって確実に遮光され、誤った検出結果を受信することは無くなる。図7(b)参照。半導体ウエハ3は直径が小さくなるに従って厚さ寸法も小さくなるように規定されているので、この光軸を斜めにする実施例は特に直径の小さい半導体ウエハ3bを確実に検出する場合に有効である。
【0046】
次に、本実施例のカセットアダプタ60について図8図9を参照しながら説明する。図8(a)は本実施例のカセットアダプタ60を上面から見た模式図であり、図8(b)は本実施例のカセットアダプタ60を下面から見た模式図である。また、図9は本実施例のカセットアダプタ60が備えるカセット識別部62の動作を示した模式図である。カセットアダプタ60は、ステージ15上に載置、固定され、上面に200mmや150mmといった比較的直径の小さい半導体ウエハ3bを収容したそれぞれ形状の異なるオープンカセット43を所定の位置に載置するのみならず、載置されたオープンカセット43の種類を識別できるように構成されている。カセットアダプタ60の上面には、形状の異なる数種類のオープンカセット43を所定の位置に載置するためのカセットガイド61が所定の位置にネジ留めされている。カセットガイド61は、オープンカセット43の前端部を位置決めするカセットガイド61a、61bと、後端部を位置決めするカセットガイド61c、61dとから構成されている。前端部のカセットガイド61aと61b、及び後端部のカセットガイド61cと61dはそれぞれ左右対称の形状をしていて、Y軸方向の中心線C´に関して線対称に配置されている、また、カセットガイド61は種類の異なるオープンカセット43の端部に対応するために、該当するオープンカセット43の外縁に対応した切り欠きを有する形状となっている。なお、本実施例のカセットアダプタ60では、各カセットガイド61に形成された切り欠きのうち、カセットアダプタ60のY方向の中心線である中心線C´に対して外側の切り欠きが200mm用のオープンカセット43を位置決めし、中心線C´に対して内側の切り欠きが150mm用のオープンカセット43を位置決めするように形成されている。
【0047】
また、カセットガイド61の近傍には、各オープンカセット43が載置されることで、下方に押下されるカセット識別部62がそれぞれのオープンカセット43に対応する位置に備えられている。このカセット識別部62からのオンオフ信号により、カセットアダプタ60上に載置されたオープンカセット43の種類を識別することが可能となる。カセット識別部62は、断面形状が略「く」の字状をした検出レバー63と、この検出レバー63の動作により遮光される光軸64を有する透過光式の光学センサ65とから構成されている。図9(a)参照。
【0048】
検出レバー63は、一端に形成されたカセット当接部66がカセットアダプタ60の下面から、このカセットアダプタ60に形成された貫通孔67を貫通してカセットアダプタ60上面に突出するように配置されている。検出レバー63の他端には水平方向に貫通孔が開けられていて、この貫通孔には水平軸68が挿入されている。この水平軸68は略コの字状の支持ブロック69を介してカセットアダプタ60の下面に固定されている。この構成により、検出レバー63は水平軸68の中心軸を回転中心として回転自在に支持されることとなり、検出レバー63の一端に形成されたカセット当接部66はカセットアダプタ60下面とカセットアダプタ60上面との間で進退可能となる。
【0049】
さらに、カセット識別部62には、カセット当接部66がカセットアダプタ60の上面に突出する方向に、検出レバー63を付勢する不図示のバネ部材が備えられていて、カセットアダプタ60が水平状態に置かれていても、カセット当接部66が下方に落下しないようになっている。このバネ部材は、カセット当接部66をカセットアダプタ60上面から突出させる付勢力を有しているが、オープンカセット43の荷重を支持するだけの付勢力は有していない。また、バネ部材によって付勢された検出レバー63はカセットアダプタ60の上面に向かって突出することとなるが、カセットアダプタ60に形成された貫通孔67の端部がストッパとなり、この端部に当接することで回転移動は規制される。この構造によって、カセット当接部66に何も荷重が掛かっていないときにはカセット当接部66はカセットアダプタ60の上面から突出しているが、オープンカセット43がカセットアダプタ60に適正に載置されたときは、オープンカセット43の下面がカセット当接部66と当接することになり、検出レバー63はオープンカセット43の荷重を受けて水平軸68を中心に揺動して、下方に押下されることとなる。
【0050】
また、検出レバー63のカセット当接部66と対向する位置には、カセットアダプタ60の下面に固定された光学センサ65の光軸64を遮光するための遮光ドグ70が形成されていて、カセット当接部66と共に進退動作を行う。この構造によって、カセットアダプタ60上にオープンカセット43が載置されていない時は、66バネ部材に付勢されてカセットアダプタ60上面に突出するカセット当接部66に連動して遮光ドグ70も上面に向かって移動する。この時、遮光ドグ70は光軸64に対して退避位置にあるので、投光部からの照射された光は受光部で検出される。カセットアダプタ60上にオープンカセット43が載置される時は、オープンカセット43の荷重により下方に押下されたカセット当接部66に連動して遮光ドグ70も下方に向かって移動することで、投光部からの照射された光軸64は遮光ドグ70によって遮られることとなる。この遮光ドグ70による光軸に対する遮光と退避動作によって、オープンカセット43の載置状況を検出することが可能となる。
【0051】
カセット識別部62は、各種類のオープンカセット43に対してそれぞれ2つ備えられていて、これら2つのカセット識別部62が反応してはじめてオープンカセット43が正常に載置されたこととみなされる。これら各2つのカセット識別部62のうち、片方のカセット識別部62だけが反応している場合には、オープンカセット43が正常に載置されていないと認識して、ロードポート2は正常に載置されたと認識するまで次の動作への移行を中止する。各カセット識別部62に備えられた光学式センサ65の配線は、カセットアダプタ60の端部に備えられたオスコネクタ71へと接続されている。このオスコネクタ71が、本実施例のロードポート2が備える制御部72とケーブルを介して接続されたメスコネクタと嵌合することで、各光学式センサ65のオンオフ信号を制御部72が認識することが出来る。また、メスコネクタにはコネクタ71カセットアダプタ60の存在を認識するための信号線が制御部72から接続されていて、この信号ケーブルはコネクタ71aと71bが嵌合した場合に、制御部72がオン信号を検出できるようになっている。さらに、制御部72はこのコネクタ71a、71bを介して、各光学式センサ65の作動用電源も供給している。上記の構成によって、制御部72はカセットアダプタ60に載置されたオープンカセット43の種類を識別することができる。
【0052】
次に、カセットアダプタ60の下面、すなわちステージ15上に備えられた部材に当接する面について図8(b)を参照して説明する。カセットアダプタ60の下面には、位置決めのための断面形状がV字状の溝73が形成された位置決めブロック74が3箇所に埋設されている。この位置決めブロック74はステージ15上に二等辺三角形を描くように立設された位置決めピン22に対向する位置に配置されていて、さらに各位置決めブロック74に形成されたV字状の溝73は各位置決めピン22が描く二等辺三角形の各頂点から重心位置に向かう直線上に、V字断面の頂点を結ぶ直線が通るように水平面内の回転角度が調整されていて、カセットアアダプタ60を、位置決めピン22の頂部にV字状の溝73が当接するように載置するだけで自動的に所定に位置に位置決めされる、いわゆるキネマティックカップリング機構が形成されている。
【0053】
カセットアダプタ60の下面略中央部には、10mm程度の深さに削られた矩形の窪み75が形成されていて、さらにこの窪み75のほぼ半分を覆うように平板状の係止プレート76が固定されている。この窪み75と係止プレート76は、ステージ15上にカセットアダプタ60が載置された際に、ステージ15が備える係止フック23の動作に対応する位置となるように配置されている。係止フック23には先端部分が薄く成形されたクランプ爪78が備えられていて、このクランプ爪78がエアシリンダやモータ等の図示しない駆動手段により、回動及び進退移動させられることによって、ロック位置とアンロック位置との切り替えが可能になり、ステージ15に立設された位置決めピン22上に載置されたカセットアダプタ60やFOUP5をステージ15に固定することができる。また、カセットアダプタ60の下面のステージ15上に配置された検出スイッチ31に対応する位置には、カセットアダプタ60が位置決めピン22上に正常に載置されたときに検出スイッチ31を押下できる厚み寸法を有するスペーサ77が2個配設されている。
【0054】
ここで、本実施例のロードポート2では位置決めピン22はステージ15上に3個配置されていて、このうち所定の2個の検出スイッチ31が押下された時には、制御部72はカセットアダプタ60が載置されたと判断することとなっている。また、ステージ15上に配置された検出スイッチ31が全て押下された時には、制御部72はステージ15上にFOUP5が載置されたと判断する。なお、本実施例では検出スイッチ31を3個配置しているが、これに限らず、任意の数の検出スイッチ31を配置し、押下された検出スイッチ31の状態により、載置された物が何であるかを判断することとしてもよい。上記構成により、カセットアダプタ60が位置決めピン22上に正常に載置されると、スペーサ77が所定の検出スイッチ31を押下することとなり、制御部72はロードポート2へカセットアダプタ60が載置されたことを認識する。さらにオスコネクタ71とメスコネクタが嵌合することで送信される信号とを受けた制御部72は、カセットアダプタ60上へのオープンカセット43の載置準備が完了したことを認識する。ここで、カセットアダプタ60の準備が完了したと認識した制御部72は、係止フック23に動作指令を送信し、動作指令を受けた係止フック23は不図示の駆動手段によりクランプ爪78をロック位置まで移動させ、カセットアダプタ60はステージ15上に固定される。
【0055】
次に、本実施例のロードポート2の動作について、図10図11を参照して詳しく説明する。図10(a)は本実施例のロードポート2にFOUP5を載置した際のマッピング装置21の動作をX軸正方向から見た模式図であり、図10(b)は上面すなわちZ軸正方向から見た模式図である。なお、図10(b)では、Y軸方向の中心線C´を境界線にして上方はマッピングセンサ53aが待機位置にある状態を示し、下方はマッピングセンサ53aがFOUP本体30に向かって前進した位置にある状態を示している。図11(a)は本実施例のロードポート2にカセットアアダプタ60を介してオープンカセット43を載置したときのマッピング装置21の動作をX軸正方向から見た模式図であり、図11(b)はZ軸正方向から見た模式図である。なお、図11(b)では、図10と同様に、Y方向の中心線C´を境界線にして上方はマッピングセンサ53bが待機位置にある状態を示し、下方はマッピングセンサ53bがオープンカセット43に向かって前進した位置にある状態を示している。本実施例のロードポート2では、直径300mmの半導体ウエハ3を内部に収容するFOUP5と、カセットアダプタ60を介して直径200mmの半導体ウエハ3を収容するオープンカセット43aと、直径150mmの半導体ウエハ3を収容するオープンカセット43bとの、三種類のウエハカセットを載置して、内部に収容された半導体ウエハ3の検出をすることが出来るように構成されている。
【0056】
ここでは、第1のウエハカセットであるFOUP5に対してロードポート2が行う第1のマッピング動作を説明する。ステージ15上の所定の位置にFOUP5が載置されると、ロードポート2に備えられた制御部72は、押下された検出スイッチ31の状況からFOUP5が載置されたことを認識する。ここで、係止フック23を動作させFOUP5を固定した後ステージ駆動機構16を作動させて、予め教示されたドッキング位置までステージ15をY方向へ前進移動させる。また、FOUP5が載置されたと認識した場合は、300mm半導体ウエハ3aのマッピング動作に備えて不図示のリレーを作動させ、第2の透過光式センサ50bへの電源の供給を遮断し、第1の透過光式センサ50aから送信される信号が制御部72に受信されるように信号回路を切り替える。
【0057】
次に、制御部72はステージ駆動機構16を作動させて、記憶手段79に保存されている予め教示されたドック位置、すなわち、FOUP本体30に係合している蓋体18がドア19と当接する位置までステージ15とFOUP5をY軸正方向に移動させる。この時、ドア19はドア昇降機構20により、予め教示された蓋体18とのドッキング可能な位置である待機位置(POS0)にあって、蓋体18の当接に備えている。FOUP5がY軸正方向に移動して蓋体18とドア19とが当接すると、制御部72はラッチ機構を動作させ、ドア19と蓋体18との一体化、及び蓋体18とFOUP本体30との係合状態を解除する。その後制御部72は、ステージ駆動機構16を作動させ、予め教示された位置までステージ15をその上のFOUP本体30とともにY軸マイナス方向へ後退移動させることでFOUP本体30と蓋体18を完全に分離させて、第1のマッピングセンサ53aがFOUP本体30内部に収容された半導体ウエハ3aを検出できる状態にする。なお、本実施例のロードポート2は、ステージ15を後退移動させることでFOUP本体30と蓋体18を分離させる構成としているが、この構成に代えて、公知の技術によってドア19をFOUP本体30に対して進退可能な構造にして、FOUP本体30に対してドア19が後退動作することでFOUP本体30とドア19を分離することとしてもよい。言い換えると、FOUP本体30とドア19とは、互いが離間する方向に相対的に移動することでFOUP本体30とドア19との分離は完了し、第1のマッピングセンサ53aがFOUP本体30内部に収容された半導体ウエハ3aを検出できる状態となる。
【0058】
蓋体18をFOUP本体30から分離させる動作が完了すると、制御部72はステージ駆動機構16を作動させて、予め教示された第1のマッピング待機位置(POS1B)までステージ15をその上に固定されたFOUP本体30とともに移動させ、次に、ドア昇降機構20を作動させて、ドア19及びマッピング装置21を待機位置(POS0)から予め教示された第1のマッピング開始位置(POS1A)まで下降移動させる。なお、この第1のマッピング開始位置(POS1A)は、Z軸方向においてFOUP本体30の上面よりも低く、且つFOUP本体30に形成された最上段の棚板に収容されている半導体ウエハ3aよりも高い位置となるように設定されている。
【0059】
第1のマッピング開始位置(POS1A)までの移動が完了すると、制御部72はマッピング装置21が備えるエアシリンダ40を、レバー41がストッパ部材42に当接するまで作動させる。これによって、鉛直方向に直立した姿勢で待機していた揺動枠39は水平軸線Cを中心軸として角度αだけFOUP本体30に向かって傾けられ、揺動枠39の上面に固定された第1のマッピングセンサ53aは原点位置からFOUP本体30内に向かって距離Lだけ移動することになる。この時点で、第1の光軸51aはFOUP本体30内の最上段の棚板に載置された半導体ウエハ3aよりも鉛直方向で高い位置にあるので、投光器36aから発せられた検出光は遮断されることなく受光器37aへと照射されている。
【0060】
次に、制御部72はドア昇降機構20を作動させて、ドア19及びマッピング装置21を第1のマッピング開始位置(POS1A)から、予め教示された第1のマッピング終了位置(POS1C)まで降下させる。この移動により揺動枠39の上面に固定された第1のマッピングセンサ53aも、図10(a)に示すように第1のマッピング開始位置(POS1A)から第1のマッピング終了位置(POS1C)まで、距離H1だけ降下することとなる。なお、移動距離H1は、FOUP本体30の最上段の棚板に載置された半導体ウエハ3aの上面から最下段の棚板に載置された半導体ウエハ3aの下面までの距離よりも長くなるように設定されていて、第1の検出部51aは、全ての棚段に関して半導体ウエハ3aをスキャンすることが出来る。
【0061】
制御部72は、第1のマッピングセンサ53aが備える第1の光軸51aがFOUP本体30内に棚段状に収容された半導体ウエハ3aにより断続的に遮断されることで生ずる第1の受光器37aから送られる出力信号の変化に基づき、半導体ウエハ3aがFOUP本体30内に収容されていることを認識するとともに、この第1の光軸51aが遮断された時のZ軸方向の位置情報を記憶手段79に保存する。ここで、予め教示され記憶手段79保存させておいたFOUP本体30の棚段に収容された300mm半導体ウエハ3aの上下方向の間隔や、半導体ウエハ3a自体の厚みといったデータを基にして、制御部72は、半導体ウエハ3がFOUP本体30内に形成された複数の棚段のうち、何段目の棚段に載置されているかという情報や、収容されている半導体ウエハ3aで、段を違えて斜めに収容されているものがあるかといった第1のマッピング情報を導き出し、記憶手段79に記憶させる。
【0062】
第1のマッピング終了位置(POS1C)までの移動が終了したら、制御部72はエアシリンダ40を作動させて角度αだけ傾けていた揺動枠39を待機時の姿勢である垂直な姿勢に戻して、第1のマッピングセンサ53aをFOUP本体30に対して距離Lだけ後退させて原点位置に復帰させる。揺動枠39が垂直な姿勢に戻った後、制御部72はドア昇降機構20を作動させて、ドア19及びマッピング装置21を第1のマッピング終了位置(POS1C)から、予め教示された第1の搬送待機位置(POS1D)まで降下させ、ロードポート2の下部へ収納する。最後に、制御部72はステージ駆動機構16を作動させて、ステージ15をその上のFOUP本体30とともに予め教示された第1のウエハ受け渡し位置(POS1E)まで前進移動させる。以上により一連の第1のマッピング動作は終了する。
【0063】
一連の第1のマッピング情報を取得する動作が終了すると、制御部72は記憶手段79に保存した第1のマッピングデータを上位の制御機器11に伝達する。これにより上位の制御機器11は、半導体ウエハ3aが、FOUP本体30内に形成された複数の棚段のうち、何段目の棚段に載置されているかという情報や、収容されている半導体ウエハ3aの中で、段を違えて斜めに収容されているものがあるか否かという情報を得ることが出来る。上位の制御機器11は、この情報を基に、搬送ロボット7を制御する不図示の制御装置に対して動作指令を送信しFOUP本体30内の半導体ウエハ3aを搬送させるので、半導体ウエハ3aが載置されていない棚段に対する無駄な搬送動作を省略することが可能となり、さらに、特定の棚段を選択して半導体ウエハ3aを搬送することが可能となる。
【0064】
次に、本実施例のロードポート2にカセットアダプタ60を介して載置された、直径200mmの半導体ウエハ3bを収容する第2のウエハカセットであるオープンカセット43aに対して行われる第2のマッピング情報を取得するための第2のマッピング動作について、図11を参照して詳しく説明する。本実施例のロードポート2にてオープンカセット43に関するマッピング情報を取得するためには、まず、カセットアダプタ60をステージ15上に載置して、カセットアダプタ60に備えられたオスコネクタ71に制御部72から延設されたメスコネクタを接続する。接続が完了すると、ロードポート2に備えられた制御部72は、カセットアダプタ60が載置されたことを認識して、係止フック23を動作させカセットアダプタ60をステージ15上に固定する。
【0065】
目的のオープンカセット43を、カセットアダプタ60上の位置決めブロック74が規定する位置に載置する。ここで制御部72は、カセット識別部62から送信された各センサのオンオフ信号により第2のウエハカセットが載置されたと判断し、200mm半導体ウエハ3bのマッピング動作に備えて不図示のリレーを作動させ、第1の透過光式センサ50aへの電源の供給を遮断するとともに第2の透過光式センサ50bへの電源の供給を開始し、第2の透過光式センサ50bから送信される信号が制御部72に受信されるように信号回路を切り替える。ここで、制御部72は、ステージ駆動機構16を作動させて、予め教示された第2のマッピング待機位置(POS2B)までステージ15をその上のカセットアダプタ60及びオープンカセット43aとともに移動させ、次に、ドア昇降機構20を作動させて、ドア19及びマッピング装置21を待機位置(POS0)から、予め教示された第2のマッピング開始位置(POS2A)まで下降移動させる。なお、この第2のマッピング開始位置(POS2A)は、オープンカセット43の上面よりも低く、且つオープンカセット43に形成された最上段の棚板に収容されている半導体ウエハ3bよりも高い位置となるように設定されている。また、第1のマッピング動作では、FOUP本体30と蓋体18を分離させる工程が必要であるが、オープンカセット43は外部に開放された容器であり、内部を密閉するための蓋を有していないので、この分離動作は必要無い。
【0066】
第2のマッピング開始位置(POS2A)までの移動が完了すると、制御部72は第1のマッピング動作と同様に、マッピング装置21が備えるエアシリンダ40を、レバー41がストッパ部材42に当接するまで作動させる。これによって、鉛直方向に直立した姿勢で待機していた揺動枠39は水平軸線Cを中心軸として角度αだけオープンカセット43本体に向かって傾けられ、揺動枠39の上面に固定された第2のマッピングセンサ53bは原点位置からオープンカセット43内部に向かって距離Lだけ移動することになる。この時点で、第2の光軸51bはオープンカセット43内の最上段の棚板に載置された半導体ウエハ3bよりも鉛直方向で高い位置にあるので、投光器36bから発せられた検出光は遮断されることなく受光器37bへと照射されている。なお、第2のマッピングセンサ53bと同様に揺動枠39の上面に固定された第1のマッピングセンサ53aは、オープンカセット43の外側を移動するように、第2のマッピングセンサ53bに対して所定の距離だけ外側に離間して配置されているので、この揺動枠39の動作によってオープンカセット43の外枠に衝突することは無い。
【0067】
次に、制御部72はドア昇降機構20を作動させて、ドア19及びマッピング装置21を第2のマッピング開始位置(POS2A)から、予め教示された第2のマッピング終了位置(POS2C)まで降下させる。この移動により揺動枠39の上面に固定された第2のマッピングセンサ53bを、図11(a)に示すように第2のマッピング開始位置(POS2A)から第2のマッピング終了位置(POS2C)まで、距離H2だけ降下することとなる。なお、移動距離H2は、オープンカセット43の最上段の棚板に載置された半導体ウエハ3bの上面から最下段の棚板に載置された半導体ウエハ3bの下面までの距離よりも長くなるように設定されていて、第2の検出部51bは、全ての棚段に関して半導体ウエハ3bをスキャンすることが出来る。
【0068】
制御部72は、第2のマッピングセンサ53bが備える第2の光軸51bがオープンカセット43内に棚段状に収容された半導体ウエハ3bにより断続的に遮断されることで生ずる第2の受光器37bから送られる出力信号の変化に基づき、半導体ウエハ3bがオープンカセット43内に収容されていることを認識するとともに、この第2の光軸51bが遮断された時のZ軸方向の位置情報を記憶手段79に保存する。ここで、予め記憶させておいたオープンカセット43の棚段に収容された200mm半導体ウエハ3bの上下方向の間隔や、半導体ウエハ3b自体の厚みといったデータを基にして、制御部72は、半導体ウエハ3がオープンカセット43内に形成された複数の棚段のうち、何段目の棚段に載置されているかという情報や、収容されている半導体ウエハ3bで、段を違えて斜めに収容されているものがあるかといった第2のマッピング情報を導き出し、記憶手段79に記憶させる。
【0069】
第2のマッピング終了位置(POS2C)までの移動が終了したら、制御部72はエアシリンダ40を作動させて角度αだけ傾けていた揺動枠39を待機時の姿勢である垂直な姿勢に戻して、第2のマッピングセンサ53bをオープンカセット43に対して距離Lだけ後退させて原点位置に復帰させる。揺動枠39が垂直な姿勢に戻った後、制御部72はドア昇降機構20を作動させて、ドア19及びマッピング装置21を、第2のマッピング終了位置(POS2C)から予め教示された第2の搬送待機位置(POS2D)まで降下させ、ロードポート2の下部へ収納する。最後に、制御部72はステージ駆動機構16を作動させて、ステージ15をその上のカセットアダプタ60及びオープンカセット43ととも予め教示されたウエハ受け渡し位置(POS2E)まで前進移動させる。以上により一連の第2のマッピング動作は終了する。なお、第1のマッピング動作のために予め教示された第1の搬送待機位置(POS1D)と、第2のマッピング動作のために予め教示された第2の搬送待機位置(POS2D)とは、搬送ロボット7によるウエハ搬送動作に干渉しないための退避位置であるので、同じ高さ位置としても構わない。
【0070】
一連の第2のマッピング情報を取得する動作が終了すると、制御部72は記憶手段79に保存した第2のマッピングデータを上位の制御機器11に伝達する。これにより上位の制御機器11は、半導体ウエハ3bがオープンカセット43内に形成された複数の棚段のうち、何段目の棚段に載置されているかという情報や、収容されている半導体ウエハ3bの中で、段を違えて斜めに収容されているものがあるか否かという情報を得ることが出来る。上位の制御機器11は、この情報を基に、搬送ロボット7を制御する不図示の制御装置に対して動作指令を送信しオープンカセット43内の半導体ウエハ3bを搬送させるので、半導体ウエハ3bが載置されていない棚段に対する無駄な搬送動作を省略することが可能となり、さらに、特定の棚段を選択して半導体ウエハ3bを搬送することが可能となる。
【0071】
ここで、同じ枚数の半導体ウエハ3を収容できるとしても、オープンカセット43と本実施例のカセットアダプタ60に載置されたオープンカセット43のZ軸方向の高さ寸法は、300mm用のFOUP5に比べて低く設計されているので、第2のマッピング開始位置(POS2A)の鉛直方向の高さ位置は、第1のマッピング開始位置(POS1A)よりも低い位置に設定されている。また、本実施例のカセットアダプタ60に載置されたオープンカセット43に形成された棚板のうち、最下段の棚板の、Z軸方向の高さ位置は、FOUP本体30内部に形成された棚板のうち、最下段の棚板の高さに比べて高い位置となっているので、第2のマッピング終了位置(POS2C)のZ軸方向の高さ位置は、第1のマッピング終了位置(POS1C)よりも高い位置に設定されている。本実施例のカセットアダプタ60を介して載置されたオープンカセット43に対するマッピング時の、第2のマッピング待機位置(POS2B)は、ロードポート2上に載置されたFOUP本体30に対するマッピング時の、ステージ15のY方向位置である第1のマッピング待機位置(POS2A)よりも、ステージ15はドア19寄りに前進した位置に設定されている。これは、半導体ウエハ3bを検出する第2のマッピングセンサ53bは、第1のマッピングセンサ53aに比べて、ステージ15に対して水平方向で奥まった位置に配置されているためである。
【0072】
次に、載置したオープンカセット43を保護するためのカバーを取り付けたカセットアダプタ60の第2の実施例について図12を参照して説明する。図12は、保護カバー80を備える第2の実施例のカセットアダプタ60を模式的に示した斜視図である。オープンカセット43はFOUP5のような内部を密閉された容器ではないので容器の蓋を開閉する必要はない反面、オープンカセット43に収容された半導体ウエハ3bは周囲の環境に晒されることになる。さらに、カセットアダプタ60に載置されたオープンカセット43は、FOUP5のように係止フック23によりステージ15上に固定されてはいないので、搬送ロボット7の動作中にオペレータが誤ってオープンカセット60に触れると、オープンカセット43の載置位置が移動してしまい、搬送ロボット7が正常にアクセス出来なくなってしまう。
【0073】
そこで、第2の実施例のカセットアダプタ60には、載置されるオープンカセット43の周囲を覆う保護カバー80が備えられている。保護カバー80はオープンカセット43の上面及び両側面を覆うカバー本体81と、開閉扉82とから構成されている。カバー本体81は正面視して略コの字状に形成された形状となっていて、両端をカセットアダプタ60にネジで固定されている。また、カセットアダプタ60がステージ15に固定された際、ロードポート2に形成されたポート開口部17に対向する面と、この面とは反対側の面、すなわちオペレータがオープンカセット43にアクセスする面とは、周囲に対し開放された形状となっている。さらに、このオペレータがアクセスするために空けられた開口部は、オペレータがオープンカセット43のカセットアダプタ60への載置、取り出しを行う際に、オペレータの手がカバー本体81に接触することなくアクセスできるように、上面と両側面もポート開口部17に向う方向に切り込まれた形状となっている。
【0074】
開閉扉82は、カバー本体81にヒンジを介して回動自在に取り付けられていて、オペレータがアクセスするために形成されたカバー本体81の開口部を閉塞できる形状を成している。また、開閉扉82の正面には、開閉を容易にするためのハンドル86が備えられていている。また開閉扉82の左右には、開閉扉82の閉塞時の位置を規制するストッパ83が備えられていて、カバー本体81に設けられた当接部84と当接することで、開閉扉82の回動を規制する。
【0075】
さらに、この第2の実施例のカセットアダプタ60にはロック機構85が備えられていて、開閉扉82をロック及び、アンロックすることが出来る。このロック機構85は、内部に備えられたソレノイドに電気信号を送信することでロック及び、アンロックの切り替えが可能になっていて、このロック、アンロック信号は制御部72からコネクタ71を介してロック機構85に送られる。ロック機構85は制御部72とコネクタ71を介して電気的に接続されていて、制御部72から送信される動作信号によってロック、アンロック動作を行うこととなっている。
【0076】
オペレータは、手動でオープンカセット43を所定のカセットアダプタ60に載置した後、EFEM6に備えられた入力手段12に搬送開始信号を入力する。この信号を受け取った制御機器11は、搬送準備開始信号をロードポート2に備えられた制御部72へと送信する。信号を受け取った制御部72は、ロック機構85にロック信号を送信して開閉扉82をロック状態にした後、ステージ15に前進信号を送信してマッピング動作を開始する。ここで、開閉扉82はロックされてカバー本体81と係合していて、さらに、カセットアダプタ60は係止フック23によりステージ15に固定されているので、オペレータが誤って処理中のオープンカセット43にアクセスすることを防止できる。また、処理装置4の処理が終了し、全ての半導体ウエハ3bがオープンカセット43に収容されたら、オペレータは入力手段12を介して、オープンカセット43の移送信号を制御機器11に入力する。この信号を受けた制御機器11は制御部72に開閉扉82のロック解除信号を送信し、信号を受けた制御部72はロック機構85をアンロック動作させて、ロック状態を解除させる。
【0077】
カバー本体81及び閉塞位置にある開閉扉82によって形成される保護カバー80の内部空間は、少なくともカセットアダプタ60上に載置されるオープンカセット43で最大のものが収容できる容積を有している必要がある。ただし、所定のオープンカセット43が辛うじて収容される程度の容積を有する保護カバー80にすると、例えば、直径300mmの半導体ウエハ3aに対応したロードポート2に載置した場合、直径300mm半導体ウエハ3aが通過できる面積を有するポート開口部17と保護カバー80との間に大きな隙間が生じることになる。この隙間が生じることで、オペレータの手がこの隙間に入り込み、内部の構造物と接触することでけがをしてしまったり、外部からの塵埃がこの隙間を通ってEFEM6内部に流入することでEFEM6内部の高い清浄度が維持出来なくなってしまったりする可能性がある。
【0078】
そこで、本実施例のカセットアダプタ60が有する保護カバー80は、ポート開口部17のN周縁部と保護カバー80との間に5mm程度の僅かな隙間が出来るように、XY軸面内の断面積を、ロードポート2に形成されたポート開口部17の面積と同程度か若しくは、若干小さくすることが好ましい。こうすることで、この僅かな隙間からEFEM6内部の清浄な空気が流出することで、外部の塵埃がEFEM6内部に流入することを防止することが出来る。しかも、外部に流出する清浄な空気の量は僅かなものなので、EFEM6内部の陽圧は維持できる。
【0079】
なお、本実施例のカセットダプタが備える保護カバー80は、軽量であること及び、内部が目視で認識できるといった理由から透明なポリカーボネート製としている。ポリカーボネート以外ではアクリルやポリ塩化ビニルといった樹脂材料としてもよい。さらに、ステンレスやアルミといった金属材料での作成も可能であるが、内部の状態を認識するために、透明な樹脂でカバーされた窓を備えることが望ましい。
【0080】
以上、図面を参照しながら説明してきたが、実施例において、オープンカセット43は直径150mm、200mmの半導体ウエハ3bを収納したものを、密閉容器5は直径300mm、450mmの半導体ウエハ3aを収納したものを例に挙げているが、この発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、当業者が変更し得るものも含むことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1】本発明に係る半導体製造システムの概略を示す切り欠き斜視図である。
図2】本実施例におけるロードポートのステージ駆動機構周辺をX軸正方向から見た断面図である。
図3】本実施例におけるロードポートの概略を示す切り欠き斜視図である。
図4】本実施例にて使用されるウエハカセットを示す斜視図である。
図5】本実施例のマッピング装置をロードポートの斜め後方から見た斜視図である。
図6】本実施例のマッピング装置が備える検出部を模式的に示した平面図である。
図7】本実施例の検出部から照射された光軸を模式的に示した説明図である。
図8】本実施例のカセットアダプタを示す図である。
図9】本実施例のカセットアダプタが備えるカセット識別手段の動作を示した図である。
図10】本実施例のロードポートが備えるマッピング装置の動作を示す説明図である。
図11】本実施例のロードポートが備えるマッピング装置の動作を示す説明図である。
図12】本発明における第2の実施例のカセットアダプタを示す斜視図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12