特許第6227343号(P6227343)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227343
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】ロボットの歩行制御方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 11/00 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   B25J11/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-193446(P2013-193446)
(22)【出願日】2013年9月18日
(65)【公開番号】特開2014-128868(P2014-128868A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2016年9月8日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0154468
(32)【優先日】2012年12月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 碩 遠
(72)【発明者】
【氏名】梁 佑 誠
【審査官】 臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−007796(JP,A)
【文献】 特開2009−291932(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0299523(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0143376(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 5/00−13/00
G05B 15/00
G06F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットが両足支持状態にある場合は、
両足の外側に一定距離離隔された仮想壁を形成する仮想壁形成段階と、
ロボットの胴体と仮想壁との距離変化及び速度変化を、前記ロボットの関節角及びリンクの長さから幾何学的に計算する変化計算段階と、
前記ロボットの胴体と仮想壁との距離変化及び速度変化を、ロボットの胴体と前記仮想壁との間に存在する仮想のスプリングダンパーモデルに代入し、前記ロボットの胴体の姿勢保持に必要な仮想反力を計算する反力計算段階と、
前記仮想反力をヤコビ転置行列を用いて前記ロボットの関節における駆動トルクに換算する反力換算段階と、
を含み、
前記反力換算段階は、前記ロボットが片足支持状態にある場合に、支持する脚の足裏から股関節までの高さ変化と速度変化とを、前記ロボットの関節角及びリンクの長さから幾何学的に計算する高さ計算段階を更に含むことを特徴とするロボットの歩行制御方法。
【請求項2】
前記仮想壁は、前記ロボットの左右両側及び前後両側それぞれに形成されることを特徴とする請求項1に記載のロボットの歩行制御方法。
【請求項3】
前記ロボットは、足首、膝及び股関節から構成されることを特徴とする請求項1に記載のロボットの歩行制御方法。
【請求項4】
前記高さ計算段階は、前記支持する脚の足裏から股関節までの高さの変化と速度変化とを、ロボットの股関節と足裏との間に存在する仮想のスプリングタンパーモデルに代入し、前記支持する脚に必要な仮想支持力を計算する支持力計算段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のロボットの歩行制御方法。
【請求項5】
前記支持力計算段階は、計算された支持力を、ヤコビ転置行列を用いてロボット関節の駆動トルクに換算する支持力換算段階を更に含むことを特徴とする請求項4に記載のロボットの歩行制御方法。
【請求項6】
前記ロボットは、前記股関節にピッチング関節が備えられ、前記反力換算段階は、ピッチング関節で連結された2つのリンクの間に存在する仮想のスプリングダンパーモデルに、ピッチング関節の関節角の変化と角速度の変化とを代入し、前記ピッチング関節の制御に必要なピッチングトルクを算出するピッチング算出段階を更に含むことを特徴とする請求項3に記載のロボットの歩行制御方法。
【請求項7】
前記ロボットは、前記股関節にローリング関節が備えられ、前記反力換算段階は、ローリング関節で連結された2つのリンクの間に存在する仮想のスプリングダンパーモデルにローリング関節の関節角の変化と角速度の変化を代入し、前記ローリング関節の制御に必要なローリングトルクを算出するローリング算出段階を更に含むことを特徴とする請求項3に記載のロボットの歩行制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの歩行制御方法に係り、より詳しくは、下肢着用歩行のために仮想サスペンションを用いる下肢着用歩行用ロボットの歩行制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、歩行式ロボット及び着用式ロボットの歩行制御のためには多様な制御方法が提案されている。
ところが、従来のロボットの歩行制御方法は、歩行の経路を指定し、それに従ってロボットが歩行するように制御することは比較的容易であったが、歩行中または停止の際に均衡を保つことが難しく、特に外力による揺れの際に直ちに均衡を取ることができるように制御することは非常に難しい課題であった(例えば特許文献1、2を参照)。
【0003】
従来の「ロボット用の力/トルクセンサー、及びこれを用いてロボットの歩行を制御する方法」は、「ロボットの脚に設置された力/トルクセンサーを用い、ロボットの歩行中における地面に垂直な方向の回転トルクを測定する段階と、測定された回転トルクに応じてロボットの上体関節を制御し、ロボットの脚に加えられる負荷を調節する段階と、を含むことを特徴とする、力/トルクセンサーを用いてロボットの歩行を制御する方法。」が提案された。しかしこの技術も、歩行時または停止時の均衡維持については大きい効果がなかった。
【0004】
特許文献3に示した「ロボットマニピュレータの制御方法及び装置」は、「本発明は、特異点の近くにおける運転能力を向上させたロボットマニピュレータの制御方法及び装置に関する。本発明は、マニピュレータの特異点領域を判別し、マニピュレータの現在位置値に基づき特異点領域値の相対的な大きさに対応する制御入力値をヤコビ行列を用いて算出し、この制御入力値に応じてマニピュレータを制御する。本発明のロボットマニピュレータの制御方法及び装置は、特異点またはその近くでロボットマニピュレータを安定的に動作させることができる。」ことを開示している。本発明は、かかるヤコビ行列を用いたロボットの制御方法に該当する。
【0005】
前述の背景技術として説明された事項は、本発明の背景に対する理解を増進するためのものであって、これらの事項が、当該技術分野における通常の知識を有する者に既に公知の技術に該当するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−190122号公報
【特許文献2】特開2012−245612号公報
【特許文献3】韓国公開特許第10−2012−0121958号公報
【特許文献4】韓国公開特許第10−1999−0059516号公報
【特許文献5】特開2013−116530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる問題点を解決するために提案されたものであって、本発明の目的は、着用式ロボットの下肢着用歩行のために仮想サスペンションを用いるロボットの歩行制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、ロボットが両足支持状態にある場合は、両足の外側に一定の距離離隔された仮想壁を形成する仮想壁形成段階と、ロボットの胴体と仮想壁との距離変化及び速度変化を、ロボットの関節角及びリンクの長さから幾何学的に計算する変化計算段階と、ロボットの胴体と仮想壁との距離変化及び速度変化を、ロボットの胴体と仮想壁との間に存在する仮想のスプリングダンパーモデルに代入し、ロボットの胴体の姿勢保持に必要な仮想反力を計算する反力計算段階と、仮想反力をヤコビ転置行列を用いてロボットの関節における駆動トルクに換算する反力換算段階と、を含み、
前記反力換算段階は、ロボットが片足支持状態にある場合に、支持する脚の足裏から股関節までの高さ変化と速度変化とを、ロボットの関節角及びリンクの長さから幾何学的に計算する高さ計算段階を更に含むことを特徴とする。
【0009】
前記仮想壁は、ロボットの左右両側及び前後両側それぞれに形成されることを特徴とする。
前記ロボットは、足首、膝及び股関節から構成されることを特徴とする。
前記反力換算段階は、ロボットが片足支持状態にある場合に、支持する脚の足裏から股関節までの高さ変化と速度変化とを、ロボットの関節角及びリンクの長さから幾何学的に計算する高さ計算段階を更に含むことを特徴とする。
【0010】
前記高さ計算段階は、支持する脚の足裏から股関節までの高さの変化と速度変化とを、ロボットの股関節と足裏との間に存在する仮想のスプリングタンパーモデルに代入し、支持脚に必要な仮想支持力を計算する支持力計算段階を更に含むことを特徴とする。
前記支持力計算段階は、計算された支持力をヤコビ転置行列を用いてロボット関節の駆動トルクに換算する支持力換算段階を更に含むことを特徴とする。
【0011】
前記ロボットには、股関節にピッチング関節が備えられ、反力換算段階は、ピッチング関節で連結された2つのリンクの間に存在する仮想のスプリングダンパーモデルに、ピッチング関節の関節角の変化と角速度の変化とを代入し、ピッチング関節の制御に必要なピッチングトルクを算出するピッチング算出段階を更に含むことを特徴とする。
【0012】
前記ロボットには、股関節にローリング関節が備えられ、反力換算段階は、ローリング関節で連結された2つのリンクの間に存在する仮想のスプリングダンパーモデルにローリング関節の関節角の変化と角速度の変化を代入し、ローリング関節の制御に必要なローリングトルクを算出するローリング算出段階を更に含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上述したような構成を持つ本発明のロボットの歩行制御方法は、両脚支持状態に於いて、直交座標及びジョイント座標系において仮想で構成されているスプリングダンパーモデルの仮想サスペンション制御器が、着用者の外形に合わせて初期状態での姿勢を維持し、着用者の意図による力及び外力が加えられたときに、加えられた力と対向する方向に反応し、ロボットの姿勢を初期状態に回復させる役割を主導的に果たすことができる。
【0014】
これによって、片足支持状態でも安定状態を保持することに主導的役割を果たすことができる。また、両足から片足への移行の際に、重力の変化及び支持部の変化による動力学方程式モデルが瞬時に変わるが、この際の急激な動特性の変化を防止し、実モデルと動力学方程式モデルの変数の差による誤動作を減らす役割を果たすことができる。
【0015】
歩行による片足支持状態と両足支持状態の周期的な動作変化の際に、ロボットが片足を地面に踏み出す片足支持状態において大きい外力が瞬時に引き起こされるが、ピッチング軸に挿入されているピッチング関節の仮想のサスペンション制御器は、瞬時に入力される大きいインパルスを防ぐ衝撃緩和効果をもたらし、仮想サスペンション制御器の原状態に戻ろうとする回復力が、着用者が初期姿勢状態に戻ろうとするときにエネルギー消費の観点から大きく役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の順序図である。
図2】本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の両足支持状態を説明するための部分正面図である。
図3】本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の両足支持状態を説明するための部分側面図である。
図4】本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の幾何学的な計算を示す図である。
図5】本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の片足支持を説明するための図である。
図6】本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の片足支持を説明するための図である。
図7】本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の片足支持を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例に係るロボットの歩行制御方法を説明する。
本発明は、着用式ロボットの下肢着用歩行のために仮想サスペンションを用いる、ロボットの歩行制御方法に関する。
【0018】
図1は本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の順序図である。
図1に示すように、本発明のロボットの歩行制御方法は、ロボットが両足支持状態の場合、両足から外側に一定の距離離隔した仮想壁を形成する仮想壁形成段階(S200)と、ロボットの胴体と仮想壁間の距離変化及び速度変化を、ロボットの関節角とリンクの長さから幾何学的に計算する変化計算段階(S210)と、距離変化及び速度変化を、ロボットの胴体と仮想壁との間に挿入した仮想のスプリングダンパーモデルに代入しロボットの胴体に必要な仮想反力を計算する反力計算段階(S220)と、計算された反力をヤコビ転置行列を用いてロボット関節における駆動トルクに換算する反力換算段階(S230)と、を含む。
【0019】
ロボットは、自律的な動きを示す無人ロボットと、人が着用して歩行をする着用式ロボットと、に大別される。本発明は2種類のロボットのいずれにも適用することができるが、以下の実施例では着用式ロボットを例として説明する。
着用式歩行ロボットの場合は、人が着用して歩行をするものであるから、その歩行の安定性を担保するために、両足支持状態、即ち立っている状態と、片足支持状態、即ち歩行時と、に分けて制御することが好ましく、また歩行時であっても両足とも地面に触れている場合は、両足支持状態の制御を行うことができる。
【0020】
まず、両足支持時状態について具体的に考察する。
図1に示すように、ロボットが両足支持状態か片足支持状態か否かを判断し(S100)、両足支持状態と判断した場合は、図2及び図3に示すように、両足から外側に一定の距離離隔した仮想壁200、200’を形成する仮想壁形成段階(S200)を行う。
図2は、本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の両足支持状態を説明するための部分正面図であり、図3はその部分側面図である。
【0021】
図2、3に示すように、仮想壁形成段階(S200)は、仮想壁200、200’を形成し、その仮想壁とロボットとの間に仮想のスプリングダンパーモデル300、300’による仮想サスペンションを挿入し、仮想壁200、200’から仮想サスペンションを介してロボットへ力が加えられると仮定し、ロボットの関節駆動系に仮想壁に対する反力を提供させるよう制御することにより、ロボットが一側に倒れそうになった場合、緩衝されるか、または飛ばされるかのように反発させて自動的に平衡を保つように制御するのである。
【0022】
このために仮想壁200、200’を、ロボットの足裏100を基準として外側に一定距離離隔して形成する。即ち、図2の場合はロボットの足裏100からAだけ離れた両側に側壁を形成し、図3の場合はロボットの足裏100からBだけ離れた前後方に前後壁を形成する。
次いで、ロボットの胴体と仮想壁間の距離変化及び速度変化を、ロボットの関節角及びリンクの長さから幾何学的に計算する変化計算段階(S210)を行う。ロボットには各関節とその関節同士を連結するリンクが設けられているので、関節の回転角をエンコーダを介して計測すると、ロボットの胴体の特定の部位と仮想壁200、200’との間の距離を測定することができる。
【0023】
即ち、仮想壁200、200’は、ロボットの足裏100を基準とするため、その位置が固定されたものと仮定することができ、また、ロボットの胴体の位置も、足裏を基準とし三角関数を使って幾何学的に解くため、仮想壁と胴体間の相対的な距離の変化を容易に計算することができる。そして、その距離変化を微分して速度の変化を計算することができる。
【0024】
次いで、距離変化と速度変化とを、ロボットの胴体と仮想壁との間に存在する仮想のスプリングダンパーモデルに代入し、ロボットの胴体に必要な仮想反力を計算する反力計算段階(S220)を行う。即ち、図2及び図3に示すように、仮想壁と胴体との間には仮想のスプリングダンパーモデルが設けられるので、それぞれの距離変化及び速度変化をスプリングダンパーモデルに代入してロボットの胴体に作用する反力を求めることができる。
【0025】
具体的な数式は次の概念から導出できる。
【数1】
式中、kとcはそれぞれスプリングダンパーモデル300、300’のスプリング定数及びダンピング係数である。
【0026】
次いで、導出された反力はヤコビ転置行列を用いてロボット関節における駆動トルクに換算する反力換算段階(S230)を行う。即ち、ロボット胴体の端部での作用反力をヤコビ転置行列を用いて各関節における駆動トルクに換算して各関節のモーターを制御(S400)することにより、実際ロボットがまるで仮想壁から仮想サスペンションによって支持されているかのように制御することができる。
【0027】
そして、仮想壁200、200’は、ロボットの前後方向及び左右方向それぞれに形成され、前後左右の仮想サスペンションによって支持され、両足支持の際に自動的に安定的な姿勢を維持して着用者の安全を図る。
ロボットは足首、膝及び腰(股関節)から構成され、反力はそれぞれの関節にトルクとして分散して制御入力されるようにする。
【0028】
ロボットが片足支持状態の場合には歩行中と判断することができ、その均衡の制御のために支持する脚を重点的に制御することが好ましい。
図4は本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の幾何学的な計算を示す図である。
図4に示すように、支持する脚は、足首130、膝140及び股関節120から構成される。特に、股関節120は、2軸回転することができるようにピッチング関節122とローリング関節124とからなり、人の腰のように柔軟に対応できるようにする。
【0029】
ロボットが片足支持状態の場合、支持する脚の足裏100から股関節120までの高さの変化及び速度変化を、ロボットの股関節角及びリンクの長さから幾何学的に計算する高さ計算段階(S300)を行い、その高さ変化及び速度変化を、ロボットの股関節と足裏との間に存在する仮想のスプリングダンパーモデル400に代入して、支持脚に必要な仮想支持力を計算する支持力計算段階(S310)を行った後、計算された支持力をヤコビ転置行列を用いてロボット関節における駆動トルクに換算する支持力換算段階(S320)を行う。
【0030】
即ち、図4のような幾何学的な解析によって、その瞬間におけるロボットの股関節の、足裏または地面からの距離Ydを知ることができる。これは各関節の関節角とリンクの長さから次の数式で幾何学的に導出できる。
【数2】
【0031】
図5は、本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の片足支持を説明するための図である。
図5に示すように、股関節の高さを求めた後には、その股関節と地面または足裏との間に仮想のスプリングダンパーモデル400を設定し、その高さの変化及び速度変化から仮想の股関節を支持する支持力を計算する。そして、その支持力を各関節のトルクにヤコビ転置行列を用い換算し、各関節を駆動することにより、歩行の際の支持脚の緩衝を行う。
【0032】
図6は、本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の片足支持を説明するための図である。
図6に示すように、ロボットは股関節にピッチング関節122が設けられ、反力換算段階(S230)は、ピッチング関節122で連結された2つのリンク122a、122bの間に挿入した仮想のスプリングダンパーモデル600にピッチング関節の関節角(Q2)の変化及び角速度の変化を代入して、ピッチング関節の制御に必要なピッチングトルクを算出するピッチング算出段階(S330)を行う。
【0033】
図7は、本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の片足支持を説明するための図である。
図7に示すように、ロボットは、股関節にローリング関節124が設けられ、反力換算段階(S230)は、ローリング関節124で連結された2つのリンク124a、124bの間に存在する仮想のスプリングダンパーモデル500にローリング関節の関節角(Q1)の変化及び角速度の変化を代入して、ローリング関節に必要なローリングトルクを算出するローリング算出段階(S340)を行う。
【0034】
図5図7は本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の片足支持を説明するための図であって、ピッチングトルクとローリングトルクはそれぞれ次の数式で表現できる。
【数3】
【0035】
即ち、各関節における関節角の変化及び角速度の変化を、回転型エンコーダなどを介して導出または計算し、これをサスペンションモデルに代入して当該関節における駆動トルクを算出することにより、ピッチングとローリングの際にもスプリングのように復元し、ダンパーを介して安定な制御が行われる。
【0036】
上述したような構造を持つロボットの歩行制御方法によれば、両脚支持状態に於いて、直交及びジョイント座標系において仮想で構成されているスプリングダンパーモデルの仮想サスペンション制御器は、着用者の外形に合わせて初期状態での姿勢を維持し、着用者の意志による力及び外力が加えられたときに、加えられた力と対向する方向に反応し、ロボットの姿勢を初期状態に回復させる役割を主導的に果たすことができる。
【0037】
これによって、片足支持状態でも安定状態を保持することに主導的役割を果たすことができる。また、両足から片足への遷移の際に、重力の変化及び支持部の変化により動力学方程式モデルが瞬時に変わるが、この際の動特性の急激な変化を防止し、実モデルと動力学式モデルの変数の差による誤動作を減らす役割を果たすことができる。
【0038】
歩行による片足支持状態と両足支持状態の周期的な動作変化の際に、ロボットが片足を地面に踏み出す片足指示状態において大きい外力が瞬時に引き起こされるが、ピッチング軸に挿入されているピッチング関節の仮想サスペンション制御器は、瞬時に入力される大きいインパルスを防ぐ衝撃緩和効果をもたらし、仮想サスペンション制御器の原状態に戻ろうとする回復力が、着用者が初期姿勢状態に戻ろうとするときのエネルギー消費の観点から大きく役立つ。
【0039】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0040】
100 ロボットの足裏
120 腰関節
122 ピッチング間接
124 ローリング間接
130 足首
140 膝
200、200’ 仮想壁
300、300’、400、500、600
仮想のスプリングダンパーモデル(仮想サスペンション制御器)
S200 仮想壁形成段階
S300 高さ計算段階
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7