(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
軸方向に突出する複数の第1爪状磁極を有する第1ロータコアと、軸方向に突出する複数の第2爪状磁極を有する第2ロータコアと、前記第1及び第2ロータコアの軸方向間に配置された界磁磁石とを備え、前記第1及び第2爪状磁極を周方向に交互に配置し、前記界磁磁石にて第1及び第2爪状磁極を互いに異なる磁極として構成したロータと、
軸方向に突出する複数の第1爪状磁極を有する第1ステータコアと、軸方向に突出する複数の第2爪状磁極を有する第2ステータコアと、前記各ステータコア間に配置され周方向に巻回されたコイル部とを備え、該ステータ側の第1及び第2爪状磁極を周方向に交互に配置するとともに前記ロータ側の第1及び第2爪状磁極と対向させ、前記コイル部への通電に基づいて前記ステータ側の第1及び第2爪状磁極を互いに異なる磁極でその極性が切り替えられるように構成したステータとを備えたモータであって、
前記ロータ側の各爪状磁極は、先端部の周方向中心が基端部の周方向中心に対して前記ロータの反回転方向にずれた形状をなしており、
且つ、前記ステータ側の各爪状磁極は、先端部の周方向中心が基端部の周方向中心に対して前記ロータの回転方向にずれた形状をなしていることを特徴とするモータ。
軸方向に突出する複数の第1ロータ側爪状磁極を有する第1ロータコアと、軸方向に突出する複数の第2ロータ側爪状磁極を有する第2ロータコアと、前記第1及び第2ロータコアの軸方向間に配置された界磁磁石とを備え、前記第1及び第2ロータ側爪状磁極を周方向に交互に配置し、前記界磁磁石にて第1及び第2ロータ側爪状磁極を互いに異なる磁極として構成したロータと、
軸方向に突出する複数の第1ステータ側爪状磁極を有する第1ステータコアと、軸方向に突出する複数の第2ステータ側爪状磁極を有する第2ステータコアと、前記各ステータコア間に配置され周方向に巻回されたコイル部とを備え、前記第1及び第2ステータ側爪状磁極を周方向に交互に配置するとともに前記第1及び第2ロータ側爪状磁極と対向させ、前記コイル部への通電に基づいて前記第1及び第2ステータ側爪状磁極を互いに異なる磁極でその極性が切り替えられるように構成したステータと
を備えたモータであって、
前記第1及び第2ロータコアは、前記界磁磁石を軸方向に挟む基部から径方向に延びる複数の延出部を有し、前記第1ロータコアの各延出部の径方向先端部に前記第1ロータ側爪状磁極が設けられ、前記第2ロータコアの各延出部の径方向先端部に前記第2ロータ側爪状磁極が設けられ、
前記第1及び第2ステータコアは、基部から径方向に延びる複数の延出部を有し、前記第1ステータコアの各延出部の径方向先端部に前記第1ステータ側爪状磁極が設けられ、前記第2ステータコアの各延出部の径方向先端部に前記第2ステータ側爪状磁極が設けられ、
前記ロータ側の各延出部は、径方向先端部の周方向中心が径方向基端部の周方向中心に対して前記ロータの反回転方向にずれた形状をなしており、
且つ、前記ステータ側の各延出部は、径方向先端部の周方向中心が径方向基端部の周方向中心に対して前記ロータの回転方向にずれた形状をなしていることを特徴とするモータ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、モータの一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態のブラシレスモータ10は、回転軸11を有するロータ12と、ロータ12の外側に配置されモータハウジング(図示略)に固着された環状のステータ13とを備えている。
【0020】
[ロータの構成]
図2に示すように、ロータ12は、軸方向に積層された3相(U相、V相及びW相)のロータユニット14u,14v,14wを備えている。各ロータユニット14u,14v,14wは互いに略同構成を有し、第1及び第2ロータコア21,22と、それら第1及び第2ロータコア21,22に挟まれた界磁磁石23とから構成されている。
【0021】
図2及び
図4に示すように、第1ロータコア21は、略円盤状に形成された第1ロータコアベース24を有している。第1ロータコアベース24は、回転軸11が挿通固定された貫通穴24aを径中心部に備える円板部24bと、円板部24bの外周縁から径方向外側に延出する複数の延出部24cとを有している。本実施形態では、12個の延出部24cが周方向等間隔(30度間隔)に設けられている。
【0022】
図3(a)に示すように、延出部24cは軸方向から見て、径方向外側ほど幅狭となる台形形状をなしている。また、延出部24cの形状について詳述すると、延出部24cの周方向中心線L(径方向基端部における周方向中心P1と、径方向先端部における周方向中心P2とを通る直線)は、回転軸11の軸線と直交している。そして、延出部24cは軸方向から見て、周方向中心線Lに対して線対称となる形状をなしている。
【0023】
第1ロータコア21は、各延出部24cの径方向先端部(外周側端部)から軸方向一方に突出する第1ロータ側爪状磁極25を一体に有している。なお、第1ロータ側爪状磁極25は、延出部24cを直角に屈曲することで成形してもよく、また、鋳造によって延出部24cと一体形成してもよい。
【0024】
図3(b)に示すように、第1ロータ側爪状磁極25は、径方向(正面)から見て左右非対称の台形形状をなしている。詳述すると、第1ロータ側爪状磁極25は、その軸方向基端部の周方向幅が延出部24cの径方向先端部(外周側端部)の周方向幅と等しく形成されるとともに、軸方向先端側ほど周方向幅が狭い台形形状をなしている。また、第1ロータ側爪状磁極25の周方向両端面は、互いに非平行をなす平坦面をなしている。更に、第1ロータ側爪状磁極25において、その軸方向基端部の周方向中心X1と軸方向先端部の周方向中心X2とを通る直線L0は、軸方向に対して傾斜している。
【0025】
図4に示すように、第2ロータコア22は、第1ロータコア21と略同様の構成を有し、第2ロータコアベース26と第2ロータ側爪状磁極27とを有している。第2ロータコアベース26の円板部26b(貫通穴26a)及び延出部26cは、前記第1ロータコアベース24の円板部24b(貫通穴24a)及び延出部24cとそれぞれ同形状をなしている。
【0026】
図2に示すように、組付状態において、第2ロータコアベース26は第1ロータコアベース24に対して平行配置され、それらコアベース24,26間に界磁磁石23が配置されている。また、コアベース24,26の延出部24c,26cは、軸方向から見て周方向に交互に並ぶとともに、周方向等間隔(本実施形態では15度間隔)に配置されている。そして、第1及び第2ロータ側爪状磁極25,27は、周方向に交互に並ぶように配列されるとともに、それらの突出方向が互いに反対となるように構成されている。換言すれば、各第2ロータ側爪状磁極27は、各第1ロータ側爪状磁極25間に配置されている。
【0027】
なお、第1ロータ側爪状磁極25の軸方向長さは、該第1ロータ側爪状磁極25の先端面が第2ロータコアベース26の対向面26d(軸方向内側面)と面一となるように設定されている。同様に、第2ロータ側爪状磁極27の軸方向長さは、該第2ロータ側爪状磁極27の先端面が第1ロータコアベース24の対向面24d(軸方向内側面)と面一となるように設定されている。
【0028】
ここで、第2ロータ側爪状磁極27は、径方向(正面)から見て左右非対称の台形形状をなしている。詳述すると、第2ロータ側爪状磁極27は、その軸方向基端部の周方向幅が延出部26cの径方向先端部(外周側端部)の周方向幅と等しく形成されるとともに、軸方向先端側ほど周方向幅が狭い台形形状をなしている。また、第2ロータ側爪状磁極27の周方向両端面は、互いに非平行をなす平坦面をなしている。
【0029】
図4に示すように、界磁磁石23は、例えばフェライト磁石よりなる円板状の永久磁石である。界磁磁石23の中央位置には、回転軸11が挿通される貫通穴23aが形成されている。そして、界磁磁石23の一方の端面23bが、第1ロータコアベース24の対向面24dと、界磁磁石23の他方の端面23cが、第2ロータコアベース26の対向面26dとそれぞれ当接し、界磁磁石23は第1ロータコアベース24と第2ロータコアベース26との間に軸方向に挟持固定される。なお、界磁磁石23の外径は、各コアベース24,26の円板部24b,26bの外径と一致するように設定されている。
【0030】
そして、界磁磁石23は、第1ロータコアベース24側がN極、第2ロータコアベース26側がS極となるように軸方向に磁化されている。従って、この界磁磁石23によって、第1ロータコア21の第1ロータ側爪状磁極25はN極(第1磁極)として機能し、第2ロータコア22の第2ロータ側爪状磁極27はS極(第2磁極)として機能する。
【0031】
上記のように界磁磁石23を用いた所謂ランデル型構造とされたロータユニット14u,14v,14wは、N極となる第1ロータ側爪状磁極25と、S極となる第2ロータ側爪状磁極27とが周方向に交互に配置され磁極数が24極(極数対が12個)で構成されている。
【0032】
そして、
図2に示すように、ロータユニット14u,14v,14wが軸方向に積層されてロータ12が構成される。なお、各相のロータユニット14u,14v,14wは、
図2において上から順に、U相ロータユニット14u、V相ロータユニット14v及びW相ロータユニット14wとする。
【0033】
図各相のロータユニット14u,14v,14wは、電気角で60度(機械角で5度)ずつ位相をずらして積層されている。詳述すると、V相ロータユニット14vは、U相ロータユニット14uに対して反時計回り方向に電気角で60度位相をずらして配置されている。また、W相ロータユニット14wは、V相ロータユニット14vに対して反時計回り方向に電気角で60度位相をずらして配置されている。
【0034】
また、U相及びW相ロータユニット14u,14wは、第1ロータコア21が上側になるように積層され、V相ロータユニット14vは第2ロータコア22が上側になるように積層されている。つまり、U相及びW相ロータユニット14u,14wの界磁磁石23の磁化方向は、同方向(
図2において上向き)とされ、V相ロータユニット14vの界磁磁石23の磁化方向は、U相及びW相ロータユニット14u,14wの界磁磁石23の磁化方向に対して反対向き(
図2において下向き)とされる。
【0035】
また、U相及びV相ロータユニット14u,14vの第2ロータコアベース26同士が軸方向に隣接しており、その隣接する第2ロータコアベース26を介してU相及びV相ロータユニット14u,14vの界磁磁石23のS極側が向かい合うように構成されている。また、V相及びW相ロータユニット14v,14wの第1ロータコアベース24同士が軸方向に隣接しており、その隣接する第1ロータコアベース24を介してV相及びW相ロータユニット14v,14wの界磁磁石23のN極側が向かい合うように構成されている。
【0036】
また、U相及びW相ロータユニット14u,14wの第1ロータ側爪状磁極25の軸方向への突出方向は、互いに同方向(
図2において下向き)であり、その方向に対してV相ロータユニット14vの第1ロータ側爪状磁極25の突出方向は反対向き(
図2において上向き)となっている。
【0037】
同様に、U相及びW相ロータユニット14u,14wの第2ロータ側爪状磁極27の軸方向への突出方向は、互いに同方向(
図2において上向き)であり、その方向に対してV相ロータユニット14vの第2ロータ側爪状磁極27の突出方向は反対向き(
図2において下向き)となっている。
【0038】
図7に示すように、各ロータユニット14u,14v,14wにおいて、第1ロータ側爪状磁極25の径方向外側面(ステータ13との対向面)は、径方向から見てその周方向一端25a(時計回り方向の前方側端)が軸方向に沿った直線状をなし、周方向他端(時計回り方向の後方側端)が先端側ほど周方向一端25aに近づくように傾斜する傾斜部25bとなっている。つまり、第1ロータ側爪状磁極25は、基端部の周方向中心X1(前記延出部24cの径方向先端部における周方向中心P2と一致)に対して先端部の周方向中心X2が周方向一方(本実施形態では時計回り方向)にずれた形状をなしている。
【0039】
また、各ロータユニット14u,14v,14wにおいて、第2ロータ側爪状磁極27の径方向外側面(ステータ13との対向面)は、径方向から見てその周方向一端27a(時計回り方向の前方側端)が軸方向に沿った直線状をなし、周方向他端(時計回り方向の後方側端)が先端側ほど周方向一端27aに近づくように傾斜する傾斜部27bとなっている。これにより、第2ロータ側爪状磁極27は、基端部の周方向中心Y1に対して先端部の周方向中心Y2が周方向一方(本実施形態では時計回り方向)にずれた形状をなしている。
【0040】
つまり、第1及び第2ロータ側爪状磁極25,27は、それらの先端部の周方向中心X2.Y2が同方向(時計回り方向)にずれた形状をなしている。また、第1及び第2ロータ側爪状磁極25,27は、それらの中心位置C1,C2(爪状磁極25,27の軸方向中央における周方向中心位置)が周方向等間隔(本実施形態では15度間隔)となるように構成されている。また、第1ロータ側爪状磁極25の傾斜部25bの傾斜角度θ1(軸方向に対する傾斜角度)と、第2ロータ側爪状磁極27の傾斜部27bの傾斜角度θ2(軸方向に対する傾斜角度)とは、互いに等しく設定されている。
【0041】
[ステータ]
図5に示すように、ロータ12の径方向外側に配置されるステータ13は、各ロータユニット14u,14v,14wに対応して軸方向に積層された3相(U相、V相及びW相)のステータユニット30u,30v,30wを備えている。各ステータユニット30u,30v,30wは互いに同構成を有し、第1及び第2ステータコア31,32と、それら第1及び第2ステータコア31,32との軸方向間に配置されたコイル部33とから構成されている。
【0042】
図5及び
図6に示すように、第1ステータコア31は、円環板状の第1ステータコアベース34を有している。第1ステータコアベース34は、回転軸11の周方向に円環状をなす円環部34aと、その円環部34aから径方向内側に延出する複数の延出部34bとを有している。本実施形態では、12個の延出部34bが周方向等間隔(30度間隔)に設けられている。延出部34bは軸方向から見て、径方向内側ほど幅狭、かつ周方向中心線に対して線対称な台形形状をなしている。
【0043】
第1ステータコア31は、各延出部34bの径方向先端部(外周側端部)から軸方向一方(
図5において下方)に突出する第1ステータ側爪状磁極35を一体に有している。なお、第1ステータ側爪状磁極35は、延出部34bを直角に屈曲することで成形してもよく、また、鋳造によって延出部34bと一体形成してもよい。
【0044】
第1ステータ側爪状磁極35は、径方向(正面)から見て左右非対称の台形形状をなしている。詳述すると、第1ステータ側爪状磁極35は、その軸方向基端部の周方向幅が延出部34bの径方向先端部(内周側端部)の周方向幅と等しく形成されるとともに、軸方向先端側ほど周方向幅が狭い台形形状をなしている。また、第1ステータ側爪状磁極35の周方向両端面は、互いに非平行をなす平坦面をなしている。
【0045】
また、
図8に示すように、第1ステータ側爪状磁極35の径方向内側面(ロータ12との対向面)は、径方向から見てその周方向一端35a(時計回り方向の後方側端)が軸方向に沿った直線状をなし、周方向他端(時計回り方向の前方側端)が先端側ほど周方向一端35aに近づくように傾斜する傾斜部35bとなっている。つまり、第1ステータ側爪状磁極35は、基端部の周方向中心Z1に対して先端部の周方向中心Z2が周方向一方(本実施形態では反時計回り方向)にずれた形状をなしている。
【0046】
図6に示すように、第2ステータコア32は、第1ステータコア31と略同様の構成を有し、第2ステータコアベース36と第2ステータ側爪状磁極37とを有している。第2ステータコアベース36の円環部36a及び延出部36bは、前記第1ステータコアベース34の円環部34a及び延出部34bとそれぞれ同形状をなしている。
【0047】
図5に示すように、各ステータコアベース34,36の円環部34a,36aは、軸方向に互いに当接されて第1ステータコア31の外周壁部を構成しており、その外周壁部の内周側のスペースであって、各延出部34b,36bの軸方向間のスペースには、回転軸11の周方向に円環状をなすコイル部33が配置されている。
【0048】
各ステータコアベース34,36の延出部34b,36bは、軸方向から見て周方向に交互に並ぶとともに、周方向等間隔(本実施形態では15度間隔)に配置されている。また、延出部34b,36bは互いに平行をなしている。そして、各ステータユニット30u,30v,30wにおいて、第1及び第2ステータ側爪状磁極35,37は、周方向に交互に並ぶように配列されるとともに、それらの突出方向が互いに反対となるように構成されている。換言すれば、各第2ステータ側爪状磁極37は、各第1ステータ側爪状磁極35間に配置されている。
【0049】
ここで、第2ステータ側爪状磁極37は、第2ステータ側爪状磁極37は、径方向(正面)から見て左右非対称の台形形状をなしている。詳述すると、第2ステータ側爪状磁極37は、その軸方向基端部の周方向幅が延出部36bの径方向先端部(外周側端部)の周方向幅と等しく形成されるとともに、軸方向先端側ほど周方向幅が狭い台形形状をなしている。また、第2ステータ側爪状磁極37の周方向両端面は、互いに非平行をなす平坦面をなしている。
【0050】
また、
図8に示すように、第2ステータ側爪状磁極37の径方向内側面(ロータ12との対向面)は、径方向から見てその周方向一端37a(時計回り方向の後方側端)が軸方向に沿った直線状をなし、周方向他端(時計回り方向の前方側端)が先端側ほど周方向一端37aに近づくように傾斜する傾斜部37bとなっている。これにより、第2ステータ側爪状磁極37は、基端部の周方向中心T1に対して先端部の周方向中心T2が周方向一方(本実施形態では反時計回り方向)にずれた形状をなしている。
【0051】
つまり、第1及び第2ステータ側爪状磁極35,37は、それらの先端部の周方向中心Z2,T2が同方向(反時計回り方向)にずれた形状をなしている。また、第1及び第2ステータ側爪状磁極35,37は、それらの中心位置C3,C4(爪状磁極35,37の軸方向中央における周方向中心位置)が周方向等間隔(本実施形態では15度間隔)となるように構成されている。また、第1ステータ側爪状磁極35の傾斜部35bの傾斜角度θ3(軸方向に対する傾斜角度)と、第2ステータ側爪状磁極37の傾斜部37bの傾斜角度θ4(軸方向に対する傾斜角度)とは、互いに等しく設定されている。
【0052】
上記のように構成されたステータユニット30u,30v,30wは、コイル部33にて第1及び第2ステータ側爪状磁極35,37をその時々で互いに異なる磁極に励磁する24極の所謂ランデル型(クローポール型)構造とされている。
【0053】
そして、
図5に示すように、ステータユニット30u,30v,30wは、第1ステータコアベース34と第2ステータコアベース36とが軸方向に交互に配置されるように軸方向に積層され、これにより、ステータ13が構成されている。なお、各相のステータユニット30u,30v,30wは、
図5において上から順に、U相ステータユニット30u、V相ステータユニット30v及びW相ステータユニット30wとしている。
【0054】
また、各相のステータユニット30u,30v,30wは、電気角で60度(機械角で5度)ずつ位相をずらして積層されている。詳述すると、V相ステータユニット30vは、U相ステータユニット30uに対して時計回り方向に電気角で60度位相をずらして配置されている。また、W相ステータユニット30wは、V相ステータユニット30vに対して時計回り方向に電気角で60度位相をずらして配置されている。
【0055】
これにより、径方向から見た場合の各相のロータユニット14u,14v,14wの周方向へのずれが成す軸方向に対する傾斜の方向(
図2参照)と、各相のステータユニット30u,30v,30wの周方向へのずれが成す軸方向に対する傾斜の方向(
図5参照)とが、ロータ12とステータ13との対向面では互いに逆向きとなっている。これにより、第1及び第2ステータ側爪状磁極35,37の磁極の切り替わりに対して各相の第1及び第2ロータ側爪状磁極25,27を好適に追従させることができ、その結果、ロータ12の好適な回転を実現できる。
【0056】
次に、上記のように構成したブラシレスモータ10の作用について説明する。
ステータ13に3相交流電源電圧を印加すると、U相ステータユニット30uのコイル部33にはU相電源電圧が、V相ステータユニット30vのコイル部33にはV相電源電圧が、W相ステータユニット30wのコイル部33にはW相電源電圧がそれぞれ印加される。これによって、ステータ13に回転磁界が発生し、ロータ12が回転駆動される。
【0057】
ここで、
図2に示すロータ12が反時計回りに回転する場合を考える。このとき、
図7及び
図8に示すように、各ロータ側爪状磁極25,27のロータ回転方向前方側に傾斜部25b,27bが位置し、各ステータ側爪状磁極35,37のロータ回転方向後方側に傾斜部35b,37bが位置している。つまり、各ロータ側爪状磁極25,27は、基端部の周方向中心X1,Y1に対して先端部の周方向中心X2,Y2がロータ12の反回転方向にずれた非対称形状をなし、各ステータ側爪状磁極35,37は、基端部の周方向中心Z1,T1に対して先端部の周方向中心Z2,T2がロータ12の回転方向にずれた非対称形状をなす。
【0058】
この構成に対して、ロータ及びステータの各爪状磁極が径方向から見て左右対称形状である従来構成を比較すると、
図9(a)及び(b)に示すように、上記本実施形態は従来構成に対してトルクは120%以上、出力は130%以上に向上されるようになっている。
【0059】
ロータ回転時において、各界磁磁石23によるマグネットトルクは吸引・反発ともに正トルク(回転トルク)として作用するが、リラクタンストルクは吸引が正トルク、反発が負トルクとして作用する。そして、従来構成では、リラクタンストルクの吸引成分と反発成分とが相殺されてしまいリラクタンストルクが回転トルクにほぼ寄与しない。
【0060】
それに対し、本実施形態では、各ロータ側爪状磁極25,27は、先端側がロータ12の反回転方向にずれた非対称形状をなし、各ステータ側爪状磁極35,37は、先端側がロータ12の回転方向にずれた非対称形状をなす。これにより、負トルクとして作用するリラクタンストルクの反発成分が抑制され、その結果、正トルクとして作用するリラクタンストルクの吸引成分が残るため、トルク及び出力が向上させるようになっている。
【0061】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)各ロータ側爪状磁極25,27及び各ステータ側爪状磁極35,37は、先端部の周方向中心が基端部の周方向中心に対して周方向にずれた形状(非対称形状)をなす。これにより、爪状磁極25,27,35,37の形状によってリラクタンストルクを異ならせることができ、その結果、ステータ13への給電が同一であってもモータ性能(トルク及び出力)を異ならせることができる。
【0062】
(2)各ロータ側爪状磁極25,27は、先端側がロータ12の反回転方向にずれた非対称形状をなし、各ステータ側爪状磁極35,37は、先端側がロータ12の回転方向にずれた非対称形状をなす。これにより、負トルクとして作用するリラクタンストルクの反発成分を抑制することができ、その結果、トルク及び出力の向上に寄与できる。
【0063】
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・各爪状磁極25,27,35,37の先端側のシフト方向(ずれ方向)は上記実施形態に限定されるものではない。
【0064】
例えば、
図10に示すように、第1ロータ側爪状磁極25の先端シフト方向と、第2ロータ側爪状磁極27の先端シフト方向とを互いに逆向きとしてもよい。なお、
図10には、第1ロータ側爪状磁極25の先端シフト方向をロータ12の反回転方向とし、第2ロータ側爪状磁極27の先端シフト方向をロータ12の回転方向とした例を示している。これらの構成によれば、各ロータ側爪状磁極25,27の傾斜部25b,27b同士が周方向に対向する構成となる。
【0065】
また、ステータ13側においても同様に、第1ステータ側爪状磁極35の先端シフト方向と、第2ステータ側爪状磁極37の先端シフト方向とを互いに逆向きとして、各ステータ側爪状磁極35,37の傾斜部35b,37b同士を周方向に対向させてもよい。
【0066】
ここで、
図13(a)(b)には、ロータ12側及びステータ13側の爪状磁極25,27,35,37の先端シフト方向が異なる各種パターンにおけるトルク及び出力をそれぞれ示している。
図13(a)(b)では、先端シフト方向がロータ12の反回転方向である構成をパターン「A」とし、先端シフト方向がロータ12の回転方向である構成をパターン「B」とし、先端シフト方向が第1及び第2ロータ側爪状磁極25,27(又は、第1及び第2ステータ側爪状磁極35,37)で逆向きとなる構成(
図10参照)をパターン「C」とし、前記従来構成(左右対称形状)をパターン「D」としている。また、
図13(a)(b)では、ロータ側・ステータ側のパターンが「D・D」である構成(前記従来構成)のトルク又は出力を100%としている。
【0067】
図13(a)に示すように、上記各パターンの組み合わせのうち、ロータ側・ステータ側のパターンが「A・B」である構成(上記実施形態の構成)が最も高トルクであり、そのパターンから順に「D・B」、「A・C」、「D・C」、「C・B」、「A・D」、「C・C」、「B・B」とトルクが低下するが、それらのパターンのトルクは100%より高くなっている。つまり、ロータ側及びステータ側の爪状磁極25,27,35,37をこれらのパターンとすることで、トルクを向上させることができる。
【0068】
また、ロータ側・ステータ側のパターンが「C・D」である構成はトルクが100%以下であり、そのパターンから順に「B・C」、「A・A」、「D・A」、「B・D」、「C・A」、「B・A」とトルクが低下する。つまり、ロータ側及びステータ側の爪状磁極25,27,35,37をこれらのパターンとすることで、低トルクを得ることができるモータを提供できる。
【0069】
ここで、上記実施形態では、
図2に示すロータ12が反時計回りに回転(正回転)する場合には、ロータ側・ステータ側のパターンが「A・B」となるが、ロータ12が時計回りに回転(逆回転)する場合には、ロータ側・ステータ側のパターンが「B・A」となる。これにより、ステータ13への同一給電にてロータ12を正逆回転させる場合に、正回転でのトルクに対して逆回転でのトルクを小さくすることができる。
【0070】
そして、ロータ12の正逆回転によって負荷が異なる2つの動作をそれぞれさせる場合に、正回転によって負荷が大きい方の動作がなされ、逆回転によって負荷が小さい方の動作がなされるように構成することが望ましい。例えば、車両用パワーウインド装置では、ガラスの自重により開動作と閉動作の負荷が異なる。そのため、ロータ12の正回転をガラスの閉動作に、逆回転をガラスの開動作にそれぞれ割り当てれば、ステータ13への給電の大きさを変えることなく、好適なガラスの開閉動作が実現可能となる。
【0071】
図13(b)に示すように、ロータ側・ステータ側のパターンが「A・B」、「D・B」、「A・C」、「D・C」、「C・B」、「A・D」、「C・C」、「B・B」の構成では、出力が100%より高くなっている。つまり、ロータ側及びステータ側の爪状磁極25,27,35,37をこれらのパターンとすることで、出力を向上させることができる。また、ロータ側・ステータ側のパターンが「A・B」である構成(上記実施形態の構成)が最も高出力となる。
【0072】
また、ロータ側・ステータ側のパターンが「C・D」、「B・C」、「A・A」、「D・A」、「B・D」、「C・A」、「B・A」の構成では、出力が100%以下となる。つまり、ロータ側及びステータ側の爪状磁極25,27,35,37をこれらのパターンとすることで、低出力を得ることができるモータを提供できる。
【0073】
また、
図13(a)(b)に示すように、ステータ側のパターンが「B」、即ち、第1及び第2ステータ側爪状磁極35,37の先端シフト方向がロータ12の回転方向である場合には、ロータ側のパターンによらずトルク及び出力を向上させることができる。
【0074】
・上記実施形態では、第1ロータ側爪状磁極25の傾斜部25bの傾斜角度θ1と、第2ロータ側爪状磁極27の傾斜部27bの傾斜角度θ2とを互いに等しく設定したが、これに特に限定されるものではなく、
図11に示すように、傾斜角度θ1と傾斜角度θ2とを互いに異なるように設定してもよい。なお、
図11に示す例では、傾斜角度θ2<傾斜角度θ1としているが、これとは反対に傾斜角度θ1<傾斜角度θ2としてもよい。また、ステータ13側においても同様に、第1ステータ側爪状磁極35の傾斜部35bの傾斜角度θ3と、第2ステータ側爪状磁極37の傾斜部37bの傾斜角度θ4とを互いに異なるように設定してもよい。
【0075】
・上記実施形態では、第1及び第2ロータ側爪状磁極25,27は、それらの中心位置C1,C2が周方向等間隔となるように構成されたが、これに特に限定されるものではなく、
図12に示すように、中心位置C1,C2が周方向不等間隔となるように構成してもよい。また、ステータ13側においても同様に、第1及び第2ステータ側爪状磁極35,37の各中心位置C3,C4が周方向不等間隔となるように構成してもよい。
【0076】
・上記実施形態では、各爪状磁極25,27,35,37における傾斜部25b,27b,35b,37bとは反対側の周方向端部(周方向一端25a,27a,35a,37a)を、回転軸11の軸方向に沿った直線状に形成したが、これに特に限定されるものではなく、回転軸11の軸方向に対して傾斜させてもよい。また、上記実施形態では、各爪状磁極25,27,35,37を径方向視で台形としたが、これ以外に例えば、三角形、半円形、半楕円形や多角形等としてもよい。
【0077】
・各爪状磁極25,27,35,37の個数(磁極数)は、上記実施形態に限定されるものではなく、構成に応じて適宜変更してもよい。
・上記実施形態の第1及び第2ロータコア21,22では、第1及び第2ロータ側爪状磁極25,27の先端が周方向にずれる(シフトする)ように構成されたが、これに限定されるものではなく、延出部24c,26cの径方向先端が周方向にずれるように構成してもよい。
【0078】
例えば、
図14及び
図15(a)(b)に示すように、第1及び第2ロータコアベース24,26の各延出部24c,26cは、それらの径方向先端部(外周側端部)が周方向一方(
図14において時計回り方向)にずれた形状をなしている。
【0079】
第1ロータコアベース24の延出部24cを例にとって説明すると、
図15(a)に示すように、延出部24cは、軸方向から見て径方向外側ほど幅狭となるとともに周方向において非対称な台形形状をなしている。また、延出部24cは、径方向基端部における周方向中心P1に対して径方向先端部の周方向中心P2が周方向一方(時計回り方向)にずれた形状をなしている。つまり、延出部24cの基端及び先端の周方向中心P1,P2を通る直線L1は、回転軸11の軸線と直交しないように構成されている。
【0080】
また、第1ロータコア21は、各延出部24cの径方向先端部(外周側端部)から軸方向一方に突出する第1ロータ側爪状磁極25を一体に有している。
図15(b)に示すように、第1ロータ側爪状磁極25の外周面25c(ステータとの対向面)は、径方向(正面)から見て左右対称の矩形状をなしている。詳述すると、第1ロータ側爪状磁極25の周方向中心線L2(軸方向基端部の周方向中心X1と軸方向先端部の周方向中心X2とを通る直線)は、軸方向に対して平行をなしている。そして、第1ロータ側爪状磁極25は径方向から見て、周方向中心線L2に対して線対称となる形状をなしている。
【0081】
第2ロータコア22は、第1ロータコア21の延出部24c及び第1ロータ側爪状磁極25とそれぞれ同構成の延出部26c及び第2ロータ側爪状磁極27を有している。
なお、
図14に示すロータ12が反時計回りに回転する場合を考えると、延出部24c,26cは、基端部の周方向中心P1に対して先端部の周方向中心P2がロータ12の反回転方向にずれた非対称形状をなす。
【0082】
上記のような構成によっても、第1及び第2ロータコア21,22の延出部24c,26cの形状によってリラクタンストルクを異ならせることができ、その結果、ステータ13への給電が同一であってもモータ性能(トルク及び出力)を異ならせることができる。
【0083】
・また、上記実施形態の第1及び第2ステータコア31,32では、第1及び第2ステータ側爪状磁極35,37の先端が周方向にシフトする(ずれる)ように構成されたが、これに限定されるものではなく、延出部34b,36bの径方向先端が周方向にシフトするように構成してもよい。
【0084】
例えば、
図16及び
図17(a)(b)に示すように、第1及び第2ステータコアベース34,36の各延出部34b,36bは、それらの径方向先端部(内周側端部)が周方向一方(
図16において反時計回り方向)にずれた形状をなしている。
【0085】
第1ステータコアベース34の延出部34bを例にとって説明すると、
図17(a)に示すように、延出部34bは、軸方向から見て径方向内側ほど幅狭となるとともに周方向において非対称な台形形状をなしている。また、延出部34bは、径方向基端部における周方向中心P3に対して径方向先端部の周方向中心P4が周方向一方(反時計回り方向)にずれた形状をなしている。つまり、延出部34bの基端及び先端の周方向中心P3,P4を通る直線L3は、回転軸11の軸線と直交しないように構成されている。
【0086】
また、第1ステータコア31は、各延出部34bの径方向先端部(内周側端部)から軸方向一方に突出する第1ステータ側爪状磁極35を一体に有している。
図17(b)に示すように、第1ステータ側爪状磁極35の内周面35c(ロータとの対向面)は、径方向(正面)から見て左右対称の矩形状をなしている。詳述すると、第1ステータ側爪状磁極35の周方向中心線L4(軸方向基端部の周方向中心Z1と軸方向先端部の周方向中心Z2とを通る直線)は、軸方向に対して平行をなしている。そして、第1ステータ側爪状磁極35は径方向から見て、周方向中心線L4に対して線対称となる形状をなしている。
【0087】
第2ステータコア32は、第1ステータコア31の延出部34b及び第1ステータ側爪状磁極35とそれぞれ同構成の延出部36b及び第2ステータ側爪状磁極37を有している。
【0088】
なお、ロータ12が反時計回りに回転する場合を考えると、延出部34b,36bは、基端部の周方向中心P3に対して先端部の周方向中心P4がロータ12の回転方向にずれた非対称形状をなす。
【0089】
上記のような構成によっても、第1及び第2ステータコア31,32の延出部34b,36bの形状によってリラクタンストルクを異ならせることができ、その結果、ステータ13への給電が同一であってもモータ性能(トルク及び出力)を異ならせることができる。
【0090】
上記した各延出部24c,26c,34b,36bの径方向先端側のシフト方向(ずれ方向)は、
図14〜
図17の例に限定されるものではない。
ここで、
図18(a)(b)には、ロータ12側及びステータ13側の延出部24c,26c,34b,36bの先端シフト方向が異なる各種パターンにおけるトルク及び出力をそれぞれ示している。
図18(a)(b)では、先端シフト方向がロータ12の反回転方向である構成をパターン「L」とし、先端シフト方向がロータ12の回転方向である構成をパターン「R」とし、前記従来構成(左右対称形状)をパターン「N」としている。また、
図18(a)(b)では、ロータ側・ステータ側のパターンが「N・N」である構成(前記従来構成)のトルク又は出力を100%としている。
【0091】
図18(a)に示すように、上記各パターンの組み合わせのうち、ロータ側・ステータ側のパターンが「L・R」である構成(
図14〜
図17の構成)が最も高トルクであり、そのパターンから順に「L・N」、「L・L」、「N・R」とトルクが低下するが、それらのパターンのトルクは100%より高くなっている。つまり、ロータ側及びステータ側の延出部24c,26c,34b,36bをこれらのパターンとすることで、トルクを向上させることができる。
【0092】
また、ロータ側・ステータ側のパターンが「N・L」、「R・R」、「R・L」、「R・N」である構成はトルクが100%以下である。つまり、ロータ側及びステータ側の延出部24c,26c,34b,36bをこれらのパターンとすることで、低トルクを得ることができるモータを提供できる。
【0093】
ここで、
図14及び
図16のロータ12及びステータ13の組み合わせにおいて、ロータ12が反時計回りに回転(正回転)する場合には、ロータ側・ステータ側のパターンが「L・R」となるが、ロータ12が時計回りに回転(逆回転)する場合には、ロータ側・ステータ側のパターンが「R・L」となる。これにより、ステータ13への同一給電にてロータ12を正逆回転させる場合に、正回転でのトルクに対して逆回転でのトルクを小さくすることができる。
【0094】
図18(b)に示すように、ロータ側・ステータ側のパターンが「L・R」、「L・N」、「L・L」の構成では、出力が100%より高くなっている。つまり、ロータ側及びステータ側の延出部24c,26c,34b,36bをこれらのパターンとすることで、出力を向上させることができる。なお、ロータ側・ステータ側のパターンが「L・R」である構成(上記実施形態の構成)が最も高出力となる。
【0095】
また、ロータ側・ステータ側のパターンが「N・R」、「N・L」、「R・R」、「R・L」、「R・N」の構成では、出力が100%以下となる。つまり、ロータ側及びステータ側の延出部24c,26c,34b,36bをこれらのパターンとすることで、低出力を得ることができるモータを提供できる。
【0096】
また、
図18(a)(b)に示すように、ロータ側のパターンが「L」、即ち、第1及び第2ロータコア21,22の延出部24c,26cの先端シフト方向がロータ12の反回転方向である場合には、ステータ側のパターンによらずトルク及び出力を向上させることができる。
【0097】
なお、
図14〜17の例では、第1及び第2ロータコア21,22の延出部24c,26cの先端シフト方向を同方向としたが、これに限定されるものではなく、先端シフト方向が第1ロータコア21の延出部24cと第2ロータコア22の延出部26cとで互いに逆向きとなるように構成してもよい。ステータ13側においても同様に、第1ステータコア31の延出部34bの先端シフト方向と、第2ステータコア32の延出部36bの先端シフト方向とが互いに逆向きとなるように構成してもよい。
【0098】
また、
図14〜17の例では、第1及び第2ロータコア21,22の延出部24c,26cの先端シフト量(直線L1の周方向への傾き)が互いに等しく設定されているが、これに特に限定されるものではなく、先端シフト量が第1ロータコア21側の延出部24cと第2ロータコア22側の延出部26cとで異なるように設定してもよい。また同様に、
図14〜17の例では、第1及び第2ステータコア31,32の延出部34b,36bの先端シフト量(直線L3の周方向への傾き)が互いに等しく設定されているが、これに特に限定されるものではなく、先端シフト量が第1ステータコア31側の延出部34bと第2ステータコア32側の延出部36bとで異なるように設定してもよい。
【0099】
また、
図14〜17の例では、各爪状磁極25,27,35,37を径方向視で矩形状(周方向において対称形状)としたが、これに限定されるものではなく、上記実施形態のような非対称形状としてもよい。
【0100】
・上記実施形態のロータ12では、V相の界磁磁石23の磁化方向がU相及びW相の界磁磁石23の磁化方向に対して反対向きとなるように構成したが、これに特に限定されるものではなく、各相の界磁磁石23の磁化方向が同じ向きとなるように構成してもよい。
【0101】
・上記実施形態では、界磁磁石23をフェライト磁石としたが、これ以外に例えば、ネオジム磁石としてもよい。
・上記実施形態では、ロータ12(ステータ13)を3層のロータユニット14u,14v,14w(ステータユニット30u,30v,30w)にて構成したが、ロータユニット14u,14v,14w(ステータユニット30u,30v,30w)を2層以下又は4層以上で構成してもよい。
【0102】
・上記実施形態では、ステータ13の内側にロータ12が配置されたインナーロータ型のブラシレスモータ10に適用したが、アウターロータ型のモータに適用してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
【0103】
(イ)ロータ側の第1及び第2爪状磁極の周方向端部には、軸方向に対して傾斜する傾斜部がそれぞれ形成され、第1爪状磁極の傾斜部と第2爪状磁極の傾斜部とは、それらの傾斜角度が互いに異なるように設定されていることを特徴とするモータ。
【0104】
(ロ)ステータ側の第1及び第2爪状磁極の周方向端部には、軸方向に対して傾斜する傾斜部がそれぞれ形成され、第1爪状磁極の傾斜部と第2爪状磁極の傾斜部とは、それらの傾斜角度が互いに異なるように設定されていることを特徴とするモータ。
【0105】
(ハ)ロータ側の第1及び第2爪状磁極は、それらの中心位置が周方向不等間隔となるように構成されていることを特徴とするモータ。
(ニ)ステータ側の第1及び第2爪状磁極は、それらの中心位置が周方向不等間隔となるように構成されていることを特徴とするモータ。
【0106】
上記(イ)〜(ニ)に記載のモータによれば、ステータへの給電が同一であってもモータ性能(トルク及び出力)を異ならせることができる。