(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電線搬送装置は、前記各ステーションの配列に沿って配置されたガイド部材と、該ガイド部材上を往復移動するスライドベースと、該スライドベース上に設置された少なくとも2つの電線クランプとを有し、前記電線クランプは、隣接する少なくとも2つのステーションにおいて電線の受け取り及び受け渡しが可能とされている請求項1記載の電線加工品の製造装置。
前記検査装置は、前記電線の加工部を、複数の方向から撮像する複数のカメラを有し、該カメラで撮像された画像に基づいて不良箇所の検出を行い、不良箇所を有しない電線と不良箇所を有する電線とを仕分けして排出するように構成されている請求項1又は2記載の電線加工品の製造装置。
前記電線が、芯線と、該芯線の外周を被覆する絶縁被覆からなる誘電体層と、該誘電体層の外周を被覆する編組線からなるシールド層と、該シールド層の外周を被覆する絶縁被覆からなる保護層とで構成される同軸ケーブルであり、前記電線加工装置が、同軸ケーブルの保護層、シールド層及び誘電体層を、それぞれ長さを変えて剥皮し、シールド層が露出した部分と、誘電体層が露出した部分と、芯線が露出した部分とを形成する装置である請求項1〜3のいずれか1つに記載の電線加工品の製造装置。
前記検査装置での不良箇所の検出は、前記シールド層が露出した部分の太さが所定値以下であるか否か、前記誘電体層が露出した部分の太さが所定以下であるか否か、前記誘電体層が露出した部分の色調又は明度が、誘電体層本来の色調又は明度と異なっているか否か、前記芯線が露出した部分の太さが所定値以下であるか否かを判断することによってなされる請求項4記載の電線加工品の製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1のケーブル加工装置では、所定長さで切断したケーブルをケーブル保持部に、手作業でセットしなければならず、作業性の点で問題があった。また、ケーブルを剥皮した後の検査については、何も記載されていない。
【0008】
したがって、本発明の目的は、電線をリールから引き出して所定の加工を施した後、検査をするという操作を、作業性よく自動的に行えるようにした、電線加工品の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の電線加工品の製造装置は、電線供給リールから電線を引き出して所定長さに切断する電線切断装置と、前記切断された電線に所定の加工を施す電線加工装置と、前記電線の加工部を撮像して加工不良の有無を検出する検査装置と、前記電線切断装置が配置されたステーションと、前記電線加工装置が配置されたステーションと、前記検査装置が配置されたステーションとを順次移動して、それぞれのステーションで電線の受け取り及び/又は受け渡しを行う電線搬送装置とを備えていることを特徴とする。
【0010】
上記発明によれば、電線切断装置により電線を所定長さに切断し、切断された電線に所定の加工を施し、更に加工された電線の加工部を検査して、加工不良の有無を検出する操作を連続的にかつ自動的に行うことができ、生産作業性を向上させることができる。
【0011】
本発明の電線加工品の製造装置においては、前記電線搬送装置は、前記各ステーションの配列に沿って配置されたガイド部材と、該ガイド部材上を往復移動するスライドベースと、該スライドベース上に設置された少なくとも2つの電線クランプとを有し、前記電線クランプは、隣接する少なくとも2つのステーションにおいて電線の受け取り及び受け渡しが可能とされていることが好ましい。
【0012】
これによれば、スライドベースが所定位置に移動すると、隣接する少なくとも2つのステーションに電線クランプが配置される。そこで、各電線クランプは、対応するステーションの装置に対して、電線の受け取り及び/又は受け渡しを行うことができる。
【0013】
スライドベースに2つの電線クランプが装着されている例を挙げて説明すると、2つの電線クランプのうち1つが電線切断装置のステーションに位置し、もう1つが電線加工装置のステーションに位置した状態にスライドベースが停止しているとき、電線切断装置で切断された電線を1つの電線クランプで受け取り、電線加工装置で加工された電線をもう1つの電線クランプで受け取る。
【0014】
そして、スライドベースが移動して、1つの電線クランプが電線加工装置のステーションに位置し、もう1つの電線クランプが検査装置のステーションに位置すると、1つの電線クランプが電線加工装置に切断された電線を受け渡し、もう1つの電線クランプが検査装置に加工された電線を受け渡す。
【0015】
次いで、スライドベースが、電線クランプのうち1つが電線切断装置のステーションに位置し、もう1つが電線加工装置のステーションに位置した状態に戻り、上記動作を繰り返すことにより、電線切断装置で切断された電線を、電線加工装置を経て、検査装置へと順次受け渡すことができる。
【0016】
本発明の電線加工品の製造装置においては、前記検査装置は、前記電線の加工部を、複数の方向から撮像する複数のカメラを有し、該カメラで撮像された画像に基づいて不良箇所の検出を行い、不良箇所を有しない電線と不良箇所を有する電線とを仕分けして排出するように構成されていることが好ましい。
【0017】
これによれば、電線の加工部を複数のカメラによって複数の方向から撮像することにより、不良品の検出精度を高めることができると共に、不良箇所を有しない電線と不良箇所を有する電線とを仕分けして排出することにより、不良品を排除することができる。
【0018】
本発明の電線加工品の製造装置においては、前記電線が、芯線と、該芯線の外周を被覆する絶縁被覆からなる誘電体層と、該誘電体層の外周を被覆する編組線からなるシールド層と、該シールド層の外周を被覆する絶縁被覆からなる保護層とで構成される同軸ケーブルであり、前記電線加工装置が、同軸ケーブルの保護層、シールド層及び誘電体層を、それぞれ長さを変えて剥皮し、シールド層が露出した部分と、誘電体層が露出した部分と、芯線が露出した部分とを形成する装置であることが好ましい。
【0019】
これによれば、同軸ケーブルの保護層、シールド層及び誘電体層を、それぞれ長さを変えて段階的に剥皮することにより、シールド層が露出した部分と、誘電体層が露出した部分と、芯線が露出した部分とを形成することができる。また、そのような加工部を撮像して加工不良の有無を検出することにより、後の端子接続工程等において、芯線とシールド層との短絡などの不良の発生を防止することができる。
【0020】
本発明の電線加工品の製造装置においては、前記検査装置での不良箇所の検出は、前記シールド層が露出した部分の太さが所定値以下であるか否か、前記誘電体層が露出した部分の太さが所定以下であるか否か、前記誘電体層が露出した部分の色調又は明度が、誘電体層本来の色調又は明度と異なっているか否か、前記芯線が露出した部分の太さが所定値以下であるか否かを判断することによってなされることが好ましい。
【0021】
これによれば、シールド層が露出した部分の太さが所定値以下であるか否かを判断することにより、保護層の切り残しを検出することができる。また、誘電体層が露出した部分の太さが所定以下であるか否か、及び誘電体層が露出した部分の色調又は明度が、誘電体層本来の色調又は明度と異なっているか否かを判断することにより、シールド層の切り残しや、編組線の飛び出しを検出することができる。更に、芯線が露出した部分の太さが所定値以下であるか否かを判断することにより、誘電体層の切り残しを検出することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電線切断装置により電線を所定長さに切断し、切断された電線に所定の加工を施し、更に加工された電線の加工部を検査して、加工不良の有無を検出する操作を連続的にかつ自動的に行うことができ、生産作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、
図1〜12を参照して、本発明に係る電線加工品の製造装置の、一実施形態について説明する。
【0025】
図1〜3に示すように、この実施形態における電線加工品の製造装置10(以下、「製造装置10」という)は、電線供給リールから電線を引き出して所定長さに切断する電線切断装置20(以下、「切断装置20」という)と、該切断された電線に所定の加工を施す電線加工装置30(以下、「加工装置30」という)と、電線の加工部を撮像して加工不良の有無を検出する検査装置40とを有している。
【0026】
図1及び
図3に示すように、この実施形態の製造装置10は、テーブル11を有しており、このテーブル11上には、前記切断装置20が配置されたステーションA、前記加工装置30が配置されたステーションB、及び、前記検査装置40が配置されたステーションCが、テーブル11の幅方向に沿って配列されている。なお、これらのステーションA,B,Cが配列された方向を、「ステーションの配列方向F」とする(
図3参照)。
【0027】
そして、この製造装置10は、ステーションA、ステーションB及びステーションCを順次移動して、各ステーションA,B,Cで、電線の受け取り及び/又は受け渡しを行う電線搬送装置を備えている。この実施形態では、ステーションA、B及びCの間で、電線の受け取り及び受け渡しを行う、第1搬送装置60と、ステーションCで、電線の受け取り及び排出を行う、第2搬送装置60Aとを有している。なお、この実施形態では、3つのステーションA,B,Cを有しているが、3つ以上の数のステーションを有していてもよい。
【0028】
また、この実施形態において加工する電線は、同軸ケーブルとなっている。
図8に示すように、同軸ケーブル1は、中心に配置された芯線2と、その外周に被覆された絶縁被覆からなる誘電体層3と、この誘電体層3の外周に被覆された編組線からなるシールド層4と、このシールド層4の外周に被覆された絶縁被覆からなる保護層5とから構成されている。なお、本発明における電線は、同軸ケーブルに限定されるものではなく、また、同軸ケーブル1も上記態様に限定されるものではない。
【0029】
ステーションAに配置される切断装置20は、その上流側に図示しない電線供給リールが配置されている。また、
図1、
図3及び
図4に示すように、切断装置20は、支持台21を有しており、その上部に左右一対の繰り出しローラ22,22が回転可能に支持されている。この繰り出しローラ22,22は、図示しない回転機構により矢印方向(
図4参照)に回転して、電線供給リールから供給される同軸ケーブル1を間欠的に所定タイミングで下流側に繰り出すようになっている。また、繰り出しローラ22,22の前後方向には、一対のガイド筒23,23が配置されていると共に、同繰り出しローラ22よりも上流側には、複数の矯正ローラ24がブラケットや支持台等に回転可能に支持されており、同軸ケーブル1のくせ曲げを矯正するようになっている。
【0030】
また、下流側のガイド筒23の前方には、同軸ケーブル1の繰り出し方向に対して直交する方向に開閉して、同軸ケーブル1を挟持する一対の電線挟持部25,25が配置されている。電線挟持部25の一方には、切断刃26が取付けられており、繰り出しローラ22により繰り出された同軸ケーブル1を所定長さに切断するようになっている。
【0031】
なお、以上説明した切断装置の構造は一例であり、上記態様に限定されるものではない。
【0032】
ステーションBに配置される加工装置30は、この実施形態の場合、同軸ケーブル1の保護層5、シールド層4及び誘電体層3を、それぞれ長さを変えて剥皮し、
図8に示すように、シールド層4が露出した部分と、誘電体層3が露出した部分と、芯線2が露出した部分とを形成する、いわゆる剥皮装置となっている。
【0033】
図1に示すように、この加工装置30は、ケース31を有している。このケース31の内部には、所定方向に回転すると共に、ステーションの配列方向Fに直交する方向に往復移動する、回転筒32が配置されている。
図5に示すように、該回転筒32の前方には、電線ガイド33が配置されており、回転筒32内に電線の一端を挿入する際のガイドとなる。前記回転筒32と前記電線ガイド33の間には、一対の切断刃34,34が配置されている。これら一対の切断刃34,34は、互いに半径方向に対向して、かつ、電線を挟持するように開閉可能とされている。また、前記回転筒32及び電線ガイド33の更に前方には、同軸ケーブル1の軸方向に直交する方向に開閉して、同軸ケーブル1を挟持する一対の電線挟持部35,35が配置されている。
【0034】
そして、電線挟持部35,35により保持された同軸ケーブル1を、一対の切断刃34,34で同軸ケーブル1を挟持して回転筒32が回転すると、それに伴って同軸ケーブル1の外周の所定の層が切断され、その後、回転筒32が軸方向に移動することで、所定の層が剥皮される。この実施形態の場合、上記操作が複数回繰り返されて、保護層5、シールド層4、誘電体層3が、それぞれの長さが変わるように段階的に剥皮されて、
図8に示す同軸ケーブル1が得られるようになっている。なお、この態様に限らず、複数対の切断刃34,34を配置して、複数の層を同時に剥皮するようにしてもよい。
【0035】
なお、上記加工装置30は、同軸ケーブル1を剥皮する剥皮装置であるが、例えば、電線にコネクタや端子を装着したり、ハンダ付けを施したりする加工装置を設置してもよく、特に限定はされない。また、上記剥皮装置と、剥皮された電線にコネクタを装着する装置を設置して、加工装置が配置されるステーションBを2つ以上のステーションで構成してもよい。
【0036】
図1、
図2及び
図6に示すように、ステーションCに配置される検査装置40は、支持フレーム41を有しており、この支持フレーム41に、略三角板状のカメラ取付板43が支持されている。
図6に示すように、カメラ取付板43の中心には、筒状の電線挿入部44が配置されており、ステーションBの加工装置30により加工された電線の加工部が挿入されるようになっている。また、カメラ取付板43の3つの角部には、取付板中心に向けてカメラ45がそれぞれ設置されており、三方向から電線挿入部44に挿入された電線加工部を撮像可能となっている。なお、カメラ45の台数は3台に限定されず、複数であればよい。
【0037】
また、検査装置40には、画像処理装置46が接続されており、複数のカメラ45で撮像された画像に基づいて、電線の不良箇所の検出がなされるようになっている。画像処理装置46は、複数のカメラ45で撮像した画像データを記録する記録装置や演算装置等を備え、また、撮像した電線加工部が表示される表示装置49を有している。この表示装置49は、
図1及び
図2に示すように、前記複数のカメラ45で撮像された画像を、それぞれ表示可能な複数の表示部49aを有している(この実施形態では、3台のカメラ45に対応して3つの表示部49aを有している)。なお、この表示装置49としては、液晶ディスプレイ等を用いたり、或いは、タブレット端末やノートパソコン等の表示部を利用したりしてもよく、特に限定はされない。また、表示装置49には、画像のほかに、測定データ等を表示させてもよい。
【0038】
この実施形態の場合、前記加工装置30により、保護層5、シールド層4及び誘電体層3が剥皮された同軸ケーブル1について、(1)シールド層4が露出した部分の太さが所定値以下であるか否か(
図8の(1)参照)、(2)誘電体層3が露出した部分の太さが所定以下であるか否か(
図8の(2)参照)、(3)誘電体層3が露出した部分の色調又は明度が、電体層本来の色調又は明度と異なっているか否か、(4)芯線2が露出した部分の太さが所定値以下であるか否か(
図8の(4)参照)、によって同軸ケーブル1の不良箇所の検出がなされるようになっている。
【0039】
すなわち、上記(1)〜(4)の判定に必要な基準データ(シールド層4の露出部分の基準太さ、誘電体層3の露出部分の基準太さ、誘電体層本来の色調又は明度、芯線2の露出部分の基準太さ)が、前記画像処理装置46に予め格納されており、これらのデータと、複数のカメラ45で撮像された電線加工部の画像データを解析することによって求められるそれぞれの測定値とが比較され、上記(1)〜(4)の判定基準に基づいて、同軸ケーブル1の加工部の不良箇所の検出がなされるようになっている。
【0040】
なお、この判定は、
図8に示すように、複数のカメラ45で撮像した電線加工部の画像の、それぞれの層4,3の先端側の部分や、芯線2の先端側で行うことが好ましい。
【0041】
そして、上記(1)〜(4)の判断基準により、電線の不良箇所の有無が検出された後、第2搬送装置60Aによって、不良箇所を有しない電線と、不良箇所を有する電線とが仕分けされて排出されるようになっている。この実施形態では、前記カメラ取付板43の電線挿入部44の斜め下方に、湾曲した板状の良品シュート47が設置されており、これに不良箇所を有しない電線が排出される。また、良品シュート47の上方に、同じく湾曲した板状をなし、良品シュート47よりも小型の不良品シュート48が設置されており、これに不良箇所を有する電線が排出されるようになっている。
【0042】
上記のステーションA及びBの間で、電線の受け取り及び受け渡しを行う、第1搬送装置60は、
図1〜3に示すように、ステーションの配列方向Fに沿って配置された、長板状のガイド部材61を有している。このガイド部材61には、その長手方向に沿ってガイド溝61aが形成されており、該ガイド部材61上には、長板状のスライドベース62が、電動アクチュエータやエアシリンダ等の駆動手段により、往復移動可能に配置されている。また、スライドベース62の長手方向両端には、電線クランプ63A,63Bがそれぞれ設置されている。
【0043】
各電線クランプ63A,63Bは、スライドベース62上に固設されたエアシリンダ64を有しており、その伸縮動作するロッド64aの先端にクランプケース65が取付けられている。クランプケース65には、支軸67を介して略L字状のアーム66,66が開閉可能に取付けられている。各アーム66の先端部には、V字状の切欠き66aが形成されており、電線を挟持可能となっている。また、
図7(b)に示すように、一対のアーム66,66は、その基端部が水平方向となるように180°開き可能となっている。
【0044】
そして、この実施形態の場合、
図9〜12に示すように、スライドベース62の往復移動によって、一方の電線クランプ63Aは、ステーションA及びステーションBに交互に整合し、他方の電線クランプ63Bは、ステーションB及びステーションCに交互に整合するようになっている。
【0045】
そして、スライドベース62が、
図9(a)に示す位置にあるとき、一対のアーム66,66が開いた状態で、電線クランプ63AがステーションA,電線クランプ63BがステーションBに整合する位置に配置される。その状態で、
図9(b)に示すように、電線クランプ63A,63Bがエアシリンダ64で押し出されて、一対のアーム66,66が閉じることで、切断装置20で切断された同軸ケーブル1が、電線クランプ63Aに把持され、加工装置30で加工された同軸ケーブル1が、電線クランプ63Bに把持される。
【0046】
次に、
図10(a)に示すように、電線クランプ63A,63Bが元の位置に退避した後、
図10(b)に示すように、スライドベース62がスライドして、電線クランプ63AがステーションBに整合し,電線クランプ63BがステーションCに整合するように移動する。
【0047】
次いで、
図11(a)に示すように、電線クランプ63A,63Bが押し出されて、アーム66,66が開くことで、加工装置30や後述する検査装置40の電線クランプ63Cに、同軸ケーブル1,1をそれぞれ受け渡す。その後、
図11(b)に示すように、電線クランプ63A,63bが元の位置に退避し、
図12(a),(b)に示すように、スライドベース62がスライドして、電線クランプ63AがステーションA,電線クランプ63BがステーションBに整合する元の位置に戻るようになっている。
【0048】
なお、スライドベース62をスライドさせる構造としては、ナット部材及びネジ軸によるいわゆるボールねじ構造や、油圧シリンダ、チェーン駆動等によりスライドさせてもよく、特に限定はされない。
【0049】
一方、第2搬送装置60Aは、
図1、
図6に示すように、良品シュート47及び不良品シュート48の上方に沿って配設されたガイド部材61を有している。ガイド部材61は支持フレーム41に取付けられ、そのカメラ取付板43側の面には、電線クランプ63Cが、図示しないスライドベースを介して、検査装置40と、良品シュート47の上方と、不良品シュート48の上方との間で、移動可能に取付けられている。
【0050】
この電線クランプ63Cは、一対のアーム66,66の先端部を下側に向けて、かつ、第1搬送装置60の電線クランプ63Bがエアシリンダ64で押し出されたときに、同電線クランプ63Bの上方に位置するように配置されている(
図11(a)参照)。
【0051】
そして、この電線クランプ63Cは、常時はステーションCの位置に待機しており、その下方に第1搬送装置60の電線クランプ63Bが移動したときに、一対のアーム66,66が閉じて同軸ケーブル1を把持し(
図11(b)参照)、その後、検査装置40による検査がなされ、その結果が出ると、ガイド部材61に沿って移動し、良品の判定がなされた場合は良品シュート47の上方、不良品の判定がなされた場合は不良品シュート48の上方に配置され、そこで同軸ケーブル1を開放して、該当するシュートに落下させるようになっている(
図12(a),(b)参照)。
【0052】
なお、同軸ケーブル1の不良箇所が検出された場合には、製造装置10全体の動作を停止させてもよい。
【0053】
次に、上記構造をなした製造装置10の作用効果について説明する。
【0054】
まず、初期状態においては、
図9(a)に示すように、第1搬送装置60の電線クランプ63AがステーションA,電線クランプ装置63BがステーションBに整合する位置に配置されている。
【0055】
その状態で図示しない電線供給リールから、複数のガイドローラ24やガイド筒23でガイドされながら、繰り出しローラ22,22により同軸ケーブル1が間欠的に所定タイミングで繰り出されると共に、電線挟持部25,25が閉じて、切断刃26によって、同軸ケーブル1が所定長さに切断される。
【0056】
その後、
図9(b)に示すように、電線クランプ63Aがエアシリンダ64により押し出されて、そのアーム66が閉じることで、同軸ケーブル1を把持し、ステーションAにおいて同軸ケーブル1を受け取る。
【0057】
一方、ステーションBでは、電線加工装置30による電線の加工処理がなされる。この実施形態では、同軸ケーブル1の剥皮処理がなされる。そして、電線クランプ63Bがエアシリンダ64により押出され、加工された同軸ケーブル1を把持して受け取る。
【0058】
次いで、電線クランプ63A,63Bが退避し(
図10(a)参照)、スライドベース62がスライドして、電線クランプ63A,63BがステーションB,Cに移動する(
図10(b)参照)。
【0059】
次に、
図11(a)に示すように、エアシリンダ64で電線クランプ63A,63Bが押し出され、電線クランプ63Aに把持された同軸ケーブル1の一端部が、電線ガイド33を介して加工装置30の回転筒32内に挿入された後、電線挟持部35,35が閉じて同軸ケーブル1を挟持し、電線クランプ63Aのアーム66,66が開いて、ステーションBにおいて、加工装置30に同軸ケーブル1を受け渡す。
【0060】
同軸ケーブル1を受け渡された加工装置30では、その後、前述したように、回転筒32が回転して、同軸ケーブル1の外周の所定の層を切断し、回転筒32を軸方向に移動させて該層を剥皮するという操作を繰り返して、同軸ケーブル1の剥皮処理がなされる(
図5(a)〜(c)参照)。
【0061】
また、電線クランプ63Bに把持された、剥皮された同軸ケーブル1の先端部が、検査装置40の電線挿入部44に挿入されて、その剥皮された部分が複数のカメラ45で撮像される(
図6参照)。その画像データが画像処理装置46に送られて、前述した(1)〜(4)の判定基準に基づいて、同軸ケーブル1の加工部の不良箇所の検出がなされる。
【0062】
そして、検査装置40により、同軸ケーブル1の検査が終了すると、第2搬送装置60Aの電線クランプ63Cのアーム66,66が閉じて、検査済みの同軸ケーブル1を挟持すると共に、電線クランプ63Bのアーム66,66が開いて、ステーションCにおいて、同軸ケーブル1を受け取り及び受け渡しがなされる(
図11(b)参照)。
【0063】
次いで、
図11(b)に示すように、電線クランプ63A,63Bが退避し、第1搬送装置60のスライドベース62がスライドして、電線クランプ63A,63BがステーションA,Bにそれぞれ移動して、
図9(a)に示す初期位置に戻る。
【0064】
また、検査装置40での検査結果に基づいて、電線クランプ63Cが移動して、不良箇所がない同軸ケーブル1は良品シュート47に排出し(
図12(a)参照)、不良箇所がある同軸ケーブル1は不良品シュート48に排出する(
図12(b)参照)。同軸ケーブル1を排出した電線クランプ63Cは、ステーションCの検査装置40の位置に戻る。
【0065】
以後、上記のような動作が繰り返される。その結果、この製造装置10においては、切断装置20により、同軸ケーブル1を所定長さに切断し、電線加工装置30により、切断された同軸ケーブル1の所定層を剥皮する加工を施し、更に検査装置40によって、加工された同軸ケーブル1の加工部を検査して、加工不良の有無を検出する操作を、連続的にかつ自動的に行うことができ、生産作業性を向上させることができる。
【0066】
また、この実施形態における電線搬送装置は、ガイド部材61上を往復移動するスライドベース62の、長手方向両端にそれぞれ電線クランプ63A,63Bが設置されており、ステーションA,B,C間において、同軸ケーブル1の受け取り及び受け渡しを、上述したような態様で順次行うことができる。このとき、1つのスライドベース62によって、2つの電線クランプ63A,63Bを同時にスライドさせることができるので、電線搬送装置を比較的簡単な構造とすることができる。
【0067】
更にこの実施形態においては、同軸ケーブル1の剥皮された加工部分を、複数のカメラ45によって複数の方向から撮像して、不良箇所の検出を行うようになっているので、不良品の検出精度を高めることができる。
【0068】
また、この実施形態においては、電線は同軸ケーブル1であり、ステーションBに配置される加工装置30は剥皮装置であり、同軸ケーブル1の保護層5、シールド層4及び誘電体層3を、それぞれ長さを変えて剥皮するようになっているので、
図8に示すような同軸ケーブル1を得ることができる。更に、同軸ケーブル1の剥皮された加工部を、複数のカメラ45で撮像して加工不良の有無を検出することにより、後の端子接続工程等において、芯線2とシールド層4の短絡などの不良の発生を防止することができる。
【0069】
また、この実施形態の場合、検査装置40での同軸ケーブル1の不良箇所の検出は、(1)シールド層4が露出した部分の太さが所定値以下であるか否か、(2)誘電体層3が露出した部分の太さが所定以下であるか否か、(3)誘電体層3が露出した部分の色調又は明度が、誘電体層本来の色調又は明度と異なっているか否か、(4)芯線2が露出した部分の太さが所定値以下であるか否かによってなされるようになっている。
【0070】
この場合、上記(1)の、シールド層4が露出した部分の太さが所定値以下であるか否かを判断することにより、保護層5の切り残しを検出することができる。また、上記(2)の、誘電体層3が露出した部分の太さが所定以下であるか否か、及び、上記(3)誘電体層3が露出した部分の色調又は明度が、誘電体層本来の色調又は明度と異なっているか否かを判断することにより、シールド層4の切り残しや、編組線の飛び出しを検出することができる。更に、上記(4)の、芯線2が露出した部分の太さが所定値以下であるか否かを判断することにより、誘電体層3の切り残しを検出することができる。