特許第6227410号(P6227410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6227410磨かれたステンレス鋼様仕上げを有するテクスチャのある炭素鋼を製造するプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227410
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】磨かれたステンレス鋼様仕上げを有するテクスチャのある炭素鋼を製造するプロセス
(51)【国際特許分類】
   C25D 5/48 20060101AFI20171030BHJP
   B21B 1/22 20060101ALI20171030BHJP
   C25D 5/26 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   C25D5/48
   B21B1/22 L
   C25D5/26 C
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-527165(P2013-527165)
(86)(22)【出願日】2011年8月29日
(65)【公表番号】特表2013-536901(P2013-536901A)
(43)【公表日】2013年9月26日
(86)【国際出願番号】US2011049567
(87)【国際公開番号】WO2012030726
(87)【国際公開日】20120308
【審査請求日】2013年4月8日
【審判番号】不服2015-15495(P2015-15495/J1)
【審判請求日】2015年8月20日
(31)【優先権主張番号】61/378,194
(32)【優先日】2010年8月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511117048
【氏名又は名称】エイケイ・スチール・プロパティーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AK Steel Properties, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーズ・フレデリック・アラン
【合議体】
【審判長】 鈴木 正紀
【審判官】 長谷山 健
【審判官】 土屋 知久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−346363(JP,A)
【文献】 特開昭58−193389(JP,A)
【文献】 特開平2−185959(JP,A)
【文献】 特開平7−150326(JP,A)
【文献】 特表2010−509495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 5/00, C23C 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磨かれたステンレス鋼様仕上げを有するテクスチャのある炭素鋼を製造するプロセスにおいて、
前記プロセスは、
亜鉛めっきコーティングを前記炭素鋼に施す工程と、
前記亜鉛めっきコーティングを、前記炭素鋼上で圧縮して、この圧縮により、前記亜鉛めっきコーティング上に前記磨かれたステンレス鋼様仕上げを有するテクスチャを付ける工程と、を含み、
前記テクスチャは、0.127μm〜1.524μm(5〜60マイクロインチ)の表面粗さを有し、一方向の平行な粒子または線からなるテクスチャであり、
前記圧縮は、2224110.81N〜4893043.78N(500,000〜1100,000ポンド)の力で、ステンレス鋼に適用するのに使用される梨地ロールを用いるテンパーミルによりもたらされ、
前記亜鉛めっきコーティングは、20〜90g/mのコーティング重量を有する、プロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスにおいて、
前記亜鉛めっきコーティングは、電気亜鉛めっきされている、プロセス。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプロセスにおいて、
前記鋼は、ポリエステル、エポキシ、アクリル、およびポリウレタンから選択される有機コーティングをさらに含む、プロセス。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロセスにおいて、
前記鋼は、有機コーティングをさらに含み、
前記有機コーティングは、0.00254mm〜0.0254mm(0.1ミル〜1.0ミル)の厚さを有する、プロセス。
【請求項5】
請求項3または4に記載のプロセスにおいて、
前記有機コーティングされた鋼は、F〜5Hの鉛筆硬度範囲を有する、プロセス。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載のテクスチャのある炭素鋼において、
有機コーティングされた前記テクスチャのある炭素鋼の表面は、0.127μm〜1.016μm(5〜40マイクロインチ)の表面粗さ、10〜85の60°光沢、および0.03〜0.07の摩擦係数を有する、プロセス。
【請求項7】
磨かれたステンレス鋼様仕上げを有するテクスチャのある炭素鋼を製造するプロセスにおいて、
前記プロセスは、
亜鉛めっきコーティングを前記炭素鋼に施す工程と、
炭素鋼上の亜鉛めっきコーティングを圧縮する工程を含み、
前記圧縮により、前記亜鉛めっきコーティング上に前記磨かれたステンレス鋼様仕上げを有するテクスチャが作られ、
前記圧縮は、2224110.81N〜4893043.78N(500,000〜1100,000ポンド)の力で、ステンレス鋼に適用するのに使用される梨地ロールを用いるテンパーミルによりもたらされ、
前記亜鉛めっきコーティングは、20〜90g/mのコーティング重量を有し、
前記磨かれたステンレス鋼様仕上げを有するテクスチャは、一方向の平行な粒子または線からなるテクスチャである、プロセス。
【請求項8】
請求項7に記載のプロセスにおいて、
有機コーティングを前記亜鉛めっきコーティング上にコートする工程をさらに含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2010年8月30日出願の、同じ名称の仮特許出願第61/378,194号の利益を主張するものであり、この仮特許出願の開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔背景〕
磨かれたステンレス鋼は、炭素鋼に比べ高価である。台所用品など、作製済みのステンレス鋼構成要素において指紋および汚れを除去することも困難となり得る。これらの理由から、塗装炭素鋼、および磨かれるか、またはブラシ掛けされた溶融亜鉛めっき(HDG)もしくは電気亜鉛めっき(EG)炭素鋼を含む、低コストのいくつかの「人造ステンレス鋼」代替品が開発されてきた。しかしながら、塗装製品には、磨かれたステンレス鋼のテクスチャがない。磨かれた/ブラシ掛けされたHDG/EG製品のテクスチャは、磨かれたステンレス鋼に、より似ている。しかしながら、テクスチャのある表面を作るのに使用される研磨処理により亜鉛めっきコーティングの一部または全部が除去されてしまうので、それらは、製造するのがいっそう難しい。このことは、外観の均一性、および材料の耐腐食性に影響を及ぼし得る。
【0003】
〔概要〕
一実施形態では、「人造ステンレス鋼」は、「磨かれた」タイプの表面を確立するため、梨地ロール(textured rolls)を用いて、テンパーミルによって亜鉛めっき炭素鋼を処理することにより、製造され得る。この場合、亜鉛めっきコーティングは、磨耗により除去されることはないが、圧縮されるので、従来の磨きまたはブラシ掛けよりも均一な基材がもたらされる。結果として得られる細片は、次に、透明な有機膜でコートされて、指紋防止抵抗(anti-fingerprint resistance)を含む、さらなる外観および腐食の利点を提供することができる。
【0004】
一態様では、テクスチャのある炭素鋼は、亜鉛めっきコーティングを備えた炭素鋼を含み、この亜鉛めっきコーティングは、圧縮され、テクスチャを付けられる(textured)。一実施形態では、テクスチャのある炭素鋼は、有機コーティングを有する。
【0005】
一態様では、テクスチャのある炭素鋼を作るプロセスは、炭素鋼上で亜鉛めっきコーティングを圧縮する工程を含み、この圧縮により、亜鉛めっきコーティング上にテクスチャが作り出される。一実施形態では、このプロセスは、亜鉛めっきコーティング上に有機コーティングをコートする工程を更に含む。
【0006】
これらの目的および利点、ならびに他の目的および利点は、添付図面およびその説明から明らかになるであろう。
【0007】
本明細書の一部に組み込まれ、また本明細書の一部を構成する添付図面は、実施形態を例示しており、前記の概説、および以下に記載する実施形態の詳細な説明と共に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0008】
〔詳細な説明〕
炭素鋼系の材料は、典型的には、加工可能性、成形性、耐腐食性、および他の所望の性能特性を改善する金属添加物(alloy additions)を備えた、鉄および炭素の合金である。表面の、鉄分豊富な性質により、これらの材料は、大気中水分、化学薬品等にさらされることによる腐食を受けやすい。多くの場合、炭素鋼は、亜鉛またはアルミニウムなど他の金属でコートされて、耐食性能を改善する。亜鉛めっき鋼は、自動車の本体パネル、電化製品、および建造物に広く使用される。金属でコートされた炭素鋼は、典型的には、従来の鉄ベースの「赤さび」腐食生成物を形成しない。これらのコートされた製品の表面上に形成された酸化物は、亜鉛めっき鋼の場合における「白さび(white rust)」から、アルミニウムが豊富な表面上の見えにくい酸化アルミニウムまでさまざまである。多くの場合、金属でコートされた鋼は、有機コーティングで覆われて、さらなる腐食保護、ならびに外観特性を与える。
【0009】
ステンレス鋼は、鉄、炭素、および炭素鋼に関連する他の合金成分に加え、クロム、ニッケル、またはその両方を含有する。これらの要素の存在により、耐腐食性の改善ならびに外観の利点がもたらされる。大部分のステンレス鋼は、塗装されないが、材料に所望のテクスチャを与える、磨かれた表面で処理される。業務用厨房、浴室の備品、自動車装備品、および建築パネル(construction panels)などの適用に加え、磨かれたステンレス鋼は、家庭用電化製品の適用において、ますます一般的になってきている。ステンレス鋼の欠点のうちの1つは、クロムおよびニッケルの存在、ならびに加工の違い(processing differences)により、コストが炭素鋼のコストを2倍以上も上回り得ることである。ステンレス鋼はまた、除去するのが困難となり得る指紋および他の表面的な汚れ(cosmetic stains)の影響も受けやすい。したがって、ステンレス鋼と外観が同様で、指紋等の影響を受けにくい表面を提供する、コストの低い炭素鋼ベースの製品を利用することが希望されている。よって、「人造ステンレス(faux stainless)」型の炭素鋼ベースの製品がいくつか、このようなニーズを満たすために導入されてきた。
【0010】
一実施形態では、電気亜鉛めっき炭素鋼細片が、商業用「ロールオン(rolled on)」仕上げをステンレス鋼に適用するのに使用される、同じテクスチャ付き作業ロールを使用して、テンパーミルを通り抜ける(図4)。前述の研磨プロセスとの1つの大きな違いは、ミルロールにより加えられる力により、テクスチャ付け作業中に、亜鉛コーティングが侵食される代わりに圧縮されることである。したがって、加工中に除去される亜鉛コーティングの量は、最小である。テンパーミルの代替品として、基材にテクスチャを与えるテクスチャ付き作業ロールを備えた、鋼加工用ロールミルを使用することができる。ミルロールによって関連付けられる圧力は、表面の一部を除去するベルト研磨またはブラシ掛けに関連する研磨作業とは反対に、基材の表面を圧縮する。テンパーミルの圧延力は、EGコーティングを損傷せずに、作業ロールからの適切なテクスチャ移動を確実にするため、2224110.81N〜4893043.78N(500,000〜1100,000重量ポンド)の範囲、または、2668932.97N〜4003399.45N(600,000〜900,000重量ポンド)の範囲であってよい。
【0011】
テクスチャは、約0.127μm〜約1.524μm(約5〜約60マイクロインチ)、または約0.508μm〜約1.016μm(約20〜約40マイクロインチ)の表面粗さを有することができる。テクスチャは主に、一方向の平行な粒子または線であってよい。表面の光沢は、Byk Mirror Tri Gloss器具により60°で測定されてよく、これは、100以上、または200以上であってよい。この光沢測定は、テクスチャの付いた炭素鋼上の有機コーティングなしである。
【0012】
テンパーミルによりステンレス鋼の表面に加えられる高い力、およびテクスチャが付けられる表面が、0.0127mm(0.5ミル(0.0005インチ))未満の厚さの金属コーティングであったという事実に起因して、問題のうちの1つは、より柔らかな亜鉛表面では、作業ロールに対してステンレス鋼と同様には反応しないということであった。さらに、大半のステンレス鋼は、多くの場合で処理中に潤滑流体を表面に送り込む炭素鋼の焼き戻しに比べ、潤滑流体を使用せずに「乾燥」テンパーミルを通過する。したがって、これらの問題は、亜鉛の摩損、亀裂、または剥離に起因して作業ロールへの蓄積(build-up)を引き起こし、これにより、表面の外観に歪みおよび不整合部(inconsistencies)を結果として生じることが予測され得る。現在の処理では、テンパーミルによりEG表面に加えられる圧力は、作業ロールパターンの適切な移動を確実にするように制御されるが、亜鉛コーティングを劣化させるのに十分ではない。
【0013】
亜鉛めっきコーティングは、炭素鋼を電気亜鉛めっきするにより作られることができる。このコーティングは、炭素鋼細片を溶融めっきすることにより施されることもできる。この処理の圧縮性質により、30G/30G(各面30g/m)などの、比較的軽い亜鉛コーティング重量を使用することができる。コーティング重量は、約20〜約90g/mであってよく、または、約30〜約60g/mであってもよい。軽いコーティング重量は、研磨技術を用いて処理するのが困難である。これは、比較的薄いコーティングの完全性が、より損なわれやすいためである。この処理により作製された、テクスチャのある炭素鋼の顕微鏡写真は、EGコーティングのほとんどが保持されたことを示している(図5)。
【0014】
この処置により、磨かれたステンレス鋼で見られるパターンに類似のテクスチャが、柔らかな亜鉛表面に与えられる。処理条件は、ステンレス鋼にロールオン仕上げを与えるのに使用されるものと同様である。いったんテクスチャ操作が完了したら、コイルは、次に外観、腐食、および指紋防止の保護を提供するポリマーフィルムでコートされる。このフィルムはまた、銀イオン/ゼオライトベースのAGION(登録商標)などの抗菌添加物を含有してもよい。
【0015】
一実施形態では、テクスチャのある炭素鋼は、有機コーティングでコートされ、この有機コーティングは、最終的な適用により変化し得る、さらなる腐食の保護および外観特性をもたらす。このコーティングは、透明なポリエステルフィルムであってよいが、エポキシ、アクリル、ポリウレタンを使用してもよい。コーティングの厚さは、0.0127mm(0.5ミル(0.0005インチ))であってよいが、約0.00254mm〜約0.0254mm(約0.1ミル〜約1.0ミル)、または約0.00508mm〜約0.01524mm(約0.2ミル〜0.6ミル)とさまざまであってよい。コーティングの光沢は、所望のレベルの反射性および指紋耐性を提供するように調節され得る。Byk Mirror Tri Gloss器具により測定される典型的な60°の光沢範囲は10〜85であり、反射性の少ない低いレベル(less reflective lower levels)では指紋防止性能を促進し、より高い範囲では「光沢がある(shiny)」かまたは反射性の外観をもたらす。この光沢は、指紋耐性については20〜40の範囲であってよく、または、最大反射性については65〜85の範囲であってよい。一実施形態では、コーティングは、色または特定の色合いを基材に与えるために、半透明または不透明であってよい。銀を基にした抗菌剤またはポリマーワックスなどの添加物は、抗菌性の保護などのさらなる利益を与えるため、または、成形性を改善するために、コーティング処方に含まれてよい。コーティングの鉛筆硬度は、F〜5Hの範囲、またはH〜3Hの範囲を有してよい。
【0016】
結果として得られる、有機コートされたテクスチャ付きの金属コーティング炭素鋼は、従来の金属形成または成形設備を使用して処理され、また、外観重要表面(appearance critical surface)の剥離、チッピング、または他の損傷なしで、屈曲、引き抜き(drawing)、引き伸ばし動作を受けることができる。テクスチャ付け後、かつコーティング前における炭素鋼への表面処理は、表面への有機フィルムの接着を改善するのに使用され得る。表面処理の例には、金属基材に対する有機コーティングの接着を促進するのに使用される、リン酸亜鉛もしくはリン酸鉄(zinc or iron phosphates)、クロム酸塩(chromates)または水ベースのエポキシが含まれる。一部の適用では、透明なタイプの水ベースのエポキシの使用が好ましい。
【0017】
一実施形態では、有機コートされたテクスチャのある炭素鋼は、0.127μm〜1.016μm(5〜40マイクロインチ)、または0.381μm〜0.762μm(15〜30マイクロインチ)の範囲の表面粗さを有する。60°光沢は、10〜85、または15〜80の範囲であってよい。Draw Bead Simulator試験で測定した摩擦係数は、0.03〜0.07の範囲、または0.4〜0.06の範囲であってよい。有機コーティングの厚さは、0.00254mm〜約0.0254mm(0.1〜約1.0ミル)の厚さ、または約0.00508mm〜約0.01524mm(約0.2〜約0.6ミル)であってよい。鉛筆硬度は、F〜5H、またはH〜3Hの範囲であってよい。
【0018】
実施例1
電気亜鉛めっきした炭素鋼細片が、ステンレス鋼を磨くのに使用される製造ライン上で処理されることができる。表面テクスチャは、研磨ベルトとの接触により作り出される。テクスチャ付けは、典型的には、1つの表面に制限される。細片の速度、ベルトの速度、加える圧力、研磨剤(abrasive)の性質およびグリットサイズ(grit size)、ならびに処理される材料の硬度すべてが、磨かれた製品の外観に影響を与える。ステンレス鋼の表面と比べて電気亜鉛めっき鋼の亜鉛表面のより柔らかな性質により、亜鉛コーティングが磨き中に完全に除去されないことを確実にするために、調節が必要とされる。このように処理されるコイルからのサンプルは、亜鉛コーティングの完全性についてチェックされ、コーティング重量の観点から、亜鉛の約50%が処理後に残っていることが分かった。しかしながら、処理された材料の断面は、亜鉛コーティングがほとんど完全に除去された隔離エリアがあったことを示した(図1)。この磨かれた炭素鋼は、その後、透明なポリマーフィルムでコートされて、さらなるバリア型の腐食および指紋防止の保護をもたらした。コーティングは、様々なレベルの光沢および反射性をもたらすように、処方され得る。しかしながら、亜鉛除去量を制御する能力、したがって、研磨ベースの処理を使用した外観および性能の一貫性に関する問題があった。
【0019】
このように処理されたパネルは、有機コーティングの前に周囲室内条件にさらされると「赤さび」の小さな隔離エリアを作り出し、鋼基材を保護するのには残存する亜鉛が不十分であったことを示した。図2に示すように、有機コートされたパネルも、サイクル腐食試験後、小さな腐食に関する表面欠陥部(small corrosion related surface imperfections)を作り出した。試験条件は、実施例3で論じるものと同じである。これは、材料の適用を、最小の腐食または表面外観要件を必要とするものに制限する。
【0020】
実施例2
2回目のトライアルが、電気亜鉛めっきされた炭素鋼細片を用いて行われ、このトライアルでは、表面は、研磨ベルトの代わりに、研磨ブラシタイプのロール(abrasive brush type roll)に連続的にさらされた。この処置は、亜鉛除去に関しては、積極性が低い傾向があった。しかしながら、この処置は、典型的には磨かれたステンレス鋼に関連する所望のテクスチャから逸脱した外観を結果として生じた(図3)。相対的なロールおよび細片の速度、ロール圧力、およびロールのグリットおよびテクスチャなどの処理条件を変えることにより、より望ましい外観を作り出すことが可能である。しかしながら、他の研磨ベースの処理と同様、亜鉛除去量を制御するのは困難であろうという、同じ問題がある。したがって、外観の均一性および耐食性能は、維持するのが困難となり得る。処理後の材料の目視検査では、作り出され図3に示す表面テクスチャは、磨かれたステンレス鋼とは十分に異なり、材料の使用が、装飾的な羽目(decorative building panels)など特定の適用に制限されることを示した。したがって、研磨ブラシタイプのロールの使用は、より高容量の家庭用品型の適用で使用するのには適していない。
【0021】
実施例3
テンパーミルを使用して処理され、その後透明ポリマーフィルムでコートされた、電気亜鉛めっき炭素鋼コイルからのサンプルに対して、性能評価試験が行われた。除去された亜鉛めっきコーティングの量は、最小であった。このサンプルは、腐食および成形性試験を受けた。腐食の結果は、図6に示してある。
【0022】
湿潤/乾燥サイクル腐食試験は、ロールオンテクスチャ仕上げおよび有機コーティングを備えた電気亜鉛めっき鋼が、磨かれた430ステンレス鋼に比べ、表面孔食が少なかったことを示している。有機コーティングなしで試験されたサンプルもくぼみはなかったが、亜鉛めっき鋼に特有の白さび領域を呈していた。10.16×15.24cm(4×6インチ)のサンプルのエッジが、カットエッジ効果(cut edge effects)をなくすためにテープを貼られ(taped)、サンプルは、5%の食塩水に15分間浸された。サンプルは、次に、90分間空気乾燥され、60℃の湿度キャビネット(humidity cabinet)内に約72時間入れられた。サイクルの浸漬/乾燥部分は、湿度キャビネット内に置かれたサンプルに対して、除去の前にさらに約24時間にわたり反復された。サンプルは、表面上に見られる腐食の程度およびタイプを比較するため、視覚的に評価された。
【0023】
実施例4
透明な有機コーティングを備える、テクスチャ付き電気亜鉛めっき炭素鋼のサンプルは、典型的な金属形成作業を用いて、うまく屈曲され、引き抜き加工され、また引き伸ばされることができる(図7)。これらの作業中には、表面の剥がれ、亀裂または、ひび割れはない。材料は、材料の形成性を高める低摩擦係数の有機コーティングの固有の利点を有する。多くの場合、追加の湿潤型引き抜き油(wet type drawing lubricants)または接着性プラスチックフィルムの使用は、必要でない。
【0024】
Hille Wallace Universal Cup Testing機器を使用して、約3.175cm(約1.25インチ)深さの正方形のカップを形成した。使用した工具は、3.493cm(1.375インチ)のパンチ、および31/64半径の3.767cm(1.483インチ)のダイであった。Model 866 MTS Forming Pressを使用して、約2.223cm(約0.875インチ)深さの「上部が平らな(flat top)」Marciniakドームを形成した。工具には、直径9.843cm(3.875インチ)のパンチ、および10.16cm(4.0インチ)のダイが含まれた。Diacro Finger BrakeおよびWabash Hydraulic Pressを使用して、屈曲したサンプルが形成された。サンプルはすべて、追加の油ベース形成用潤滑油またはプラスチック保護フィルムを適用することなく、処理したまま形成された(ロールオン仕上げ+透明な有機コートを備える、炭素鋼基材+EGコーティング)。
【0025】
本開示は、いくつかの実施形態の説明により例示され、例示的な実施形態を非常に詳細に説明したが、特許請求の範囲をこのような詳細に制限したり、何らかの形で限定したりすることは、出願人の意図するところではない。さらなる利点および改変は、当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0026】
〔実施の態様〕
(1) テクスチャのある炭素鋼において、
亜鉛めっきコーティングを備えた炭素鋼を含み、
前記亜鉛めっきコーティングは、圧縮され、テクスチャが付けられ、
前記テクスチャは、約0.127μm〜約1.524μm(約5〜約60マイクロインチ)の表面粗さを有する、炭素鋼。
) 実施態様1記載のテクスチャのある炭素鋼において、
前記亜鉛めっきコーティングは、電気亜鉛めっきされている、炭素鋼。
) 実施態様1〜のいずれかに記載のテクスチャのある炭素鋼において、
前記亜鉛めっきコーティングは、約20〜約90g/m2のコーティング重量を有する、炭素鋼。
) 実施態様1〜のいずれかに記載のテクスチャのある炭素鋼において、
前記鋼は、ポリエステル、エポキシ、アクリル、およびポリウレタンから選択される有機コーティングをさらに含む、炭素鋼。
【0027】
) 実施態様1〜のいずれかに記載のテクスチャのある炭素鋼において、
前記鋼は、有機コーティングをさらに含み、
前記有機コーティングは、0.00254mm〜約0.0254mm(0.1ミル〜約1.0ミル)の厚さを有する、炭素鋼。
) 実施態様またはに記載のテクスチャのある炭素鋼において、
前記有機コーティングされた鋼は、F〜5Hの鉛筆硬度範囲を有する、炭素鋼。
) 実施態様のいずれかに記載のテクスチャのある炭素鋼において、
有機コーティングされた前記テクスチャのある炭素鋼の表面は、0.127μm〜1.016μm(5〜40マイクロインチ)の表面粗さ、10〜85の60°光沢、および0.03〜0.07の摩擦係数を有する、炭素鋼。
) テクスチャのある炭素鋼を製造するプロセスにおいて、
炭素鋼上の亜鉛めっきコーティングを圧縮する工程を含み、
前記圧縮により、前記亜鉛めっきコーティング上にテクスチャが作られる、プロセス。
) 実施態様に記載のプロセスにおいて、
有機コーティングを前記亜鉛めっきコーティング上にコートする工程をさらに含む、プロセス。
【0028】
(1) 実施態様またはに記載のプロセスにおいて、
圧縮は、2224110.81N〜4893043.78N(500,000〜1100,000ポンド)の力でテンパーミルによりもたらされる、プロセス。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1a】磨かれたEG炭素鋼の断面の走査型電子顕微鏡の顕微鏡写真を示し、上面はテクスチャがない。
図1b】磨かれたEG炭素鋼の断面の走査型電子顕微鏡の顕微鏡写真を示し、底面にテクスチャがあり、EGコーティングの大部分は除去されている。
図2】磨かれたEG炭素鋼およびテンパーミルでテクスチャを付けたEG炭素鋼に対するサイクル腐食試験(cyclic corrosion testing)の結果を示す。
図3a】従来的に磨かれたステンレス鋼の光学顕微鏡画像を示す。
図3b】ブラシ掛けされたEG炭素鋼の光学顕微鏡画像を示す。
図4】テクスチャ付けプロセスの実施形態の概略図である。
図5】テンパーミルでテクスチャを付けた後のEGコートされた炭素鋼シートの断面の走査型電子顕微鏡の顕微鏡写真を示す。
図6】ステンレス鋼、テクスチャを付けたEG炭素鋼、および有機コーティングを備える、テクスチャを付けたEG炭素鋼のサイクル腐食試験の結果を示す。
図7】有機コーティングを備える、テンパーミルでテクスチャを付けたEG炭素鋼に対する形成試験(forming test)の結果を示す。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7