特許第6227429号(P6227429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227429
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】牽引リヤカー
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20171030BHJP
   B62B 1/12 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   B62B5/00 F
   B62B5/00 C
   B62B1/12
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-16088(P2014-16088)
(22)【出願日】2014年1月30日
(65)【公開番号】特開2015-140169(P2015-140169A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】391028100
【氏名又は名称】株式会社内山商会
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】内山 隆
【審査官】 梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−058180(JP,A)
【文献】 特開2013−067226(JP,A)
【文献】 実開昭52−105753(JP,U)
【文献】 実開昭52−040447(JP,U)
【文献】 特開2008−143458(JP,A)
【文献】 特開平08−040275(JP,A)
【文献】 特開平09−277932(JP,A)
【文献】 特開2014−058174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/00
B62B 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を積載可能な車体及び該車体の左右外側に回転自在に配設された車輪を有するリヤカー本体と、該リヤカー本体の車体前端部と牽引車の荷台部分とを連結しその上面に荷物を積載可能な平坦な積載面を有する連結荷台と、を備え、
前記連結荷台は、その後端部に下方に延設され前記積載面に対し折り畳み可能な支柱部を有して該支柱部の下端が前記リヤカー本体の車体前端部に着脱可能に連結されると共に、その前端部が前記牽引車の荷台部分に着脱可能及び回転自在に連結されることを特徴とする牽引リヤカー。
【請求項2】
前記支柱部は、前記リヤカー本体の車体前端部に第1の操作レバーの操作により着脱可能に連結されると共に、前記積載面に対して第2の操作レバーの操作により折り畳み可能であることを特徴とする請求項1に記載の牽引リヤカー。
【請求項3】
前記連結荷台は、その前端部に設けた自在継ぎ手を介して前記牽引車の荷台部分に水平方向及び垂直方向に所定角度回転自在に連結されることを特徴とする請求項1または2に記載の牽引リヤカー。
【請求項4】
前記連結荷台は、その前端側の左右角部に幅狭部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の牽引リヤカー。
【請求項5】
前記リヤカー本体は、折り畳み可能であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の牽引リヤカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本来人力で牽引するように構成されたリヤカーを、自転車や自動二輪車等の牽引車でも牽引できるようにした牽引リヤカーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の牽引リヤカーは、例えば特許文献1に開示されている。この牽引リヤカーは、自転車の荷台に取り付けられサドル部材やソケットを有するソケット部材と、リヤカーの牽引フレームの先端部に取り付けられロックエンド部材や回転ロッド及びプラグを有するプラグ部材とで構成されている。そして、プラグ部材のプラグをソケット部材のソケットに差し込むことにより、プラグのプランジャがソケットのプランジャ受け部に食い込んで、ソケット部材とプラグ部材、すなわちリヤカーと自転車の荷台が連結されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−67226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような牽引リヤカーにあっては、各種荷物をリヤカーの荷台に積載して運搬できるものの、自転車の荷台上にリヤカーの牽引フレームが位置した状態となるため、自転車の荷台上に荷物を積載することが困難で、牽引リヤカー自体に積載できる荷物の積載効率が劣る。また、積載できる荷物の量を多くしたい場合には、リヤカーの積載面を大きくする必要があり、牽引リヤカー自体が大型化し易く、結果として、例えば都会等の駐車スペースの小さい場所での使用や保管(駐車)が困難となる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、牽引車の荷台上にも荷物を積載することができて、荷物の積載効率を高め得ると共に、リヤカー自体の小型化が可能で駐車スペースの小さい場所での使用や保管が容易な牽引リヤカーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、荷物を積載可能な車体及び該車体の左右外側に回転自在に配設された車輪を有するリヤカー本体と、該リヤカー本体の車体前端部と牽引車の荷台部分とを連結しその上面に荷物を積載可能な平坦な積載面を有する連結荷台と、を備え、前記連結荷台は、その後端部に下方に延設され前記積載面に対し折り畳み可能な支柱部を有して該支柱部の下端が前記リヤカー本体の車体前端部に着脱可能に連結されると共に、その前端部が前記牽引車の荷台部分に着脱可能及び回転自在に連結されることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記支柱部が、前記リヤカー本体の車体前端部に第1の操作レバーの操作により着脱可能に連結されると共に、前記積載面に対して第2の操作レバーの操作により折り畳み可能であることを特徴とする
【0008】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記連結荷台が、その前端部に設けた自在継ぎ手を介して前記牽引車の荷台部分に水平方向及び垂直方向に所定角度回転自在に連結されていることを特徴とする。また、請求項4に記載の発明は、前記連結荷台が、その前端側の左右角部に幅狭部が設けられていることを特徴とする。また、請求項5に記載の発明は、前記リヤカー本体が、折り畳み可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、連結荷台の後端部がリヤカー本体の車体前端部に連結され、連結荷台の前端部が牽引車の荷台部分に着脱可能及び回転自在に連結されると共に、連結荷台の上面に荷物を積載可能な平坦な積載面を有するため、牽引車の荷台上に配置される連結荷台の平坦な積載面にも荷物を積載することができて、荷物の積載効率を高めることができると共に、リヤカー本体の小型化が可能で駐車スペースの小さい場所での使用や保管(駐車)が容易な牽引リヤカーを得ることができる。
【0010】
また、連結荷台の積載面の後端部に下方に延設された支柱部を有し、この支柱部の下端がリヤカー本体の車体前端部に着脱可能に連結されると共に、支柱部が積載面に対して折り畳み可能に構成されているため、連結荷台をリヤカー本体や牽引車から簡単に取り外しできると共に、連結荷台を折り畳むことでその外形を小形として、牽引リヤカーの保管時のスペースを一層小さくすることができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、支柱部がリヤカー本体の車体前端部に第1の操作レバーの操作により着脱可能に連結されると共に、積載面に対して第2の操作レバーの操作により支柱部が折り畳み可能であるため、使用時の支柱部と積載面との位置関係を安定維持できて、積載面への荷物の積載状態を安定させることができると共に、連結荷台の取り外しや折り畳みを各操作レバーの操作で確実かつ簡単に行うことができ、使い勝手に優れた牽引リヤカーを得ることができる。
【0012】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、連結荷台がその前端部に設けた自在継ぎ手を介して牽引車の荷台部分に水平方向と垂直方向に所定角度回転自在に連結されているため、リヤカー本体が連結荷台を介して牽引車の走行に良好に追従できて、牽引リヤカーの安定した走行が可能になる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3に記載の発明の効果に加え、連結荷台の前端側の左右角部に幅狭部が設けられているため、牽引車のハンドル部分等が連結荷台に対して90度近くまで回転した場合でも、牽引車を操作する人の体の連結荷台への接触を防止できて、牽引リヤカーの一層安定した走行が可能になる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明によれば、請求項1ないし4に記載の発明の効果に加え、リヤカー本体が折り畳み可能であるため、牽引リヤカーの保管時に、リヤカー本体を折り畳むことでその外形を小形として、牽引リヤカーの保管時のスペースをより一層小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係わる牽引リヤカーの一実施形態を示す斜視図
図2】同リヤカー本体の半平面図
図3】同その側面図
図4】同連結荷台の平面図
図5】同その側面図
図6】同背面図
図7】同図4のA部の(a)が拡大図、(b)が(a)のC−C線矢視図
図8】同図5のB部の(a)が連結状態を示す拡大図、(b)が非連結状態を示す拡大図
図9】同連結荷台とリヤカー本体の連結状態を示す(a)が縦断面図、(b)が(a)のD−D線矢視図
図10】同連結荷台を牽引車に連結するための連結部材の設置状態の斜視図
図11】同連結部材の平面図
図12】同その側面図
図13】同連結ピンの正面図
図14】同連結荷台の牽引車荷台への連結状態を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1図14は、本発明に係わる牽引リヤカーの一実施形態を示している。図1に示すように、牽引リヤカー1は、リヤカー本体2と、このリヤカー本体2の車体2aの前端部に連結された連結荷台3を備えている。前記リヤカー本体2の車体2aには、底板と左右の側板及び背面板等により前端が開放され、この各板及び該板を支えるパイプ状のフレームにより、各板の内側にリヤカー本体2の積載面2bが形成されると共に、車体2aの前端部両側には、立設状態でパイプ状のフレーム2c等が設けられている。
【0017】
また、図1図3に示すように、前記フレーム2cの高さ方向の上部には、平板状(もしくは格子状等)の棚板2dが着脱可能に配設されると共に、車体2aの前後方向の中間位置でその両外側には、車輪2eが回転自在にそれぞれ配設されている。このリヤカー本体2は、底板と背面板が中央で二分割され、前記各フレームのうち背面板を支持するフレームの一端を外したり回転させることにより、分割部分を中心として内側に折り畳み可能に形成されている。
【0018】
そして、このリヤカー本体2は、前記積載面2b上に荷物が積載可能に形成されると共に、前記棚板2d上にも荷物が積載可能に形成されるようになっている。なお、前記2枚の底板の各前端部には、後述する連結荷台3のフック部材14が係止される逆U字形状の棒状の係止金具2fがそれぞれ固定され、また、前記フレーム2cの高さ方向の所定位置には、前方に向けて締付ネジ4aを有する支持ブロック4が溶接固定されている。
【0019】
前記連結荷台3は、図1及び図4図6に示すように、水平な荷台部3aと、この荷台部3aの後端部に下方に垂直状態で立設された支柱部3bを有している。前記荷台部3aは、格子状に溶接固定された例えば5本の角パイプと、左右の角パイプの側面に溶接固定された平面視コ字状の2本の丸パイプを有し、これら各パイプの上面は面一に設定されている。また、前後の角パイプ及び左右の丸パイプの上面には所定高さの柵5が垂直状態で溶接固定されている。これにより、各パイプの上面で柵5の内側に平坦な積載面6が形成されている。このとき、前記荷台部3aの前端側の両側には、前記丸パイプの長さをその両端部が溶接固定される角パイプの長さより短く設定することで幅狭部7がそれぞれ設けられている。
【0020】
また、前記荷台部3aの前方の角パイプには、自在継ぎ手8が配設されている。この自在継ぎ手8は、図7に示すように、後端部にネジ部8aを有すると共に、前端側に設けた内面が球面の孔8bに、外周面が球面で形成された継ぎ手本体8cが水平方向と垂直方向に所定角度回転自在に収納されている。また、継ぎ手本体8cには、その中心位置に上下方向に貫通した貫通孔8dが設けられている。
【0021】
そして、この自在継ぎ手8のネジ部8aを、前記荷台部3aの角パイプの長手方向の中間位置下面に前方に突出する状態で固定された継ぎ手支持パイプ9のネジ孔9a(図5及び図14参照)にねじ込みナット18(図14参照)で固定することで、自在継ぎ手8が荷台部3aの前端側に配設されている。なお、荷台部3aの各角パイプの下面側(もしくは側面側)の所定位置には、積載面6上に積載される荷物の落下防止用バンドを係止させるバンド係止部10が複数個設けられている。
【0022】
前記支柱部3bは、角パイプからなる左右一対の垂直支柱11と、この垂直支柱11の上下端部を連結する一対の水平支柱12を有している。そして、垂直支柱11は、その上端が前記荷台部3aの角パイプの後端部下面に、図5に示すヒンジ13により図の矢印イの如く回動可能に連結されると共に、その下端部にはフック部材14がそれぞれ配設されている。このフック部材14は、図8に示すように、下方に開口した係止溝14aを有する一対の側板14bを有し、この側板14b間には、係止板14cと操作板14dがそれぞれ軸を中心に回動可能に配設されている。
【0023】
すなわち、図8(a)に示すように、その係止溝14aに前記係止金具2fが押し込まれた係止状態においては、係止板14cの係止部が係止金具2fに係止されて、係止板14c(フック部材14)の係止金具2fからの抜けが防止されている。この状態から、操作板14dの操作レバー14d1をスプリング14eの付勢力に抗して図の矢印ハの如く下方に押すと、図8(b)に示すように、操作板14dが図の矢印の如く回動すると共に係止板14cも図の矢印の如く回動して、操作板14dと係止板14cの係止状態が解除、すなわち係止金具2fとの係止状態が解除されるようになっている。なお、このフック部材14の係止板14cや操作板14dの構成は、図示した例に限定されず、適宜の構成を採用することができる。
【0024】
また、前記各垂直支柱11の所定位置には、図5及び図6に示すように、ヒンジ固定ブロック15が溶接固定され、この各ヒンジ固定ブロック15と、前記荷台部3aの角パイプのヒンジ固定部との間には、軸16aを中心に回動可能なヒンジ16がそれぞれ配設されている。すなわち、一方のヒンジ部材16bの端部が荷台部3aの角パイプに回動自在に支持され、他方のヒンジ部材16cの端部がヒンジ固定ブロック15に回転自在に支持されている。このとき、ヒンジ部材16b、16cは、操作レバー16dの矢印ニ方向への操作により、その係止状態が解除されることで軸16aを中心に回動すなわち矢印ロ方向(もしくは、矢印反ロ方向)に屈曲可能に構成されて、支柱部3bが荷台部3aに対して図5の矢印イの如く折り畳み可能となっている。
【0025】
また、操作レバー16dを操作しない位置においては、各ヒンジ部材16b、16cが回動することなくその位置が保持されるようになっている。なお、このヒンジ16も手動操作等により折り畳み可能な適宜構成のヒンジを使用することができる。さらに、図6に示すように、前記垂直支柱11の上部側面には、略L字状の丸パイプからなり後述する如くリヤカー本体2の支持ブロック4にその先端部が支持される支持パイプ17の基端部が、垂直支柱11の左右側方に突出する状態でそれぞれ溶接固定されている。
【0026】
このように構成された連結荷台3は、牽引リヤカー1の使用時に、図1及び図8(a)に示すように、垂直支柱11下端のフック部材14がリヤカー本体2の係止金具2fにそれぞれ係止されると共に、支持パイプ17の先端部がリヤカー本体2の支持ブロック4にそれぞれ嵌合固定される。このとき、支持パイプ17は、図9に示すように、支持ブロック4の嵌合孔4bに密に嵌合状態とされると共に、締付ネジ4aの締め付け回転操作でその位置が固定されている。
【0027】
そして、リヤカー本体2の積載面2b上に積載した荷物の重量や道路事情等により積載面2bの高さ位置が変化し、支持ブロック4の嵌合孔4b部分に拗れるように力が作用した場合であっても、その嵌合状態すなわち連結荷台3とリヤカー本体2の連結状態が安定維持されるようになっている。
【0028】
次に、連結荷台3と牽引車としての例えば自転車との連結構造を、図10図14に基づいて説明する。先ず、連結荷台3を自転車の荷台20に連結するには、図10に示すように、上取付板22と一対の下取付板23及び連結ピン24からなる連結部材21によって連結される。前記上取付板22は、図11及び図12に示すように、中央部が一段高く形成されると共に、この中央部の前後方向両側に挟持部22aがそれぞれ設けられ、各挟持部22aには2つの固定孔25がそれぞれ形成されている。
【0029】
また、後方側(図11において左側)の挟持部22aには、長手方向の中央部分に連結ピン挿入筒26の下端が立設状態で溶接固定され、この連結ピン挿入筒26には、上部に外径が下部より小さく前記自在継ぎ手8の厚さと同一長さの継ぎ手係合部26aが形成されると共に、中心位置には上下貫通する状態で挿通孔26bが形成されている。この上取付板22の各挟持部22aに対向する前記下取付板23は、上取付板22の固定孔25に対応した位置に同一内径の固定孔27がそれぞれ形成されている。また、各下取付板23は、その前後方向の一方の端部に上取付板22の裏面に当接可能な屈曲部23aがそれぞれ設けられている。なお、上取付板22の中央部の端部には、後述する連結ピン24に接続されたワイヤー28の端部を固定するための固定孔29(図11参照)が設けられている。
【0030】
前記連結ピン24は、図13に示すように、円筒状でその下端部に一対のピン24a1が外周面に対して出没可能に配設された所定長さの係止部24aと、この係止部24aの上部に一体化された操作部24bを有している。操作部24bには、操作ボタン24b1が設けられ、この操作ボタン24b1を図の矢印ニの如く押すことにより、係止部24a下端のピン24a1が図示しないバネの付勢力に抗して外周面から引っ込む(没する)ようになっている。また、操作部24bには、紛失防止用の前記ワイヤー28の一端がリング30を介して連結されている。なお、連結ピン24の係止部24aの長さは、前記連結ピン挿入筒26の挿通孔26bの全長と同一に設定されている。
【0031】
このように構成された連結部材21は、図10及び図14に示すように、上取付板22の挟持部22aと各下取付板23との間に自転車の荷台20を構成する金属棒20aを位置させた状態で、挟持部22a及び下取付板23の固定孔25及び27とボルト31及びナット32を利用して、各金属棒20aを各挟持部22aと各下取付板23でそれぞれ挟持する。これにより、連結部材21が自転車の荷台20に固定設置される。そして、この固定設置された連結部材21の連結ピン挿入筒26の継ぎ手係合部26aに、図14に示すように、前記連結荷台3の自在継ぎ手8の貫通孔8dを上方から嵌合する。
【0032】
この状態で、連結ピン24の操作部24bの操作ボタン24b1を押しながら、その係止部24aを連結ピン挿入筒26の貫通孔26bに上方から挿通する。連結ピン24が所定位置(ピン24a1が上取付板22の裏面となる位置)まで押し込まれて、操作ボタン24b1の押圧操作を解除すると、ピン24a1がバネの付勢力で初期位置である外周面から所定寸法突出した位置に戻り、この突出したピン24a1が上取付板22の裏面に係止される。これにより、自在継ぎ手8が上取付板22の連結ピン挿入筒26の継ぎ手係合部26aに係止された状態となり、このとき、自在継ぎ手8が水平方向及び垂直方向に所定角度回転自在であることから、連結荷台3が自転車の荷台20に連結部材21を介して所定角度回転自在、すなわち水平方向及び垂直方向に所定角度回転自在に連結されることになる。
【0033】
つまり、前記牽引リヤカー1の場合、係止金具2f及び支持ブロック4を利用して、リヤカー本体2の車体2a前端部に、連結荷台3の支柱部3bのフック部材14および支持パイプ17を連結すると共に、この連結荷台3の荷台部3aの自在継ぎ手8を、スタンドで固定されている自転車の荷台20の連結部材21の継ぎ手係合部26aに回転自在に嵌合させて連結ピン24で連結する。これにより、リヤカー本体2が自転車に連結される。この状態で、リヤカー本体2の積載面2b(底板)上に、例えば配達すべき食品が収容された保冷ボックス等を積載すると共に、連結荷台3の積載面6上にも保冷ボックスを積載し、かつリヤカー本体2の棚板2d上に配達時に使用する肩掛けボックス等を積載して、配達員が自転車を配達場所に向けて走行させる。
【0034】
このとき、リヤカー本体2の積載面2bや棚板2d上あるいは連結荷台3の積載面6上に荷物を積載すると、その重量でリヤカー本体2の重量が重くなり、荷物を積載していない場合に比較してリヤカー本体2の高さ位置が低く沈んだ状態となるが、この高さ位置は連結荷台3と自転車の荷台20との連結部分に設けた垂直方向に所定角度回動自在な自在継ぎ手8により吸収される。その結果、荷物の重量による連結荷台3の高さ方向の位置変化は勿論のこと、道路の凹凸による連結荷台3の高さ方向の位置変化も、自在継ぎ手8で良好に吸収されることになる。
【0035】
また、配達員が自転車の向きを90度程度変えて走行しようとした場合も、自在継ぎ手8が水平方向に所定角度回転自在であると共に、連結荷台3の積載面6の左右前端側に幅狭部7が設けられていることから、この幅狭部7内に配達員の身体が位置する状態となって、牽引リヤカー1が大きくカーブしようとする場合の、配達員と連結荷台3との接触が防止されることなる。これらにより、リヤカー本体2を連結した場合の、配達員により荷物の配達時に、各種積載状態や走行する道路事情、走行状態等に係わらず自転車による牽引リヤカー1の走行がよりムーズに行えることになる。
【0036】
一方、配達を終了して牽引リヤカー1を車庫等に保管(駐輪)する場合は、次のようにして行う。すなわち、先ず、中身が空となった保冷ボックスや肩掛けボックス等を積載面2b、6や棚板2d上から降ろし、連結部材21の連結ピン24を図14の矢印ヘの如く上方に引っ張る。この引っ張り時に、操作部24bの操作ボタン24b1を押しながら行うことによりピン24a1が係止部24aの外周面から引っ込んで、ピン24a1と上取付板22との係止状態が解除されて連結ピン24が連結ピン挿入筒26の挿通孔26bから引き抜かれる。
【0037】
これにより、上取付板22と自在継ぎ手8の係止状態が解除され、この状態で、連結荷台3の前端側を上方に持ち上げることで、自在継ぎ手8が連結ピン挿入筒26の継ぎ手係合部26aから抜き取られ、連結荷台3と連結部材21の連結状態が解除される。なお、連結ピン挿入筒26から引き抜かれた連結ピン24は、上取付板22にワイヤー28で連結されていることから、その紛失が防止された状態となる。
【0038】
この状態で自転車を所定位置に駐車すると共に、自転車との連結状態が解除された牽引リヤカー1の連結荷台3とリヤカー本体2との連結を解除する。この解除は、先ず、連結荷台3を牽引フレームとして使用して、牽引リヤカー1を所定の保管位置まで移動させ、連結荷台3の支柱部3bのフック部材14の操作レバー14d1を操作して、フック部材14と係止金具2fとの係止状態を解除する。この解除は支持ブロック4の締付ネジ4aを緩めると共に連結荷台3を上方に持ち上げつつ、操作レバー14d1を操作して、フック部材14と係止金具2fの係止状態を解除しつつ、支持パイプ17を支持ブロック4の嵌合孔4bから抜き取ることで行うことができる。
【0039】
そして、リヤカー本体2から分離された連結荷台3のヒンジ16の操作レバー16dを操作して、一対のヒンジ部材16b、16cを屈曲させることで、荷台部3aと支柱部3bが折り畳まれた状態となる。この折り畳んだ連結荷台3を所定位置に保管する。次に、リヤカー本体2の前記背面板側の丸パイプの一端を外すこと等により、リヤカー本体2を折り畳み、連結荷台3と共に所定位置に保管する。
【0040】
すなわち、前記牽引リヤカー1の場合、連結荷台3とリヤカー本体2が共に折り畳み可能であることから、その外形形状を小さくした状態で保管できることになる。なお、前記牽引リヤカー1のリヤカー本体2の各板やパイプ、連結荷台3の各パイプ等は、アルミニウム製でその軽量化が図られると共に、連結荷台3の積載面6を形成する各角パイプの表面には荷物滑り止め用の細溝等が形成されている。
【0041】
このように、前記牽引リヤカー1によれば、連結荷台3の後端部がリヤカー本体2の車体2a前端部に連結され、連結荷台3の前端部が自転車の荷台20に着脱可能及び回転自在に連結されると共に、連結荷台3の上面に平坦な積載面6を有するため、自転車の荷台20上に配置される連結荷台3の積載面6にも荷物を積載することができて、牽引リヤカー1の荷物の積載効率を高めることができる。
【0042】
また同時に、比較的大きな面積を確保可能な連結荷台3の積載面6への荷物の積載で、リヤカー本体2の積載面2bへの荷物の積載量を少なくできることから、例えばリヤカー本体2の前後方向の長さを短くできる等、リヤカー本体2の小型化が可能で駐車スペースの小さい場所での使用や保管が容易な牽引リヤカー1を得ることができる。
【0043】
また、連結荷台3の積載面6の後端部に下方に延設された支柱部3bを有し、この支柱部3bの下端が係止フック14を介してリヤカー本体2の車体2a前端部の係止金具2fに着脱可能に連結されると共に、支柱部3bが荷台部3aに対して折り畳み可能に構成されているため、連結荷台3をリヤカー本体2や自転車から簡単に取り外しできると共に、連結荷台3を折り畳むことでその外形を小形として、牽引リヤカー1の保管時等のスペースを一層小さくすることができる。
【0044】
さらに、支柱部3bがリヤカー本体2の車体2a前端部に操作レバー14d1の操作により着脱可能に連結されると共に、荷台部3aに対して操作レバー16dの操作により支柱部3bが折り畳み可能であるため、使用時の支柱部3bと荷台部3aとの連結位置関係を安定維持できて、荷台部3aの積載面6への荷物の積載状態を安定させることができると共に、連結荷台3の取り外しや折り畳みを各操作レバー14d1、16dの操作で確実かつ簡単に行うことができて、使い勝手に優れた牽引リヤカー1を得ることができる。
【0045】
また、連結荷台3がその前端部に設けた自在継ぎ手8を介して自転車の荷台20に水平方向と垂直方向に所定角度回転自在に連結されているため、リヤカー本体2が連結荷台3を介して自転車の走行に良好に追従できて、牽引リヤカー1の安定した走行が可能になる。またさらに、連結荷台3の前端側の左右角部に幅狭部7が設けられているため、自転車のハンドル部分等が連結荷台3に対して90度近くまで回転した場合でも、自転車を操作する配達員の身体の連結荷台3への接触を防止できて、牽引リヤカー1の一層安定した走行が可能になる。
【0046】
また、リヤカー本体2が折り畳み可能であるため、牽引リヤカー1の保管時に、リヤカー本体2を折り畳むことでその外形を小形として、牽引リヤカー1の保管時のスペースをより一層小さくすることができる。また、連結部材21の連結ピン24の操作部24bに、上方から押圧操作可能な操作ボタン24b1が設けられると共に、ワイヤー28により上取付板22に連結されているため、連結ピン24の脱着操作を簡単に行うことができると共に、連結ピン24自体の紛失を防いで、一層使い勝手に優れた牽引リヤカー1を得ることができる。
【0047】
なお、前記実施形態においては、連結荷台3が荷台部3aと支柱部3bを有してこれらを折り畳み可能に構成したが、本発明はこの構成に限定されず、例えば支柱部3bに相当する部材を予めリヤカー本体2の前端部に固定し、これに荷台部3aを有する連結荷台3を着脱可能に配設することもできるし、荷台部3aをリヤカー本体2に予め固定的に配設することもできる。また、前記実施形態においては、連結荷台3のリヤカー本体2からの着脱および荷台部3aと支柱部3bの折り畳みを、操作レバー14d1、16dの手動操作で行うようにしたが、例えば所定の力を加えることで自動的に着脱できたり折り畳みできる適宜の構成を採用することもできる。
【0048】
さらに、前記実施形態において、例えばリヤカー本体2の所定位置に連結荷台3を係止等するための係止手段を設け、これらの保管時に、係止手段を利用し連結荷台3とリヤカー本体2とを一体化した状態で保管するようにしても良い。この場合、折り畳んだリヤカー本体2のデッドスペースを利用して折り畳んだ連結荷台3を保管するように構成することが好ましい。また、前記実施形態における、リヤカー本体2や連結荷台3の形状、大きさあるいは折り畳み可能であるか否か等の構成、連結部材21の構成等は一例であって、例えば連結部材21を、使用する自転車(牽引車)の荷台20構成に対応させた構成とする等、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜の構成を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、保冷ボックス等に食品を収容して配達する際に使用される牽引リヤカーに限らず、例えば宅配業者等のように梱包された各種荷物をそのまま積載して配達する際の牽引リヤカー等、各種の牽引リヤカーにも利用できる。
【符号の説明】
【0050】
1・・・・・・・牽引リヤカー
2・・・・・・・リヤカー本体
2a・・・・・・車体
2b・・・・・・積載面
2d・・・・・・棚板
2f・・・・・・係止金具
3・・・・・・・連結荷台
3a・・・・・・荷台部
3b・・・・・・支柱部
4・・ ・・・・支持ブロック
6・・・・・・・積載面
7・・・・・・・幅狭部
8・・・・・・・自在継ぎ手
8d・・・・・・貫通孔
11・・・・・・垂直支柱
13・・・・・・ヒンジ
14・・・・・・フック部材
14d1・・・・操作レバー
16・・・・・・ヒンジ
16d・・・・・操作レバー
17・・・・・・支持パイプ
20・・・・・・荷台
21・・・・・・連結部材
22・・・・・・上取付板
23・・・・・・下取付板
24・・・・・・連結ピン
26・・・・・・連結ピン挿入筒
26a・・・・・継ぎ手係合部
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