特許第6227436号(P6227436)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227436
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】トレイ付きコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/73 20110101AFI20171030BHJP
【FI】
   H01R12/73
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-26032(P2014-26032)
(22)【出願日】2014年2月14日
(65)【公開番号】特開2015-153596(P2015-153596A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】三川 和弥
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−006777(JP,A)
【文献】 特許第4664212(JP,B2)
【文献】 特開2013−051134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/73
H01R 13/629
G06K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを搭載可能なトレイと、前後方向に沿って前記トレイを収容可能な収容部であって前方に開口した収容部を有するコネクタ本体とを備えるトレイ付きコネクタであって、
前記コネクタ本体は、ハウジングと、カバーと、イジェクトバーと、イジェクトレバーとを備えており、
前記ハウジングには、位置決め突起が設けられており、
前記カバーは、前記ハウジングと共に前記収容部を構成しており、
前記カバーには、基準部が形成されており、
前記基準部は、前記前後方向において前記位置決め突起の後方に位置しており、且つ、前記前後方向と直交する幅方向において前記位置決め突起と重なる位置に位置しており、
前記イジェクトバーは、前記前後方向に沿って収容位置と排出位置との間で移動可能となるように前記ハウジングに保持されており、
前記イジェクトレバーには、位置決め孔が形成されており、
前記イジェクトレバーは、前記位置決め孔に前記位置決め突起を受容しており、それによって、少なくとも前記前後方向において移動可能となるように前記ハウジングに支持されており、
前記イジェクトレバーの一端は、前記イジェクトバーの前記前後方向に沿った移動と連動するように前記イジェクトバーに組み合わせられており、
前記イジェクトレバーの他端は、前記収容部に前記トレイが収容されたとき前記トレイと接触するものであり、且つ、前記イジェクトバーが前記排出位置にあるとき前記収容部内に位置しており、
前記イジェクトレバーには、前記一端と前記他端との間に位置する接触面が設けられており、
前記接触面は、前記前後方向において前記基準部の前方であって前記幅方向において前記基準部と重なる位置に位置しており、
前記トレイが前記収容部に収容される際に、前記トレイによって前記イジェクトレバーの前記他端が前記後方に押されると、前記接触面が前記基準部上をスライドしつつ前記基準部を支点として回転し、それによって前記イジェクトレバーの前記一端が前記前方に移動すると共に前記イジェクトバーが前記収容位置に移動し、
前記カバーには、逃げ部が形成されており、
前記逃げ部は、前記幅方向において前記基準部よりも前記イジェクトバー側に位置しており、且つ、前記前後方向において前記基準部よりも前記後方に凹んでおり、
前記イジェクトバーが前記排出位置にあるとき、前記イジェクトレバーは部分的に前記逃げ部内に位置している
トレイ付きコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のトレイ付きコネクタであって、
前記イジェクトバーが前記排出位置にあるとき、前記イジェクトレバーの前記接触面は前記前後方向と前記幅方向の双方と交差している
トレイ付きコネクタ。
【請求項3】
請求項2記載のトレイ付きコネクタであって、
前記イジェクトバーが前記排出位置にあるとき、前記イジェクトレバーの前記接触面は前記前後方向と前記幅方向の双方と斜交している
トレイ付きコネクタ。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載のトレイ付きコネクタであって、
前記カバーは、後壁を有しており、
前記逃げ部は、前記カバーの前記後壁に形成された開口であり、
前記イジェクトバーが前記排出位置にあるとき、前記前後方向と前記幅方向の双方と直交する上下方向において前記イジェクトレバーは部分的に視認可能である
トレイ付きコネクタ。
【請求項5】
請求項記載のトレイ付きコネクタであって、
前記基準部は、前記後壁に形成された前記開口の縁の一部からなる
トレイ付きコネクタ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載のトレイ付きコネクタであって、
前記イジェクトバーが前記収容位置にあるとき、前記イジェクトレバーの前記接触面は前記前後方向と直交している
トレイ付きコネクタ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載のトレイ付きコネクタであって、
前記前後方向と前記幅方向の双方と直交する上下方向における前記イジェクトバーの移動を規制する規制部を備えている
トレイ付きコネクタ。
【請求項8】
請求項記載のトレイ付きコネクタであって、
前記規制部は、前記カバー側に設けられている
トレイ付きコネクタ。
【請求項9】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載のトレイ付きコネクタであって、
前記イジェクトバーは、ピン突当部を有していると共に前記ピン突当部をピンで前記後方に向けて押圧することにより前記収容位置から前記排出位置まで移動させられるものであり、
前記イジェクトバーには、前記ピン突当部の前記後方に位置して前記ピン突当部を後側から受け止める変形防止部が更に設けられている
トレイ付きコネクタ。
【請求項10】
請求項記載のトレイ付きコネクタであって、
前記ハウジングは、絶縁体からなる主部と、前記幅方向において前記主部から延びる金属からなる補助部とを備えており、
前記補助部には、部分的に開口した側壁が設けられており、
前記イジェクトバーには、前記変形防止部から後方に向かって連続して延びる接触壁が形成されており、
前記イジェクトバーが前記収容位置から前記排出位置まで移動する間、前記前後方向において前記接触壁は前記側壁と少なくとも部分的に常時重なっている
トレイ付きコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロSIM(Subscriber Identity Module)カード用コネクタ等として用いられるトレイ付きコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図17に示されるように、特許文献1のトレイ付きコネクタは、樹脂製のハウジングと、イジェクトバーと、イジェクトレバーと、カバー(図示せず)とを備えている。ハウジングとカバー(図示せず)は、挿入方向に沿ってトレイ(図示せず)を収容可能な収容部を形成している。イジェクトバーは、ピンにより押圧操作可能なものである。ハウジングには、軸が設けられている。軸は、イジェクトレバーを回転可能となるように支持している。イジェクトバーにはイジェクトレバーの一端が取り付けられている。イジェクトバー又はトレイ(図示せず)が挿入方向に沿って押し込まれることによりイジェクトレバーの一端又は他端が挿入方向に沿って押圧されると、イジェクトレバーが回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−234669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イジェクトレバーの一端又は他端が挿入方向に沿って押圧される際、軸には挿入方向奥側に向かう強い応力が加わっている。そのため、軸が破損してしまい、イジェクトレバーが機能しなくなってしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、軸の破損によりイジェクトレバーが機能しないといった問題の生じない構造を有するトレイ付きコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1のトレイ付きコネクタとして、
カードを搭載可能なトレイと、前後方向に沿って前記トレイを収容可能な収容部であって前方に開口した収容部を有するコネクタ本体とを備えるトレイ付きコネクタであって、
前記コネクタ本体は、ハウジングと、カバーと、イジェクトバーと、イジェクトレバーとを備えており、
前記ハウジングには、位置決め突起が設けられており、
前記カバーは、前記ハウジングと共に前記収容部を構成しており、
前記カバーには、基準部が形成されており、
前記基準部は、前記前後方向において前記位置決め突起の後方に位置しており、且つ、前記前後方向と直交する幅方向において前記位置決め突起と重なる位置に位置しており、
前記イジェクトバーは、前記前後方向に沿って収容位置と排出位置との間で移動可能となるように前記ハウジングに保持されており、
前記イジェクトレバーには、位置決め孔が形成されており、
前記イジェクトレバーは、前記位置決め孔に前記位置決め突起を受容しており、それによって、少なくとも前記前後方向において移動可能となるように前記ハウジングに支持されており、
前記イジェクトレバーの一端は、前記イジェクトバーの前記前後方向に沿った移動と連動するように前記イジェクトバーに組み合わせられており、
前記イジェクトレバーの他端は、前記収容部に前記トレイが収容されたとき前記トレイと接触するものであり、且つ、前記イジェクトバーが前記排出位置にあるとき前記収容部内に位置しており、
前記イジェクトレバーには、前記一端と前記他端との間に位置する接触面が設けられており、
前記接触面は、前記前後方向において前記基準部の前方であって前記幅方向において前記基準部と重なる位置に位置しており、
前記トレイが前記収容部に収容される際に、前記トレイによって前記イジェクトレバーの前記他端が前記後方に押されると、前記接触面が前記基準部上をスライドしつつ前記基準部を支点として回転し、それによって前記イジェクトレバーの前記一端が前記前方に移動すると共に前記イジェクトバーが前記収容位置に移動する
トレイ付きコネクタを提供する。
【0007】
また、本発明は、第2のトレイ付きコネクタとして、第1のトレイ付きコネクタであって、
前記イジェクトバーが前記排出位置にあるとき、前記イジェクトレバーの前記接触面は前記前後方向と前記幅方向の双方と交差している
トレイ付きコネクタを提供する。
【0008】
また、本発明は、第3のトレイ付きコネクタとして、第2のトレイ付きコネクタであって、
前記イジェクトバーが前記排出位置にあるとき、前記イジェクトレバーの前記接触面は前記前後方向と前記幅方向の双方と斜交している
トレイ付きコネクタを提供する。
【0009】
また、本発明は、第4のトレイ付きコネクタとして、第1乃至第3のいずれかのトレイ付きコネクタであって、
前記カバーには、逃げ部が形成されており、
前記逃げ部は、前記幅方向において前記基準部よりも前記イジェクトバー側に位置しており、且つ、前記前後方向において前記基準部よりも前記後方に凹んでおり、
前記イジェクトバーが前記排出位置にあるとき、前記イジェクトレバーは部分的に前記逃げ部内に位置している
トレイ付きコネクタを提供する。
【0010】
また、本発明は、第5のトレイ付きコネクタとして、第4のトレイ付きコネクタであって、
前記カバーは、後壁を有しており、
前記逃げ部は、前記カバーの前記後壁に形成された開口であり、
前記イジェクトバーが前記排出位置にあるとき、前記前後方向と前記幅方向の双方と直交する上下方向において前記イジェクトレバーは部分的に視認可能である
トレイ付きコネクタを提供する。
【0011】
また、本発明は、第6のトレイ付きコネクタとして、第5のトレイ付きコネクタであって、
前記基準部は、前記後壁に形成された前記開口の縁の一部からなる
トレイ付きコネクタを提供する。
【0012】
また、本発明は、第7のトレイ付きコネクタとして、第1乃至第6のいずれかのトレイ付きコネクタであって、
前記イジェクトバーが前記収容位置にあるとき、前記イジェクトレバーの前記接触面は前記前後方向と直交している
トレイ付きコネクタを提供する。
【0013】
また、本発明は、第8のトレイ付きコネクタとして、第1乃至第7のいずれかのトレイ付きコネクタであって、
前記前後方向と前記幅方向の双方と直交する上下方向における前記イジェクトバーの移動を規制する規制部を備えている
トレイ付きコネクタを提供する。
【0014】
また、本発明は、第9のトレイ付きコネクタとして、第8のトレイ付きコネクタであって、
前記規制部は、前記カバー側に設けられている
トレイ付きコネクタを提供する。
【0015】
また、本発明は、第10のトレイ付きコネクタとして、第1乃至第9のいずれかのトレイ付きコネクタであって、
前記イジェクトバーは、ピン突当部を有していると共に前記ピン突当部をピンで前記後方に向けて押圧することにより前記収容位置から前記排出位置まで移動させられるものであり、
前記イジェクトバーには、前記ピン突当部の前記後方に位置して前記ピン突当部を後側から受け止める変形防止部が更に設けられている
トレイ付きコネクタを提供する。
【0016】
また、本発明は、第11のトレイ付きコネクタとして、第10のトレイ付きコネクタであって、
前記ハウジングは、絶縁体からなる主部と、前記幅方向において前記主部から延びる金属からなる補助部とを備えており、
前記補助部には、部分的に開口した側壁が設けられており、
前記イジェクトバーには、前記変形防止部から後方に向かって連続して延びる接触壁が形成されており、
前記イジェクトバーが前記収容位置から前記排出位置まで移動する間、前記前後方向において前記接触壁は前記側壁と少なくとも部分的に常時重なっている
トレイ付きコネクタを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のイジェクトレバーは、カバーに設けられた基準部を支点として回転する。従って、特許文献1のトレイ付きコネクタのように軸の破損によりイジェクトレバーが機能しないといった問題は生じない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態によるトレイ付きコネクタを示す斜視図である。
図2図1のトレイ付きコネクタを示す上面図である。図示されたトレイ付きコネクタは、基板に搭載固定されている。
図3図1のトレイ付きコネクタを示す他の斜視図である。イジェクトバーは収容位置にある。
図4図1のトレイ付きコネクタを示す他の斜視図である。イジェクトバーは排出位置にある。
図5図4のトレイ付きコネクタを示す背面図である。
図6図1のトレイ付きコネクタのコネクタ本体を示す斜視図である。
図7図6のコネクタ本体を示す分解斜視図である。
図8図6のコネクタ本体を示す上面図である。但し、カバーは図示されていない。
図9図6のコネクタ本体のイジェクトバーを示す上面図である。
図10図9のイジェクトバーのピン突当部とその近傍を示す拡大図である。
図11図6のコネクタ本体の規制部とその近傍を示す斜視図である。
図12図5のトレイ付きコネクタのイジェクトレバーとその近傍をXII--XII線に沿って示す断面図である。図示されたイジェクトバーは排出位置にある。
図13図12のトレイ付きコネクタのイジェクトレバーとその近傍を示す斜視図である。
図14図12のイジェクトレバーとその近傍を示す他の断面図である。図示されたイジェクトバーは収容位置にある。
図15図2のトレイ付きコネクタの一部をXV--XV線に沿って示す断面図である。
図16図1のトレイ付きコネクタのトレイとそのトレイに搭載されるカードとを示す斜視図である。
図17】特許文献1のトレイ付きコネクタを部分的に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1乃至図5を参照すると、本発明の実施の形態によるトレイ付きコネクタ10は、コネクタ本体100と、トレイ500とを備えている。図2に示されるように、トレイ付きコネクタ10は、基板400に搭載固定されて使用される。
【0020】
図16から理解されるように、トレイ500は、カード600を搭載保持可能なものである。詳しくは、トレイ500は、絶縁体からなるものであり、カード600を保持するためのフレーム510と、トレイ付きコネクタ10が取り付けられる電子機器(図示せず)のケースやシャーシ等と共に当該電子機器の外表面を構成するドア部520とを有している。トレイ500のフレーム510の側部には幅方向(Y方向)の内側に凹んだ凹部からなる被維持部514が形成されている。この被維持部514は、後述するように、トレイ500がコネクタ本体100内に収容された状態を維持するために用いられる。ドア部520には、前後方向(X方向)に貫通したピン挿入孔522が形成されている。
【0021】
図6に示されるように、コネクタ本体100は、前端102において開口している。また、図1及び図6から理解されるように、コネクタ本体100は、前後方向(X方向)に沿ってトレイ500を収容可能な収容部104を有している。
【0022】
詳しくは、図6及び図7に示されるように、コネクタ本体100は、複数のコンタクト110と、ハウジング120と、カバー160と、イジェクトバー200と、イジェクトレバー300とを備えている。
【0023】
図7に示されるように、ハウジング120は、絶縁体(樹脂)からなる主部130と、金属からなる補助部140とを備えている。主部130は、コンタクト110を保持している。主部130には、上方(+Z方向)に突出した円柱状の位置決め突起132が設けられている。補助部140は、底面142と、底面142から上方に延びる2つの内側壁(側壁)144R,144Lとを有している。本実施の形態の補助部140には、更に、ガイド部146が形成されている。ガイド部146は、幅方向(Y方向)において内側壁144Lから所定距離だけ離れている。
【0024】
本実施の形態のカバー160は、金属製である。図3乃至図7から理解されるように、カバー160は、天板170と、2つの外側壁180R,180Lと、後壁190とを有している。天板170には、位置決め突起132の上端(+Z側端部)を受容する受容孔172と、ガイド部174と、規制部176が形成されている。
【0025】
図7から理解されるように、ガイド部174は、外側壁180Rから遠く且つ外側壁180Lに近い位置に設けられている。即ち、ガイド部174は、外側壁180L側に設けられている。
【0026】
図6及び図7に示されるように、規制部176は、ガイド部174よりも幅方向において外側に位置している。即ち、規制部176は、幅方向において、ガイド部174と外側壁180Lとの間に位置している。
【0027】
図5及び図13に示されるように、後壁190には、逃げ部192と基準部194とが設けられている。逃げ部192は、前後方向(X方向)において後壁190を貫通する開口であって幅方向に長手を有する長方形状の開口からなる。基準部194は、逃げ部192を構成する開口の縁の一つであって外側壁180Lから最も遠い縁(即ち、後の説明から理解されるように、イジェクトバー200から最も離れている縁)の一部からなる。詳しくは、基準部194は、逃げ部192を構成する開口の上述した縁のうちの前側(−X側)の角部にて構成されている。換言すると、逃げ部192は、基準部194よりも後方に凹んでおり、幅方向において基準部194よりもイジェクトバー200側に位置している。本実施の形態の逃げ部192は開口であったが、本発明はこれに限定されるわけではなく、後述するようなイジェクトレバー300の適切な移動を可能とするスペースを確保できるのであれば、逃げ部192は後壁190を貫通していなくてもよい。
【0028】
図1図7及び図13に示されるように、外側壁180R,180L及び後壁190には、半田付け部182が設けられている。この半田付け部182は、基板400に設けられたパッド410(図2及び図15参照)に半田付け固定される部位である。
【0029】
図6及び図7から理解されるように、カバー160はハウジング120と組み合わせられ、それによって、上述した収容部104を構成している。また、カバー160とハウジング120とが組み合わせられた状態において、内側壁144R,144Lは外側壁180R,180Lの夫々内側に位置しており、ガイド部174はガイド部146と共に前後方向において一直線上に並んでいる。即ち、ガイド部174とガイド部146とは内側壁144Lから幅方向(Y方向)において所定距離だけ離れて位置している。この状態において、規制部176は、幅方向において、ガイド部174やガイド部146と内側壁144Lとの間に位置している。
【0030】
図12及び図14に示されるように、カバー160とハウジング120とを組み合わせた状態において、基準部194は、前後方向(X方向)において位置決め突起132の後方(+X側)に位置しており、且つ、幅方向(Y方向)において位置決め突起132と重なる位置に位置している。
【0031】
本実施の形態のイジェクトバー200は、金属製である。図9に示されるように、イジェクトバー200は、前後方向(X方向)に長手を有するものであり、前後方向と直交する平面内において略U字状の断面を有するように曲げ形成された主部210と、イジェクトバー200の前端(−X側端部)を構成するピン突当部230とを有している。
【0032】
ピン突当部230は、前後方向と直交する平板部からなり、トレイ500のピン挿入孔522(図1等参照)を通して挿入されたピン(図示せず)により押圧操作される部位である。
【0033】
図9及び図10に示されるように、主部210には、変形防止部212と、接触壁214とが設けられている。変形防止部212は、ピン突当部230の後方(+X側)に位置しており、ピン(図示せず)によりピン突当部230が後方に押圧された際に、そのピン突当部230を後側から受け止める。接触壁214は、変形防止部212から連続して後方に延びている。図15に示されるように、主部210が略U字状の断面を有するように曲げ形成されていることから、主部210のうちの外側壁180L側の部分であって半田付け部182に最も近い部分にはR(断面において弧を描く部分)が設けられており、従って、接触壁214が真っ直ぐ垂直に延びている場合と比較して、接触壁214を半田付け部182から離すことができている。そのため、半田付け部182を基板400のパッド410に半田付け固定した際に、流れた半田がイジェクトバー200に接触してイジェクトバー200が適切に移動できなくなってしまうといった問題が生じる可能性を低減することができる。
【0034】
図7及び9に示されるように、主部210には、維持部216と、凹部218とが形成されている。維持部216は、くの字状に曲げ形成された先端を有するバネである。図6図7及び図16を併せて参照すれば理解されるように、トレイ500が収容部104に収容された状態において、維持部216のくの字状の先端がトレイ500の被維持部514内に入り込み、それによって、トレイ500の収容状態が維持される。図7に示されるように、凹部218は、下方(−Z側)に凹んでいる。
【0035】
図6及び図8から理解されるように、イジェクトバー200は、ガイド部146及びガイド部174と内側壁144Lとの間に組み込まれ、それによって、前後方向(X方向)に沿って移動可能となるようにハウジング120に保持されている。本実施の形態のイジェクトバー200は、収容位置(図14参照)と排出位置(図8及び図12参照)の少なくとも2つの位置の間で移動可能となっている。図8図12及び図14から理解されるように、収容位置は、排出位置の前方に位置している。なお、接触壁214が変形防止部212から後方(+X側)に向かって細長く連続して延びていることから、内側壁144Lに開口(凹部)が設けられていたとしても、そのような開口を前後方向において跨ぐようにして接触壁214が設けられている。このようにして、前後方向において接触壁214が内側壁144Lと少なくとも部分的に常時重なっていることから、内側壁144Lに開口が設けられていたとしても、その開口にイジェクトバー200の一部が干渉してイジェクトバー200の前後方向における移動が適切に行えなくなるといった状況を避けることができる。
【0036】
図11に示されるように、イジェクトバー200がハウジング120とカバー160との間に組み込まれた状態において、カバー160の天板170に設けられた規制部176はイジェクトバー200の接触壁214を下側(−Z側)、即ち底面142(図7参照)側に押しつけている。換言すると、規制部176は、イジェクトバー200の上下方向(Z方向)における移動を規制している。そのため、本実施の形態によるイジェクトバー200は、コネクタ本体100(図1参照)内においてがたつくことがない。なお、本実施の形態においては、規制部176がカバー160の天板170に設けられていたが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、規制部176は外側壁180Lから幅方向の内側に向かって延びるように形成されていてもよいし、ハウジング120の補助部140側に設けられていてもよい。但し、規制部がハウジング120側に設けられていると規制部の変形用のスペースの確保が難しいので、規制部は本実施の形態のようにカバー160側に設けられている方が好ましい。
【0037】
本実施の形態のイジェクトレバー300は、金属製である。図7図12及び図14に示されるように、イジェクトレバー300は、位置決め孔310と、第1端部(一端)320と、第2端部(他端)330と、接触面340とを有している。
【0038】
位置決め孔310は、位置決め突起132を受容するためのものであり、第1端部320と第2端部330との間に位置している。本実施の形態の位置決め孔310は、円形の孔であるが、図12及び図14から理解されるように、位置決め突起132よりもかなり大きい。そのため、位置決め突起132を位置決め孔310に受容させた状態において、イジェクトレバー300は、位置決め突起132の周りに回転可能であると共に前後方向と幅方向とを含む水平面(XY平面)内において平行移動可能である。
【0039】
図8図12及び図14に示されるように、イジェクトレバー300の第1端部320は、水平面内においてある程度移動可能となるように遊びを持ちつつイジェクトバー200の凹部218に受けられている。これにより、イジェクトバー200が後方(+X側)に向かうときには、イジェクトバー200により第1端部320が後方に押される。即ち、イジェクトバー200が収容位置(図14参照)から排出位置(図12参照)に向かう際には、第1端部320が後方に移動させられる。一方、第1端部320が前方(−X側)に向かう際には第1端部320によりイジェクトバー200が前方に押される。即ち、イジェクトバー200が排出位置(図12参照)にあるときに第1端部320が前方に向かうと、イジェクトバー200が排出位置(図12参照)から収容位置(図14参照)まで前方に移動させられる。このように、本実施の形態によるイジェクトレバー300の第1端部320は、イジェクトバー200の前後方向に沿った移動と連動するように、イジェクトバー200に組み合わせられている。
【0040】
図12から理解されるように、イジェクトレバー300の第2端部330は、収容部104にトレイ500が収容される際にトレイ500のフレーム後端部512と接触するものであり、イジェクトバー200が少なくとも排出位置にあるとき、収容部104内に位置している。
【0041】
図12及び図14に示されるように、接触面340は、位置決め孔310の後方(+X側)に位置しており、且つ、第1端部320と第2端部330との間に位置している。図12及び図14から明らかないように、イジェクトバー200が収容位置と排出位置の間で移動し、それに対応してイジェクトレバー300が動いている間、接触面340は、少なくとも部分的に、基準部194の前方であって幅方向において基準部194と重なる位置に常に位置している。そのため、トレイ500の挿入又はイジェクトバー200の後方への押し込みにより、イジェクトレバー300が後方に移動すると接触面340は基準部194に接触することとなる。その状態において、イジェクトレバー300は、基準部194を支点とするが支点自体が相対的に動いてしまうような梃子のようなものとして機能する。従って、図12及び図13から理解されるように、例えば、トレイ500が収容部104に収容される際に、トレイ500のフレーム後端部512によってイジェクトレバー300の第2端部330が後方に押されると、接触面340が基準部194上をスライドしつつ基準部194を支点として回転し、それによってイジェクトレバー300の第1端部320が前方に移動して、イジェクトバー200が収容位置(図14参照)に移動する。逆に、図14に示されるように、イジェクトバー200が収容位置にあるときにピン突当部230(図2参照)をピン(図示せず)で押圧すると、イジェクトレバー300の第1端部320も後方に移動させられる。この際、イジェクトレバー300全体も後方に移動し、それによって接触面340が基準部194に接触する。この状態において、イジェクトバー200が排出位置に至るまで更に後方に押され、第1端部320が後方に移動すると、接触面340が基準部194上をスライドしつつ基準部194を支点として回転し、それによってイジェクトレバー300の第2端部330が前方に移動して、トレイ500が排出される。
【0042】
イジェクトレバー300が基準部194を梃子のようなものの支点として利用することから、位置決め突起132は回転動作の軸として機能しなくてもよい。従って、上述したように、位置決め孔310は位置決め突起132よりもかなり大きなサイズを有していても問題が生じない。なお、位置決め孔310のサイズを位置決め突起132のサイズと対応させて位置決め突起132も軸として使用したとしても、特許文献1の場合とは異なり、最終的には基準部194と接触面340とが接触して基準部194によるバックアップが行われるので、軸(位置決め突起132)のみにストレスが加わり軸が破損してしまうといった問題は避けることができる。
【0043】
本実施の形態のコネクタ本体100は、組立性を考慮して、接触面340と基準部194との間にクリアランスが生じるようなサイズ関係となっている。そのため、イジェクトレバー300の接触面340と基準部194との距離はイジェクトレバー300の状態によって異なる可能性が高く、従って、イジェクトレバー300の回転動作の際に接触面340は基準部194上を必ずスライドすることとなる。その結果、図12に示されるように、イジェクトバー200が排出位置にあるとき、接触面340は前後方向と幅方向の双方と交差している。特に、本実施の形態による接触面340は、母材となる金属板のエッジのうち真っ直ぐに延びる部分を用いている(即ち、細長い平面である)ことから、イジェクトバー200が排出位置にあるとき、イジェクトレバー300の接触面340は前後方向と幅方向の双方と斜交している。また、そのような設定となっていることから、イジェクトバー200が排出位置にあるとき、イジェクトレバー300の一部は必ず基準部194よりも後方に位置している。カバー160に形成された逃げ部192は、このようなイジェクトレバー300のうちの基準部194よりも後方に位置する部分を後方に逃がす役割を果たす。この機能さえ確保できるのであれば、逃げ部192は前述したように後壁190を貫通していなくてもよい。なお、イジェクトバー200が排出位置にあるとき、図12及び図13に示されるように、イジェクトレバー300は少なくとも部分的に逃げ部192内に位置している。特に、本実施の形態による逃げ部192は、後壁190を貫通する開口であることから、イジェクトバー200が排出位置にあるとき、イジェクトレバー300の一部は上方(+Z側)から視認することができる。
【0044】
図14に最も良く示されるように、イジェクトバー200が収容位置にあるとき、本実施の形態による接触面340は前後方向と直交している。但し、本発明はこれに限定されるわけではないが、イジェクトバー200が収容位置にあるときの接触面340がイジェクトバー200に近づくに連れて後方に向かうような斜面であったりすると、イジェクトレバー300の回転動作の際に基準部194や位置決め突起132に不要なストレスが加わるおそれがあることから、イジェクトバー200が収容位置にあるときの接触面340は前後方向と直交する平面であるかイジェクトバー200から離れるに連れて後方に向かうような斜面であることが好ましい。その中でも、コネクタ本体100の前後方向におけるサイズを考慮すると、本実施の形態のように、イジェクトバー200が収容位置にあるときの接触面340は前後方向と直交する平面であることが好ましい。
【0045】
以上、本発明について実施の形態を掲げて具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく様々な変形等が可能である。例えば、上述した実施の形態において、位置決め孔310は円形であったが、本発明において位置決め孔310は軸受け的な機能を必ず持っていなければならないわけではないので、円形である必要もない。同様に、位置決め突起132も軸としての機能を持っている必要は無いので、円柱以外の柱状又は錘状形状を有していてもよい。但し、イジェクトレバー300の回転動作を阻害するものであってはならないことから、位置決め突起132は円柱形状を有していることが好ましい。
【符号の説明】
【0046】
10 トレイ付きコネクタ
100 コネクタ本体
102 前端
104 収容部
110 コンタクト
120 ハウジング
130 主部
132 位置決め突起
140 補助部
142 底面
144R,144L 内側壁(側壁)
146 ガイド部
160 カバー
170 天板
172 受容孔
174 ガイド部
176 規制部
180R,180L 外側壁
182 半田付け部
190 後壁
192 逃げ部
194 基準部
200 イジェクトバー
210 主部
212 変形防止部
214 接触壁
216 維持部
218 凹部
230 ピン突当部
300 イジェクトレバー
310 位置決め孔
320 第1端部(一端)
330 第2端部(他端)
340 接触面
400 基板
410 パッド
500 トレイ
510 フレーム
512 フレーム後端部
514 被維持部
520 ドア部
522 ピン挿入孔
600 カード
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