(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の重量測定装置は、供給部、秤量部、搬送部、及び振り分け部と、そのアクチュエータとが、被測定物の重量を測定し判別するという機能を優先して構成され、混在して筐体に設置されていた。このため、種々の動作を行う機構の配置や構造が複雑となり、搬送部等から飛び出し逸脱したカプセルが例えば駆動源の裏側等の死角に入りやすく、発見や除去が行いにくいことがあった。
また、構造が複雑であると、迅速な清掃作業を行うには不利となる。このため、清掃時にアクセスが困難となるエリアを無くすことで、異物等の除去・混入の抑止効果をより向上させたい要請がある。
さらに、段取り替えなどで搬送部を交換する際、ビスの締結解除や再締結によって側板や前板を脱着するのは、メンテナンスを煩雑にした。
【0008】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、清掃性を向上させることができるとともに、段取り替えやメンテナンス等も容易とすることができ、さらには密閉性を確保することができる重量測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の重量測定装置1は、筐体8と、
前記筐体8の上面16に脱着自在に設けられ、被測定物を受け入れ、少なくとも該被測定物の搬送経路を構成する構成部材10と、
前記筐体8の内方に設けられ、前記上面16を介し前記構成部材10を駆動する駆動機構部15と、
前記筐体8に開閉自在に取り付けられ、閉扉によって少なくとも前記構成部材10を包囲する閉鎖空間29を形成するとともに、開扉によって前記構成部材10を脱着可能に前記閉鎖空間29を開放する複数の扉4,7,30と、
を具備することを特徴とする。
【0010】
この重量測定装置1では、筐体8の上面16が、少なくとも被測定物の搬送経路を構成する構成部材10の設置ベース面となる。上面16に設置される構成部材10は、この上面16から取り外しが可能となる。例えば構成部材10が複数で構成される場合に、上面16から各構成部材10が取り外されることで、例えば被測定物が構成部材10の隙間に紛れ込んでいても極めて容易に発見ができ、取り除くことができる。また、構成部材10のメンテナンスや交換、上面16を含む清掃が容易に可能となる。
筐体8の上面16に設置された構成部材10は、上面16を介して駆動機構部15に接続される。すなわち、駆動機構部15と構成部材10とは、上面16を挟んで領域が区分けされることとなる。このことからも、駆動機構部15は清掃時に邪魔になることがなく、構成部材10側の清掃性、作業性を容易なものとする。
構成部材10を設置した上面16の上方空間は、構成部材10を内方に収容する閉鎖空間29によって外部と仕切られる。この閉鎖空間29は、複数の扉4,7,30が閉扉されることで画成される。それぞれの扉が開かれることで、閉鎖空間29は、開放される。その結果、閉鎖空間29の内部への容易なアクセスが可能となる。また、これにより、構成部材10の脱着が容易に可能となる。
【0011】
本発明の請求項2記載の重量測定装置1は、請求項1記載の重量測定装置1であって、
前記扉は、
前記筐体8の左右両側の側面に軸支され、前記上面16上方の前記閉鎖空間29における左右側部に対し開閉自在とされる左右一対の側面扉30と、
前記上面16よりも上方となって前記筐体8に設けられる枠体44に軸支され、前記上面16の上方の前記閉鎖空間29における上部から前記筐体8の前面31側に対し開閉自在とされる上部扉4と、
を少なくとも具備し、
左右一対の前記側面扉30を閉扉した状態で、該側面扉の上縁48と前縁49とに前記上部扉4の左右両縁部(上面部側縁58,前縁部側縁59)が当接し、該上部扉4の左右両縁部58,59と、前記側面扉30の前記上縁48と前記前縁49とにはパッキン材52が介設されることを特徴とする。
【0012】
この重量測定装置1では、筐体8の左右の側面には、側面扉30がそれぞれ取り付けられる。上面16の上方には、枠体を介して上部扉4が取り付けられる。すなわち、筐体8には、一対の側面扉30と、上部扉4との少なくとも3枚の扉が開閉自在に取り付けられている。これにより、筐体8の上面16に画成された閉鎖空間29は、前方、上方、左右側方の4方が開放される。
上部扉4は、側面扉30の上縁48及び前縁49に当接して、閉扉方向の回転が止まる。つまり、上縁48と前縁49とが上部扉4の戸当たりとなる。従って、閉鎖空間29の開放は、先に上部扉4が開かれ、後に左右の側面扉30が開かれる。また、閉鎖空間29の密閉は、先に左右の側面扉30が閉められ、後に上部扉4が閉められる。
上部扉4が閉められた際に上部扉4が当たる側面扉30の上縁48及び前縁49は、上部扉4とによって、縁同士が突き合わされて延在する出隅部分となる。この出隅部分は、当接する何れか一方の扉の縁に固定されたパッキン材52によって間隙が密閉される。
【0013】
本発明の請求項3記載の重量測定装置1は、請求項2記載の重量測定装置1であって、
少なくとも前記上部扉4が、透明または半透明の樹脂材料からなることを特徴とする。
【0014】
この重量測定装置1では、密閉状態となった閉鎖空間29の内方が、上部扉4を透視して目視可能となる。これにより、側面扉30、及び上部扉4を開かずに、例えば搬送経路を逸脱した被測定物の発見等が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る請求項1記載の重量測定装置によれば、筐体の上面に設置された構成部材が、上面を介して駆動機構部に接続され、すなわち、駆動機構部と構成部材とは、上面を挟んでその構成領域が区分けされることとなる。筐体の上面に設置される構成部材は、この上面から取り外しが可能となり、例えば構成部材が複数で構成される場合に、上面から各構成部材が取り外されることで、例えば被測定物が構成部材の隙間に紛れ込んでいても極めて容易に発見ができ、取り除くことが可能となる。また、被測定物が搬送される構成部材のメンテナンスや交換が容易となり、上面を含む清掃性を向上させることができる。すなわち、リンクやモータなど複雑な機構部品等よりなる駆動機構部と、被測定物を搬送させる構成部材とを区分けして配置構成することで、駆動機構部側に比べ清掃などの頻度が高くなる構成部材側のみを開放自在に構成でき、開放することで、構成部材側の清掃やメンテナンスを容易に行うことが可能となる。また、構成部材を設置した上面の上方空間は、複数の扉が閉扉されることによって、構成部材が内方に収容される外部と仕切られた閉鎖空間となり、それぞれの扉が開放されることで、閉鎖空間が開放され、内部への容易なアクセスが可能となる。これにより、清掃や構成部材の脱着が容易に可能となる。
【0016】
本発明に係る請求項2記載の重量測定装置によれば、筐体には一対の側面扉と上部扉の少なくとも3枚の扉が開閉自在に取り付けられ、これにより、筐体の上面に画成された閉鎖空間は、前方、上方、左右側方の4方を開放することができる。また、上部扉が閉められた際に上部扉が当たる側面扉の上縁及び前縁は、上部扉とによって、縁同士が突き合わされて延在する出隅部分となり、当接する何れか一方の扉の縁に固定されたパッキン材によって間隙を密閉することができる。そして、このパッキン材により、閉鎖空間が陰圧させることが可能となり、閉鎖空間内で扱われる被測定物が例えば周囲に漏れ出ては不都合なものである場合に、それを防ぐことができ、別言すると、被測定物が搬送されるこの閉鎖空間のみを陰圧環境下に置くことが可能となる。
【0017】
本発明に係る請求項3記載の重量測定装置によれば、密閉状態となった閉鎖空間の内方が、上部扉を透視して目視可能となり、これにより、側面扉、及び上部扉を開扉することなく、例えば搬送経路を逸脱した被測定物の発見等が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る重量測定装置1の斜視図、
図2は
図1に示した重量測定装置1の一方の側面扉を外した状態の側面図、
図3は重量測定装置1の下部エリア2を示す側面図、
図4は重量測定装置1の上部エリア3を示す側面図、
図5は各扉が開放された重量測定装置1の斜視図、
図6は清掃時の重量測定装置1の分解斜視図、
図7は
図2のA−A矢視図、
図8は
図2のB−B矢視図、
図9は
図2のC−C矢視図、
図10は下部前面扉7と上部扉4との当接部分を表す要部断面図である。
本発明の重量測定装置1は、筐体8と、少なくとも被測定物の搬送経路を構成する構成部材10と、駆動機構部15と、扉4,7,30とを有する。本実施形態においては、構成部材10は、供給部11と、秤量部12と、搬送部13と、振り分け部14とで構成され、これら供給部11,秤量部12,搬送部13、及び振り分け部14が筐体8の上面16に脱着自在に設けられている。これら供給部11,秤量部12,搬送部13、及び振り分け部14は被測定物を受け入れて計測、搬送、振り分けを行う。
【0020】
筐体8は、例えば略方形箱体として形成され、下部に脚部17を有する。筐体8は、箱体に限らず、例えば、本体フレーム18の少なくとも上部に上面16を形成する板材が設けられていればよい。後述の閉鎖空間の底面となる筐体8の上面16が設けられていれば、目的の構造が構成可能となるからである。
【0021】
本実施形態の筐体8の上面16は、上段と下段とによって階段状に形成される。上段には、供給部11,秤量部12,搬送部13が配置される。下段には、振り分け部14が配置される。また、上段の上方には枠体44が設けられる。枠体44は、筐体8に背面側から上方へ垂直に延設される角柱状の後部柱45と、上段に左右一対となって立設される丸柱状の前部柱46と、これら後部柱45と前部柱46で四隅を支持される天板47とで構成される。天板47には、ホッパー接続口19が形成されている。このホッパー接続口19の周囲には、ホッパーとの気密性を高めるために、パッキン材が設けられてもよい。
【0022】
被測定物は、例えば、薬剤が封入され、両端が半球状に形成された円柱状のカプセル錠(以下、単に「カプセル」と言う。)である。なお、被測定物は、この他、錠剤や、菓子等の食品であってもよい。カプセルの原料としては、ゼラチンやヒドロキシプロピルメチルセルロースなどを用いることができる。
【0023】
供給部11は、上方に配置されるホッパー(図示略)より、ホッパー接続口19を介して投入されたカプセルを、間欠的に1個ずつ後工程へ送り出す。供給部11は、マガジン20と、ストッパー(図示略)と、を有する。マガジン20は、ホッパーの底部に連通し、カプセルを落下させる供給路が形成されて、周期的に上下移動される。本実施形態において、マガジン20は、10連の供給路を有するものが、3つ並設される。カプセルは、マガジン20の内部でその軸線を上下方向に向けた縦方向で、上下方向に一列に並んで収容されている。ストッパーは、マガジン20が上下移動における下端位置を外れたときに供給路を閉鎖し、供給路の下端からカプセルの落下を停止する。
【0024】
秤量部12は、供給部11の次工程に設けられ、供給部11から送り出されたカプセルが1個ずつ載せられてカプセルの1個の重量を計測する。秤量部12は、秤量台を有する計測装置からなる。秤量台はロバーバル機構によって計測装置に支持される。これにより、秤量台のどの位置にカプセルが載せられても正確な重量が計測される。計測装置は、計量センサとして、例えばロードセル(図示略)を有する。秤量台にカプセルが載置されることで、荷重が加わるロードセルの電気信号によってカプセルの重量を計量する。なお、計量センサは、ロードセルに限定されず、他の種々の計量センサを用いることが可能である。
【0025】
搬送部13は、供給部11の下端に配置される搬入部と、後述する振り分け部14に接続される搬出部とを略真直なレーン状の搬送路で接続するとともに、搬入部より搬入されるカプセルを、供給部11及び秤量部12と同期して間欠的に搬送する。搬送路の搬入部側には、秤量部12の秤量台が搬送路の一部として組み込まれるようになっている。搬送部13は、供給部11と同様に、10連の搬送路を有するものが、3つ並設される。なおこの搬送部13において、秤量部12による計測以外のカプセルのOK品/NG品の判別、例えば外観等の判別を行うためのカメラ等を備える構成を設けてもよい。
【0026】
振り分け部14は、搬送部13の次工程に設けられる。本実施形態において、振り分け部14は、搬送部13の最後部である搬出部に接続して設けられる。振り分け部14は、搬送部13からカプセルが搬送されるときに、少なくとも秤量部12からの計測の結果に基づきカプセルの搬送先を切り替える。振り分け部14は、OK品のカプセルを装置外部へ落下させるOK品落下面21を有する。また、振り分け部14は、落下口(図示略)と、落下口開閉蓋(図示略)と、を有する。振り分け部14は、落下口開閉蓋を開くことで、NG品のカプセルを、落下口から排出して振り分ける。
【0027】
筐体8の上面16の上段には、取付架台22(
図6参照)が立設される。取付架台22には、3つのマガジン20が並んで着脱可能に取り付けられる。取付架台22には、マガジン20を上下移動させる昇降杆23が駆動連結孔(図示せず)を介して連結されている。また、筐体8の上面16の上段には、取付架台22の前方に、搬送部13に応じて対となる駆動リンク孔24と、秤量部12に対応する貫通孔25が穿設される。
【0028】
筐体8の上面16の下段には、振り分け部14に応じて3つのNG品排出口26が開口される。NG品排出口26には、振り分け部14によって振り分けられたNG品のカプセルが投入される。NG品排出口26から投入されたNG品のカプセルは、筐体8の側面に設けられたNGボックス取出口27から取り出しが可能となっている。
【0029】
駆動機構部15は、筐体8の内方に設けられ、モータ等の駆動源やこれに連動連結されるリンク等で構成される。駆動機構部15は、ホッパーより受け入れたカプセルを供給部11から秤量部12へ搬送するとともに、計測されたカプセルを振り分け部14へ搬送し、また、振り分け部14にてカプセルの搬送先を切り替えるように、上面16に穿設された駆動リンク孔24等を介して供給部11,搬送部13及び振り分け部14を駆動する。すなわち、駆動機構部15は、駆動リンク孔24に挿通される連接部材である昇降杆23やスライド杆28によって駆動力を供給部11及び搬送部13に伝達可能としている。
【0030】
また、図示はしないが、駆動機構部15に並設されて上記した秤量部12を構成する計測装置本体が筐体8の内方に設けられる。この計測装置本体からは接続杆(図示せず)が延設され、この接続杆が貫通孔25を介し上面16から突出して、秤量台が固定される。
【0031】
そして、重量測定装置1は、
図3に示す下部エリア2(
図3中ハッチング部分)と、
図4に示す上部エリア3(
図4中ハッチング部分)とを有する。下部エリア2は、筐体8の内方となる。この下部エリア2に、駆動機構部15が収容されている。上部エリア3は、筐体8の上面16の上方に形成され、複数の扉4,7,30によって画成された閉鎖空間29となっている。すなわち、上面16を挟んで、駆動機構部15を収容する構成領域(下部エリア2)と、供給部11,秤量部12,搬送部13,振り分け部14よりなる構成部材10を収容する閉鎖空間29である構成領域(上部エリア3)とが区分けされることとなる。
【0032】
扉は、筐体8に複数のものが開閉自在に取り付けられる。扉は、閉扉によって供給部11,秤量部12,搬送部13、及び振り分け部14を包囲する閉鎖空間29を形成するとともに、開扉によって供給部11,秤量部12,搬送部13、及び振り分け部14を脱着可能に閉鎖空間29を開放する。この扉は、本実施形態では、左右一対の側面扉30と、上部扉4と、下部前面扉7との4枚の扉からなる。重量測定装置1は、例えば上部扉4を開くことで、カプセルの種類に応じ、搬送部13のみの交換が可能となる。また、重量測定装置1は、上部扉4と下部前面扉7とが開かれることで、比較的汚れの周期の早い搬送部分を清掃しやすくしている。
【0033】
側面扉30は、筐体8の両側の側面に軸支され左右方向で開閉自在とされる。本実施形態では、軸支部分を蝶番35(
図8参照)で構成し、この蝶番35を側面扉30の吊元中心としている。側面扉30は、略四角形状の平滑な側面板39を有する。側面板39は、透明な樹脂やガラスからなる。なお、この側面板39は、無色透明でなく半透明や着色透明であってもよい。側面板39の外周には、フレーム枠40が取り付けられている。フレーム枠40は、上縁,前縁,下縁が連続する略コ字状、好ましくは上縁と前縁との角部と前縁と下縁との角部のそれぞれを傾斜形成し略弓状に形成される本体枠41と、本対枠41の後側となり上縁と下縁とを接続する後部垂直枠42とで構成される。側面扉30は、
図8に示すように、フレーム枠40の後部垂直枠42に一方の羽板36が固定され、筐体8の後部側である背面に他方の羽板37が固定され、芯棒38が筐体8の側面の後縁に沿うようになっている。なお、蝶番35が固定される筐体8の後部背面側には、上記した後部柱45と筐体8の背面とに亘って垂直に固定される補強柱34が設けられている。
【0034】
上部扉4は、上面16の上方に設けられる枠体44を構成する天板47の前縁に軸支され、上下方向で開閉自在とされる。本実施形態では、軸支部分を蝶番、好ましくはトルクヒンジ55で構成し、このトルクヒンジ55を上部扉4の吊元中心としている、上部扉4は、略L形に中途が折曲した板材よりなり、閉鎖空間29の上部を覆う上面部5と、筐体8の前面31側を覆う前面部6とを有する。この上部扉4は、側面扉30と同様に透明な樹脂やガラスからなる。なお、この上部扉4は、無色透明でなく半透明や着色透明であってもよい。また、上部扉4の前面部6表面下端側には、下端縁54に沿って把手51が取り付けられている。上部扉4は、この把手51を掴むことによって、ハッチ状に持ち上げて開放が可能となる。
【0035】
下部前面扉7は、筐体8の前面31における上面16に沿う縁部に軸支され、所謂あおり扉を構成し、垂直から手前方向で開閉自在とされる。この下部前面扉7は、上部扉4の前面部6の下端縁54と筐体8とを塞ぐ横長帯板状に形成されるとともに、上縁32を切り欠いた3つの切欠部33が設けられている。この切欠部33は、振り分け部14のOK品落下面21を装置外部へ導出している。つまり、OK品落下面21は、閉鎖空間29から切欠部33を介して装置外部へ通じている。装置外部へ導出されたOK品落下面21の下方には、OK品回収箱(図示略)等が置かれる。この下部前面扉7の軸支部分もトルクヒンジ56とされる。下部前面扉7は、上部扉4と同様に、透明な樹脂やガラスからなる。なお、この下部前面扉7は、無色透明でなく半透明や着色透明であってもよい。
【0036】
そして、上部扉4の縁部である上面部側縁58と閉扉した左右一対の側面扉30の各上縁48(
図7参照)、上部扉4の縁部である前面部側縁59と閉扉した左右一対の側面扉30の各前縁49(
図9参照)、下部前面扉7の左右両側縁57と閉扉した左右一対の側面扉30の各前縁49のそれぞれが稜線状に当接しあい、また、下部前面扉7の上縁32と上部扉4の下端縁54(
図10参照)とが当接しあい、各扉4,30,30,7同士の接続ライン50となる。
【0037】
天板47の後部と筐体8との間は、背面板53によって塞がれる。この背面板53は、透明な樹脂やガラスによって形成することができる。また、背面板53は、ステンレス鋼板によって形成してもよい。背面板53にステンレス鋼板を使用することで、背面板53を反射面として閉鎖空間29の内方を正面や側方から映して見えやすくできる。また、この背面板53は、下方向へスライド自在とし、筐体8に開閉自在に取り付けることで、閉鎖空間29の背面側を開放可能とする構造としてもよい。
【0038】
また、側面扉30,上部扉4,下部前面扉7の各間にはパッキン材52,61が設けられる。パッキン材52は、側面扉30の上縁48,前縁49、及び下部前面扉7の上縁32と、上部扉4との間の接続ライン50における間隙を密閉する。側面扉30に設けられるパッキン材52は、フレーム枠40に沿って環状に形成される。下部前面扉7の上縁32に設けられるパッキン材61は、直線状に形成される。
【0039】
本実施形態では、側面扉30のフレーム枠40を構成する本体枠41が、断面凸字形状に形成され、凸部60を筐体8の側面に対向するよう構成されており、この凸部60に沿ってパッキン材52が取り付けられる。また、このパッキン材52は、
図7,
図9に示すように、側面板39の縁を覆いフレーム枠40に取り付けられる。
【0040】
側面扉30の上縁48では、
図7に示すように、本体枠41の凸部60を覆うようにパッキン材52が位置し、この上縁48と上部扉4の上面部側縁58との間がパッキン材52によって密閉される。また、このパッキン材52は、天板47の側面との間も密閉される。
【0041】
側面扉30の前縁49では、本体枠41の凸部60を覆うようにパッキン材52が位置し、この前縁49と上部扉4の前面部側縁59との間がパッキン材52によって密閉される。また、
図9に示すように、側面扉30の前縁49は、筐体8の側面との間もパッキン材52が介在することとなり密閉される。
【0042】
下部前面扉7の上縁32では、
図10に示すように、上部扉4の下端縁54とが対向し合わせられる。上縁32は、前方に向かって下がる傾斜端面で形成される。上部扉4の下端縁54は、上縁32の傾斜端面と平行に形成される。つまり、上部扉4は、外側から上縁32に被さる。これら、上縁32と、上部扉4の下端縁54とは、パッキン材61によって密閉される。
【0043】
以上のように、重量測定装置1は、パッキン材52,61を扉の合わせ目に設けた構造としているので、閉鎖空間29を画成するための枠縁構造やピラーなど各扉の縁部分を閉扉時に当接し支持する扉枠構造が無い構造となっている。これにより、各扉7,4,30の開扉時、筐体8の上面16より上方の閉鎖空間29へのアクセスに、邪魔がなくなり、清掃しやすい構造を実現させている。
【0044】
また、パッキン材52,61によって扉7,4,30同士で形成される接続ライン50が密閉されるので、閉鎖空間29での陰圧構造が実現可能となる。これにより、重量測定装置1は、例えば劇薬など漏れ出ては好ましくない薬剤等を扱う場合に、装置外への飛び散りなどを防ぐことができる。また、このことから、被測定物であるカプセルの搬送経路が構成されるこの閉鎖空間29のみを陰圧環境下とすることができる。
【0045】
次に、上記の構成を有する重量測定装置1の作用を説明する。
本実施形態に係る重量測定装置1では、筐体8の上面16が、供給部11,秤量部12,搬送部13、及び振り分け部14の設置ベース面となる。上面16に設けられたこれら供給部11,秤量部12,搬送部13、及び振り分け部14は、上面16から取り外しが可能となる。供給部11,秤量部12,搬送部13、及び振り分け部14が取り外された上面16は、
図6に示すように、駆動リンク孔24や貫通孔25のみが開口された面となる。その結果、搬送部13などから逸脱し飛び出したカプセルの発見が極めて容易となる。また、清掃が容易に可能となる。
【0046】
上面16に設置された供給部11,搬送部13,振り分け部14は、駆動リンク孔24等を介して接続されるそれぞれの昇降杆23やスライド杆28、連接部材等によって駆動機構部15に接続される。すなわち、駆動機構部15によって供給部11や搬送部13、振り分け部14が駆動されるよう構成されている。また、秤量部12に搬送されるカプセルを、貫通孔25を介して接続される計測装置にて重量が計測される。
ここで駆動機構部15や計測装置など筐体8内に配置される部材を主動構成部材、供給部11,秤量部12,搬送部13,振り分け部14など被測定物であるカプセルの搬送経路等を構成する部材(構成部材10)を従動構成部材とすれば、これら主動構成部材と従動構成部材とが、筐体8の上面16を挟んで、筐体8内部である下部エリア2(
図3参照)と、閉鎖空間29となる上部エリア3(
図4参照)とが区分けされることとなる。すなわち、比較的に清掃等のアクセス頻度が高くなるカプセルの搬送経路側(従動構成部材側)と、これに比べてメンテナンス等のアクセス頻度が低い駆動機構部15側(主動構成部材側)とが筐体8の上面16で領域を分離されることになり、清掃頻度の少ない駆動機構部15が邪魔にならず、また死角を作ることがなく、清掃時等の際にアクセスが困難なエリアをなくすこととなり、清掃性やその作業性を向上させることができる。
【0047】
供給部11,秤量部12,搬送部13、及び振り分け部14を設置した上面16の上方空間は、これらを内方に収容する閉鎖空間29によって外部と仕切られる。この閉鎖空間29は、複数の扉4,7,30が閉扉されることで画成される。また、それぞれの扉4,7,30が開かれることで、閉鎖空間29は、開放される。その結果、筐体8の上面16上方である閉鎖空間29の内部への容易なアクセスが可能となる。また、これにより、供給部11,秤量部12,搬送部13,振り分け部14の上面16からの脱着が容易に可能となる。このことから、筐体8の上面16より上方側の清掃を容易に行うことができ、この上面16に配置される供給部11,秤量部12,搬送部13,振り分け部14の脱着によっても清掃性を向上させ、また、段取り替えやメンテナンスも容易に行える。
【0048】
また、重量測定装置1では、筐体8の左右の側面に、側面扉30がそれぞれ取り付けられる。上面16の上方には、天板47が支持され、この天板47を介し上部扉4が取り付けられる。さらに、筐体8の前面31に、下部前面扉7が取り付けられる。すなわち、筐体8には、一対の側面扉30と、上部扉4と、下部前面扉7との4枚の扉が開放自在に取り付けられている。これにより、筐体8の上面16に画成された閉鎖空間29は、筐体8の上面16を略中心としてそれぞれが外方向となるように左右側方、上方、前方の4方が開放される。
【0049】
上部扉4は、下部前面扉7の上縁32と、側面扉30の上縁48及び前縁49に当接して閉扉方向の回転が止まる。つまり、上縁32、上縁48、及び前縁49が上部扉4の戸当たりとなる。従って、閉鎖空間29の開放は、先に上部扉4が開かれ、次に下部前面扉7、そして左右の側面扉30が開かれる。また、閉鎖空間29の密閉は、先に左右の側面扉30が閉められ、次に下部前面扉7、そして上部扉4が閉められる。
【0050】
上部扉4が閉められた際に上部扉4の上面部側縁58,前面部側縁59が当たる側面扉30の上縁48及び前縁49と、上部扉4の下端縁54が当たる下部前面扉7の上縁32、及び下部前面扉7の両側縁57が当たる側面扉30の前縁49は、上部扉4とによって接続ライン50となる。この接続ライン50は、当接する何れか一方の扉の縁に固定されたパッキン材52,61によって間隙が密閉される。
【0051】
つまり、全ての扉4,7,30が閉められることで、閉鎖空間29は、気密性の高い密閉空間となる。この閉鎖空間29は、扉同士の当接によって形成され、扉4,7,30の縁同士が突き合わされて延在する出隅部分となる。そのため、閉鎖空間29を形成するための柱やピラー等の枠縁構造は不要となる。なお、筐体8の上面16には、天板47を支持する柱(後部柱45,前部柱46)が立設されるが、この柱は密閉空間の形成には寄与していない。その結果、左右一対の側面扉30,上部扉4、及び下部前面扉7の4枚の扉にて閉鎖空間29を容易に密閉、開放できる。
【0052】
なお、重量測定装置1は、少なくとも上部扉4が開放されることで、閉鎖空間29の内部にアクセスが可能となる。さらに清掃性を向上する場合に、左右の側面扉30を開放する。重量測定装置1は、側面扉30によって閉鎖空間29の側面が開放可能となることで、装置の側方からのアクセスを可能とし、装置の裏側を開放しなくてもよくなる。すなわち、装置の裏に回らずに済む。これにより、重量測定装置1は、背面を壁面に沿わした設置も可能となる。
【0053】
また、重量測定装置1では、供給部11,秤量部12,搬送部13、及び振り分け部14が、各扉4,30,7が閉められて、密閉状態となった閉鎖空間29の内方が、上部扉4を透視して目視可能となる。これにより、各扉4,30,7を開かずに、搬送経路を逸脱し飛び出したカプセルの発見等が可能となる。すなわち、開扉せずに閉鎖空間29の内方を簡便に視認できる。また、清掃のタイミング等を開扉せずに決定することができる。
【0054】
なお、上部扉4,下部前面扉7を開閉自在に支持している蝶番であるトルクヒンジ55,56により、上部扉4,下部前面扉7は、開閉を容易とするとともに、任意の開放位置で停止、すなわち、手を離せばその開閉の途中位置で止まるようになっている。
【0055】
従って、本実施形態に係る重量測定装置1によれば、各扉4,30,7を開閉自在とし、駆動機構部15を筐体8内方に配置して、筐体8の上面16の上方であるカプセルの搬送経路側の構成部材10を脱着自在とし、これら駆動機構部15と構成部材10とを分離配置したことで、構成部材10側ではアクセスを容易とし、清掃性を向上させることができるとともに、この上面16に配設される各部11,12,13,14の段取り替えやメンテナンス等の作業性も容易とすることができ、さらには各扉4,7,30にパッキン材52を設けたことで密閉性を確保することができる。