特許第6227446号(P6227446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立オートモティブシステムズ株式会社の特許一覧

特許6227446トランスおよびそれを用いた電力変換装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227446
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】トランスおよびそれを用いた電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 30/10 20060101AFI20171030BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20171030BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   H01F30/10 C
   H02M3/28 Y
   H01F30/10 M
   H01F30/10 F
   H01F30/10 S
   H01F27/28 K
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-48315(P2014-48315)
(22)【出願日】2014年3月12日
(65)【公開番号】特開2015-173188(P2015-173188A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2016年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】千田 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小松 幹人
(72)【発明者】
【氏名】久保 謙二
【審査官】 池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−253113(JP,A)
【文献】 特開2011−182502(JP,A)
【文献】 特開2011−192724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 30/10
H01F 27/28
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、1次巻線と、2次巻線と、を備えるトランスであって、
前記コアは、第1コアと、前記第1コアの側部に配置される第2コアと、を有し、
前記1次巻線は、前記第1コアに巻回される第1の1次巻線と、前記第2コアに巻回されかつ前記第1の1次巻線と電気的に直列に接続される第2の1次巻線と、を含んで構成され、
前記第1の1次巻線は、当該第1の1次巻線によって誘起される当該第1の1次巻線の内周側の磁束の方向が前記第2の1次巻線によって誘起される前記第2の1次巻線の内周側の磁束の方向と反対方向となるように配置され、
前記2次巻線は、前記第1の1次巻線の巻回軸線と前記第2の1次巻線の巻回軸線とが当該2次巻線の内周側に形成されるように、巻回され
前記2次巻線は、第1の2次巻線と、第2の2次巻線と、を含んで構成され、
前記第1の2次巻線は、第1端子と第2端子を有し、
前記第2の2次巻線は、第3端子と第4端子を有し、
前記第2端子は、前記第3端子と電気的に接続され、
前記第2端子及び前記第3端子は、前記2次巻線の内周側に形成され、
前記第1端子及び前記第4端子は、前記2次巻線の外周側に形成されるトランス。
【請求項2】
請求項1に記載のトランスであって、
前記第1の1次巻線は、当該第1の1次巻線の巻回軸方向が前記第2の1次巻線の巻回軸方向と平行になるように配置されるトランス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のトランスであって、
前記2次巻線は、当該2次巻線に電流を入出力するための端子を有し、
前記第1の1次巻線と前記第2の1次巻線の配列方向と垂直方向であって前記第1の1次巻線と重なる第1列と、前記第1の1次巻線と前記第2の1次巻線の配列方向と垂直方向であって前記第2の1次巻線と重なる第2列と、を定義したとき、
前記端子は、前記第1列と前記第2列の間に形成されるトランス。
【請求項4】
請求項3に記載のトランスであって、
前記端子は、前記2次巻線の内周側に形成されるトランス。
【請求項5】
請求項1ないしに記載のいずれかのトランスであって、
前記コアと前記2次巻線の間に放熱シートが配置されるトランス
【請求項6】
請求項1ないしに記載のいずれかのトランスを、筺体内部に搭載した電力変換装置。
【請求項7】
請求項に記載の電力変換装置であって、
トランス2次側の整流素子が複数並列に電気的に接続され、
前記電気的に並列に接続された複数の整流素子は、前記トランスの前記第1の1次巻線と前記第2の1次巻線の配列方向に沿って配置される電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスおよびそれを用いた電力変換装置に関し、特に電動車両に用いられるトランスおよび電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やプラグインハイブリッド車は、動力駆動用の高電圧蓄電池でモータ駆動するためのインバータ装置および車両のライトやラジオなどの補機を作動させるための低電圧蓄電池を備えている。このような車両には、高電圧蓄電池から低電圧蓄電池への電力変換、いわゆるDC-DCコンバータ装置が搭載されている。
【0003】
DC-DCコンバータ装置は、高電圧の直流電圧を交流電圧に変換する高電圧側スイッチング回路、交流高電圧を交流低電圧に変換するトランス、低電圧交流電圧を直流電圧に変換する低電圧側整流回路を備えている。
【0004】
従来のDC-DCコンバータ装置の回路構成としては、高電圧側スイッチング回路として4つのMOSFETをHブリッジ接続し、その入力側に平滑コンデンサを接続し、かつその出力線に共振チョークコイルを接続した回路構成を採用し、トランスとして2次側巻線の中間点を巻線外側に引き出したセンタタップ型トランスを採用し、低電圧側整流回路としてダイオードあるはMOSFETを用いた整流回路に、チョークコイルとコンデンサからなる平滑回路を接続した構成を採用するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
上記トランスは、高電圧側スイッチング回路に接続される1次側の巻線(1次巻線)と、低電圧側整流回路に接続される2次側の巻線(2次巻線)、および1次側と2次側を磁気結合し、エネルギーを伝達するための磁性体(コア)から構成される。各巻線は、形状保持、固定支持のためにプラスチック製の巻き線枠(ボビン)に、巻回して、コアに取り付けられる。また、1次巻線と2次巻線の絶縁を強化するために、1次巻線と2次巻線の間に絶縁テープやスペーサを挿入する場合もある。巻線としては、通常はエナメル線などの銅線を用いる。しかし、大出力のコンバータに用いられるトランスでは、2次側巻線の電流容量を大きくするため、2次巻線をバスバなどの銅板を貼り合わせて形成する。
【0006】
上記トランスを大出力コンバータに用いた場合、その温度上昇が問題となる。1次巻線および2次巻線は抵抗成分を持つために、通電によって銅損が発生し、発熱する。DC-DCコンバータ装置を動作させた場合、1次巻線および2次巻線には、その動作周波数に対応した交流が流れる。そのために表皮効果によって、1次巻線および2次巻線の抵抗成分は直流抵抗より増加し、発熱量は大きくなる。また、DC-DCコンバータ装置を動作させると、トランスのコアには交流磁束が印加され、それによりコアには鉄損が発生し、発熱する。上記のように、トランスは主要な構成部材である1次巻線、2次巻線、コアの全てが発熱するために、温度上昇が問題となる。
【0007】
トランスの温度上昇を抑制するには、冷却流路あるいは放熱フィンなどを有するDC-DCコンバータ装置の筺体面に対して、グリスや熱伝導シートを介して、トランスを設置する構造がとられる。さらに放熱性を上げるために、巻線間や巻線-コア間などの隙間に、シリコンゴムなどの樹脂材を注入する場合もある。しかし、DC-DCコンバータの筺体面から遠い箇所、とくにトランスの上部などは、トランス自体の熱抵抗が大きく、温度上昇が避けられない。
【0008】
トランスの温度上昇の問題を解決する方法として、二つのトランスを用いた2トランス回路構成をとる場合がある。二つのトランスを用いる場合、発熱量は二つのトランスに分散されることになるので、それぞれの温度上昇は小さくなる。二つのトランスを用いた場合、それぞれのトランスの1次巻線は直列に接続され、2次巻線を(整流素子を介して)並列接続する場合が多い(例えば、特許文献2および3参照)。このような構成をとることで、それぞれのトランスにおける1次巻線の必要ターン数が半分となり、巻線ターン数の低減によって、各トランスのコアの低背化が可能である。低背化した場合、コア上部と筺体面までの距離が小さくなるので、熱抵抗も下がり、放熱性が改善される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005-143215号公報
【特許文献2】特開2009-142088号公報
【特許文献3】特開2008-178205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記で述べたように2トランス回路構成をとることで、発熱量をそれぞれのトランスに分散させ、トランス温度上昇を低減できる。しかし、2つのトランスを用いた場合、それぞれのトランス間を接続するための、新たな配線が必要となる。とくに2次側は電流が大きいために、配線が増加すると、その分の配線損失が増加して、DC-DCコンバータの効率低下を招いてしまう。また、配線構造が複雑となり、部品コストも上昇してしまう。
【0011】
本発明の課題は、トランスの温度上昇の抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るトランス及びそれを用いた電力変換装置は、コアと、1次巻線と、2次巻線と、を備え、前記コアは、第1コアと、前記第1コアの側部に配置される第2コアと、を有し、前記1次巻線は、前記第1コアに巻回される第1の1次巻線と、前記第2コアに巻回されかつ前記第1の1次巻線と電気的に直列に接続される第2の1次巻線と、を含んで構成され、前記第1の1次巻線は、当該第1の1次巻線によって誘起される当該第1の1次巻線の内周側の磁束の方向が前記第2の1次巻線によって誘起される前記第2の1次巻線の内周側の磁束の方向と反対方向となるように配置され、前記2次巻線は、前記第1の1次巻線の巻回軸線と前記第2の1次巻線の巻回軸線とが当該2次巻線の内周側に形成されるように、巻回される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の実装形態によれば、トランスの温度上昇の抑制することができる。また高効率かつ低背の電力変換装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1(a)】本実施形態のトランスの外観斜視図である。
図1(b)】本実施形態のトランスの分解斜視図である。
図1(c)】本実施形態のトランスの等価回路図である。
図2】本実施例のトランスの動作原理を説明する分解斜視図及び等価回路図である。
図3】実施例1のトランスを用いた電力変換装置、例えばDC-DCコンバータの回路構成を示したものである。
図4(a)】実施例1のトランスを用いたDC-DCコンバータの実装構造の外観斜視図である。
図4(b)】基板213及び基板214を搭載したDC-DCコンバータの実装構造の外観斜視図である。
図5】他の実施形態に係るトランス100の冷却構造を示す外観斜視図である。
図6】他の実施形態に係るトランスの分解斜視図である。
図7】他の実施形態に係るトランスの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を図面によって説明する。
【実施例1】
【0016】
図1(a)は本実施形態のトランスの外観斜視図であり、図1(b)はその分解図、図1(c)はその等価回路図である。
【0017】
図1(a)及び図1(b)を用いて本実施例の構造を説明する。E型に形成されたコア101a及びコア101bからなる第1コア部101には、1次巻線103aがボビン107a及びボビン107bを介して巻回されている。またE型に形成されたコア102a及びコア102bからなる第2コア部102には、1次巻線104aがボビン108a及びボビン108bを介して巻回されている。
【0018】
1次巻線端子103cと1次巻線端子104bは電気的に接続することで、1次巻線部103と1次巻線部104は直列接続して用いる。
【0019】
バスバ105とバスバ106は、ボビン107a、ボビン107b、ボビン108a、ボビン108bを介して、1次巻線部103及び1次巻線部104を挟むように配置する。バスバ平板部105aは、第1コア部101と第2コア部102の両方を1ターン巻回する形状となっており、同様にバスバ平板部106aは、第1コア部101と第2コア部102の両方を1ターン巻回する形状となっている。
【0020】
バスバ端子部105cとバスバ端子部106bは溶接や半田付けなどによって接続されており、原理について後述するが、バスバ105とバスバ106によって、第1トランス部1と第2トランス部2に共通の2ターンの2次巻線部が形成されていることになる。この2次巻線部の整流回路への電流入出力口は、第1トランス部1と第2トランス部2で共通であってバスバ端子部105b、 バスバ端子部105c(あるいはバスバ端子部106b)、バスバ端子部106cの3端子である。なおバスバ端子部105c(あるいはバスバ端子部106b)は2次側の中間端子(センタタップ端子)であって、DC-DCコンバータの回路構成によっては、整流回路と接続しないで使用することもできる。
【0021】
また、1次巻線103と1次巻線104の配列方向Aと垂直方向であって1次巻線103と重なる第1列Bと、1次巻線103と1次巻線104の配列方向と垂直方向であって1次巻線104と重なる第2列Cと、を定義したとき、バスバ端子部105b、 バスバ端子部105c(あるいはバスバ端子部106b)、バスバ端子部106cは、第1列Bと第2列Cの間に形成される。これにより、配線の干渉を抑制することができ、小型化に寄与する。
【0022】
図2は、本実施例のトランスの動作原理を説明する分解斜視図及び等価回路図である。
【0023】
この説明図では、1次巻線端子103cと1次巻線端子104bは電気的に接続されており、1次巻線部103と1次巻線部104は直列接続してことにする。また、簡単のために2次側のバスバ端子部105c(あるいはバスバ端子部106b)は、整流回路には接続されていないことにする。
【0024】
直列に接続された1次巻線部103と1次巻線部104に、端子103bに正電圧(端子104cに負電圧)が印加された場合を考えると、1次巻線103aおよび1次巻線104bには図中のI1の矢印の向きに電流が流れることになる。
【0025】
この時、第1コア部101に発生する磁束φ1の向きは、図中に示すように、下向きとなる。これに対して第2コア部102に発生する磁束φ2の向きは、図中に示すように、上向きとなる。ファラデーの法則から、2次巻線部には、磁束φ1、φ2を打ち消す磁束が発生するような起電力が生じる。
【0026】
本実施例において2次巻線を形成するバスバ106においては、第1コア部101を巻回する側では、紙面上で反時計周りに電流I2が流れるように起電力が発生し、第2コア部102を巻回する側では、紙面上で時計周りに電流I2が流れるように起電力が発生する。すなわちバスバ106においては、電流I2が、端子106cから流入して、第1コア部101側と第2コア部102側に一旦分流した後に再び合流し、端子106bから流出するように電圧が生じる。
【0027】
同様にバスバ105においては、電流I2が、端子105cから流入して、第1コア部101側と第2コア部102側に一旦分流した後に再び合流し、端子105bから流出するように電圧が生じる。前述したように、端子106bと端子105cは接続されているので、電流I2の電流経路は、端子106cから流入して、第1コア側と第2コア側に分流してコア部を2ターン巻回し、105bから流出する経路となっている。すなわち本構成では、第1トランス部1と第2トランス部2の2次側巻線部が並列となっており、等価回路を書くと、図1(c)に示すような2トランスの構成であって、一次巻線を直列接続、2次巻線を並列接続した回路構成と等しくなっている。すなわち第1トランス部1と第2トランス部2の2次側巻線は、1次巻線部103の巻回軸線と1次巻線部104の巻回軸線とが当該2次側巻線の内周側に形成されるように、巻回される。
【0028】
本構成は2トランス回路構成となっており、発熱量は第1トランス部1と第2トランス部2に分散される。したがってトランス温度上昇を低減できる。また、1次巻線を直列接続することで、各トランス部の1次巻線ターン数を半分にできるため、これによりコアの高さを低減できる。さらにバスバ105やバスバ106を用いて、第1トランス部1と第2トランス部2とで2次巻線を共用化しているために、従来の2トランス回路構成のように、それぞれのトランス2次側配線を接続するための新たな配線が不要である。したがって、従来の2トランス回路構成よりも配線損失を低減できる。
【実施例2】
【0029】
図3は、実施例1のトランスを用いた電力変換装置、例えばDC-DCコンバータの回路構成を示したものである。トランス100の1次側には、MOSFET205a〜205dからなるHブリッジが接続されている。なお、図中には示していないが、トランス100とHブリッジの間には、ゼロ電圧スイッチングを可能とする共振チョークコイルがあっても良い。Hブリッジの入力側には平滑コンデンサ204が接続される。トランス100の2次側には、MOSFET207a〜207fから構成される整流回路と、チョークコイル208と平滑コンデンサ210から構成される平滑回路が、接続されている。平滑回路の出力側には、ノイズフィルタコイル209とノイズフィルタコンデンサ211からなるノイズフィルタ回路が接続されている。
【0030】
図4(a)は、実施例1のトランスを用いたDC-DCコンバータの実装構造の外観斜視図である。図4(b)は、基板213及び基板214を搭載したDC-DCコンバータの実装構造の外観斜視図である。
【0031】
図4(a)に示すように主回路部品は、入口配管202bと出口配管202aを設けた冷却水路を有する筺体201上に図に示すように配置される。主回路部品の上側には、図4(b)に示すように基板213及び基板214が実装されている。
【0032】
トランス100は、筺体上面のほぼ中央部に配置されている。図面上には記載してないが、トランス100のコア下面と筺体上面の間には、グリスを塗布、あるいは放熱シートを挟むことで、放熱性を向上させても良い。
【0033】
トランス100の右側には、Hブリッジを構成するMOSFET205a〜205dや平滑コンデンサ204a及び平滑コンデンサ204bが配置され、これらの上部には基板213が設置されている。この基板213の配線でそれぞれの部品が電気的に接続され、高電圧スイッチング回路部を構成している。
【0034】
基板213の上面には、入力端子203a及び入力端子203bが実装されており、高電圧入力線を接続することができる。また、基板213の上面には、トランス100の1次側巻線を接続するための端子206が設けられている。なお図中では記載していないがMOSFET205a〜205dは放熱と絶縁のために、放熱シートやセラミック基板を介して、筺体上面に設置されている。さらに、基板213には、MOSFET205a〜205dを駆動するためのゲートドライバ回路、1次側電流をモニタする検出回路などを実装することも可能である。
【0035】
トランス100の直近には整流回路を構成するMOSFET207a〜207fを配置してある。つまり、電気的に並列に接続された複数のMOSFET207a〜207fは、トランス100の1次巻線103と1次巻線104(図2参照)の配列方向に沿って配置される。
【0036】
トランス100と各MOSFETのドレイン端子は、バスバ302やバスバ303で接続されており、またMOSFETのソース端子はバスバ304やバスバ305によって筺体201に接地されている。なお図中では記載していないが各MOSFETは放熱と絶縁のために、放熱シートやセラミック基板を介して、筺体上面に設置されている。
【0037】
トランス100の左側には、チョークコイル208、平滑コンデンサ210、ノイズフィルタコイル209、ノイズフィルタコンデンサ211、および出力端子212が配置され、トランス100とチョークコイル208はバスバ301によって接続されている。
【0038】
基板214には、MOSFET207a〜207fを駆動するためのゲートドライバ、マイコンやDSPなどからなるDC-DCコンバータの制御回路が実装されている。
【0039】
本実施形態のトランス100は、低背であるために、MOSFETやコンデンサといった他の主回路部品と高さを揃えて筺体上面に配置することが可能である。そのために、筺体と基板213、214の間には不要なスペースがなく、DC-DCコンバータ全体として、高密度な実装とすることが可能である
また、トランス100の直近に、大電流が流れる整流回路を配置しているために、配線損失を低減でき、高効率のDC-DCコンバータを実現できる。
【実施例3】
【0040】
図5はトランス100の冷却構造を示す外観斜視図である。筺体201の上面には、凸部502a、凸部502b、凸部503cが設けられており、それらの上部には、放熱シート501a、放熱シート501b、放熱シート501cがそれぞれ貼り付けられている。
【0041】
トランス100は、上記の放熱シート501aないし501cと、2次巻線のバスバ平板部106aが接触するように、配置される。このような構造をとることで、2次巻線のバスバ平板部106aの温度上昇を抑制することができる。
【0042】
また、ボビンと1次巻線の隙間にシリコンなど樹脂を注入したり、ボビンと2次巻線を形成するバスバの間に放熱シートを挟んだりすれば、巻線の放熱性をさらに高めることができる。
【実施例4】
【0043】
図6は、他の実施形態に係るトランスの分解斜視図である。本実施形態は実施例1に対して、巻線の積層構造が異なっている。
【0044】
図1(b)と比較すると、2次巻線を形成するバスバ平板部105aが、図1(b)ではボビン107a及びボビン108aの上側に配置されているが、本実施例では、バスバ平板部105aはボビン107b及びボビン108bの下側に配置されており、さらに、バスバ平板部105aとバスバ平板部106aの間には、絶縁板110が新たに設けられている。絶縁板110は放熱性を向上させるために放熱シートでも良い。
【0045】
上記のトランス構成に、例えば実施例3に示した冷却構造を有する電力変換装置を適用すると、実施例1のトランス構成と比較して、2次巻線を形成するバスバ平板部105aの放熱性を向上させることができる。したがって、本構成は2次巻線の発熱量が非常に大きい場合には、有効である。
【実施例5】
【0046】
図7は、他の実施形態に係るトランスの分解斜視図である。本実施形態は実施例1に対して、1次巻線の構成が異なっている。すなわち実施例1では、図1(b)に示すように1次巻線103aと1次巻線104aは別体の銅線で構成しているのに対して、本実施例では1次巻線103aと1次巻線104aは一体の銅線で構成している。
【0047】
実施例1では、図1(b)に示すように1次巻線103aと1次巻線104aは別体の銅線で構成し、これらを直列に接続する場合には、端子部103cと端子部104bを電気的に接続して使用することを想定していた。例えば、図4(b)に示す端子台206上で、端子部103cと端子部104bをネジで共締めすることで容易に実現できる。
【0048】
しかし、本実施例のように、1次巻線103aと104aを一体で構成すると、端子部の個数や端子台の個数を減らすことができる。
【符号の説明】
【0049】
1 第1トランス部
2 第2トランス部
100 トランス
101 第1コア部
101a、b E型コア
102 第2コア部
102a、b E型コア
103 1次巻線部
103a 巻線
103b、c 端子
104 1次巻線部
104a 巻線
104b、c 端子
105 バスバ
105aバスバ平板部
105b、c 端子部
106 バスバ
106aバスバ平板部
106b、c 端子部
107a、b ボビン
108a、b ボビン
110 絶縁板
201 筺体
202a、b 冷却水路口
203a、b 高電圧入力端子
204 平滑コンデンサ
204a、b 平滑コンデンサ
205a、b、c、d MOSFET
206 1次巻線端子台
207a、b、c、d、e、f MOSFET
208 チョークコイル
209 ノイズフィルタコイル
210 平滑コンデンサ
211 ノイズフィルタコンデンサ
212 出力端子
213、214 基板
301、302、303、304、305 バスバ
501a、b、c 放熱シート
502a、b、c 凸部
図1(a)】
図1(b)】
図1(c)】
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5
図6
図7